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特許7270636物質の粘度を測定するための回転式粘度計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】物質の粘度を測定するための回転式粘度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/14 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
G01N11/14 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020551573
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 AT2019060048
(87)【国際公開番号】W WO2019183651
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】A50255/2018
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】513304183
【氏名又は名称】アントン パール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Anton Paar GmbH
【住所又は居所原語表記】Anton-Paar-Strasse 20, A-8054 Graz-Strassgang, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(72)【発明者】
【氏名】シュミデッグ ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】クラクスナー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】グリューレンベルガー ルーペルト
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/142333(WO,A1)
【文献】特開2017-003350(JP,A)
【文献】特開昭63-026551(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02301083(DE,A1)
【文献】特許第2777480(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0210774(US,A1)
【文献】米国特許第08171776(US,B2)
【文献】特開2001-353432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の粘度を測定するための回転式粘度計(10)であって、
測定シャフト(1)、及び、駆動部(4)によって駆動される中空シャフト(2)であって、前記測定シャフト(1)は前記中空シャフト(2)内に配置されている、測定シャフト(1)及び中空シャフト(2)と、
前記測定シャフト(1)の一端に配置され、サンプルに衝突させることが可能な測定ボディ(3)と、
性の連結要素(6)であって、前記連結要素(6)を介して、前記中空シャフト(2)が前記測定シャフト(1)に接続されている連結要素(6)と、
前記中空シャフト(2)と前記測定シャフト(1)との間の角度差及び/又は回転位相差を測定動作において測定可能なように、前記測定シャフト(1)に配置されている角度測定ユニット(8)と、を備え、
前記中空シャフト(2)及び前記測定シャフト(1)は、前記測定ボディ(3)とは反対側にある端部がハウジング(5)の中に突入し、前記連結要素(6)は、前記ハウジング(5)内に配置され、
前記ハウジング(5)及び前記連結要素(6)は、前記ハウジング(5)が前記ハウジング(5)内に配置された連結要素(6)と共に、前記回転式粘度計(10)及び/又は前記測定シャフト(1)及び/又は前記中空シャフト(2)から取り外し可能なように、又はこれに装着可能なように、前記測定シャフト(1)に、前記中空シャフト(2)に、及び/又は、粘度計ハウジングに又はその中に接続され
前記ハウジング(5)は、記憶装置及び/又は識別ユニットを備え、前記記憶装置及び/又は識別ユニットに保存された情報を用いて、前記角度測定ユニット(8)及び/又は前記連結要素(6)の調節及び較正データを検索可能であり、又は、前記記憶装置及び/又は識別ユニットから読み出し可能であることを特徴とする、回転式粘度計(10)。
【請求項2】
前記連結要素(6)は、バネ(6)として、又は、ねじれ要素として、構成されており、
前記バネ(6)は、前記測定シャフト(1)と前記ハウジング(5)との間に配置されており、前記ハウジング(5)は、前記中空シャフト(2)に接続されてこれと一緒に回転し、又は、
前記バネ(6)は、前記中空シャフト(2)と前記ハウジング(5)との間に配置されており、前記ハウジング(5)は、前記測定シャフト(1)に接続されてこれと一緒に回転し、
測定動作において、前記測定ボディ(3)をサンプルに衝突させる際には、前記バネ(6)は、前記測定ボディ(3)に対する前記サンプルの粘度による抵抗で生じた反作用トルクにより偏向し、前記中空シャフト(2)と前記測定シャフト(1)との間の角度差及び/又は回転位相差が、前記角度測定ユニット(8)によって測定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項3】
前記角度測定ユニット(8)は、前記ハウジング(5)に一体化され、前記ハウジング(5)と一緒に前記回転式粘度計(10)から取り外し可能に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2項に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項4】
前記角度測定ユニット(8)は、少なくとも1つの誘導センサ、及び/又は、容量センサ、及び/又は、光学センサ、及び/又は、ホールセンサを含み、前記中空シャフト(2)と前記測定シャフト(1)との間の角度差及び/又は回転位相差を、非接触に測定可能であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項5】
前記角度測定ユニット(8)は、2つのセンサを含み、前記中空シャフト(2)の回転角及び前記測定シャフト(1)の回転角が、いずれも、前記センサのうちの1つにより測定可能であり、前記中空シャフト(2)と前記測定シャフト(1)との間の角度差及び/又は回転位相差は、両方の前記回転角の差分形成によって判定可能であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項6】
前記測定シャフト(1)は、全体又は部分的に、玉軸受、宝石軸受、磁気軸受、又は、空気軸受によって、前記中空シャフト(2)の中で支えられることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項7】
前記回転式粘度計(10)は、前記ハウジング(5)を認識するための自動ハウジング認識ユニットを備え、前記ハウジング(5)を前記回転式粘度計(10)に装着した時には、前記ハウジング(5)及び前記ハウジング内に配置された前記連結要素(6)、及び/又は、前記角度測定ユニット(8)がそれぞれ認識可能であり、調節及び較正データが、前記記憶装置及び/又は識別ユニットから自動的に前記回転式粘度計(10)の評価電子装置に提供可能になることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項8】
前記駆動部(4)は、中空シャフトモータとして構成されて、前記中空シャフト(2)は、前記中空シャフトモータに一体化されていること、又は、前記中空シャフト(2)は、歯車を用いて、又は、ベルト駆動を用いて、前記駆動部(4)によって駆動可能であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項9】
前記バネ(6)は、螺旋バネ又は十字バネであることを特徴とする、請求項2に記載の回転式粘度計(10)。
【請求項10】
前記ねじれ要素は、ねじれワイヤであることを特徴とする、請求項2に記載の回転式粘度計(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に係る回転式粘度計に関する。
【背景技術】
【0002】
このような回転式粘度計では、測定部が、粘度計の下方に置かれサンプルが入った任意の測定容器内で回転することによって、サンプルの粘度が、広範な測定範囲について十分な精度で測定される。
【0003】
このような粘度計は、例えば、自動車産業における潤滑剤の試験のためのASTM D2983に従って提案されており、原理上はUS第2,679,750号の相対粘度計として知られている。
【0004】
粘度計の構成は、基本的に、初期速度/モータ軸を有する機械的リセット手段に接続された測定シャフトを駆動させる、正確に一定の初期速度を有するモータと、回転角測定用のセンサと、測定シャフトの下端部にある測定部と、モータ、シャフト、及び、測定部を支え、場合によっては高さ調節手段を有する三脚と、を備えている。測定部は、任意の容器の中に入ったサンプルの所定の浸漬マークまで浸漬される。ここで、サンプルの粘度は、標準的な測定部が測定対象のサンプル内を回転することにより測定される。測定部は、例えば、ASTM D5133-96及びISO 2555より知られている。
【0005】
測定部は、通常、モータで回転される測定シャフトに、取り外し可能に、したがって交換可能に固定され、サンプルの中に浸漬され、モータによって回転される。測定容器内のサンプルは、その粘性により、測定ボディの運動に対して制動して抵抗する。測定部が固定されているドライブシャフトは、回転に対して反作用するバネ要素を備えていることが可能であり、回転運動に対して反作用する回転モーメントは、シャフトのねじれや、このバネ要素の偏向を招く。適したセンサにより、測定シャフトとドライブシャフトとの間に生じる角度が測定される。この角度が、サンプルの粘度のための一つの尺度である。
【0006】
精密血流計又は絶対測定用粘度計では、正確に規定された試験形状、例えば、2つの測定部の間に既定のギャップ形状を有するせん断ギャップを有しており、このため規定のせん断条件を有しているが、これとは異なり、回転式粘度計では、測定部、又は、測定ボディが、液体状のサンプルの中に浸漬され、カップの形状は考慮されない。
【0007】
従来技術から公知の回転式粘度計の欠点は、制限された利用範囲においてしか利用可能でなく、狭い粘度範囲における液体しか、この回転式粘度計では測定できない点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、できる限り広範な利用範囲を有し、製造が容易で、かつ、正確な測定値を得る回転式粘度計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴的な特徴により解決される。ここで、中空シャフト及び測定シャフトは、測定ボディの反対側の端部がハウジングの中に突入し、連結要素は、ハウジングの中に配置され、ハウジング及び連結要素は、ハウジングがハウジング内に配置された連結要素と共に、回転式粘度計及び/又は測定シャフト及び/又は中空シャフトから取り外し可能なように、測定シャフトに、中空シャフトに、及び/又は場合によっては粘度計ハウジングに又はその中に接続されている。
【0010】
ハウジングが取り外し可能に構成されていることにより、連結要素の容易な交換が可能である。こうして、例えば、測定対象のサンプルに応じて、サンプルの特徴に合った様々な連結要素を利用可能であるので、多数の、様々な粘度の様々なサンプルを、手間のかかる改造及び較正を行うことなく容易に測定可能である。
【0011】
回転式粘度計の特に有効な実施形態は、従属請求項の特徴によって、より詳細に規定される。
【0012】
本発明に係る回転式粘度計の好ましい形態は、次のように規定される。すなわち、連結要素は、バネ、具体的には螺旋バネ若しくは十字バネとして、又は、ねじれ要素、具体的にはねじれワイヤとして、構成されており、バネは、測定シャフトとハウジングとの間に配置されており、ハウジングは、中空シャフトに接続されてこれと一緒に回転し、又は、バネは、中空シャフトとハウジングとの間に配置されており、ハウジングは、測定シャフトに接続されてこれと一緒に回転し、測定動作では、測定ボディをサンプルに衝突させる際には、バネは、測定ボディに対するサンプルの粘度による抵抗で生じた反作用トルクにより偏向し、中空シャフトと測定シャフトとの間の角度差及び/又は回転位相差が、角度測定ユニットによって測定可能である。
【0013】
角度測定ユニット、具体的には角度測定ユニット及び測定電子装置が、ハウジングに一体化され、これと一緒に回転式粘度計から取り外し可能に構成されていることによって、サンプルに容易かつより良好に適合させることが実現される。
【0014】
センサが一体化されたハウジングをより容易に交換することは、角度測定ユニットが、少なくとも1つの誘導センサ、及び/又は、容量センサ、及び/又は、光学センサ、及び/又は、ホールセンサを含み、中空シャフトと測定シャフトとの間の角度差及び/又は回転位相差を、非接触に測定可能である場合に可能である。これは、一方で、一緒に回転しながら対応して非接触に角度測定を行うことによってより良好に行われ、この測定は、摺動接点無しに実施される。
【0015】
有効には、次のように規定されてもよい。すなわち、角度測定ユニットは、2つのセンサを含み、中空シャフトの回転角、及び、測定シャフトの回転角はいずれも、センサのうちの1つにより測定可能であり、中空シャフトと測定シャフトとの間の角度差及び/又は回転位相差は、両方の回転角の差分形成によって判定可能である。
【0016】
測定シャフトが、全体又は部分的に、玉軸受、宝石軸受、磁気軸受、又は、空気軸受によって、具体的には中空シャフトの中で支えられている場合に、摩擦を低減又は回避することが可能であり、これによって測定のエラー源を低減可能である。維持の手間がかからず摩擦を低減する磁気軸受を利用することによって、技術水準である玉軸受及び円錐軸受と比べて、測定効率を向上させること、及び、軸受の耐用年数を改善することが可能である。
【0017】
有効には、ハウジングは、記憶装置及び/又は識別ユニットを備え、記憶装置及び/又は識別ユニットに保存された情報を用いて、角度測定ユニット及び/又は連結要素の調節及び較正データを検索可能であり、又は、記憶装置及び/又は識別ユニットから読み出し可能である。角度測定センサや評価ユニットに直接接続された記憶装置部材により、調節値は容易に記憶され、このため、該調節値は、ハウジング及びその中に含まれる要素の交換後に容易に検索可能である。
【0018】
回転式粘度計の好ましい実施形態は、次のように規定される。すなわち、回転式粘度計は、ハウジングを認識するための自動ハウジング認識ユニットを備え、ハウジングを回転式粘度計に装着した時には、ハウジング及びハウジング内に配置された連結要素、及び/又は、角度測定ユニットがそれぞれ認識可能であり、具体的には、調節及び較正データが、記憶装置及び/又は識別ユニットから自動的に回転式粘度計の評価電子装置に提供可能になる。こうして、例えば、RFIDを用いた自動ハウジング認識が実現される。これは、取り付けられたハウジングだけでなく測定に必要な較正及び調節データも、ユーザに対して選択及び表示するものであり、こうして、エラー測定が回避される。
【0019】
有効には、次のように規定される。すなわち、駆動部は、中空シャフトモータとして構成されて、中空シャフトは、中空シャフトモータに一体化されていること、又は、中空シャフトは、歯車を用いて、又は、ベルト駆動を用いて、駆動部によって駆動可能である。駆動部が中空シャフトモータとして構成されていることによって、ドライブシャフト及びモータシャフトを組み合わせることが可能になり、中空シャフトは、モータによって直接、又は、駆動装置及び軸受を介して、駆動可能であり、こうして特に小型の構成を実現可能である。バネユニットを容易に交換するためには、駆動部のドライブシャフトと中空シャフトとを組み合わせることが可能であり、これによって、例えば中空シャフトは、同時に、ステッピングモータのシャフトとなり得る。これによって、製造公差及び同心公差が軽減される。また、既にステッピングモータのモータシャフトが対応して玉軸受で二重に支えられているため、追加的な軸受を設ける必要はない。これによって、製造部品を、同じ機能で最も少ない部品数に低減することが可能である。これは、特に、センサシステムの製造コストに好ましい影響を与える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のさらなる利点及び構成は、本明細書及び添付の図面より明らかである。
【0021】
以下に、本発明を、特に有効な、しかしながら限定的であると理解されるものではない実施例に基づいて図面に概略的に示し、当該図面を参照しながら例示的に説明する。
【0022】
図1図1は、本発明に係る回転式粘度計の第1の実施形態を示す図である
図2図2は、本発明に係る回転式粘度計の第2の実施形態を示す図である。
図3図3は、ハウジングの上に配置された角度測定ユニットを備える、本発明に係る回転式粘度計の第3の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、本発明に係る回転粘度計10の第1の実施形態が示されている。回転式粘度計10は、測定シャフト1と、駆動部4により駆動される中空シャフト2とを含む。中空シャフト2は、中空に構成されており、この中空シャフト2の中に測定シャフト1が同軸に配置されている。測定シャフト1の端部には、測定ボディ3が配置されている。測定シャフト1及び中空シャフト2は、その一端、本実施形態では上端、すなわち、測定ボディ3とは反対側の端部が、ハウジング5の中に突入している。ハウジング5は、中空シャフト2と接続されており、これと一緒に回転する。ハウジング5には、バネ6として構成された連結要素が配置されている。バネ6は、ハウジング5と測定シャフト1との間に配置されており、これらに、それぞれ一端で固定されている。測定の間、測定ボディ3は、サンプルが入った測定カップ内に浸漬され、中空シャフト2が、駆動部4により駆動される。バネ6が測定シャフト1及びハウジング5に固定されていること、及び、ハウジング5が中空シャフト2に固定されていることにより、バネ6は、中空シャフト2が駆動部4によって駆動されると、サンプル内での測定ボディ3の抵抗により、及び、その測定シャフト1への反作用トルクにより回転する。
【0024】
ハウジング5において、好ましくは、記憶装置ユニット及び/又は識別ユニット7が配置されており、粘度計10の評価ユニット12により、記憶装置及び/又は識別ユニット7に含まれる連結要素に関する情報、例えば、連結要素6のバネ特性曲線やさらなる調節及び較正データを検索可能であり、又は、記憶装置及び/又は識別ユニットから読み出し可能であり、評価ユニット12において、粘度を判定するために利用可能である。
【0025】
バネ6には、固定要素9が配置されており、この固定要素9によって、バネ6を測定シャフト1の上に装着することが可能である。ハウジング5は、中空シャフト2に、取り外し可能な接続要素を介して接続されている。ハウジング5が中空シャフト2に取り外し可能に接続され、バネが測定シャフト1に取り外し可能に接続されていることにより、ハウジング5に一体化されたバネ6を有するハウジング5は、容易に取り外し可能かつ交換可能である。したがって、例えば、測定対象のサンプルに応じて、特定のハウジング5に、サンプルに合わせた連結要素又はバネ6を取り付けることが可能であり、手間のかかる調整又は設定が省かれる。さらに、この回転式粘度計10によって、大きな粘度帯域のサンプルを測定可能であり、回転式粘度計10全体を交換する必要はない。
【0026】
回転式粘度計10はさらに、角度測定ユニット8を含む。角度測定ユニット8は、測定動作において中空シャフト2と測定シャフト1との間の角度差及び/又は回転位相差を測定可能であるように、測定シャフト1に対して配置されていると共に、構成されている。
【0027】
任意により、測定シャフト1は、図1に示されるようにハウジング5を完全に貫通していることが可能であり、及び/又は、測定シャフト1は、例えばハウジング5の壁に又は壁の中で支えられることが可能である。測定シャフトは、バネ要素の上方で支えられていることが好ましい。
【0028】
図2は、本発明に係る回転式粘度計10の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【0029】
中空シャフト2の下端部、すなわち、中空シャフト2の測定ボディ3側の端部の近郊には、第1の旋回クランクレバー11が取り付けられている。この第1の旋回クランクレバー11は、C字型の要素として構成されており、その上端部側面は、中空シャフト2の下端部分の領域内に取り付けられている。第1の旋回クランクレバー11の下端部において、円錐軸受16が、中空シャフト2の軸上に配置されている。円錐軸受16は、本実施形態では宝石軸受として構成されている。ここで代わりに、ピボット軸受等の別の軸受が設けられていてもよい。
【0030】
測定シャフト1の上端部側面では、測定シャフト1は、ハウジング5において、軸受22を介して回転可能に支えられている。測定シャフト1の下端部分の領域には、第2の旋回クランクレバー18が取り付けられている。この第2の旋回クランクレバー18は、C字型の要素として構成されており、その上端部側面は、測定シャフト1の下端部分の周りに固定されている。第2の旋回クランクレバー18の下端部側面は、測定シャフト1の軸上に位置している。第2の旋回クランクレバー18の下端部側面の下面には、スピンドルホルダ19が取り付けられている。スピンドルホルダ19に、測定ボディ3が、測定シャフト1及び中空シャフト2に同軸に、かつ、例えば機械的又は磁気的連結器20を介して取り外し可能に固定されている。
【0031】
図1の実施形態と同様に、ハウジング5には、固定要素9を介して測定シャフト1に装着されたバネ6が配置されており、ハウジング5は、取り外し可能な接続要素を介して中空シャフト2に接続されている。バネ6の第2の端部は、ハウジング5に接続されており、接続要素は取り外し可能であり得る。
【0032】
ハウジング5を中空シャフト2に接続するため、測定シャフト1をバネ6又はハウジング5に接続するため、及び/又は、ハウジング5を連結要素に接続するための好適な固定要素9若しくは接続要素、又は、その反対に、ハウジング5を測定シャフト1に接続するため、及び、中空シャフト2を連結要素に接続するための好適な固定要素9若しくは接続要素は、例えば、引張ねじ又は締付ねじ、締付接続又は差込接続、対応する突起部を有するプロファイルシャフト、又は、他の、従来技術から公知の接続及び固定要素である。
【0033】
角度測定ユニット8は、C字型の第1の旋回クランクレバー11及び第2の旋回クランクレバー18の領域内にあり、光学測定装置として構成されており、2つの角材又はエンコーダディスク31a、31bを含んでいる。第1のエンコーダディスク31aは、第1の旋回クランクレバー11に固定されており、第2のエンコーダディスク31bは第2の旋回クランクレバー18に固定されている。エンコーダディスク31a、31bは、2つの歯付きのディスクであり、互いに対向して配置され、周囲に多数の歯を有している。これらの歯の間のオフセット又は幅が、光学的に検出され、これによって、中空シャフト2と測定シャフト1との間の角度差及び/又は回転位相差が非接触で算出される。
【0034】
図3には、本発明に係る回転式粘度計10のさらに他の実施形態が、断面図で示されている。回転式粘度計10は、図2の回転式粘度計10に類似して構成されており、同じく2つのC字型の旋回クランクレバーを有している。これらの旋回クランクレバーは、固定用軸受を介して接続されている。
【0035】
図2と異なる点は、角度測定ユニット8が、ハウジング5の上端に配置され、これと一緒に取り外し可能に構成されていることである。したがって、連結要素又はバネ6に合った角度測定ユニット8を、それぞれ、ハウジングと一緒に交換可能であり、そのため測定対象のサンプルに応じて、回転式粘度計10に取り付け可能である。角度測定ユニット8は、磁気角度測定装置を有している。この装置では、ハウジング5を貫通した測定シャフト1の端部と、軸受23の領域内のハウジング5とに、それぞれ複数の磁石24又は磁石片が配置されている。これらはそれぞれ、1つの差動角度センサ21によって測定され、こうして、中空シャフト2と測定シャフト1との間の角度差及び/又は回転位相差が非接触で測定される。
【0036】
他方で、測定動作においては、測定ボディ3をサンプルに衝突させると、バネ6が、測定ボディ3に対するサンプルの粘度による抵抗で生じる反作用トルクにより偏向し、中空シャフト2と測定シャフト1との間の角度差及び/又は回転位相差が、角度測定ユニット8によって測定される。
【0037】
図示された実施形態に対して任意により、角度測定ユニット8の測定電子装置も、ハウジング5に一体化又はこの中に設置してもよいし、又は、これに取り付けて、これと一緒に回転式粘度計10から取り外し可能に構成されていてもよい。測定された角度、又は、角度差及び/又は回転位相差の伝送は、摺動接点又は非接触の伝送形態を介して行うことが可能である。
【0038】
本発明に係る回転式粘度計10のバネ6は、例えば、螺旋バネ、又は、十字バネ、又は、ねじれバネ、又は、他のバネ要素であり得る。
【0039】
あるいは、連結要素は、ねじれ要素として構成されていてもよい。こうして、例えば、測定シャフト1は、ハウジング5と接続される端部において、ねじれワイヤを有していてもよく、これは、測定シャフト1の軸内に配置され、測定動作時に弾性ねじれを受ける。このねじれ又は歪みが、歪みゲージ又は他の測定センサによって測定され、評価に使用され得る。
【0040】
図1図3の実施形態に対して選択的に、連結要素又はバネ6は、中空シャフト2とハウジング5との間に配置されていてもよく、ハウジング5は、測定シャフト1に接続され、これと一緒に回転してもよい。
【0041】
本発明によれば、角度測定ユニット8は、少なくとも1つの誘導センサ、及び/又は、容量センサ、及び/又は、光学センサ、及び/又は、ホールセンサを有している。これによって、中空シャフト2と測定シャフト1との間の角度差及び/又は回転位相差を、非接触で測定可能である。
【0042】
測定シャフト1は、任意により全体又は部分的に、磁気軸受、又は、空気軸受、又は、玉軸受によって支えられることが可能である。空気軸受又は磁気軸受によって支えられることにより摩擦が低減され、これによって測定精度が向上する。また、測定シャフト1は、中空シャフト2の内部において支えられていてもよく、又は、測定シャフト1の軸受が中空シャフトの軸受に一体化されていてもよい。
【0043】
任意により、ハウジング5は、記憶装置及び/又は識別ユニットを有していてもよい。記憶装置及び/又は識別ユニットは、構成要素、すなわちバネ6、角度測定ユニット8、及び/又は、測定電子装置を特定するものであり、又は、記憶装置及び/又は識別ユニットには、バネ6、角度測定ユニット8、センサ、及び、測定電子装置の特徴が記憶されている。記憶装置及び/又は識別ユニットに含まれる情報に基づき、調節及び較正データが回転式粘度計10に記憶されて検索可能になり、ハウジングを取り付けた後に、その都度、読み出し可能又は検索可能である。これに加えて、回転式粘度計10は、任意により、自動ハウジング認識ユニットを有していてもよい。この自動ハウジング認識ユニットは、ハウジング5、及び、それに含まれる角度測定ユニット8をそれぞれ自動的に認識する。ハウジング5を回転式粘度計10に装着した時には、ハウジング5内に配置された連結要素、及び/又は、角度測定ユニット8がそれぞれ認識され、調節及び較正データが、自動的に、記憶装置及び/又は識別ユニットから回転式粘度計10の評価電子装置に提供される。
【0044】
例えば、記憶装置及び/又は識別ユニットに、バネ6及び場合によっては角度測定ユニット8の較正データ、及び、バネ6の識別、並びに、その測定領域を読み込むことが可能であり、又は、各部材の対応するモータ抵抗を入力することが可能である。その後、評価ユニットにおいて、このデータを、回転式粘度計10内の別の要素の較正データと組み合わせて、粘度データにおける測定された回転角度の評価に利用可能である。また、記憶装置及び/又は識別ユニットは、RFIDチップを含むことも可能である。このRFIDチップを介して、データを非接触に読み出すことが可能である。
【0045】
あるいは、例えば、角度測定ユニット8のセンサは、回転式粘度計10に固定されて、この上で維持され、角度測定ユニット8の一部だけ、例えばエンコーダディスク31a、31b若しくは磁石24、又は、その一部だけが、ハウジングと一緒に取り外し可能であってもよい。
【0046】
任意により、駆動部4は、図1に示されるように、中空シャフトモータとして構成されていてもよく、中空シャフト2は、中空シャフトモータに一体化されていてもよい。これに対して選択的に、駆動部4は、図2及び図3に示されるように、中空シャフト2を、ベルト駆動を介して駆動させてもよいし、又は、歯車といった別の形状の駆動装置を介して中空シャフト2に接続され、これを駆動させてもよい。
図1
図2
図3