(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】一時支持板およびそれを用いてコアレス基板を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/04 20060101AFI20230428BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B32B15/04 A
H05K1/03 630H
(21)【出願番号】P 2021100605
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】202010592220.3
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521133551
【氏名又は名称】ズハイ アクセス セミコンダクター シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai Access Semiconductor Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】チェン ケンメイ
(72)【発明者】
【氏名】ペン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジダ
(72)【発明者】
【氏名】フアン ベンキア
(72)【発明者】
【氏名】フェン レイ
(72)【発明者】
【氏名】シェ ビンセン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ジュン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/104328(WO,A1)
【文献】特開2016-004812(JP,A)
【文献】特開2013-247201(JP,A)
【文献】特開2015-109392(JP,A)
【文献】特開2014-150250(JP,A)
【文献】特開2012-186442(JP,A)
【文献】特開2016-034007(JP,A)
【文献】特開2016-025306(JP,A)
【文献】特開2015-144148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0198564(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104885581(CN,A)
【文献】特開2014-049645(JP,A)
【文献】特開2018-137727(JP,A)
【文献】特開2019-121763(JP,A)
【文献】特開2015-170770(JP,A)
【文献】国際公開第2006/033346(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0314519(US,A1)
【文献】特開2013-021294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
H05K 1/03
3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層と、前記コア層の
上部表面上の第1の銅箔層と、前記コア層の
下部表面上の第2の銅箔層と、を含む一時支持板であって、
前記第1の銅箔層および前記第2の銅箔層のそれぞれは、2層銅箔を含み、
前記2層銅箔は、外層銅箔と内層銅箔とを含み、
前記外層銅箔と前記内層銅箔とはともに物理的に付着されており、
前記外層銅箔の幅は前記内層銅箔の幅よりも小さく、前記内層銅箔の外縁領域を露出し、
前記第1の銅箔層と前記第2の銅箔層の表面上にエッチングレジスト層が施されると共に、前記外縁領域は前記エッチングレジスト層により被覆され、
前記エッチングレジスト層はニッケル層を含む、一時支持板。
【請求項2】
前記コア層は、少なくとも1層の半硬化層を含む、請求項1に記載の一時支持板。
【請求項3】
前記コア層は、2層の
積層された半硬化層を含
み、
前記半硬化層の一方の層は、前記第1の銅箔層と接着し、
前記半硬化層の他方の層は、前記第2の銅箔層と接着している、請求項2に記載の一時支持板。
【請求項4】
前記コア層は半硬化層の間に挟み込まれた銅張積層板をさらに含む、請求項2に記載の一時支持板。
【請求項5】
前記内層銅箔の厚さは前記外層銅箔の厚さよりも大きい、請求項1に記載の一時支持板。
【請求項6】
前記外層銅箔の厚さは2~5μmであり、前記内層銅箔の厚さは15~20μmである、請求項5に記載の一時支持板。
【請求項7】
前記エッチングレジスト層は前記ニッケル層
を覆う銅層をさらに含む、請求項1に記載の一時支持板。
【請求項8】
前記ニッケル層の厚さは5~10μmであり、前記銅層の厚さは2~5μmである、請求項7に記載の一時支持板。
【請求項9】
(a)請求項1に記載の一時支持板を製造するステップと、
(b)
基板を形成するために前記一時支持板の両面に
絶縁層を積層するステップと、
(c)前記内層銅箔の外周縁と重ねたダイシングラインに沿って全体的に切断するステップと、
(d)
前記2層銅箔
の前記内層銅箔と前記外層銅箔とをそれぞれ分離させ
、前記内層銅箔を有する前記一時支持板を除去することによって、
前記外層銅箔と前記外層銅箔を覆う前記エッチングレジスト層とを有する第1
および第2のコアレス基板を取得するステップと、を含む、コアレス基板を製造する方法。
【請求項10】
ステップ(a)は、
(a1)前記コア層の両面に、ともに物理的に圧着付着される前記2層銅箔である前記第1の銅箔層と前記第2の銅箔層をそれぞれ圧着するステップと、
(a2)前記第1の銅箔層と前記第2の銅箔層にフォトレジスト層を塗布するとともに露光して現像して、前記フォトレジスト層の外周縁と前記第1および第2の銅箔層の外周縁とは一定の距離をおいて露出した外縁領域を形成するステップと、
(a3)前記第1および第2の銅箔層の前記内層銅箔を露出するまで、前記外縁領域の前記外層銅箔をエッチングするステップと、
(a4)前記フォトレジスト層を除去するステップと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)は、
(a5)前記フォトレジスト層の除去後、前記第1および第2の銅箔層の表面に前記外縁領域を被覆する前記エッチングレジスト層を施すステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コア層は、少なくとも1層の半硬化層または半硬化層の間に挟み込まれた銅張積層板を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(d)は前記2層銅箔の中間から機械的外力で前記外層銅箔と前記内層銅箔を分離させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記機械的外力で前記外層銅箔と前記内層銅箔を分離させたとき、前記外層銅箔と前記内層銅箔との間の分離角度は30度~60度である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(e)前記第1のコアレス基板と前記第2のコアレス基板における前記
外層銅箔と前記エッチングレジスト層をエッチング除去するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一時支持板に関し、具体的にコアレス基板を製造するための一時支持板およびコアレス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、すべての電子製品の部品は軽薄短小化が求められており、そのために、部品を負荷する回路基板もますます薄くなるように求められている。従来の工程はコア基板を回路基板として用いてきたが、コア基板の厚さは例えば0.06mmに達し可能でも、工程作製の過程で、設備能力でこのように薄い基板を搬送することを満足することが非常に難しく、しかも人員の基板送りおよび卸しも制御不可能な基板切れ、基板折れのリスクをもたらしやすく、製品の歩留まりを大幅に下げる。
【0003】
そのため、コアレス基板の技術が必要に応じて生まれた。コアレス基板の技術の骨子は、一時支持板で基板をあらかじめ一定の厚さまで増層し、厚さ0.08mm、0.1mmのような設備と人員が安全に操作できる厚さに達してから、一時支持板を取り除いて、その後の工程フローを完成することである。従って、一時支持板は、コアレス基板の前期増層作業の肝要な要素である。
【0004】
中国特許公報CN101241861B(特許文献1)には、多層コアレス支持構造物とその製造方法が開示されており、銅板のような金属支持板を一時支持板として用いる。前期の増層を完成した後で、通常エッチングの方法で該金属支持板を除去する。金属支持板は、0.2mm~0.3mmの厚さを持ってこそ、支持強度とコストの面で最適な組み合わせを実現でき、この厚さの銅板のような金属支持板は一般的に圧延方式で作られており、銅板の表面に多数の凹凸があることは避けられず、深さは3~8μm程度である。通常、電気めっきまたは気相成長法の方式を用いて金属支持板上にエッチングレジスト層を1層作製し、このレジスト層は銅箔における欠陥を転写するのみである。金属支持板をエッチング除去する過程で、エッチングを完成するには少なくとも0.25~0.35mmのエッチング量が必要であるが、エッチング液は欠陥箇所を通ってレジスト層を貫通したり、上方の線路層や銅柱層をエッチングしたりすることが容易であり、コアレス基板では一般的に薄い線路層(10~40μm)と銅柱(30μm)であり、支持板をエッチングするエッチング量よりも遥かに小さいため、金属支持板で作製された製品の不良率が高い。また、厚さが0.2mm~0.3mmの金属支持板は重く、人員の運搬、設備の吸着と搬送が困難であり、量産に不利であり、しかもコストも高い。
【0005】
特許公報TWI425900B(特許文献2)には、コアレス基板の製造方法および回路基板の製造方法が開示されており、銅張積層板を一時支持板として用い、銅張積層板に必要に応じて銅張積層板に接着できるが後工程の圧着の絶縁層と接着しない耐熱膜を導入し、このような耐熱膜は絶縁層をそのまま圧着するため、埋め込み回路と直接されることができず、製品設計が限られ、セットされた新しい設備と補助薬剤が必要とされるため、コストが高く、普及し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許第101241861号明細書
【文献】台湾特許第I425900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
明らかなように、上記従来技術の技術案は、1)コストが高く、歩留まりが低く、操作し難く、しかも片側の増層作業しかできず、生産率が低いことと、2)新しい設備と材料(例えば、新しい膜張り設備、新しい現像設備と薬液、新しい膜除去薬液材料など)を使用する必要があり、普及率が低く、工程適合性が低く、コストが高く、しかも工程による製品の設計にかなり制限があること、という技術的欠陥がある。
【0008】
本発明は、従来の技術における技術的欠陥を克服するように、コアレス基板を製造するには適用可能な一時支持板を提供することを一つの目的とする。本発明は該一時支持板を利用してコアレス基板を製造する方法を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの方面では、コア層と、前記コア層の両側表面における第1の銅箔層と第2の銅箔層とを含む一時支持板であって、前記第1の銅箔層と第2の銅箔層とがともに物理的に付着される2層銅箔である一時支持板を提供する。
【0010】
ある実施の形態において、前記コア層は、少なくとも1層の半硬化層を含む。好ましくは、前記コア層は、互いに接着された2層の半硬化層を含み、第1の銅箔層と第2の銅箔層がそれぞれ接着される。代替案として、前記コア層は半硬化層の間に挟み込まれた銅張積層板をさらに含んでもよい。好ましくは、前記コア層の厚さは0.1~0.5mmである。
【0011】
ある実施の形態において、前記2層銅箔は外層銅箔と内層銅箔を含み、内層銅箔の厚さは外層銅箔の厚さよりも大きい。好ましくは、外層銅箔の厚さは2~5ミクロンであり、内層銅箔の厚さは15~20ミクロンである。より好ましくは、外層銅箔の厚さは3ミクロンであり、内層銅箔の厚さは18ミクロンである。
【0012】
ある実施の形態において、外層銅箔の幅は内層銅箔の幅よりも小さく、内層銅箔の外縁領域を露出する。
【0013】
ある実施の形態において、第1の銅箔層と第2の銅箔層の表面にエッチングレジスト層が施されるとともに、外層銅箔と内層銅箔との間のスリットをシールするように前記エッチングレジスト層が前記外縁領域を被覆する。好ましくは、前記エッチングレジスト層はニッケル層を含む。より好ましくは、前記エッチングレジスト層は前記ニッケル層における銅層をさらに含む。好ましくは、前記ニッケル層の厚さは5~10ミクロンであり、前記銅層の厚さは2~5ミクロンである。
【0014】
他の方面では、
(a)請求項1~11のいずれか1項に記載の一時支持板を製造するステップと、
(b)前記支持板の両面にそれぞれ増層操作を行うステップと、
(c)前記内層銅箔の外周縁と重ねたダイシングラインに沿って全体的に切断するステップと、
(d)それぞれ前記2層銅箔を中間から分離させて一時支持板を除去することによって、第1のコアレス基板と第2のコアレス基板を取得するステップと、
を含むコアレス基板を製造する方法を提供する。
【0015】
ある実施の形態において、ステップ(a)は、
(a1)コア層の両面に、ともに物理的に圧着付着される2層銅箔である第1の銅箔層と第2の銅箔層をそれぞれ圧着するステップと、
(a2)第1の銅箔層と第2の銅箔層にフォトレジスト層を塗布するとともに露光して現像して、フォトレジスト層の外周縁と第1および第2の銅箔層の外周縁とは一定の距離をおいて露出した外縁領域を形成するステップと、
(a3)第1および第2の銅箔層の内層銅箔を露出するまで、前記外縁領域の外層銅箔をエッチングするステップと、
(a4)前記フォトレジスト層を除去するステップと、をさらに含む。
【0016】
ある実施の形態において、ステップ(a)は、(a5)フォトレジスト層の除去後、第1および第2の銅箔層の表面に前記外縁領域を被覆するエッチングレジスト層を施すステップをさらに含む。好ましくは、前記エッチングレジスト層はニッケル層を含む。より好ましくは、前記エッチングレジスト層は前記ニッケル層における銅層をさらに含む。好ましくは、前記ニッケル層の厚さは5~10ミクロンであり、前記銅層の厚さは2~5ミクロンである。
【0017】
ある実施の形態において、前記コア層は、少なくとも1層の半硬化層または半硬化層の間に挟み込まれた銅張積層板を含む。
【0018】
ある実施の形態において、ステップ(d)は前記2層銅箔の中間から機械的外力で外層銅箔と内層銅箔を分離させることを含む。好ましくは、機械的外力で外層銅箔と内層銅箔を分離させたとき、外層銅箔と内層銅箔との間の分離角度は30度~60度である。
【0019】
ある実施の形態において、前記方法は、(e)第1のコアレス基板と第2のコアレス基板における内層銅箔とエッチングレジスト層をエッチング除去することをさらに含む。
【0020】
ある実施の形態において、前記方法は、第1および第2のコアレス基板で引き続き増層して最終製品を形成することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明をよく理解し、本発明の実施の形態を示すために、単に例を挙げて図面を参照する。現在、具体的に図面を参照して、強調しなければならないのは、具体的な図面が単なる例示であり、本発明の好ましい実施の形態を模式的に検討する目的であり、図面が最も役に立つとともに、本発明の原理と概念を理解しやすい説明であると確信しているため図面を提供するものである。これについては、本発明の構造の詳細を、本発明の基本的な理解に必要な詳細レベルを超えて図示しようとはしなかった。図面において、
【0022】
【
図1】
図1は本発明に係る一時支持板の側面図である。
【
図2(a)】
図2(a)は本発明に係る一時支持板の2種類の重ね合わせ形態のうちの1つの側面図である。
【
図2(b)】
図2(b)は本発明に係る一時支持板の2種類の重ね合わせ形態のうちの1つの側面図である。
【
図3(a)】
図3(a)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(b)】
図3(b)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(c)】
図3(c)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(d)】
図3(d)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(e)】
図3(e)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(f)】
図3(f)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(g)】
図3(g)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【
図3(h)】
図3(h)は本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造するステップの中間構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、コアレス基板を製造するための一時支持板に関するものであり、一時支持板はコアレス基板製造工程の初期支持板として一時的支持の役割を果たし、通常の厚さ範囲は0.1mm~0.5mmである。
【0024】
図1に示すように、一時支持板100は、コア層140と、コア層140の両側表面における第1の銅箔層141と第2の銅箔層142とを含み、第1の銅箔層141と第2の銅箔層142とがともに物理的に付着される2層銅箔である。通常、2層銅箔が物理的なラミネートによって結合されており、互いに化学結合が存在せず、物理的に付着されるだけなので、後工程の基板分離と一時支持板を除去する操作が容易である。
【0025】
図2を参照し、厚さの要求とコストの総合的な要素の下で、通常、コア層140と銅箔層141、142は2種類の重ね合わせ形態がある。
図2(a)に示すように、重ね合わせ形態1は、内部の全部で半硬化層120を使用し、上下両面にそれぞれ2層銅箔110を1枚ずつ付け、温度圧力の条件下で圧着を完成する。
図2(b)に示すように、重ね合わせ形態2は、銅張積層板130の両側に一定の厚さの半硬化層120を重ね合わせてから、上下両面にそれぞれ2層銅箔110を1枚ずつ付け、温度圧力の条件下で圧着を完成する。2種類の形態における半硬化層120の厚さと枚数は限らず、最終的な厚さの要求に応じて選択でき、半硬化層120はガラス繊維を内部に有するエポキシ樹脂材料である。銅張積層板(CCL、copper clad laminate)は、従来のPCBと基板工程の初期材料であり、銅張積層板を使用することで厚さとコストをさらに低減できる。
【0026】
2層銅箔110は外層銅箔111と内層銅箔112を含み、通常、外層銅箔111の厚さは2~5ミクロンであり、好ましくは3ミクロンであり、内層銅箔112の厚さは15~20ミクロンであり、好ましくは18ミクロンである。
【0027】
一時支持板100の 外層銅箔111は内層銅箔112の表面に被覆されるだけなので、一定の厚さのコアレス基板増層工程および繰返した熱応力(例えば、圧着と金属スパッタリング工程)と機械的応力(例えば、研磨プレート研磨工程)を経たら、外層銅箔111と内層銅箔112の間のエッジが離れる可能性がある。特に、電気めっき、エッチング、膜除去などの薬液のある工程を経たら、外層銅箔111と内層銅箔112が離れているスリット内に水蒸気が溜まり、2層銅箔が工程途中で破裂(爆板)しやすく、製品が完全に失効するだけである。
【0028】
そのために、水蒸気の侵入を防止するように外層銅箔111と内層銅箔112との間のエッジにシールを施す必要がある。好ましい実施の形態の一つとして、外層銅箔111の幅が内層銅箔112の幅よりも小さくなるように2層銅箔110を製作することによって、内層銅箔112の外縁領域160を露出することができる。さらに、2層銅箔の表面にエッチングレジスト層を施し、エッチングレジスト層が外縁領域160を覆うようにすることで、2層銅箔のエッジを完全にシールし、水蒸気の侵入を防止する役割を果たす。エッチングレジスト層は、ニッケル層を含むことができ、好ましくはニッケル層に銅層をさらに有する。
【0029】
本発明に係る一時支持板は上下両面にともに2層銅箔を有するため、コアレス基板を製造する過程で両側での同時的な増層を実現でき、コア層140を除去した後、一枚の基板が2枚のコアレス基板となることによって、加工コストを著しく低減できる。
【0030】
図3(a)~(h)は、本発明に係る一時支持板を用いてコアレス基板を製造する方法ステップの中間構造を模式的に示す。
図3を参照し、該方法は、コア層140と2層銅箔を有する第1の銅箔層141および第2の銅箔層142とを含む一時支持板100を取得することを含む。銅箔層141、142の表面にフォトレジスト層150を施すとともに露光し現像する(
図3aを参照し、ただし、片側のみが示されている)。
【0031】
コア層140は少なくとも1枚の半硬化層PPでもよく、半硬化層PPの間に挟み込まれた銅張積層板CCLでもよい。後工程での基板強度への要求を満たすように、コア層140の厚さは通常0.1~0.5mmである。
【0032】
フォトレジスト 層150は露光現像の後で基板におけるほとんどの領域を保留し、周辺外縁領域160のみを露出する。外縁領域160から基板のエッジまでの幅は、通常基板図形の無効領域よりも小さく、例えば、510×410mmのパネルを例として、板面の有効領域が500×400mmであり、X方向とY方向における無効領域の幅はともに10mmであるため、X方向とY方向における外縁領域160の幅は2~6mmでもよい。外縁領域のサイズは実際の状況に応じて確定でき、本発明はこれを限定しない。
【0033】
本発明において、フォトレジスト層150は高い解析率を必要とせず、低コストの製品を採用することができ、膜除去反応時間を短くするように、厚さは通常15~25ミクロンである。
【0034】
次に、フォトレジスト層150をレジスト層として利用し、第1および第2の銅箔層の内層銅箔112を露出するまで、一時支持板100の外縁領域160の外層銅箔111をエッチングする(
図3bを参照)。
【0035】
その後、フォトレジスト層150を除去する(
図3cを参照)。
【0036】
一時支持板100の上下両面に同時に基板全体にエッチングレジスト層170を1層電気めっきする(
図3dを参照)。エッチングレジスト層170は、例えば、ニッケル層であり、厚さが5~10ミクロンでもよく、通常、ニッケル層表面の酸化や汚染を避けるためにニッケル層を電気めっきした後で2~5ミクロンの銅層をめっきする。エッチングレジスト層170は主に2層銅箔に対するシール作用を果たし、2層銅箔の外層と内層の銅箔111と112が工程の途中で分層したり水蒸気が侵入したりすることを防止する。
【0037】
次に、一時支持板100の両面にそれぞれ増層操作を行い、増層厚さが独立して後工程ができるようになった後、一時支持板100を切断する(
図3eを参照)。増層が完成した後、ダイシングライン180に沿って1週切断し、ただし、ダイシングライン180は2層銅箔の外層銅箔111のエッチング後の外縁と重なる。
【0038】
増層の完成とは、増層後の厚さが、一時支持板のコア層140を除去した後、工程で安全に搬送でき、板が折れ難く、ひどい板反りがないということを指し、絶縁層181を1層だけ増層してもよいし(
図3eに示すように)、多層絶縁層を増層してもよい。
【0039】
切断後、一時支持板100の2層銅箔111と112との接合エッジが露出され、2層銅箔110の外層銅箔111と内層銅箔112とを分離させることで一時支持板100のコア層140を除去でき(
図3fを参照)、第1のコアレス基板L1と第2のコアレス基板L2とを取得する。
【0040】
基板分離操作は、2層銅箔110の接合エッジに機械的外力を加えることで簡単に実現できる。
図3gは、2層銅箔の中間接合部から機械的外力で一時支持板100をどのように分離させるかを示す基板分離操作の実施例を示す。例えば、板2をテーブル面に固定し、角度30°~60°で基板2の2層銅箔に外力を加えるのは、角度が60度より大きいと基板1が基板折れになりやすいからである。基板2が基板分離を完成した後、再び基板1の面をテーブル面に固定し、同様の方法で基板1を分離させる。
【0041】
最後に、第1のコアレス基板と第2のコアレス基板における内層銅箔112とエッチングレジスト層170をエッチング除去できる(
図3hを参照)。これにより、1枚の一時支持板で二枚のコアレス基板を取得できる。これから、その後のコアレス基板に対する工程では、処理すべき基板の数が初期投入数の2倍になる。
【0042】
これにより取得したコアレス基板は加工に適した厚さと強度を持っており、更なる後工程を行って最終製品を取得できる。
【0043】
本発明に係る一時支持板は、両面にそれぞれ2層銅箔を形成することにより、一時支持板を除去する操作は2層銅箔を機械的に分離するだけで済み、基板分離操作が大幅に簡略化された。また、エッチングレジスト層で2層銅箔のエッジをシールすることで、2層銅箔が工程中に水蒸気の侵入などにより分層して爆板になることを防ぐことができる。しかも、本発明に係る一時支持板を利用してコアレス基板を製造するには、1層の極めて薄い銅箔をエッチングする必要があるだけであり、エッチング量が非常に少なく、上層の線路層や銅柱層を破壊することがなく、しかもエッチングコストが低減する。同時に、本発明に係る一時支持板は両面同時加工に適して、生産効率を著しく高めて、同時に、構造が簡単で基板分離が容易で、コアレス基板を製造するコストを大幅に低減した。
【0044】
当業者は、本発明は上記の具体的な図示と説明の内容に限らないことを意識する。そして、本発明の範囲は別紙の特許請求の範囲によって限定され、上記の各技術的特徴の組み合わせとサブ組み合わせ、およびその変化と改善を含み、当業者は上記の説明を読んだ後、このような組み合わせ、変化と改善を予見し得る。
【符号の説明】
【0045】
100 一時支持板、111 外層銅箔、112 内層銅箔、120 半硬化層、130 銅張積層板、140 コア層、141 第1の銅箔層、142 第2の銅箔層、150 フォトレジスト層、160 外縁領域、170 エッチングレジスト層、180 ダイシングライン、181 絶縁層、L1 第1のコアレス基板、L2 第2のコアレス基板。