(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】二酸化チタンを含まない製剤用コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/38 20060101AFI20230428BHJP
A61K 9/36 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230428BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230428BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230428BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230428BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230428BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20230428BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K9/36
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/44
A23L5/00 F
(21)【出願番号】P 2020503877
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 FR2018051756
(87)【国際公開番号】W WO2019020892
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-28
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ステファニ・デスパックス
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・ファゲ
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/018056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その重量の100%当たり:
- メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、PVA(ポリビニルアルコール)、PVA/PEG(ポリエチレングリコール)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グァーガム、カラギーナン、キサンタンガム、イヌリン、キトサン、メタクリル酸/酢酸エチルコポリマー、又はポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG)コポリマーから選択される少なくとも1種のフィルム形成ポリマー10重量%~90重量%;
- 希釈剤、界面活性剤、可塑剤、又は消泡剤から選択される少なくとも1種の補助コーティング剤0重量%~50重量%;並びに
- 少なくとも1種のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩と、セルロース、セルロース粉末、微結晶セルロース、又はこれらの成分の混合物から選択される少なくとも1種のセルロース化合物とを含有
し、前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩が、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムである、二酸化チタンを含まない白色化充填剤10重量%~50重量%;
を含有
し、
前記白色化充填剤が、その重量の100%について、30重量%~70重量%の前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩と、30重量%~70重量%の前記セルロース化合物とから構成される、製剤用コーティング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の補助コーティング剤が、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、キシロース、キシリトール、イソマルト、タルク、又は天然デンプンなどの希釈剤;ソルビタンエステル、エトキシ化ソルビタンエステル、水素化及びエトキシ化ヒマシ油、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシ化脂肪族アルコール、又はエトキシ化脂肪酸などの界面活性剤;グリセロール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール
、ステアリ
ン酸、又はアセチル化モノグリセリドなどの可塑剤;又
は消泡
剤;から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の
製剤用コーティング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のフィルム形成ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
製剤用コーティング組成物。
【請求項4】
前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩がステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のセルロース化合物の粒子の少なくとも90体積%が60マイクロメートル以下の直径を有することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物。
【請求項6】
水性分散液、粉末、又はすぐに使用可能な顆粒の形態で提供されることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物。
【請求項7】
乾燥粉末形態で提供される請求項1~
6のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物の調製方法であって、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の1種以上の他のコーティング助剤とを混合する段階(a)、
- 段階(a)で得られた混合物を粉砕して前記
製剤用コーティング組成物を形成する任意選択的な段階(b)、
を含む、
製剤用コーティング組成物の調製方法。
【請求項8】
すぐに使用可能な顆粒の形態で提供される請求項1~
6のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物の調製方法であって、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の1種以上の他のコーティング助剤との混合物をバインダー溶液で濡らすことで、30%~60%の水を含む湿塊を得る段階(a1)、
- 段階(a1)で得られた前記湿塊を乾燥させる段階(b1)、
を含み、必要な場合又は望まれる場合には、
- 段階(b1)で得られた前記乾燥塊を等級分けして前記
製剤用コーティング組成物を得る段階(c1)、
も含む、
製剤用コーティング組成物の調製方法。
【請求項9】
水性分散液の形態で提供される請求項1~
6のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物の調製方法であって、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の1種以上の他のコーティング助剤とを水相に分散させる段階(a2)、
- 段階(a
2)で得られた混合物を
撹拌して前記
製剤用コーティング組成物を形成する段階(b2)、
を含む、
製剤用コーティング組成物の調製方法。
【請求項10】
摂取可能な固体形態をコーティングするための、請求項1~
6のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物の使用。
【請求項11】
ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムと、セルロース、セルロース粉末、微結晶セルロース、又はこれらの成分の混合物から選択される少なくとも1種のセルロース化合物とを含有する二酸化チタンを含まない白色化充填剤の、請求項1~
6のいずれか1項に記載の
製剤用コーティング組成物の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、少なくとも1種のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩とセルロース化合物(好ましくはセルロース)とを含有する組成物;摂取可能な固体形態のコーティングを目的とした、より具体的には製薬産業、栄養補助食品及び/又は食品及び獣医学分野の製剤(硬ゼラチンカプセル、錠剤、ペレットなど)における乾燥形態の着色を目的としたフィルム形成組成物に「白色化」特性を付与するためのこの組成物の使用である。
【0002】
本発明は、前記コーティング組成物を使用するコーティング方法、及び前記コーティング組成物の使用を含むコーティング方法の実施により得られる着色コーティングされた製品にも関する。
【0003】
これらの組成物は、二酸化チタンに特徴的な特性である乾燥形態の被覆及び白色着色の特性を保持していながらも、これらの産業分野で非常に広く使用されている化合物である二酸化チタンを含まない。
【背景技術】
【0004】
ヒト又は動物用医薬品、及び栄養補助食品の産業で使用される乾燥形態は、一般的に、錠剤、硬ゼラチンカプセル、糖衣錠、顆粒の形態で提供され、これらは、少なくとも1種の有効成分及び/又は少なくとも1種の栄養成分及び少なくとも1種の賦形剤を含有する固体粒子の凝集により製造される。これらの乾燥形態は、例えば、圧縮、ペレット化、造粒、圧縮、又は押出技術などの当業者に公知の多くの技術の実施によって調製することができる。
【0005】
これらの乾燥形態を、例えば光放射若しくは大気湿度による、或いはそれらの包装中の摩耗から、或いは微粉の形成から、これらの中に含まれる有効成分が劣化することなどの外的条件により生じる劣化から保護するために、及び/又は特定の色若しくは改善された光沢を付与することにより前記乾燥形態の外観を改善するために、前記乾燥形態は、コーティング剤として機能する化学組成物のフィルムで被覆される。
【0006】
コーティング組成物は、当業者に周知であり、通常、少なくとも1種のフィルム形成剤と、例えば酸化鉄などの無機物由来の顔料又は染料からなる着色系とからなる。
【0007】
二酸化チタン(TiO2)は、その紫外線吸収特性と白色染料としての性能品質のため、多くの用途(食品添加物-欧州識別記号E171、化粧品、顔料)で使用されている。
【0008】
この添加剤の使用について公開された最近の文書の中でも、2017年1月20日に公開されたフランス国立農業研究所(INRA-仏国)が実施した研究は、「ラットが二酸化チタン(E171添加剤、部分的にナノメートルサイズ)に経口で慢性的に曝されると前癌性大腸病変が生じる可能性がある」ことを示している。この調査の結果は、ヒトへのTiO2の有害な影響について結論付けることはできなかったものの、この問題は、INRAによって得られた結果を正確に調査するために、仏国の消費、健康、及び食品に関する省庁によってANSES(仏国食品環境労働衛生安全庁)に委ねられた。
【0009】
ANSESの目的は、追加の調査を行うことを推奨する一方で、この調査が「2016年9月に公開されたE171の再評価に関するEFSA(欧州食品安全局)の結論に疑問を投げかけるものである可能性が高い」か否か、すなわち「食品における二酸化チタン(E171)についての利用可能なデータが消費者の健康への問題を示さない」か否かを決定することであった。
【0010】
2017年4月に発表された意見では、ANSESは、「INRAの発表で示された結果によってはEFSAにより行われたE171の評価をこの段階で疑問視することはできないものの、これにより以前は確認されなかった影響、特に発がんに対する潜在的な促進作用が明らかになる」と述べている。
【0011】
そのため、政府機関自体は「一方では観察された影響について判断を下し、他方ではE171の許容される1日摂取量を確立する」ための追加の調査も求めている。
【0012】
更に、物議を醸しているこの添加剤の使用、特に栄養補助食品における使用について最近登場した様々なプレス記事、及び消費者が主張する懸念、添加剤E171の使用を疑問視する大きな動きが観察されており、そのため、この成分を使用する実業家、具体的には、医薬品及び獣医産業、並びに栄養補助食品及び/又は食品を調製する産業のための乾燥固体形態(硬ゼラチンカプセル、錠剤、ペレットなど)用のコーティング組成物の製造者及び供給業者は、代わりの代替解決手段を探している。
【0013】
乾燥固体形態は、製剤の中に粉末形態の着色剤を直接配合することにより着色することができる。しかし、最も一般的な手法は、依然として乾燥固体形態のフィルムコーティングである。
【0014】
フィルムコーティングプロセスは、固体支持体表面に少なくとも1種のフィルム形成ポリマーと少なくとも1種の着色剤とを含有する組成物の微細な層を堆積させることからなる。この固体支持体の表面を白色に着色するには、現在まで二酸化チタンを使用することが回避できない要素である。これにより光への曝露後に安定した純粋な白色を得ることができ、また非常に高い被覆力、遮蔽力を示す。
【0015】
特に、糖衣錠を調製することを目的とした用途のための白色化溶液の成分E171を置き換えるために、例えば炭酸カルシウム(E170)、デンプン(アルファ化された米など由来)などの様々な成分を以前に試験することができた;これらの解決策は、非酸性用途での使用に制約があること、二酸化チタンの性能品質を大幅に下回る白色化能力及び被覆能力、並びに経時的な性能品質の不安定性などの一定の制限が現れる可能性があるため、当業者を満足させない。
【0016】
特に、PCE「Polymer Comply Europe」は、2016年に様々な有力な二酸化チタンの代替物である炭酸カルシウム、酸化亜鉛、カオリン、タルクなどがまとめられている「Analysis of Alternatives for Titanium dioxide as Colourant Additive in Plastic Industry」という表題の文書を出版した。代替製品は、白色度、遮蔽力、色の安定性などの様々な基準に関してTiO2に対して評価された。この文書は、特に白色度及び被覆力の点で、代替製品の性能品質が二酸化チタンと比較して低下したことを明確に示している。Yukoh Sakata、Sumihiro Shiraishi、及びMakoto Otsuka[A Novel White Film for Pharmaceutical Coating Formed by Interaction of Calcium Lactate Pentahydrate With Hydroxypropyl Methylcellulose,Y Sakata et al.,Int.J.Pharm.,317(2),120-126,2006 Mar16]は、2006年に別の解決策、すなわち製薬フィルムコーティング製品のための白色化剤としての乳酸カルシウム五水和物の使用を検討した。しかしながら、フィルムが錠剤上で割れないように、フィルムに大量のPEG6000を配合する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そのため、本発明の発明者らは、二酸化チタンを含まないながらも白色化し、不透明化し、且つ光に安定な外観を与える、乾燥形態をコーティングすることを目的とした組成物を開発しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様によれば、本発明の主題は、その重量の100%当たり:
- 10重量%~90重量%、特に20重量%~90重量%、更により具体的には30重量%~90重量%の、セルロースポリマー若しくはセルロースポリマーの誘導体、ビニルアルコール誘導体、ビニルピロリドン誘導体、天然起源のポリマー、アクリル若しくはメタクリル誘導体、グリコール若しくはプロピレングリコール誘導体、又はこれら2種の物質の組み合わせ、又はビニルアルコールとポリエチレングリコール(PEG)とのコポリマーから選択される少なくとも1種のフィルム形成ポリマーの少なくとも1種のフィルム形成ポリマー;
- 0重量%~50重量%の、希釈剤、界面活性剤、可塑剤、又は消泡剤から選択される少なくとも1種の補助コーティング剤;並びに
- 10重量%~50重量%の、少なくとも1種のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩と少なくとも1種のセルロース化合物とを含有する二酸化チタンを含まない白色化充填剤;
を含有するコーティング組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、二酸化チタンを含まないながらも、乾燥形態の表面に堆積させた後に、予想外にも白色で不透明化させる光に安定な着色を得ることを可能にする、フィルムコーティング製品の組成物を記述する。
【0020】
これらの特性は、特に、「白色化充填剤」と呼ばれる場合がある構成成分と、少なくとも1種のフィルム形成ポリマーと、任意選択的な少なくとも1種のフィルムコーティング助剤との特定の組み合わせを選択することにより得ることができる。
【0021】
これらのフィルムコーティング製品は、粉末又は顆粒の混合物の形態で提供される。これらは、製薬産業、栄養補助食品及び/又は食品及び獣医学分野の製剤(硬ゼラチンカプセル、錠剤、ペレットなど)における乾燥形態のコーティングを目的としている。
【0022】
このため、特定の態様によれば、本発明の主題は、前記少なくとも1種のフィルム形成ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、PVA(ポリビニルアルコール)、PVA/PEG(ポリエチレングリコール)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、デンプン、マルトデキストリンで変性されたデンプン、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グァーガム、カラギーナン、キサンタンガム、イヌリン、キトサン、メタクリル酸/酢酸エチルコポリマー、又はポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG)コポリマーから選択されることを特徴とする、上で定義した組成物である。
【0023】
特定の態様によれば、本発明の主題は、前記少なくとも1種のフィルム形成ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、PVA(ポリビニルアルコール)、PVA/PEG(ポリエチレングリコール)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、デンプン、マルトデキストリンで変性されたデンプン、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グァーガム、カラギーナン、キサンタンガム、イヌリン、キトサン、メタクリル酸/酢酸エチルコポリマー、又はポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(PEG/PPG)コポリマーから選択されることを特徴とする、上で定義した組成物である。
【0024】
本発明の主題であるコーティング組成物と組み合わせることができるソルビタンエステルのうち、以下のものを挙げることができる:
- SEPPICからMontane(登録商標)20の商標名で、CrodaからSpan(登録商標)20の商標名で、販売されているソルビタンモノラウレート、
- SEPPICからMontane(登録商標)40の商標名で、及びCrodaからSpan(登録商標)40の商標名で、販売されているソルビタンモノパルミテート、
- SEPPICからMontane(登録商標)60の商標名で、及びCrodaからSpan(登録商標)60の商標名で、販売されているソルビタンモノステアレート、
- SEPPICからMontane(登録商標)80の商標名で、及びCrodaからSpan(登録商標)80の商標名で、販売されているソルビタンモノオレエート、
- SEPPICからMontane(登録商標)85の商標名で、及びCrodaからSpan(登録商標)85の商標名で、販売されているソルビタントリオレエート、
- SEPPICからMontane(登録商標)83の商標名で、CrodaからCrill(登録商標)43の商標名で、販売されているソルビタンセスキオレエート、
- SEPPICからMontane(登録商標)65の商標名で、及びCrodaからSpan(登録商標)65の商標名で、販売されているソルビタントリステアレート、
- SEPPICからMontane(登録商標)70の商標名で、及びCrodaからCrill(登録商標)6の商標名で、販売されているソルビタンモノイソステアレート。
【0025】
本発明の主題であるコーティング組成物と組み合わせることができるエトキシ化ソルビタンエステルの中では、以下のものを挙げることができる:
- SEPPICからMontanox(登録商標)20の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)20の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノラウレート、
- Tween(登録商標)21の商標名で販売されている、4モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノラウレート、
- NikkoからNikkol(登録商標)GL-Iの商標名で販売されている、6モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノラウレート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)40の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)40の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノパルミテート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)60の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)60の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノステアレート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)65の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)65の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタントリステアレート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)80の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)80の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノオレエート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)85の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)85の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタントリオレエート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)70の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)120の商標名で販売されている、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノイソステアレート、
- CrodaからTween(登録商標)61の商標名で販売されている、4モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノステアレート、
- SEPPICからMontanox(登録商標)81の商標名で、及びCrodaからTween(登録商標)81の商標名で販売されている、5モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたソルビタンモノオレエート。
【0026】
本発明の主題であるコーティング組成物と組み合わせることができる界面活性剤としてのエトキシ化脂肪族アルコールの中では、2モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたオレイルアルコール、3モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたオレイルアルコール、5モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたオレイルアルコール、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたオレイルアルコール、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたオレイルアルコール、4モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたラウリルアルコール、7モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたラウリルアルコール、9モルのエチレンでエトキシ化されたラウリルアルコール、23モルのエチレンでエトキシ化されたラウリルアルコール、2モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたセチルアルコール、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたセチルアルコール、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたセチルアルコール、2モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたステアリルアルコール、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたステアリルアルコール、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたステアリルアルコール、又は100モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたステアリルアルコールを挙げることができる。
【0027】
本発明の主題であるコーティング組成物と組み合わせることができる界面活性剤としてのエトキシ化脂肪酸の中では、4~200モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、より具体的には4モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、6モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、7モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、8モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、50モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、100モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸、又は200モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノラウリン酸;4~200モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、より具体的には1モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、2モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、4モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、5モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、6モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、8モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、9モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、50モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、100モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸、又は200モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノオレイン酸;4~200モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、より具体的には1モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、2モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、4モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、5モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、6モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、8モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、9モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、50モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、100モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、200モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、300モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸、又は1000モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたモノステアリン酸を挙げることができる。
【0028】
本発明の主題であるコーティング組成物と組み合わせることができる界面活性剤としての水素化及びエトキシ化ヒマシ油の中では、5モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、7モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、10モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、20モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、25モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、30モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、40モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、45モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、50モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、60モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、80モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油、又は100モルのエチレンオキシドでエトキシ化された水素化ヒマシ油を挙げることができる。
【0029】
本発明の主題である組成物の調製のために使用できる可塑剤の中では、グリセロール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はこれらと脂肪酸若しくは脂肪族アルコールとの縮合誘導体、ステアリン酸及びその誘導体、アセチル化モノグリセリド、クエン酸のエステル(例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、又はアセチルクエン酸トリブチルなど)、トリアセチン、ソルビトール、又はジブチルセケート(seccate)を挙げることができる。
【0030】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、前記少なくとも1種の補助コーティング剤が、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、キシロース、キシリトール、イソマルト、タルク、天然デンプン、又はステアリン酸などの希釈剤;ソルビタンエステル、エトキシ化ソルビタンエステル、水素化及びエトキシ化ヒマシ油、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシ化脂肪族アルコール、又はエトキシ化脂肪酸などの界面活性剤;グリセロール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はこれらの脂肪酸若しくは脂肪族アルコールとの縮合誘導体、ステアリン酸及びその誘導体、又はアセチル化モノグリセリドなどの可塑剤;又は脂肪酸若しくはシリコーン誘導体などの消泡剤;から選択されることを特徴とする、上で定義した組成物である。
【0031】
本発明の主題である組成物と組み合わせることができる希釈剤の中では、水分からの保護に寄与するステアリン酸をより具体的に挙げることができる。
【0032】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、前記少なくとも1種のフィルム形成ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、上で定義した組成物である。
【0033】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、白色化充填剤が、その重量の100%について、20重量%~80重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩と、20重量%~80重量%のセルロース化合物とから構成されることを特徴とする、上で定義した組成物である。
【0034】
好ましくは、白色化充填剤は、その重量の100%について、25重量%~75重量%、より具体的には30重量%~70重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩と、25重量%~75重量%、より具体的には30重量%~70重量%のセルロース化合物とから構成される。
【0035】
本発明の意味の範囲内で、用語「アルカリ金属脂肪酸塩」は、式(I)の化合物:
R1-COO-X+ (I)
を意味すると理解され、式中、
- R1は、任意選択的にヒドロキシル官能基を含んでいてもよく12~22個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族ラジカル、より具体的には12~22個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖脂肪族ラジカル、更に具体的には、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイル、リノレイル、リノレニル、アラキジル、及びベヘニルラジカルからなる群の要素から選択されるラジカルを表し;
- X+は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、及びリチウムカチオンからなる群の要素を表す。
【0036】
本発明の意味の範囲内で、用語「アルカリ土類金属の脂肪酸塩」は、式(II)の化合物:
(R1-COO-)Y2+(R’1-COO-) (II)
を意味すると理解され、式中、
- R1及びR’1は、同じであるか異なり、特には同じであり、任意選択的にヒドロキシル官能基を含み、12~22個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族ラジカル、より具体的には12~22個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖脂肪族ラジカル、更に具体的には、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイル、リノレイル、リノレニル、アラキジル、及びベヘニルラジカルからなる群の要素から選択されるラジカルを表し;
- Y+は、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、ベリリウムカチオン、及びストロンチウムカチオンからなる群の要素を表す。
【0037】
特定の態様によれば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、及びパルミチン酸カリウムからなる群の要素から選択される。
【0038】
より具体的な態様によれば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩は、脂肪酸とアルカリ金属カチオンの一価塩及び/又は脂肪酸とアルカリ土類金属カチオン(カルシウム又はマグネシウムカチオンなど)の二価塩から選択される。
【0039】
特定の態様によれば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、及びパルミチン酸カルシウムからなる群の要素から選択され、更に具体的にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩はステアリン酸マグネシウムである。
【0040】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、脂肪酸とアルカリ金属カチオンの一価塩及び/又は脂肪酸とアルカリ土類金属カチオン若しくは他の金属カチオン(カルシウム又はマグネシウムカチオンなど)の二価塩から選択されることを特徴とする、上で定義したコーティング組成物である。
【0041】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩がステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、上で定義したコーティング組成物である。
【0042】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、前記少なくとも1種のセルロース化合物が、セルロース、セルロース粉末、微結晶セルロース、又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、上で定義したコーティング組成物である。
【0043】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、前記少なくとも1種のセルロース化合物の粒子の少なくとも90体積%が60マイクロメートル以下の直径を有することを特徴とする、上で定義したコーティング組成物である。
【0044】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、水性分散液、粉末、又はすぐに使用可能な顆粒の形態で提供されることを特徴とする、上で定義したコーティング組成物である。
【0045】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の1種以上の他のコーティング助剤とを混合する段階(a)、
- 段階(a)で得られた混合物を粉砕して前記コーティング組成物を形成する任意選択的な段階(b)、
を含む、乾燥粉末形態で提供される上で定義したコーティング組成物の調製方法である。
【0046】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の1種以上の他のコーティング助剤とをバインダー溶液で濡らすことで、30%~60%の水を含む湿塊を得る段階(a1)、
- 段階(a1)で得られ湿塊を乾燥させる段階(b1)、
を含み、必要な場合又は望まれる場合には
- 段階(b1)で得られた乾燥塊を等級分けして前記コーティング組成物を得る段階(c1)、
も含む、すぐに使用可能な顆粒の形態で提供される、上で定義したコーティング組成物の調製方法である。
【0047】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の1種以上の他のコーティング助剤とを水相に分散させる段階(a2)、
- 段階(a1)で得られた混合物を粉砕して前記コーティング組成物を形成する段階(b2)、
を含む、水性分散液の形態で提供される上で定義したコーティング組成物の調製方法である。
【0048】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、摂取可能な固体形態をコーティングするための、上で定義したコーティング組成物の調製方法である。
【0049】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、脂肪酸とアルカリ金属カチオンの一価塩及び/又は脂肪酸とアルカリ土類金属カチオン若しくは他の金属カチオン(カルシウム及びマグネシウムカチオンなど)の二価塩から選択される少なくとも1種のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸塩と、セルロース、セルロース粉末、微結晶セルロース、又はこれらの成分の混合物から選択される少なくとも1種のセルロース化合物とを含有する二酸化チタンを含まない白色化充填剤の、上で定義したコーティング組成物の調製における使用である。
【0050】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の他のコーティング助剤とを含有する混合物を水性媒体などの適切な媒体中に分散させる段階(a3);
- 段階(a3)で得られた分散液を、コーティングされる固体基材上に噴霧する段階(b3);
を含むことを特徴とする、コーティングされた固体形態の調製方法である。
【0051】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態は、経口投与を目的とした医薬品の全ての分類に属する栄養剤及び医薬有効成分を含むことができる。
【0052】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされる摂取可能な固体形態において使用される医薬有効成分の中では、非ステロイド系抗炎症薬及び抗リウマチ薬(ケトプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、フェニルブタゾン、アロプリノールなど)、鎮痛薬(パラセタモール、フェナセチン、アスピリンなど)、鎮咳薬(コデイン、コデチリン、アリメマジンなど)、ステロール(ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プロゲステロン、テストステロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、パラメタゾン、フルオシノロン、ベクロメタゾンなど)、バルビツール酸塩(バルビタール、アロバルビタール、フェノバルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタールなど)、抗菌薬(ペフロキサシン、スパルフロキサシン、及びキノロン、テトラサイクリン、ストレプトグラミン、メトロニダゾールなどの分類の誘導体など)、アレルギーの治療を目的とした医薬品、抗喘息薬、ビタミン(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD群、ビタミンK)、抗痙攣薬及び抗分泌薬(オメプラゾール)、心血管薬及び脳血管拡張薬(キナカイノール、オクスプレノロール、プロパノロール、ニセルゴリンなど)、脳保護薬、肝臓保護薬、胃腸管治療薬、ワクチン、血圧降下薬、及びベータ遮断薬やニトロ誘導体などの心臓保護薬を挙げることができる。
【0053】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される栄養剤の中では、生理活性脂質、水溶性若しくは水分散性の微量元素塩、水溶性若しくは脂溶性ビタミン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、乳タンパク質及び/若しくは乳タンパク質濃縮物、植物若しくは動物の酵素、アミノ酸、ペプチド、糖、風味向上剤、又は風味料などの栄養分野で一般的に使用される有効成分を挙げることができる。
【0054】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される生物活性脂質の中では、植物油から抽出されたもの、より具体的にはシーバックソーン油、トウモロコシ油、又は大豆油の抽出物などのフィトステロール;例えばカンペステロール、スチグマステロール、及びブラシカステロールから構成されるコレスタチンなどの植物油から単離されたフィトステロール複合体;フィトスタノール;藻類、緑色植物、真菌、又は細菌から抽出されたテルペノイドの分類に属するカロテノイド;例えばα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、又はドコサヘキサン酸などのオメガ-3群の多価不飽和脂肪酸;例えばリノール酸、γ-リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸、又はドコサペンタエン酸などのオメガ-6の群の多価不飽和脂肪酸を挙げることができる。
【0055】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される水溶性又は水分散性の微量元素塩の中では、炭酸鉄(II)、塩化鉄(II)四水和物、塩化鉄(III)六水和物、クエン酸鉄(II)六水和物、フマル酸鉄(II)、乳酸鉄(II)四水和物、硫酸鉄(II)一水和物、硫酸鉄(II)七水和物、アミノ酸水和物の鉄キレート、鉄グリシンキレート;ヨウ素酸カルシウム六水和物、無水ヨウ素酸カルシウム;ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム;酢酸コバルト四水和物、塩基性炭酸コバルト一水和物、炭酸コバルト六水和物、硫酸コバルト七水和物、硫酸コバルト一水和物、硝酸コバルト六水和物;酢酸銅(II)一水和物、塩基性炭酸銅一水和物、塩化銅(II)二水和物、メチオン銅、硫酸銅(II)五水和物、アミノ酸水和物の銅(I)キレート、グリシン水和物の銅(I)キレート、メチオニンのヒドロキシ類似体の銅キレート;炭酸マンガン、塩化マンガン四水和物、リン酸水素マンガン三水和物、硫酸マンガン四水和物、硫酸マンガン一水和物、アミノ酸水和物のマンガンキレート、グリシン水和物のマンガンキレート、メチオニンのヒドロキシ類似体のマンガンキレート;モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)により産生されるセレンの有機形態、セレノメチオニン(不活化セレン酵母)、及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(不活化セレン酵母)により産生されるセレノメチオニンを挙げることができる。
【0056】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される無機塩の中では、金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、鉄、銅、コバルト、銀、バリウム、ジルコニウム、及びストロンチウムのカチオンなど)と有機アニオン(例えばグリコール酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、乳酸、マンデル酸、アスコルビン酸、ピルビン酸、フマル酸、グリセロリン酸、レチノイン酸、安息香酸、コウジ酸、リンゴ酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、4-アミノ安息香酸、ケイ皮酸、ベンザルマロン酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸から得られるアニオンからなる群の要素から選択される、カルボキシレート形態の少なくとも1つのカルボン酸官能基を有する食用に適した有機アニオンなど)の塩を挙げることができる。
【0057】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される無機塩の中では、グルコン酸亜鉛、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マンガン、グルコン酸銅、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、カルシウム、グリセロリン酸マグネシウムをより具体的に挙げることができる。
【0058】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される水溶性又は脂溶性のビタミンの中では、ビタミンA、より具体的にはそのレチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、又はβ-カロチンの形態のもの;ビタミンD2、より具体的にはそのエルゴカルシフェロール又は25-ヒドロキシカルシフェロール形態のもの;ビタミンD3、より具体的にはそのコレカルシフェロール形態のもの;ビタミンK、より具体的にはそのフィロキノン(フィトメナジオン)又はメナキノン形態のもの;ビタミンB1、より具体的にはそのチアミン塩酸塩、チアミンモノ硝酸塩、チアミンモノリン酸クロリド、又はチアミンピロリン酸クロリド形態のもの;ビタミンB2、より具体的にはそのリボフラビン又はリボフラビン5’-リン酸ナトリウム形態のもの;ビタミンB6、より具体的にはそのピリドキシン塩酸塩、ピリドキシン5’-リン酸塩、又はピリドキサール5’-リン酸塩形態のもの;ビタミンB12、より具体的にはそのシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、5’-デオキシアデノシルコバラミン、又はメチルコバラミン形態のもの;ビタミンC、より具体的にはそのL-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸カリウム、6-パルミトイル-L-アスコルビン酸のカルシウム塩、又はアスコルビルモノリン酸ナトリウムの形態のもの;パントテン酸、より具体的にはそのD-パントテン酸カルシウム、D-パントテン酸ナトリウム、デクスパンテノール、又はパンテチン形態のもの;ビタミンPP、より具体的にはそのニコチン酸、ナイアシン、ニコチンアミド、又はイノシトールヘキサニコチネート(イノシトールヘキサナイアシネート)形態のもの;ビタミンB9、より具体的にはその葉酸又は葉酸塩の形態、より具体的にはプテロイルモノグルタミン酸、L-メチル葉酸カルシウム、又はグルコサミン塩の形態の(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸の形態のもの;ビタミンH2、B7、又はBW、より具体的にはそのビオチン、コリンの形態のもの、より具体的には塩化コリン、クエン酸二水素コリン、又は重酒石酸コリンの形態のもの;イノシトール;カルニチン、より具体的にはそのL-カルニチン又はL-カルニチンL-酒石酸塩の形態のもの;又はタウリンを挙げることができる。
【0059】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用されるプレバイオティクスの中では、イヌリン、トランスガラクトオリゴ糖、フルクタン、及びマンノオリゴ糖を挙げることができる。
【0060】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用されるプロバイオティクスの中では、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バシラス・セレウスvar.トヨイ(Bacillus cereus var. toyoi)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)の様々な菌株の単独のもの、若しくはこれらのバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)との組み合わせのもの、又はエンテロコッカス・フェシウム(Enteroccocus faecium)の菌株を挙げることができる。
【0061】
これらの微生物株は、通常、例えば炭酸カルシウム、デキストロース、又はソルビトールなどの固体支持体と組み合わされる。
【0062】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用されるタンパク質及び/又はタンパク質濃縮物の中では、凍結乾燥又は霧状化された粉末の形態の初乳、粉末形態の乳清などの牛乳の分解により得られる乳タンパク質、精製されているかIgG、ラクトフェリン、又はラクトペルオキシダーゼが強化されたフラクションの乳清を挙げることができる。
【0063】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される植物又は動物の酵素の中では、プロムターゼ、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、3-フィターゼ、6-フィターゼ、エンド-1,4-β-グルカナーゼ、エンド-1,4-β-キシラナーゼ、又は消化を改善又は促進するその他の酵素を挙げることができる。
【0064】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用されるペプチドの中では、アボカドペプチド、ルピンペプチド、キノアペプチド、マカペプチド、発酵又は未発酵大豆ペプチド、米ペプチド、アカシアマクロスタチア(Acacia macrostachya)種子抽出物中に存在するペプチド、又はトケイソウ種子抽出物中に存在するペプチドを挙げることができる。
【0065】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用されるアミノ酸の中では、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ピロリシン、セレノシステイン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、サルコシン、又はオルニチンを挙げることができる。
【0066】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される糖の中では、水溶性の多糖又は低分子量の糖(オリゴ糖、単糖、又は二糖など、例えばグルコース、ラクトース、又はデキストロース等)を挙げることができる。
【0067】
本発明の主題であるコーティング組成物でコーティングされた摂取可能な固体形態で使用される風味向上剤の中では、例えばグルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸一カリウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸アンモニウム、又はジグルタミン酸マグネシウムなどのグルタミン酸塩;例えばグアニル酸(グアノシン一リン酸)、グアニル酸二ナトリウム、グアニル酸二カリウム、又はグアニル酸カルシウムなどのグアニル酸塩;例えばイノシン酸、イノシン酸二ナトリウム、イノシン酸二カリウム、又はイノシン酸カルシウムなどのイノシン酸塩;又はステビア抽出物やレバウジオシドなどの甘味料を挙げることができる。
【0068】
「組成物は60マイクロメートル以下の直径を有する少なくとも90体積%の粒子を含む」という表現は、本発明との関係において、組成物が球形に匹敵する粒子の粉末であり、その90体積%が60マイクロメートル以下の直径を有することを意味する。これは、後述するように、粒径特性Dv(90)の測定値である。Dv50に関する場合、これは組成物の粒子の少なくとも50体積%が値より小さい直径を有することを意味する。
【0069】
このパラメータは、例えばMS1-Small Volume Sample Dispersion(登録商標)型の分散装置などの分散装置を備え、計算ソフトウェアに接続された、Malvern Mastersize(登録商標)3000レーザー粒径分析計などのレーザー回折分析装置によって決定され、これにより分析される粉末で表された粒子の各サイズの回折像の重ね合わせからなる回折図を得ることができる。
【0070】
こうして収集されたデータの分析で、初期サイズ分布が推定され、理論上の回折図が計算され、次いで、記録された実際のデータと比較される。
【0071】
推定されたデータと実際のデータとの間の差は、その後、最小二乗法を用いて最小化される。ソフトウェアは、その後、基本的な結果として体積分布を計算し、任意のその他の情報は、粒子が球形を有すると仮定してこの結果から推定される。
【0072】
この測定方法は、粉末を構成する粒子が直径3000マイクロメートル~0.1マイクロメートルの球体に匹敵する粉末や乾燥粉末の特性評価に特に適している。このタイプの方法の使用は、10マイクロメートルを超える粒子サイズについて特に優れた結果が示されている[P.Bowen,”Particle Size Distribution Measurement from Millimeters to Nanometers and from Rods to Platelets”;J.Dispersion Science and Technology,23(5),pp.631-662(2002)]。
【0073】
用語「水性分散物」は、水、又は水と水溶性アルコール(例えばエタノールなど)との混合物中で生成する分散液を意味すると理解される。
【0074】
すぐに使用可能な組成物は、以下の複数の利点を示す:
- 1つ及び1つのみの製品の取り扱い、保管、及び制御、
- より優れた色の再現性及び性能品質、
- より容易な分散。
【0075】
上で定義した方法では、段階(a)の実施のために、全ての成分が順次又は同時に添加される。続いて、混合は通常ブレードミキサー、タンブラーミキサー、又は「V」ミキサータイプの粉末ミキサーで行われる。
【0076】
上で定義した方法の段階(b)は、例えば微粉砕された粉末を得るためにナイフミル又はピンミル又はエアジェットミルによって行われるか、低温粉砕装置により通常液体窒素下で行われる。そのような装置により、コーティング組成物の最終的な粒子サイズを最適化することができる。
【0077】
本発明の別の主題は、以下の段階を含む、すぐに使用可能な顆粒の形態で提供される上で定義したコーティング組成物の調製方法である:
【0078】
上で定義した方法は、例えば仏国特許出願公開第2548675号明細書及び同第2660317明細書又はKirk-Othmerの事典(第3版、第17巻、281ページ)に記載されている。
【0079】
用語「顆粒」は、主に、始めのうちは数十個から数千個の個々の粒子であった本質的に同じであっても異なっていてもよい材料の凝集体を意味すると理解される。
【0080】
上で定義した方法の段階(a1)及び(b1)は、特に、ミキサー/造粒機、又は流動床で行われる。
【0081】
上で定義した方法の段階(c1)は、特にオーブン又は流動床で行われる。
【0082】
本発明の別の主題は、以下の段階を含む、水性分散液の形態で提供される上で定義したコーティング組成物の調製方法である。
【0083】
本発明の別の主題は、摂取可能な固体形態をコーティングするための上で定義したコーティング組成物の使用である。
【0084】
「摂取可能な固体形態」という用語は、それらが医薬品、栄養補助食品、化粧品、菓子、又はキャンディーであるか否かに関わらず、その目的が何であれ人又は動物が摂取できる固体形態を意味すると理解される。上で定義したコーティング組成物の使用は、より具体的には錠剤を意図している。
【0085】
本発明の別の主題は、
- フィルム形成ポリマーと、本発明による白色化充填剤と、必要な場合又は望まれる場合の他のコーティング助剤とを含む混合物を水性媒体などの適切な溶媒中に分散させる段階(a3);
- 段階(a3)で得られた分散液をコーティングされる固体基材上に噴霧する段階(b3);
を含む、摂取可能な固体形態のコーティング方法である。
【0086】
上で定義した方法の段階(a3)では、泡の形成を回避しながらも、撹拌機及び解膠タービンミキサー又は「ボート」タイプのブレードによって、様々な成分が分散状態に保たれる。
【0087】
上で定義した方法の段階(a3)において、コーティング組成物は、前記分散液100重量%当たり6重量%~30重量%、より具体的には6重量%~25重量%、より具体的には6重量%~20重量%を占める。
【0088】
-分散液の調製
コーティング組成物は、水中に15重量%で分散される。各組成物について、600gの分散液を調製する:90gの組成物を、25℃の450gの精製水の中に分散させる。分散は、Turbotest V2004型(Rayneriから販売)の実験用撹拌装置及び解膠タービンミキサーを使用して行われる。撹拌の速度は、分散液に空気が取り込まれないように調整される。これにより、泡が形成されないようにすることができる。45分間撹拌した後、分散液の準備が整う。
【0089】
-フィルムの形成
分散液は、Driamから販売されているDriacoater500ブランドの有孔フィルムコーティングタービンミキサーでプラセボ錠剤上に噴霧される。タービンミキサー中へのコアの添加量は3kgである。以下の操作条件に従う:空気流量=3003/h、乾燥用空気の入口温度=55℃~60℃。コアの温度は、フィルム形成操作中に36℃~38℃の間で変化する。理論上3%の乾燥堆積物が錠剤に付着する。
【0090】
上述したプロセスによるコーティング組成物の使用により、コーティングされた医薬品用、動物用、又は栄養補助食品用の錠剤を調製することができる。以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、それを限定するものではない。
【実施例】
【0091】
二酸化チタンを含む組成物の代替物としての、特に白色の不透明な着色の満足できる特性を示す上で定義したフィルムコーティング組成物の適格性は、以下に説明する分析を実施することによって証明される。
【0092】
錠剤は、評価されるフィルムコーティング組成物を用いてフィルムコーティングされる。
【0093】
フィルムコーティングされた錠剤は、以下の2つの方法の組み合わせに従って調べられる:
【0094】
1.視覚的方法
錠剤上のフィルムコーティングの視覚的品質は、日光への暴露の標準化された条件下で、又はKonica Minolta Just Normlichtライトキャビンによって評価され、少なくとも二人の評価者が必要とされる。調査した3つのパラメータは以下の通りである:
・錠剤の表面フィルムの平滑性は、1から4までグレード分けされる(1:滑らかである-2:隆起している-3:ざらざらしている-4:非常にざらざらしている)。最も優れた結果は、滑らかな表面フィルムを得ることであり、グレード1のみが満足であるとみなされる。
・錠剤表面の被覆は、1から3までグレード分けされる。最も優れた結果は3のグレードによって示され、グレード2と3のみが満足であるとみなされる。
・端部の被覆も、1から4までグレード分けされる。最も優れた結果は4のグレードによって示され、グレード3と4のみが満足であるとみなされる。
【0095】
2.比色法、色彩色差計
1976年にCIEによって定義された、CIELAB空間とも呼ばれるL*a*b*色空間は、現在、様々な活動分野の物体の色を測定するために最も広く使用されているもののうちの1つである。これは、人間の目への可視スペクトル全体を網羅し、均一な方法でそれを表す。そのため、これは全ての可視色を表すことができる。
【0096】
この中では、色は三つの値によって正確に示される:
・L*明度(黒が0であり白が100である)、
・a*及びb*、-120から+120までの範囲の値を有する、それぞれ緑色から赤色までと青色から黄色までの範囲の色度座標。
【0097】
Konica MinoltaCR-400比色計/色彩色差計を使用して、コーティング溶液でフィルムコーティングされた錠剤の色を得る。
【0098】
特に、二つの基準を調査した:
・明度L*、白色の色調であるため、この測定により、錠剤の最終的な色に対するフィルムコーティングの影響を測定することができ、その結果様々な成分の影響を区別することができる。90以上のL*値のみが満足であるとみなされる。
・同様にΔΕの数値計算、これにより、今回のL*、a*、及びb*のパラメータを考慮することで、参照(例えば二酸化チタンに関するここでの参照)と調査する錠剤との間の存在し得る相違を完全に分析することができる。計算式は以下の通りである:
ΔΕ=√[(L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2]
5以下の差ΔΕは、人間の目に見えないとみなされる。言い換えると、5より大きい値のΔΕを示すフィルムコーティングされた錠剤は、考慮される参照とは異なるとみなされる。したがって、フィルムコーティングに使用された処方は不満足であるとみなされる。
【0099】
これらの2つの方法に関して得られた結論を総合して、新規なフィルムコーティング製品が二酸化チタンを含むフィルムコーティングの代替として適切であるための能力が決定される。
【実施例1】
【0100】
フィルムコーティングされた製品は、以下の組成(網羅的ではない)による粉末形態で処方される:
【0101】
【0102】
以下の組成:49.8%の微結晶性セルロース、49.6%のラクトース、及び0.6%のステアリン酸マグネシウム;を有する500mgのプラセボ錠剤を、様々なフィルム形成組成物でフィルムコーティングする。特に様々な試験するフィルム形成組成物の被覆能力をより正確に可視化するために、これらの錠剤のいくつかを、Sepifilm PW Yellow Iフィルムコーティング溶液で予めフィルムコーティングし、コアの表面を黄色/オレンジ色に着色する。
【0103】
フィルムコーティングは、1.2kgの錠剤を入れたProfile Automation有孔タービンミキサーで行う。錠剤上の乾燥堆積物は5%である。
【0104】
二酸化チタンを含む市販の製品Sepifilm PW Whiteでフィルムコーティングされた錠剤を参照とする。
【0105】
フィルムコーティングされた錠剤を、以下の2つの方法の組み合わせに従って調査する:
1.上述した視覚的方法を使用する、
2.上述した比色計/色彩色差計を使用する。
【0106】
以下の結果が得られる:
【0107】
【0108】
【0109】
解釈:
結果として、微結晶セルロース又はセルロース粉末に基づく処方の優れた性能が注目される。タルクも第1の評価方法のスケールでは有利であるものの、比色分析による評価に関しては低下した。
【0110】
セルロース化合物についてのこれらの試験の比色分析は、二酸化チタンの代替としてのこれらの組成物の妥当性を裏付ける。
【実施例2】
【0111】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の脂肪酸化合物とセルロース化合物との間の(定量的な)相乗効果の特異性を確認することが望まれた(本発明による白色化充填剤の2つの成分)。白色化充填剤のために微結晶性セルロースとステアリン酸マグネシウムの組み合わせを含有する様々なフィルム形成組成物を調製した:
【0112】
【0113】
実施例1で使用したものと同一のプラセボ錠剤を使用する。一部はSepifilm PW Yellow Iフィルムコーティング溶液で予めフィルムコーティングし、コアの表面を黄色/オレンジ色に着色する。
【0114】
フィルムコーティングは、Profile Automation有孔タービンミキサーで行う。錠剤上の乾燥堆積物は5%である。
【0115】
フィルムコーティングされた錠剤を、上述した視覚的方法を使用して調査する。
【0116】
以下の結果が得られる:
【0117】
【0118】
解釈:
結果として、処方F5、F9、F11、及びF12に対する処方F6、F7、F8、及びF13の優れた性能が注目される。
【実施例3】
【0119】
白色化充填剤を構成する粉末の粒径分布の特異性を調査することが望まれた。
【0120】
白色化充填剤のために微結晶性セルロースとステアリン酸マグネシウムの組み合わせを含有する2種のフィルム形成組成物を調製した:
【0121】
【0122】
粉末の粒径分布は、1barの圧力で、乾式法で使用するMalvernのMastersizer3000レーザー粒径分析計によって測定する。
【0123】
調査した微結晶セルロースの粒径分布は以下の通りである:
処方I:MCC>d(v,50)=10~20μm、d(v,90)=40~60μm。
処方J:MCC>d(v,50)=100~120μm、d(v,90)=220~250μm。
【0124】
実施例1で使用したものと同一のプラセボ錠剤を使用する。一部はSepifilm PW Yellow Iフィルムコーティング溶液で予めフィルムコーティングし、コアの表面を黄色/オレンジ色に着色する。
【0125】
フィルムコーティングは、Profile Automation有孔タービンミキサーで行う。錠剤上の乾燥堆積物は5%である。
【0126】
上述した視覚的方法のみを使用してフィルムコーティング組成物の品質/適合性を決定することができる。
【0127】
以下の結果が得られる:
【0128】
【0129】
解釈:
結果として、フィルムコーティング組成物の性能に対する白色化充填剤の粒径分布の選択の重要性が注目され、視覚的評価方法によれば、処方Jは直ちに不満足であるとみなされる。