(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】測時器共振器機構のための、剛性調節手段を備える渦巻ばね
(51)【国際特許分類】
G04B 18/02 20060101AFI20230428BHJP
G04B 17/06 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G04B18/02 Z
G04B17/06 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021192759
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】モハマド フセイン・カーロバイヤン
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182147(JP,A)
【文献】特表2015-519581(JP,A)
【文献】特開2015-152604(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2273323(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 18/02
G04B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測時器共振器機構のための渦巻ばね(1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270)であって、前記渦巻ばねは、それ自体が複数回巻回する可撓性コイル条片(2)を備え、前記条片(2)は、既定の剛性を有し、前記渦巻ばね(1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270)は、前記条片(2)の剛性を調節する
調節手段を含む、渦巻ばねにおいて、前記調節手段は、前記条片(2)と直列に配置した可撓性要素(5)を含み、前記可撓性要素(5)は、前記条片(2)
の端部(4、9)を固定支持部(11、14、17、24、29、38、44、53、93、117)に接続し、前記条片(2)に更なる剛性を追加し、前記可撓性要素(5)は
、前記条片(2)の剛性よりも大きい剛性を有し、前記調節手段は、前記条片(2)の前記端部(4、9)の位置を修正せずに前記可撓性要素(5)に
前記渦巻ばねの伸縮によってもたらされる慣性要素を戻す力と異なる可変力又はトルクを印加する事前応力印加手段(6)を含み、前記可撓性要素(5)の剛性のみを変更するようにすることを特徴とする、渦巻ばね。
【請求項2】
前記可撓性要素(5)は、前記条片(2)の外端部(4)に配置することを特徴とする、請求項1に記載の渦巻ばね。
【請求項3】
前記可撓性要素(5)は、前記条片(2)の内端部(9)に配置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の渦巻ばね。
【請求項4】
前記可撓性要素(5)は、可撓性首部(8、101)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項5】
前記可撓性要素(5)は、並進台を含み、前記並進台は、2つの実質的に平行な可撓性羽根(21、22、42、43、74、78)と、前記条片(2)を接続する可動剛性部品(23、45)とを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項6】
前記可撓性要素(5)は、可撓性案内部を備え、前記可撓性案内部は、2つの交差羽根(27、28、33、34)と、前記条片(2)を接続する可動剛性部品(31、37)とを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項7】
前記可撓性要素(5)は、可撓性案内部を備え、前記可撓性案内部は、2つの非交差羽根(51、52)と、前記条片(2)を接続する可動剛性部品(54)とを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項8】
前記可撓性要素(5)は、前記条片(2)を接続する可撓性リング(12)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項9】
前記可撓性要素(5)は、前記条片(2)を接続する可撓性腕部(18)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項10】
前記可撓性要素(5)は、羽根(97)又は可撓性首部(101)によって接続する複数の剛性部分(93、94、95、96)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項11】
前記可撓性要素(5)は、単一可撓性羽根(119)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項12】
トルク又は力は、前記事前応力印加手段(6)によって連続的に調節可能であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項13】
前記事前応力印加手段(6)は、前記可撓性要素(5)に対して当接するように構成したね
じを備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項14】
前記事前応力印加手段(6)は、前記可撓性要素(5)に固着する第1の磁石(47、57)と、前記第1の磁石(47、57)に対して可動である第2の磁石(48、58)とを備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項15】
前記事前応力印加手段(6)は、ばね(55)と、前記ばね(55)を伸縮させる可動要素(59、75)とを備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項16】
前記ばねは、複数の実質的に平行な可撓性羽根(72)と、別の可動要素(75、76)とを備えることを特徴とする、請求項15に記載の渦巻ばね。
【請求項17】
前記事前応力印加手段(6)は、前記可撓性要素(5)に接続する第2の可撓性羽根(61、122、128)を備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項18】
前記事前応力印加手段(6)は、レバー(81、89、106、124)を備えることを特徴とする、請求項15から17のいずれか一項に記載の渦巻ばね。
【請求項19】
測時器ムーブメントのための、発振質量体を含む回転共振器機構において、前記回転共振器機構は、請求項1から18のいずれか一項に記載の渦巻ばね(1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270)を備えることを特徴とする、回転共振器機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測時器共振器機構のための渦巻ばねに関し、渦巻ばねは、当該渦巻ばねの剛性を調節する手段を備える。本発明は、そのような渦巻ばねを備える測時器共振器機構にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在の機械式時計の大部分は、ひげぜんまいと、スイス・アンクル型の脱進機機構とを備える。ひげぜんまいは、時計の時間基準を構成する。ひげぜんまいは、共振器とも呼ばれる。
【0003】
脱進機について、脱進機は、2つの主要な機能:
-共振器の往復運動を維持すること、
-これらの往復運動を計数すること
を実行する。
【0004】
機械式共振器を形成するには、慣性要素、案内部、及び弾性戻り要素が必要である。従来、渦巻ばねは、てんぷを構成する慣性要素のための戻り要素の役割を果たす。このてんぷは、ルビー平坦軸受け内で回転する枢動体によって、回転式に案内される。
【0005】
てんぷの渦巻ばねは、概して、時計の精度を向上させるように調節可能でなければならない。この目的で、渦巻ばねの剛性を調節する手段、ばねの実効長を修正する緩急針等が使用される。したがって、渦巻ばねの剛性は、時計の稼働精度を調節するように修正される。しかし、稼働を調節する従来の緩急針の効果は、依然として制限されており、1日数秒又は数十秒程度の調節を十分に正確に行うには常に有効ではない。
【0006】
稼働をより微調節するため、てんぷの外縁に配置される1つ又は複数のねじを備える調節手段が存在する。ねじに作用することによって、てんぷの慣性が修正され、てんぷの稼働を修正する効果を有する。
【0007】
しかし、この調節方法は、実施が容易ではなく、この調節方法でさえ、発振器の稼働に対して十分な微調節を得ることは可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、効果的で正確な調節手段を備える渦巻ばねを提案することによって上述の欠点の全て又は一部を克服することであり、この調節手段は、特に、当該ばねの実効長を修正することによって計時器の稼働を調節するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的で、本発明は、測時器共振器機構のための渦巻ばねに関し、渦巻ばねは、それ自体が複数回巻回する可撓性コイル条片を備え、条片は、既定の剛性を有し、渦巻ばねは、条片の剛性を調節する手段を含む。
【0010】
本発明は、調節手段が、条片と直列に配置された可撓性要素を含み、可撓性要素が、当該条片の一端を固定支持部に接続し、更なる剛性を条片に追加し、可撓性要素が、好ましくは、条片の剛性よりも大きな剛性を有し、調節手段が、事前応力印加手段を含み、事前応力印加手段は、条片の端部の位置を修正せずに可変力又はトルクを可撓性要素に印加し、可撓性要素の剛性のみを変更するという点で注目に値する。
【0011】
本発明により、事前応力印加手段に作用することによって、可撓性要素に印加される力又はトルクが修正され、可撓性要素と条片とを備える組立体の剛性の修正をもたらす。このことは、条片と直列に置かれた可撓性要素が、条片に更なる剛性をもたらし、条片の剛性に加えられるためである。したがって、事前応力印加手段が、可撓性要素に可変力又はトルクを印加すると、可撓性要素の剛性を修正し、したがって、どんな可変力又はトルクが可撓性要素に印加されようとも、条片の剛性を修正せず、条片を備える組立体の剛性を修正し、条片の端部は、同じ位置を保持する。
【0012】
言い換えれば、可撓性要素は、条片の一端と固定支持部との間で条片と直列に置かれる。この可撓性要素は、更なる可撓性を共振器にもたらす。したがって、共振器の効果的な可撓性は、条片の可撓性及び可撓性要素の可撓性を含む。つまり、可変力又はトルクは、可撓性要素に事前応力を印加するように印加され、条片には事前応力を印加せず、条片の端部を移動させることがない。可撓性要素に事前応力を印加することによって、可撓性要素の可撓性が変化する一方で、条片の可撓性は、依然として変化しない。というのは、条片には事前応力が印加されず、条片の端部が移動しないためである。可撓性要素の可撓性を変更することによって、共振器の可撓性(条片の可撓性及び可撓性要素の可撓性)が変化し、したがって、共振器の稼働を修正する。可撓性要素は、好ましくは条片よりも剛性であるため、全体的な可撓性における可撓性要素の可撓性の割合は、条片の可撓性よりも小さい。したがって、可撓性要素の可撓性を修正すると、共振器全体の可撓性を修正し、この結果、共振器の稼働を微調節し、時間基準の振動数を正確に調節可能にする。このようにして、剛性を調節する作用が単一要素上にあるため、稼働の調節に多大な精度が得られる。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、条片の外端部に配置される。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、条片の内端部に配置される。
【0015】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、可撓性首部を備える。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、並進台を含み、並進台は、2つの実質的に平行な可撓性羽根と、条片が接続される可動剛性部品とを備える。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、可撓性案内部を備え、可撓性案内部は、2つの交差羽根と、条片が接続される可動剛性部品とを備える。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、可撓性案内部を備え、可撓性案内部は、2つの非交差羽根と、条片が接続される可動剛性部品とを備える。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、条片が接続される可撓性リングを備える。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、条片が接続される可撓性腕部を備える。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、可撓性羽根又は首部によって接続される複数の剛性部分を備える。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、可撓性羽根を備える。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、トルク又は力は、事前応力印加手段によって連続的に調整可能である。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、事前応力印加手段は、可撓性要素に対して調節するように構成したねじを備える。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、事前応力印加手段は、可撓性要素に固着した第1の磁石と、第1の磁石に対して移動することができる第2の磁石とを備える。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、事前応力印加手段は、ばねと、ばねを伸縮可能にする可動要素とを備える。
【0027】
本発明の特定の実施形態によれば、ばねは、複数の実質的に平行な可撓性羽根と、別の可動要素とを備える。
【0028】
本発明の特定の実施形態によれば、事前応力印加手段は、可撓性要素に接続した第2の可撓性羽根を備える。
【0029】
本発明の特定の実施形態によれば、事前応力印加手段は、レバーを備える。
【0030】
本発明の特定の実施形態によれば、可撓性要素は、条片と直列に配置される。
【0031】
本発明の特定の実施形態によれば、渦巻ばねは、実質的に一平面内にある。
【0032】
本発明の特定の実施形態によれば、条片全体は、渦巻ばねの有効剛性のために使用される。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、発振する間、固定される条片の部分はない。
【0034】
本発明の特定の実施形態によれば、調節手段は、渦巻ばねを測時器ムーブメントの円板上に組み付けた際に作動することができる。
【0035】
本発明は、特に測時器ムーブメントのための回転共振器機構にも関し、回転共振器機構は、発振質量体と、そのような渦巻ばねとを含む。
【0036】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら単に非限定的な例として与える複数の実施形態を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図7】本発明の第7の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図8】本発明の第8の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図9】本発明の第9の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図10】本発明の第10の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図11】本発明の第11の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図12】本発明の第12の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図13】本発明の第13の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図14】本発明の第14の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図15】本発明の第15の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図16】本発明の第16の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図17】本発明の第17の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図18】本発明の第18の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図19】本発明の第19の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図20】本発明の第20の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図21】本発明の第21の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図22】本発明の第22の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図23】本発明の第23の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図24】本発明の第24の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図25】本発明の第25の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図26】本発明の第26の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図27】本発明の第27の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図28】本発明の第28の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【
図29】本発明の第29の実施形態による可撓性案内部の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1から
図28はそれぞれ、特に測時器共振器機構のための渦巻ばね1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270の異なる実施形態の概略図を示す。ここで、渦巻ばねは、実質的に一平面内にある。渦巻ばね1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270は、それ自体が複数回巻回する可撓性コイル条片2を備え、条片2は、既定の剛性を有する。渦巻ばねは、渦巻ばねの剛性を調節する手段を含む。例えば、調節手段は、特に、渦巻ばねを測時器ムーブメントの円板上に組み付けた際に作動することができる。
【0039】
本発明によれば、調節手段は、条片2と直列に配置した可撓性要素5を備え、可撓性要素5は、当該条片2の一端4、9を固定支持部11、14、17、24、29、38、44、53、93、117に接続し、条片2の端部4、9の一方に固着される。可撓性要素5は、条片2の剛性に更なる剛性を追加する。可撓性要素5は、好ましくは、条片2の剛性よりも大きい剛性を有する。ここで、可撓性要素5は、条片2と直列に配置される。調節手段5及び条片2は、好ましくは一体部品であるか、又は更には同じ材料から形成される。
【0040】
渦巻ばね1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270は、可撓性要素5に可変力又はトルクを印加する事前応力印加手段6を更に含む。したがって、渦巻ばね1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270の剛性を調節し、特に、ムーブメントの稼働精度を向上させることが可能である。
【0041】
条片2の端部は、どんな事前応力印加手段の調節であろうと、依然として実質的に不動である。可撓性要素5に印加される力又はトルクは、可撓性要素が接続される条片2の端部4の位置を修正しない。条片2の剛性の修正は、可撓性要素5にのみに作用し、条片2には直接的に作用しない。このようにして、単一要素が剛性の調節に働くため、より一層多大な精度が得られる。
【0042】
更に、トルク又は力は、事前応力印加手段6によって連続的に調節可能である。言い換えれば、トルク又は力は、特定の点における値に制限されない。したがって、可撓性要素5の剛性を多大な精度で調節することが可能である。
【0043】
事前応力印加手段6は、好ましくは、渦巻ばねの平面内で可撓性要素5を並進又は回転運動させることが可能である。このようにして、可撓性要素5の剛性が変化する。
【0044】
以下で説明する実施形態は、条片2の外端部4に固着した可撓性要素5を含む。条片2の内端部9は、共振器の発振質量体の支持部3に接続される。図示しない変形形態によれば、可撓性要素は、条片2の内端部9に接続され、条片2と発振質量体の支持部3との間が直列であるようにする。
【0045】
図1の例では、渦巻ばね1の可撓性要素5は、材料の厚さ部で薄肉首部8を備える細長い本体7を備え、首部は可撓性である。したがって、可撓性要素5は、例えばムーブメントの円板に取り付けられる固定支持部14と、条片2の外端部4に取り付けられる可動部15とを含み、固定支持部14及び可動部14は、首部8によって接続される。可動部15に可変力又はトルクを印加することによって、可動部15は固定支持部14に対して移動する。したがって、可撓性要素5の剛性、したがって、条片2と可撓性要素5とを備える組立体の剛性が修正される。
【0046】
図2の渦巻ばね10の第2の実施形態は、可撓性要素5を示し、可撓性要素5は、条片2の外端部4に接合された可撓性リング12を備える。可撓性要素5は、ムーブメントに対して不動であるT字形固定支持部11も備える。リング12は、T字形固定支持部11の基部13に更に接続される。したがって、リング12に可変力又はトルクを印加することによって、リング12が固定支持部11に対して変形し、このために可撓性要素5の剛性が修正される。
【0047】
図3の渦巻ばね20の第3の実施形態に関し、渦巻ばねの可撓性要素5は、可撓性腕部16と、腕部を片側支持で接合する固定支持部17とを備える。条片2の外端部4は、腕部16の端部18に直列に接合される。したがって、腕部16に可変力又はトルクを印加することによって、腕部16が固定支持部17に対して変形し、可撓性要素5の剛性を修正する。図では、可変力又はトルクは、好ましくは、腕部16に平行に印加される。
【0048】
図4は、渦巻ばね30を示し、渦巻ばね30の可撓性要素5は、並進台を含む。並進台は、少なくとも1つの第2の可撓性羽根、ここでは、2つの第2の可撓性羽根21、22と、剛性部23とを備える。可撓性羽根21、22は、一端が剛性部23に接合され、もう一端が固定支持部24に接合される。第2の可撓性羽根21、22は、実質的に平行であり、異なる線上に配設される。好ましくは、第2の可撓性羽根21、22は、剛性部23の1つの同じ面25に接合される。剛性部23は、細長い長方形形状を有し、条片2の外端部4は、剛性部23の片側に剛性部23と直列に取り付けられる。第2の可撓性羽根21、22は、剛性部23及び外端部4に実質的に直交する。図では、可変力又はトルクは、好ましくは羽根21、22に平行に、剛性部23に印加される。
【0049】
図5では、渦巻ばね40の可撓性要素5は、交差羽根を有する枢動体を備え、枢動体は、2つの交差羽根27、28を備え、2つの交差羽根27、28は、第1に、ムーブメントの固定支持部29に接続され、第2に、枢動体の可動剛性部31に接続される。剛性部31は、細長い長方形形状を有し、条片2の外端部4に直交して配置され、条片2の外端部4は、交差羽根27、28が接続される側とは反対側の、剛性部31の長辺に接続される。交差羽根27、28を有する枢動体は、羽根の交差部が条片2の外端部4と直列であるように配置される。図では、可変力又はトルクは、好ましくは交差羽根枢動体の対称軸及び条片2の外端部4に平行に、剛性部31に印加される。
【0050】
第5の実施形態と同様である
図6の第6の実施形態では、渦巻ばね50の可撓性要素5は、交差羽根枢動体を備え、枢動体は、交差部35で接合される2つの交差羽根33、34を備える。羽根33、34は、第1に、ムーブメントの固定支持部38に接続され、第2に、T字形剛性部37に接続される。T字形剛性部37の幹39は、条片の外端部4に接合される一方で、羽根は、固定支持部38の棒41に接合される。交差羽根枢動体は、羽根の交差部が条片2の外端部4と直列であるように配置される。図では、可変力又はトルクは、T字形剛性部37の棒37に印加され、枢動体は、条片2に対して斜めに配置される。
【0051】
図7の第7の実施形態に関し、渦巻ばね60の可撓性要素5は、条片2の外端部4と直列に配置した並進台を備える。並進台は、少なくとも1つの第2の可撓性羽根、ここでは、2つの第2の可撓性羽根42、43と、剛性部45とを備える。第2の可撓性羽根42、43は、一端が剛性部45に接合され、もう一端がムーブメントに対して固定した支持部44に接合される。第2の可撓性羽根42、43は、実質的に平行であり、異なる線上に配設される。好ましくは、第2の可撓性羽根42、43は、剛性部45の1つの同じ面に接合される。剛性部45は、細長い長方形形状を有し、条片2の外端部4は、片側支持で直交して接合される。第2の可撓性羽根42、43は、外端部4に実質的に平行であり、剛性部45に直交する。図では、可変力又はトルクは、第2の羽根42、43の方向で剛性部45に印加される。第2の可撓性部42、43の屈曲のために、剛性部45は、固定支持部44に平行に移動することができる。条片2の外端部4を引っ張ることによって、剛性部45の移動は、可撓性要素5の剛性を変化させる。
【0052】
図8の渦巻ばね70の第8の実施形態は、
図7の第7の実施形態の可撓性要素と同一である可撓性要素5を備える。渦巻ばねは、可撓性要素5に事前応力を印加する手段6を更に備える。事前応力印加手段6は、磁石47、48を備え、第1の磁石47は、並進台の剛性部45上に配置され、第2の磁石48は、第1の磁石47に対して移動可能であるように配置される。したがって、磁石47、48は、力が剛性部45に印加されるように、極性に従って互いに引き付けるか又は反発する。第2の磁石48は、例えば、並進台に対して移動可能である要素上に配置される。
【0053】
図9の第9の実施形態では、渦巻ばねの可撓性要素5は、非交差可撓性羽根を有する枢動体を備える。枢動体は、2つの非交差可撓性羽根51、52と、剛性部54とを備える。可撓性羽根51、52は、第1に、細長い固定支持部53に横方向で接合され、第2に、剛性部54に接続される一方で、互いにより近くに移動する。剛性部54は、固定支持部53よりも直径が小さい円形形状を有する。したがって、好ましくは、可撓性羽根51、52は、固定支持部53から剛性部54まで互いにより近くに移動する。条片の外端部4は、剛性部54に接合される。図では、可変力又はトルクは、枢動体に対して斜めに剛性部54に印加される。力は、好ましくは、可撓性羽根枢動体の対称軸に平行である。
【0054】
図10から
図20は、第9の実施形態の可撓性要素と同一の可撓性要素5を備えるが、それぞれ異なる事前応力印加手段6を有する渦巻ばね90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190の実施形態である。これらの事前応力印加手段6は、当然、第9の実施形態の可撓性要素とは異なる可撓性要素5を有する渦巻ばねの他の実施形態に適応可能である。
【0055】
図10の第10の実施形態は、事前応力印加手段6としてねじ55を備える。ねじ55は、好ましくは枢動体の対称軸に平行に、枢動体の剛性部54に対して斜めに配置される。したがって、ねじを締めるか又は緩めることによりねじを作動させることによって、ねじは、可変力又はトルクを剛性部54に印加し、特に、可撓性要素5の剛性を調節する。
【0056】
図11では、事前応力印加手段6は、磁石57、58を備え、第1の磁石57は、剛性部54上に配置される一方で、第2の磁石58は、可変力又はトルクを剛性部54に加えるように剛性部54に対して移動可能である。可変力又はトルクは、可撓性要素5の剛性を調節するように、剛性部54上で斜めに加えられる。
【0057】
図12の第12の実施形態の事前応力印加手段6は、ばね55と可動要素59とを備える。ばね55は、一方で枢動体の剛性部54に接合され、もう一方で可動要素59に接合される。したがって、可動要素59を移動することによって、ばねは、可変力又はトルクを剛性部54に印加し、可撓性要素5の剛性を調節する。
【0058】
図13の第13の実施形態は、
図12の渦巻ばね110の一変形形態を示し、第2の可撓性羽根61は、枢動体の剛性部54とばね55との間で、ばね55と直列に配置される。この目的で、事前応力印加手段6は、第2の可動要素62を備え、第2の可動要素62に、一方で、ばね55が接続され、もう一方で、第2の可撓性羽根61が接続される。第2の可撓性羽根61は、第2の可動要素62及び剛性部54に接続される。第1の可動要素59に作用することによって、第2の可動要素62及び第2の可撓性羽根61により枢動体の剛性部に作用する可変力又はトルクは、修正される。
【0059】
図14では、渦巻ばね130は、
図13の渦巻ばねと同様であり、渦巻ばね130は、第2の可撓性羽根63を備える事前応力印加手段6を備え、事前応力印加手段6は、第2の可撓性羽根63の中間に剛性部分64を有する。
【0060】
図14の渦巻ばねと同様の
図15の渦巻ばね140の第15の実施形態では、事前応力印加手段6は、以前の2つの実施形態の第2の可撓性羽根ではなく、細長い部品65を備え、細長い部品65は、少なくとも1つの可撓性首部、ここでは2つの可撓性首部66、67を備える。部品65は、剛性中央部分69と、各端部の可撓性首部66、67とを含み、1つの首部は、剛性部54に接続され、もう一方の首部は、可動要素62に接続される。細長い部品65は、ばね55と直列に配設される。
【0061】
図16及び
図17の第16の実施形態及び第17の実施形態は、2つの図で異なって向けられる、同じ事前応力印加手段6を示す。事前応力印加手段6は、可撓性羽根によって形成したばねを含む。第2の可撓性羽根61は、可撓性要素5の剛性部をひじ形状の第1の剛体71に接続する。
【0062】
事前応力印加手段6は、ひじ形状の第2の剛体75と、2つの剛体71、75を接続する第3の羽根72とを備える。2つの剛体71、75は、可動であり、事前応力印加手段6の遊休位置で2つずつ実質的に平行な区分を有する。4つの第3の羽根72は、事前応力印加手段6の遊休位置で第2の羽根61に実質的に直交する。事前応力印加手段6は、第2の剛体75を固定支持部73に接続する2つの第4の羽根74を更に備える。第4の羽根74は、第3の羽根72に実質的に平行であり、第2の剛体75の同じ側に配置される。第2の剛体75に可変力又はトルクを印加することによって、可撓性要素の剛性が変化する。
【0063】
図16では、事前応力印加手段6は、可撓性要素5の軸内に配置される一方で、
図17では、事前応力印加手段6は、可撓性要素5に対して斜めに配置される。
【0064】
渦巻ばね170の
図18の第18の実施形態は、支持部77が、第2の可動体76に接続されるのではなく、第4の羽根78によって第1の可動体71に接続されることを除き、第17の実施形態の渦巻ばねと同様である。支持部77及び第4の羽根78は、第2の可動体76及び第3の羽根72に対して第1の可動体71の反対側に配置される。第4の羽根78は、渦巻ばね170の遊休位置で第3の羽根72に実質的に平行である。
【0065】
図19は、
図17の事前応力印加手段と同様の事前応力印加手段6を示し、事前応力印加手段6にレバー81が加えられている。レバー81は、第5の可撓性羽根82によって第2の可動体75に接続され、第5の可撓性羽根82は、第2の可動体75と直列に配置した剛性中央部分83を備える。第5の可撓性羽根82は、事前応力印加手段6の遊休位置で第2の羽根61に実質的に平行である。レバー81は、第5の可撓性羽根82に直交して配置される。レバーは、レバー81の両側に配置した2つの第5の羽根84、85によって第2の固定支持部87に更に接続される。レバーの自由端86は、U字形状であり、自由端86上で、レバーを側方に作動させることによって作用し、可撓性要素5に可変力又はトルクを印加することが可能である。
【0066】
図20では、事前応力印加手段6は、ばね88によって可撓性要素5に接続したレバー89を備え、ばね88は、らせん状であっても、平坦コイルによって形成してもよい。ばねは、一方で可撓性要素5の剛性部54に接続され、もう一方でレバー89に接続される。レバー89は、固定主軸91回りに枢動し、固定主軸91は、ばねに接続した端部92でレバー89を通過する。したがって、レバー89を側方に移動させることによって、可撓性要素5上に加えられる可変力又はトルクが修正される。
【0067】
図21の渦巻ばね200の第21の実施形態は、可撓性要素5を備え、可撓性要素5は、小型可撓性羽根97によって接合される複数の可動剛性部分93、94、95、96を備える。遊休位置において、部分93、94、95、96及び小型可撓性羽根97は、実質的に直線98上に配置される。図では、可撓性要素5は、4つの細長い部分93、94、95、96を直列に備え、3つの小型羽根97はそれぞれ、2つの部分93、94、95、96を一緒に接続する。第1の部分93は、固定支持部である一方で、他の部分94、95、96は可動である。条片2の外端部4は、第2の部分94に接合され、第2の部分94は、条片2が接続される側方突起99を含む。部分93、94、95、96及び小型羽根97は、渦巻形条片2に接線方向で延在する。
【0068】
事前応力印加手段6は、ひじ形状の剛体75と、剛体75を第4の部分96に接続する第2の羽根72とを更に備える。4つの第2の羽根72は、事前応力印加手段6の遊休位置で直線98に実質的に直交する。事前応力印加手段6は、剛体75を固定支持部73に接続する2つの第3の羽根74を更に備える。第3の羽根74は、事前応力印加手段6の遊休位置で第2の羽根72に実質的に平行である。剛体75のひじ部に可変力又はトルクを印加することによって、可撓性要素5の剛性が変化する。力又はトルクは、第2の羽根72によって第4の部分96に部分的に伝達され、小型羽根97を介して他の部分に部分的に伝達される。
【0069】
図22の第22の実施形態では、渦巻ばね210は、
図21の渦巻ばねと実質的に同じであり、剛性部分93、94、95、96は、
図21の小型羽根97の代わりに、可撓性首部101によって接続される。首部101は、薄肉材料要素であり、可撓性である。
【0070】
渦巻ばね220、230、240の
図23から
図25までの実施形態はそれぞれ、
図9から
図20までの可撓性要素等の可撓性要素5、即ち、2つの非交差可撓性羽根51、52と剛性部104とを備える枢動体を備える。剛性部104は、突起105も備え、突起105は、条片2と並んで直角ブラケットとして配設され、突起105に、条片2の仕上げ部4が接合される。事前応力印加手段6は、第2の可撓性羽根61を備え、第2の可撓性羽根61は、好ましくは枢動体の対称軸内で、一端108で剛性部104の円形部に接合される。第2の可撓性羽根61は、渦巻ばねの遊休位置でコイル条片2に接線方向で延在する。事前応力印加手段6は、第2の羽根61の反対端部109に接合されるレバー106を更に備える。レバー106は、好ましくは、コイル条片2の周囲を通過するように湾曲する。力又はトルクは、第2の羽根61に平行なレバー106の自由端107に印加される。したがって、力又はトルクは、第2の可撓性羽根61を通じて剛性部104に部分的に伝達される。
【0071】
図23の実施形態の特徴を繰り返す
図24の実施形態では、渦巻ばね220の事前応力印加手段6も、2つの実質的に平行な第3の羽根111、112を備える。第3の羽根111、112は、一方でレバー106に接合され、接続部で第2の羽根61に接合される。第3の羽根111、112は、もう一方で固定支持部113に接続され、第2の羽根61に実質的に直交する。
【0072】
図23の実施形態の特徴を繰り返す
図25の渦巻ばね240は、事前応力印加手段6を更に表し、事前応力印加手段6は、第3の非交差羽根114、115を備え、第3の非交差羽根114、115は、一方で固定支持部116に接合され、もう一方でレバー106に接合される。第3の羽根114、115は、レバー106に向かうにつれて互いに接近し、レバー106の湾曲部内に配設され、第2の羽根61との接続部からはより遠く離れている。
【0073】
図26から
図28の渦巻ばね250、260、270の実施形態は、可撓性要素5を表し、可撓性要素5は、第1の可撓性羽根119と、ここでは長方形である可動剛性部118とを含み、可動剛性部118は、好ましくは剛性部118の同じ側で第1の可撓性羽根119、及び条片2の外端部4に接続される。第1の可撓性羽根119は、固定支持部117に更に接続される。事前応力印加手段6は、より短い第2の可撓性羽根122、128を含み、第2の可撓性羽根122、128は、第1の可撓性羽根119の軸内で剛性部118の反対面上に配置される。第1の可撓性羽根119及び第2の可撓性羽根122、128は、条片2に接線方向で配設される。
【0074】
図26では、第2の可撓性羽根122は、事前応力印加手段6の第2の剛性部121に接続される。力又はトルクは、第1の可撓性羽根119及び第2の可撓性羽根122の方向で第2の剛性部121上に加えられる。
【0075】
図27の実施形態では、第2の可撓性羽根122は、コイル条片2回りを通過する湾曲レバー124に接続される。第3の可撓性羽根123は、レバー124の湾曲部でレバー124を固定支持部126に接続する。力又はトルクは、好ましくは第1の可撓性羽根119及び第2の可撓性羽根122に平行に、レバー124の自由端125上に加えられる。力又はトルクは、第2の可撓性羽根122及び第1の可撓性羽根119に部分的に伝達される。
【0076】
図28は、第2の可撓性羽根128が、もう一方の端部によってコイル条片2の周囲を通過する湾曲レバー124に接続される一実施形態を示す。レバー124は、ひじ形羽根128に加えて、固定支持部117に接続される半剛性構造体127に接続される。半剛性構造体127は、レバー124が力又はトルクによって作動されると、部分的に変形する。力又はトルクは、レバーの自由端125上に加えられる。
【0077】
図29の最後の実施形態は、
図28の実施形態と同様であり、第1の可撓性羽根は、
図9から
図20の実施形態で説明した非交差可撓性羽根を有する枢動体と取り替えられる。枢動体は、剛性部118から固定支持部117まで離れる2つの羽根51、52を備える。
【0078】
渦巻ばねの様々な実施形態で説明する可撓性羽根は、図面の全体に当てはまるように連続可撓性羽根であっても、剛性部分を有する可撓性羽根及び剛性部分を接続する可撓性首部であってもよい。
【0079】
本発明は、特に測時器ムーブメントのための回転共振器機構にも関する。共振器機構は、図示しない発振質量体と、上記で説明した渦巻ばねとを含む。発振質量体は、例えば環状てんぷである。発振質量体は、支持部3に固着されるように渦巻ばねに接合される。
【符号の説明】
【0080】
1 渦巻ばね
2 可撓性コイル条片
4 外端部
5 可撓性要素
6 事前応力印加手段
8 可撓性首部
9 内端部
12 可撓性リング
18 可撓性腕部
23 可動剛性部品
47 第1の磁石
48 第2の磁石
51 非交差羽根
52 非交差羽根
55 ねじ
81 レバー