(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】腕輪又はストラップ
(51)【国際特許分類】
A44C 5/00 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
A44C5/00 502A
A44C5/00 502Z
(21)【出願番号】P 2021193189
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2019126142の分割
【原出願日】2016-11-30
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・フランソワ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2008-0003342(KR,U)
【文献】中国実用新案第203234155(CN,U)
【文献】特開2002-226386(JP,A)
【文献】特開昭50-053542(JP,A)
【文献】特表2012-531455(JP,A)
【文献】特開2013-189451(JP,A)
【文献】特表2008-508954(JP,A)
【文献】特公平04-005468(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00- 5/24
A45C13/00
A61M35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの皮膚に接するように配置されること
が意図された、少なくとも1つの有機物質をベースとする部分を有する腕時計バンドのような腕輪又はストラップであって、
前記部分を形成する前記有機物質は、所望の機能を腕輪又はストラップに付与しつつ皮膚に対するリスクを伴う少なくとも1つの機能的な物質と、前記機能的な物質に起因した前記皮膚に対するリスクを抑えるように作用する少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質とを含有し
、
前記腕輪又はストラップは、前記部分を備える少なくとも1つの第1の構成要素と、この第1構成要素と異なる少なくとも1つの第2の構成要素とからなり、
前記第2の構成要素を形成する前記有機物質は、前記機能的な物質のみを含有することを特徴とする腕輪又はストラップ。
【請求項2】
前記有機物質は、皮革、エラストマー及び熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる物質である
ことを特徴とする請求項1に記載の腕輪又はストラップ。
【請求項3】
前記機能的な物質は、抗菌物質、香料、冷却剤及びこれらの混合物からなる群から選ばれる物質である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の腕輪又はストラップ。
【請求項4】
前記抗菌物質は、亜鉛ピリチオン、リン酸銀及びアルミニウム塩類からなる群から選ばれる物質である
ことを特徴とする請求項3に記載の腕輪又はストラップ。
【請求項5】
前記皮膚用の美容用の物質は、修復剤、抗刺激剤及びこれらの混合物からなる群から選ばれる物質である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の腕輪又はストラップ。
【請求項6】
前記修復剤は、セラミドとヒアルロン酸からなる群から選ばれる物質である
ことを特徴とする請求項5に記載の腕輪又はストラップ。
【請求項7】
前記抗刺激剤は、アセチルテトラペプチド-15及びオート麦抽出物からなる群から選ばれる物質である
ことを特徴とする請求項5に記載の腕輪又はストラップ。
【請求項8】
前記皮膚用の美容用の物質は、皮膚との摩擦によって前記美容用の物質を解放するように構成しているカプセル化された形態である
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の腕輪又はストラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの皮膚に接するように配置されることを意図された少なくとも1つの有機物質ベースの部分を有する腕時計バンドのような腕輪又はストラップであって、前記有機物質が、抗菌剤のような少なくとも1つの機能的な物質を含有しているものに関する。
【0002】
本発明は、さらに、腕輪又はストラップを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
抗菌物質を含有するストラップが知られており、例えば、ドイツ特許DE20315119に記載されている。この文献によると、皮革製腕時計ストラップは、抗菌特性があるように処理された皮革で作られたユーザーの皮膚に接する内側バンドを有する。このストラップは、不愉快な臭いを、特に汗とともに、発生させないという利点を有する。
【0004】
また、プラスチック材料で作られた腕輪であって、腕輪の材料に埋め込まれたマイクロカプセルの形態で用いられる活性成分を含有するものが知られている。韓国特許KR20080003342では、機能的な物質はビタミンである。フランス特許FR2842107では、機能的な物質は、香料や薬剤である。このようなビタミンや薬剤は、腕輪が皮膚にこすれることによって解放され、生体内に拡散して腕輪の着用者に作用する。
【0005】
しかし、抗菌物質や香料のような腕輪に組み入れられる活性成分によっては、皮膚に対する刺激物となる。これは、特に、腕輪と皮膚とが長期間接触した場合であって、高温多湿の条件下において顕著である。実際に、このような条件によって、皮膚と腕輪の間の界面において離解が促進され、このことは、腕時計着用者に対して非常に不快な感覚を発生させてしまう。活性成分が組み入れられている腕輪を着用すると、腕輪が皮膚と摩擦することによって、遅かれ早かれ皮層炎が発生してしまう。そして、腕輪を着用することが不快になったり、皮膚損傷が著しい場合には腕輪を着用することが不可能になったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既知の腕輪についての様々な課題を解決することを目的とする。
【0007】
より正確には、本発明は、少なくとも1つの機能的な物質を組み入れているにもかかわらず皮層に対する刺激のリスクをなくして着用の快適性を増加させることができるような腕輪又はストラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、ユーザーの皮膚に接するように配置されることを意図された少なくとも1つの有機物質ベースの部分を有する腕時計バンドのような腕輪又はストラップであって、前記有機物質が、少なくとも1つの機能的な物質を含有しているものに関する。
【0009】
本発明によると、前記有機物質は、さらに、当該腕輪が着用されているときに、ユーザーの皮膚に接しうるように構成している少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を含有している。
【0010】
したがって、本発明に係る腕輪が着用されているときに、当該腕輪は、ユーザーの皮膚内に少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を拡散させる。これは、腕輪に接する皮膚に作用して皮膚のいずれの刺激性をも防ぐ。着用の快適性が非常に改善される。
【0011】
本発明は、さらに、ユーザーの皮膚に接するように配置されることを意図された少なくとも1つの有機物質ベースの部分を有する前記の腕時計バンドのような腕輪又はストラップを製造する方法であって、前記有機物質は、少なくとも1つの機能的な物質を含有しており、前記有機物質は、さらに、当該腕輪又はストラップが着用されているときに、ユーザーの皮膚に接しうるように構成している少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を含有しているものに関する。当該方法は、
(a)皮膚との摩擦によって解放されるように構成しているカプセル化された形態の少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を用意するステップと、
(b)有機物質を用いて調合物を作るステップと、
(c)前記作るステップ(b)で得た調合物に、前記用意するステップ(a)で得たカプセル化された形態の少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質及び少なくとも1つの機能的な物質を加えるステップと、
(d)前記加えるステップ(c)で得た調合物から腕輪を作るステップと
を有する。
【0012】
本発明は、さらに、ユーザーの皮膚に接するように配置されることを意図された少なくとも1つの有機物質ベースの部分を有する前記の腕時計バンドのような腕輪又はストラップを製造する方法であって、前記有機物質は、少なくとも1つの機能的な物質を含有しており、前記有機物質は、さらに、当該腕輪又はストラップが着用されているときに、ユーザーの皮膚に接しうるように構成している少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を含有しているものに関する。当該方法は、
(a’)前記腕輪の有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素を用意するステップであって、前記有機物質が、皮膚用の美容用の物質を含有せず、可能性としては、機能的な物質も含有していない、ステップと、
(b’)前記用意するステップ(a’)における前記腕輪の有機物質ベースの部分に、含浸法によって、少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質及び既に含有していない場合に少なくとも1つの機能的な物質を組み入れるステップと、
(c’)前記用意するステップ(a’)と前記組み入れるステップ(b’)の間又は前記組み入れるステップ(b’)の後に行う腕輪を作るステップと
を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、腕輪又はストラップに関し、特に、時計用バンドに関する。この腕輪は、ユーザーの皮膚に接して配置されるように意図された少なくとも1つの有機物質ベースの部分を有する。この部分は、腕輪の一又は複数の領域、あるいは腕輪全体を形成することができる。
【0014】
本明細書において、用語「有機物質」は、好ましくは、皮革、エラストマー、熱可塑性エラストマー、あるいは腕輪又はストラップ、特に腕時計用バンド、を作るために用いられる他の有機物質を意味している。
【0015】
エラストマーについては、好ましいことに、ゴム状の加硫可能なエラストマーである。これらは、例えば、感触が良いものとして知られているフルオロカーボン化エラストマーで作ることができ、又は以下のタイプのフルオロカーボン化エラストマーの混合物で作ることができる。すなわち、分子量が70,000~250,000であるテトラフルオロエチレン/プロピレンの共重合体、又は分子量が100,000~300,000であるテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、又は分子量が100,000~250,000であるテトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデンのターポリマーである。このようなエラストマーは、市場で入手可能である。ゴムエラストマーは、他のニトリル(NBR)、水素化ニトリル(HNBR)又はケイ素(VMQ、FMVQ...)エラストマーと混合させることができる。
【0016】
熱可塑性エラストマーは、ポリウレタンタイプの熱可塑性エラストマー、又はエチレン酢酸ビニル共重合体、又はアミドブロックコポリマーであることができる。これらの熱可塑性エラストマーは、市場で入手可能である。
【0017】
有機物質は、少なくとも1つの機能的な物質を含有している。
【0018】
本明細書において、用語「機能的な物質」は、特定の機能を行うように腕輪に組み入れられる物質を意味している。この特定の機能は、治療についての機能であってもよく、同様に、治療についてではない機能であってもよい。したがって、腕輪内にある機能的な物質は、例えば、薬剤、香料、抗菌物質、乳酸化メンチルのような冷却剤及びこれらの混合物、又は腕輪に所望の性質を与える他の適切な機能的な物質であることができる。この機能に依存して、機能的な物質を、腕輪が着用されているときに、ユーザーの皮膚に接することができるように構成することができる。好ましくは、腕輪における機能的な物質は、例えば、亜鉛ピリチオン、リン酸銀、アルミニウムクロロハイドレードのようなアルミニウム塩類及び吸収性ミクロスフェアからなる群から選択することができる抗菌物質である。このような抗菌物質によって、実質的に腕輪の着用者の汗に起因する不愉快な臭いの発生を防ぐことができうる。アルミニウムクロロハイドレードは、制汗性物質であるという利点もある。香料や抗菌物質のような異なる機能的な物質を組み合わせることももちろんできる。
【0019】
腕輪が皮革で作られている場合、腕輪の構成要素はすべて、抗菌物質のような機能的な物質で処理することができる。したがって、腕輪の上面、ライニング、縫い糸、パッディングや裂け止め要素のような内側要素も、抗菌物質で処理することができる。
【0020】
本発明によると、ユーザーの皮膚に接するように配置されることを意図された腕輪の部分の有機物質は、さらに、腕輪が着用されているときにユーザーの皮膚に接することができるように構成している少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を含有している。本明細書において、用語「皮膚用の美容用の物質」は、スキンケアのための美容用の物質を意味する。すなわち、皮膚を保護、ケア及び/又は修復して皮膚の保全を維持するように皮膚に作用する活性成分を意味している。好ましくは、皮膚用の美容用の物質は、機能的な物質とは異なる。
【0021】
好ましいことに、皮膚用の美容用の物質は、皮膚に対して長期にわたって持続する効果があるように意図された修復剤であることができる。この修復剤は、セラミド又はヒアルロン酸であることができる。
【0022】
本発明の別の有利な態様によると、皮膚用の美容用の物質は、刺激性を抑えることによって皮膚に対して即効性があるように意図された抗刺激剤であることができる。抗刺激剤は、マンニトールに分散されたアセチルテトラペプチド-15、そして、水/グリセリンに分散されたクエン酸ナトリウム又はオート麦抽出物であることができる。
【0023】
好ましくは、修復剤は、抗刺激剤と組み合わせられて用いられる。
【0024】
特に有利な方法では、皮膚用の美容用の物質は、腕輪がユーザーによって着用されているときに、皮膚との摩擦によって前記美容用の物質を解放するように構成しているカプセル化された形態であることができる。主成分のカプセル化技術は当業者に知られており、詳細な説明を必要としない。しかし、形状形成プロセスに十分に耐えることができる樹脂に皮膚用の美容用の物質がカプセル化されることを示すことは有用であるであろう。このような樹脂は、例えば、メラミンである。
【0025】
本発明に係る腕輪は、異なる方法によって得ることができる。
【0026】
第1の変種において、本発明の方法は、以下のステップを有する。
(a)皮膚との摩擦によって解放されるように構成しているカプセル化された形態の少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質を用意するステップと、
(b)有機物質を用いて調合物を作るステップと、
(c)ステップ(b)で得た調合物に、ステップ(a)で得たカプセル化された形態の少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質及び少なくとも1つの機能的な物質を加えるステップと、
(d)ステップ(c)で得た調合物から腕輪を作るステップと
である。
【0027】
この第1の変種は、特に、前記有機物質が、ゴム状の加硫可能なエラストマー及び熱可塑性エラストマーから選ばれる場合に、適用される。
【0028】
少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質は、活性成分のカプセル化についての既知技術にしたがって用意される。マイクロカプセルの大きさは、例えば、50μmである。
【0029】
前記有機物質の基礎調合物は、ゴム状又は熱可塑性のエラストマーから、腕輪やストラップ、特に時計用バンドを作るために伝統的に用いられている調合物である。
【0030】
例えば、ゴム状の加硫可能なエラストマーの場合、この調合物は、既知の方法で、以下を含有することができる。
- 調合物の100部に対応する量のエラストマー又はエラストマーの混合物
-例えば、腕輪が明るい色の場合は、シリカ、カオリン、TiO2であり、腕輪が暗い色の場合は、カーボンブラックである、20~40部のフィラー
- 2~4部の酸化マンガンのような加硫促進剤
- 4~6部の過酸化物のような加硫剤
- 3~7部のカルナウバろう(carnauba wax)のような添加剤
- 0.5~2部の染色系のための添加剤である。
【0031】
他のいずれの適切な調合物をも使用することができることは明らかである。
【0032】
調合物が用意されると、マイクロカプセル化された形態の少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質及び少なくとも1つの機能的な物質は、組み入れるステップにおいて前記調合物に加えられる。例えば、美容用の物質の含有量は、調合物の総重量に対して、1~40重量%であり、好ましくは、2~20重量%であり、機能的な物質の含有量は、調合物の総重量に対して、0.1~1重量%であり、好ましくは、0.2~0.4重量%である。
【0033】
そして、腕輪は、皮膚用の美容用の物質及び少なくとも1つの機能的な物質を含有する得られた調合物を射出又は圧縮することによって作られる。これらの製造技術は既知であり、詳細な説明を必要としない。この方法の利点は、有機物質における皮膚用の美容用の物質及び機能的な物質の統合を改善するということである。具体的には、加硫に起因する加硫可能なエラストマーに対して改善する。この加硫は、移動の問題を抑える。
【0034】
第2の変種において、本発明の方法は、以下のステップを有する。
(a’)腕輪の有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素を用意するステップであって、前記有機物質が、皮膚用の美容用の物質を含有せず、可能性としては、機能的な物質も含有していない、ステップと、
(b’)ステップ(a’)における腕輪の有機物質ベースの部分に、含浸法によって、少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質及び可能性としては既に含有していない場合に少なくとも1つの機能的な物質を組み入れるステップと、
(c’)ステップ(a’)とステップ(b’)の間又はステップ(b’)の後に行うことができる腕輪を作るステップと
である。
【0035】
第1の実施形態によると、前記含浸法は、単純な含浸法によって達成される。この実施形態は、特に、有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素が皮革で作られている場合に適用されうる。好ましくは、この要素は、腕輪又はストラップライニングであり、これは、好ましいことに、抗菌物質のような少なくとも1つの機能的な物質によってあらかじめ処理される。
【0036】
この第1の実施形態によると、ステップ(a’)は、特に、抗菌物質を既に含有する腕輪ライニングに対しての、染色ステップ又は皮革滋養を行うステップであり、含浸ステップ(b’)は、ステップ(a’)とともに行われ、少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質は、カプセル化された形態又はエマルションの形態であらかじめ用意される。好ましくは、皮膚用の美容用の物質は、重合体内にカプセル化されて、染色ステップ又は皮革滋養を行うステップにおいて要求される温度とpH条件に耐える。例えば、メラミンを用いることができる。
【0037】
第2の実施形態によれば、含浸法は、超臨界流体含浸法である。このような含浸法は、下記ステップを有することができる。
【0038】
- 少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質と、及び腕輪において既に含有していない場合に少なくとも1つの機能的な物質とを、サポート液体に溶かして溶液を作るステップであって、機能的な物質が抗菌物質である場合、機能的な物質の含有量は、0.5~10重量%であり、好ましくは、2.5重量%であり、皮膚用の美容用の物質は、好ましくは、エマルジョン(グリセリン/水)の形態で用意され、含有量は、好ましくは、4~10重量%である。
【0039】
- 環境気圧の下の有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素を加圧チャンバー内に配置するステップである。
【0040】
- チャンバーを密封シールするステップである。
【0041】
- 有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素を前記溶液に含浸させるステップである。これは、25℃~65℃、好ましくは、35℃の温度の3MPa~6MPaの圧力のチャンバー内にて超臨界条件の流体又は超臨界条件に近い流体によって、1~12分、好ましくは、10分の持続時間行われる。
【0042】
- サポート液体が有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素から拡散して抜けるようにチャンバー内の圧力を解放するステップである。これによって、美容用の物質及び可能性としては有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素の内部の機能的な物質をトラップする。
【0043】
好ましいことに、超臨界流体は、二酸化炭素であり、サポート液体は、ヘキサン、イソプロパノール又はd-リモネンから選ばれる。好ましくは、含浸は一定流速で行われる。
【0044】
好ましいことに、残留物を除去するステップを行う。これは、清浄水で洗うことによって又は含浸された有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素を拭くことによって行うことができる。
【0045】
腕輪の有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素が、皮革、エラストマー及び熱可塑性エラストマーから選ばれる場合、超臨界流体含浸ステップ(b’)をステップ(c’)の後に行うことができる。すなわち、既に形成された腕輪に対して行うことができる。特に、前記有機物質がエラストマー又は熱可塑性エラストマーである場合、皮膚のための美容用の物質及び機能的な物質との超臨界流体含浸法が、皮膚のための美容用の物質や機能的な物質を含有していないエラストマー調合物からの射出によって又は圧縮によって、既に形成された腕輪に対して行われる。有機物質が皮革である場合、皮膚用の美容用の物質による超臨界流体含浸法は、仕上がり状態にあり抗菌物質のような機能的な物質によって既に処理されている皮革製腕輪に対して行われる。
【0046】
別の可能性によると、有機物質ベースの部分を形成するように意図された要素が皮革である場合、ステップ(a’)は、皮革切断ステップであり、超臨界流体含浸ステップ(b’)は、ステップ(a’)の近く、かつ、ステップ(c’)の前に行われる。より具体的には、超臨界流体含浸ステップ(b’)は、皮革切断ステップの後に行われる。そして、皮革製腕輪が仕上がる。
【0047】
本発明に係る腕輪又はストラップは、ユーザーの皮膚を保護しつつ、腕輪と腕輪の着用者の皮膚との間の接点において少なくとも1つの皮膚用の美容用の物質が拡散することの結果、少なくとも1つの機能的な物質、特に抗菌物質、によって提供される性質を提供することができる。したがって、着用の快適性が非常に改善される。
【0048】
もちろん、本発明は、図示した例に制限されず、当業者に明らかな様々な変種及び改変を行うことができる。