(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
B01J 7/00 20060101AFI20230428BHJP
B60R 21/264 20060101ALI20230428BHJP
B60R 21/263 20110101ALI20230428BHJP
【FI】
B01J7/00 A
B60R21/264
B60R21/263
(21)【出願番号】P 2022025322
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2017222374の分割
【原出願日】2017-11-20
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】山本 紘士
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-151071(JP,A)
【文献】特開2008-149873(JP,A)
【文献】特開2008-238841(JP,A)
【文献】実開平08-001005(JP,U)
【文献】国際公開第2015/163290(WO,A1)
【文献】特開2007-185907(JP,A)
【文献】特開2015-171847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0255578(US,A1)
【文献】特開2007-076530(JP,A)
【文献】特開2017-149228(JP,A)
【文献】米国特許第5636865(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00 - 7/02
B60R 21/264
B60R 21/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記第1開口部群と前記第2開口部群が周方向に間隔をおいて隣接して配置されている配置形態であって、
前記同一円の中心と前記第1開口部群の複数の第1開口部のうち前記第2開口部群に近接した第1開口部の中心、および前記同一円の中心と第2開口部群の複数の第2開口部のうち前記第1開口部群に近接した第2開口部の中心をそれぞれ通る2つの中心線同士のなす角度(θ1)が15°~65°であり、
前記同一円の中心と前記第1開口部群の複数の第1開口部のうち一つの第1開口部の中心、および前記同一円の中心と前記第1開口部群の複数の第1開口部のなかの前記一つの第1開口部と近接する別の第1開口部の中心を通る2つの中心線同士のなす角度(θ2)、および
前記同一円の中心と前記第2開口部群の複数の第2開口部のうち一つの第2開口部の中心、および前記同一円の中心と前記第2開口部群の複数の第2開口部のなかの前記一つの第2開口部と近接する別の第2開口部の中心を通る2つの中心線同士のなす角度(θ3)が、θ1>θ2、およびθ1>θ3である、ガス発生器。
【請求項2】
前記θ2およびθ3が10°~30°である、請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、
前記ガス排出口が閉塞部材で閉塞され、前記ガス排出口は、前記閉塞部材の破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が、
(a)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部のうちの1つが前記第1開口部群の間に単独配置されている配置形態、または
(b)前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記複数の第1開口部のうちの1つが前記第2開口部群の間に単独配置されている配置形態であり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部は、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されている、ガス発生器。
【請求項4】
前記(a)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、
前記L1と、前記第1開口部と円周方向に隣接する第2開口部との間隔(L3)が、L1<L3の関係を有しているものである、請求項3に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記(b)の配置形態において、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、
前記L2と、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1開口部との間隔(L3)が、L2<L3の関係を有しているものである、請求項3記載のガス発生器。
【請求項6】
ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、
前記ガス排出口が閉塞部材で閉塞され、前記ガス排出口は、前記閉塞部材の破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が、
(a)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部のうちの1つが前記第1開口部群の間に単独配置されている配置形態、または
(b)前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記複数の第1開口部のうちの1つが前記第2開口部群の間に単独配置されている配置形態であり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部は、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置され、
(a)の場合に、前記同一円の中心と前記第1開口部群の複数の第1開口部のうちの1つの第1開口部の中心、および前記同一円の中心と前記第1開口部群の複数の第1開口部のなかの前記1つの第1開口部と近接する別の第1開口部の中心を通る2つの中心線同士のなす角度(θ2)が、θ1>θ2であり、
(b)の場合に、前記同一円の中心と前記第2開口部群の複数の第2開口部のうち1つの第2開口部の中心、および前記同一円の中心と前記第2開口部群の複数の第2開口部のなかの前記1つの第2開口部と近接する別の第2開口部の中心を通る2つの中心線同士のなす角度(θ3)が、θ1>θ3である、ガス発生器。
【請求項7】
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が前記周壁部に形成されているときは、前記周壁部の高さの異なる位置のそれぞれの同一円周上に複数列形成されており、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が前記天板に形成されているときは、前記天板において多重円になるように複数列形成されている、請求項3~
6のいずれか1項に記載のガス発生器。
【請求項8】
前記ハウジングの外径Dと軸方向の長さLの比L/DがL/D≦1.1である、請求項1~
7のいずれか1項に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載するエアバッグ装置用のガス発生器として使用できるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグ装置で使用するガス発生器は、通常、ハウジングの周方向に均等間隔で配置された複数のガス排出口を有しており、ガス発生器が作動したときは、前記複数のガス排出口から放射状にガスが排出され、エアバッグを膨張させるようになっている。
しかし、車両内におけるエアバッグ装置の取付位置、周囲の温度環境の変化などを考慮して、ガス発生器におけるガス排出口の位置、大きさなどを調整した発明が知られている。
【0003】
特許文献1の発明では、ガス発生器の周壁部に開口面積が同じ大径ガス排出口15a、15bを6個形成し、それに直交する部分に小径ガス排出口16a、16bが1つ形成され、それらが同じ厚みのシールテープで閉塞されたものが開示されている。作動時には、大径ガス排出口15a、15bからより多くのガスを排出し、エアバッグの展開を特定の方向に優先させて展開するものである。
しかし、特許文献1の発明は、ガスの排出特定の方向に優先させるためのものであり、全てのガス排出口が開裂した場合の例しかなく(段落番号0036、0037)、異なる大きさのガス排出口により破裂圧のコントロールを意図したものではない。
【0004】
特許文献2の発明では、ハウジングの周壁部において、3種種類の径のオリフィスが形成されているガス発生器が開示されている。
第1のオリフィス26は第2のオリフィス28よりも大きな面積を有し、両オリフィス26と28はハウジングにおいて相互に偏在するように形成されている。また第3のオリフィス34はハウジングの端部に形成され、その開口面積は、第1のオリフィス26と第2のオリフィス28の中間である。また第1、第2のオリフィスを覆う箔32よりも第3のオリフィスを覆う箔36は厚くなっている。
これらのオリフィスは、作動時の環境温度の違いによって発生するハウジング内圧やそれによって発生する出力の相違を調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-201243号公報
【文献】特開平6-183310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガス発生器が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部からなるガス排出口を有しているとき、設計どおりに前記第1開口部が先に開口され、前記第2開口部が遅れて開口されるか、または第1開口部のみが開口され、その影響が第2開口部に及ばないガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(第1実施形態の発明)は、ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部が、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである、ガス発生器を提供する。
【0008】
第1実施形態のガス発生器は、ガス発生剤を着火燃焼させる点火器が一つのシングルタイプのもの、前記点火器が二つのデュアルタイプのものの両方に適用することができる。
また、ガス発生剤と加圧ガスを併用するハイブリッドタイプのガス発生器にも適用することができる。
以下の他の実施形態においても同様である。
【0009】
第1実施形態のガス発生器のハウジングは、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるディスク形状のものである。
ガス排出口は、ガス発生器の車両における設置場所などに応じて、周壁部、天板部、または周壁部と天板部の両方に形成されていてもよい。
複数の第1開口部と複数の第2開口部は、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上になるように形成されている形態のほか、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上にあるものとないものが混在している形態(複数の第1開口部の中心は第1同一円周上にあり、複数の第2開口部の中心は第2同一円周上にあるが、第1同一円周と第2同一円周が同一ではなく異なっている形態を含む)、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上にはないが、少なくともそれらの開口部の一部が同一円周上にある形態を含んでいる。
ガス排出口は、防湿目的で内側から金属製のシールテープで閉塞されていてもよい。
【0010】
ガス排出口は、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものである(P1<P2)。
破裂圧(P1)の第1開口部と破裂圧(P2)の第2開口部は、
(i)第1開口部の開口径が第2開口部の開口径よりも大きく、第1開口部と第2開口部が同じシールテープで閉塞されている実施形態、
(ii)第1開口部の開口径と第2開口部の開口径が同じで、第1開口部を閉塞するシールテープ(第1シールテープ)と第2開口部を閉塞するシールテープ(第2シールテープ)の引っ張り強度が、第1シールテープの引っ張り強度<第2シールテープの引っ張り強度である実施形態、
(iii)上記)(i)と(ii)の実施形態を組み合わせた実施形態、のいずれかの実施形態にすることができる。
【0011】
複数の第1開口部と複数の第2開口部の配置形態は、ガス発生器に要求される機能に応じて適宜調整されるものであるが、本発明のガス発生器では、本発明の課題を解決するため、下記の要件を満たすことが必須となる。
即ち、同一円の円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部は、前記同一円の中心と第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである。
第1実施形態のガス発生器は、作動時に主として第1開口部が先に開口し、第2開口部が遅れて開口する場合か、第1開口部のみが開口する場合の機能を確実にするものである。
そのガス発生器を使用したエアバッグ装置が作動すると、ガス発生剤が燃焼して燃焼ガスが発生し、エアバッグを膨張させることができる。
このとき、第1開口部と第2開口部が近接して配置されていると、優先的に第1開口部が開口するので、前記開口した第1開口部に燃焼ガス流が集中する結果、近接する第2開口部が前記燃焼ガス流の影響を受けて、一緒に開口してしまうという問題が生じるおそれがある。
前記問題は、点火器が一つのシングルタイプのガス発生器と点火器が二つのデュアルタイプのガス発生器の両方で発生する可能性があるが、特に二つの点火器が時間差をおいて作動するデュアルタイプのガス発生器においては重要な問題となる。
しかし、第1実施形態のガス発生器では、第1開口部と第2開口部が所定の角度(θ1)範囲をおいて配置されており、開口した第1開口部への燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けにくくなっているため、上記したように第2開口部が、開口すべきでないときに開口してしまうという問題を回避することができる。
【0012】
本発明(第2実施形態の発明)は、ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が、
(a)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部のうちの1つが前記第1開口部群の間に配置されている配置形態、
(b)前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記複数の第1開口部のうちの1つが前記第2開口部群の間に配置されている配置形態、
(c)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記第1開口部群と前記第2開口部群が周方向に間隔をおいて配置されている配置形態、
(d)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群と前記第2開口部群の間、前記第1開口部群同士の間、または前記第2開口部群同士の間に第1開口部または第2開口部が単独配置されている配置形態、
(e)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群の中に第2開口部が単独配置されているか、または前記第2開口部群の中に第1開口部が単独配置されている配置を含んでいる配置形態、
(f)前記(a)~(e)から選ばれる1または2以上の配置形態の一部を含んでいる配置形態から選ばれるいずれかの配置形態であり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部が、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである、ガス発生器を提供する。
【0013】
第2実施形態のガス発生器は、ガス発生剤を着火燃焼させる点火器が一つのシングルタイプのもの、前記点火器が二つのデュアルタイプのものの両方に適用することができる。
また、ガス発生剤と加圧ガスを併用するハイブリッドタイプのガス発生器にも適用することができる。
【0014】
第2実施形態のガス発生器のハウジングは、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるディスク形状のものである。
ガス排出口は、ガス発生器の設置場所などに応じて、周壁部、天板部、または周壁部と天板部の両方に形成されていてもよい。
複数の第1開口部と複数の第2開口部は、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上になるように形成されている形態のほか、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上にあるものとないものが混在している形態(複数の第1開口部の中心は第1同一円周上にあり、複数の第2開口部の中心は第2同一円周上にあるが、第1同一円周と第2同一円周が同一ではなく異なっている形態を含む)、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上にはないが、少なくともそれらの開口部の一部が同一円周上にある形態を含んでいる。
ガス排出口は、防湿目的で内側から金属製のシールテープで閉塞されていてもよい。
【0015】
ガス排出口は、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものである(P1<P2)。
破裂圧(P1)の第1開口部と破裂圧(P2)の第2開口部は、第1実施形態のガス発生器と同じ(i)、(ii)または(iii)のいずれかの実施形態にすることができる。
【0016】
複数の第1開口部と複数の第2開口部の配置形態は、(a)~(f)の配置形態から選ばれるものである。
車両内の設置場所、車種などに異なるガス発生器への要求事項に対応して、複数の第1開口部と複数の第2開口部の配置形態は調整されるものであり、(a)~(f)は、複数の第1開口部と複数の第2開口部の配置状態が具体的にされたものである。
【0017】
(a)の配置形態は、例えば、3つの第1開口部が一つの群として、合計で3つの群となるように配置され(第1a群、第2a群、第3a群)、第1a群と第2a群の間、第2a群と第3a群の間、第3a群と第1a群の間にそれぞれ一つの第2開口部が配置されているものである。
【0018】
(b)の配置形態は、例えば、3つの第2開口部が一つの群として、合計で3つの群となるように配置され(第1b群、第2b群、第3b群)、第1b群と第2b群の間、第2b群と第3b群の間、第3b群と第1b群の間にそれぞれ一つの第1開口部が配置されているものである。
【0019】
(c)の配置形態では、例えば、2つの第1開口部が一つの群として、合計で3つの群となるように配置され(第1a群、第2a群、第3a群)、2つの第2開口部が一つの群として、合計で3つの群となるように配置され(第1b群、第2b群、第3b群)ている。
それらの各群の配置順序はガス発生器に求められる性能に応じて決定されるものであり、前記性能を満たす範囲であれば、規則性があってもよいし、ランダムであってもよい。
例えば、第1a群、第1b群、第2a群、第2b群第3a群、第3b群と交互になり、かつ各群同士の間隔が等間隔になるように同一円周上に配置されている形態にすることができる。
【0020】
(d)の配置形態は、前記(c)の配置形態において、隣接する各群の間に一つずつの第1開口部または第2開口部が配置されているものである。
【0021】
(e)の配置形態は、前記(c)の配置形態において、各群を構成する複数の第1開口部または複数の第2開口部の間に一つずつの第1開口部または第2開口部が配置されているものである。
例えば、第1a群が4つの第1開口部からなるとき、4つの第1開口部の中間位置に一つの第2開口部が配置されている形態であり、第1b群が4つの第2開口部からなるとき、4つの第2開口部の中間位置に一つの第1開口部が配置されている形態である。
【0022】
(f)の配置形態は、例えば、同一円周上に形成された複数の第1開口部と複数の第2開口部が、半分(1/2円周)が一つの配置形態で、残りの1/2円周が他の配置形態のものである。
例えば、1/2円周を(a)の配置形態にして、残りの1/2円周を(b)の配置形態にすることができる。
【0023】
第2実施形態のガス発生器の好ましい実施形態は、前記(b)、(c)、(d)および(e)の配置形態において、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔であり、前記同一円の中心と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されているものである。
【0024】
(b)、(c)、(d)および(e)の配置形態は、いずれも第2開口部群を有しているものである。
第2開口部群の第2開口部は、隣接する第2開口部同士がθ2=10°~30°を満たし、同時に(θ1)=15°~65°とθ1>θ2を満たしているため、例えばθ2=30°のときθ1は必ず30°よりも大きな角度となる。
このようにθ1とθ2を満たすことで、第1実施形態と同様に開口した第1開口部の影響を第2開口部が受けることが防止されるとともに、第2開口部同士の配置の自由度が増し、ガスの排出方向を任意に調整することができる。
【0025】
第2実施形態のガス発生器の好ましい別実施形態は、前記(a)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、前記L1と、前記第1開口部と円周方向に隣接する第2開口部との間隔(L3)が、L1<L3の関係を有しているものである。
【0026】
(a)の配置形態は、例えば、3つの第1開口部が一つの群として、合計で3つの群となるように配置され(第1a群、第2a群、第3a群)、第1a群と第2a群の間、第2a群と第3a群の間、第3a群と第1a群の間にそれぞれ一つの第2開口部が配置されているものである。
第1a群、第2a群、第3a群のそれぞれの3つの第1開口部同士の間隔は等間隔(L1)である。
第1a群と第2a群の間に一つの第2開口部があるとき、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1a群の第1開口部の間隔(L3)、または前記第2開口部と円周方向に隣接する第2a群の第1開口部の間隔(L3)は、L1<L3の関係を満たしている。
このようにL1<L3の関係を満たしていると、第1実施形態と同様に開口した第1開口部から排出される燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けることが防止される。
【0027】
第2実施形態の好ましい別実施形態のガス発生器は、前記(b)の配置形態において、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、前記L2と、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1開口部との間隔(L3)が、L3>L2の関係を有しているものである。
【0028】
(b)の配置形態は、例えば、3つの第2開口部が一つの群として、3つの群となるように配置され(第1b群、第2b群、第3b群)、第1b群と第2b群の間、第2b群と第3b群の間、第3b群と第1b群の間にそれぞれ一つの第1開口部が配置されているものである。
第1b群、第2b群、第3b群のそれぞれの3つの第1開口部同士の間隔は等間隔(L2)である。
第1b群と第2b群の間に一つの第1開口部があるとき、前記第1開口部と円周方向に隣接する第1b群の第2開口部の間隔(L3)、または前記第1開口部と円周方向に隣接する第2b群の第2開口部の間隔(L3)は、L2<L3の関係を満たしている。
このようにL2<L3の関係を満たしていると、第1実施形態と同様に開口した第1開口部から排出される燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けることが防止される。
【0029】
第2実施形態の好ましい別実施形態のガス発生器は、前記(c)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、
前記L1と、前記L2と、円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)が、L3>L1、L3>L2の関係を有しているものである。
【0030】
(c)の配置形態は、例えば、2つの第1開口部が一つの群として、3つの群となるように配置され(第1a群、第2a群、第3a群)、2つの第2開口部が一つの群として、3つの群となるように配置され(第1b群、第2b群、第3b群)ており、それらの各群が第1a群、第1b群、第2a群、第2b群第3a群、第3b群と交互になり、かつ各群同士の間隔が等間隔になるように同一円周上に配置されているものである。
第1開口部群(第1a群、第2a群、第3a群)における第1開口部同士の間隔はL1である。
第2開口部群(第1b群、第2b群、第3b群)における第1開口部同士の間隔はL2である。
円周方向に第1a群と第1b群が隣接しており、第1a群の一番端の第1開口部(端部第1開口部)と、第1b群の第2開口部の内、前記端部第1開口部に最も近い位置にある第2開口部の間隔はL3である。
L1、L2、L3は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
このようにL3>L1、L3>L2の関係を有しているため、第1実施形態と同様に開口した第1開口部から排出される燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けることが防止される。
【0031】
第2実施形態の好ましい別実施形態のガス発生器は、前記(d)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、
L1、L2と、前記第1開口部群と前記第2開口部群の間に単独配置されている第1開口部と、前記単独配置第1開口部と隣接している前記第2開口群の第2開口部(隣接第2開口部)の間隔(L3)、または
前記第1開口部群と前記第2開口部群の間に単独配置されている第2開口部と、前記単独配置第2開口部と隣接している前記第1開口群の第1開口部(隣接第1開口部)の間隔(L3)が、L3>L1、L3>L2の関係を有しているものである。
【0032】
(d)の配置形態は、前記(c)の配置形態において、第1a群と第1b群の間、第1b群と第2a群の間、第2a群と第2b群の間、第2b群と第3a群の間、第3a群と第3b群の間、第3b群と第1a群の間に一つずつの第1開口部または第2開口部が配置されているものである。
第1開口部群(第1a群、第2a群、第3a群)における第1開口部同士の間隔はL1である。
第2開口部群(第1b群、第2b群、第3b群)における第1開口部同士の間隔はL2である。
第1a群と第1b群の間に単独配置されている第1開口部と、単独配置第1開口部と隣接する第1b群の第2開口部の間隔、または第1a群と第1b群の間に単独配置されている第2開口部と、単独配置第2開口部と隣接する第1a群の第1開口部の間隔は、L3である。
L1、L2、L3は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
このようにL3>L1、L3>L2の関係を有しているため、第1実施形態と同様に開口した第1開口部から排出される燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けることが防止される。
【0033】
第2実施形態の好ましい別実施形態のガス発生器は、前記(e)の配置形態において、
第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、前記L1と、前記第1開口部と円周方向に隣接する第2開口部との間隔(L3)がL3>L1の関係を有しており、
第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、前記L2と、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1開口部との間隔(L3)がL3>L2の関係を有しているものである。
【0034】
(e)の配置形態は、前記(c)の配置形態において、第1開口部群(例えば第1a群)が4つの第1開口部からなるとき、4つの第1開口部の中間位置に一つの第2開口部が配置されている形態であるか、第2開口部群(例えば第1b群)が4つの第2開口部からなるとき、4つの第2開口部の中間位置に一つの第1開口部が配置されている形態である。
第1開口部群(第1a群、第2a群、第3a群)における第1開口部同士の間隔はL1である。
第2開口部群(第1b群、第2b群、第3b群)における第1開口部同士の間隔はL2である。
4つの第1開口部の中間位置に一つの第2開口部があるとき、前記第2開口部と、前記第2開口部の両側に隣接する第1開口部との間隔、または4つの第2開口部の中間位置に一つの第1開口部があるとき、前記第1開口部と、前記第1開口部の両側に隣接する第2開口部との間隔はL3である。
L1、L2、L3は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
このようにL3>L1、L3>L2の関係を有しているため、第1実施形態と同様に開口した第1開口部から排出される燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けることが防止される。
【0035】
第1実施形態、第2実施形態および上記した他の実施形態の好ましいガス発生器は、前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が周壁部に形成されているときは、前記周壁部の高さの異なる位置のそれぞれの同一円周上に複数列形成されており、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が天板に形成されているときは、前記天板において多重円になるように複数列形成されているものである。
【0036】
ガス排出口がハウジングの周壁部に形成されているとき、異なる高さの複数列に形成されている。
例えば、同じ高さの円周上に一列目のガス排出口(複数の第1開口部と複数の第2開口部の組み合わせ)が形成され、高さ方向に間隔をおいて同じ高さの円周上に二列目のガス排出口(複数の第1開口部と複数の第2開口部の組み合わせ)が形成され、さらに同様にして三列目以上のガス排出口が形成されているような実施形態である。
【0037】
ガス排出口がハウジングの天板に形成されているとき、多重円になるように複数列形成されているものである。
例えば、天板に一つの同一円周上に一列目のガス排出口(複数の第1開口部と複数の第2開口部の組み合わせ)が形成され、間隔をおいた内側に二列目のガス排出口(複数の第1開口部と複数の第2開口部の組み合わせ)が形成され、さらに同様にして三列目以上のガス排出口が形成されているような実施形態である。
【0038】
本発明のガス発生器(第3実施形態の発明)は、ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるものであり、
前記点火器が、前記底板に固定されかつ開口部側が前記底板に当接された、周壁部に複数の伝火孔を有するカップ部材内部に収容されており、
前記複数の伝火孔が、前記カップ部材の周壁部の半円側(第1半円側)に偏在しており、前記カップ部材が、平面形状が円形で、前記ハウジングの中心部から偏った位置であり、前記カップ部材の第1半円側が前記ハウジングの周壁部から遠い位置になるように、前記ハウジング内部に形成された燃焼室に配置されているものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が請求項2記載の(a)~(f)のいずれかの配置形態であり、
前記複数の伝火孔が偏在した前記カップ部材の周壁部の第1半円側に対応する前記ハウジングの半円側を第1半円領域とし、残部の半円側を第2半円領域としたとき、前記第1半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A1)と前記第2半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A2)の比(A2/A1)が0.25~0.40の範囲である、ガス発生器を提供する。
【0039】
第3実施形態のガス発生器のハウジングは、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるディスク形状のものである。
ガス排出口は、ガス発生器の設置場所などに応じて、周壁部、天板部または周壁部と天板部の両方に形成されていてもよい。
複数の第1開口部と複数の第2開口部は、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上になるように形成されている形態のほか、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上にあるものとないものが混在している形態(複数の第1開口部の中心は第1同一円周上にあり、複数の第2開口部の中心は第2同一円周上にあるが、第1同一円周と第2同一円周が同一ではなく異なっている形態を含む)、複数の第1開口部と複数の第2開口部の中心が同一円周上にはないが、少なくともそれらの開口部の一部が同一円周上にある形態を含んでいる。
ガス排出口は、防湿目的で内側から金属製のシールテープで閉塞されていてもよい。
【0040】
ガス排出口は、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものである。
破裂圧(P1)の第1開口部と破裂圧(P2)の第2開口部は、第1実施形態のガス発生器と同じ(i)、(ii)または(iii)のいずれかの実施形態にすることができる。
【0041】
点火器は、周壁部に複数の伝火孔を有するカップ部材内部に収容されている。
前記カップ部材の平面形状は円形であり、前記複数の伝火孔は前記カップ部材の周壁部の半円側(第1半円側)に偏在している。複数の伝火孔は、全体の数の内、2/3を超える数が第1半円側に形成されており、残部が他の半円側(第2半円側)に形成されている。全ての伝火孔の大きさは同じであるため、作動時には、伝火孔が多い第1半円側からより多くの火炎を含む燃焼生成物が放出されることになる。
また前記カップ部材(即ち点火器)は、前記ハウジングの中心部から偏った位置に配置されていることで、前記カップ部材の第1半円側が前記ハウジングの周壁部から遠い位置になり、第2半円側が前記ハウジングの周壁部から近い位置になっている。
このため、ハウジングの周壁部から遠いカップ部材の第1半円側に面した燃焼室の容積は、ハウジング周壁部から近い第2半円側に面した燃焼室の容積よりも大きくなり、第1半円側の方により多くのガス発生剤が存在することになる。
【0042】
前記複数の伝火孔が偏在した前記カップ部材の周壁部の半円側(第1半円側)に対応する前記ハウジングの半円側を第1半円領域とし、残部の第2半円側を第2半円領域とするとき、第1半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A1)と第2半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A2)の比(A2/A1)は、0.25~0.40の範囲である。
上記したとおり、ハウジングから遠いカップ部材の第1半円側の燃焼室容積(即ち、第1半円領域の容積)>ハウジングから近い第2半円側の燃焼室容積(即ち、第2半円領域の容積)となり、第1半円領域の方により多くのガス発生剤が存在する。
このため、燃焼表面積が大きい第1半円領域のガス発生剤にむけて伝火孔がより多く形成されているため、第1半円領域のガス発生剤の燃焼は促進される。
また第1半円領域と第2半円領域それぞれの燃焼室中のガス発生剤の燃焼表面積に対応して開口部が設けられているため、第1半円領域と第2半円領域でガス発生剤の燃焼性には殆ど差がなくなる。
【0043】
本発明(第4実施形態の発明)は、ガス排出口を有する筒状ハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記筒状ハウジングが、幅方向の断面形状が円形で、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D>1.1であるものであり、
前記点火器が、前記筒状ハウジングのいずれか一方の端部に取り付けられているものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記筒状ハウジングの周壁部において同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部が、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである、ガス発生器を提供する。
【0044】
第4実施形態のガス発生器のハウジングは、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D>1.1であるシリンダー形状のものである。
ガス排出口は周壁部に形成されており、ガス発生器の設置場所などに応じて形成位置を調整することができる。
複数の第1開口部と前記複数の第2開口部は、それぞれの中心が同一円周上になるように形成されている。
ガス排出口は、防湿目的で内側から金属製のシールテープで閉塞されていてもよい。
以下の他の実施形態においても同様である。
【0045】
ガス排出口は、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものである(P1<P2)。
破裂圧(P1)の第1開口部と破裂圧(P2)の第2開口部は、第1実施形態のガス発生器と同じ(i)、(ii)または(iii)のいずれかの実施形態にすることができる。以下の他の実施形態においても同様である。
【0046】
同一円の円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部は、前記同一円の中心と第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである。
第4実施形態のガス発生器も同様に、作動時に主として第1開口部が先に開口し、第2開口部が遅れて開口する場合か、第1開口部のみが開口する場合の機能を確実にするもので、そのガス発生器を使用したエアバッグ装置が作動すると、ガス発生剤が燃焼して燃焼ガスが発生し、エアバッグを膨張させることができる。
このとき、第1開口部と第2開口部が近接して配置されていると、閉塞されていた第1開口部が優先的に開口したとき、前記開口した第1開口部に燃焼ガス流が集中する結果、近接する第2開口部が前記燃焼ガス流の影響を受けて、一緒に開口してしまうという問題が生じるおそれがある。
前記問題は、点火器が一つのシングルタイプのガス発生器と点火器が二つのデュアルタイプのガス発生器の両方で発生する可能性がある問題であるが、特に二つの点火器が時間差をおいて作動するデュアルタイプのガス発生器においては重要な問題となる。
しかし、第4実施形態のガス発生器では、第1開口部と第2開口部が所定の角度範囲(θ1)をおいて配置されており、開口した第1開口部への燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けにくくなっているため、上記したように第2開口部が、開口すべきでないときに開口してしまうという問題を回避することができる。
【0047】
本発明(第5実施形態の発明)は、ガス排出口を有する筒状ハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記筒状ハウジングが、幅方向の断面形状が円形で、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D>1.1であるものであり、
前記点火器が、前記筒状ハウジングのいずれか一方の端部に取り付けられているものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記筒状ハウジングの周壁部において同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が、
(a)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部のうちの1つが前記第1開口部群の間に配置されている配置形態、
(b)前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記複数の第1開口部のうちの1つが前記第2開口部群の間に配置されている配置形態、
(c)前記(a)の配置形態と前記(b)の配置形態が組み合わされた配置形態、
(d)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群と前記第2開口部群の間、前記第1開口部群同士の間、または前記第2開口部群同士の間に第1開口部または第2開口部が単独配置されている配置形態、
(e)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群の中に第2開口部が単独配置されているか、または前記第2開口部群の中に第1開口部が単独配置されている配置形態、
(f)前記(a)~(e)から選ばれる1または2以上の配置形態の一部を含んでいる配置形態であり、
前記(a)~(f)から選ばれる1または2以上の配置形態が軸方向に複数列形成されているものである、ガス発生器を提供する。
【0048】
第5実施形態のガス発生器は、複数の第1開口部と複数の第2開口部の配置形態が第2実施形態の発明における(a)~(f)の配置形態となっている。
複数の第1開口部と複数の第2開口部は、シリンダー状のハウジングの軸方向に間隔をおいて複数列形成されていてもよく、その場合には、列ごとに(a)~(f)から選ばれる異なる配置形態にすることもできる。
(a)~(f)の配置形態は、第2実施形態の発明の(a)~(f)と同じ配置形態である。
【発明の効果】
【0049】
本発明のガス発生器は、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部からなるガス排出口を有しているとき、開口した第1開口部への燃焼ガス流の影響を第2開口部が受けにくくなっているため、第2開口部が開裂すべきでないときに開裂するという問題が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】ガス発生器で使用するハウジングの斜視図であるが、ガス排出口の位置を示すためだけに使用するものである。
【
図2】ハウジングの周壁部にガス排出口が形成されているときの配置形態を示す平面図であるが、平面図では見えないガス排出口の位置を見えるようにした図である。
【
図3】さらに別実施形態のガス排出口の配置形態を示す
図2と同様の平面図。
【
図4】さらに別実施形態のガス排出口の配置形態を示す
図2と同様の平面図。
【
図5】さらに別実施形態のガス排出口の配置形態を示す
図2と同様の平面図。
【
図6】さらに別実施形態のガス排出口の配置形態を示す
図2と同様の平面図。
【
図7】さらに別実施形態のガス排出口の配置形態を示す
図2と同様の平面図。
【
図8】さらに別実施形態のガス排出口の配置形態を示す
図2と同様の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(1)
図2に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
本発明のガス発生器は、ガス排出口の配置形態を除いては、ハウジング内にガス発生剤、点火器、フィルタなどが収容された公知のガス発生器と同じものである。点火器は1つでも、複数でもよい。
図1は、ハウジング101を有しているガス発生器100の斜視図である。
ハウジング101は、天板102、天板102と軸方向に対向する底板103、天板102と底板103の間の周壁部104からなり、モジュールケースに取り付けるために使用するフランジ部105を有している。
ハウジング101は、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるディスク形状のものである。
図1では、周壁部104のみに第1ガス排出口11、12など、第2ガス排出口31、34などが形成された形態で示しているが、天板102のみにガス排出口が形成されている形態、天板102と周壁部104の両方にガス排出口が形成されている形態でもよい。
また
図1では、ガス排出口は円周方向に一列のみに形成されているが、軸方向に間隔をおいて複数列が形成されていてもよい。
図2は、ハウジング1の周壁部104に形成されたガス排出口の配置形態が分かり易くなるように示したものである。
以下における各図に示す実施形態は、ガス排出口がハウジングの周壁部104に配置された形態として説明する。
【0052】
図2に示すガス排出口の配置形態では、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部11~14と、破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部31~34が組み合わされている。
第1開口部11~14の開口径は第2開口部31~34よりも大きくなっており、第1開口部11~14と第2開口部31~34は、全て同じ金属製のシールテープで内側から閉塞されている。
このため、第1開口部11~14の破裂圧(P1)は、第2開口部31~34の破裂圧(P2)よりも低くなっている(p1<P2)。
【0053】
第1開口部11~14と第2開口部31~34は、同一円周上に交互になるように配置されている。ここで同一円周上とは、第1開口部11~14と第2開口部31~34の全ての中心が同一円周上にあることを意味している。以下における他の実施形態においても、複数の第1開口部と複数の第2開口部の全ての中心が同一円周上(周壁面)にある形態である。
円周方向に隣接する第1開口部11と第2開口部31は、同一円の中心と第1開口部11の中心を通る第1中心線1と、同一円の中心と第2開口部31の中心を通る第2中心線2とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されている。
同様に円周方向に隣接する第2開口部31と第1開口部12、第2開口部12と第1開口部32、第2開口部32と第1開口部13、第1開口部13と第2開口部33、第2開口部33と第1開口部14、第1開口部14と第2開口部3が満たされるように配置されている。
【0054】
図2に示す配置形態のガス排出口を有するガス発生器100を使用したエアバッグ装置が作動し、ガス発生剤が燃焼して燃焼ガスが発生したとき、破裂圧の低い第1開口部11~14が先に開口して、破裂圧の高い第2開口部31~34が遅れて開口することになり、時間差をおいてガスを排出してエアバッグを膨張させることができる。また場合によっては第1開口部11~14のみが開口する場合がある。
このとき、第1開口部11~14と第2開口部31~34が近接して配置されていると、閉塞されていた第1開口部11~14が開口したとき、前記開口した第1開口部11~14に燃焼ガス流が集中する結果、近接する第2開口部31~34が前記燃焼ガス流の影響を受けて、設計された開口時間よりも早く開口したり、開口すべきでない状況で開口したりするという問題が生じるおそれがある。
前記問題は、点火器が一つのシングルタイプのガス発生器と点火器が二つのデュアルタイプのガス発生器の両方で発生する可能性があるが、特に二つの点火器が時間差をおいて作動するデュアルタイプのガス発生器においては重要な問題となる。
しかし、
図2示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器では、第1開口部11~14と第2開口部31~34が所定の角度(θ1)をおいて配置されており、開口した第1開口部11~14への燃焼ガス流の影響を第2開口部31~34が受けにくくなっているため、上記したように第2開口部31~34が設計された開口時間よりも早く開口してしまうという問題が生じることはない。
【0055】
(2)
図3に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図3は、ガス排出口が上記した(a)の配置形態であるものである。
第1開口部11、12が第1群51、第1開口部13、14が第2群52、第1開口部15、16が第3群53、第1開口部17、18が第4群54を形成しており、第1群51~第4群54は互いに等間隔をおいて配置されている。
第1群51と第2群52の中間位置には第2開口部31が配置され、第2群52と第3群53の中間位置には第2開口部32が配置され、第3群53と第4群54の中間位置には第2開口部33が配置され、第4群54と第1群51の中間位置には第2開口部34が配置されている。
【0056】
第1群51の第1開口部12と円周方向に隣接する第2開口部31は、円の中心(天板102の中心と同じ)と、第1開口部12を通る中心線および第2開口部31を通る中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
上記した第1開口部12と第2開口部31と同様に、隣接する第2開口部31と第1開口部13、第1開口部14と第2開口部32、第2開口部32と第1開口部15、第1開口部16と第2開口部33、第2開口部33と第1開口部17、第1開口部18と第2開口部34、第2開口部34と第1開口部11のそれぞれの間の角度(θ1)も15°~65°の範囲である。
このように
図3に示すようにθ1=15°~65°の範囲である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0057】
また
図3に示す(a)の配置形態では、第1開口部群51~54を形成するそれぞれ二つの第1開口部同士の間隔は、全て等間隔(L1)である。ここで、二つの第1開口部同士の間隔は、例えば、第1開口部11と第1開口部12の間の円弧(円周の一部であり、二つの第1開口部同士が近接する円弧間)の長さである。以下の他の実施形態においても同じである。
第1開口部群51~54を形成する第1開口部と、前記第1開口部と円周方向に隣接する第2開口部との間隔(L3)は、L1<L3の関係を有している。
図3では、例えば、第1群51の第1開口部11と第1開口部12の間隔がL1となり、第1開口部12と第2開口部31の間隔がL3となる。
L3/L1は1~27の範囲が好ましい。
このようにL1とL3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0058】
なお、例えば、第1開口部12の開口径と第2開口部31の開口径が増減した場合でもθ1は一定であるが、L3は増減する。特に第1開口部12の開口径と第2開口部31の開口径が大きくなったとき、θ1が一定であっても、第1開口部12と第2開口部31は接近することになるため、ガス排出口の配置形態はθ1に加えて、L1とL3の関係も加えて調整することが好ましい。
但し、第1開口部12の開口径と第2開口部31の開口径は、ハウジングの強度との関係により当然に制限されるものであるため、事実上、ガス排出口の配置形態はθ1のみで制御することができる。以下の各実施形態(ガス排出口の配置形態)においても同様である。
【0059】
(3)
図4に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図4は、ガス排出口が上記した(b)の配置形態であるものである。
第2開口部31、32が第1群61、第2開口部33、34が第2群62、第2開口部35、36が第4群63を形成しており、第1群61~第3群63は互いに等間隔をおいて配置されている。
第1群61と第2群62の中間位置には第1開口部11が配置され、第2群62と第3群63の中間位置には第1開口部12が配置され、第3群63と第1群61の中間位置には第1開口部13が配置されている。
【0060】
第1群61の第1開口部32と円周方向に隣接する第1開口部11は、円の中心(天板102の中心と同じ)と、第2開口部32を通る中心線および第1開口部11を通る中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
上記した第2開口部32と第1開口部11と同様に、隣接する第1開口部11と第2開口部33、第2開口部34と第1開口部12、第1開口部12と第2開口部35、第2開口部36と第1開口部13のそれぞれの間の角度(θ1)も15°~65°の範囲である。
【0061】
第1群61~第3群63において、同一円の中心o(天板102の中心と同じ)と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されている。
図4では、円の中心と、第2開口部31の中心および第2開口部32の中心を通る線同士のなす角度が10°~30°の範囲である。
このように
図4に示すようにθ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ1>θ2である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0062】
また
図4に示す(b)の配置形態では、第2開口部群61~63を形成するそれぞれ二つの第2開口部同士の間隔は、全て等間隔(L2)である。ここで、二つの第2開口部同士の間隔は、例えば、第2開口部31と第2開口部32の間の円弧(円周の一部であり、2つの第1開口部どうしが近接する円弧間)の長さである。
第2開口部群61~63を形成する第2開口部間の間隔(L2)と、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1開口部との間隔(L3)は、L2<L3の関係を有している。
図4では、例えば、第3群63の第2開口部35と第2開口部36の間隔がL2となり、第1開口部36と第1開口部13の間隔がL3となる。
L3/L2は1~15の範囲が好ましい。
このようにL2とL3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0063】
(4)
図5に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図5は、ガス排出口が上記した(c)の配置形態であるものである。
第2開口部31、32が第1b群61、第2開口部33、34が第2b群62を形成しており、第1開口部11、12、13が第1a群51,第1開口部14、15、16が第2a群52を形成しており、同一円周上において、第1b群61、第1a群51、第2b群62,第2a群52の順番で、等間隔で配置されている。
【0064】
第1b群61、第2b群62の第2開口部31~34のそれぞれと、円周方向に隣接する第1a群51の第1開口部11、13、第2a群の第1開口部14、16は、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第1開口部と第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
【0065】
第1a群51、第2a群52において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第1開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されている。
図5では、円の中心と、第1開口部15の中心と第1開口部16の中心を通る線同士のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲である。
【0066】
第1b群61、第2b群62において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ3)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ3になるように配置されている。
図5では、円の中心と、第2開口部31の中心および第2開口部32の中心を通る線同士のなす角度(θ3)は10°~30°の範囲である。
このように
図5に示すようにθ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0067】
また
図5に示す(c)の配置形態では、第1開口部群の第1a群51、第2a群52を形成する複数の第1開口部同士の間隔は等間隔(L1)であり、第2開口部群の第1b群61、第2b群62を形成する複数の第2開口部同士の間隔は等間隔(L2)である。
円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
例えば、第1a群51の第1開口部11~13の間隔はL1、第1b群61の第2開口部31、32の間隔はL2、第2開口部32と第1開口部11の間隔はL3となり、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
L3/L1は1~27の範囲が好ましく、L3/L2は1~15の範囲が好ましい。
このようにL1、L2、L3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0068】
(5)
図6に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図6は、ガス排出口が上記した(d)の配置形態であるものである。
第2開口部31、32からなる第1b群61が配置され、第1b群61と半径方向に対向する位置に第2開口部34、35からなる第2b群62が配置されている。
第1b群61と第2b群62の間に第1開口部11~13からなる第1a群51が配置され、第1a群51と半径方向に対向する位置に第1開口部15~17からなる第2a群52が配置されている。
第1b群61と第1a群51の間に第2開口部33が単独配置され、第1a群51と第2b群62の間に第1開口部14が単独配置され、第2b群62と第2a群52の間に第2開口部36が単独配置され、第2a群52と第1b群61の間に第1開口部18が単独配置されている。
【0069】
単独配置された第2開口部33と円周方向に隣接する第1a群51の第1開口部11は、円の中心(天板102の中心と同じ)と、第2開口部33を通る中心線および第1開口部11を通る中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
上記した第2開口部33と第1開口部11と同様に、隣接する第1開口部14と第2開口部34、第2開口部36と第1開口部15、第1開口部18と第2開口部31のそれぞれの間の角度(θ1)も15°~65°の範囲である。
【0070】
第1a群51、第2a群52において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第1開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されている。
例えば
図6では、円の中心と、第1開口部15の中心と第1開口部16の中心を通る線同士のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲である。
【0071】
第1b群61、第2b群62において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ3)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ3になるように配置されている。
例えば、
図6では、中心と、第2開口部31の中心および第2開口部32の中心を通る線同士のなす角度(θ3)が10°~30°の範囲である。
このように
図6に示すようにθ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0072】
また
図6に示す(d)の配置形態では、第1開口部群の第1a群51、第2a群52を形成する複数の第1開口部同士の間隔は等間隔(L1)であり、第2開口部群の第1b群61、第2b群62を形成する複数の第2開口部同士の間隔は等間隔(L2)である。
円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
例えば、第1a群51の第1開口部11~13の間隔はL1、第1b群62の第2開口部34、35の間隔はL2、第2開口部34と第1開口部14の間隔はL3となり、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
L3/L1は1~27の範囲が好ましく、L3/L2は1~15の範囲が好ましい。
このようにL1、L2、L3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0073】
(6)
図7に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図7に示す(d)の別実施形態の配置形態は次のとおりである。
第2開口部31~33からなる第1b群61が配置され、第1b群61を起点として、円周方向に順に第1開口部11、12からなる第1a群51、単独配置された第1開口部13、第1開口部14、15からなる第2a群52、第2開口部34~36からなる第2b群62、第1開口部16、17からなる第3a群53、単独配置された第1開口部18、第1開口部19、20からなる第4a群54が配置されている。
【0074】
第1b群61の第2開口部33と円周方向に隣接する第1a群51の第1開口部11は、円の中心(天板101の中心)と、第2開口部33を通る中心線および第1開口部11を通る中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
上記した第2開口部33と第1開口部11と同様に、隣接する第1開口部15と第2開口部34、第2開口部36と第1開口部16、第1開口部20と第2開口部31のそれぞれの間の角度(θ1)も15°~65°の範囲である。
【0075】
第1a群51~第2a群52において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第1開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されている。
例えば、
図7では、中心と、第1開口部11の中心と第1開口部12の中心を通る線同士のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲である。
【0076】
第1b群61、第2b群62において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ3)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ3になるように配置されている。
例えば、
図7では、中心と、第2開口部31の中心および第2開口部32の中心を通る線同士のなす角度(θ3)と、第2開口部32の中心と第2開口部33の中心を通る線同士のなす角度が10°~30°の範囲である。
このように
図7に示すようにθ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0077】
また
図7に示す(d)の別実施形態の配置形態では、第1開口部群の第1a群51~第4a群54を形成する複数の第1開口部同士の間隔は等間隔(L1)であり、第2開口部群の第1b群61、第2b群62を形成する複数の第2開口部同士の間隔は等間隔(L2)である。
円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
例えば、第1a群51の第1開口部11、12の間隔はL1、第1b群61の第2開口部31、32の間隔はL2、第2開口部33と第1開口部11の間隔はL3となり、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
L3/L1は1~27の範囲が好ましく、L3/L2は1~15の範囲が好ましい。
このようにL1、L2、L3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0078】
(7)
図8に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図8は、ガス排出口が上記した(e)の配置形態であるものである。
第1開口部11が単独配置されており、第1開口部11を起点として、円周方向に第2開口部31、32からなる第1b群61、第1開口部12~14からなる第1a群51、第2開口部33、34からなる第2b群62、単独配置された第1開口部15、第2開口部35、36からなる第3b群63、第1開口部16~18からなる第2a群52、第2開口部37、38からなる第4b群が配置されている。
【0079】
第1開口部11と円周方向に隣接する第1b群61の第2開口部31は、円の中心(天板102の中心と同じ)と、第1開口部11を通る中心線および第2開口部31を通る中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
上記した第1開口部11と第2開口部31と同様に、隣接する第2開口部32と第1開口部12、第1開口部14と第2開口部33、第2開口部34と第1開口部15、第1開口部15と第2開口部35、第2開口部36と第1開口部16、第1開口部18と第2開口部37、第2開口部38と第1開口部11のそれぞれの間の角度(θ1)も15°~65°の範囲である。
【0080】
第1a群51~第2a群52において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第1開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されている。
例えば、
図8では、中心と、第1開口部12の中心と第1開口部13の中心を通る線同士のなす角度(θ2)、第1開口部13の中心と第1開口部14の中心を通る線同士のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲である。
【0081】
第1b群61~第4b群64において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ3)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ3になるように配置されている。
例えば、
図8では、中心と、第2開口部31の中心および第2開口部32の中心を通る線同士のなす角度(θ3)と、第2開口部33の中心と第2開口部34の中心を通る線同士のなす角度(θ3)が10°~30°の範囲である。
このように
図8に示すようにθ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0082】
また
図8に示す(e)の配置形態では、第1a群51~第2a群52を形成する複数の第1開口部同士の間隔は等間隔(L1)であり、第1b群61~第4b群64を形成する複数の第2開口部同士の間隔は等間隔(L2)である。
円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
例えば、第1a群51の第1開口部12~14の間隔はL1、第1b群61の第2開口部31、32の間隔はL2、第1開口部11と第2開口部31、第2開口部32と第1開口部12の間隔はL3となり、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
L3/L1は1~27の範囲が好ましく、L3/L2は1~15の範囲が好ましい。
このようにL1、L2、L3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0083】
(9)上記した(a)~(e)を除いた配置形態を有しているガス発生器
(f)の配置形態は、上記した(a)~(e)の配置形態を一部に含んでいる配置形態である。
例えば、円周方向の1/2が(a)の配置形態で、円周方向の残りの1/2が(b)の配置形態であるものにすることができる。
【0084】
上記したそれぞれのガス排出口の配置形態を有しているガス発生器は、
図1に示すように周壁部104にガス排出口が配置されているときは、高さ方向(軸方向)の異なる位置にガス排出口が配置されていてもよい。
また
図1において天板102にガス排出口が配置されているときは、多重円になるように複数列が配置されていてもよい。
【0085】
(10)
図9に示すガス排出口の配置形態を有しているガス発生器
図9に示すガス発生器のハウジング101は、
図1に示すものと同じ外形を有しており、点火器110は底板103に固定されており、カップ部材111内に収容されている。
カップ部材111は、底面部、周壁部112および開口部を有しているものであり、開口部側が底板103に当接され、底面部が天板102と近接乃至は当接されて配置されている。
カップ部材111内の点火器110を除いた空間内には、図示していない伝火薬が収容されている。伝火薬は公知のガス発生器で使用されるものと同じものであり、その他、伝火薬として機能するガス発生剤を使用することもできる。
【0086】
カップ部材111は、平面形状が円形で、周壁部112に複数の伝火孔113a~113eを有している。
カップ部材111の複数の伝火孔113a~113eのうち伝火孔113a~113dは、カップ部材111の周壁部の半円側(第1半円側)に形成され、残りの伝火孔113eは残りの半円側(第2半円側)に形成されている。
カップ部材111は、ハウジング101の中心部から偏った位置であり、第1半円側(伝火孔113a~113d側)がハウジング101の周壁部104から遠い位置になり、第2半円側(伝火孔113e側)がハウジング101の周壁部104から近い位置になるように配置されている。
【0087】
図9に示すガス発生器の配置形態は、(e)の配置形態に相当するものである。
第2開口部31が単独配置されており、第2開口部31を起点として、第1開口部11、12からなる第1a群51、単独配置された第2開口部32、第1開口部13、14からなる第2a群52、単独配置された第2開口部33、第1開口部15、16からなる第3a群53、単独配置された第2開口部34、第1開口部17、18からなる第4a群53、単独配置された第2開口部35までが1/2円周上に配置されている。
さらに単独配置された第2開口部35を起点として、単独配置された第1開口部19、第2開口部36、37からなる第1b群61、単独配置された第1開口部20、第2開口部38、39からなる第2b群62、単独配置された第1開口部21、単独配置された第2開口部31までが残りの1/2円周上に配置されている。
第2開口部31と第2開口部35は、二つの半円周の中間に位置されている。
【0088】
第1開口部11と円周方向に隣接する第2開口部31は、円の中心(天板102の中心と同じ)と、第1開口部11を通る中心線および第2開口部31を通る中心線のなす角度(θ1)が15°~65°の範囲である。
上記した第1開口部11と第2開口部31と同様に、隣接する第2開口部32と第1開口部12、13、第2開口部33と第1開口部14、15、第2開口部34と第1開口部16、17、第1開口部18と第2開口部35、第1開口部19と第2開口部36、第1開口部20と第2開口部37、38、第1開口部21と第2開口部39のそれぞれの間の角度(θ1)も15°~65°の範囲である。
【0089】
第1a群51~第4a群54において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第1開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されている。
例えば、
図9では、中心と、第1開口部11の中心と第1開口部12の中心を通る線同士のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲である。
【0090】
第1b群61~第2b群62において、同一円の中心(天板102の中心と同じ)と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ3)は10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ3になるように配置されている。
例えば、
図9では、中心と、第2開口部36の中心および第2開口部37の中心を通る線同士のなす角度(θ3)(図示せず)が10°~30°の範囲である。
このように
図9に示すようにθ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3である配置形態にすることで、
図2に示す配置形態と同様の効果が得られる。
【0091】
また
図9に示す(e)の配置形態では、第1a群51~第4a群54を形成する複数の第1開口部同士の間隔は等間隔(L1)であり、第1b群61~第2b群62を形成する複数の第2開口部同士の間隔は等間隔(L2)である。
円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)は、L3>L1、L3>L2の関係を有している。
例えば、第1a群51の第1開口部11、12の間隔はL1、第1開口部12と第2開口部32の間はL3、第1開口部11と第2開口部31の間隔はL3となり、L3>L1の関係を有している。
例えば、第1b群61の第2開口部36、37の間隔はL2、第1開口部19と第2開口部36の間はL3、第1開口部19と第2開口部35の間隔はL3となり、L3>L2の関係を有している。
L3/L1は1~27の範囲が好ましく、L3/L2は1~15の範囲が好ましい。
このようにL1、L2、L3の間隔を関連づけることによっても、θ1=15°~65°の範囲にした場合と同様の効果が得られる。
【0092】
カップ部材111のうち、伝火孔113a~113dが形成された第1半円側に対応するハウジング101の半円側を第1半円領域(第2開口部31から、第1a群51を通って第2開口部35まで)とし、伝火孔113eが形成された第2半円側に対応するハウジング101の半円側を第2半円領域(第2開口部35から、第1開口部19を通って第2開口部31まで)としたとき、第1半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A1)と前記第2半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A2)の比(A2/A1)は0.25~0.40の範囲である。
【0093】
図9に示す配置形態のガス排出口を有するガス発生器を使用したエアバッグ装置の点火器110が作動したとき、カップ部材111の伝火孔113a~113eから火炎などの燃焼生成物が放出される。
このとき、伝火孔113a~113dと伝火孔113eでは、伝火孔113a~113dからより多くの燃焼生成物がハウジング内部(燃焼室内部)に放出され、ガス発生剤を着火燃焼させて燃焼ガスを発生させる。
伝火孔113a~113dからハウジングの周壁部104までの距離は、伝火孔113eからハウジング周壁部104までの距離と比べると遠くなっており、第1半円領域にはより多くのガス発生剤が収容されているものである。しかし伝火孔113a~113dからの燃焼生成物の放出量が多いことと、A2/A1=0.25~0.40の関係を有していることから、この領域に充填された前記ガス発生剤の燃焼は速やかに進行する。
一方、伝火孔113eから放出される燃焼生成物の放出量は少ないが、ハウジングの周壁部104までの距離が近く、ガス発生剤量も少ないことから、第2半円領域に充填されたガス
発生剤は、第1半円領域のガス発生剤と同等のタイミングで燃焼が進行する。
その後、燃焼ガスは先に開口した第1開口部11~21から排出され、その後、遅れて開口した第2開口部31~39から排出される。あるいは状況に応じて第1開口部11~21のみから排出される。
【0094】
このような動作過程において、上記したとおり、θ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3である配置形態であり、さらにL3>L1、L3>L2の配置形態であることから、第1開口部11~21から排出される燃焼ガス流の影響を受けて第2開口部31~39が開口することはない。
【0095】
(11)
図10に示すガス発生器
図10のガス発生器200は、幅方向の断面形状が円形で、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D>1.1である筒状ハウジング201を有しているものである。
筒状ハウジング201は、第1端部202に点火器205が固定され、第2端部203が閉塞されており、周壁部204にガス排出口が形成されたものである。筒状ハウジング201の内部空間(燃焼室)にはガス発生剤が収容されている。
【0096】
図10のガス発生器の筒状ハウジング201には、上記した(a)~(f)のいずれかの配置形態の第1開口部と第2開口部の組み合わせからなるガス排出口を形成することができる。
図10では、(a)の配置形態(
図3)が示されている。
第1開口部と第2開口部の組み合わせからなるガス排出口は、θ1=15°~65°、θ2=10°~30°、θ3=10°~30°、θ1>θ2、θ1>θ3、L3>L1、L3>L2という要件の一部または全部を満たしているため、作動時において開口した第1開口部の影響を受けて第2開口部が開口してしまうことはない。
【0097】
以下に実施態様を例示する。
項1
ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部が、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである、ガス発生器。
項2
ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が、
(a)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部のうちの1つが前記第1開口部群の間に配置されている配置形態、
(b)前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記複数の第1開口部のうちの1つが前記第2開口部群の間に配置されている配置形態、
(c)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記第1開口部群と前記第2開口部群が周方向に間隔をおいて配置されている配置形態、
(d)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群と前記第2開口部群の間、前記第1開口部群同士の間、または前記第2開口部群同士の間に第1開口部または第2開口部が単独配置されている配置形態、
(e)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群の中に第2開口部が単独配置されているか、または前記第2開口部群の中に第1開口部が単独配置されている配置を含んでいる配置形態、
(f)前記(a)~(e)から選ばれる1または2以上の配置形態の一部を含んでいる配置形態から選ばれるいずれかの配置形態であり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部が、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである、ガス発生器。
項3
前記(b)、(c)、(d)および(e)の配置形態において、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔であり、前記同一円の中心と隣接する第2開口部のそれぞれの中心を通る二つの中心線のなす角度(θ2)が10°~30°の範囲であり、かつθ1>θ2になるように配置されているものである、項2記載のガス発生器。
項4
前記(a)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、
前記L1と、前記第1開口部と円周方向に隣接する第2開口部との間隔(L3)が、L1<L3の関係を有しているものである、項2記載のガス発生器。
項5
前記(b)の配置形態において、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、
前記L2と、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1開口部との間隔(L3)が、L3>L2の関係を有しているものである、項2記載のガス発生器。
項6
前記(c)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、
前記L1と、前記L2と、円周方向に隣接する第1開口部と第2開口部の間隔(L3)が、L3>L1、L3>L2の関係を有しているものである、項2記載のガス発生器。
項7
前記(d)の配置形態において、第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、
L1、L2と、前記第1開口部群と前記第2開口部群の間に単独配置されている第1開口部と、前記単独配置第1開口部と隣接している前記第2開口群の第2開口部(隣接第2開口部)の間隔(L3)、または
前記第1開口部群と前記第2開口部群の間に単独配置されている第2開口部と、前記単独配置第2開口部と隣接している前記第1開口群の第1開口部(隣接第1開口部)の間隔(L3)が、L3>L1、L3>L2の関係を有しているものである、項2記載のガス発生器。
項8
前記(e)の配置形態において、
第1開口部群を形成する複数の第1開口部同士の間隔が等間隔(L1)であり、前記L1と、前記第1開口部と円周方向に隣接する第2開口部との間隔(L3)がL3>L1の関係を有しており、
第2開口部群を形成する複数の第2開口部同士の間隔が等間隔(L2)であり、前記L2と、前記第2開口部と円周方向に隣接する第1開口部との間隔(L3)がL3>L2の関係を有しているものである、項2記載のガス発生器。
項9
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が周壁部に形成されているときは、前記周壁部の高さの異なる位置のそれぞれの同一円周上に複数列形成されており、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が天板に形成されているときは、前記天板において多重円になるように複数列形成されている、
項1~8のいずれか1項記載のガス発生器。
項10
ガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記ハウジングが、平面形状が円形で、天板、前記天板と軸方向に対向する底板、および前記天板と前記底板の間の周壁部を有しており、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D≦1.1であるものであり、
前記点火器が、前記底板に固定されかつ開口部側が前記底板に当接された、周壁部に複数の伝火孔を有するカップ部材内部に収容されており、
前記複数の伝火孔が、前記カップ部材の周壁部の半円側(第1半円側)に偏在しており、前記カップ部材が、平面形状が円形で、前記ハウジングの中心部から偏った位置であり、前記カップ部材の第1半円側が前記ハウジングの周壁部から遠い位置になるように、前記ハウジング内部に形成された燃焼室に配置されているものであり、前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記周壁部と前記天板の少なくとも一方に間隔をおいて同一円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が請求項2記載の(a)~(e)のいずれかの配置形態であり、
前記複数の伝火孔が偏在した前記カップ部材の周壁部の半円側に対応する前記ハウジングの半円側を第1半円領域とし、残部の半円側を第2半円領域としたとき、前記第1半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A1)と前記第2半円領域に形成されている複数の第1開口部と複数の第2開口部の合計開口面積(A2)の比(A2/A1)が0.25~0.40の範囲である、ガス発生器。
項11
ガス排出口を有する筒状ハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記筒状ハウジングが、幅方向の断面形状が円形で、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D>1.1であるものであり、
前記点火器が、前記筒状ハウジングのいずれか一方の端部に取り付けられているものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記筒状ハウジングの周壁部において同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
円周方向に隣接する前記第1開口部と前記第2開口部が、前記同一円の中心と前記第1開口部の中心を通る第1中心線と、前記同一円の中心と前記第2開口部の中心を通る第2中心線とのなす角度(θ1)が15°~65°の範囲になるように配置されているものである、ガス発生器。
項12
ガス排出口を有する筒状ハウジング内にガス発生剤と点火器が収容されたガス発生器であって、
前記筒状ハウジングが、幅方向の断面形状が円形で、外径Dと軸方向の長さLの比がL/D>1.1であるものであり、
前記点火器が、前記筒状ハウジングのいずれか一方の端部に取り付けられているものであり、
前記ガス排出口が、破裂圧(P1)が低い複数の第1開口部と、前記破裂圧(P1)よりも破裂圧(P2)が高い複数の第2開口部が組み合わされたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部が、前記筒状ハウジングの周壁部において同一円の円周上に形成され、閉塞されたものであり、
前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部の配置形態が、
(a)前記複数の第1開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第1開口部群を複数有しており、前記複数の第2開口部のうちの1つが前記第1開口部群の間に配置されている配置形態、
(b)前記複数の第2開口部が、互いに間隔をおいて一群となるように配置された第2開口部群を複数有しており、前記複数の第1開口部のうちの1つが前記第2開口部群の間に配置されている配置形態、
(c)前記(a)の配置形態と前記(b)の配置形態が組み合わされた配置形態、
(d)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群と前記第2開口部群の間、前記第1開口部群同士の間、または前記第2開口部群同士の間に第1開口部または第2開口部が単独配置されている配置形態、
(e)前記(c)の配置形態において、前記第1開口部群の中に第2開口部が単独配置されているか、または前記第2開口部群の中に第1開口部が単独配置されている配置形態、
(f)前記(a)~(e)から選ばれる1または2以上の配置形態の一部を含んでいる配置形態であり、
前記(a)~(f)から選ばれる1または2以上の配置形態が軸方向に複数列形成されているものである、ガス発生器。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のガス発生器は、車両に搭載するエアバッグ装置用のガス発生器として利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
100 ガス発生器
101 ハウジング
102 天板
103 底板
104 周壁部
11~20 ガス排出口の第1開口部
31~39 ガス排出口の第2開口部