(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】利益分配のための方法、コンピューティングデバイス、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20230428BHJP
【FI】
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2021205653
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2021-12-20
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520173565
【氏名又は名称】オーブック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OBOOK Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】王 俊凱
(72)【発明者】
【氏名】謝 宗翰
(72)【発明者】
【氏名】▲どぅおん▼ 修安
(72)【発明者】
【氏名】劉 之揚
(72)【発明者】
【氏名】林 維▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】林 易蓁
(72)【発明者】
【氏名】朱 信穎
(72)【発明者】
【氏名】林 子皓
(72)【発明者】
【氏名】張 綱顯
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151957(JP,A)
【文献】特開2019-101481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0279241(US,A1)
【文献】特開2020-194372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスを介したブロックチェーン上での利益分配の方法であって
、前記ブロックチェーンは複数のノードを有し、各ノードは、複数のイベントレコードと共に記録される同一で不変の台帳を有し、前記利益は商業広告から得られ、前記コンピューティングデバイスは、前記ブロックチェーンにアクセスして当該方法を行い、当該方法は、
オンライン情報プラットフォームに基づき、第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップと、
前記第1の分配率及び前記第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得るステップと、
前記オンライン情報プラットフォームに基づき、第2のイベント情報及び第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決めるステップと、
前記第2の分配率及び前記第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得るステップと、
前記第1の分配量及び前記第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決めるステップと、
ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、前記合計分配量を戻すステップ
であり、
前記第1のイベント情報、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のイベント情報、及び前記第2のカテゴリ情報の値セット、
前記第1の分配率及び前記第2の分配率の値セット、並びに
前記第1の分配量及び前記第2の分配量の値セット、
のうち少なくとも1つを戻すことなく、前記合計分配量を戻すステップと、
前記ユーザデバイスから、第1の証明利益及び第2の証明利益を受信することに応答して、利益検証方法を行うステップであり、前記利益検証方法は、
前記第1の分配率及び前記第1の証明利益に従って、第1の証明量を得るステップ、
前記第2の分配率及び前記第2の証明利益に従って、第2の証明量を得るステップ、
前記第1の証明量及び前記第2の証明量を合計することによって、合計証明分配量を決めるステップ、並びに
戻された合計証明分配量の信頼性をチェックするために、前記合計証明分配量を前記ユーザデバイスに戻すステップ、
を含む、ステップと、
を含
み、前記複数のイベントレコードに従って、読者のトラックがトレースされ、さらに、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のカテゴリ情報、前記第1のイベント情報、又は前記第2のイベント情報は、前記読者のトラックに従って得られるか若しくは更新される、方法。
【請求項2】
ニュースページに表示された広告のクリック又はニュースのハイパーリンクのクリックに応答してイベントを検出するステップと、
前記イベントの検出に応答してイベントレコードを記録するステップであって、前記イベントレコードは、ブロックチェーンに記録され、クリックログ、視聴時間、及びトラフィック値のうち少なくとも1つに対応する、ステップと、
前記イベントレコードの正常なイベントレコードに従って、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のカテゴリ情報、前記第1のイベント情報、及び前記第2のイベント情報を決定するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップは、
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリクリック数に対する前記第1のイベント情報の第1のクリック数の比率を、前記第1の分配率として計算すること、
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリ視聴時間に対する前記第1のイベント情報の第1の視聴時間の比率を、前記第1の分配率として計算すること、及び
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリトラフィック値に対する前記第1のイベント情報の第1のトラフィック値の比率を、前記第1の分配率として計算すること、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ユーザデバイスに接続された、利益分配のためのシステムであって
、前記利益は商業広告から得られ、当該システムは、
複数のノードを有し、さらに、各ノードにおいて、複数のイベントレコードと共に記録される少なくとも1つの台帳を格納する分散型台帳ネットワークと、
前記分散型台帳ネットワークに
アクセスするコンピューティングデバイスと、
を含み、
前記コンピューティングデバイスは、
前記複数のイベントレコードに従って、第1のイベント情報、第1のカテゴリ情報、第2のイベント情報、及び第2のカテゴリ情報を得るステップと、
オンライン情報プラットフォームに基づき、前記第1のイベント情報及び前記第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップと、
前記第1の分配率及び前記第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得るステップと、
前記オンライン情報プラットフォームに基づき、前記第2のイベント情報及び前記第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決めるステップと、
前記第2の分配率及び前記第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得るステップと、
前記第1の分配量及び前記第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決めるステップと、
ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、前記合計分配量を戻すステップ
であり、
前記第1のイベント情報、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のイベント情報、及び前記第2のカテゴリ情報の値セット、
前記第1の分配率及び前記第2の分配率の値セット、並びに
前記第1の分配量及び前記第2の分配量の値セット、
のうち少なくとも1つを戻すことなく、前記合計分配量を戻すステップと、
前記ユーザデバイスから、第1の証明利益及び第2の証明利益を受信することに応答して、利益検証方法を行うステップであり、前記利益検証方法は、
前記第1の分配率及び前記第1の証明利益に従って、第1の証明量を得るステップ、
前記第2の分配率及び前記第2の証明利益に従って、第2の証明量を得るステップ、
前記第1の証明量及び前記第2の証明量を合計することによって、合計証明分配量を決めるステップ、並びに
戻された合計証明分配量の信頼性をチェックするために、前記合計証明分配量を前記ユーザデバイスに戻すステップ、
を含む、ステップと、
を行
い、前記複数のイベントレコードに従って、読者のトラックがトレースされ、さらに、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のカテゴリ情報、前記第1のイベント情報、又は前記第2のイベント情報は、前記読者のトラックに従って得られるか若しくは更新される、システム。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスは、前記分散型台帳ネットワークの
複数のノード
のうちの1つである、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピューティングデバイスは、さらに、
ニュースページに表示された広告のクリック又はニュースのハイパーリンクのクリックに応答してイベントを検出するステップと、
前記イベントの検出に応答してイベントレコードを記録するステップであって、前記イベントレコードは、ブロックチェーンに記録され、クリックログ、視聴時間、及びトラフィック値のうち少なくとも1つに対応する、ステップと、
前記イベントレコードの正常なイベントレコードに従って、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のカテゴリ情報、前記第1のイベント情報、及び前記第2のイベント情報を決定するステップと、
を行う、請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップは、
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリクリック数に対する前記第1のイベント情報の第1のクリック数の比率を、前記第1の分配率として計算すること、
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリ視聴時間に対する前記第1のイベント情報の第1の視聴時間の比率を、前記第1の分配率として計算すること、及び
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリトラフィック値に対する前記第1のイベント情報の第1のトラフィック値の比率を、前記第1の分配率として計算すること、
のうち少なくとも1つを含む、請求項
4に記載のシステム。
【請求項8】
利益分配のためのコンピューティングデバイスであって
、前記利益は商業広告から得られ、当該コンピューティングデバイスは、
複数のノードを有する分散型台帳ネットワークに接続された通信デバイス
であり、前記分散型台帳ネットワークは、各ノードにおいて、複数のイベントレコードと共に記録される少なくとも1つの台帳を格納する、通信デバイスと、
前記通信デバイスに接続されたプロセッサであり、
前記分散型台帳ネットワークの前記複数のイベントレコードに従って、第1のイベント情報、第1のカテゴリ情報、第2のイベント情報、及び第2のカテゴリ情報を得るステップと、
オンライン情報プラットフォームに基づき、前記第1のイベント情報及び前記第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップと、
前記第1の分配率及び前記第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得るステップと、
前記オンライン情報プラットフォームに基づき、前記第2のイベント情報及び前記第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決めるステップと、
前記第2の分配率及び前記第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得るステップと、
前記第1の分配量及び前記第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決めるステップと、
ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、前記合計分配量を戻すステップ
であり、
前記第1のイベント情報、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のイベント情報、及び前記第2のカテゴリ情報の値セット、
前記第1の分配率及び前記第2の分配率の値セット、並びに
前記第1の分配量及び前記第2の分配量の値セット、
のうち少なくとも1つを戻すことなく、前記合計分配量を戻すステップと、
前記ユーザデバイスから、第1の証明利益及び第2の証明利益を受信することに応答して、利益検証方法を行うステップであり、前記利益検証方法は、
前記第1の分配率及び前記第1の証明利益に従って、第1の証明量を得るステップ、
前記第2の分配率及び前記第2の証明利益に従って、第2の証明量を得るステップ、
前記第1の証明量及び前記第2の証明量を合計することによって、合計証明分配量を決めるステップ、並びに
戻された合計証明分配量の信頼性をチェックするために、前記合計証明分配量を前記ユーザデバイスに戻すステップ、
を含む、ステップと、
を行うプロセッサと、
を含
み、前記複数のイベントレコードに従って、読者のトラックがトレースされ、さらに、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のカテゴリ情報、前記第1のイベント情報、又は前記第2のイベント情報は、前記読者のトラックに従って得られるか若しくは更新される、コンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、さらに、
ニュースページに表示された広告のクリック又はニュースのハイパーリンクのクリックに応答してイベントを検出するステップと、
前記イベントの検出に応答してイベントレコードを記録するステップであって、前記イベントレコードは、ブロックチェーンに記録され、クリックログ、視聴時間、及びトラフィック値のうち少なくとも1つに対応する、ステップと、
前記イベントレコードの正常なイベントレコードに従って、前記第1のカテゴリ情報、前記第2のカテゴリ情報、前記第1のイベント情報、及び前記第2のイベント情報を決定するステップと、
を行う、請求項
8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップは、
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリクリック数に対する前記第1のイベント情報の第1のクリック数の比率を、前記第1の分配率として計算すること、
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリ視聴時間に対する前記第1のイベント情報の第1の視聴時間の比率を、前記第1の分配率として計算すること、及び
前記第1のカテゴリ情報の第1のカテゴリトラフィック値に対する前記第1のイベント情報の第1のトラフィック値の比率を、前記第1の分配率として計算すること、
のうち少なくとも1つを含む、請求項
8に記載のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利益分配のための方法、コンピューティングデバイス、及びシステムに関し、特に、供給者の信頼を得ながら、売上記録を保護することができる利益分配のための方法、コンピューティングデバイス、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
分散型台帳技術は、様々な分野において広く使用されている。分散型台帳ネットワークに記録されたデータは不変で否定できないため、分散型台帳は人々の信頼を得ている。しかし、ビジネスの観点からは、分散型台帳上のデータの透明性は、特定のシナリオでは歓迎されない可能性がある。
【0003】
例えば、取引が利益分配に基づいている場合、売上記録(例えば、顧客からチャージされる手数料等)は、他の人に知られてはならない企業秘密であり得る。しかし、分配される利益は売上記録に基づいており、取引事業者に開示されるべきである。売上記録が隠されている場合、この取引の事業者間の信頼が失われる可能性がある。このような矛盾に直面して、分散型台帳技術の利点を維持し、売上記録を保護し、同時に供給者からの信頼を得る技術的方法を使用することは大きな課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、供給者の信頼を得ながら、売上記録を保護することができる利益分配のための方法、コンピューティングデバイス、及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、利益分配の方法を開示している。当該方法は、第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップ;第1の分配率及び第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得るステップ;第2のイベント情報及び第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決めるステップ;第2の分配率及び第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得るステップ;第1の分配量及び第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決めるステップ;並びに、ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、合計分配量を戻すステップ;を含む。
【0006】
本発明は、さらに、利益分配のためのシステムを開示している。当該システムは、ユーザデバイスに接続され、さらに、複数のイベントレコードと共に記録される少なくとも1つの台帳を格納する分散型台帳ネットワーク;及び、分散型台帳ネットワークに接続されたコンピューティングデバイス;を含む。コンピューティングデバイスは:複数のイベントレコードに従って、第1のイベント情報、第1のカテゴリ情報、第2のイベント情報、及び第2のカテゴリ情報を得るステップ;第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップ;第1の分配率及び第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得るステップ;第2のイベント情報及び第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決めるステップ;第2の分配率及び第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得るステップ;第1の分配量及び第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決めるステップ;並びに、ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、合計分配量を戻すステップ;を行う。
【0007】
本発明は、さらに、利益分配のためのコンピューティングデバイスを開示している。当該コンピューティングデバイスは、複数のイベントレコードを格納する分散型台帳ネットワークに接続された通信デバイス;及び、通信デバイスに接続されたプロセッサ;を含む。プロセッサは:分散型台帳ネットワークの複数のイベントレコードに従って、第1のイベント情報、第1のカテゴリ情報、第2のイベント情報、及び第2のカテゴリ情報を得るステップ;第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決めるステップ;第1の分配率及び第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得るステップ;第2のイベント情報及び第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決めるステップ;第2の分配率及び第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得るステップ;第1の分配量及び第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決めるステップ;並びに、ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、合計分配量を戻すステップ;を行う。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的は、何の疑いもなく、様々な図及び図面において例示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態における利益分配のためのシステムの概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態における利益分配のためのシステムの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態における利益分配のためのコンピューティングデバイスの概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態における利益分配の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、
図1は、本発明の一実施形態における利益分配のためのシステム100の概略図を例示している。利益分配のためのシステム100は、コンピューティングデバイス110及び分散型台帳ネットワーク120を含み、コンピューティングデバイス110は、通信様式で分散型台帳ネットワーク120に接続されている。この実施形態では、コンピューティングデバイス110は、分散型台帳ネットワーク120にアクセスし、利益分配情報を得るためのソフトウェアを実行するサーバであってもよい。分散型台帳ネットワーク120は、複数のノードによって形成されてもよく、各ノードは、同一で不変の台帳を有している。この実施形態では、分散型台帳ネットワーク120は、ブロックチェーンネットワークである。ユーザデバイス10~14は、通信様式でコンピューティングデバイス110に接続することによって、利益分配システム100に接続することができ、従って、利益分配情報を得ることができる。
【0011】
図2を参照すると、
図2は、本発明の別の実施形態における利益分配のためのシステム100´の概略図を例示している。
図1と同様に、システム100´も、コンピューティングデバイス110及び分散型台帳ネットワーク120を含むが、コンピューティングデバイス110は、分散型台帳ネットワーク120上のノードである。すなわち、コンピューティングデバイス110も、不変な台帳を格納する。
【0012】
図1及び
図2のいずれも、単に例示を目的としたものであり、本発明は、これに限定されるものではないということに留意すべきである。例えば、外部サーバ及び外部データベースを、任意的に、システム100又は100´に接続することができる。ユーザデバイスの数は、3未満の数、3に等しい数、又は3を超える数であり得る。
【0013】
図3を参照すると、
図3は、本発明の一実施形態における利益分配のためのコンピューティングデバイス110の概略図を例示している。
図1及び
図2におけるコンピューティングデバイス110は、
図3に示されているハードウェアとして実装することができる。
【0014】
コンピューティングデバイス110は、通信デバイス112及びプロセッサ114を含む。通信デバイス112は、例えば、Wi-Fi、LAN、Ethernet、Bluetooth(登録商標)、及びLTEのうち少なくとも1つと互換性があるチップである。コンピューティングデバイス110は、通信デバイス112を介して分散型台帳ネットワーク120に接続される。
【0015】
プロセッサ114は、コンピューティングデバイス110によって提供される機能を実装するために必要な全ての計算を行う。プロセッサは、例えば、CPU、DSP、ASIP、又は、計算能力を有する他の装置である。
【0016】
一部の実施形態において、コンピューティングデバイス110は、任意的に、ハードディスクドライブ(HDD)及びソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置を有して構成されてもよい。別の実施形態では、コンピューティングデバイス110は、外部装置(例えば、クラウドストレージ又はブロックチェーンネットワーク等)にデータを格納することができるが、本発明は、これに限定されない。
【0017】
分散型台帳ネットワーク120のノードは、通信能力、格納スペース、及び計算能力を有する任意の装置、例えば、パーソナルコンピュータ、ノートブック、タブレット、及びモバイルデバイス等であってもよいが、本発明は、これらに限定されない。
【0018】
ユーザデバイス10~14は、通信機能を有する任意の電子装置、例えば、パーソナルコンピュータ、ノートブック、タブレット、及びモバイルデバイス等であってもよく、本発明は、これらに限定されない。
【0019】
図4は、本発明の一実施形態における利益分配の方法40の流れ図を例示している。方法40は、
図1又は
図2において例示されているシステム100又は100´のコンピューティングデバイス110上で実施されてもよいが、これに限定されない。
【0020】
この実施形態では、システム100又は100´のシステムプロバイダが技術サービスを提供し、ユーザデバイス10~14は、供給者によって所有されてもよい。例えば、システムプロバイダは、商業広告を有するオンラインニュースを読者に提供し、広告主からの手数料を請求するニュースプラットフォームシステムとして、システム100又は100´を確立する。ユーザデバイス10~14は、システムプロバイダと利益を分配することができるニュースプロバイダによって所有される。以下の説明において、この例は、本発明を例示するために使用されることになるが、これに限定されない。この例において、広告はニュースページに表示され、例えば、広告は、ウィジェットに埋め込まれるか、又はニュースページ上でポップアップ表示される。言い換えると、ユーザがニュースページを読む場合、ユーザは同時に広告も見ることになる。
【0021】
この実施形態の方法40は、以下のステップを含む。
【0022】
ステップS410:第1のイベント情報及び第1のカテゴリ情報に従って、第1の分配率を決める。
【0023】
ステップS420:第1の分配率及び第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得る。
【0024】
ステップS430:第2のイベント情報及び第2のカテゴリ情報に従って、第2の分配率を決める。
【0025】
ステップS440:第2の分配率及び第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得る。
【0026】
ステップS450:第1の分配量及び第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決める。
【0027】
ステップS460:ユーザデバイスからの要求を受信することに応答して、合計分配量を戻す。
【0028】
カテゴリは、「ライフ」、「不動産」、「天気」、及び「ビジネス」であってもよいが、これらに限定されない。一例において、ニュースページは、その内容に従って異なるカテゴリに分けられる。例えば、ニュースの内容がレストランのオープニングに関するものである場合は、「ライフ」として分類される。ニュースページの内容が住宅の販売に関する場合は、「不動産」として分類される。ニュースページの内容が天気予報に関する場合は、「天気」として分類される。ニュースページの内容が最高経営責任者(CEO)の話に関する場合は、「ビジネス」として分類される。簡潔にするために、以下の説明では2つのカテゴリのみが採用されるが、これに限定されない。
【0029】
読者がニュースページに表示されている広告をクリックすると、イベントが検出される。別の実施形態では、読者がニュースのハイパーリンクをクリックすると、イベントが検出され、イベントレコードとして記録される。いずれの実施形態においても、イベントが属するカテゴリは、ニュースページの内容に従って決定される。例えば、クリックされる広告が「ライフ」のニュースに表示されているか又はそのニュースがハイパーリンクに接続されている場合、イベントは「ライフ」のカテゴリに属する。さらに、イベントが検出されると、クリックログ、ニュースの視聴時間、及びイベントのトラフィック値のうち少なくとも1つが、イベントレコードとして記録される。
【0030】
この実施形態では、イベントレコードは、分散型台帳ネットワーク120(すなわちチェーン)に格納されるということに留意すべきである。すなわち、分散型台帳ネットワーク120にリンクされたいかなる装置も、イベントが発生したことを知ることができる。
【0031】
各カテゴリは、カテゴリ情報に対応し、カテゴリ情報は、そのカテゴリの対応するイベントレコードから得られる。例えば、「ライフ」及び「不動産」のカテゴリが、それぞれ第1のカテゴリ情報及び第2のカテゴリ情報に対応し、第1のカテゴリ情報及び第2のカテゴリ情報はそれぞれ、イベントレコードに従って、イベントの合計クリック数、合計視聴時間、及び合計トラフィック値のうち少なくとも1つを含む。例えば、「ライフ」のカテゴリに対応するイベントレコードが100クリックログである場合、第1のカテゴリ情報は、「クリック数,100」であってもよい。「ライフ」のカテゴリに対応するイベントレコードが合計60分である場合、第1のカテゴリ情報は、「時間,60分」であってもよい。「ライフ」のカテゴリに対応するイベントレコードが合計1ギガビットである場合、第1のカテゴリ情報は、「トラフィック値,1GB」であってもよい。第2のカテゴリ情報も類似の方法で設定することができ、ここでは、簡潔にするためにさらに記載されない。
【0032】
加えて、対応するカテゴリの合計の利益又は手数料も、各カテゴリ情報に含まれ、以後、合計利益と呼ばれる。
【0033】
イベント情報は、特定のカテゴリ及び特定のエンティティ(すなわち、特定のニュースプロバイダ)のイベントレコードから得られる。例えば、第1のイベント情報は、「ライフ」のカテゴリ及びAメディア企業に対応するイベントレコードから得られ、第2のイベント情報は、Aメディア企業及び「不動産」のカテゴリに対応するイベントレコードから得られ、第3のイベント情報は、Bメディア企業及び「ライフ」のカテゴリに対応するイベントレコードから得られ、第4のイベント情報は、Bメディア企業及び「不動産」のカテゴリに対応するイベントレコードから得られる。第1のイベント情報、第2のイベント情報、第3のイベント情報、及び第4のイベント情報は、カテゴリ情報と類似の方法で設定することができ、ここでは、簡潔にするために記載されない。
【0034】
一実施形態では、不正を回避するために、カテゴリ情報及びイベント情報は、正常なイベントレコードのみに従って決定されてもよい。言い換えると、異常なイベントレコード(すなわち、対応するイベントが異常なアクティビティとして決定される)は、除外されてもよい。異常なアクティビティは、例えば、特定のニュースに示されている広告が、特定のIPから1分間に100回クリックされるといったことである。その場合、最初のクリックログのみが、正常なイベントレコードとして決定される。異常なアクティビティの判定基準は、システムプロバイダによって様々であってもよく、リリースされない場合があり、それによって、異常なアクティビティが判定基準をうまく逃れることを防いでいるが、これに限定されない。
【0035】
カテゴリ情報及びイベント情報は、分散型台帳ネットワーク120に記録されても、されなくてもよい(例えば、第1のイベント情報、第1のカテゴリ情報、第2のイベント情報、及び第2のカテゴリ情報と共に記録された少なくとも1つの台帳を格納する)が、これに限定されないということに留意すべきである。
【0036】
別の実施形態において、システム100は、読者のトラックをトレースし、読まれたニュースの寄与率を決定して、それに応じて第1のイベント情報を得るようにすることができる。例えば、読者はまず、ホームページから最初のニュースをクリックし、次に、最初のニュースに埋め込まれたハイパーリンクをクリックすることによって、2番目のニュースを見る。3番目のニュースは、その後、2番目のニュースに埋め込まれたハイパーリンクをクリックすることによって表示され、次に、読者が3番目のニュースを見ている間にイベントが発生する。その場合、システム100は、最初のニュース、2番目のニュース、及び3番目のニュースの寄与率を10%、30%、及び60%と決定することができる。言い換えると、このイベントレコードがクリックログである場合、最初のニュースには0.1クリック数が与えられ、2番目のニュースには0.3クリック数が与えられ(例えば、余分なクリック数が与えられるか又はクリック数をシェアし)、3番目のニュースには0.6クリック数が与えられ、対応するカテゴリ情報及び対応するイベント情報がそれに応じて更新される。一例では、読者がホームページに戻ったときに、依存関係がリセットされてもよい。別の例では、システム100は、クリック数を、限定された依存レベルにのみ(すなわち、3つのレベル単位(the nearest three levels)で)分け、これに限定されない。また、システムプロバイダの方針に従って、依存関係及び寄与のレベルを決めることができるが、これに限定されない。
【0037】
ステップS410において、コンピューティングデバイス110は、第1のイベント情報(例えば、「ライフ」のカテゴリに対応し、Aメディア企業によって提供されるイベント情報等)及び第1のカテゴリ情報(例えば、「ライフ」のカテゴリに対応するイベント情報等)に従って、第1の分配率を決める。具体的には、第1のイベント情報が第1のクリック数から得られる場合、コンピューティングデバイス110は、第1のカテゴリ情報の合計のクリック数に対する第1のクリック数の比率を、第1の分配率として計算する。第1のイベント情報が第1の視聴時間から得られる場合、コンピューティングデバイス110は、第1のカテゴリ情報の合計視聴時間に対する第1の視聴時間の比率を、第1の分配率として計算する。第1のイベント情報が第1のトラフィック値から得られる場合、コンピューティングデバイス110は、第1のカテゴリ情報の合計のトラフィック値に対する第1のトラフィック値の比率を、第1の分配率として計算する。
【0038】
ステップS420において、コンピューティングデバイス110は、第1の分配率及び第1のカテゴリ情報の第1の分配される利益に従って、第1の分配量を得る。詳細には、システムプロバイダは、広告主と(例えば、スマートコントラクトによって)手数料協定を結ぶことができる。従って、対応する手数料協定に従って利益を得ることができ、第1のカテゴリに属する全てのイベントの利益に従って第1のカテゴリの合計利益を得ることができる。
【0039】
第1の分配される利益は、システムプロバイダのポリシーに従って決定される。第1の分配される利益は、第1のカテゴリの合計利益の特定の割合であってもよい。この実施形態において、特定の割合は、50%として与えられる(すなわち、第1の分配される利益=第1のカテゴリの合計利益の50%である)が、これに限定されない。コンピューティングデバイス110は、第1のカテゴリ情報から第1の分配される利益を得て、第1の分配率と第1の分配される利益とを乗じることによって第1の分配量を計算する。
【0040】
ステップS430において、コンピューティングデバイス110は、第2のイベント情報(例えば、「不動産」のカテゴリに対応し、Aメディア企業によって提供されるイベント情報等)及び第2のカテゴリ情報(例えば、「不動産」のカテゴリに対応するイベント情報等)に従って、第2の分配率を決める。ステップS440において、コンピューティングデバイス110は、第2の分配率及び第2のカテゴリ情報の第2の分配される利益に従って、第2の分配量を得る。ステップS430~S440は、ステップS410及びS420と類似しており、ここでは、さらなる詳細は記載されない。
【0041】
第1/第2の分配される利益に対応する特定の割合は異なっていてもよく、例えば、第1の分配される利益に対応する特定の割合は50%であってもよく、第2の分配される利益に対応する特定の割合は30%であってもよい。一部の実施形態において、特定の割合は浮動小数点値(a floating value)であってもよく、対応する利益によって影響され得る。詳細には、システム100の費用比率は、利益が高く成長している場合に比較的低く、従って、利益が閾値よりも高い場合には、特定の割合は高くなることがある。特定の割合は、任意の様々な方法で設定することができ、これに限定されない。
【0042】
ステップS450において、コンピューティングデバイス110は、第1の分配量及び第2の分配量を合計することによって、合計分配量を決める。
【0043】
詳細には、ステップS420及びS440において言及される分配量は、以下の式(1):
【0044】
【数1】
によって表すことができる。x
nは、カテゴリnに対応する分配される利益である。f
n(k)は、カテゴリnに対応するニュースプロバイダkの分配率である。yは、ニュースプロバイダkに属するカテゴリに対応する分配量である。
【0045】
分配量の式は、分配ポリシーに従って異なっていてもよいということに留意すべきである。例えば、分配量を、以下の式(2):
【0046】
【数2】
に従って得ることもできる。x
n、f
n(k)、及びyは、式(1)のパラメータと同じであるが、mは、以下のように分配ポリシーに従って決められる動的パラメータである(例えば、より高い分配率が、より高い又はより低い動的パラメータに対応してもよく、従って、より高い又はより低い多くの分配量が、実用的な要求に従って得られる)。
【0047】
【0048】
【0049】
式(3)は、式(2)と類似している。しかし、式(3)は、動的m(i)を乗じることによる累進割合であり、式(2)は、一定割合である。分配量の式は、式(1)~(3)に限定されず、本発明においては、任意の適切な変形を認めることができる。
【0050】
従って、例えば、式(1)を受け入れて、ステップS450を、以下の式(4)~(6):
【0051】
【0052】
上記のように、第1の分配量及び第2の分配量は、同じエンティティ(ニュースプロバイダk)に対応し、従って、集約した合計分配量も、同じエンティティに対応する。
【0053】
さらに、条件が満たされた場合に、ステップS410~S450が行われてもよい。一例において、条件は、例えば、1週間、1ヶ月、3ヶ月、半年、又は1年といった特定の期間であるが、これらに限定されない。別の例において、条件は、イベント情報又はカテゴリ情報の予め設定された閾値であってもよい。例えば、カテゴリ情報の1つが閾値(すなわち、10,000クリック)に達した場合、又はエンティティのイベント情報が閾値(すなわち、対応するカテゴリの1,000クリック又は20%クリック)に達した場合、ステップS410~S450は自動的に行われる。別の例では、カテゴリの(クリックに対応する)利益の1つが特定の量に達すると、それに従ってステップS410~S450は行われる。別の例では、新しいニュースプロバイダがこの利益分配プロジェクトに加わり、システム100に登録すると、ステップS410~S450は、現在の分配される量の合意のために行われる。別の例では、ステップS410~S450は、手動アクティベーションによって行われる。本発明は、これらに限定されない。
【0054】
加えて、一事例において、ステップS410~S450は、要求が受信される毎に行われてもよい。別の例において、ステップS410~S450は1回のみ行われ、ステップS410~S450が初めて行われた後、第1/第2のイベント情報、第1/第2のカテゴリ情報、第1/第2の分配率、第1/第2の分配量、及び合計分配量が、履歴情報として記録され、さらに、第1/第2のイベント情報及び第1/第2のカテゴリ情報が、対応してリセットされる。さらに、コンピューティングデバイス110は、格納された履歴の合計分配量を読み出すことによって、合計分配量を戻す。
【0055】
ステップS460において、コンピューティングデバイス110は、ユーザデバイス10~14のうち1つからの要求を受信することに応答して、合計分配量を戻す。
【0056】
以下は、さらなる例示のための事例である。3つの異なるニュースプロバイダのみが存在し、2つの異なるカテゴリのニュースのみ存在する場合、以下の表のような事例があり得る:
【0057】
【表1】
この例では、第1のカテゴリC1の合計利益は2x
1であり、第1のカテゴリC1の分配される利益はx
1(第1のカテゴリC1の合計利益の50%)である。上記のように、カテゴリC1下の各ニュースプロバイダの分配率は、カテゴリ情報(のイベントレコード)に対するイベント情報(のイベントレコード)の比率に従って決定され、従って、カテゴリC1における異なるニュースプロバイダP1、P2、及びP3の分配率の全ての合計は100%となるべきであり、上記の表を参照されたい。
【0058】
加えて、分配量は、この例においては式(1)に従って得られる。従って、ニュースプロバイダP1に対しては、第1の分配率は20%であり、第2の分配率は40%であり、カテゴリC1における20%の分配される利益、及びカテゴリC2における40%の分配される利益が得られ、従って、合計の分配される利益Yp1は:
【0059】
【0060】
同様に、ニュースプロバイダP2、P3の合計の分配される利益Yp2、Yp3は:
【0061】
【0062】
さらに、合計分配量は:
【0063】
【0064】
そのような状況下では、カテゴリnの分配される利益xn及び対応する合計利益を、ユーザデバイスによって計算することができないように、コンピューティングデバイス110は、ユーザデバイスからの要求に応答して、式(1)~(6)におけるデータの一部のみを戻してもよい。一例において、コンピューティングデバイス110は、第1の分配率(例えばf1(k)等)及び第2の分配率(例えばf2(k)等)、又は第1のイベント情報、第1のカテゴリ情報、第2のイベント情報、及び第2のカテゴリ情報を戻さない。しかし、分散型台帳ネットワーク120から、分配量の式(すなわち、式(1))を得ることができる。所与の合計分配量(例えばY等)の下で、第1の分配利益(例えばx1等)、第2の分配利益(例えばx2等)、第1の分配率(例えばf1(k)等)、及び第2の分配率(例えばf2(k)等)の多くの異なる組み合わせが存在するため、第1/第2の分配率、第1/第2のイベント情報、第1/第2のカテゴリ情報、及び第1/第2のカテゴリ利益の正確な値を知ることは不可能である。
【0065】
別の例において、コンピューティングデバイス110は、合計分配量(例えばY等)、第1の分配率(例えばf1(k)等)、及び第2の分配率(例えばf2(k)等)を戻す。しかし、分配量の式(例えば、式(1)~(3)のうちどれ、及び動的パラメータm又はmk等)はユーザには不明である。従って、ニュースプロバイダは、合計分配量、第1の分配率、及び第2の分配率をせいぜい知ることができる。正確な第1のカテゴリ利益の第1の分配量及び第2のカテゴリ利益の第2の分配量を推論によって知ることは困難である。
【0066】
別の例において、コンピューティングデバイス110は、合計分配量(例えばY等)、第1の分配率(例えばf1(k)等)、及び第2の分配率(例えばf2(k)等)を戻し、ここでも、式(1)を分散型台帳ネットワーク120から得ることができる。ユーザでさえも、第1/第2の分配率及び式(1)を知っているが、第1/第2の分配率(例えばf1(k)/f2(k)等)と第1/第2のカテゴリ利益(例えばx1/x2等)との組み合わせは、特定の合計分配量(例えばY等)の下で無限に近づいている。従って、第1/第2のカテゴリ利益を得ることは困難である。
【0067】
別の例において、コンピューティングデバイス110は、式(1)及び第1/第2の分配率(例えばf1(k)/f2(k)等)なしで、第1の分配量(例えばy1等)及び第2の分配量(例えばy2等)を戻す。或いは、コンピューティングデバイス110は、第1/第2の分配量及び分配量の式を戻すが、第1/第2の分配率はユーザには不明である。従って、第1のカテゴリの実際の利益及び第2のカテゴリの実際の利益の正確な値を知ることは困難である。
【0068】
要するに、コンピューティングデバイス110は、第1/第2のカテゴリ利益の漏れを回避するために、分配量、分配率のみを戻してもよく又はそのどちらも戻さなくてもよい。第1/第2のカテゴリの分配される利益がユーザに不明である場合、いかなる変形も採用することができる。
【0069】
上記の説明においては、第1/第2のイベント情報、第1/第2の分配率、第1/第2の分配量、及び第1/第2のカテゴリ情報のみ(すなわち、2)が記載されているが、イベント情報、分配率、分配量、カテゴリ情報の数はこれに限定されないということに留意すべきである。
【0070】
この実施形態の別の例において、ニュースの代わりに、広告が異なるカテゴリに分割される。従って、どのカテゴリにイベントが属するかは、広告の内容に従って決定される。
【0071】
第1のイベント情報及び第2のイベント情報はそれぞれ、異なるカテゴリに対応するが、同じエンティティ(すなわち、ニュースプロバイダ)に対応する。具体的には、第1のイベント情報が、Aメディア企業によって提供されたニュースに表示される「ライフ」の広告がクリックされたことに対応するイベントレコードから得られる。第2のイベント情報が、Aメディア企業によって提供されたニュースに表示される「不動産」の広告がクリックされたことに対応するイベントレコードから得られる。また、別のイベント情報が、Bメディア企業によって提供されたニュースに表示される「ライフ」の広告がクリックされたことに対応するイベントレコードから得られてもよい。
【0072】
利益分配の方法は、この例のカテゴリ及びイベントの情報の設定に従って実施されてもよく、その詳細については、上記の説明を参照することができるが、ここでは、簡潔にするために繰り返すことはしない。
【0073】
しかし、ニュースプロバイダは、各カテゴリの実際の利益量を知らないため、本発明は、さらに、ニュースプロバイダがこの利益分配方法を信頼するための証明様式を提供する。この証明様式は、証明のために合計証明分配量(a total proof sharing amount)を戻すように、ニュースプロバイダから証明利益(proof profits)を受信して(例えば、ニュースプロバイダは、任意の値として証明利益を設定することができる)、式(1)~(6)における分配される利益xnと置き換える。
【0074】
従って、一実施形態において、コンピューティングデバイス110は、ユーザデバイス10~14から第1の証明利益及び第2の証明利益を受信する。コンピューティングデバイス110は、第1の分配率及び第1の証明利益に従って第1の証明量(proof amount)を得て、第2の分配率及び第2の証明利益に従って第2の証明量を得る。従って、コンピューティングデバイス110は、第1の証明量及び第2の証明量を合計することによって合計証明分配量を決め、その合計証明分配量をユーザデバイス10~14まで戻す。
【0075】
すなわち、ニュースプロバイダは、任意の証明利益量を入力して、その出力が正しいかどうかをチェックすることができる。ニュースプロバイダによって入力された証明利益及びニュースプロバイダに提供された他の情報を用いて出力が常に正しい場合、ニュースプロバイダは、システム100及びコンピューティングデバイス110は信頼できると仮定すること(ゼロ知識証明)ができる。
【0076】
この実施形態では、ニュースプロバイダからの入力は、証明のためだけのものである。従って、証明利益の入力及び対応する合計証明分配量の出力は、分散型台帳ネットワーク120に格納されない。
【0077】
本発明は、異なるシナリオで使用することができるということに留意すべきであり、例えば、システムプロバイダは、出版社が旅行ノートを発行し、ポストに異なる旅行代理店の対応する旅行ツアーを自動的に添付することを可能にする旅行ブログのプラットフォームを提供することができる。
【0078】
旅行ツアーがクリック又は予約されると、システムプロバイダは旅行代理店に料金を請求し、利益を出版社に分配する。又は、システムプロバイダは、対応するローカルホテルを自動的に添付することができ、ホテルがクリック又は予約されると、システムプロバイダがホテルに料金を請求し、その利益を出版社に分配する。本発明の上記の実施形態によって、どの旅行代理店から利益が得られるかを出版社が知ることはない。
【0079】
要約すると、本発明の実施形態は、売上記録(例えば、分配される利益)を保護し、同時に供給者の信頼を得ながら、分散型台帳技術の利点を維持することができる。
【0080】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多くの修正及び変更を行うことができるということを容易に認めることになる。従って、上記の開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。