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特許7270694配線システムを製造するための方法および配線システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】配線システムを製造するための方法および配線システム
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/02 20060101AFI20230428BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20230428BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20230428BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20230428BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20230428BHJP
   H01R 11/11 20060101ALN20230428BHJP
   H01R 4/18 20060101ALN20230428BHJP
【FI】
H01R43/02 B
H01R4/02 C
H02G1/14
H02G15/02
B23K20/10
H01R11/11 G
H01R11/11 H
H01R4/18 A
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021150732
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2022051698
(43)【公開日】2022-04-01
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】10 2020 124 705.2
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ブリュメル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン グレゴール
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110048282(CN,A)
【文献】特開2018-147823(JP,A)
【文献】独国特許発明第102013021278(DE,B3)
【文献】特開2017-027910(JP,A)
【文献】特開2009-202158(JP,A)
【文献】特開2013-004406(JP,A)
【文献】中国実用新案第209217310(CN,U)
【文献】特開2015-153604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/02
H01R 4/18
H02G 1/14
H02G 15/02
B23K 20/10
H01R 4/02
H01R 43/00
H01R 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車または電気自動車の充電ステーションにおいて電力を伝送する配線システム(10)を製造するための方法であって、
-少なくとも1つの導体(30)を有する電気ケーブル(20)と、終端部(85)を有するコンタクト要素(80)とが設けられ、
-ケーブル絶縁体(25)が、前記電気ケーブル(20)の第1のサブ部分(50)および第3のサブ部分(56)で除去され、前記ケーブル絶縁体(25)は、前記第1のサブ部分(50)からずれるように配置された前記電気ケーブル(20)の第2のサブ部分(55)で前記導体(30)に残り、
-前記第3のサブ部分(56)は、前記第1のサブ部分(50)の方を向く前記第2のサブ部分(55)の側で、前記第2のサブ部分(55)に長手方向に隣接して配置され、
-前記第1のサブ部分(50)で、前記導体(30)は第1の中心軸(65)に沿って延び、前記第2のサブ部分(55)で、前記導体(30)は第2の中心軸(70)に沿って延び、
-前記コンタクト要素(80)の前記終端部(85)は、製造機(300)のアンビル(305)に位置決めされ、
-前記導体(30)は、前記第1のサブ部分(50)によって、前記終端部(85)の終端面(95)に溶接され、
-溶接中、前記第1のサブ部分(50)は前記終端部(85)に押し付けられる、方法において、
-保持手段(320)が、前記第2のサブ部分(55)または前記第3のサブ部分(56)を少なくとも部分的に、好ましくはその全周にわたって取り囲み、
-前記保持手段は(320)、少なくとも前記第1のサブ部分(50)の圧縮および溶接中に前記第2のサブ部分(55)または前記第3のサブ部分(56)を支持し、前記第2のサブ部分(55)の位置を維持し、かつ、
-前記第1の中心軸(65)と前記第2の中心軸(70)の間の距離(H)を大きくするために、前記第1のサブ部分(50)の圧縮および溶接中に、前記アンビル(305)を前記終端部(85)に対して垂直な方向(z)に動かすことを特徴とする、方法。
【請求項2】
記第1の中心軸(65)と前記第2の中心軸(70)とは圧縮前には重なっており、
-前記第1のサブ部分(50)は、前記第1の中心軸(65)が前記終端面(95)に対して平行に向くように押圧されている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記第1の中心軸(65)と前記第2の中心軸(70)とは圧縮前には重なっており、
-前記第1のサブ部分(50)は、前記第1のサブ部分(50)と前記第2のサブ部分(55)とが互いに対して所定の角度(α)で配置されるように、前記第2のサブ部分(55)に対して曲げられている、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
-前記保持手段(320)は、圧縮および溶接中を通じて前記第2のサブ部分(55)の外輪郭が維持されるように、シール要素(130)と当接する接触面(131)の領域において前記第2のサブ部分(55)を取り囲む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
-ソノトロード(345)が、前記終端面(95)から離れる方を向く側で前記第1のサブ部分(50)に装着され、
-前記ソノトロード(345)は、前記終端面(95)の方向に作用する押圧力(FP)を前記第1のサブ部分(50)に導入し、
-前記第1のサブ部分(50)は、前記終端面(95)に対して横方向への偏向が制限されるように支持されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-前記導体(30)は、溶接前に、前記第1のサブ部分(50)および前記第2のサブ部分(55)にわたって元の断面積を有し、
-前記元の断面積は6mm2~150mm2であり、
-前記導体(30)は、前記第1のサブ部分(50)においてコンパクト化され、前記第1のサブ部分(50)の第1の断面積が前記元の断面積よりも小さい、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項によって製造される、自動車または充電ステーションにおける高電流伝送のための配線システム(10)であって、
-電気ケーブル(20)と、少なくとも1つのコンタクト要素(80)を有するコンタクト手段(15)とを有し、
-前記電気ケーブル(20)は、撚線の導体(30)とケーブル絶縁体(25)とを有し、
-前記コンタクト要素(80)は板状の終端部(85)を有し、
-前記電気ケーブル(20)の第1のサブ部分(50)で、前記導体(30)は、前記終端部(85)に溶接、特に超音波溶接され、前記ケーブル絶縁体(25)は、前記第1のサブ部分(50)からずれるように配置された前記電気ケーブル(20)の第2のサブ部分(55)で、前記導体(30)を少なくとも部分的に覆い
前記第1の中心軸(65)は、前記第2の中心軸(70)から前記終端部(85)に向かって所定の距離(H)および/または所定の角度(α)だけずれるように配置されている、配線システム(10)。
【請求項8】
-前記導体(30)は、前記第1のサブ部分(50)に第1の断面積を有し、
-前記導体(30)は、前記第2のサブ部分(55)に第2の断面積を有し、
-前記第1の断面積は前記第2の断面積よりも小さい、
請求項7に記載の配線システム(10)。
【請求項9】
-前記第1のサブ部分(50)は、前記第2のサブ部分(55)の前記第2の中心軸(70)に対して偏心して配置されている、
請求項7または8に記載の配線システム(10)。
【請求項10】
-前記第1の中心軸(65)は前記終端部(85)に平行に位置合わせされ、
-前記終端部(85)と前記第1の中心軸(65)との平行度が、前記第1のサブ部分(50)の範囲にわたって、±0.5mm、特に±0.2mm、特に±0.1mmの公差を有する、
請求項7から9のいずれか一項に記載の配線システム(10)。
【請求項11】
-前記第1の中心軸(65)および前記第2の中心軸(70)は共通平面に配置され、
-前記共通平面は、前記終端面(95)に対して傾斜し、好ましくは垂直に向けられている、
請求項7から10のいずれか一項に記載の配線システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の配線システムを製造するための方法、および請求項7に記載の配線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,854,637(B2)号は、導体が接触面の両側にそれぞれ超音波溶接されている配線システムである。
【0003】
2つの接触面間の配線領域における垂直方向の距離は、導体の撚線の向きに応じて、電気ケーブルの異なるバッチ間で大きく変化することがわかっている。そのため、製造機を電気ケーブルのバッチごとにリセットする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、自動車または自動車の充電ステーションにおいて電力を伝送する配線システムを製造するための改良された方法、およびこの方法を使用してしかるべく製造された配線システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の方法、および請求項7に記載の配線システムによって達成される。有利な実施形態は、従属請求項において特定される。
【0006】
配線システムを製造するための改善された方法が、少なくとも1つの、好ましくは撚線の導体を有する電気ケーブルと、終端部を有するコンタクト要素とが設けられるという点で、提供され得る。ケーブル絶縁体が、電気ケーブルの第1のサブ部分で除去され、ケーブル絶縁体は、第1のサブ部分からずれるように配置された電気ケーブルの第2のサブ部分で導体に残る。導体は、第1のサブ部分によって、終端部の終端面に溶接される。第1のサブ部分が終端部に超音波溶接されると特に有利である。溶接中、第1のサブ部分は終端部に押し付けられる。保持手段が、第2のサブ部分を少なくとも部分的に、好ましくはその全周にわたって取り囲む。保持手段は、少なくとも第1のサブ部分の圧縮および溶接中に第2のサブ部分を支持し、第2のサブ部分の位置を維持する。
【0007】
この設計は、支持により、第1のサブ部分に対する第2のサブ部分の位置が溶接後も維持されて、第2のサブ部分の望ましくない変形を防ぐという利点を有する。さらに、圧縮後に第1のサブ部分が沿って延びる第1の中心軸と、第2のサブ部分が沿って延びる第2の中心軸との間の距離を、狭い公差で規定することができる。
【0008】
第2のサブ部分がシール要素を貫通する場合、シール要素はケーブル絶縁体に対して周方向に完全に当接する。これにより、流体がケーブル絶縁体とシール要素との間を通ることを防ぐ。
【0009】
別の実施形態において、電気ケーブルの第1のサブ部分で、導体は第1の中心軸に沿って延びる。電気ケーブルの第2のサブ部分で、導体は第2の中心軸に沿って延びる。第1の中心軸と第2の中心軸とは圧縮前には重なっている。第1のサブ部分は、第1の中心軸が終端面に対して平行に向くように配される。この設計は、第1のサブ部分が、広い領域にわたって終端面に平行に延びるため、応力に関して良好な方法で終端面に溶接され得るという利点を有する。
【0010】
別の実施形態において、電気ケーブルの第1のサブ部分で、導体は第1の中心軸に沿って延び、電気ケーブルの第2のサブ部分で、導体は第2の中心軸に沿って延び、第1の中心軸と第2の中心軸とは圧縮前には重なっており、第1のサブ部分は、第1のサブ部分と第2のサブ部分とが互いに対して所定の角度で配置されるように、第2のサブ部分に対して曲げられている。これにより、第1のサブ部分と第2のサブ部分とは、互いに対して正しい角度で位置合わせされる。
【0011】
別の実施形態において、保持手段は、圧縮および溶接中を通じて第2のサブ部分の外輪郭が維持されるように、シール要素の接触面の領域において第2のサブ部分を取り囲む。この設計は、特にケーブル絶縁体が押しつぶされることを避けるという利点を有する。これにより、第1のサブ部分の中心軸の変位中および第1のサブ部分の溶接中における接触面への損傷を防ぐことができる。これにより、コンタクト手段のハウジングから電気ケーブルを通すための接触面、例えばシール手段において、確実な流体シールが保証される。特に、第2のサブ部分におけるケーブル絶縁体の同心性が保証される。
【0012】
別の実施形態において、ソノトロードが、終端面から離れる方を向く側で第1のサブ部分に装着される。ソノトロードは、終端面の方向に作用する押圧力を第1のサブ部分に導入し、第1のサブ部分は、終端面に対して横方向に傾斜して支持される。この設計は、第1のサブ部分が簡単な方法でコンパクト化(compacted,圧縮)され、超音波溶接中に導体の撚線が互いに溶接されるという利点を有する。
【0013】
別の実施形態において、導体は、溶接前に、第1のサブ部分および第2のサブ部分にわたって元の断面積を有し、元の断面積は6mm~200mmである。導体は、第1のサブ部分においてコンパクト化され、第1のサブ部分の第1の断面積が元の断面積よりも小さい。
【0014】
上記の方法によって製造される、自動車または充電ステーションにおける高電流伝送のための配線システムは、電気ケーブルと、少なくとも1つのコンタクト要素を有するコンタクト手段とを有する。電気ケーブルは、撚線の導体とケーブル絶縁体とを有する。コンタクト要素は終端部を有する。電気ケーブルの第1のサブ部分で、導体は終端部に溶接される。電気ケーブルの第1のサブ部分で、導体が終端部に超音波溶接されると特に有利である。ケーブル絶縁体は、第1のサブ部分からずれるように配置された電気ケーブルの第2のサブ部分で、導体を少なくとも部分的に覆う。第1のサブ部分で、導体は第1の中心軸に沿って延びる。第2のサブ部分で、導体は第2の中心軸に沿って延びる。第1の中心軸は、第2の中心軸から終端部に向かって所定の距離だけずれるように配置される。
【0015】
この設計は、第2のサブ部分が、シール要素を貫通するときに、シール要素によって全周にわたってシールされるように取り囲まれ、シール要素に間隙が形成されないという利点を有する。
【0016】
別の実施形態において、導体は、第1のサブ部分に第1の断面積を有し、第2のサブ部分に第2の断面積を有する。第1の断面積は第2の断面積よりも小さい。これは、コンパクト化によって実現される。したがって、コンタクト要素の終端部と第1のサブ部分との間の電気接触抵抗は特に小さい。
【0017】
別の実施形態において、第1のサブ部分は、第2のサブ部分の第2の中心軸に対して偏心して配置される。
【0018】
第1の中心軸は終端部に平行に位置合わせされ、終端部と中心軸との平行度が、第1のサブ部分の範囲にわたって、±0.5mm、特に±0.2mm、特に±0.1mmの公差を有すると特に有利である。
【0019】
配線システムの別の実施形態において、第1の中心軸および第2の中心軸は共通平面に配置され、共通平面は、終端面に対して傾斜し、好ましくは垂直に向けられる。
【0020】
以下で、図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態による、自動車または充電ステーションの配線システムの概略図である。
図2図1に示す配線システムを製造するための方法のフロー図である。
図3】第5の方法ステップ中の製造機および配線システムの側面図である。
図4】製造機および配線システムの、図3に示す断面A-Aに沿った断面図である。
図5】第6の方法ステップ中の、図3に示す断面B-Bに沿った断面図である。
図6】配線システムを製造するための第7の方法ステップ中の、製造機の一部の縦断面図である。
図7図1に示す配線システムを製造するための第2の実施形態による方法を実行する際の製造機の縦断面図である。
図8】第7の方法ステップ中の、図3に示す断面A-Aに沿った断面図である。
図9】第2の実施形態による、自動車または自動車を充電するための充電ステーションの配線システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の図1図3図9において、理解を助けるために座標系を参照する。座標系は、x軸(長手方向)、y軸(横方向)、およびz軸(垂直方向)を有する。
【0023】
図1は、第1の実施形態による、自動車または自動車を充電するための充電ステーションの配線システム10の概略図である。
【0024】
配線システム10は、少なくとも1つのコンタクト手段15と少なくとも1つの電気ケーブル20とを有する。実施形態において、コンタクト手段15は、例えば、自動車の充電ソケットとして実現される。コンタクト手段15は、例えば、電気自動車の充電ステーションの充電プラグとして実現することもできる。コンタクト手段15から離れる方を向く側で、電気ケーブル20は、例えば、自動車の電気駆動エネルギを貯蔵するための電気エネルギ貯蔵装置に電気的に接続される。
【0025】
電気ケーブル20は、ケーブル絶縁体25と導体30とを有する。導体30を、複数の撚線45を含む撚線束35から形成することができる。撚線45をねじって1つまたは複数の編組撚線40を形成することができ、編組撚線40をねじって導体30を形成することができる。導体30は、単一の編組撚線40のみを有していてもよい。
【0026】
撚線45は、極細に撚り合わされ、導電性材料、例えば銅および/またはアルミニウムを含む。他の導電性材料も明らかに可能である。導体30は、100アンペア~1000アンペア、好ましくは100アンペア~500アンペアの高電流範囲で電力を伝送するように設計される。
【0027】
電気ケーブル20は、少なくとも第1のサブ部分50と第2のサブ部分55とを有し、ケーブル絶縁体25は、第2のサブ部分55で導体30を周方向に覆う。ケーブル絶縁体25は、非導電性材料、例えばプラスチック、特にポリウレタンまたはシリコーンを含む。第1のサブ部分50では、ケーブル絶縁体25は導体30から周方向に除去されている。
【0028】
第1のサブ部分50は、電気ケーブル20の自由端140から始まる第1の中心軸65に沿って延びる。第1のサブ部分50の質量中心は、第1の中心軸65に位置する。第1のサブ部分50で、導体30は第1の断面積を有する。第1の断面積の第1の重心も第1の中心軸65に位置する。第1のサブ部分50は、例えば、略正方形の構成を有することができる。第1の中心軸65はx軸に平行である。
【0029】
第2のサブ部分55は、第2の中心軸70に沿って延びる。第2の中心軸70は、第1の中心軸65からずれた、第1の中心軸65に垂直な方向(z方向)に向けられる。第2のサブ部分55で、導体30は第2の断面積を有し、第2のサブ部分55における第2の断面積は6mm~150mmである。第2のサブ部分55の質量中心と導体30の重心とは、第2の中心軸70に位置する。第1の中心軸65と第2の中心軸70とは互いに平行である。この場合、第1の中心軸65および第2の中心軸70は共通平面に配置されていてもよい。共通平面はxz平面として実現され得る。第2の中心軸70は、第1の中心軸65からz方向に距離Hだけずれて配置されていてもよい。
【0030】
第2のサブ部分55において、導体30は、例えば略円形の第1の外輪郭を有することができる。第2のサブ部分55において、ケーブル絶縁体25は、導体30の第1の外輪郭と同心である。ケーブル絶縁体25は、第1の外周面60に第2の外輪郭を有し、第2の外輪郭は、例えば円形である。
【0031】
第1のサブ部分50および第2のサブ部分55に加えて、電気ケーブル20は、例えば、第3のサブ部分56および第4のサブ部分57を有することができる。第3のサブ部分56を省略してもよい。
【0032】
第3のサブ部分56および第4のサブ部分57では、第1のサブ部分50のように、ケーブル絶縁体25が除去されて、導体30が周方向に露出されるようになっている。第3のサブ部分56で、導体30は第2の断面積を有する。第3のサブ部分56は、第1のサブ部分50の方を向く第2のサブ部分55の側で、第2のサブ部分55に長手方向に隣接して配置される。第1のサブ部分50の方を向く側で、第4のサブ部分57は第3のサブ部分56に直接隣接して配置され、第3のサブ部分56は第4のサブ部分57を第2のサブ部分55に接続する。第4のサブ部分57で、導体30は、第2のサブ部分55および第3のサブ部分56に存在する第2の断面積から第1の断面積にテーパ状になる。第4のサブ部分57は、例えば、円錐台状に実現されるが、第2のサブ部分55および第3のサブ部分56は略円筒形である。
【0033】
第2のサブ部分55、第3のサブ部分56、および第4のサブ部分57で、撚線45は互いに周方向に当接することができる。しかしながら、撚線45は、材料結合によって互いに接合されるのではなく、せいぜい形状嵌合(form fit)によって、例えば、ねじって編組撚線40または撚線束35を形成することによって互いに接合される。撚線束35および撚線束35において延びる個々の撚線45は、ケーブル絶縁体25によっても、圧力嵌合(force-fit)および形状嵌合(form-fit)で共に保持される。第1のサブ部分50で、撚線45は、少なくとも部分的に、周方向に互いに溶接される。これにより、撚線45が第1のサブ部分50で互いに緩むことを防ぐ。
【0034】
さらに、第1のサブ部分50における導体30の電気抵抗は特に小さい。さらに、第1のサブ部分50の導体30は、第2のサブ部分55に対してコンパクト化される。これは、同数の撚線45の場合に、第1のサブ部分50の第1の断面積が、第2のサブ部分55の第2の断面積に対して縮小されることを意味する。
【0035】
コンタクト手段15は、コンタクトハウジング75と少なくとも1つのコンタクト要素80とを有する。コンタクト要素80は、終端部85と、コンタクト手段90と、好ましくは接続部100とを有する。終端部85および接続部100は、板状の材料から一体に形成され、同じ材料から形成される。終端部85は、xy平面に延びる平坦な終端面95を有する。図1の手前側および奥側で、終端部85は、それぞれ側面370によって境界付けられる。側面370は各々、異なるxz平面に延びる。したがって、側面370は、それぞれ終端面95に対して垂直に向けられる。
【0036】
第1のサブ部分50は、終端面95で終端部85に溶接され、好ましくは超音波溶接される。図1において、接続部100は、終端部85に対してある角度をなして配置される。この場合、コンタクト手段90の固定端105が、終端面95から離れる方を向く接続部100の側に取り付けられる。コンタクト手段90は、コンタクトピンまたはコンタクトソケットであってもよい。接続部100は、コンタクト手段90を終端部85に電気的かつ機械的に接続する。
【0037】
コンタクトハウジング75は、例えばハウジング内部125を有し、コンタクト要素80がハウジング内部125に配置される。ハウジング内部125で、コンタクト手段90はプラグイン軸115に沿って延びる。ハウジング内部125は、コンタクト手段90に接触するためのさらなるコンタクト手段のソケットコンタクト(図示せず)をプラグイン軸115に沿って挿入するために、コンタクト手段90において開いている。プラグイン軸115、第1の中心軸65、および第2の中心軸70は、共通のxz面に配置されていてもよい。
【0038】
コンタクト手段90から離れる方を向く側で、第2のサブ部分55の電気ケーブル20は、コンタクトハウジング75のハウジング内部125から、コンタクトハウジング75のリードスルー120を通って導出される。リードスルー120にシール要素130が配置されていることが好ましい。シール要素130を、例えば、シリコーンから形成することができ、例えば、材料結合でコンタクトハウジング75に接続することができる。シール要素130は、第2のサブ部分55で電気ケーブル20の第1の外周面60の接触面131に周方向に当接し、配線システム10の環境135からハウジング内部125を液密にシールする。接触面131は、第1の外周面60の一部であり、第2の中心軸70に対して円筒形を有する。特に、これにより、腐食媒体、特に水がハウジング内部125に浸透することを防ぐため、特に第1のサブ部分50におけるコンタクト要素80および/または導体30の腐食を防ぐ。
【0039】
第1の中心軸65と第2の中心軸70との間の距離Hは、0.5~15mmであり、0.5±、好ましくは0.2mm、特に±0.1mmの最大公差を有することが好ましい。所定の距離Hは、シール要素130が、一側で、例えば終端面95の方を向く側で、リードスルー120において接触面131に押し付けられず、終端面95から離れる方を向く側で解放され、場合によっては接触面131とシール要素130との間に間隙が形成されることを保証する。これにより、シール要素130がケーブル絶縁体25の第1の外周面60に全周で当接接触することが保証される。
さらに、電気ケーブル20の機械的応力が避けられるため、第1のサブ部分50と終端面95との間の良好な電気的接続および機械的接続が保証される。これにより、例えば道路の凹凸箇所で自動車に発生するような高振動の場合であっても、第1のサブ部分50と終端面95との間の溶接接続部の高い疲労強度を保証する。第1の中心軸65が平坦な終端面95に平行に延びることが特に有利である。第1の中心軸65と終端面95との間の平行度は、0°~1°、好ましくは0°~0.5°の公差を有することが好ましい。
【0040】
第2の中心軸70は、同様に終端面95に平行であり、x方向において終端面95に対してずれている。第2の中心軸70も、終端面95に対して特に高い平行度を有する。第2の中心軸70と終端面95との間の平行度は、好ましくは0°~3°、好ましくは0°~2°の公差を有することが好ましい。
【0041】
実施形態において、第2のサブ部分55は、ハウジング内部125において、第2の中心軸70に沿ってコンタクトハウジング75の外側へ延びる。距離Hにより、第1の実施形態による第2のサブ部分55における電気ケーブル20、特に導体30の曲げまたはずらしを不要にすることができる。
【0042】
図2は、図1に示す配線システム10を製造するための方法のフロー図である。図3は、第1の方法ステップ205~第5の方法ステップ225中の製造機300および配線システム10の部分側面図である。図4は、製造機300および配線システム10の、図3に示す断面A-Aに沿った断面図である。図5は、第6の方法ステップ230中の、配線システム10および製造機300の、図3に示す断面B-Bに沿った断面図である。図6は、配線システム10を製造するための第7の方法ステップ235中の、製造機300の一部の縦断面図である。
【0043】
以下で、図3を参照しながら、第1の方法ステップ205~第5の方法ステップ225について説明する。
【0044】
第1の方法ステップ205において、電気ケーブル20とコンタクト要素80とが設けられる。コンタクト要素80を、例えば、輸送ストリップ(図示せず)に接続することができる。輸送ストリップを、例えば、終端部85に隣接する側に配置することができる。輸送ストリップは、製造機300のマガジンから製造機300のアンビル305までコンタクト要素80を自動的に輸送するように機能する。電気ケーブル20を、例えば、第1の方法ステップ205において、ある長さに予め切断して設けることができる。
【0045】
第2の方法ステップ210において、製造機300は、自由端140から始まるケーブル絶縁体25を、第1のサブ部分50から、かつ該当する場合には第3のサブ部分56および第4のサブ部分57からも除去する。第2のサブ部分55では、ケーブル絶縁体25は導体30に残り、導体30を電気的に絶縁する。ケーブル絶縁体25を第1のサブ部分50、第3のサブ部分56、および第4のサブ部分57から除去すると、導体30は周方向に露出される。第2の方法ステップ210において、導体30は、サブ部分50、55、56、57にわたって元の断面積を有し、これは第2の断面積に対応する。第1の中心軸65と第2の中心軸70とは重なっている。さらに、サブ部分50、55、56、57にわたって、第1の外輪郭は同一であり、例えば略円筒形である。
【0046】
加えて、第2の方法ステップ210において、終端部85を洗浄して、例えば、コンタクト要素80の製造による汚染物を終端面95から除去することができる。
【0047】
第3の方法ステップ215において、コンタクト要素80の終端部85が、製造機300のアンビル305に位置決めされる。アンビル305は、例えば、固定位置に配置される。この場合、終端部85は、終端面95から離れる方を向く、終端面95に平行な平面の側で、アンビル305の平面の第1の押圧面315に平坦に位置する。第1の押圧面315は、例えば、平面であり、xy面に延びる。
【0048】
第3の方法ステップ215に続く第4の方法ステップ220において、第1のサブ部分50が終端面95に位置決めされる。実施形態において、位置決めは、第4の方法ステップ220で第2の中心軸70に重なる第1の中心軸65が、横方向(y方向)で、終端部85の最大範囲b(図5参照)に対して中心に位置決めされるように行われる。
【0049】
第5の方法ステップ225(図3図4参照)において、製造機300の保持手段320が第2のサブ部分55に装着される。保持手段320は、アンビル305および終端部85からx方向に距離をおいて配置される。
【0050】
保持手段320(図4参照)は、第1の保持シェル325と少なくとも1つの第2の保持シェル330とを有する。図4のように、第1の保持シェル325を、例えば第2のサブ部分55の上側に配置することができる。第1の保持シェル325は、円環状であり、例えば第2の中心軸70の周りに180°延びることが好ましい。第2の保持シェル330は、例えば図4において、第2のサブ部分55の下側に配置され、第1の保持シェル325と同様に、部分円環状であり、例えば第2の中心軸70の周りに180°延びる。保持手段325、330の数は決まっていない。
したがって、保持手段320は、図4に示すよりも多くの保持シェル325、330を有することもできる。必要なのは、保持シェル325、330が各々、内周面335で、第2のサブ部分55の第1の外周面60にむらなく当接することである。この場合、第2のサブ部分55における電気ケーブル20は、保持シェル325、330によって全周にわたって取り囲まれることが好ましい。この場合、内周面335は、第1の外周面60に対応するように実現され得る。保持シェル325、330が、電気ケーブル20の第2のサブ部分55の接触面131に当接し、組立状態で接触面131にシール要素130が当接することが特に有利である。
【0051】
第5の方法ステップ225に続く第6の方法ステップ230において、溶接手段341、好ましくはソノトロード345(図3図5参照)が、終端部85から離れる方を向く側で第1のサブ部分50に配置される。溶接手段341を異なる方法で実現することもできる。したがって、例えば、電気溶接プロセスも可能である。
【0052】
溶接手段341は、終端部85の方を向く側に第2の押圧面350を有し、第2の押圧面350は、アンビル305の第1の押圧面315および終端面95に対して平行に向けられる。第2の押圧面350はxy面に延びることが好ましい。
【0053】
さらに、第1の顎部355(図5参照)と、y方向において反対側に配置された第2の顎部360とが、終端部85のソノトロード345側に配置されることが好ましい。第1の顎部355および第2の顎部360は各々、第1のサブ部分50の方を向く側で保持面365を横方向に有し、保持面365は各々、例えばyz面に延びる。この場合、第1の顎部355の保持面365は、保持面365の反対側に配置された第2の顎部360に平行に配置される。
【0054】
顎部355、360は、z方向において終端面95に直接配置されることが好ましい。顎部355、360と終端面95との間にz方向の間隙があってもよいが、z方向の間隙は、撚線45または編組撚線40の単一の直径よりも狭いことが好ましい。
【0055】
第6の方法ステップ230(図6参照)に続く第7の方法ステップ235において、第1のサブ部分50は、溶接プロセス、特に超音波溶接によって終端面95に溶接される。超音波溶接は、既知の超音波溶接方法によって行われる。この場合、超音波範囲の周波数を有する機械的振動が、終端面95から離れる方を向く側で、ソノトロード345を介して第1のサブ部分50に導入される。
【0056】
加えて、溶接手段341は、押圧力Fによってソノトロード345を第1のサブ部分50に押し付ける。押圧力Fは、第1の押圧面315に対して垂直に作用し、z方向に向けられる。第1の押圧面315で、アンビル305は、押圧力Fと反対を向く第1の反力FG1を提供する。これにより、終端部85がz方向に偏向することを防ぐ。押圧力Fは、溶接プロセス、特に超音波溶接プロセス中に、第2の押圧面350が第1のサブ部分50を圧縮しコンパクト化するように選択される。この場合、押圧力Fによる圧縮は、個々の撚線45間の空隙を減少させて、第1の断面積の縮小にもかかわらず、第1のサブ部分50および第2のサブ部分55における導電率が同一であるようにする。
【0057】
導体30の第1のサブ部分50の元の断面積に対応する第2の断面積は、この場合、第1のサブ部分50の第1の断面積に縮小される。さらに、第1のサブ部分50が形成される。溶接プロセス、特に超音波溶接プロセス中に、第1のサブ部分50における導体30の撚線45が互いに溶接される。圧縮により、第1の中心軸65は、第2の中心軸70に重なる配置から、終端面95に向かって変位する。所定の距離Hを、押圧力Fおよび第1の反力FG1によって正確に設定することができる。さらに、終端面95に対する第1の中心軸65の平行度を、第1の中心軸65に沿った第1のサブ部分50の範囲にわたって、±0.5mm、特に±0.2mm、特に0.2mm、特に±0.1mmの小さい公差で維持することができる。
【0058】
第1のサブ部分50の横方向の偏向を制限するために、第7の方法ステップ235中、顎部355、360は、横方向(y方向)における側面370の内側で、第1のサブ部分50の側に配置される。顎部355、360は、溶接中に第1のサブ部分50が顎部355、360に付着することを防ぐセラミック材料または保持面365における材料を含むことができる。
【0059】
溶接プロセス中、保持シェル325、330の位置は維持され、溶接プロセス中を通じて変化しないままである(図6参照)。第1の保持シェル325は第2の反力FG2を提供し、第2の保持シェル330は第3の反力FG3を提供する。第2の反力FG2および第3の反力FG3は各々、z方向に作用することが好ましい。この場合、第3の反力FG3は、押圧力Fに対抗する向きであり、第2のサブ部分55がz方向に変位することを防ぐ。これにより、第1のサブ部分50の圧縮時に、第1のサブ部分50が、圧縮に続いて第2の中心軸70に対して偏心して配置され、第1の中心軸65が第1の中心軸65と第2の中心軸70との間に所定の距離Hを有するようになることが保証される。
【0060】
図6の上部に配置された第1の保持シェル325によって提供される第2の反力FG2は、押圧力Fに平行に作用し、第1のサブ部分50の圧縮中に第2のサブ部分55がz方向に上方へ曲がることを防ぐ。これにより、圧縮プロセス中に第2のサブ部分55の円筒形が保証される。さらに、第3のサブ部分56および第4のサブ部分57が、圧縮プロセスおよび溶接プロセス中に実現される。この場合、第3のサブ部分56は円錐台形に形成され、その第3の中心軸375は、第1の中心軸65および第2の中心軸70に対して傾斜し、第1の中心軸65および第2の中心軸70と交差する。
【0061】
第2の押圧面350の端位置に到達し、第1のサブ部分50が終端部85に仕上げ溶接された後、第8の方法ステップ240において、第2の押圧面350が第1のサブ部分50から除去される。さらに、顎部355、360が、第1のサブ部分50からy方向へ横方向に除去される。第2の押圧面350および顎部355、360の除去に続いて、保持シェル325、330が除去される。後続する保持シェル325、330の除去は、顎部355、360および/またはソノトロード345の除去中に保持シェル325、330によって解放力を支持することができるという利点を有する。
【0062】
第8の方法ステップ240に続く第9の方法ステップ245において、溶接されたコンタクト要素80を有する配線システム10が、コンタクトハウジング75に取り付けられる。
【0063】
上記の方法は、撚線45のレイアウトとは無関係に、規定された方法で距離Hを設定することができ、コンタクトハウジング75における配線システム10の取付けに続いて、シール要素130がケーブル絶縁体25に対して全周に接触して当接し、これにより、環境135に対するハウジング内部125の確実なシールが保証されるようになっているという利点を有する。さらに、電気ケーブル20の一括交換後の、時間のかかる製造機300のセットアップを不要にすることができる。その結果、配線システム10を、特に費用効率よく製造することができる。
【0064】
図3に記載の方法の発展において、第1のサブ部分50の圧縮および溶接中に、アンビル305を第2の押圧面350と共にz方向に動かして、第2のサブ部分55に対して、第1の中心軸65で第1のサブ部分50の特に大きい距離Hを設定することができる。特に、これにより、圧縮プロセスおよび溶接プロセス中にz方向の距離Hが確立されるため、電気ケーブル20のずらしを不要にすることができる。さらに、コンタクトハウジング75内における電気ケーブル20の追加のずらし、曲げなどを不要にすることができる。
【0065】
図7は、第2の実施形態による、配線システム10を製造するための方法を実行する製造機300の縦断面図である。
【0066】
この方法は、図3で説明した方法と略同一である。以下で、図7で説明する方法と図3で説明した方法との相違のみを説明する。保持シェル325、330は、第3のサブ部分56に位置決めされる。第1の保持シェル325および第2の保持シェル330が、ケーブル絶縁体25の軸端に直接隣接して導体30に位置決めされ、内周面335で導体30を取り囲むと特に有利である。
【0067】
図8は、第7の方法ステップ235中の、図3に示す断面A-Aに沿った断面図である。
【0068】
この場合、第7の方法ステップ235中、保持シェル325、330の内周面335が第3のサブ部分56に当接して、第2の反力FG2および第3の反力FG3を提供し、この反力は導体30に直接導入される。この設計は、図3に比べて、第1のサブ部分50の圧縮中における第3のサブ部分56の曲げが避けられるという利点を有する。
【0069】
図9は、第2の実施形態による、自動車または自動車を充電するための充電ステーションの配線システム10の概略図である。
【0070】
図9に示す配線システム10の第2の実施形態は、図1で説明した第1の配線システム10と略同一である。以下で、図9に示す配線システム10と図1に示した配線システム10との相違のみを説明する。相違として、例えば、第2のサブ部分55~第4のサブ部分57が、第1のサブ部分50に対して所定の角度αだけ曲げて配置される。角度αは鈍角であることが好ましい。特に、角度αは125°~180°の値を有する。
【0071】
第1の中心軸65および第2の中心軸70は、同様に角度αで配置される。第1の中心軸65および第2の中心軸70は共通平面145に配置され、共通平面145は、終端面95に対して傾斜し、好ましくは垂直に傾斜する。
【0072】
図9に示す配線システム10を製造するために、図2で説明した方法を使用することができる。加えて、第6の方法ステップ230において、導体が第3のサブ部分56および第4のサブ部分57で曲げられて、第2のサブ部分55が第1のサブ部分50に対して角度αで配置されるようになっている。曲げは、例えば、保持手段320をアンビル305およびソノトロード345に対して動かすことによって行うことができる。所定の角度αを実現するために、電気ケーブル20を曲げる際に、第2のサブ部分55を第1のサブ部分50に対して上方に曲げてもよい。保持手段320は、第1のサブ部分50が溶接されている間、第2のサブ部分55を傾斜させたまま維持する。この方法は、方法の実行後に、第2のサブ部分55が所定の角度αで正確に位置合わせされるという利点を有する。
【符号の説明】
【0073】
10 配線システム
15 コンタクト手段
20 電気ケーブル
25 ケーブル絶縁体
30 導体
35 撚線束、導体
40 編組撚線
45 撚線
50 第1のサブ部分
55 第2のサブ部分
56 第3のサブ部分
57 第4のサブ部分
60 第1の外周面
65 第1の中心軸
70 第2の中心軸
75 コンタクトハウジング
80 コンタクト要素
85 終端部
90 コンタクトピン
95 終端面
100 接続部
105 固定端
110 コンタクト受入部
115 プラグイン軸
120 リードスルー
125 ハウジング内部
130 シール要素
135 環境
140 自由端
205 第1の方法ステップ
210 第2の方法ステップ
215 第3の方法ステップ
220 第4の方法ステップ
225 第5の方法ステップ
230 第6の方法ステップ
235 第7の方法ステップ
240 第8の方法ステップ
245 第9の方法ステップ
300 製造機
305 アンビル
310 さらなる接触面
315 (アンビルの)第1の押圧面
320 保持手段
325 第1の保持シェル
330 第2の保持シェル
335 内周面
340 第2の外周面
341 溶接手段
345 ソノトロード
350 第2の押圧面
355 第1の顎部
360 第2の顎部
365 保持面
370 側面
375 第3の中心軸
H 距離
押圧力
G1 第1の反力
G2 第2の反力
G3 第3の反力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9