(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】カップリング用カバー
(51)【国際特許分類】
F16D 3/84 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
F16D3/84 U
F16D3/84 Z
(21)【出願番号】P 2020556120
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2019044368
(87)【国際公開番号】W WO2020100905
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2018213674
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】古川 泰成
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06474934(US,B1)
【文献】特開平07-035153(JP,A)
【文献】特開2007-247860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの軸を連結するカップリングを回転可能に収容するカバー本体と、
前記カバー本体に設けられた凹凸形状を有する放熱用の放熱体と、
を備え
、
前記カバー本体は、筒状の周壁を備え、
前記放熱体は、前記周壁の周面に複数設けられており、
前記周壁は、前記カバー本体の内外を連通する通気孔を備え、
複数の前記放熱体は、前記周壁の内周面に列状に並べられて複数の凹凸形状列を形成し、
前記凹凸形状列は、前記カバー本体内部に生ずるエアの流れを前記通気孔の方向に導くように、軸に直角な平面に対して傾斜している、
カップリング用カバー。
【請求項2】
前記放熱体は、前記周壁の周面に規則的に配列されている、
請求項
1に記載のカップリング用カバー。
【請求項3】
二つの軸を連結するカップリングを回転可能に収容するカバー本体と、
前記カバー本体に設けられた放熱用のフィンと、
前記フィンの表面に設けられた凹凸形状を有する放熱用の放熱体と、
を備え
、
前記カバー本体は、筒状の周壁を備え、
前記フィンは、前記周壁の周面に沿った環状形状で複数設けられており、
前記放熱体は、前記フィンの表面に複数設けられており、
前記フィンは、前記周壁の内周面に設けられ、
複数個の前記放熱体は、前記フィンの表面に列状に並べられて複数の凹凸形状列を形成し、
前記凹凸形状列は、前記カバー本体内部に生ずるエアの流れを前記周壁の内周面の方向に導くように、軸と平行な方向の平面に対して傾斜している、
カップリング用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップリング用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
図24に示すように、カップリング用カバー101は、駆動軸201から従動軸301へ回転トルクを伝達するカップリング401をカバーし、カップリング401の保護や防音、油の飛散防止などを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-108961号公報
【文献】特開2012-087938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カップリング用カバー101、特にカップリング401全体を覆う構造のカップリング用カバー101は、カップリング401の攪拌抵抗による発熱の除去を妨げ、カップリング401やカバー101自体を高温にしてしまうことがある。カップリング401やカバー101が高温になると、材料物性の低下や材料疲労によるカップリング401の強度の低下に繋がる。
【0005】
カップリングおよびカップリングカバーの低温化が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
カップリング用カバーの一態様は、二つの軸を連結するカップリングを回転可能に収容するカバー本体と、前記カバー本体に設けられた凹凸形状を有する放熱用の放熱体と、を備え、前記カバー本体は、筒状の周壁を備え、前記放熱体は、前記周壁の周面に複数設けられており、前記周壁は、前記カバー本体の内外を連通する通気孔を備え、複数の前記放熱体は、前記周壁の内周面に列状に並べられて複数の凹凸形状列を形成し、前記凹凸形状列は、前記カバー本体内部に生ずるエアの流れを前記通気孔の方向に導くように、軸に直角な平面に対して傾斜している。
【0008】
カップリング用カバーの別の一態様は、二つの軸を連結するカップリングを回転可能に収容するカバー本体と、前記カバー本体に設けられた放熱用のフィンと、前記フィンの表面に設けられた凹凸形状を有する放熱用の放熱体と、を備え、前記カバー本体は、筒状の周壁を備え、前記フィンは、前記周壁の周面に沿った環状形状で複数設けられており、前記放熱体は、前記フィンの表面に複数設けられており、前記フィンは、前記周壁の内周面に設けられ、複数個の前記放熱体は、前記フィンの表面に列状に並べられて複数の凹凸形状列を形成し、前記凹凸形状列は、前記カバー本体内部に生ずるエアの流れを前記周壁の内周面の方向に導くように、軸と平行な方向の平面に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0009】
カップリングおよびカップリングカバーの低温化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)はその側面図。
【
図2】実施の形態2のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)はその側面図。
【
図3】実施の形態3のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)はその側面図。
【
図4】実施の形態4のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)はその側面図。
【
図5】実施の形態5のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)は(A)におけるE-E線断面図。
【
図6】実施の形態6のカップリング用カバーを通気孔の中心線を含む軸直角平面で裁断した要部断面図。
【
図7】実施の形態7のカップリング用カバーを通気孔の中心線を含む軸直角平面で裁断した要部断面図。
【
図8】(A)は実施の形態5のカップリング用カバーの通気孔をカバー本体の内側から視た図であって
図5(B)におけるF方向矢視図、(B)は実施の形態8のカップリング用カバーの通気孔をカバー本体の内側から視た図、(C)は実施の形態9のカップリング用カバーの通気孔をカバー本体の内側から視た図。
【
図9】(A)は実施の形態10のカップリング用カバーをその中心軸線を含む平面で裁断した要部断面図、(B)(C)は実施の形態11のカップリング用カバーをその中心軸線を含む平面で裁断した要部断面図。
【
図10】(A)は実施の形態12のカップリング用カバーをその軸直角平面で裁断した要部断面図、(B)は実施の形態13のカップリング用カバーをその軸直角平面で裁断した要部断面図。
【
図11】実施の形態14のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)は(A)におけるG-G線断面図。
【
図12】実施の形態15のカップリング用カバーを示す図で、(A)はその中心軸線を含む平面で裁断した断面図、(B)は(A)におけるH-H線断面図。
【0011】
【
図13】(A)は実施の形態16のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(B)(C)(D)は実施の形態17のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図14】(A)(B)(C)は実施の形態18のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図15】(A)(B)(C)は実施の形態19のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図16】(A)(B)(C)は実施の形態20のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態21のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図17】(A)(B)(C)は実施の形態22のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態23のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図18】(A)(B)(C)は実施の形態24のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態25のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図19】(A)(B)(C)は実施の形態26のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)は実施の形態27のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図20】(A)(B)(C)は実施の形態28のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態29のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図21】(A)(B)(C)は実施の形態30のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態31のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図22】(A)(B)(C)は実施の形態32のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態33のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図23】(A)(B)(C)は実施の形態34のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図、(D)(E)(F)は実施の形態35のカップリング用カバーに備えられる突起の平面図。
【
図24】背景技術で説明したカップリング用カバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1(A)(B)~
図23(A)(B)(C)に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1(以下「カバー1」と略称することもある)は、駆動軸から従動軸(何れも図示せず)へ回転トルクを伝達するよう両軸を連結するカップリング401をカバーの対象としている。カップリング用カバー1は、カップリング401の保護や防音、油やダストの飛散防止などを目的として設置される。本実施の形態では、カップリング401としてダイアフラム型カップリングの使用を想定している。実施に際しては、カップリング401の種類や仕様は特に限定されない。
【0013】
カップリング用カバー1は、カップリング401の外周側に配置される筒状の周壁21(以下「カバー周壁21」と呼ぶこともある)の軸方向両端部にそれぞれフランジ状の端壁31を設けた形状のカバー本体11を備え、このカバー本体11の内部にカップリング401を回転可能に収容する。筒状の周壁21には、その軸方向中央であって円周上一箇所に、カバー本体11の内外を連通する通気孔(排出口)22が設けられている。フランジ状の端壁31のそれぞれその中心軸線上には、駆動軸及び従動軸を回転可能に挿通する軸孔32が設けられている。
【0014】
カップリング401やカップリング用カバー1は、カップリング401の回転に伴って高温になることがある。本実施の形態のカバー1は、放熱機能を持っている。放熱機能を持たせたカップリング用カバー1の各種の実施の形態1-35を以下に紹介する。
【0015】
実施の形態1
図1(A)(B)に示すように、カバー本体11に複数枚の放熱用のフィン41が設けられている。フィン41は、カバー周壁21の周面に沿った環状の形状を有し、断面三角形に形成されている。このような形状のフィン41は、軸方向に一定のピッチでカバー周壁21の外周面に取り付けられている。したがってカバー周壁21の外周面には、複数枚のフィン41が規則的に配列されている。カバー周壁21へのフィン41の取付けは、例えば溶接による。
【0016】
実施に際しては、フィン41はカバー本体11に一体に設けられていても良い。フィン41がカバー本体11に一体に設けられていても良いことは、以下に示す各種の実施の形態でも共通である。
【0017】
実施の形態2
図2(A)(B)に示すように、カバー本体11に複数枚の放熱用のフィン41が設けられている。フィン41は、カバー周壁21の周面に沿った環状の形状を有し、断面長方形に形成されている。このような形状のフィン41は、軸方向に一定のピッチでカバー周壁21の外周面に取り付けられている。したがってカバー周壁21の外周面には、複数枚のフィン41が規則的に配列されている。
【0018】
実施の形態3
図3(A)(B)に示すように、カバー本体11に複数枚の放熱用のフィン41が設けられている。フィン41は、カバー周壁21の周面に沿った環状の形状を有し、断面長方形に形成されている。このような形状のフィン41は、軸方向に一定のピッチでカバー周壁21の外周面および内周面にそれぞれ取り付けられている。したがってカバー周壁21の外周面および内周面には、複数枚のフィン41が規則的に配列されている。
【0019】
実施に際しては、フィン41はカバー周壁21の内周面のみに取り付けられても良い。
【0020】
上記実施の形態1、2および3によれば、カバー本体11の周壁21からフィン41へ一部の熱が伝えられ、カバー1全体としての放熱面積も増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度を低下させることができる。その結果カップリング401およびカップリングカバー1の低温化が実現する。
【0021】
上記実施の形態1、2および3において、フィン41は帯状の素材をコイル状に巻回したものであっても良い。
【0022】
実施の形態4
図4(A)(B)に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1は、上記実施の形態3の構成に加えて、カバー周壁21の内周面に設けられたフィン41の角度を、軸方向と直交する角度に対して傾斜させている。説明の便宜上、フィン41が傾斜する角度を傾斜角度θ
1とする。傾斜角度θ
1は、次のように説明される。
【0023】
カバー本体11の内部のエアは、カップリング401の回転に伴って一定の方向に緩やかに流動する。フィン41の傾斜角度θ1は、カバー本体11の内部で生じたエアの流れを通気孔22の方向に導くように、通気孔22の中心軸線を含むカバー周壁21の軸に対して直角な平面(以下「軸直角平面21A」と呼ぶ)に対して設定された角度である。より詳しくは、傾斜角度θ1は、フィン41と上記軸直角平面21Aとの軸方向間隔が通気孔22と同じ円周上一箇所の位置で最も小さく(L1)、その180度対称位置で最も大きく(L2)なるように設定されている。換言すると、傾斜角度θ1は、カバー周壁21の内周面の円周上を通気孔22に近付くに従って、フィン41と軸直角平面21Aとの間の軸方向間隔が小さくなる向きに設定されている。
【0024】
この構成によれば、カバー本体11内部のエアの流れがフィン41を案内として通気孔22の方向に導かれるため、外気に対し比較的高熱のエアが通気孔22からカバー1外部へ放出されやすい。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0025】
実施の形態5
図5(A)(B)に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1は、上記実施の形態1~4の構成に加えて、カバー周壁21の内周面であってエアの流れにおける通気孔22の下流側にバッフルプレート51を設けている。
図5(B)に示すように、本実施の形態ではエアが右回り、つまり時計方向に流れるので、
図5(B)中、バッフルプレート51は通気孔22の右側に設けられている。
【0026】
この構成によれば、フィン41によって導かれるエアの流れがバッフルプレート51に当たって通気孔22へ向けて方向転換するため(矢印C)、エアが通気孔22から一層放出されやすくなる。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0027】
本実施の形態では上記実施の形態4にバッフルプレート51を加えた構成例を示したが、上記実施の形態1~3にバッフルプレート51を加えても良いことは言うまでもない。
【0028】
実施の形態6
上記実施の形態5では、バッフルプレート51が通気孔22の中心軸線を含むカバー周壁21の軸を通る軸と平行な方向の平面(以下「軸方向平面21B」と呼ぶ)と平行な向きに配置されている一例を示した。
図6に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1は、バッフルプレート51を、軸方向平面21Bに対して傾斜角度θ
2をもって配置している。傾斜角度θ
2は、
図6中、軸方向平面21Bに対してカバー本体11内でエアの流れる方向に傾く角度に設定されている。
【0029】
この構成によれば、バッフルプレート51の傾斜角度θ2によって、通気孔22へ向けて流れるエア流量がさらに増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0030】
実施の形態7
上記実施の形態5では、バッフルプレート51が平板状に形成されている一例を示した。
図7に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1は、バッフルプレート51を、その高さ方向に湾曲する曲面状に形成している。バッフルプレート51の高さ方向は、カバー周壁21の径方向、
図7中の上下方向である。その結果バッフルプレート51は、通気孔22から排気されるエアを受ける側に、所定のアール寸法Rを有する凹面形状のエア受け面52を備える。
【0031】
この構成によれば、エア受け面52の凹曲面状によってエアの流れが通気孔22へ向けて方向転換するため、通気孔22へ向けて流れるエア流量がさらに増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0032】
実施の形態8
上記実施の形態5では、
図8(A)に示すように、バッフルプレート51が平板1枚によって形成されている一例を示した。
図8(B)に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1のバッフルプレート51は、平板2枚をV字状に配置して形成されている。2枚のバッフルプレート51は、それぞれ平面円形の通気孔22の接線方向に配置されている。その結果バッフルプレート51は、通気孔22から排気されるエアを受ける側に、V字状に囲まれたエア受け面52を備える。
【0033】
この構成によれば、エア受け面52のV字形状によってエアの流れが通気孔22へ向けて方向転換するため、通気孔22へ向けて流れるエア流量がさらに増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0034】
実施に際しては、2枚のバッフルプレート51は、V字状に形成された1枚のバッフルプレート51であっても良い。
【0035】
実施の形態9
上記実施の形態5では、
図8(A)に示すように、バッフルプレート51が平板状に形成されている一例を示した。
図8(C)に示すように、本実施の形態のカップリング用カバー1のバッフルプレート51は、その幅方向に湾曲する曲面状に形成されている。バッフルプレート51の幅方向は、カバー周壁21の周方向、
図8(C)中の上下方向である。その結果バッフルプレート51は、通気孔22から排気されるエアを受ける側に、所定のアール寸法を有するエア受け面52を備える。エア受け面52は、平面円形の通気孔22の開口周縁に沿って配置されている。
【0036】
この構成によれば、エア受け面52の曲面形状によってエアの流れが通気孔22へ向けて方向転換するため、通気孔22へ向けて流れるエア流量がさらに増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0037】
実施の形態10
図9(A)に示すように、本実施の形態では、カバー本体11に凹凸形状を有する突起61が設けられている。突起61は放熱用に設けられた放熱体として複数設けられており、軸方向および周方向に一定のピッチでカバー周壁21の内周面に規則的に配置されている。
【0038】
この構成によれば、カバー本体11の周壁21から突起61へ一部の熱が伝えられ、カバー1全体としての放熱面積も増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度を低下させることができる。その結果カップリング401およびカップリングカバー1の低温化が実現する。
【0039】
実施に際しては、突起61はカバー周壁21の外周面に設けられても良く、カバー周壁21の内周面および外周面の双方に設けられても良い。突起61はランダムに配置されても良い。突起61はこれに代えて凹部であっても良く、この場合にはカバー1全体としての放熱面積が増大するため、放熱量が増大し、カップリング401やカバー1自体の低温化を実現することが可能である。
【0040】
実施の形態11
図9(B)または(C)に示すように、本実施の形態では、上記実施の形態10の構成に加えて、突起61が複数一列に並べられて凹凸形状列62を形成しており、この凹凸形状列62は複数並べられて配列されている。凹凸形状列62は、本実施の形態では、複数の突起61が矢印D方向に一列に並べられた形態を有している。実施に際しては、複数の突起61は一列に限らず、複数列に並べられて凹凸形状列62を形成する構成であってもよい。
【0041】
カバー本体11の内部のエアは、カップリング401の回転に伴って一定の方向に緩やかに流動する。凹凸形状列62は、カバー本体11内部のエアの流れを通気孔22へ導くように、軸直角平面21Aに対して傾斜している。このような凹凸形状列62の傾斜角度は、上記実施の形態4におけるフィン41と同様に設定されている。
【0042】
この構成によれば、カバー本体11内部のエアの流れが凹凸形状列62に案内され、通気孔22の方向に導かれるため(矢印D)、エアが通気孔22から放出されやすい。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0043】
実施の形態12
図10(A)に示すように、本実施の形態では、カバー本体11に放熱用のフィン41が設けられている。フィン41はカバー本体11の周壁21に沿って環状に形成されている。このようなフィン41は複数設けられ、軸方向(
図10(A)中で紙面の直交方向)に一定のピッチでカバー周壁21の内周面に取り付けられている。フィン41の表面には、凹凸形状を有する放熱用の放熱体として突起61が設けられ、突起61は複数、径方向および周方向に一定のピッチで配列されている。
【0044】
この構成によれば、カバー本体11の周壁21からフィン41へ一部の熱が伝えられ、フィン41から突起61へ一部の熱が伝えられる。カバー1全体としての放熱面積も増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度を低下させることができる。その結果カップリング401およびカップリングカバー1の低温化が実現する。
【0045】
実施に際しては、突起61はランダムに配置されても良い。突起61はこれに代えて凹部であっても良い。
【0046】
実施の形態13
上記実施の形態12では、突起61が複数一列に並べられて凹凸形状列62を形成し、この凹凸形状列62がカバー周壁21の径方向に向けて設けられている一例を示した。
図10(B)に示すように、本実施の形態は、凹凸形状列62の向きをスパイラル状に設定している。
【0047】
この構成によれば、凹凸形状列62によって案内されるエアの流れがカバー周壁21の内周面に対して斜めに当たるため、カバー本体11の内部でエアが周方向に流動しやすくなる。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度をより一層低下させることができる。
【0048】
実施の形態14
図11(A)(B)に示すように、本実施の形態では、カバー本体11に複数枚の放熱用のフィン41が設けられている。フィン41は、カバー周壁21の周面に沿った環状の形状を有し、断面長方形に形成されている。このような形状のフィン41は、軸方向に一定のピッチでカバー周壁21の外周面および内周面に取り付けられている。したがってカバー周壁21の外周面には、複数枚のフィン41が規則的に配列されている。カバー周壁21へのフィン41の取付けは、例えば溶接による。
【0049】
カバー本体11には、凹凸形状を有する突起61も設けられている。突起61は放熱用に設けられた放熱体として複数設けられており、軸方向および周方向に一定のピッチでカバー周壁21の内周面に規則的に配置されている。
【0050】
突起61は、フィン41の表面にも複数設けられている。フィン41に設けられた突起61も、凹凸形状を有する放熱用の放熱体である。
【0051】
この構成によれば、カバー本体11の周壁21からフィン41へ一部の熱が伝えられ、フィン41から突起61へ一部の熱が伝えられる。またカバー本体11の周壁21から突起61へも一部の熱が伝えられる。さらにカバー1全体として放熱面積が増大する。したがってカバー本体11の放熱量が増大し、カップリング401によるエアの撹拌抵抗がもたらすカップリング401およびカップリングカバー1の発熱温度を低下させることができる。その結果カップリング401およびカップリングカバー1の低温化が実現する。
【0052】
実施の形態15
図12(A)(B)に示すように、本実施の形態では、カバー本体11に複数枚の放熱用のフィン41が設けられている。フィン41は、カバー周壁21の周面に沿った環状の形状を有し、断面長方形に形成されている。このような形状のフィン41は、軸方向に一定のピッチでカバー周壁21の外周面および内周面に取り付けられている。したがってカバー周壁21の外周面には、複数枚のフィン41が規則的に配列されている。カバー周壁21へのフィン41の取付けは、例えば溶接による。
【0053】
カバー本体11には、凹凸形状を有する突起61も設けられている。突起61は放熱用に設けられた放熱体として複数設けられており、軸方向および周方向に一定のピッチでカバー周壁21の内周面に規則的に配置されている。
【0054】
突起61は、フィン41の表面にも複数設けられている。フィン41に設けられた突起61も、凹凸形状を有する放熱用の放熱体である。
【0055】
本実施の形態のカップリング用カバー1は、カバー周壁21の内周面に設けられたフィン41および複数の突起61による凹凸形状列62の角度を、軸方向と直交する角度に対して傾斜させている。フィン41及び凹凸形状列62の傾斜角度は、次のように説明される。
【0056】
カバー本体11の内部のエアは、カップリング401の回転に伴って一定の方向に緩やかに流動する。フィン41および凹凸形状列62の傾斜角度は、カバー本体11の内部で生じたエアの流れを通気孔22の方向へ導くように、通気孔22の中心軸線を含むカバー周壁21の軸直角平面21Aに対して設定された角度である。このときの傾斜角度は、上記実施の形態4におけるフィン41および上記実施の形態11における凹凸形状列62と同様に設定されている。フィン41の表面に設けられた突起61は、上記実施の形態13と同様に、スパイラル状に形成されている。
【0057】
以上、実施の形態1~15について説明した。これらの各実施の形態で説明した放熱用の放熱体が有する凹凸形状は、突起61に代えて凹部であっても良い。また、放熱体の凹凸形状は、突起61および凹部の組み合わせであっても良い。
【0058】
以下に説明する実施の形態16~35は、上記各実施の形態で放熱用の放熱体が有する凹凸形状として設けられた突起61の各種の実施の形態である。これらの突起61も、凹部または突起61及び凹部の組合せであっても良い。実施の形態16~35を示す
図13(A)(B)(C)(D)~
図23(A)(B)(C)(D)(E)(F)中、矢印はエアの流れの向きを示している。
【0059】
実施の形態16
図13(A)に示すように、突起61の平面形状が円形とされている。
【0060】
実施の形態17
図13(B)(C)(D)に示すように、突起61の平面形状が、円形を直径線63で裁断した半円形とされている。直径線63はエアの流れに対し平行な向きとされ、或いはほぼ平行な向きとされている。
【0061】
実施の形態18
図14(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が、円形を直径線63で裁断した半円形とされている。直径線63はエアの流れの上流側に配置され、エアの流れに対し直角な向きとされ、或いはほぼ直角な向きとされている。
【0062】
実施の形態19
図15(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が楕円形とされている。楕円形はその長径線64をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0063】
実施の形態20
図16(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が、楕円形を長径線64で裁断した楕円半分の形状とされている。長径線64はエアの流れに対し平行な向きとされ、或いはほぼ平行な向きとされている。
【0064】
実施の形態21
図16(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が、楕円形を短径線65で裁断した楕円半分の形状とされている。短径線65はエアの流れの上流側に配置され、エアの流れに対し直角な向きとされ、或いはほぼ直角な向きとされている。
【0065】
実施の形態22
図17(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が、楕円形を短径線で裁断した楕円半分の部分66と三角形の部分67とを組み合わせ、楕円形の短径線と三角形の底辺とを重ね合わせた形状とされている。突起61は三角形の部分67をエアの流れの上流の方向に向けている。突起61の平面形状は線対称形状とされ、その中心線68をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0066】
実施の形態23
図17(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が、楕円形を短径線で裁断した楕円半分の部分66と三角形の部分67とを組み合わせ、楕円形の短径線と三角形の底辺とを重ね合わせた形状とされている。突起61は三角形の部分67をエアの流れの下流の方向に向けている。突起61の平面形状は線対称形状とされ、その中心線68をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0067】
実施の形態24
図18(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が菱形とされている。菱形はその長い方の対角線69をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0068】
実施の形態25
図18(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が、菱形をその長い方の対角線69で裁断した菱形半分の三角形状とされている。対角線69はエアの流れに対し平行な向きとされ、或いはほぼ平行な向きとされている。
【0069】
実施の形態26
図19(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が長方形とされている。長方形はその長辺70をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0070】
実施の形態27
図19(D)(E)に示すように、突起61の平面形状が平行四辺形とされている。平行四辺形はその短辺71をエアの流れに対し直角な向きとしている。
【0071】
実施の形態28
図20(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が台形とされている。台形はその短い方の底辺72をエアの流れの上流の方向に向けている。底辺72はエアの流れに対し直角な向きとされ、或いはほぼ直角な向きとされている。
【0072】
実施の形態29
図20(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が台形とされている。台形はその短い方の底辺72をエアの流れの下流の方向に向けている。底辺72はエアの流れに対し直角な向きとされ、或いはほぼ直角な向きとされている。
【0073】
実施の形態30
図21(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が、台形から三角形を切除した形状とされている。台形と三角形は、台形の長い方の底辺と三角形の底辺とが互いに重なり合うように配置されている。突起61は台形の短い方の底辺をエアの流れの上流側に配置している。突起61の平面形状は線対称形状とされ、その中心線73をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0074】
実施の形態31
図21(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が、台形から三角形を切除した形状とされている。台形と三角形は、台形の長い方の底辺と三角形の底辺とが互いに重なり合うように配置されている。突起61は台形の短い方の底辺をエアの流れの下流側に配置している。突起61の平面形状は線対称形状とされ、その中心線73をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0075】
実施の形態32
図22(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が三角形とされ、さらには二等辺三角形とされている。三角形はその底辺74をエアの流れの下流側に配置し、エアの流れに対し直角な向きとし、或いはほぼ直角な向きとしている。
【0076】
実施の形態33
図22(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が三角形(二等辺三角形)とされている。三角形はその底辺74をエアの流れの上流側に配置し、エアの流れに対し直角な向きとし、或いはほぼ直角な向きとしている。
【0077】
実施の形態34
図23(A)(B)(C)に示すように、突起61の平面形状が、高さの高い三角形(二等辺三角形)から高さの低い三角形(二等辺三角形)を切除した形状とされている。両三角形はそれぞれの底辺を互いに重なり合わせている。三角形はその頂点75をエアの流れの上流側へ向けている。突起61の平面形状は線対称形状とされ、その中心線76をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0078】
実施の形態35
図23(D)(E)(F)に示すように、突起61の平面形状が、高さの高い三角形(二等辺三角形)から高さの低い三角形(二等辺三角形)を切除した形状とされている。両三角形はそれぞれの底辺を互いに重なり合わせている。三角形はその頂点75をエアの流れの下流側へ向けている。突起61の平面形状は線対称形状とされ、その中心線76をエアの流れに対し平行な向きとし、或いはほぼ平行な向きとしている。
【0079】
上記実施の形態16~35において、突起61はこれに代えて凹部であっても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 カップリング用カバー
11 カバー本体
21 周壁
21A 軸直角平面
22 通気孔
31 端壁
32 軸孔
41 フィン
51 バッフルプレート
52 エア受け面
61 突起(放熱体)
62 凹凸形状列
63 直径線
64 長径線
65 短径線
66 部分
67 部分
68 中心線
69 対角線
70 長辺
71 短辺
72 底辺
73 中心線
74 底辺
75 頂点
76 中心線
401 カップリング
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度