(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】車両レーダー装置及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20230428BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230428BHJP
【FI】
G01S7/03 240
G01S7/03 230
G01S13/931
(21)【出願番号】P 2020147392
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2020-09-02
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506404681
【氏名又は名称】為升電装工業股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520303070
【氏名又は名称】為昇科科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尤 山泉
(72)【発明者】
【氏名】洪 元通
(72)【発明者】
【氏名】紀 雅鈴
(72)【発明者】
【氏名】李 政欣
(72)【発明者】
【氏名】カー, ジョンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】施 位勳
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205821(JP,A)
【文献】特開2016-197061(JP,A)
【文献】特開2017-187379(JP,A)
【文献】米国特許第10173623(US,B1)
【文献】特開2004-320583(JP,A)
【文献】特開2000-121729(JP,A)
【文献】特開2010-210297(JP,A)
【文献】特開平10-166975(JP,A)
【文献】特開2016-085486(JP,A)
【文献】特開2006-157583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0313067(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090011(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-17/95
G08G 1/16
H01Q 1/00- 3/46
H01Q21/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の送信アンテナを含む第1のアンテナユニットであり、前記第1の送信アンテナはアンテナアレイ及び複数の金属パッドを含み、前記金属パッドは前記アンテナアレイの方向に前記アンテナアレイの両側に配置されている、第1のアンテナユニットと、
少なくとも1つの第2の送信アンテナを含む第2のアンテナユニットであり、前記第2の送信アンテナは他のアンテナアレイ及び他の複数の金属パッドを含み、前記他の金属パッドは前記他のアンテナアレイの方向に前記他のアンテナアレイの両側に配置されている、第2のアンテナユニットと、
前記第1のアンテナユニット及び前記第2のアンテナユニットに通信接続される少なくとも1つの演算ユニットと、
第1の板部及び第2の板部を含み、前記第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ前記第1の板部に配置され、前記第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ前記第2の板部に配置され、前記少なくとも1つの演算ユニットは前記第1の板部及び前記第2の板部の中の少なくとも1つに配置される少なくとも1つの回路基板と、
ハウジングを備え、前記第1のアンテナユニット、前記第2のアンテナユニット、前記少なくとも1つの演算ユニット及び前記少なくとも1つの回路基板はいずれも前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングが底部を含む、車両レーダー装置であり、
前記車両レーダー装置の視角は180度以上であり、前記第1の板部と前記底部の外表面との夾角はB1であり、前記第2の板部と前記底部の前記外表面との夾角はB2であり、前記車両レーダー装置の厚さは前記底部の前記外表面からのHTであり、
25度<B1<50度、
25度<B2<50度、及び
15mm<HT<50mmという条件を満たす車両レーダー装置。
【請求項2】
前記ハウジングが2つのカバーを含み、
前記2つのカバーの各々の厚さが一致し、前記第1の板部と前記2つのカバーの中の一方に平行し且つそれらの距離がS1であり、前記第2の板部と前記2つのカバーの中の他方に平行し且つそれらの距離がS2であり、
0mm<S1<5mm、及び
0mm<S2<5mmという条件を満たす請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項3】
少なくとも1つの地面投影ライトを更に備え、前記ハウジングの前記2つのカバーから外へ照射する請求項2に記載の車両レーダー装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの演算ユニットの数は2つであり、前記第1のアンテナユニット及び前記第2のアンテナユニットはそれぞれ前記2つの演算ユニットに通信接続され、前記2つの演算ユニットはそれぞれ前記第1の板部及び前記第2の板部に配置される請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの回路基板の数は1つであり、前記第1の板部及び前記第2の板部のいずれも前記回路基板に位置する請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回路基板の数は2つであり、前記第1の板部及び前記第2の板部はそれぞれ前記2つの回路基板の中の一方及び他方に位置する請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項7】
前記第1のアンテナユニットの動作周波数及び前記第2のアンテナユニットの動作周波数のいずれも10GHzより大きく、前記第1のアンテナユニットは少なくとも1つの第1の受信アンテナをさらに含み、前記第2のアンテナユニットは少なくとも1つの第2の受信アンテナをさらに含む請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項8】
前記第1のアンテナユニットは少なくとも2つの第1の受信アンテナを含み、前記少なくとも2つの第1の受信アンテナがそれぞれ少なくとも2つのアンテナの形態であり、前記第2のアンテナユニットは少なくとも2つの第2の受信アンテナを含み、前記少なくとも2つの第2の受信アンテナがそれぞれ少なくとも2つのアンテナの形態である請求項7に記載の車両レーダー装置。
【請求項9】
前記第1の送信アンテナ、前記第1の受信アンテナ、前記第2の送信アンテナ及び前記第2の受信アンテナの中の少なくとも1つの構造はミアンダラインアンテナを含む請求項7に記載の車両レーダー装置。
【請求項10】
前記第1の送信アンテナ、前記第1の受信アンテナ、前記第2の送信アンテナ及び前記第2の受信アンテナの中の少なくとも1つの構造はパッチアンテナを含む請求項7に記載の車両レーダー装置。
【請求項11】
平面上の前記第1のアンテナユニットの主ローブの中心線と前記平面上の前記第2のアンテナユニットの主ローブの中心線との夾角はA12であり、且つ前記平面が前記第1の板部及び前記第2の板部に垂直であり、
50度<A12<100度という条件を満たす請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項12】
平面上の前記第1のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAH1であり、前記平面上の前記第2のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAH2であり、且つ前記平面が前記第1の板部及び前記第2の板部に垂直であり、
100度<AH1<180度、及び
100度<AH2<180度という条件を満たす請求項1に記載の車両レーダー装置。
【請求項13】
他の平面上の前記第1のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAV1であり、且つ前記他の平面が前記平面及び前記第1の板部に垂直であり、更なる1つの平面上の前記第2のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAV2であり、且つ前記更なる1つの平面が前記平面及び前記第2の板部に垂直であり、
100度<AV1<180度、及び
100度<AV2<180度という条件を満たす請求項12に記載の車両レーダー装置。
【請求項14】
車両に配置され、少なくとも1つの車両レーダー装置を備え、前記少なくとも1つの車両レーダー装置が前記車両の左側及び右側の中の少なくとも一側に配置される車両レーダーシステムであって、前記車両レーダー装置は、
少なくとも1つの第1の送信アンテナを含む第1のアンテナユニットであり、前記第1の送信アンテナはアンテナアレイ及び複数の金属パッドを含み、前記金属パッドは前記アンテナアレイの方向に前記アンテナアレイの両側に配置されている、第1のアンテナユニットと、
少なくとも1つの第2の送信アンテナを含む第2のアンテナユニットであり、前記第2の送信アンテナは他のアンテナアレイ及び他の複数の金属パッドを含み、前記他の金属パッドは前記他のアンテナアレイの方向に前記他のアンテナアレイの両側に配置されている、第2のアンテナユニットと、
前記第1のアンテナユニット及び前記第2のアンテナユニットに通信接続される少なくとも1つの演算ユニットであり、前記第1のアンテナユニット及び前記第2のアンテナユニットにより受信されるレーダー信号に従い、前記車両の内輪差検出モードを実行するよう構成されている、演算ユニットと、
第1の板部及び第2の板部を含み、前記第1の板部及び前記第2の板部のいずれも前記車両の水平平面に垂直であり、前記第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ前記第1の板部に配置され、前記第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ前記第2の板部に配置され、前記少なくとも1つの演算ユニットは前記第1の板部及び前記第2の板部の中の少なくとも1つに配置される少なくとも1つの回路基板と、
ハウジングを備え、前記第1のアンテナユニット、前記第2のアンテナユニット、前記少なくとも1つの演算ユニット及び前記少なくとも1つの回路基板はいずれも前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングが底部を含み、前記底部の外表面は前記車両レーダー装置が配置された前記車両の前記側に平行する、車両レーダーシステムであり、
前記車両レーダーシステムの前記内輪差検出モードは、車両が旋回する際、後輪が旋回側にずれるのを検出し、前記車両レーダーシステムの内輪差検出モードは、前記車両のウィンカー信号、舵角信号及びヨーレート信号の中の少なくとも1つによってアクティブ化され、
前記車両レーダーシステムは、前記内輪差検出モードにある場合、前記ウィンカー信号、前記舵角信号及び前記ヨーレート信号の中の前記少なくとも1つによって前記車両の旋回情報を算出し、前記旋回情報に基づき前記車両の警報条件の警報範囲を適応的に調整し、
前記第1の板部と前記車両レーダー装置が配置された前記車両の前記側との夾角はV1であり、前記第2の板部と前記車両レーダー装置が配置された前記車両の前記側との夾角はV2であり、
25度<V1<50度、及び
25度<V2<50度、という条件を満たす車両レーダー装置。
【請求項15】
前記車両の長さは10m以上且つ18m以下であり、前記少なくとも1つの車両レーダー装置の数は1つであり、且つ前記車両レーダー装置が前記車両の前記左側又は前記右側に配置される請求項14に記載の車両レーダーシステム。
【請求項16】
前記車両の前記左側及び前記右側の中の少なくとも1つに配置される少なくとも1つのサイドレーダー装置を更に備え、前記サイドレーダー装置及び前記車両レーダー装置の中の一方は他方によって前記車両の車両コントロールユニットに通信接続される請求項15に記載の車両レーダーシステム。
【請求項17】
前記車両の長さは4m以上且つ8m以下であり、前記少なくとも1つの車両レーダー装置の数は2つであり、且つ前記2つの車両レーダー装置の中の1つは前記車両の前記左側に配置されて且つ前記車両の後方に近接し、前記2つの車両レーダー装置の中の他方は前記車両の前記右側に配置されて且つ前記車両の前記後方に近接する請求項14に記載の車両レーダーシステム。
【請求項18】
前記2つの車両レーダー装置の中の一方は他方によって前記車両の車両コントロールユニットに通信接続される請求項17に記載の車両レーダーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両レーダー装置及びそのシステムに関し、特に、2つのアンテナユニットを備える車両レーダー装置及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance System、ADAS)、自動運転技術の活発な開発により、車両レーダー装置は、車両の近くと遠くにある物体を検出する機能を備えるため、その用途と需要も日々増加している。
【0003】
4輪以上の車両に対して、特にバスやトラックなどの大型車両の場合、視界の死角は運転席の下、車両の後ろ、左側と右側にある。大型車両が旋回する際にも、後輪が旋回側にずれた「内輪差」(Radius Difference Between Inner Wheels)という現象が発生し、この側の人と車にかなりの脅威をもたらし、右折(運転席の反対側へ旋回する)車両が最もリスクを負う。また、大型車両は加減速が容易ではないという特徴があるため、ブレーキをかけられないことがよくあり、黄色信号又は赤信号でも進む危険な行動を起こしやすく、交通事故が非常に起こりやすい。なお、高速で走行する場合、大型車両は強い気流を発生させて側方の車両を揺らしやすく、巻き込まれた砂やほこりも他の車両の安全運転に影響を与えるため、大型車の周囲は危険なエリアとなる。
【0004】
以上のように、大型車両の広い範囲の視界の死角と内輪差という現象の両方の要素の作用で、宣伝などの注意喚起は依然として歩行者やその他の車両を非常に高いリスクにさらす。大型車両では、都市部を走行しなければならないバスは事故の頻度が高く、乗客の数が多いと車体が重くなり、他の車両にぶつかった時に異状を発見するには遅すぎる。現在まで、安全な運転を確保するために、自動車や自転車、歩行者は、道路を通過する時に大型車両からできるだけ離れ、大型車両の周囲に近づくことを避け、大型車両が旋回する時にそれからの距離を大きく保つように受動的に主張することしかできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、現在の車両レーダー装置の市場上で、視界の視角や内輪差による交通事故を防止するように、車両自体、特に大型車両自体によって周囲環境の物体を効果的に検出する技術的解決手段を開発することは求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両レーダー装置及びそのシステムを提供し、含まれる第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットが非共面アンテナアレイであり、広い検出範囲を提供し、検出の死角を減らすことに役に立つ。
【0007】
本発明によれば、車両レーダー装置は、第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、少なくとも1つの演算ユニット及び少なくとも1つの回路基板を備える。第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットは演算ユニットに通信接続される。回路基板は、第1の板部と第2の板部を含み、第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第1の板部に配置され、第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第2の板部に配置され、前記少なくとも1つの演算ユニットは第1の板部及び第2の板部の中の少なくとも1つに配置される。第1の板部と第2の板部との夾角はP12であり、80度<P12<130度という条件を満たす。これによって、広い検出範囲を提供し、検出の死角を減らすことに役に立つ。
【0008】
前記の車両レーダー装置によれば、ハウジングを更に備え、第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、演算ユニット及び回路基板がいずれもハウジング内に配置される。
【0009】
前記の車両レーダー装置によれば、ハウジングは、底部を含む。第1の板部と底部の外表面との夾角はB1であり、第2の板部と底部の外表面との夾角はB2であり、25度<B1<50度と25度<B2<50度という条件を満たす。
【0010】
前記の車両レーダー装置によれば、ハウジングは、底部を含む。車両レーダー装置の厚さは底部の外表面からのHTであり、15mm<HT<50mmという条件を満たす。
【0011】
前記の車両レーダー装置によれば、ハウジングは、2つのカバーを含む。2つのカバーのそれぞれの厚さが一致し、第1の板部は2つのカバーの中の一方に平行し且つそれらの距離がS1であり、第2の板部は2つのカバーの中の他方に平行し且つそれらの距離がS2であり、0mm<S1<5mmと0mm<S2<5mmという条件を満たす。
【0012】
前記の車両レーダー装置によれば、ハウジングの2つのカバーを介して外へ照射する少なくとも1つの地面投影ライトを更に備えてもよい。
【0013】
前記の車両レーダー装置によれば、前記少なくとも1つの演算ユニットの数は2つであってもよく、第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットがそれぞれ前記2つの演算ユニットに通信接続され、前記2つの演算ユニットがそれぞれ第1の板部及び第2の板部に配置される。
【0014】
前記の車両レーダー装置によれば、回路基板の数は1つであってもよく、第1の板部及び第2の板部のいずれも回路基板に位置する。
【0015】
前記の車両レーダー装置によれば、前記少なくとも1つの回路基板の数は2つであってもよく、第1の板部及び第2の板部がそれぞれ前記2つの回路基板の中の一方及び他方に位置する。
【0016】
前記の車両レーダー装置によれば、第1のアンテナユニットの動作周波数及び第2のアンテナユニットの動作周波数のいずれも10GHzより高くてもよく、第1のアンテナユニットは、少なくとも1つの第1の送信アンテナ及び少なくとも1つの第1の受信アンテナを含み、第2のアンテナユニットは、少なくとも1つの第2の送信アンテナ及び少なくとも1つの第2の受信アンテナを含む。
【0017】
前記の車両レーダー装置によれば、第1のアンテナユニットは、少なくとも2つの第1の受信アンテナを含んでもよく、前記少なくとも2つの第1の受信アンテナがそれぞれ少なくとも2つのアンテナの形態であり、第2のアンテナユニットは、少なくとも2つの第2の受信アンテナを含んでもよく、前記少なくとも2つの第2の受信アンテナがそれぞれ少なくとも2つのアンテナの形態である。
【0018】
前記の車両レーダー装置によれば、第1の送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の送信アンテナ及び第2の受信アンテナの中の少なくとも1つの構造はミアンダラインアンテナを含んでもよい。
【0019】
前記の車両レーダー装置によれば、第1の送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の送信アンテナ及び第2の受信アンテナの中の少なくとも1つの構造はパッチアンテナを含んでもよい。
【0020】
前記の車両レーダー装置によれば、平面上の第1のアンテナユニットの主ローブの中心線と前記平面上の第2のアンテナユニットの主ローブの中心線との夾角はA12であり、且つ前記平面が第1の板部及び第2の板部に垂直であり、50度<A12<100度という条件を満たす。
【0021】
前記の車両レーダー装置によれば、平面上の第1のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAH1であり、前記平面上の第2のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAH2であり、且つ前記平面が第1の板部及び第2の板部に垂直であり、100度<AH1<180度と100度<AH2<180度という条件を満たす。
【0022】
前記の車両レーダー装置によれば、他の平面上の第1のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAV1であり、且つ前記他の平面が前記平面及び第1の板部に垂直であり、更なる1つの平面上の第2のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅はAV2であり、且つ前記更なる1つの平面が前記平面及び第2の板部に垂直であり、100度<AV1<180度と100度<AV2<180度という条件を満たす。
【0023】
前記の車両レーダー装置によって、周囲環境中の物体をより精確に検出することに役に立つ。
【0024】
本発明によれば、車両レーダーシステムを更に提供し、車両に配置され、少なくとも1つの車両レーダー装置を備え、前記少なくとも1つの車両レーダー装置が車両の左側及び右側の中の少なくとも一側に配置され、車両レーダー装置は、第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、少なくとも1つの演算ユニット及び少なくとも1つの回路基板を含む。第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットは演算ユニットに通信接続される。回路基板は、第1の板部と第2の板部を含み、第1の板部及び第2の板部のいずれも車両の水平平面に垂直であり、第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第1の板部に配置され、第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第2の板部に配置され、前記少なくとも1つの演算ユニットは第1の板部及び第2の板部の中の少なくとも1つに配置される。第1の板部と第2の板部との夾角はP12であり、80度<P12<130度という条件を満たす。これによって、車両レーダーシステムは装置の数を簡素化すると同時に検出の死角を減らすことに役に立つ。
【0025】
前記の車両レーダーシステムによれば、第1の板部と車両レーダー装置が配置された車両の前記一側との夾角はV1であり、第2の板部と車両レーダー装置が配置された車両の前記一側との夾角はV2であり、25度<V1<50度と25度<V2<50度という条件を満たす。
【0026】
前記の車両レーダーシステムによれば、車両レーダー装置は、ハウジングを更に備え、第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、演算ユニット及び回路基板がいずれもハウジング内に配置され、ハウジングは、底部を含み、底部の外表面が車両レーダー装置が配置された車両の前記一側に平行する。車両レーダー装置の厚さは底部の外表面からのHTであり、15mm<HT<50mmという条件を満たす。
【0027】
前記の車両レーダーシステムによれば、車両の長さは10m以上且つ18m以下であってもよく、車両レーダー装置の数は1つであり、且つ車両レーダー装置は車両の左側又は右側に配置される。
【0028】
前記の車両レーダーシステムによれば、少なくとも1つのサイドレーダー装置を更に備え、車両の左側及び右側の中の少なくとも1つに配置され、サイドレーダー装置及び車両レーダー装置の中の一方は他方によって車両の車両コントロールユニットに通信接続される。
【0029】
前記の車両レーダーシステムによれば、車両の長さは4m以上で且つ8m以下であってもよく、前記少なくとも1つの車両レーダー装置の数は2つであり、且つ前記2つの車両レーダー装置の一方は車両の左側に配置されて且つ車両の後方に近接し、前記2つの車両レーダー装置の他方は車両の右側に配置されて且つ車両の後方に近接する。
【0030】
前記の車両レーダーシステムによれば、前記2つの車両レーダー装置の一方は他方によって車両の車両コントロールユニットに通信接続することができる。
【0031】
前記の車両レーダーシステムによれば、車両レーダーシステムの内輪差検出モードは、車両のウィンカー信号、舵角信号、及びヨーレート信号の中の少なくとも1つによってアクティブ化されることができる。
【0032】
前記の車両レーダーシステムによれば、車両レーダーシステムは、内輪差検出モードにある場合、ウィンカー信号、舵角信号、及びヨーレート信号の中の少なくとも1つによって車両の旋回情報を算出することができ、旋回情報に基づき車両の警告条件を適応的に調整する。
【0033】
前記の車両レーダーシステムによって、車両レーダーシステムにおける装置を車両の外表面に取り付ける場合に、関連する規制に準拠するように、過度に突出しなく、また、十分な検出角度と範囲があることに役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】本発明の第1の実施例による車両レーダー装置を示す模式図である。
【
図1C】第1の実施例による車両レーダー装置を示す分解図である。
【
図1D】第1の実施例による車両レーダー装置を示す他の分解図である。
【
図1E】第1の実施例による車両レーダー装置を示す更なる1つの分解図である。
【
図1F】第1の実施例による車両レーダー装置のパラメータを示す模式図である。
【
図1G】第1の実施例による車両レーダー装置の他のパラメータを示す模式図である。
【
図2A】本発明の第2の実施例による車両レーダー装置を示す模式図である。
【
図2C】第2の実施例による車両レーダー装置を示す分解図である。
【
図2D】第2の実施例による車両レーダー装置を示す他の分解図である。
【
図2E】第2の実施例による車両レーダー装置を示す更なる1つの分解図である。
【
図2F】第2の実施例による車両レーダー装置のパラメータを示す模式図である。
【
図2H】第2の実施例による車両レーダー装置の他のパラメータを示す模式図である。
【
図3】本発明の第3の実施例による車両レーダー装置を示す模式図である。
【
図4A】本発明の第4の実施例による車両レーダーシステムが車両に配置される模式図である。
【
図4B】第4の実施例による車両レーダーシステムが車両に配置されるブロック図である。
【
図4C】第4の実施例によるサイドレーダー装置を示す模式図である。
【
図4E】
図4Cにおけるサイドレーダー装置を示す分解図である。
【
図4F】第4の実施例における他のサイドレーダー装置を示す模式図である。
【
図4H】
図4Fにおけるサイドレーダー装置を示す分解図である。
【
図5】本発明の第5の実施例による車両レーダーシステムが車両に配置される模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面で本発明の複数の実施例を開示する。明らかに説明するために、数多くの実務上の細部を下記の叙述で合わせて説明する。しかしながら、理解すべきなのは、これらの実務上の細部が、本発明を制限するためのものではない。つまり、本発明の実施形態の一部においては、これらの実務上の細部は、必要としないものである。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び素子は、図面において簡単で模式的に示され、且つ同一の素子は同一の番号で示すことがある。
【0036】
図1A~
図1Eを参照されたく、
図1Aは、本発明の第1の実施例による車両レーダー装置100を示す模式図であり、
図1Bは、
図1Aの断面線1B-1Bに沿う断面図であり、
図1Cは、第1の実施例による車両レーダー装置100を示す分解図であり、
図1Dは、第1の実施例による車両レーダー装置100の第1の板部171に面する視角の分解図であり、
図1Eは、第1の実施例による車両レーダー装置100の第2の板部172に面する視角の分解図であり、且つ第1の実施例において図面では組立又はロック素子、及び回路基板161、162上の細部素子を省略する。
図1A~
図1Eから分かるように、車両レーダー装置100は、第1のアンテナユニット111、第2のアンテナユニット112、演算ユニット107及び回路基板161、162を備える。
【0037】
第1のアンテナユニット111及び第2のアンテナユニット112は、演算ユニット107に通信接続され、演算ユニット107が処理素子及び記憶素子を含んでもよい。回路基板161、162は、それぞれ第1の板部171及び第2の板部172を含み、第1のアンテナユニット111は回路基板の形態であり且つ第1の板部171に配置され、第2のアンテナユニット112は回路基板の形態であり且つ第2の板部172に配置される。第1の実施例において、第1の板部171は、回路基板161、162の中の一部であり、具体的に、回路基板161の少なくとも1つの部分である。第2の板部172は、回路基板161、162の中の一部であり、具体的に回路基板162の少なくとも1つの部分である。演算ユニット107は、第1の板部171(即ち第1の板部171及び第2の板部172の中の1つ)に配置され、複数の無線周波数送信素子(例えばパワーアンプ、フィルター等であるが、これらに制限されない)及び複数の無線周波数受信素子(例えば低雑音増幅器、フィルター等であるが、これらに制限されない)は、第1のアンテナユニット111と演算ユニット107との間に結合され、且つ前記複数の無線周波数送信素子、前記複数の無線周波数受信素子及び演算ユニット107はシールドカバー(Shielding Cover)内に配置される。本発明による他の実施例において、第1の板部及び第2の板部は、それぞれ同じ回路基板上の2つの部分であってもよい。
【0038】
図1Bから分かるように、第1の板部171と第2の板部172との夾角はP12であり、80度<P12<130度という条件を満たす。これによって、第1のアンテナユニット111及び第2のアンテナユニット112は非共面アンテナアレイであり、単一の装置(即ち車両レーダー装置100)を使用するだけで必要な広い検出角度及び範囲を提供できることに役に立ち、且つ前記パラメータP12の条件範囲を満たす車両レーダー装置100は第1の板部171と第2の板部172との間にある検出の死角を効果的に縮小でき、車両レーダー装置100の小型化に役に立つ。第1の実施例において、パラメータP12は120度である。
【0039】
第1の実施例において、車両レーダー装置100はハウジング180を更に備えてもよく、第1のアンテナユニット111、第2のアンテナユニット112、演算ユニット107及び回路基板161、162はいずれもハウジング180内に配置される。
【0040】
ハウジング180は底部183を含む。第1の板部171と底部183の外表面184との夾角はB1であり、第2の板部172と底部183の外表面184との夾角はB2であり、25度<B1<50度と25度<B2<50度という条件を満たす。これによって、底部183で車体の外表面に直接に接着されることに役に立ち、車体への車両レーダー装置100の取り付けプロセスを簡素化できることに加えて、更に予想された検出角度及び範囲を維持することもできる。第1の実施例において、パラメータB1は30度であり、パラメータB2は30度である。
【0041】
車両レーダー装置100の厚さは底部183の外表面184からのHTであり、15mm<HT<50mmという条件を満たす。これによって、大型車両の車体がほとんど金属製であるので、車両レーダー装置100は車体の内部への取り付けに適していないため、関連規制に準拠するように、車体の外表面に取り付けられる場合に過度に突出しないように配置され(例えばバンパーの厚さ以下である)、且つ前記パラメータP12又はB1、B2の条件範囲を満たす車両レーダー装置100は更に前記パラメータHTの条件範囲を満たす時にまた十分な検出角度及び範囲を有することに役に立ち。第1の実施例において、パラメータHTは約29.9mmである。
【0042】
ハウジング180は2つのカバー、即ちカバー181、182を更に含む。カバー181の厚さは実質的に同じであり、カバー182の厚さは実質的に同じであり、即ち避けられない製造公差による不均一な厚さを除外する。第1の板部171(即ち第1のアンテナユニット111の信号発信源の位置)はカバー181、182の中の一方(即ちカバー181)に平行し且つそれらの距離がS1であり、第2の板部172(即ち第2のアンテナユニット112の信号発信源の位置)はカバー181、182の中の他方(即ちカバー182)に平行し且つそれらの距離がS2であり、0mm<S1<5mmと0mm<S2<5mmという条件を満たす。これによって、ハウジング180は、小型化された設計であり、且つレンズ効果を低減してレーダー波の集束や分散を回避でき、車両レーダー装置100に広角検出の機能を持たせ、且つ耐振動性を有してノイズを低減する。好ましくは、2mm<S1<3mmと2mm<S2<3mmという条件を満たすことができる。第1の実施例において、パラメータS1は2.5mmであり、パラメータS2は2.5mmである。本発明による実施例において、ハウジングにおける2つのカバーはそれぞれ第1の板部及び第2の板部に近接し、ハウジングにおける底部は第1の板部と第2の板部との間の距離が小さい一側から離れる。
【0043】
本発明による他の実施例において(図示せず)、車両レーダー装置は遠隔検出に使用される場合、レンズ効果を発生するように、第1の板部及び第2の板部に隣接し又は面するハウジングの2つのカバーの各々の2つの表面を曲面(即ち各カバーの厚さが一致しない)として設計してもよく、簡単に言えば、各カバーは、レーダー波の方向を変化できる「電磁レンズ」のようなものであり、各カバーの表面曲率がその材料の誘電率に関連し、各カバーの異なる形状(電磁レンズ形状とも呼ばれる)は異なる電界フェーズを生成する。なお、車両レーダー装置の各カバーの外表面が凸面である場合、ほこり又は雨水等が各カバーの外表面に付着していると、車両が走行する際に、空気の流れのため、これらの付着物が外表面の曲面形状に沿って容易に吹き飛ばされ、それにより各カバーの電磁レンズ特性を維持し、ほこり又は雨水の影響によって各カバーの表面曲率又はレーダー波の経路の長さを変化することがない。
【0044】
図1D及び
図1Eから分かるように、演算ユニット107の数は1つであり、第1のアンテナユニット111及び第2のアンテナユニット112は演算ユニット107に通信接続され、演算ユニット107が第1の板部171に配置される。具体的に、回路基板161、162の間はフレキシブル回路基板、他の回路基板、コネクタ、ケーブル(これらに制限されない)の中の少なくとも1つに電気的に接続されることができ、これによって、回路基板162に配置される第2のアンテナユニット112が回路基板161に配置される演算ユニット107に通信接続される。これによって、車両レーダー装置100の小型化、及び第1のアンテナユニット111及び第2のアンテナユニット112の送信信号及び受信信号を効果的に統合することに役に立ち。
【0045】
本発明による他の実施例において(図示せず)、車両レーダー装置における演算ユニットの数は2つであってもよく、第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットはそれぞれ前記2つの演算ユニットに通信接続され、前記2つの演算ユニットがそれぞれ第1の板部及び第2の板部に配置される。これによって、車両レーダー装置の設計の柔軟性及び便利性に役に立つ。更に、前記2つの演算ユニットはそれぞれ車両の車両コントロールユニットに通信接続でき、又は前記2つの演算ユニットの中の一方が他方によって車両の車両コントロールユニットに通信接続される。
【0046】
第1の実施例において、車両レーダー装置100における回路基板の数は2つであり、即ち回路基板161、162、第1の板部171及び第2の板部172はそれぞれ回路基板161及び162に位置する。これによって、回路基板161、162及び関連素子は必要に応じて直接にパラメータP12の数が異なる様々な車両レーダー装置に使用されることに役に立つ。
【0047】
第1のアンテナユニット111の動作周波数及び第2のアンテナユニット112の動作周波数のいずれも10GHzより高くてもよい。好ましくは、第1のアンテナユニット111の動作周波数及び第2のアンテナユニット112の動作周波数のいずれも10GHzより大きく且つ300GHzより小さくてもよい。より好ましくは、第1のアンテナユニット111の動作周波数及び第2のアンテナユニット112の動作周波数は24GHz+/-5GHz、77GHz+/-5GHz、又は79GHz+/-5GHzであってもよい。第1のアンテナユニット111は、少なくとも1つの第1の送信アンテナ121及び少なくとも1つの第1の受信アンテナ141を含み、第2のアンテナユニット112は、少なくとも1つの第2の送信アンテナ122及び少なくとも1つの第2の受信アンテナ142を含む。これによって、車両レーダー装置100は周囲環境中の物体をより精確に検出することに役に立つ。第1の実施例において、第1のアンテナユニット111の動作周波数及び第2のアンテナユニット112の動作周波数のいずれも約79GHzである。
【0048】
第1の送信アンテナ121、第1の受信アンテナ141、第2の送信アンテナ122及び第2の受信アンテナ142の中の少なくとも1つの構造はパッチ(Patch)アンテナを含んでもよい。これによって、車両レーダー装置100の小型化及び広い検出範囲の提供の両方に役に立つ。第1の実施例において、第1の送信アンテナ121、第1の受信アンテナ141、第2の送信アンテナ122及び第2の受信アンテナ142の各々の構造はいずれもパッチアンテナを含む。本発明による実施例において、第1の送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の送信アンテナ及び第2の受信アンテナの中の少なくとも1つの構造に含まれたパッチアンテナは、例えば直列給電パッチアレイ(Series-Fed Patch Array、SFPA)のような、単一のパッチアンテナ又は複数のパッチ形の放射素子(Radiating Element)で形成されたアンテナアレイであってもよいが、これに制限されない。
【0049】
具体的に、第1の送信アンテナ121の数及び第1の受信アンテナ141の数のいずれも2つである。第1の板部171には、各第1の送信アンテナ121の構造は、1つの直列給電パッチアレイ123及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド(Pad)125を含み、各第1の受信アンテナ141の構造は1つの直列給電パッチアレイ143及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド145を含み、且つ第1の送信アンテナ121及び第1の受信アンテナ141の具体的な配置は、
図1Dに示すように、これに制限されない。第2の送信アンテナ122の数及び第2の受信アンテナ142の数のいずれも2つである。第2の板部172には、各第2の送信アンテナ122の構造は、1つの直列給電パッチアレイ124及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド126を含み、各第2の受信アンテナ142の構造は、1つの直列給電パッチアレイ144及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド146を含み、且つ第2の送信アンテナ122及び第2の受信アンテナ142の具体的な配置は、
図1Eに示すように、これに制限されない。本発明による他の実施例において(図示せず)、第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットのアンテナの形態は検出の適用によって異なってもよく、且つ本発明の実施例に記載のアンテナの形態に制限されない。更に、第1の送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の送信アンテナ及び第2の受信アンテナの数は互いに異なってもよく、且つそれぞれの数は1つ又は3つ以上であってもよい。
【0050】
図1Fを参照されたく、第1の実施例による車両レーダー装置100のパラメータA12を示す模式図であり、且つ
図1Fの中の主ローブHL1、HL2は車両レーダー装置100上の物理的構造ではない。
図1Fから分かるように、第1のアンテナユニット111の動作周波数及び第2のアンテナユニット112の動作周波数で、ある平面上の第1のアンテナユニット111の主ローブHL1の中心線C1と前記平面上の第2のアンテナユニット112の主ローブHL2の中心線C2との夾角はA12であり、且つ前記平面が第1の板部171、第2の板部172及び外表面184に垂直であり、且つ
図1Fに示すような平面であり、50度<A12<100度という条件を満たす。これによって、車両レーダー装置100は小型化を達成し且つ必要な検出角度及び範囲規格を具体的に満たすことができる。第1の実施例において、パラメータA12は60度である。
【0051】
実質的に、前記平面上の第1のアンテナユニット111の主ローブHL1の中心線C1の方向は、第1のアンテナユニット111の三次元放射フィールドタイプの中の最大ゲイン(Gain)の方向でもあり、前記平面上の第2のアンテナユニット112の主ローブHL2の中心線C2の方向は、第2のアンテナユニット112の三次元放射フィールドタイプの中の最大ゲインの方向でもある。更に言えば、本発明によるパラメータA12は、前記平面上の第1の送信アンテナ121の主ローブHL1の中心線C1と前記平面上の第2の送信アンテナ122の主ローブHL2の中心線C2との夾角であってもよく、又はパラメータA12は、前記平面上の第1の受信アンテナ141の主ローブHL1の中心線C1と前記平面上の第2の受信アンテナ142の主ローブHL2の中心線C2との夾角であってもよい。
【0052】
図1Gを参照されたく、第1の実施例による車両レーダー装置100のパラメータAH1を示す模式図であり、且つ
図1Gは前記平面(即ち
図1Fに示すような平面)上の第1のアンテナユニット111の放射フィールドタイプを示す模式図でもあり、特に測定アンテナの偏波方向が前記平面(即ち
図1F)に平行する放射フィールドタイプの模式図である。具体的に、
図1Gは前記平面上の第1の送信アンテナ121の放射フィールドタイプの模式図であってもよく、
図1Gは前記平面上の第1の受信アンテナ141の放射フィールドタイプの模式図であってもよく、且つ第1の実施例においてパラメータAH2の模式図は、
図1Gと類似してよい。
図1Gから分かるように、前記平面上の第1のアンテナユニット111の主ローブHL1のハーフパワーのビーム幅(Half Power Beam Width、HPBW)はAH1であり、
図1Gの中のハーフパワーマークポイントm1、m2で定義され、前記平面上の第2のアンテナユニット112の主ローブHL2のハーフパワーのビーム幅はAH2であり、且つ前記平面が第1の板部171、第2の板部172及び外表面184に垂直であり、100度<AH1<180度と100度<AH2<180度という条件を満たす。これによって、車両レーダー装置100の検出角度が180度又は以上に達することに役に立ち、且つ車両レーダー装置100が内輪差検出レーダーとして使用される場合、比較的短い距離で且つ遅く移動する物体に対してより正確な検出を提供することに役に立つ。第1の実施例において、パラメータAH1は120度であり、パラメータAH2は120度である。
【0053】
図2A~
図2Eを参照されたく、
図2Aは、本発明の第2の実施例による車両レーダー装置200を示す模式図であり、
図2Bは、
図2Aの断面線2B-2Bに沿う断面図であり、
図2Cは、第2の実施例の車両レーダー装置200を示す分解図であり、
図2Dは、第2の実施例の車両レーダー装置200の第1の板部271に面する視角の分解図であり、
図2Eは、第2の実施例の車両レーダー装置200の第2の板部272に面する視角の分解図であり、且つ第2の実施例において、図面では組立又はロック素子、及び回路基板261上の細部素子を省略する。
図2A~
図2Eから分かるように、車両レーダー装置200は、第1のアンテナユニット211、第2のアンテナユニット212、演算ユニット207及び回路基板261を備える。
【0054】
第1のアンテナユニット211及び第2のアンテナユニット212は、演算ユニット207に通信接続される。回路基板261は、第1の板部271及び第2の板部272を含み、第1のアンテナユニット211は回路基板の形態であり且つ第1の板部271に配置され、第2のアンテナユニット212は回路基板の形態であり且つ第2の板部272に配置される。第1の板部271は回路基板261の中の一部であり、第2の板部272は回路基板261の中の他の部分であり、演算ユニット207は第1の板部271に配置される。第2の実施例において、パラメータP12は120度である。
【0055】
車両レーダー装置200は、ハウジング280を更に備え、第1のアンテナユニット211、第2のアンテナユニット212、演算ユニット207及び回路基板261のいずれもハウジング280内に配置され、ハウジング280が底部283を含む。第2の実施例において、パラメータB1は30度であり、パラメータB2は30度である。車両レーダー装置200の厚さは底部283の外表面284からのHTであり、パラメータHTが約28.9mmである。
【0056】
ハウジング280は、2つのカバー、即ちカバー281、282を更に含む。カバー281の厚さは実質的に同じであり、カバー282の厚さは実質的に同じである。第1の板部271はカバー281に平行し且つそれらの距離がS1であり、第2の板部272はカバー282に平行しそれらの距離がS2である。第2の実施例において、パラメータS1は2.5mmであり、パラメータS2は2.5mmである。
【0057】
図2D及び
図2Eから分かるように、演算ユニット207の数は1つであり、第1のアンテナユニット211及び第2のアンテナユニット212は演算ユニット207に通信接続され、演算ユニット207が第1の板部271に配置される。
【0058】
第2の実施例において、回路基板261の数は1つであり、第1の板部271及び第2の板部272のいずれも回路基板261に位置する。これによって、車両レーダー装置200の機構設計の複雑さを低下させることに役に立つ。具体的に、回路基板261は非平面回路基板であり、成形、プレス等の方法によって製造されてなるが、これらに制限されない。
【0059】
第1のアンテナユニット211の動作周波数及び第2のアンテナユニット212の動作周波数のいずれも10GHzより大きい。第2の実施例において、第1のアンテナユニット211の動作周波数及び第2のアンテナユニット212の動作周波数のいずれも約79GHzである。第1のアンテナユニット211は、第1の送信アンテナ221、231及び第1の受信アンテナ241、251を含み、第2のアンテナユニット212は、第2の送信アンテナ222、232及び第2の受信アンテナ242、252を含む。
【0060】
第2の実施例において、第1の送信アンテナ221、第1の受信アンテナ241、第2の送信アンテナ222及び第2の受信アンテナ242の各々の構造はいずれもパッチアンテナを含む。
【0061】
第1の送信アンテナ231、第1の受信アンテナ251、第2の送信アンテナ232及び第2の受信アンテナ252の各々はいずれもミアンダラインアンテナ(Meander Line Antenna)である。これによって、第1のアンテナユニット211及び第2のアンテナユニット212に、十分なビーム幅の平面を選択しそして偏波方向を設計する際により柔軟性を持たせ、且つ車両レーダー装置200の小型化により役に立つ。本発明による実施例において、第1の送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の送信アンテナ及び第2の受信アンテナの中の少なくとも1つの構造の一部又は全部構造はミアンダラインアンテナのアンテナの形態であってよく、且つミアンダラインアンテナのアンテナの形態は単一のミアンダラインアンテナ(例えば第1の送信アンテナ231)、二重曲げラインアンテナ、勾配曲げラインアンテナ、折り畳みミアンダラインアンテナであってもよく、これらに制限されない。
【0062】
第1のアンテナユニット211は、少なくとも2つの第1の受信アンテナ(即ち第1の受信アンテナ241、251)を含み、それぞれ2種のアンテナの形態であり、第2のアンテナユニット212は、少なくとも2つの第2の受信アンテナ(第2の受信アンテナ242、252)を含み、それぞれ2種のアンテナの形態である。これによって、第1のアンテナユニット211及び第2のアンテナユニット212のいずれも、少なくとも2つの異なる平面に十分なビーム幅が設計されてもよい。第2の実施例において、第1のアンテナユニット211は、2つの第1の受信アンテナ(即ち第1の受信アンテナ241、251)を含み、第1の受信アンテナ241、251がそれぞれ構造に直列給電パッチアレイ243を有するアンテナの形態及びミアンダラインアンテナを有するアンテナの形態であり、第2のアンテナユニット212は、2つの第2の受信アンテナ(第2の受信アンテナ242、252)を含み、第2の受信アンテナ242、252がそれぞれ構造に直列給電パッチアレイ244を有するアンテナの形態及びミアンダラインアンテナを有するアンテナの形態である。
【0063】
具体的に、第1の送信アンテナ221の数、第1の送信アンテナ231の数、第1の受信アンテナ241の数及び第1の受信アンテナ251の数はいずれも1つである。第1の板部271において、第1の送信アンテナ221の構造は、1つの直列給電パッチアレイ223及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド225を含み、第1の送信アンテナ231は、ミアンダラインアンテナであり、第1の受信アンテナ241の構造は、1つの直列給電パッチアレイ243及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド245を含み、第1の受信アンテナ251は、ミアンダラインアンテナであり、且つ第1の送信アンテナ221、231及び第1の受信アンテナ241、251の具体的な配置が
図2Dに示すようなものであるが、これらに制限されない。第2の送信アンテナ222の数、第2の送信アンテナ232の数、第2の受信アンテナ242の数及び第2の受信アンテナ252の数はいずれも1つである。第2の板部272において、第2の送信アンテナ222の構造は、1つの直列給電パッチアレイ224及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド226を含み、第2の送信アンテナ232は、ミアンダラインアンテナであり、第2の受信アンテナ242の構造は、1つの直列給電パッチアレイ244及びその両側が前記アレイ方向に沿って配列する複数の金属パッド246を含み、第2の受信アンテナ252は、ミアンダラインアンテナであり、且つ第2の送信アンテナ222、232及び第2の受信アンテナ242、252の具体的な配置が
図2Eに示すようなものであるが、これらに制限されない。本発明による他の実施例において(図示せず)、第1の送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の送信アンテナ及び第2の受信アンテナの数は互いに異なってもよく、それぞれのアンテナの形態は3種以上であってもよく、且つそれぞれの各アンテナの形態の数は2つ以上であってもよい。
【0064】
図2Fを参照されたく、第2の実施例の車両レーダー装置200のパラメータA12を示す模式図であり、且つ
図2Fの中の主ローブHL1、HL2は車両レーダー装置200上の物理的構造ではない。
図2Fから分かるように、第1のアンテナユニット211の動作周波数及び第2のアンテナユニット212の動作周波数で、ある平面上の第1のアンテナユニット211の主ローブHL1の中心線C1と前記平面上の第2のアンテナユニット212の主ローブHL2の中心線C2との夾角はA12であり、且つ前記平面が第1の板部271、第2の板部272及び外表面284に垂直で且つ
図2Fに示すような平面である。第2の実施例において、パラメータA12は60度である。
【0065】
実質的に、前記平面上の第1のアンテナユニット211の主ローブHL1の中心線C1の方向は第1のアンテナユニット211の三次元放射フィールドタイプの中の最大ゲインの方向でもあり、前記平面上の第2のアンテナユニット212の主ローブHL2の中心線C2の方向は第2のアンテナユニット212の三次元放射フィールドタイプの中の最大ゲインの方向でもある。更に言えば、本発明によるパラメータA12は、前記平面上の第1の送信アンテナ221及び231の中の少なくとも1つの主ローブの中心線と前記平面上の第2の送信アンテナ222及び232の中の少なくとも1つの主ローブの中心線との夾角であり、又はパラメータA12は、前記平面上の第1の受信アンテナ241及び251の中の少なくとも1つの主ローブの中心線と前記平面上の第2の受信アンテナ242及び252の中の少なくとも1つの主ローブの中心線との夾角であってもよい。更に、
図2FにおけるパラメータA12は、第1の受信アンテナ241の主ローブHL1と第2の受信アンテナ242の主ローブHL2で示される。
【0066】
更に、前記平面上の第1のアンテナユニット211の主ローブHL1のハーフパワーのビーム幅(HPBW)は、AH1であり、前記第1の実施における
図1Gに示すようなパラメータAH1と類似してよく、前記平面上の第2のアンテナユニット212の主ローブHL2のハーフパワーのビーム幅は、AH2であり、且つ前記平面が第1の板部271、第2の板部272及び外表面284に垂直である。第2の実施例において、パラメータAH1は120度であり、パラメータAH2は120度である。
【0067】
図2G及び
図2Hを参照されたく、
図2Gは、
図2Bの断面線2G-2Gに沿う断面図であり、且つ
図2Gにおける主ローブVL1は車両レーダー装置200上の物理的構造ではなく、
図2Hは第2の実施例の車両レーダー装置200のパラメータAV1を示す模式図であり、且つ
図2Hが他の平面(即ち
図2Gに示すような平面)上の第1のアンテナユニット211の放射フィールドタイプの模式図でもあり、特に測定アンテナの偏波方向は前記他の平面(即ち
図2G)に平行する放射フィールドタイプの模式図である。具体的に、
図2Hは、前記他の平面上の第1の送信アンテナ231(即ちミアンダラインアンテナ)の放射フィールドタイプの模式図であってよく、前記他の平面上の第1の受信アンテナ251の放射フィールドタイプの模式図であってもよく、且つ第2の実施例において更なる1つの平面上の第2の送信アンテナ232又は第2の受信アンテナ252の放射フィールドタイプのパラメータAV2の模式図は、
図2Hと類似してよい。
【0068】
図2G及び
図2Hから分かるように、前記他の平面上の第1のアンテナユニット211の主ローブVL1のハーフパワーのビーム幅(HPBW)は、AV1であり、
図2Hにおけるハーフパワーマークポイントm1、m2で定義され、且つ前記他の平面が前記平面(即ち
図2Fに示すような平面)及び第1の板部271に垂直であり、前記更なる1つの平面上の第2のアンテナユニット212の主ローブのハーフパワーのビーム幅は、AV2(図示せず)であり、且つ前記更なる1つの平面が前記平面及び第2の板部272に垂直であり、100度<AV1<180度と100度<AV2<180度という条件を満たす。これによって、車両レーダー装置200は使用上で水平平面及び垂直平面の両方に十分な検出範囲を有することに役に立つ。第2の実施例において、パラメータAV1は128度であり、パラメータAV2は128度である。
【0069】
更にいえば、第1のアンテナユニット211において、第1の送信アンテナ221、231はそれぞれハーフパワーのビーム幅AH1、AV1を有する2つの平面が90度異なり、第1の受信アンテナ241、251はそれぞれハーフパワーのビーム幅AH1、AV1を有する前記2つの平面が90度異なり、前記2つの平面がそれぞれ
図2F及び
図2Gに示すような平面であり、且つ使用上でそれぞれ水平平面及び垂直平面であってもよく、即ち
図2Fは第1の送信アンテナ221又は第1の受信アンテナ241の水平偏波測定フィールドタイプ(ハーフパワーのビーム幅AH1が120度である)の模式図であってもよく、
図2Gは第1の送信アンテナ231又は第1の受信アンテナ251の垂直偏波測定フィールドタイプ(ハーフパワーのビーム幅AV1が128度である)の模式図であってもよいため、同時又は順番に使用できて、90度異なる前記2つの平面にいずれも十分な検出範囲を持たせる。第2のアンテナユニット212において、第2の送信アンテナ222、232はそれぞれハーフパワーのビーム幅AH2、AV2を有する2つの平面が90度異なり、第2の受信アンテナ242、252はそれぞれハーフパワーのビーム幅AH2、AV2を有する前記2つの平面が90度異なり、且つ前記2つの平面が使用上でそれぞれ水平平面及び垂直平面であってもよいため、同時又は順番に使用できて、90度異なる前記2つの平面にいずれも十分な検出範囲を持たせる。従来の技術における車両レーダーのビーム幅は主に単一の平面(例えば水平平面)にあり、車両レーダー装置200が内輪差偵側レーダーとして使用される場合、検出対象は反射信号が弱い歩行者、自転車、機関車であるため、第1のアンテナユニット211及び第2のアンテナユニット212は、水平平面及び垂直平面の両方に十分なビーム幅を有して、車両レーダー装置200が信号取得効果を高めることに役に立つ。
【0070】
図3を参照されたく、本発明の第3の実施例による車両レーダー装置300を示す模式図である。第3の実施例において、車両レーダー装置300は第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、演算ユニット及び回路基板を含む。第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットは演算ユニットに通信接続される。回路基板は第1の板部及び第2の板部を含み、第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第1の板部に配置され、第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第2の板部に配置され、演算ユニットが第1の板部及び第2の板部の中の1つに配置される。
【0071】
図3から分かるように、車両レーダー装置300は、ハウジング380を更に備え、第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、演算ユニット及び回路基板がいずれもハウジング380内に配置され、ハウジング380が底部383及びカバー381、382を含む。
【0072】
車両レーダー装置300は、地面投影ライト391、392を更に備え、ハウジング380のカバー381、382を介して外へ照射する。これによって、車両レーダー装置300は内輪差検出レーダーとして使用され、且つ地面投影ライト391、392を配置した場合、車両が旋回すると判断された場合に危険なエリアを投影して、早期に回避するように歩行者や近くの車両に警告する。更に言えば、地面投影ライト391、392の各々はLED光源によってフィルム(Film)に照射され、またレンズの屈折によってフィルムにおける画像を照射された物体に表示する。更に、第3の実施例の車両レーダー装置300は、地面投影ライト391、392を備える以外、他の特徴が第2の実施例に記載の車両レーダー装置200の特徴と同様であってもよい。
【0073】
図4A及び
図4Bを参照されたく、
図4Aは、本発明の第4の実施例による車両レーダーシステム4800が車両40に配置される模式図(実際の縮尺で描かれていない)であり、
図4Bは、第4の実施例による車両レーダーシステム4800が車両40に配置されるブロック図である。
図4A及び
図4Bから分かるように、車両レーダーシステム4800は、車両40に配置され、前記第1の実施例の車両レーダー装置100を備え、その数が1つである。車両レーダー装置100は、車両40の左側48L及び右側48Rの中の少なくとも一側(具体的に、右側48Rに配置される)に配置される。更に、車両40の車体は前側47、左側48L、右側48R及び後側49を含み、且つ前側47、左側48L、右側48R及び後側49が本質的に正方形を形成し、
図4Aに示すようなものである。本発明による他の実施例において、車両レーダー装置が車両の左側に配置されてもよく、且つ車両レーダーシステムは前記第2の実施例の車両レーダー装置200、第3の実施例の車両レーダー装置300、又はその他の本発明による車両レーダー装置を備えてもよい。
【0074】
図1B及び
図4Aから分かるように、車両レーダー装置100は第1のアンテナユニット111、第2のアンテナユニット112、演算ユニット107及び回路基板161、162を備える。第1のアンテナユニット111及び第2のアンテナユニット112は演算ユニット107に通信接続される。回路基板161、162はそれぞれ第1の板部171及び第2の板部172を含み、第1の板部171及び第2の板部172がいずれも車両40の水平平面(即ち
図4Aに示すような平面)に垂直であり、第1のアンテナユニット111は回路基板の形態であり且つ第1の板部171に配置され、第2のアンテナユニット112は回路基板の形態であり且つ第2の板部172に配置され、演算ユニット107が第1の板部171に配置される。第1の板部171と第2の板部172との夾角はP12であり、80度<P12<130度という条件を満たす。これによって、車両レーダーシステム4800はその装置の数を簡素化すると同時に検出の死角を減らすことに役に立ち、更に検出範囲を広め精度を高める。第4の実施例において、パラメータP12は120度である。車両レーダー装置100のその他の細節については、前記第1の実施例の内容を参照されたく、ここで詳細に説明しない。
【0075】
図4Aから分かるように、第1の板部171と車両レーダー装置100が配置された車両40の右側48Rとの夾角はV1であり、第2の板部172と車両レーダー装置100が配置された車両40の右側48Rとの夾角はV2であり、25度<V1<50度と25度<V2<50度という条件を満たす。これによって、車両40が左走行環境のバス、特に公共交通機関のバスである場合、一部の国(例えばEU)の規制に従い、車両40の車両コントロールユニット41の推定によると、助手席側(即ちバスのドア側、第4の実施例における右側48R)で15m以内の範囲(具体的に、右側48Rの右方に位置し、幅が3m且つ長さが車両40の車体の長さに前へ6mを足す範囲)に入る可能性のある車両に対して、車両40が事前にアラーム信号を生成する必要があり、前記パラメータV1及びV2の条件範囲を満たす車両レーダーシステム4800は、その車両レーダー装置100における第1のアンテナユニット111、第2のアンテナユニット112及び関連素子によって180度以上の視角(Field of View、FOV)及び30m以上の検出距離を達成することに役に立ち、前述の規制要件に準拠し、且つ車両40の内輪差検出、BSD(Blind Spot Detection、ブラインドスポット検出)及びLCA(Lane Change Assistance、車線変更支援)機能を達成するようにする。第4の実施例において、パラメータV1は30度であり、パラメータV2は30度である。更に、ハウジング180の底部183の外表面184は車両レーダー装置100が配置された車両40の右側48Rに平行するので、第4の実施例におけるパラメータV1がB1の数と同じであり、パラメータV2がB2の数と同じである。
【0076】
図1Bから分かるように、車両レーダー装置100は、ハウジング180を更に含み、第1のアンテナユニット111、第2のアンテナユニット112、演算ユニット107及び回路基板161、162がすべてハウジング180内に配置される。ハウジング180は底部183を含み、底部183の外表面184が車両レーダー装置100の配置された車両40の右側48Rに平行する。車両レーダー装置100の厚さは底部183の外表面184からのHTであり、15mm<HT<50mmという条件を満たす。これによって、関連規制に準拠するように、車両レーダーシステム4800における装置を車両40の外表面に取り付ける場合過度に突出しないように配置され、且つ十分な検出角度及び範囲を有することに役に立つ。第4の実施例において、パラメータHTは約29.9mmである。
【0077】
図4A及び
図4Bから分かるように、車両40の長さは10m以上且つ18m以下であってもよく、車両レーダー装置100の数は1つであり、且つ車両レーダー装置100は車両40の右側48Rに配置される。これによって、車両40が左走行環境のバス、特に公共交通機関のバスである場合、規制要件に準拠し、且つ車両40の内輪差検出、BSD及びLCA機能を達成する。第4の実施例において、車両40はバスであり、且つその長さは15mである。
【0078】
車両レーダーシステム4800はサイドレーダー装置4810を更に含んでもよく、車両の左側48Lに配置され、サイドレーダー装置4810及び車両レーダー装置100の中の一方は他方によって車両40の車両コントロールユニット41に通信接続される。これによって、車両レーダーシステム4800と車両40における車両コントロールユニット41等のユニットとの通信効率を高めることに役に立つ。
【0079】
具体的に、車両レーダーシステム4800は3つのサイドレーダー装置を備え、サイドレーダー装置4810、4820及び4830であり且つ動作周波数のいずれも約79GHzであり、サイドレーダー装置4810及び4820が車両40の左側48Lに配置され、サイドレーダー装置4830が車両40の右側48Rに配置される。本発明による車両レーダーシステム4800は、含まれた車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830を介して車両40の内輪差検出、RCTA(Rear Cross Traffic Alert、リアルクロストラフィックアラート)、BSD及びLCA機能を達成できる。更に言えば、車両レーダー装置100における第2のアンテナユニット112及びその関連素子は、車両40の内輪差検出機能のために使用されるように、車両40の前半分の右方の検出情報を提供できる。サイドレーダー装置4820及び4830は、車両40のRCTA機能のために使用されるように、それぞれ車両40の左後方及び右後方の検出情報を提供できる。車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830は、車両40のBSD及びLCA機能のために使用されるように、車両40の左方、右方、左後方及び右後方の検出情報を提供できる。更に、車両レーダーシステム4800及びその車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830の使用は、この段落で説明されている機能に制限されないことを理解できる。
【0080】
図4C~
図4Eを参照されたく、
図4Cは第4の実施例におけるサイドレーダー装置4810の模式図であり、
図4Dは、
図4Cの断面線4D-4Dに沿う断面図であり、
図4Eは、
図4Cにおけるサイドレーダー装置4810の分解図である。
図4A、
図4C~
図4Eから分かるように、サイドレーダー装置4810は回路基板4816を含み、且つアンテナユニット及び演算ユニット(図示せず、且つアンテナユニットは回路基板の形態であってもそうでなくてもよい)はいずれも回路基板4816に配置され、アンテナユニット、演算ユニット及び回路基板4816はいずれもハウジング4817内に配置される。サイドレーダー装置4810は車両40の左側48Lに配置され、右側48Rの車両レーダー装置100(特にその中の第1のアンテナユニット111及びその関連素子)に対応して配置され、且つサイドレーダー装置4810の回路基板4816とサイドレーダー装置4810が配置された車両40の左側48Lとの夾角W1は30度である。なお、ハウジング4817は底部4818を含み、底部4818の外表面4819がサイドレーダー装置4810の配置された車両40の左側48Lに平行するので、回路基板4816と底部4818の外表面4819との夾角は30度(
図4Dではそのパラメータ符号を省略する)でもある。
【0081】
図4F~
図4Hを参照されたく、
図4Fは、第4の実施例におけるサイドレーダー装置4810aの模式図であり、
図4Gは、
図4Fの断面線4G-4Gに沿う断面図であり、
図4Hは、
図4Fにおけるサイドレーダー装置4810aの分解図である。本発明による第4の実施例において、車両レーダーシステム4800におけるサイドレーダー装置4810をサイドレーダー装置4810aで取り替えることができる。
図4A、
図4F~
図4Hから分かるように、サイドレーダー装置4810aは回路基板4816aを含み、且つアンテナユニット及び演算ユニット(図示せず且つアンテナユニットは回路基板の形態であってもよくそうでなくてもよい)がいずれも回路基板4816aに配置され、アンテナユニット、演算ユニット及び回路基板4816aはいずれもハウジング4817a内に配置される。サイドレーダー装置4810aは車両40の左側48Lに配置され、右側48Rの車両レーダー装置100(特にその中の第1のアンテナユニット111及びその関連素子)に対応して配置され、且つサイドレーダー装置4810aの回路基板4816aとサイドレーダー装置4810aが配置された車両40の左側48Lとの夾角W1は30度である。なお、ハウジング4817aは底部4818aを含み、底部4818aの外表面4819aがサイドレーダー装置4810aの配置された車両40の左側48Lに平行するので、回路基板4816aと底部4818aの外表面4819aとの夾角は30度でもある。
【0082】
図4Aから分かるように、車両レーダー装置100における第2の板部172と右側48Rとの夾角V2は30度であり、これによって、車両40の内輪差検出、BSD及びLCA機能のために使用されるように、車両40の前半分の右方の検出情報を提供する。車両レーダー装置100における第1の板部171と右側48Rとの夾角V1は30度であり、これによって、車両40のBSD及びLCA機能のために使用されるように、車両40の後半分の右方の検出情報を提供する。サイドレーダー装置4810の回路基板4816と左側48Lとの夾角W1は30度であり、これによって、車両40のBSD及びLCA機能のために使用されるように、車両40の後半分の左方の検出情報を提供する。サイドレーダー装置4820の回路基板4826と左側48Lとの夾角W2は40度であり、これによって、車両40のRCTA、BSD及びLCA機能のために使用されるように、車両40の左後方の検出情報を提供する。サイドレーダー装置4830の回路基板4836と右側48Rとの夾角W3は40度であり、これによって、車両40のRCTA、BSD及びLCA機能のために使用されるように、車両40の右後方の検出情報を提供する。なお、サイドレーダー装置4810、4820及び4830のアンテナユニットは回路基板の形態であってもそうでなくてもよく、且つサイドレーダー装置4820及び4830の具体的な構造はサイドレーダー装置4810又は4810aに類似してよく、ただ夾角W2及びW3はすべて40度である。
【0083】
図4A及び
図4Bから分かるように、車両40が車外の物体を検出する機能について、車両40は車両レーダーシステム4800、前側レーダー装置4710、及び後側レーダー装置4910を備える。前側レーダー装置4710は、動作周波数が約77GHzで且つ車両40の前側47に配置されて、車両40のFCW(Front Collision Warning、フロント衝突警報)及びLDW(Lane Departure Warning、車線逸脱警報)機能のために使用されるように、車両40の前側の検出情報を提供できる。後側レーダー装置4910は、動作周波数が約77GHzで且つ車両40の後側49に配置されて、車両40のRCW(Rear Collision Warning、後方衝突警報)機能のために使用されるように、車両40後側の検出情報を提供できる。車両40は車両コントロールユニット41、警報ユニット42、車載診断ユニット43、撮影ユニット44及び表示ユニット45も備え、且つ車両コントロールユニット41がコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)46によってその他のユニットに通信接続される。
【0084】
第4の実施例の車両レーダーシステム4800において、車両レーダー装置100とサイドレーダー装置4810はプライベートコントローラエリアネットワーク(Private CAN)46pによって通信接続され、サイドレーダー装置4820及び4830はプライベートコントローラエリアネットワーク46pによって通信接続される。これによって、情報を互いに伝達するように、プライベートコントローラエリアネットワーク46pを使用して特定のレーダー装置の間にセカンダリネットワークを形成し、また車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830の検出情報を車両40のその他のユニットに伝達するように、車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830の中から固定された1つ又はアルゴリズムによって決定された1つを車両レーダーシステム4800におけるマスタレーダー装置(Master Radar Device)として使用し、情報伝送を制御及び検出する時にコントローラエリアネットワーク46を過度に占用するので情報の輻輳によるデータの欠落を引き起こすことを効果的に低下できるため、車両レーダーシステム4800の信頼性を高めることに役に立つ。本発明による他の実施例において(図示せず)、車両レーダーシステムは、前側レーダー装置、後側レーダー装置、又は車両のその他の位置に配置されるレーダー装置を含んでもよく、且つレーダー装置の数、検出方向及び機能、通信接続方式が本発明の実施例に開示したものに制限されない。
【0085】
車両レーダーシステム4800の内輪差検出モード、RCTAモード、BSDモード及びLCAモードの中の1つのモードは、車両40のコントローラエリアネットワーク46におけるウィンカー信号、ステアリングホイールによって生成された舵角信号、車速信号、点火信号、後進信号、及びヨーレート(Yaw Rate)信号の中の少なくとも1つによってアクティブ化されることができる。
【0086】
車両レーダーシステム4800の内輪差検出モードは、車両40のウィンカー信号、舵角信号及びヨーレート信号の中の少なくとも1つによってトリガー又はアクティブ化(Activate)されることができる。更に、車両レーダーシステム4800は、内輪差検出モードにある場合、ウィンカー信号、舵角信号、及びヨーレート信号の中の少なくとも1つによって車両40の旋回情報を算出でき、旋回情報に基づき車両40の警報条件を適応的に調整し、警報条件が警告エリア範囲、物体移動速度等を含み、且つこれらに制限されない。これによって、車両40は様々な旋回状況で車両レーダーシステム4800の内輪差検出モードをアクティブ化し、且つ異なる旋回角度に従って適応的な警報範囲を増加又は減少することに役に立つ。具体的に、車両40が都市を走行して且つ車速が0km/h~40km/hであると設定又は認識される場合、車両レーダーシステム4800の内輪差検出モードは車両40のウィンカー信号、舵角信号及びヨーレート信号の中の少なくとも1つによってアクティブ化されて、車両40の運転者が意図的又は意図せずに旋回することを示し、意図的に旋回すると判定すると、レーダーの舵角情報によって警告エリアを調整でき、不必要な警告又は誤報を避ける。車両レーダーシステム4800における第2のアンテナユニット112及び関連素子の検出結果が警報条件を満たす場合、例えば検出範囲内で高さが30cm以上の移動物体又は靜止物体があると、車両40の警報ユニット42をアクティブ化して警報信号を生成して、車両40の運転者に注意させ、警報ユニット42は、スピーカー、ブザー、サイレン、モニター、ライトインジケーター、アイコン(Icon)インジケーター等であってよく、音、光等の方式によって運転者に注意させるが、これらに制限されない。なお、車両レーダーシステム4800の内輪差検出モードがアクティブ化される場合、BSDモード及びLCAモードが同時にアクティブ化されてもよく又は内輪差検出モードのみがアクティブ化されてもよく、且つ内輪差検出モードの警報信号はBSDモード及びLCAモードの警報信号より優先される。
【0087】
車両レーダーシステム4800におけるサイドレーダー装置4820及び4830を車両40に使用するRCTA機能について、車両レーダーシステム4800が後進信号を受信して且つ車速信号が8km/h以下であると、RCTAモードをトリガー又はアクティブ化することができ、サイドレーダー装置4820及び4830の中の少なくとも1つは速度が8km/h~30km/hである車両又はその他の物体が警告ゾーン(Alert Zone)に入ると検出する場合、警報ユニット42をアクティブ化して警報信号を生成し、警告ゾーンは車両40の左後方警告ゾーン及び右後方警告ゾーンであり、具体的に、左後方警告ゾーンは左側48Lの左方に0.5m~10mの位置と後側49の後方に0m~5mの位置が交差する正方形の領域であってよく、右後方の警告ゾーンは、右側48Rの右に0.5m~10mの位置と後側49の後方に0m~5mの位置が交差する正方形の領域であってよい。更に、車両レーダーシステム4800は後進信号を受信して且つ車速信号が8km/hより大きく、又は手動でRCTAモードを閉じる時、RCTAモードがアクティブ化されなく又はアクティブ化を止める。
【0088】
車両レーダーシステム4800における車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830を車両40に使用するBSD及びLCA機能について、車両レーダーシステム4800は車速信号が20km/h以上であることを受信すると、BSDモード及びLCAモードをトリガー又はアクティブ化でき、車両レーダー装置100、サイドレーダー装置4810、4820及び4830の中の少なくとも1つは車両40との相対速度が30km/hより小さい車両又はその他の物体を検出すると、車両40の後方から追い越して検出ゾーン(Detection Zone)に入る時にBSDモードとなり、車両40の左後方又は右後方から検出ゾーンに入る時にLCAモードとなり、検出ゾーンは具体的に左側48Lの左に0.5m~3.25mの位置を幅として、且つ車体の長さが車両40の後方に30m延びる位置を長さとする正方形の領域、及び右側48Rの右に0.5m~3.25mの位置を幅として、且つ車体の長さが車両40の後方に30m延びる位置を長さとする正方形の領域である。車両レーダーシステム4800は車両40のウィンカー信号を受信しない場合、警報ユニット42をアクティブ化して第1段階の警報信号を生成し、車両レーダーシステム4800は車両40のウィンカー信号を同時に受信する場合、警報ユニット42をアクティブ化して第2階段の警報信号を生成する。更に、車両レーダーシステム4800は車速信号が20km/hより小さいことを受信する時に、BSDモード及びLCAモードがアクティブ化されなく又はアクティブ化を止める。
【0089】
なお、前側レーダー装置4710を車両40に使用するFCW及びLDW機能について、前側レーダー装置4710が車両40と前側車両との間が安全な距離であると検出した場合、警報ユニット42におけるアイコンインジケーターは、緑色で車両40が安全な状態にあることを示すことができる。前側レーダー装置4710が車両40と前側車両との間の距離が近すぎると検出した場合、警報ユニット42におけるアイコンインジケーターは、黄色で車両40が注意状態にあることを示すことができる。前側レーダー装置4710が車両40と前側車両との間に衝突リスクがあると検出した場合、警報ユニット42におけるアイコンインジケーターは、赤色点滅で車両40が危険状態にあることを示すことができ、且つ警報ユニット42におけるブザーが警報音を出す。更に、撮影ユニット44によって車線を認識することができ、前側レーダー装置4710は車両40が車線から逸脱したことを検出した場合、警報ユニット42によって運転者に運転の安全又は休憩のことを注意させる。
【0090】
後側レーダー装置4910を車両40に使用するRCW機能について、後側レーダー装置4910が車両40と後方車両との間が安全な距離であると検出した場合、警報ユニット42におけるアイコンインジケーターは、緑色で車両40が安全な状態にあることを示すことができる。後側レーダー装置4910が車両40と後方車両との間の距離が近すぎると検出した時、警報ユニット42におけるアイコンインジケーターは、黄色点滅で車両40が注意状態にあることを示すことができる。後側レーダー装置4910が車両40と後方車両との間に衝突リスクがあると検出した場合、警報ユニット42におけるアイコンインジケーターは、赤色点滅で車両40が危険状態にあることを示すことができ、且つ警報ユニット42におけるブザー及びサイレンがいずれも警報音を出す。
【0091】
図5を参照されたく、本発明の第5の実施例による車両レーダーシステム5800が車両50に配置される模式図(実際の縮尺で描かれていない)である。
図5から分かるように、車両レーダーシステム5800は車両50に配置され、1つの車両レーダー装置200a及び1つの車両レーダー装置200bを備え、車両レーダー装置200a及び200bがそれぞれ車両50の左側58L及び右側58Rに配置され、且つ車両レーダー装置200a及び200bの各々が、パラメータB1が40度であり且つパラメータB2が30度である以外(パラメータB1の位置がパラメータB2よりも車両の後側59に近い)、車両レーダー装置200a及び200bの各々のその他の特徴は第2の実施例に記載の車両レーダー装置200の特徴と同様であってもよい。更に、車両50の車体は、前側57、左側58L、右側58R及び後側59を含み、且つ
図5に示すように、前側57、左側58L、右側58R及び後側59が本質的に正方形を形成する。
【0092】
第5の実施例において、車両レーダー装置200aは第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、演算ユニット及び回路基板を備える。第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットは演算ユニットに通信接続される。回路基板は第1の板部271a及び第2の板部272aを含み、第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第1の板部271aに配置され、第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第2の板部272aに配置され、演算ユニットは第1の板部271a及び第2の板部272aの中の1つに配置される。車両レーダー装置200bは第1のアンテナユニット、第2のアンテナユニット、演算ユニット及び回路基板を含む。第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットは演算ユニットに通信接続される。回路基板は第1の板部271b及び第2の板部272bを含み、第1のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第1の板部271bに配置され、第2のアンテナユニットは回路基板の形態であり且つ第2の板部272bに配置され、演算ユニットは第1の板部271b及び第2の板部272bの中の1つに配置される。第5の実施例において、車両レーダー装置200a及び200bの各々のパラメータP12はいずれも110度である。
【0093】
図5から分かるように、第1の板部271aと車両レーダー装置200aが配置された車両50の左側58Lとの夾角はV1aであり、第2の板部272aと車両レーダー装置200aが配置された車両50の左側58Lとの夾角はV2aであり、第1の板部271bと車両レーダー装置200bが配置された車両50の右側58Rとの夾角はV1bであり、第2の板部272bと車両レーダー装置200bが配置された車両50の右側58Rとの夾角はV2bである。なお、パラメータV1a及びV1bは、本発明の請求項の範囲及び明細書に記載のパラメータV1の定義と一致し、パラメータV2a及びV2bは、本発明の請求項の範囲及び明細書に記載のパラメータV2の定義と一致する。第5の実施例において、パラメータV1aは40度であり、パラメータV2aは30度であり、パラメータV1bは40度であり、パラメータV2bは30度である。更に、車両レーダー装置200a及び200bの各々のパラメータHTはいずれも約28.9mmである。
【0094】
第5の実施例において、車両レーダー装置200a及び200bの各々の第1のアンテナユニットは十分な水平ビーム幅(例えば第2の実施例におけるパラメータAH1)及び十分な垂直ビーム幅(例えば第2の実施例におけるパラメータAV1)を有し、第2のアンテナユニットは十分な水平ビーム幅(例えば第2の実施例におけるパラメータAH2)及び十分な垂直ビーム幅(例えば第2の実施例におけるパラメータAV2)を有し、車両レーダーシステム5800が水平平面及び垂直平面の検出範囲を同時に向上させることに役に立つ。
【0095】
車両50の長さは4m以上且つ8m以下であり、車両レーダーシステム5800における車両レーダー装置の数は2つであり(即ち車両レーダー装置200a及び200b)、車両レーダー装置200aは車両50の左側58Lに配置されて且つ車両50の後側59に近接し(即ち車両50の左後隅に近接又は位置する)、車両レーダー装置200bは車両50の右側58Rに配置されて且つ車両50の後側59に近接する(即ち車両50の右後隅に近接又は位置する)。これによって、車両50がトラック、特にトラック内の物流車両として使用される場合、車両50の内輪差検出、RCTA、BSD及びDOW(Door Open Warning、ドアオープン警告)の機能を達成できる。第5の実施例において、車両50は物流車両であり、且つその長さが6mである。
【0096】
車両レーダー装置200a及び200bの中の一方は他方によって車両50の車両コントロールユニット(図示せず)に通信接続される。これによって、車両レーダーシステム5800と車両50における車両コントロールユニット等のユニットとの通信効率を高めることに役に立つ。具体的に、車両レーダー装置200a及び200bはプライベートコントローラエリアネットワークによって通信接続され、また車両レーダー装置200a及び200bの中から固定された1つ又はアルゴリズムによって決定された1つを車両レーダーシステム5800におけるマスタレーダー装置として、車両レーダー装置200a及び200bの検出情報を車両のその他のユニットに伝送するようにする。
【0097】
具体的に、車両レーダー装置200a及び200bの動作周波数のいずれも約79GHzであり、本発明による車両レーダーシステム5800は含まれた車両レーダー装置200a及び200bによって車両50の内輪差検出、RCTA、BSD及びDOW機能を達成できる。更に言えば、車両レーダー装置200aにおける第2の板部272a(左側58Lとの夾角V2aが30度である)上の第2のアンテナユニット及びその関連素子は、車両50の前半分の左方の検出情報を提供でき、車両レーダー装置200bにおける第2の板部272b(右側58Rとの夾角V2bが30度である)上の第2のアンテナユニット及びその関連素子は、車両50の前半分の右方の検出情報を提供できて、車両50の内輪差検出機能のために使用される。車両レーダー装置200aにおける第1の板部271a(左側58Lとの夾角V1aが40度である)上の第1のアンテナユニット及びその関連素子は、車両50の左後方及び後方の検出情報を提供でき、車両レーダー装置200bにおける第1の板部271b(右側58Rとの夾角V1bが40度である)上の第1のアンテナユニット及びその関連素子は車両50の右後方及び後方の検出情報を提供できて、車両50のRCTA及びDOW機能のために使用される。車両レーダー装置200a及び200bは車両50の左方、右方、左後方、右後方及び後方の検出情報を提供できて、車両50のBSD機能のために使用される。更に、車両レーダーシステム5800及びその車両レーダー装置200a及び200bの使用は、この段落に説明されている機能に制限されないことを理解できる。
【0098】
図5から分かるように、車両50が車外の物体を検出する機能について、車両50は車両レーダーシステム5800及び前側レーダー装置5710を備える。前側レーダー装置5710は、動作周波数が約77GHzであり、且つ車両50の前側57に配置され、車両50の前方の検出情報を提供できて、車両50のFCW及びLDW機能のために使用される。
【0099】
車両レーダーシステム5800及び前側レーダー装置5710を車両50に使用する内輪差検出、RCTA、BSD、FCW及びLDW機能について、第4の実施例に記載の内容と同様であってもよく、又は使用必要に応じて調整してもよいため、第5の実施例において詳細に説明しない。
【0100】
本発明の実施形態を前述の通りに開示したが、これは、本発明を限定するものではなく、当業者なら誰でも、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えることができ、したがって、本発明の保護範囲は、後に付いた特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0101】
車両:40、50
前側:47、57
左側:48L、58L
右側:48R、58R
後側:49、59
車両コントロールユニット:41
警報ユニット:42
車載診断ユニット:43
撮影ユニット:44
表示ユニット:45
コントローラエリアネットワーク:46
プライベートコントローラエリアネットワーク:46p
前側レーダー装置:4710、5710
後側レーダー装置:4910
車両レーダーシステム:4800、5800
サイドレーダー装置:4810、4810a、4820、4830
回路基板:4816、4816a、4826、4836
ハウジング:4817、4817a
底部:4818、4818a
外表面:4819、4819a
車両レーダー装置:100、200、200a、200b、300
第1のアンテナユニット:111、211
第1の送信アンテナ:121、221、231
第1の受信アンテナ:141、241、251
第2のアンテナユニット:112、212
第2の送信アンテナ:122、222、232
第2の受信アンテナ:142、242、252
直列給電パッチアレイ:123、124、143、144、223、224、243、244
金属パッド:125、126、145、146、225、226、245、246
演算ユニット:107、207
回路基板:161、162、261
第1の板部:171、271、271a、271b
第2の板部:172、272、272a、272b
ハウジング:180、280、380
底部:183、283、383
外表面:184、284
カバー:181、182、281、282、381、382
地面投影ライト:391、392
P12:第1の板部と第2の板部との夾角
B1:第1の板部と底部の外表面との夾角
B2:第2の板部と底部の外表面との夾角
HT:車両レーダー装置の厚さ
S1:第1の板部と2つのカバーの中の1つとの距離
S2:第2の板部と2つのカバーの中の1つとの距離
HL1:平面上の第1のアンテナユニットの主ローブ
HL2:平面上の第2のアンテナユニットの主ローブ
C1:平面上の第1のアンテナユニットの主ローブの中心線
C2:平面上の第2のアンテナユニットの主ローブの中心線
A12:平面上の第1のアンテナユニットの主ローブの中心線と前記平面の第2のアンテナユニットの主ローブの中心線との夾角
m1、m2:ハーフパワーマークポイント
AH1:平面上の第1のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅
VL1:他の平面上の第1のアンテナユニットの主ローブ
AV1:他の平面上の第1のアンテナユニットの主ローブのハーフパワーのビーム幅
V1、V1a、V1b:第1の板部と車両レーダー装置が配置された車両の一側との夾角
V2、V2a、V2b:第2の板部と車両レーダー装置が配置された車両の一側との夾角
W1、W2、W3:サイドレーダー装置の回路基板とサイドレーダー装置が配置された車両の一側との夾角