(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】医療用注入装置を容器に接続するためのコネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20230428BHJP
A61J 1/20 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61J1/20
(21)【出願番号】P 2020562196
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019061102
(87)【国際公開番号】W WO2019219383
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ベルナール ハメル
(72)【発明者】
【氏名】ロンシアン ホアン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/134777(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0160701(US,A1)
【文献】特表2016-515406(JP,A)
【文献】特開平09-290012(JP,A)
【文献】特表2016-521177(JP,A)
【文献】国際公開第2015/022787(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位先端(42)と、前記先端(42)の周りに延びるスリーブ(44)と、を有する医療用注入装置(40)であって、前記スリーブ(44)は、内側ねじ部分(45)を備える、前記医療用注入装置(40)を、貫通可能なセプタム(63)によって閉鎖された容器に接続するためのコネクタ(2)であって、前記コネクタ(2)は、
前記注入装置(40)の前記先端(42)に密閉的に係合するように構成された近位部分(10)であって、前記近位部分(10)が、前記スリーブの前記内側ねじ部分(45)に取り外し可能にねじ込まれるように構成された、外ねじ部分(13)を含む、前記近位部分(10)と、
前記容器(60)に接続されるように構成された、遠位部分(20)と、
前記近位部分(10)から遠位に延び、前記注入装置(40)と流体接続するように構成された内部容積(32)を有する中空スパイク(30)であって、前記スパイク(30)は、前記遠位部分(20)が前記容器に接続されるとき、前記容器(60)の貫通可能なセプタム(63)を穿孔するように構成され、前記スパイク(30)は、遠位端に開口部(34)を含み、前記開口部(34)は、前記医療用注入装置(40)と前記容器(60)との間に流体接続を生成するように構成された、前記中空スパイク(30)と、
フランジ(21)を含む、スカート(22)であって、前記スカート(22)は、前記中空スパイク(30)の周りに延び、前記スカート(22)は、前記容器に接続されるとき、前記容器(60)の少なくともカラー(62)を取り囲むように適合される、前記スカート(22)と、
前記中空スパイク(30)の少なくとも前記開口部(34)を密閉的に取り囲むように、前記中空スパイク(30)に取り付けられた、封止キャップ(50)であって、前記封止キャップ(50)が、閉じた遠位部分(52)と、開口部(54)を備えた近位部分(53)と、前記開口部から前記遠位部分に向かって延びる中空体(51)を含み、前記中空体(51)は、前記中空スパイク(30)に密閉的に係合するように構成され、前記封止キャップの前記近位部分(53)は、前記フランジ(21)に設けられた溝(16)に、密閉的に、および、少なくとも部分的に挿入されるように構成され、前記封止キャップの前記近位部分(53)が、前記溝(16)の内面に半径方向に当接する、前記封止キャップ(50)と、
を含むことを特徴とするコネクタ(2)。
【請求項2】
請求項
1のコネクタであって、前記スカート(22)が、半径方向内側に延びる、少なくとも1つのリム(25)を含み、前記リム(25)は、前記スカート(22)が前記容器(60)に接続されるとき、前記容器(60)の前記カラー(62)の凹部(64)に係合するように構成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項
1のコネクタであって、前記スカート(22)は、前記容器(60)に接続されるとき、半径方向外向きに偏向するように適合されることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項
1のコネクタであって、前記スカート(22)は、凹部(23)によって互いに分離された複数の可撓性タブ(24)を備え、前記可撓性タブ(24)は、前記スカート(22)が、前記容器(60)に接続されるとき、半径方向外向きに偏向するように構成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項のコネクタであって、スカート(22)が、前記スパイク(30)よりも遠位に延びることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項のコネクタであって、前記中空スパイク(30)の前記内部容積(32)は、前記注入装置の前記先端(42)に固定された、前記注入装置(40)の針(47)を収容するように構成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項のコネクタであって、前記封止キャップは、さらに、中空体(51)から半径方向外向きに突出するリング(58)を含み、前記リング(58)は、前記封止キャップ(50)を、前記中空スパイク(30)に保持するために、前記封止キャップ(50)が、前記中空スパイク(30)に取り付けられるとき、スカート(22)に当接するように構成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
請求項
2と組み合わせた請求項
7のコネクタであって、前記リング(58)は、前記封止キャップ(50)が、前記中空スパイク(30)に取り付けられるとき、前記スカート(22)の前記リム(25)に当接するように構成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項9】
請求項
7または
8のコネクタであって、前記リング(58)が、前記封止キャップ(50)と一体であることを特徴とするコネクタ。
【請求項10】
請求項
1~
9のいずれか一項のコネクタであって、前記封止キャップ(50)の前記遠位部分(52)は、前記封止キャップ(50)が、前記中空スパイク(30)に取り付けられたとき、スカート(22)から遠位に突出するように構成され、前記中空スパイク(30)に封止キャップ(50)を取り付け、また、前記中空スパイク(30)から前記封止キャップ(50)を取り外すために、使用者によって取り扱われるように構成された、グリップ部分(80)を含むことを特徴とするコネクタ。
【請求項11】
請求項
10のコネクタであって、前記グリップ部分(80)は、前記スカート(22)から突出するステム(81)と、前記ステム(81)に実質的に垂直であるように構成されたフランジ(83)を備え、前記フランジ(83)は、封止キャップを操作するために使用者の指の間で把持されるように構成されるハンドルとして機能することを特徴とするコネクタ。
【請求項12】
アセンブリ(1)であって、
-バレル(41)、バレルから遠位に延びる先端(42)、および、前記先端の周りに延びるスリーブ(44)を含む、医療用注入装置(40)であって、前記スリーブ(44)が、内側ねじ部分を備える、前記医療用注入装置(40)と、
請求項1から
11のいずれか一項のコネクタ(2)を含み、
前記コネクタ(2)の前記近位部分(10)は、前記スリーブ(44)の前記ねじ部分(45)とねじ係合し、前記医療用注入装置(40)の先端(42)に密閉的に係合することを特徴とするアセンブリ(1)。
【請求項13】
請求項
12のアセンブリであって、前記医療用注入装置(40)が、先端(42)に打ち込まれた針(47)を含み、前記針が、前記コネクタ(2)の前記中空スパイク(30)内に延びることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項
13のアセンブリであって、前記針(47)が、前記スパイクの前記開口部(34)まで、前記中空スパイク(30)内に延びることを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項
14のアセンブリであって、前記針(47)の注出口(49)と、前記スパイク(30)の前記開口部(34)は、半径方向に互いに面していることを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
請求項
12から
15のいずれか一項のアセンブリであって、前記バレル、前記先端、および、前記スリーブは、単一片として一体的に形成されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
請求項
12から
16のいずれか一項のアセンブリであって、前記医療用注入装置(40)が充填済みシリンジであり、前記コネクタが、請求項
7から
11のいずれか一項のコネクタであり、前記封止キャップが、前記中空スパイク(30)に取り付けられることを特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
貫通可能なセプタム(63)によって密封された容器(60)から、医療用注入装置(40)に、配合物を移送するための方法であって、前記方法は、
先端(42)と、前記先端の周りに延びるスリーブ(44)を備えた、充填済み医療用注入装置(40)であって、前記スリーブ(44)は、ねじ部分(45)を備える、前記充填済み医療用注入装置(40)と、前記スリーブ(44)の前記ねじ部分(45)を介して、前記先端にねじ込まれた、請求項1から
11のいずれか一項のコネクタ(2)と、を用意する工程と、
前記コネクタの前記遠位部分(20)を、容器に係合させることによって、前記コネクタ(2)を、前記容器(60)に接続する工程であって、前記中空スパイク(30)は、それにより、前記容器(60)のセプタム(63)を貫通する、前記接続する工程と
前記スパイク(30)の前記内部容積(32)を通して、前記注入装置(40)に含まれる第1の配合物を、前記容器(60)に移送する工程と、
前記第1の配合物を、前記容器(60)内に含まれる第2の配合物と混合する工程と、
前記混合された配合物を、前記容器(60)から前記注入装置(40)に引き戻す工程と、
前記注入装置(40)を、前記コネクタ(2)からねじ戻す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項
18の方法であって、前記コネクタは、前記中空スパイク(30)に取り付けられた、請求項
7から
11のいずれか一項による封止キャップ(50)を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項
19の方法であって、前記コネクタ(2)を、前記容器(60)に接続する前に、前記封止キャップ(50)が、前記スパイク(30)から取り除かれ、前記スパイク(30)および前記開口部(34)を露出させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用注入装置を容器に接続するためのコネクタに関する。本発明は、また、コネクタで、注入装置を容器に接続することにより、容器に含まれる配合物を、医療用注入装置に充填する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤包装の分野では、例えば、凍結乾燥薬剤、粉末薬剤、または、薬剤の活性物質の形で、通常「バイアル」と呼ばれる医療容器に、薬剤内容物を保管することが知られている。バイアルは、通常、ガラス製であり、アルミニウム製のキャップで捲縮されたエラストマーセプタムで密閉される。セプタムの中央にあるエラストマーの一部は、再構成する手順の前に、医療専門家によって取り除かれ得る、プラスチック部品またはアルミニウム部品で覆われており、医療専門家は、シリンジなどの注入装置の針で穿刺され得る、ゴムの中央部分にアクセスし得る。
【0003】
薬剤を再構成するために、通常、使用者は、使い捨てのプラスチックシリンジを使用し、アンプルまたはバイアルから、凍結乾燥した薬剤または粉末薬剤を含むバイアルに、希釈液を移す。希釈剤が、すでに、通常ガラス製の充填済みシリンジに保存される場合、医療専門家は、シリンジから、凍結乾燥薬または粉末薬を含むバイアルに、希釈剤を、直接移す。医療専門家は、この移送のために、バイアルのゴム製セプタムを穿刺するための針を使用する。
【0004】
しかし、この方法は、かなりの数の工程を含む。
【0005】
さらに、全工程中、針の先端は、針シールドの取り外し、バイアルのセプタムの穿刺、および/または、針の挿入中の位置ずれによって、損傷を受け得る。損傷した、または、曲がった針は、薬剤の注入中に、患者の負傷をもたらし得る。
【0006】
既知の工程の別の主要な欠点は、再構成工程の間、シリンジの針が、自由で、保護されないままであるということである。これは、使用者だけでなく、患者や、針に触れることになる、いかなる周囲の人にとっても、事故の高いリスクを意味し、針刺し損傷を引き起こし得る。
【0007】
さらに、使用者が、再構成された薬剤を、バイアルから針を介して引き抜くとき、バイアル内の薬剤の量が減少するにつれて、使用者は、バイアルに挿入された針の部分の長さを調整する必要がある。実際的な方法では、使用者は、シリンジをバイアルから引き離すことによって、容器からゆっくりと針を引き戻す必要があり、これにより、針の開口部は、常に薬剤と接触したままであり、換言すると、薬剤の表面の下になる。
【0008】
この取り扱いは、実行するのが困難であるだけでなく、バイアル内での針のそのような動きは、バイアル内に残っているかなりの量の薬剤の損失をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、医療用容器に接続されることを意図されたプラグと、プラグから延在する針と、針の周りに配置された密封スリーブと、貫通部材を有する基部とを含むサブアセンブリ、を含む、接続装置を記載する。基部は、サブアセンブリを収容するように構成された内部容積を画定する。貫通部材は、バイアルのセプタムを穿刺するように構成され、針を収容するように適合された内部容積を画定し、バイアル内に含まれる薬剤を再構成するために、針に接続された医療用容器からバイアルに、配合物を移送するための開口部を含む。
【0011】
しかし、この接続装置は、長期保管用の希釈剤が充填された充填済みシリンジに接続され得ず、単に、即時保管用の使い捨て装置として設計される。実際、接続装置がシリンジに接続されるとき、針は密封されない。したがって、シリンジの内容物の無菌性が保証され得ない。
【0012】
さらに、貫通部材が露出され、これは、使用者または装置の周りの人に対する傷害の危険を意味する。
【0013】
本発明は、先に詳述した欠点を克服するコネクタを提供することを目的とする。その点で、本発明は、シリンジ類のような、事前充填された医療用注入装置を、バイアル類のような、容器に接続するための、コネクタを提供することを目的とし、それは、使用および用意するために、より直感的であり、減少した数の構成部品を含み、再構成された薬剤を移送するための全体的な工程数を減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明の1つの対象は、遠位先端と、先端の周りに延びるスリーブを有し、スリーブは、内側ねじ部分を備える、医療用注入装置を、貫通可能なセプタムによって閉鎖された容器に接続するためのコネクタであって、コネクタは、
-注入装置の先端と密閉的に係合するように構成された近位部分であって、近位部分は、スリーブの内側ねじ部分に取り外し可能にねじ込まれるように構成された外側ねじ部分を含む、近位部分と、
-容器に接続されるように構成された遠位部分と、
-近位部分から遠位に延びる中空のスパイクであって、スパイクは、注入装置と流体接続するように構成された内部容積を有し、スパイクは、遠位部分が容器に接続されるときに、容器の穿刺可能なセプタムを穿孔するように構成され、スパイクは、遠位端に開口部を含み、開口部は、医療用注入装置と容器との間に流体接続を作成するように構成される、中空のスパイクと、を含む。
【0015】
スリーブと近位部分のねじ部分は、注入装置とコネクタの間を流れる配合物のいかなる漏れをも防止する、注入装置とコネクタの間の、堅固で、信頼性の高い、密封された接続を確実にし、それは、長期保存の充填済みシリンジにとって特に重要である。さらに、コネクタを注入装置にねじ込み、また、ねじ戻すことは、例えば、スナップイン接続とは異なり、簡単かつ迅速であり、物理的な力を必要としない。
【0016】
本発明の装置の他の任意の特徴は、以下のものである。
-遠位部分は、中空スパイクの周りに延びるスカートを含み、スカートは、容器に接続されたとき、少なくとも容器のカラーを囲むように適合される。したがって、スカートは、コネクタと容器間の、堅固で、信頼できる接続を確実にする。
-スカートは、半径方向内側に延びる少なくとも1つのリムを含み、リムは、スカートが容器に接続されたとき、容器のカラーの凹部に係合するように構成される。リムは、特に保管中に、コネクタが容器から近位方向に引き離されるのを防止する。
-スカートは、容器に接続されるとき、半径方向外向きに撓むように適合される。これは、スカートが、容器のカラーの寸法に適合することを可能にする。コネクタを容器に接続するのは、したがって、簡単である。
-スカートは、凹部によって互いに分離された、複数の可撓性タブを備え、可撓性タブは、スカートが容器に接続されるとき、半径方向外向きに撓むように構成される。可撓性タブは、スカートをより柔軟にし、スカートは、容器のカラーに、さらにフィットする。
-スカートは、スパイクよりも遠位に延び得る。それにより、スカートは、容器のセプタムを突き刺すときに、スパイクの中心合わせを容易にするガイドとして機能する。
-代わりに、スパイクは、スカートよりも遠位に延び得る。
-一実施形態によれば、中空スパイクの内部容積は、注入装置の先端に固定された、注入装置の針を収容するように構成される。このようにして、中空のスパイクは、針を覆う。コネクタを容器に接続すると、スパイクは、容器のセプタムを突き刺し、その中に封入されている針に手が触れないようにする。これは、針のいかなる変形、損傷をも防止する。
-コネクタは、少なくとも中空スパイクの開口部を密封して囲むように、中空スパイクに取り付けられた、封止キャップを備える。コネクタの使用前に、通常は保管中に、封止キャップは、スパイクに取り付けられる。より詳細には、コネクタは、予め配合物を充填された注入装置に接続され、封止キャップが、スパイクを覆うように、スパイクに被せられる。封止キャップは、スパイク、特にスパイクの開口部を、外側から密閉して隔離し、それは、配合物の汚染のリスクを低減させる。さらに、封止キャップは、スパイクの尖端を覆い、それによって、使用者が、スパイクと、これに封入された針で、自分自身または周囲のいかなる人をも、刺すことを防止する。コネクタが、充填済みシリンジに接続されると、封止キャップは、また、スパイクを閉じ、さらに、充填済みシリンジを閉じ得る。
-スカートは、フランジを含み、封止キャップは、閉じた遠位部分、開口部が設けられた近位部分、および、開口部から遠位部分に向かって延びる中空体を含み、中空体は、中空スパイクに密閉的に係合するように構成され、封止キャップの近位部分は、フランジに設けられた溝に、密閉的に、および、少なくとも部分的に挿入されるように構成され、封止キャップの近位部分は、溝の内面に半径方向に当接する。したがって、中空スパイクの密閉は、最適である。
-封止キャップは、さらに、中空体から半径方向外側に突出するリングを含み、リングは、封止キャップを中空スパイクに保持するため、封止キャップが中空スパイクに取り付けられたとき、スカートに当接するように構成される。リングとスカートの組み合わせは、封止キャップが、コネクタの滅菌、取り扱い、および/または、輸送中に、外されるのを防止する。
-リングは、封止キャップが中空スパイクに取り付けられたとき、スカートのリムに当接するように構成される。そのようにして、スカートは、コネクタを容器に接続するために使用されるだけでなく、スカートは、封止キャップが引っ張り取られるのを防止する。
-リングは、好ましくは、封止キャップと一体である。これは、封止キャップの製造を容易にする。例えば、リングを備える封止キャップは、成形によって作られる。
-封止キャップの遠位部分は、封止キャップが中空スパイクに取り付けられたとき、スカートから遠位方向に突き出るように構成され、中空スパイクに封止キャップを取り付けたり取り外したりするため、使用者が手に取るように構成された、グリップ部分を含む。
-グリップ部分は、スカートから突出するステムと、ステムに実質的に垂直なフランジを含み、フランジは、使用者の指の間で握られ、封止キャップを操作するように構成された、ハンドルとして機能する。
-コネクタは、存在する場合、封止キャップを除いて、好ましくは、単一部品である。言い換えると、コネクタの近位部分、遠位部分、および、スパイクは、単一の材料片で作られ、それは、コネクタを事前に組み立てる必要なく、簡単に使用可能にする。封止キャップは、スパイクに取り付けるように構成された、別の部品からなる。
【0017】
本発明の別の対象は、
-遠位先端と、先端の周りに延びるスリーブを備える医療用注入装置と、
-前述のコネクタと、を含む、アセンブリであり、コネクタの近位部分は、スリーブのねじ部分とねじ係合し、医療用注入装置の先端と密封係合する。
【0018】
このアセンブリは、長期保管を可能にするための大きな利点を有する。
【0019】
本発明のアセンブリの他の任意の特徴は、以下のものである。
-医療用注入装置は、先端に打ち込まれた針を含み、針は、コネクタの中空スパイク内に延びる。
-針は、スパイクの開口部まで中空スパイクの中に延びる。針の注出口とスパイクの開口部は、斜めに、または、実質的に半径方向に、向かい合う。したがって、配合物は、針の注出口からスパイクの開口部に、直接通過するか、あるいは、スパイクの開口部から針の注出口に通過する。これは、スパイクの内容積と配合物の接触を制限し、圧力損失を制限する。
-あるいは、医療用注入装置は、いかなる打ち込まれた針をも含まなくてよく、針は、再構成後に、医療用注入装置上に組み付けられる。
-医療用注入装置は、好ましくは、充填済みシリンジである。
-充填済みシリンジは、好ましくは、薬剤を再構成するために、容器に含まれる凍結乾燥薬剤または粉末薬剤と混合されることが意図された、希釈剤で満たされる。
-異なる実施形態によれば、医療用注入装置は、プラスチックまたはガラスのバレルを含み得る。
-異なる実施形態によれば、バレル、先端、および、スリーブは、単一の部品として一体的に形成され得、または、バレルは、ガラスで、先端およびスリーブが、プラスチックであり得る。
-医療用注入装置は、充填済みシリンジであり、コネクタは、上記のような封止キャップを含むコネクタであり、封止キャップは中空スパイクに取り付けられる。
【0020】
本発明の別の対象は、貫通可能なセプタムによって密封された容器から、医療用注入装置に、配合物を移す方法であり、この方法は、
-先端と先端の周りに延びるスリーブを備え、スリーブが、ネジ部を備える、充填済み医療用注入装置と、スリーブのネジ部を介して先端にねじ込まれる、前述のコネクタと、を用意する工程、
-コネクタの遠位部分を容器と係合させることによって、コネクタを容器に接続する工程であって、中空スパイクは、それにより、容器のセプタムを穿孔する、接続する工程、
-スパイクの内部容積を介して注入装置に含まれる第1の配合物を容器に移す工程、
-第1の配合物を、容器に含まれる第2の配合物と混合する工程、
-混合された配合物を、容器から注入装置に引き戻す工程、
-注入装置をコネクタからねじ戻す工程、を含む。
【0021】
再構成中の工程数を減らすことは、潜在的な汚染のリスクと針刺し事故のリスクを減少させることを可能にする。
【0022】
本発明の方法の他の任意の特徴は、以下のものである。
-コネクタは、中空スパイクに取り付けられた上記のような封止キャップを含む。
-コネクタを容器に接続する前に、封止キャップは、スパイクと開口部を露出させるために、スパイクから取り外される。
-第1の配合物は希釈剤であり、第2の配合物は薬剤内容物であり、移送および混合工程は、薬剤を再構成するために行われる。
-医療用注入装置の針は、前記医療用注入装置の先端に打ち込まれる。
-方法は、さらに、注入装置をコネクタから外した後、注入装置の先端に、取り外し可能に針を取り付けることを含む。
-容器は好ましくはバイアルである。
-バイアルは、凍結乾燥された薬剤または粉末薬剤で満たされ得る。
【0023】
本発明は、また、遠位先端および先端の周りに延在するスリーブを有する医療用注入装置を、貫通可能なセプタムによって閉鎖された容器に接続するためのコネクタに関し、コネクタは、
-注入装置の先端に密封係合し、スリーブに接続されるように構成された近位部分と、
-容器に接続されるように構成された遠位部分と、
-近位部分から遠位に延びる中空のスパイクであって、スパイクは、注入装置と流体接続するように構成された内部容積を有し、スパイクは、遠位部分が容器に接続されるときに、容器の貫通可能なセプタムを穿孔するように構成され、スパイクは、遠位端に開口部を含み、開口部は、医療用注入装置と容器との間に流体接続を生成する、スパイクと、
-少なくとも中空スパイクの開口部を密封して取り囲むように、中空スパイクに取り付けられた封止キャップと、を含む。
【0024】
注入装置とコネクタは互いに密閉接続されており、このことは、注入装置とコネクタの間を流れる配合物のいかなる漏れも防止する。これは、長期保管の充填済みシリンジにとって特に重要である。
【0025】
コネクタを使用する前、通常は保管中に、封止キャップが、スパイクに取り付けられる。より詳細には、コネクタは、予め配合物を充填された注入装置に接続され、封止キャップが、スパイクを覆うために、スパイクに取り付けられる。封止キャップは、スパイク、特にスパイクの開口部を、外側から密閉して隔離し、このことは、配合物の汚染のリスクを低減する。さらに、封止キャップはスパイクの尖端を覆い、それによって、使用者が、自分自身、または、周囲の人を、スパイク、および、これに封入された針で、刺傷することを防止する。コネクタが充填済みシリンジに接続される場合、封止キャップは、また、スパイクを閉じ、次いで、充填済みシリンジを閉じることを可能にする。
【0026】
本発明の装置の他の任意の特徴は、以下のものである。
-医療用注入装置のスリーブは、内側ねじ部分を備え、近位部分は、スリーブの内側ねじ部分に取り外し可能にねじ込まれるように構成された外側ねじ部分を備える。スリーブのねじ部分と近位部分は、注入装置とコネクタの間の、堅固で、信頼性の高い、密封された接続を確実にし、さらに、注入装置とコネクタの間を流れる配合物のいかなる漏れをも防止する。さらに、コネクタを注入装置にねじ込み、外すことは、簡単かつ迅速であり、例えば、スナップイン接続とは異なり、物理的な力を必要としない。
-遠位部分は、中空スパイクの周りに延びるスカートを含み、スカートは、容器に接続されたときに、少なくとも容器のカラーを囲むように適合される。したがって、スカートは、コネクタと容器間のしっかりとした信頼できる接続を確実にする。
-スカートは、半径方向内向きに延びる少なくとも1つのリムを含み、リムは、スカートが容器に接続されたときに、容器のカラーの凹部に係合するように構成される。リムは、特に保管中に、コネクタが容器から、近位方向に引き離されるのを防止する。
-スカートは、容器に接続されるときに、半径方向外側に偏向するように適合される。これは、スカートが、容器のカラーの寸法に適合することを可能にする。したがって、コネクタを容器に接続するのは、簡単である。
-スカートは、凹部によって互いに分離された、複数の可撓性タブを備え、可撓性タブは、スカートが容器に接続されるときに、半径方向外向きに撓むように構成される。可撓性タブは、スカートをより柔軟にし、スカートは、容器のカラーにさらにフィットする。
-スカートは、スパイクよりも遠位に延び得る。それにより、スカートは、容器のセプタムを突き刺すときに、スパイクの中心合わせを容易にする、ガイドとして機能する。
-代わりに、スパイクは、スカートよりも遠位に延び得る。
-一実施形態によれば、中空スパイクの内部容積は、注入装置の先端に固定された注入装置の針を収容するように構成される。このようにして、中空のスパイクは、針を覆う。コネクタを容器に接続すると、スパイクは、容器のセプタムを突き刺し、その中に封入されている針に触れられないようにする。これは、針の変形や損傷を防止する。
-スカートは、フランジを含み、封止キャップは、閉じた遠位部分、開口部が設けられた近位部分、および、開口部から遠位部分に向かって延びる中空体を含み、中空体は、中空スパイクに密封係合するように構成され、封止キャップの近位部分は、フランジに設けられた溝に、密封するように、および、少なくとも部分的に、挿入されるように構成され、封止キャップの近位部分は、溝の内面に半径方向に当接する。したがって、中空スパイクの密閉は、最適である。
-封止キャップは、さらに、中空体から半径方向外側に突出するリングを含み、リングは、封止キャップが中空スパイクに取り付けられたとき、スカートに当接するように構成され、封止キャップを中空スパイクに保持する。リングとスカートの組み合わせは、コネクタの滅菌、取り扱い、および/または、輸送中に、封止キャップが外されるのを防止する。
-リングは、封止キャップが中空スパイクに取り付けられたとき、スカートのリムに接するように構成される。そのようにして、スカートは、コネクタを容器に接続するために使用されるだけでなく、スカートは、封止キャップが外されるのを防止する。
-リングは、好ましくは、封止キャップと一体である。これは、封止キャップの製造を容易にする。例えば、リングを備えた封止キャップは、成形によって作られる。
-封止キャップの遠位部分は、封止キャップが中空スパイクに取り付けられたとき、スカートから遠位方向に突出するように構成され、中空スパイクに封止キャップを取り付け、または、取り外すため、使用者によって取り扱われるように構成される、グリップ部分を備える。
-グリップ部分は、スカートから突き出たステムと、ステムに実質的に垂直なフランジを備え、ステムは、封止キャップを操作するために、使用者の指の間で把持されるように構成された、ハンドルとして機能する。
-コネクタは、好ましくは、存在する場合に、封止キャップから離れた、単一部品である。言い換えると、コネクタの近位部分、遠位部分、および、スパイクは、単一片の材料で作られ、このことは、コネクタを、事前に組み立てる必要なく、簡単に使用できるようにする。封止キャップは、スパイクに取り付けるように構成された、別の部品で構成される。
【0027】
本発明の別の対象は、
-バレルと、バレルから遠位に延びる先端と、この先端の周りに延びるスリーブを含む、医療用注入装置と、
-上述のコネクタと、
を含む、アセンブリであって、コネクタの近位部分は、医療用注入装置の先端と密閉的に係合する、アセンブリである。
【0028】
このアセンブリは、長期保管を可能にする大きな利点を有する。
【0029】
本発明のアセンブリの他の任意の特徴は、以下のものである。
-医療用注入装置は、先端に打ち込まれた針を含み、針は、コネクタの中空スパイク中に延びる。
-針は、スパイクの開口部まで、中空スパイク中を延びる。針の注出口、および、スパイクの開口部は、互いに、斜めに、または、実質的に半径方向に、向かい合う。したがって、配合物は、針の注出口からスパイクの開口部に、あるいは、スパイクの開口部から針の注出口に直接通過する。これは、スパイクの内部容積と配合物の接触を制限し、圧力損失を制限する。
-あるいは、医療用注入装置は、打ち込まれた針を含まなくてもよく、針は、再構成後に医療用注入装置に組み立てられ得る。
-医療用注入装置は、好ましくは、事前に充填されたシリンジである。
-事前に充填されたシリンジは、薬剤を再構成するために、容器に含まれる、凍結乾燥された薬剤または粉末の薬剤と混合されることを意図した、希釈剤で、好ましくは、満たされる。-異なる実施形態によれば、医療用注入装置は、プラスチックまたはガラスのバレルを含み得る。
-異なる実施形態によれば、バレル、先端、および、スリーブは、単一片として一体的に形成され得るか、または、バレルは、ガラスであり得、先端およびスリーブは、プラスチックである。
-医療用注入装置は、事前充填されたシリンジである。
【0030】
本発明の別の対象は、貫通可能なセプタムによって密封された容器から、医療用注入装置に、配合物を移送するための方法であり、この方法は、
-先端および先端の周りに延びるスリーブを備える充填済み医療用注入装置と、予めスリーブに接続された、上述のコネクタと、を用意する工程と、
-コネクタの遠位部分を容器に係合することによってコネクタを容器に接続する工程であって、それによって、中空スパイクが容器のセプタムを穿孔する、接続する工程と、
-スパイクの内部容積を通して、注入装置に含まれる第1の配合物を容器に移す工程と、
-第1の配合物を、容器に含まれる第2の配合物と混合する工程と、
-混合された配合物を、容器から注入装置に引き戻す工程と、
-注入装置をコネクタから分離する工程と、を含む。
【0031】
再構成の間の工程数を減らすことは、潜在的な汚染リスクと針刺し損傷のリスクを減らし得る。
【0032】
本発明の方法の他の任意の特徴は、以下のものである。
-コネクタを容器に接続する前に、スパイクと開口部を露出させるために、封止キャップは、スパイクから取り外される。
-第1の配合物は希釈剤であり、第2の配合物は薬剤内容物であり、移送および混合工程は、薬剤を再構成するために実行される。
-医療用注入装置の針は、医療用注入装置の先端に打ち込まれる。
-方法は、さらに、注入装置をコネクタから分離した後、注入装置の先端に、針を取り外し可能に取り付けることを含む。
-容器は好ましくはバイアルである。
-バイアルは、凍結乾燥薬剤または粉体の薬剤で満たされ得る。
【0033】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明のコネクタの実施形態の側面図である。
【
図2】コネクタを医療用注入装置に接続することによって得られるアセンブリであって、医療用注入装置が、それに取り付けられた針を有する先端と、先端の周りに延びるスリーブを備える、アセンブリの第1の実施形態の側断面図である。
【
図3】コネクタを医療用注入装置に接続することによって得られるアセンブリであって、医療用注入装置は、針のない先端と、先端の周りに延びるスリーブとを備える、アセンブリの第2の実施形態の側断面図である。
【
図4】コネクタと注入装置が、接続される前に互いに接近させられる、
図1のコネクタの斜視図である。
【
図5】コネクタおよび注入装置が、
図2のアセンブリを形成するために、互いに接続される、
図1のコネクタの側面図である。
【
図6】第1の実施形態による封止キャップが、コネクタの中空スパイクから取り外されている、
図2のアセンブリの斜視図である。
【
図7】注入装置に含まれる第1の配合物を移送するために、注入装置が、コネクタを介して、容器に接続される、
図2のアセンブリの側面図である。
【
図8】
図7の注入装置、コネクタ、および、容器の側断面図である。
【
図9】配合物を引き抜いた後、注入装置が、コネクタから取り外され、コネクタは、容器に接続されたままである、注入装置およびコネクタの側面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態による、注入装置が、コネクタから完全に取り外された、注入装置およびコネクタの側面図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態による、注入装置が、コネクタから完全に取り外された、注入装置およびコネクタの側面図である。
【
図12】使い捨て針が、注入装置に取り付けられるように適合された、本発明の第2の実施形態による注入装置の側面図である。
【
図13】第2の実施形態による封止キャップが、コネクタの中空スパイクに取り付けられた、本発明のアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の対象は、医療用注入装置を、貫通可能なセプタムによって閉鎖された容器に接続するためのコネクタである。コネクタの実施形態が、
図1に示される。
【0036】
互いに接続されたコネクタおよび注入装置は、アセンブリを形成し、その第1および第2の実施形態が、
図2および3に示される。
【0037】
図2に示される第1の実施形態によれば、コネクタ2は、針47を備えた注入装置40に接続される。注入装置は、好ましくは、充填済みシリンジである。
【0038】
図3に示される第2の実施形態によれば、コネクタ2は、針を備えない注入装置40に接続される。注入装置は、好ましくは、充填済みシリンジである。さらに説明されるように、別個の針70は、注入装置をコネクタから分離した後においてのみ、注入装置40に取り外し可能に接続される。
【0039】
以下では、第1および第2の実施形態の両方が、並行して説明されるであろう。
【0040】
図1、
図2および
図3を参照すると、コネクタ2は、長手方向軸Aに沿って延びる。コネクタ2は、注入装置40の先端42に接続されるように構成される近位部分10、容器60に接続されるように構成される遠位部分20、および、遠位部分20が容器に接続されると、容器のセプタム63を突き刺すように構成された中空スパイク30を含む。容器60は、好ましくはバイアルである。
【0041】
注入装置の先端42は、バレル41から遠位方向に延び、有利には、円筒形または切頭円錐形である。
【0042】
スリーブ44は、先端の周りに、先端から半径方向に離れて延在し、それにより、先端とスリーブとの間に、ハウジング46を画定する。
【0043】
スリーブ44は、先端の外面43に面するねじ部45が設けられた、内面を含む。
【0044】
先端とスリーブのそのような組み合わせは、ルアーロック(商標)接続具として知られているが、本発明は、この名称で販売されている接続具に限定されない。
【0045】
一実施形態によれば、バレル、先端、および、スリーブは、プラスチック射出成形によって、単一の部品として作られる。別の実施形態によれば、バレルはガラスで作られるが、先端およびスリーブはプラスチックで作られる。
【0046】
コネクタの近位部分10は、中空の内容積12を囲む本体11を含む。本体の外面には、スリーブ44の内面の対応するねじ部45にねじ込まれるように構成された、ねじ部13が設けられる。本体の内面は、先端とのしっかりとした接続を確保するために、先端の外面と相補的な形状を有する。
【0047】
コネクタ2は、本体11のねじ部13とスリーブ44のねじ部45をねじ込むことにより、コネクタの本体11を、先端とスリーブとの間のハウジング46に挿入することによって、注入装置40に接続される。同時に、注入装置の先端42は、近位部分の遠位領域14まで、近位部分の内容積12に挿入される。
【0048】
図4は、接続前のコネクタ2と注入装置40の軸Aに沿った位置合わせを示し、得られたアセンブリ1の概略の側面図が、
図5に示される。
【0049】
コネクタの近位部分10を注入装置のスリーブ44にねじ込むことは、コネクタ2と注入装置40との間の堅固で密封された接続を確実にし、コネクタと注入装置の互いに対するいかなる動きも防止し、アセンブリ1から、アセンブリの外部への漏れを防ぐ。
【0050】
コネクタの遠位部分20は、近位部分10の遠位領域14から半径方向外向きに延びるフランジ21と、フランジから遠位方向に延びるスカート22を含む。
【0051】
スカート22は、容器のカラー62に接続されるように適合される。そのために、スカートは、カラーの形状と一致する実質的に円筒形の形状を有する。したがって、容器に接続されると、スカートは、容器のカラーを囲む。スカート22は、半径方向内向きに延びる少なくとも1つのリム25を備え得る。このようなリム25は、スカート22が容器に接続されると、容器60のカラー62の凹部64に当接するように構成され、それにより、コネクタ2が、容器60から近位方向に引き離されるのを防止する。特に、このようなリムは、保管中にコネクタが誤って外れるのを防ぐ。
【0052】
好ましい実施形態によれば、スカート22は、凹部23によって互いに分離された複数の可撓性タブ24を備え、タブは、スカートを容器に接続するために、半径方向外側に偏向するように適合される。これにより、スカートは、カラーの寸法にさらに適合し、スカートの容器への接続をより容易にする。
【0053】
タブ24は、それらの遠位端に、半径方向内向きに延びるリム25を備える。スカート22が容器60に接続されると、タブ24はカラーの凹部64に当接し、それにより、コネクタ2が容器60から近位方向に引き離されるのを防止する。特に、このようなリムは、保管中にコネクタが誤って外れるのを防ぐ。
【0054】
好ましい実施形態によれば、タブ24は中空部分26を含む。中空部分の存在は、製造中のコネクタの離型を容易にし、タブの撓み能力をさらに高める。さらに、コネクタの重量が軽減される。
【0055】
中空スパイク30は、外面37によって境界が定められた円筒形状を有し、フランジ21から軸Aに沿って、スカート22の内部空間27内で遠位に延在する。中空スパイク30の遠位端は、コネクタ2が容器60に接続されるときに、容器の突き刺し可能なセプタム63を穿孔するように構成された、尖端35を備える。スパイクの内部容積32は、コネクタの近位部分の内容積12と流体連通する。
【0056】
好ましい実施形態によれば、中空スパイク30はスカート22によって完全に覆われる。したがって、スカートは、使用者が自分や周りの人を刺すリスクを軽減する、剛性カバーとして機能する。さらに、スカートは、穿刺可能なセプタム63に対して、スパイクを自動中心合わせすることを可能にし、したがって、スパイクによる穿刺可能なセプタム63の穿刺を容易にする。
【0057】
好ましくは、スカートは、中空スパイク30の尖端35から1mm突き出る。
【0058】
図1に示されるように、スカート22は、スパイク30よりも遠位方向に延びる。
【0059】
好ましい実施形態によれば、スパイク30は、近位部分から離れるように先細りになる先細りの管33と、その尖端35までさらに遠位に延びる直管31を備える。
【0060】
スパイク30は、尖端35に近い開口部34を含む。開口部34は、容器60がそれに接続されたとき、医療用注入装置40と容器60の間に流体接続を作り出す。
【0061】
コネクタ2は、有利には単一片で作られる。言い換えると、近位部分10、遠位部分20、および中空スパイク30は、プラスチック材料などの単一の材料片で形成される。適切な材料の例はポリプロピレンである。
【0062】
アセンブリ1はさらに、中空封止キャップ50を含む。封止キャップ50の第1の実施形態が、
図2から
図6に示され、第2の実施形態が、
図13から
図16に示される。
【0063】
封止キャップは、閉じた遠位部分52、開口部54が設けられた近位部分53、および、開口部から遠位部分に向かって延びる中空体51を含む。封止キャップは、コネクタ2を容器60に接続する前、特にコネクタの保管中に、スパイク30上に配置される。スパイクに取り付けられるとき、封止キャップ50は、スパイク30を密封して覆い、特に、スパイクの少なくとも開口部34を覆う。したがって、封止キャップ50は、アセンブリの近くにいる人のいかなる怪我も防ぐ。同じ目的で、封止キャップは、好ましくは、ゴムまたは熱可塑性エラストマーなどのエラストマー材料のような、可撓性材料で作られる。
【0064】
さらに、封止キャップ50は、保管中に外部環境からのスパイクの汚染を防止する。
【0065】
封止キャップの中空体51は、スパイク30の封止キャップの中空体への挿入を可能とするため、スパイクの形状と一致する形状を有する。
図2および3では、封止キャップの中空体は、スパイクの尖端に一致するように遠位に先細りとなる円筒形状を有する。
【0066】
図13から
図16に示す第2の実施形態によれば、封止キャップの近位部分53は、コネクタ2のフランジ21に封止的に挿入されるように構成される。特に、封止キャップの近位端55は、スパイク30の基部38の周りでフランジ21に設けられた溝16に挿入される。これは
図15にはっきりと示される。そのようにして、封止キャップの近位端55は、溝16内に把持され、コネクタのフランジ21に半径方向に当接する。より大きな当接面を提供するために、フランジ21は、そこから遠位に、スパイクの基部38の周りに延びる、リム15を備え得る。この当接は、スパイク30上に、封止キャップの近位部分53を維持するとともに、スパイクの最適な封止を確実にする。この当接は、封止キャップが可撓性材料で作られる場合に、特に有用であり、封止キャップの近位端55は、材料の性質のせいで、半径方向外向きに延びる傾向がある。
【0067】
このように、中空スパイク30の最適な封止は、
-スパイクの基部38から尖端35までの、スパイク30に沿った、封止キャップの内面56とスパイクの外面37との間の接触、および/または、
-スパイクの基部38における、封止キャップの外面57と溝16またはリム15の内面の間の接触、によって達成される。
【0068】
有利には、封止キャップは、さらに好ましくは、封止キャップ50から、および、その周りに、半径方向に突出するリング58を備える。リング58は、好ましくは、封止キャップと一体である。リング58および封止キャップは、好ましくは同じ材料で作られる。リング58は、封止キャップ50が中空スパイク30に取り付けられたときに、スカート22のリム25に当接するように構成される。この当接は、コネクタの滅菌、取り扱い、および/または、輸送中に、封止キャップ50が外れることを防止する。
【0069】
有利には、封止キャップ50の遠位部分52は、封止キャップ50が中空スパイク30に取り付けられたときに、スカートから遠位方向に突出するように構成された、グリップ部分80を含む。グリップ部分80は、好ましくは、封止キャップと一体である。グリップ部分80および封止キャップは、好ましくは同じ材料で作られる。グリップ部分80は、中空スパイク30に封止キャップ50を取り付け、または、取り外すために、使用者によって取り扱われるように構成される。
【0070】
グリップ部分80は、好ましくは、封止キャップの残余の部分から、長手方向軸Aに平行に遠位方向に延びる、ステム81を含む。ステム81は、リングから遠位に延在し、使用者の指がスカート22に接触することなく、使用者によって掴まれるように、スカートから十分に突出し、それにより使用者によるスカートの汚染を防止する。
【0071】
ステムの外面82は、有利には、外面82での使用者の指のつかみを改善する、グリップマークを備え得、それにより、封止キャップの位置決めおよび取り外しを容易にする。グリップ部分80は、ステム81に実質的に垂直なフランジ83をさらに含む。フランジ83は、封止キャップを容易に取り扱うために、使用者が掴み得るハンドルとして機能する。特に、封止キャップ50を取り扱うとき、使用者の親指が、フランジ83の遠位表面84に当接し、使用者の人差し指および中指が、フランジの近位表面85に当接し得、これは、スカート22のリム25に対するリング58の当接によって引き起こされる抵抗を克服するのを助けることによって、封止キャップの取り外しを容易にする。
【0072】
図16に示される実施形態によれば、封止キャップ50は、グリップ部分80のステム81から半径方向外向きに延びる、好ましくは実質的に円形の、傘部86を備え得る。傘部86は、スカート22に面する近位面87と、近位面の反対側の遠位面88を含む。
【0073】
傘部86は、好ましくは、封止キャップが近位方向にスカートに向かって押されたときに、スカート22に当接するように構成される。そのために、傘部86の直径は、コネクタが、傘部86の遠位面88から観察されるとき、有利には、スカート22を覆うように、スカート22の直径と実質的に等しいか、または、それよりも大きい。
【0074】
スパイク30から封止キャップ50を取り外すとき、傘部は、使用者の指がスカート22に接触するのを防ぎ、それにより、封止キャップ50を取り外すときに使用者によるスカートの汚染を防ぐ。
【0075】
図15および
図16に示される注入装置40は、針47を備えるが、当然のことながら、封止キャップ50は、針のない注入装置に取り付けられ得る。
【0076】
穿刺可能なセプタムによって密封された容器から、医療用注入装置に、配合物を移す方法が、
図4から
図12を参照して、以下に説明される。
【0077】
最初に、
図4に示されるように、コネクタ2は、コネクタの近位部分を注入装置の先端42にねじ込むことによって、注入装置40に接続される。このために、近位部分の本体11は、ハウジング46に挿入され、コネクタおよび注入装置のそれぞれのねじ部13、45のねじ込みを確実にするために回転させられる。注入装置の先端42は、近位部分の内部容積に挿入され、針47は、存在する場合、スパイク30に封入される。得られたアセンブリ1が、
図5に示される。
【0078】
第1の実施形態によれば、スパイク30は、針の一部を取り囲む。針47は、軸Aに沿って、注入装置の先端42から、スパイクの内部容積32に沿って、さらに遠位に、スパイクの遠位端まで延びる。針47は、先端42に打ち込まれ得る。
【0079】
第1の実施形態によれば、針の注出口49は、好ましくは、斜めに、または、実質的に半径方向に、スパイクの開口部34に面する。
【0080】
スパイク30が、事前に、封止キャップ50によって覆われている場合、
図6に示されるように、封止キャップは、スパイク30および開口部34を露出させるために、取り外される。
【0081】
図7を参照すると、次に、コネクタ2が、容器60に接続される。コネクタの遠位部分20は、容器60と係合し、スパイクの尖端35は、容器のセプタム63を貫通する。
【0082】
この構成では、コネクタのスカート22は、容器のカラー62にしっかりと取り付けられ、カラーを取り囲む。
【0083】
開口部34を含むスパイクの一部は、容器60の内部に貫通する。遠位部分20のフランジ21は、容器のカラー62に当接するので、スパイク30は、容器の内部でさらに遠位に進むことができない。したがって、存在する場合、そこに封入された針の部分48を含む、所定の長さのスパイクの部分36が、容器内に配置される。スパイクのこの部分36の長さは、スパイク自体の長さ、および、遠位部分20の構造に依存し、コネクタが設計されるときに調整され得る。
【0084】
スカート22は容器に接触し、タブ24はカラー62を覆う。タブ24は、接続を容易にするために、有利には、半径方向外向きに撓み得る。タブのリム25は、カラーの凹部64に当接し、それにより、コネクタ2が容器から分離されるのを防ぐ。したがって、容器60は、コネクタ2に対して固定位置に維持される。
【0085】
スパイク30は、スカートの内部空間27に、軸Aに沿って延在し、スカートは、容器のカラーを囲むので、スパイク30は、容器のセプタム63の上面65に対して、中心に置かれる。このことは、スパイク、および、存在する場合は、これに取り囲まれる針の、セプタムの上面65の中心での挿入を可能にし、スパイク30は、アルミニウムで覆われていない、通常、エラストマーで作られた、セプタムの中央部分66を貫通する。針47は、スパイク30によって保護されるので、針47は、セプタムまたは容器の壁に接触せず、したがって、針47のいかなる変形も防止される。
【0086】
スカート22が、スパイク30よりも遠位に延在すると、スカート22は、スパイクがセプタムから近位に離れているとき、容器のカラー62に係合し始める。したがって、スカートのおかげで、スパイクは、セプタム63の上面65に対して中心に置かれ、容器へのコネクタの完全な係合まで、セプタムの中央部分66に案内される。
【0087】
図8に見られるように、コネクタ2は、スパイク30が、容器のセプタム63に挿入されるとき、スパイクの開口部34が、セプタムに対して、セプタムの近くで、わずかに遠位に配置されるように構成される。
【0088】
次に、注入装置に含まれる第1の配合物が、第2の配合物で予め満たされた容器に移される。そのために、使用者は、注入装置のプランジャーロッド(図示せず)を、遠位方向に押す。
【0089】
第1の実施形態によれば、配合物は、針47に沿って流れ、針の注出口49を通過し、開口部34を介してスパイク30から放出されて、容器60に移される。針の注出口49がスパイクの開口部34に面する場合、第1の配合物は、針の注出口からスパイクの開口部に、直接通過し、これは、第1の配合物と、スパイクの内部容積との接触を制限し、圧力損失を制限する。
【0090】
第2の実施形態によれば、配合物は、スパイクの内壁に接触して、スパイク30に沿って流れ、開口部34を介してスパイクから排出され、容器60に移される。
【0091】
次に、第一の配合物が、第二の配合物と混合される。そのために、使用者は、アセンブリ1と容器60の両方を手に取り、混合を可能にするため、それらを穏やかに振り動かし得る。
【0092】
次に、混合された配合物は、注入装置に引き戻される。
【0093】
そのために、アセンブリ1および容器60は、上下逆さまにされ、使用者は、注入装置のプランジャーロッドを引っ張り、それにより、スパイクを通して吸引作用を生成させる。この位置では、スパイクの開口部34は、容器に残っている配合物の量に関係なく、混合された配合物に浸されたままである。したがって、容器に挿入されたスパイクの部分36の長さを調整する必要なしに、完全な引き出しが達成され得る。言い換えると、使用者は、引き抜きが続く限り、針が混合配合物中に浸されたままにするために、従来技術のように、容器に対して針を動かす必要がない。このことは、容器に挿入された針の部分の長さを調整するために、使用者が複雑で不正確な操作を行わねばならないことを省き、注入装置と容器との間の移送を、はるかに速く簡単にする。
【0094】
第1の実施形態によれば、吸引作用は、また、針47において生成される。混合された配合物は、スパイクの開口部34および針の注出口49を介して、容器60から針47に流れ込み、次いで、注入装置のバレル61に移される。
【0095】
針の注出口49が、スパイクの開口部34に面する場合、混合された配合物は、スパイクの開口部34から針の注出口49に直接通過し、これは、配合物の、内壁との接触を制限し、圧力損失を制限する。
【0096】
第2の実施形態によれば、混合された配合物は、容器60から、スパイクの開口部34を介して、スパイクの内部容積32に流れ込み、次いで、注入装置のバレル61に移される。
【0097】
引き抜きの間、コネクタの近位部分と、注入装置の先端およびスリーブとの間の接続は、アセンブリの密封を確実にし、アセンブリから、アセンブリの外部へのいかなる漏れも防止する。
【0098】
図9および10を参照すると、注入装置40は、次に、コネクタ2から分離される。このために、近位部分の本体11が回転させられて、コネクタおよび注入装置のそれぞれのねじ付き部分13、45のねじ戻しをもたらす。注入装置の先端42は、近位部分の内部容積を離し、存在する場合、針47は、スパイク30から除去される。コネクタ2は、容器60に接続されたままであり、さらに廃棄され得る。
【0099】
第1の実施形態によれば、混合された配合物を含む注入装置は、その後、使用される用意ができている。
【0100】
第2の実施形態によれば、
図11および12に示されるように、針70が、注入装置を容器から分離した後、注入装置の先端42に取り外し可能に取り付けられる。
【0101】
針70は、好ましくはスリーブにねじ込むことにより、注入装置の先端42とスリーブ44との間のハウジング46に挿入される、その取付部71を介して、注入装置に固定される。
【0102】
好ましい実施形態によれば、上記の方法は、薬剤の再構成に関し、第1の配合物は、希釈剤であり、第2の配合物は、例えば、凍結乾燥された、薬剤または薬剤の活性物質のような、薬剤内容物である。