(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
A47J27/00 103R
(21)【出願番号】P 2020052027
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 健一
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029816(JP,A)
【文献】特開2017-056049(JP,A)
【文献】特開2015-008804(JP,A)
【文献】実開平06-072527(JP,U)
【文献】特開2000-023832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
G16Y 10/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体を備えた炊飯
器であって、
前記蓋体は、蓋筐体と、各種表示を行う表示部と、前記表示部を視認するための表示窓を有する操作パネルと、前記表示部を搭載し前記操作パネルの内側に設けられている操作表示基板と、前
記操作表示基板が取り付けられた表示部保持部材と、無線通信端末との無線通信を行うアンテナとなるアンテナパターンが設けられた開いた平板形状のIoTアダプタと
、前記IoTアダプタを
前記蓋筐体に設置する為
のIoTアダプタホルダー
とを有し
、前記表示部保持部材と前記IoTアダプタは重ならない位置に配置され
、前記IoTアダプタと前記IoTアダプタホルダーは前記操作パネルと前記操作表示基板との間に配置されている炊飯器。
【請求項2】
前記IoTアダプタホルダーは、
前記IoTアダプタ及び前記操作表示基板を繋ぐリード線をまとめることが可能な形状
が設け
られた請求項1
に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記IoTアダプタ
は、Wi-Fi接続により、スマートフォン
との通信が可能であり、設定
により公衆回線を使用しプラットホーム、ルーターを経由し、前記炊飯器
と前記スマートフォンとは通信を行う請求項1
または請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記IoTアダプタホルダーは、前記IoTアダプタホルダーを前記蓋筐体に乗せた状態にてビス止め
が一か所行
われ、前記IoTアダプタホルダー
の回転を抑えることができるリブ
が設け
られた請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記アンテナパターン
は、前記操作パネル側に向くように配置されてい
る請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器の蓋体の蓋筐体に設置されたIoTアダプタの設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器として、スマートフォンと連携するために、無線通信を行うNFC基板を搭載されていることを特徴とする炊飯器が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に開示されている炊飯器は、各種表示を行う表示部と、表示部を視認するための表示窓を有する操作パネルと、表示部を搭載した操作基板と、無線通信端末との近距離無線通信を行うNFC基板と、を備え、NFC基板は、操作パネルと操作基板との間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-56049
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来の構成では、操作パネルと表示部保持部材をシール部材で外気の流入を防ぎ表示部の曇りを防止するために接着しており、IoTアダプタの修理時に蓋体を分解する際の当該操作パネルを蓋体から外す工程で、接着された表示部保持部材へも応力がかかってしまう構造となっている。そのため、背景技術のように表示部保持部材の上に直接IoTアダプタホルダーを配置してしまうと、操作パネルを外す工程で表示部保持部材の上に配置されたIoTアダプタホルダーおよびIoTアダプタへ衝撃を与えて破損してしまう構造であった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、IoTアダプタを備えた炊飯器を修理する時にIoTアダプタを破損することなく修理が出来る蓋体炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来の課題を解決するために、本発明に係る炊飯器は、蓋体を備えた炊飯器であって、蓋体は、蓋筐体と、各種表示を行う表示部と、表示部を視認するための表示窓を有する操作パネルと、表示部を搭載し、操作パネルの内側に設けられている操作表示基板と、操作表示基板が取り付けられた表示部保持部材と、無線通信端末との無線通信を行うアンテナとなるアンテナパターンが設けられた開いた平板形状のIoTアダプタと、IoTアダプタを蓋筐体に設置する為のIoTアダプタホルダーとを有し、表示部保持部材とIoTアダプタは重ならない位置に配置され、IoTアダプタとIoTアダプタホルダーは操作パネルと操作表示基板との間に配置されていることを特徴とする炊飯器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、既存のIoTアダプタを備えられた炊飯器の蓋体を修理等のために蓋体を分解する際に、IoTアダプタに衝撃を与えずに分解することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1の炊飯器を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る蓋体の分解図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る炊飯器の蓋体の上面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1における蓋筐体の斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態1におけるIoTアダプタホルダーの斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態1におけるIoTアダプタの斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係るIoTアダプタホルダーと表示部保持部材が隣り合う炊飯器の蓋体の断面図である。
【
図9】
図6のIoTアダプタホルダーを反対側から見た斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態1に係る操作表示基板とIoTアダプタを繋ぐリード線をIoTアダプタホルダーに組付けた斜視図である。
【
図11】
図7のIoTアダプタを裏向きにした斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態1に係る炊飯器とスマートフォンが通信を示している図である。
【
図13】本発明の実施の形態1に係るIoTアダプタホルダーと蓋筐体が隣り合う炊飯器の蓋体の斜視図である。
【
図14】本発明の実施の形態1に係るIoTアダプタホルダーと操作表示基板が隣り合う炊飯器の蓋体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実際の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器1を示す斜視図であり、
図2は、実施の形態1に係る炊飯器1を示す断面図である。
図1及び
図2に示すように、炊飯器1は、例えば電磁誘導加熱式調理器であり、本体2と、蓋体3と、加熱手段4と、内釜5とを有している。本体2は、上面が開口29となっている有底円筒状をなしており、内部に中空部30が形成されている。蓋体3は、本体2の上面に開閉自在に取り付けられ、本体2の開口29を塞ぐ。さらに、天面に炊飯器操作を行う操作パネル28を設けている。加熱手段4は、本体2の中空部30の底面に設けられており、内釜5の底面に沿う形状をなしている。加熱手段4は、例えば加熱コイルであり、内釜5に渦電流を誘起して内釜5を加熱する。なお、加熱手段4は、平坦であってもよい。
【0011】
図3は、
図1の炊飯器1の蓋体3を分解した状態の斜視図である。
図4は、蓋体3に表示部ユニット6及びIoTアダプタ7、IoTアダプタホルダー8を組み付けた状態の上面図である。蓋体3は、蓋筐体9の内部に表示部ユニット6が収納される収納部10が形成されている。表示部ユニット6は操作表示基板11と表示部12、表示部保持部材13が設けられている。表示部ユニット6が収納部10に収納され、表示部ユニット6の表示部保持部材13に重ならないようにIoTアダプタ7およびIoTアダプタホルダー8が収納される。IoTアダプタ7およびIoTアダプタホルダー8は、収納部10の右上部に配置されている。IoTアダプタホルダー8はビス14により固定されている。
【0012】
図5に蓋筐体9の斜視図を示す。
図6にIoTアダプタホルダー8の斜視図を示す。
図7にIoTアダプタ7の斜視図を示す。組付け方は、操作表示基板11から出ているリード線をIoTアダプタホルダー8を通した状態で蓋筐体9のビス14を通す穴とビス接合部15を合わせるようにし配置する。蓋筐体側の位置決めリブ16、表示部保持部材側の位置決めリブ17、操作表示基板側の位置決めリブ18が近接部品の上に乗りあがっていないことを確認してビス14にて設置する。蓋筐体9とIoTアダプタホルダー8は、蓋筐体側の位置決めリブ16で取り付け位置が決まるので、ビス14一本で固定することができ、組み立て時間が短縮できる。また、IoTアダプタ7とIoTアダプタホルダーは、操作パネルと前記操作表示基板との間に配置すると、操作パネル28に当接しないような位置決めが簡単になる。操作表示基板11から出ているリード線を、IoTアダプタ7に接続し、IoTアダプタホルダー8のリード線まとめリブ19とリード線ガイド20の中間を通り、リード線まとめリブ19の下に留まらせる。IoTアダプタ7とIoTアダプタホルダー8は、IoTアダプタ7をアンテナパターン21が上方向になるように回転し、アダプタホルダー8の固定部22に差し込み、爪部23に押し込むだけで設置でき、組付け時間が短縮できる。
【0013】
図8は表示部保持部材13とIoTアダプタホルダー8が隣り合う箇所が見ることが可能な断面図である。炊飯器の蓋体3には、表示部12の曇りを防ぐため、操作パネル28と表示部保持部材13をシール部材で接着しており、蓋体3を分解する際の操作パネル28を外す工程で、表示部保持部材13へ応力がかかり、上方向に移動する。その際に表示部保持部材13の上にIoTアダプタ7があると、IoTアダプタ7に衝撃が伝わってしまう恐れがある。その為、表示部保持部材13の上に、IoTアダプタ7およびIoTアダプタホルダー8を乗せず、左右方向の制限として位置決めリブ17を設けることによって、IoTアダプタホルダー8の位置決めが簡単に可能となり、表示部保持部材13と接触した場合でも分解の際に大きな衝撃が与えられない構造であり、位置決めをする組付け時間が短縮できる。
【0014】
図9はIoTアダプタホルダー8を
図6の反対方向から見た斜視図である。
図10はIoTアダプタホルダー8にリード線24を組付けた斜視図である。
図11はIoTアダプタ7の下側の斜視図である。
図9が示すようにIoTアダプタホルダー8に、操作表示基板11とIoTアダプタ7を繋ぐリード線24をまとめるリブ形状19と、リード線ガイド20を設けた。
図10を参考に操作表示基板11繋がれたリード線24が、リード線まとめリブ19とリード線ガイド20の間を経由し、リード線まとめリブ19の下から上に巻き付けるように組付けを行う。これらの形状を設けることによって、リード線24が繋がっているIoTアダプタ7を安定して組み付けることが可能となる。また、
図11が示すように、IoTアダプタ7の下側に2つのスイッチ25が存在する。これらのスイッチ25は、IoTアダプタ7の電源スイッチと、容易にWi-Fiの接続が可能なWPSスイッチである。本発明ではIoTアダプタ7を使用者の手に触れない箇所に設け、Wi-Fi経由で操作を行う為、不要である。つまり押す必要のないスイッチ25の為、リード線まとめリブ19によって、リード線の動線を確定することで、誤って押すことを防ぐことが可能となる。
【0015】
図12は炊飯器1とスマートフォン26が通信している図である。Wi-Fiの設定を行うことによってスマートフォン26からアプリケーションを用いて無線通信にて操作が可能となる。つまり設定を行うことによって、炊飯器1に近づかずに、公衆回線を使用しプラットホーム、ルーターを経由し、炊飯器1に対応した操作を実行することが可能となっている。
【0016】
図13は蓋筐体9にIoTアダプタホルダー8を取り付けた際の斜視図である。
図14は操作表示基板11とIoTアダプタホルダー8が隣り合った箇所の断面図である。
図13が示すように、ビス14でIoTアダプタホルダー8を一か所止めた際、IoTアダプタホルダー8の2つの位置決めリブ16で蓋筐体1の回転防止用リブ27を挟む形状にすることによって、取り付け、取り外しの回転を抑えることができる。また、
図8の位置決めリブ17も、表示部保持部材13に接触することによって、取り付けの回転を抑えることができる。また、
図14のように操作表示基板11の上側面とIoTアダプタホルダー8の位置決めリブ18を接触させることによって、取り外しの回転を抑えることができる。または、操作表示基板11にも穴を開け、IoTアダプタホルダー8と操作表示基板11を共にビス14を止めて固定をする構造でもよい。
【0017】
IoTアダプタ7は
図4のようにアンテナパターン21が操作パネル28側に向くように配置されていることによって、加熱手段4のノイズの影響を受けにくい配置にすることができる。
【0018】
以上のように炊飯器蓋体3の内部にIoTアダプタホルダー8を構成することで、容易にIoTアダプタ7の組立を行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように、本発明は炊飯器の蓋体3に表示部保持部材13とIoTアダプタ7の組付ける炊飯器に広く利用することができるものである。
【符号の説明】
【0020】
1 炊飯器、 2 本体、 3 蓋体、 4 加熱手段、 5 内釜、 6 表示部ユニット、 7 IoTアダプタ、 8 IoTアダプタホルダー、 9 蓋筐体、 10 収納部、 11 操作表示基板、 12 表示部、 13 表示部保持部材、 14 ビス、 15 ビス接合部、 16 位置決めリブ(蓋筐体側)、 17 位置決めリブ(表示部保持部材側)、 18 位置決めリブ(操作表示基板側)、 19 リード線まとめリブ、 20 リード線ガイド、 21 アンテナパターン、 22 固定部、 23 爪部、 24 リード線、 25 スイッチ、 26 スマートフォン、 27 位置決めリブ、 28 操作パネル、 29 開口、 30 中空部