(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41F 17/22 20060101AFI20230428BHJP
B41F 17/20 20060101ALI20230428BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B41F17/22
B41F17/20 G
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2022064655
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2017252473の分割
【原出願日】2017-12-27
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-092550(JP,A)
【文献】特開平06-040007(JP,A)
【文献】特開2012-086870(JP,A)
【文献】特開2016-032879(JP,A)
【文献】特開2017-200752(JP,A)
【文献】特開2004-051159(JP,A)
【文献】特開平05-042664(JP,A)
【文献】特開平10-203095(JP,A)
【文献】特表2019-534176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0081725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0059601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 17/20
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の缶体を保持し移動する移動体と、
予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記停止箇所に設置され、当該停止箇所にて停止した前記移動体が保持する缶体と同軸上に配置され、当該移動体の一部が押し当てられ当該一部に接触する被押し当て部と、
を備え、
前記被押し当て部は、回転軸を中心に回転し、前記一部は、当該被押し当て部からの駆動力を受けて回転軸を中心に回転し、
前記停止箇所に前記移動体が停止した状態では、前記一部の前記回転軸の延長線上に、前記被押し当て部の前記回転軸が位置し、
前記被押し当て部および前記一部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられている、
印刷装置。
【請求項2】
前記被押し当て部に対する前記一部の回転角度が予め定められた1つの回転角度となった場合に、前記凹部に前記突出部が入る請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の前記回転軸上から外れた箇所に設けられ、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の前記回転軸上から外れた箇所に設けられている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の径方向に沿って延びるように形成され、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の径方向に沿って延びるように形成されている請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の前記回転軸上に設けられ、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の前記回転軸上に設けられ、
前記一方に設けられた前記突出部を前記他方が配置される側から見た場合の当該突出部の形状が二等辺三角形となるように当該突出部が形成され、
前記他方に設けられた前記凹部を前記一方が配置される側から見た場合の当該凹部の形状が二等辺三角形となるように当該凹部が形成されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の前記回転軸上に設けられ、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の前記回転軸上に設けられ、
前記突出部の外周面には、凸部が設けられ、
前記凹部の内周面には、前記突出部の前記凸部が入る凹部が設けられている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
少なくとも前記一部を、前記被押し当て部が設けられている側に向けて付勢する付勢手段を更に備える請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記付勢手段は、磁力を用いて、前記一部を、前記被押し当て部が設けられている側に向けて付勢する請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記被押し当て部は、回転し、前記缶体を回転させる駆動力が、当該被押し当て部および前記一部を介し、前記移動体側へ伝達される請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記被押し当て部は、前記缶体と同軸上に配置されるとともに当該缶体が有する開口側に配置される請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記停止箇所に設けられ、前記移動体により保持されている缶体の径方向の位置決めを行う位置決め手段をさらに備える請求項1に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記移動体には、当該移動体により保持されている缶体の回転に用いられるモータが設置されていない請求項1に記載の印刷装置。
【請求項13】
筒状の缶体を保持し移動する移動体と、
予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記停止箇所に設置され、当該停止箇所にて停止した前記移動体が保持する缶体と同軸上に配置され、当該移動体の一部に対して押し当てられ当該一部に接触する押し当て部と、
を備え、
前記押し当て部は、回転軸を中心に回転し、前記一部は、当該押し当て部からの駆動力を受けて回転軸を中心に回転し、
前記停止箇所に前記移動体が停止した状態では、前記一部の前記回転軸の延長線上に、前記押し当て部の前記回転軸が位置し、
前記移動体の前記一部、および、前記押し当て部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられている、
印刷装置。
【請求項14】
缶体を保持し移動する移動体と、
予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記停止箇所に設けられ、当該停止箇所に停止した前記移動体により保持されている缶体の回転に用いられ、当該移動体に接触する回転体と、
前記停止箇所に設けられるとともに、前記回転体とは別に設けられ
且つ前記画像形成手段とは別に設けられ、当該停止箇所にて停止した前記移動体の一部および/または当該移動体により保持されている缶体の一部が押し当てられる被押し当て部と、
を備える印刷装置。
【請求項15】
缶体を保持し移動する移動体と、
予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記停止箇所に設けられ、当該停止箇所に停止した前記移動体により保持されている缶体の回転に用いられ、当該移動体に接触する回転体と、
前記停止箇所に設けられるとともに前記回転体とは別に設けられ、当該停止箇所にて停止した前記移動体の一部および/または当該移動体により保持されている缶体の一部が押し当てられる被押し当て部と、
を備え
、
前記回転体、および、前記移動体のうちの当該回転体に接触する接触部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられている印刷装置。
【請求項16】
缶体を保持し移動する移動体と、
予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記停止箇所に設けられ、当該停止箇所に停止した前記移動体により保持されている缶体の回転に用いられ、当該移動体に接触する回転体と、
前記停止箇所に設けられるとともに、前記回転体とは別に設けられ
且つ前記画像形成手段とは別に設けられ、当該停止箇所にて停止した前記移動体の一部および/または当該移動体により保持されている缶体の一部に対して押し当てられる押し当て部と、
を備える印刷装置。
【請求項17】
缶体を保持し移動する移動体と、
予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記停止箇所に設けられ、当該停止箇所に停止した前記移動体により保持されている缶体の回転に用いられ、当該移動体に接触する回転体と、
前記停止箇所に設けられるとともに前記回転体とは別に設けられ、当該停止箇所にて停止した前記移動体の一部および/または当該移動体により保持されている缶体の一部に対して押し当てられる押し当て部と、
を備え
、
前記回転体、および、前記移動体のうちの当該回転体に接触する接触部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられている印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクジェット印刷が少なくとも一つのインクジェット印刷ステーションで行われ、インクジェット印刷ステーションには複数個のインクジェットヘッドが配置されている印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成手段の設置箇所にて缶体を停止させて、この缶体への画像形成を行うにあたり、缶体の位置決めの精度が低いと、画像形成手段に対する缶体の姿勢が安定せず、形成される画像の質が低下しやすい。
本発明の目的は、缶体を停止させて缶体への画像形成を行う際の缶体の位置決めの精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される印刷装置は、筒状の缶体を保持し移動する移動体と、予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、前記停止箇所に設置され、当該停止箇所にて停止した前記移動体が保持する缶体と同軸上に配置され、当該移動体の一部が押し当てられ当該一部に接触する被押し当て部と、を備え、前記被押し当て部は、回転軸を中心に回転し、前記一部は、当該被押し当て部からの駆動力を受けて回転軸を中心に回転し、前記停止箇所に前記移動体が停止した状態では、前記一部の前記回転軸の延長線上に、前記被押し当て部の前記回転軸が位置し、前記被押し当て部および前記一部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられている、印刷装置である。
ここで、前記被押し当て部に対する前記一部の回転角度が予め定められた1つの回転角度となった場合に、前記凹部に前記突出部が入るようにしてもよい。
また、前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の前記回転軸上から外れた箇所に設けられ、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の前記回転軸上から外れた箇所に設けられているようにしてもよい。
また、前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の径方向に沿って延びるように形成され、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の径方向に沿って延びるように形成されているようにしてもよい。
また、前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の前記回転軸上に設けられ、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の前記回転軸上に設けられ、前記一方に設けられた前記突出部を前記他方が配置される側から見た場合の当該突出部の形状が二等辺三角形となるように当該突出部が形成され、前記他方に設けられた前記凹部を前記一方が配置される側から見た場合の当該凹部の形状が二等辺三角形となるように当該凹部が形成されているようにしてもよい。
また、前記一方に設けられた前記突出部は、当該一方の前記回転軸上に設けられ、前記他方に設けられた前記凹部は、当該他方の前記回転軸上に設けられ、前記突出部の外周面には、凸部が設けられ、前記凹部の内周面には、前記突出部の前記凸部が入る凹部が設けられているようにしてもよい。
また、少なくとも前記一部を、前記被押し当て部が設けられている側に向けて付勢する付勢手段を更に備えるようにしてもよい。
また、前記付勢手段は、磁力を用いて、前記一部を、前記被押し当て部が設けられている側に向けて付勢するようにしてもよい。
また、前記被押し当て部は、回転し、前記缶体を回転させる駆動力が、当該被押し当て部および前記一部を介し、前記移動体側へ伝達されるようにしてもよい。
また、前記被押し当て部は、前記缶体と同軸上に配置されるとともに当該缶体が有する開口側に配置されるようにしてもよい。
また、前記停止箇所に設けられ、前記移動体により保持されている缶体の径方向の位置決めを行う位置決め手段をさらに備えるようにしてもよい。
また、前記移動体には、当該移動体により保持されている缶体の回転に用いられるモータが設置されていないようにしてもよい。
他の観点から捉えると、本発明が適用される印刷装置は、筒状の缶体を保持し移動する移動体と、予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、前記停止箇所に設置され、当該停止箇所にて停止した前記移動体が保持する缶体と同軸上に配置され、当該移動体の一部に対して押し当てられ当該一部に接触する押し当て部と、を備え、前記押し当て部は、回転軸を中心に回転し、前記一部は、当該押し当て部からの駆動力を受けて回転軸を中心に回転し、前記停止箇所に前記移動体が停止した状態では、前記一部の前記回転軸の延長線上に、前記押し当て部の前記回転軸が位置し、前記移動体の前記一部、および、前記押し当て部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられている、印刷装置である。
他の観点から捉えると、本発明が適用される印刷装置は、缶体を保持し移動する移動体と、予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、前記停止箇所に設けられ、当該停止箇所に停止した前記移動体により保持されている缶体の回転に用いられ、当該移動体に接触する回転体と、前記停止箇所に設けられるとともに前記回転体とは別に設けられ、当該停止箇所にて停止した前記移動体の一部および/または当該移動体により保持されている缶体の一部が押し当てられる被押し当て部と、を備える印刷装置である。
ここで、前記回転体、および、前記移動体のうちの当該回転体に接触する接触部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられているようにしてもよい。
他の観点から捉えると、本発明が適用される印刷装置は、缶体を保持し移動する移動体と、予め定められた停止箇所にて停止した前記移動体の缶体に対して画像を形成する画像形成手段と、前記停止箇所に設けられ、当該停止箇所に停止した前記移動体により保持されている缶体の回転に用いられ、当該移動体に接触する回転体と、前記停止箇所に設けられるとともに前記回転体とは別に設けられ、当該停止箇所にて停止した前記移動体の一部および/または当該移動体により保持されている缶体の一部に対して押し当てられる押し当て部と、を備える印刷装置である。
ここで、前記回転体、および、前記移動体のうちの当該回転体に接触する接触部のうちの一方には、他方に向かって突出する突出部が設けられ、当該他方には、当該突出部が入る凹部が設けられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、缶体を停止させて缶体への画像形成を行う際の缶体の位置決めの精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】印刷装置の他の構成例を示した上面図である。
【
図5】
図1の矢印V方向からインクジェットヘッドおよび移動ユニットを眺めた場合の図である。
【
図6】(A)、(B)は、被押し当て部、円柱状部材を説明する図である。
【
図7】(A)、(B)は、被押し当て部および円柱状部材の他の構成例を示した図である。
【
図8】(A)、(B)は、被押し当て部、円柱状部材の他の構成例を示した図である。
【
図9】円柱状部材等の他の構成例を示した図である。
【
図10】押し当て部を移動させて、移動ユニットにこの押し当て部を押し当てる構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、印刷装置500の側面図である。
印刷装置500には、缶体10が供給される缶体供給部510が設けられている。この缶体供給部510では、缶体10を支持する支持部材20に対する缶体10の供給(取り付け)が行われる。
具体的には、支持部材20は円筒状に形成され、筒状の缶体10に対してこの支持部材20が挿入されることで、支持部材20に対する缶体10の供給が行われる。
【0009】
さらに、缶体供給部510には、検査装置92が設けられている。
検査装置92では、缶体10が変形していないか否かの検査を行う。
より具体的には、検査装置92には、
図2(検査装置92を説明する図)に示すように、光源92Aが設けられている。
光源92Aは、缶体10の一方の端部側に設けられており、缶体10の外周面に沿って且つ缶体10の軸方向に沿って進行するレーザ光を出射する。さらに、缶体10の他方の端部側には、光源92Aからのレーザ光を受光する受光部92Bが設けられている。
【0010】
缶体10の一部が、符号3Aに示すように変形していると、レーザ光が遮られるようになり、受光部92Bでは、レーザ光が受光されないようになる。これにより、缶体10の変形が検知される。
そして、本実施形態では、検査装置92にて、缶体10が予め定められた条件を満たしていないと判断された場合(缶体10が変形していると判断された場合)、排出機構93(
図1参照)が、この缶体10を印刷装置500の外部に排出する。
【0011】
排出機構93は、
図1に示すように、検査装置92とインクジェット印刷部700との間に配置されている(インクジェット印刷部700よりも上流側に配置されている)。
本実施形態では、インクジェット印刷部700による画像形成が行われる前に、変形した缶体10が、印刷装置500から排出される。
【0012】
排出機構93では、円筒状に形成された支持部材20の内部に圧縮空気が供給され、缶体10が軸方向(
図1の紙面と直交する方向)へ移動する。
さらに、缶体10の底部(塞がれた側の端部)が、不図示の吸引部材により吸引される。そして、この吸引部材により、印刷装置500の外部へ缶体10が搬送され、印刷装置500の外部へ缶体10が排出される。
【0013】
排出機構93の下流側には、インクジェット印刷部700が設けられている。
インクジェット印刷部700は、インクジェット印刷方式を用い、上流側から移動してきた缶体10への画像形成を行う。
ここで、インクジェット印刷方式による画像形成とは、インクジェットヘッドからインクを吐出させて、缶体10にこのインクを付着させることにより行う印刷を指す。
インクジェット印刷方式による画像形成では、公知の方式を用いることができる。具体的には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0014】
インクジェット印刷部700の下流側には、光照射手段の一例としての光照射部750が設けられている。
光照射部750は、光源を備え、インクジェット印刷部700による画像形成が行われた缶体10の外周面に光を照射し、外周面上に形成された画像を硬化させる。
【0015】
インクジェット印刷部700では、紫外線硬化型のインクを用いて画像を形成する。付言すると、インクジェット印刷部700では、活性放射線硬化型インクを用いて画像を形成する。
光照射部750では、形成されたこの画像に対して紫外線などの光を照射する。これにより、缶体10の外周面上に形成されたこの画像が硬化する。
ここで、インクジェット印刷部700および光照射部750は、第1直線状部810(詳細は後述)の側方に配置されている。
【0016】
さらに、本実施形態では、処理手段の一例としての、版式印刷部760、保護層形成部770が設けられている。
版式印刷部760は、缶体10の搬送方向において、インクジェット印刷部700の下流側に配置されている。保護層形成部770は、缶体10の搬送方向において、版式印刷部760の下流側に配置されている。
【0017】
版式印刷部760は、版式の印刷方式を用いて、缶体10への画像形成を行う。
具体的には、版式印刷部760には、複数の版胴451が設けられている。版胴451の表面には、版式印刷により形成しようとする画像に対応した凸部(不図示)が設けられている。また、版式印刷部760には、この版胴451の凸部にインクを供給する複数のインク供給ユニット452が設けられている。
さらに、版式印刷部760には、版胴451からのインクが転写されるとともに、このインクを缶体10に転写するブランケット453が設けられている。
【0018】
版式印刷部760では、ブランケット453の対向位置にて缶体10が停止する。さらに、缶体10は、周方向への回転を行う。
また、版式印刷部760では、インク供給ユニット452の各々から、対応する版胴451の表面にインクを供給する。そして、版胴451の表面に付着したインク(版胴451の凸部に付着したインク)を、ブランケット453に転写する。さらに、ブランケット453に転写されたインクを、回転している缶体10に転写する。これにより、缶体10の外周面に、版式による画像が形成される。
【0019】
ここで、版式による画像形成とは、版を用いた画像形成を指す。より具体的には、版式による画像形成とは、版にインクを付着させた後、版に付着したこのインクを缶体10に対して転写することにより缶体10へ画像形成を行うことを指す。
【0020】
なお、この転写は、版を缶体10に直接接触させて行ってもよいし、版と缶体10との間に、ブランケット453などの中間転写体を配置し、この中間転写体を介して、缶体10に対する転写を行ってもよい。
ここで、版式による印刷としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷を挙げることができ、版式による印刷では、これらの何れを用いてもよい。なお、本実施形態では、凸版印刷を用いて、缶体10への画像形成を行っている。
【0021】
保護層形成部770は、版式印刷部760の下流側に配置されている。
保護層形成部770は、インクジェット印刷部700により形成された画像の上に、また、版式印刷部760により形成された画像の上に、これらの画像を覆う透明な層を形成する。これにより、本実施形態では、缶体10の最外層に、透明な保護層が形成される。
【0022】
ここで、保護層形成部770には、円筒又は円柱状に形成され、缶体10の外周面に接触する接触部材771が設けられている。
接触部材771は、接触部材771の対向位置に缶体10が供給された後に、この缶体10に向かって移動し、缶体10に接触する。より具体的には、接触部材771は、図中矢印1Aで示すように、斜め上方向へ移動して、缶体10に接触する。
【0023】
また、保護層形成部770には、塗料を収容する塗料収容部772が設けられている。さらに、円筒又は円柱状に形成され、塗料収容部772内の塗料を接触部材771に供給する供給部材773が設けられている。
保護層形成部770では、缶体10が周方向に回転する。また、接触部材771の外周面には、供給部材773によって塗料が供給されている。これにより、本実施形態では、缶体10の外周面の周方向における全域に塗料が付着する。
【0024】
保護層形成部770の下流側には、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われる取り外し部780が設けられている。本実施形態では、この取り外し部780にて、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われ、この缶体10が、印刷装置500の外部に排出される。
さらに、印刷装置500には、缶体10を支持しながら移動する移動体の一例としての複数の移動ユニット550が設けられている。
【0025】
本実施形態では、この移動ユニット550に、缶体10を支持する上記支持部材20が取り付けられ、缶体10は、この移動ユニット550とともに移動する。
ここで、缶体10は、円筒状に形成され、一端に開口部が設けられている。また、缶体10の他端は塞がれ、この他端には、底部10Aが設けられている。支持部材20は、この開口部から缶体10に挿入される。
さらに、本実施形態では、移動ユニット550を移動させる移動手段として機能する移動機構560が設けられている。移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う環状の案内部材561が設けられている。
【0026】
移動ユニット550の各々は、案内部材561により案内され、予め定められた環状の移動経路800に沿って周回移動を行う。
これに伴い、本実施形態では、移動ユニット550に設けられた支持部材20、この支持部材20により支持された缶体10も、予め定められた環状の移動経路800に沿って移動する。
【0027】
移動経路800は、その軸中心800Cが水平方向に沿うように配置されている。言い換えると、移動経路800は、水平方向に沿った軸中心800Cの周りに配置されている。ここで、この軸中心800Cは、
図1の紙面に対して直交する方向に延びている。
そして、この場合、本実施形態では、支持部材20および缶体10は、図中、紙面に対して直交する方向に沿って延びるこの軸中心800Cを中心に、周回移動を行う。
【0028】
移動経路800には、直線状の移動経路である第1直線状部810、同じく直線状の移動経路である第2直線状部820が設けられている。
第1直線状部810、第2直線状部820の各々は、水平方向に沿って延びるように配置されている。また、第1直線状部810および第2直線状部820は、略平行となる関係で配置されている。さらに、本実施形態では、第1直線状部810が、第2直線状部820の上方に配置されている。
【0029】
さらに、第1直線状部810は、環状の移動経路800のうちの最上部の部分に設けられ、第2直線状部820は、環状の移動経路800のうちの最下部の部分に設けられている。
さらに、本実施形態では、最上部に位置するこの第1直線状部810の上方に、インクジェット印刷部700が設けられている。
【0030】
さらに、移動経路800には、曲率を有し円弧を描くように形成された第1曲線状部830および第2曲線状部840が設けられている。
第1曲線状部830は、第1直線状部810の図中右端部と第2直線状部820の図中右端部とを結ぶ。また、第1曲線状部830は、上方から下方に向かうように形成されている。
また、第2曲線状部840は、第1直線状部810の図中左端部と第2直線状部820の図中左端部とを結ぶ。また、第2曲線状部840は、下方から上方に向かうように形成されている。
【0031】
本実施形態では、第1曲線状部830(移動経路800のうちの曲率を有する部分)の側方に、版式印刷部760、保護層形成部770が設けられている。
言い換えると、移動経路800のうちの、上方から下方に向かう部分の側方に、版式印刷部760、保護層形成部770が設けられている。
本実施形態では、第1曲線状部830に位置する缶体10に対して、版式印刷による印刷、保護層の形成が行われる。
【0032】
第1曲線状部830(移動経路800のうちの、上方から下方に向かう部分や、下方から上方に向かう部分)の側方に、版式印刷部760、保護層形成部770を設けると、印刷装置500の小型化を図れる。
具体的には、第1直線状部810の上方などに、これらを設ける場合に比べて、印刷装置500の小型化を図れる。より具体的には、水平方向(
図1の矢印1Bで示す方向)における印刷装置500の寸法を小さくできる。
ここで、第1直線状部810の上方などに、版式印刷部760、保護層形成部770をさらに設ける場合は、
図1にて示す状態よりも、第1直線状部810を延ばす必要が生じ、印刷装置500が大型化してしまう。
【0033】
さらに、本実施形態では、環状の移動経路800のうちの上側の部分(軸中心800Cを通る水平線Hよりも上側の部分)(以下、「上側部分」と称する)に、缶体供給部510が設けられている。
また、環状の移動経路800のうちの下側の部分(水平線Hよりも下側の部分)(以下、「下側部分」と称する)に、取り外し部780が設けられている。
これにより、上側部分および下側部分の一方の部分のみに、缶体供給部510、取り外し部780の両者が設けられる場合に比べ、この場合も、水平方向(
図1の矢印1Bで示す方向)における印刷装置500の寸法を小さくできる。
【0034】
なお、本実施形態では、上側部分に缶体供給部510を設け、下側部分に取り外し部780を設けた場合を説明したが、これに限らず、下側部分に缶体供給部510を設け、上側部分に取り外し部780を設けてもよい。
より具体的には、例えば、第2直線状部820などに、インクジェット印刷部700を設ける場合には、下側部分に缶体供給部510を設け、上側部分に取り外し部780を設けるようにしてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、第1曲線状部830の側方に、版式印刷部760、保護層形成部770の両者を設けた場合を一例に説明した。但し、これに限らず、例えば、第1曲線状部830の側方に、版式印刷部760を設け、第2曲線状部840の側方に、保護層形成部770を設けてもよい。
なお、この場合は、符号1Cで示す部分などに(保護層形成部770の下流側に)、取り外し部780が設けられることになる。
【0036】
また、本実施形態のように、第1曲線状部830(移動経路800のうちの、上方から下方に向かう部分や、下方から上方に向かう部分)の側方に、保護層形成部770を設けると、接触部材771を移動させるための機構の小型化を図れる。
本実施形態では、上記のとおり、接触部材771を移動させて、この接触部材771を缶体10に接触させる。
【0037】
この場合に、この接触部材771が、第2直線状部820の下方などにあると、この接触部材771を真上に移動させる必要が生じる。この場合、駆動源の大型化などを招き、接触部材771を移動させる移動機構が大型化しやすい。
これに対し、本実施形態のように、第1曲線状部830の側方に、保護層形成部770を設けると、接触部材771を真上に移動させる必要がなくなる。
この場合、駆動源などが小さくて済み、接触部材771を移動させる移動機構の小型化を図れる。そして、移動機構の小型化が可能になると、印刷装置500全体の小型化も可能になる。
【0038】
次に、インクジェット印刷部700について説明する。
インクジェット印刷部700は、第1直線状部810の上方に配置され、第1直線状部810に位置する缶体10への画像形成を行う。
インクジェット印刷部700には、図中左右方向に並んで配置された複数のインクジェットヘッド11が設けられている。この複数のインクジェットヘッド11が設けられている部分は、缶体10への画像形成を行う画像形成手段として捉えることができる。
【0039】
具体的には、インクジェット印刷部700には、シアンのインクを吐出する第1インクジェットヘッド11C、マゼンタのインクを吐出する第2インクジェットヘッド11M、イエローのインクを吐出する第3インクジェットヘッド11Y、黒のインクを吐出する第4インクジェットヘッド11Kが設けられている。
以下の説明において、第1インクジェットヘッド11C~第4インクジェットヘッド11Kを特に区別しない場合には、単に、「インクジェットヘッド11」と称する。
【0040】
ここで、第1インクジェットヘッド11C~第4インクジェットヘッド11Kの4つのインクジェットヘッド11は、紫外線硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。また、本実施形態では、缶体10は寝た状態で移動し(缶体10の軸方向が水平状状態となる状態で缶体10が移動し)、缶体10の外周面の一部が、鉛直方向における上方を向く。本実施形態では、この外周面の上方から、下方に向けてインクを吐出し、缶体10の外周面への画像形成を行う。
【0041】
さらに、本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド11は、缶体10の移動方向に並んだ状態で配置されている。また、4つのインクジェットヘッド11の各々は、缶体10の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。
本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド11の下方を缶体10が通過していく過程で、缶体10に対して上方からインクが吐出され、缶体10に画像が形成される。
【0042】
より具体的には、本実施形態では、移動ユニット550が、複数設けられたインクジェットヘッド11の各々の設置箇所にて停止する。そして、各インクジェットヘッド11では、缶体10へのインクの吐出が行われ、缶体10に画像が形成される。なお、各インクジェットヘッド11にて画像形成が行われる際、缶体10は、周方向に回転する。
なお、本実施形態では、4つのインクジェットヘッド11が設けられている場合を例示したが、コーポレートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッド11や、白色の下地層を形成するためのインクジェットヘッド11をさらに設けてもよい。
【0043】
移動体の一例としての移動ユニット550の各々は、予め定められた移動速度で移動を行う。また、移動ユニット550の各々は、缶体供給部510、排出機構93、各インクジェットヘッド11の下方、光照射部750、版式印刷部760、保護層形成部770、取り外し部780の各々にて停止する。
【0044】
また、各インクジェットヘッド11、光照射部750、版式印刷部760、保護層形成部770などでは、移動ユニット550上の缶体10は、予め定められた回転速度で周方向への回転を行う。
また、本実施形態の印刷装置500では、印刷装置500内に位置する缶体10の個数よりも多い移動ユニット550が設置されている。さらに、移動ユニット550は、軸中心800Cの周りを移動する。
【0045】
移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う環状の案内部材561が設けられている。この案内部材561の内部には、電磁石(不図示)が設けられている。
さらに、移動ユニット550には、永久磁石(不図示)が設置されている。
本実施形態では、リニア機構が用いられて、移動ユニット550の移動が行われる。
【0046】
より具体的には、本実施形態の印刷装置500では、制御部(不図示)が設けられており、上記の電磁石への通電を制御して、磁界を生成し、移動ユニット550の各々を移動させる。なお、制御部は、プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。
【0047】
図1に示すように、移動ユニット550には、案内部材561による案内される台座部551が設けられている。この台座部551には、永久磁石(不図示)が設置されている。
本実施形態では、案内部材561に設けられた電磁石によって発生する磁界と、移動ユニット550の台座部551に設けられた永久磁石とによって、移動ユニット550に推進力が生じ、移動ユニット550が、環状の移動経路800に沿って移動する。
【0048】
さらに、本実施形態の移動ユニット550には、缶体10を支持する円筒状の支持部材20、この支持部材20を台座部551に固定するための固定用部材553が設けられている。この固定用部材553は、台座部551から起立する形で設けられている。
【0049】
本実施形態の支持部材20は、円筒状に形成され、缶体10に形成された開口部を通じて缶体10に挿入され、この缶体10を支持する。また、支持部材20は、寝た状態(水平方向に沿った状態)で配置されている。これにより、本実施形態では、缶体10も寝た状態で配置される。
本実施形態では、各インクジェットヘッド11に缶体10が達すると、インクジェットヘッド11の各々から、下方に位置する缶体10へのインクの吐出が行われる。これにより、缶体10の外周面に画像が形成される。
【0050】
光照射部750は、インクジェット印刷部700の下流側に配置され、缶体10に対して、光の一例である紫外線を照射する。これにより、缶体10の外周面に形成された画像(インクジェット印刷部700により形成された画像)が硬化する。
なお、缶体10への画像形成にあたっては、熱硬化型のインクを用いてもよく、この場合は、例えば、光照射部750が設けられている箇所に、光源ではなく熱源が設置される。
【0051】
本実施形態では、移動ユニット550は、各インクジェットヘッド11の下方に達する度に、停止する。言い換えると、移動ユニット550は、予め定められた停止箇所の各々にて停止する。
そして、本実施形態では、この予め定められた停止箇所にて停止した移動ユニット550が保持している缶体10の外周面に対し、画像形成手段の一例としてのインクジェットヘッド11によって、画像が形成される。
【0052】
より具体的には、インクジェットヘッド11の各々では、支持部材20(缶体10)が周方向に回転している状態にて、インクジェットヘッド11からのインクの吐出が行われ、缶体10の外周面に画像が形成される。
本実施形態では、インクの吐出が開始されてから支持部材20が360°回転すると、インクの吐出が停止する。これにより、缶体10の外周面の周方向における全域に、画像が形成される。
【0053】
本実施形態では、
図1に示すように、支持部材20は、
図1の紙面と直交する方向に沿って配置されている。言い換えると、支持部材20は、水平方向に沿って延びるように配置されている。
また、支持部材20は、移動ユニット550の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。
【0054】
この場合、支持部材20が、移動ユニット550の移動方向に沿って配置される場合に比べ、印刷装置500の長さ(
図1の矢印1Bで示す方向における長さ)や、印刷装置500の高さを小さくできる。また、この場合、移動ユニット550が移動する移動経路800の全長を小さくできる。
【0055】
また、支持部材20が、移動ユニット550の移動方向と直交する方向に沿っていると、支持部材20が、移動ユニット550の移動方向に沿って配置される場合に比べ、移動ユニット550の移動方向における、移動ユニット550の配置密度を高められる。
そして、この場合、印刷装置500に設置可能な移動ユニット550の数を増やせる。
【0056】
さらに、本実施形態では、移動経路800の径方向における外側に、インクジェット印刷部700、光照射部750、版式印刷部760、保護層形成部770などの各機能部が設置されている。
各機能部のメンテナンスを行う場合があり、この場合に、各機能部が、移動経路800の外側に配置されていると、内側に配置されている場合に比べ、このメンテナンスを行いやすくなる。
【0057】
また、本実施形態では、インクジェットヘッド11は、缶体10の上方に位置し、缶体10に対しては、上方からインクが吐出される。
この場合、インクジェットヘッド11が、缶体10の側方や缶体10の下方に配置される場合に比べ、インクジェットヘッド11から吐出されたインクの液滴に作用する重力の影響を小さくでき、缶体10におけるインクの付着位置の精度を高められる。
【0058】
さらに、本実施形態では、第1直線状部810の側方(上方)に、インクジェット印刷部700(複数のインクジェットヘッド11)が設けられている。
これにより、曲線状部(第1曲線状部830や第2曲線状部840)の側方に、インクジェット印刷部700(複数のインクジェットヘッド11)が設けられる場合に比べ、缶体10に形成される画像の質を高めやすくなる。
【0059】
ここで、曲線状部の側方に、インクジェットヘッド11を設ける場合は、例えば、
図3(印刷装置500の比較例を示した図)に示すように、インクジェットヘッド11の姿勢が、インクジェットヘッド11毎に異なるようになる。
この場合、インクジェットヘッド11の姿勢が揃っている場合に比べ、インクジェットヘッド11毎に形成される画像間に位置ずれが生じるなど、形成される画像の質が低下しやすくなる。
【0060】
これに対し、本実施形態のように、直線状部(第1直線状部810)の側方に、インクジェット印刷部700を設けると、複数のインクジェットヘッド11の姿勢を揃えやすくなり、形成される画像の質の低下を抑えられる。
【0061】
図4は、印刷装置500の他の構成例を示した上面図である。
なお、この
図4では、インクジェット印刷部700を主に表示し、インクジェット印刷部700以外の他の構成要素の図示を大幅に省略している。
この印刷装置500では、移動経路800の軸中心800Cが、鉛直方向に沿っている。言い換えると、この印刷装置500では、移動ユニット550(
図4では不図示)の各々は、水平面上に位置する環状の移動経路800に沿って移動を行う。
【0062】
さらに、この印刷装置500では、上記と同様、インクジェットヘッド11の各々が、第1直線状部810の側方(上方)に設けられている。
この構成例でも、インクジェットヘッド11の各々が、第1直線状部810の側方に設けられており、この場合も、上記と同様、複数のインクジェットヘッド11の姿勢が揃うようになり、形成される画像の質の低下を抑えられる。
【0063】
図1では、移動経路800の軸中心800Cが水平方向に沿う場合を例示したが、
図4に示すように、印刷装置500は、移動経路800の軸中心800Cが鉛直方向に沿うように構成してもよい。
この場合も、直線状部の側方(上方)に、複数のインクジェットヘッド11を配置するようにすれば、インクジェットヘッド11毎に形成される画像間の位置ずれなどを抑えやすくなり、形成される画像の質の低下を抑えられる。
【0064】
図5は、
図1の矢印V方向からインクジェットヘッド11Cおよび移動ユニット550を眺めた場合の図である。なお、
図5では、移動ユニット550に設けられた台座部551(
図1参照)の図示を省略している。
図1では図示を省略したが、本実施形態では、
図5に示すように、移動ユニット550が停止する停止箇所Pの各々に、停止した移動ユニット550の一部が押し当てられる被押し当て部900が設けられている。
【0065】
この被押し当て部900には、永久磁石901が設置されている。さらに、停止箇所Pの各々には、この被押し当て部900をエンコーダ(不図示)を用いて回転制御する駆動源であるサーボモータMが設けられている。ここで、駆動源はパルス数で回転制御するパルスモータでも構わない。
一方、移動ユニット550側には、缶体10を支持する支持部材20の端部に取り付けられた円柱状部材559が設けられている。円柱状部材559は、金属部材により構成されており、本実施形態の円柱状部材559は、永久磁石901により吸引される。
【0066】
本実施形態では、固定用部材553に対する円柱状部材559の移動が可能になっており、円柱状部材559は、周方向への回転が可能となっている。さらに、円柱状部材559は、円柱状部材559の軸方向への移動が可能となっている。
より具体的には、円柱状部材559は、固定用部材553に形成された貫通孔553A内に、隙間を有した状態で配置されており、円柱状部材559は、周方向への回転、軸方向への移動が可能な状態で、固定用部材553により支持されている。
【0067】
本実施形態では、予め定められた停止箇所Pの各々にて、移動ユニット550が停止すると、被押し当て部900に設けられた永久磁石901によって、円柱状部材559が吸引される。
これにより、被押し当て部900に円柱状部材559が押し当てられ、支持部材20の長手方向における、支持部材20の位置決めが行われる。言い換えると、缶体10の軸方向における缶体10の位置決めが行われる。
【0068】
付言すると、本実施形態では、磁力によって、移動ユニット550の一部が、被押し当て部900が設けられている側に向けて付勢され、この一部が、被押し当て部900に押し当てられる。
言い換えると、本実施形態では、磁力によって、缶体10を支持する支持部材20が、円柱状部材559を介して、被押し当て部900に押し当てられる。
【0069】
これにより、本実施形態では、缶体10が、第1インクジェットヘッド11Cの下方の予め定められた箇所に位置決めされる。より具体的には、缶体10の軸方向における、缶体10の位置決めが行われる。
ここで、永久磁石901等は、被押し当て部900に押し当てられる部分を、この被押し当て部900が設けられている側に向けて付勢する付勢手段として捉えることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、永久磁石901を被押し当て部900側に設けたが、永久磁石901を、円柱状部材559側に設けたり、被押し当て部900および円柱状部材559の両者に、永久磁石901を設けたりしてもよい。
また、永久磁石901ではなく、電磁石を用いてもよい。
【0071】
また、被押し当て部900への円柱状部材559の付勢は、磁力に限らず、他の方法により行ってもよい。
例えば、被押し当て部900が設けられている側を減圧することで、移動ユニット550の一部を吸引し、被押し当て部900への円柱状部材559の付勢を行ってもよい。
また、例えば、被押し当て部900側へ、移動ユニット550および/または缶体10を押圧して、被押し当て部900への円柱状部材559の付勢を行ってもよい。
【0072】
さらに、本実施形態では、停止箇所Pにて、移動ユニット550により保持されている缶体10の径方向の位置決めも行われる。付言すると、支持部材20の径方向における、支持部材20の位置決めも行われる。
さらに、本実施形態では、停止箇所Pでは、回転体の一例としての被押し当て部900に対する、缶体10(円柱状部材559、支持部材20)の位相が、予め定められた位相となる。
【0073】
付言すると、本実施形態では、被押し当て部900に円柱状部材559が押し当てられると、被押し当て部900に対する円柱状部材559の位相が、予め定められた位相となる。
さらに説明すると、本実施形態では、被押し当て部900に円柱状部材559が押し当てられると、円柱状部材559の位置決めであって、被押し当て部900の回転方向(周方向)における位置決めが行われる。
【0074】
これにより、本実施形態では、被押し当て部900に対する円柱状部材559の位相が、予め定められた一つの位相となる。
付言すると、本実施形態では、被押し当て部900に円柱状部材559が押し当てられると、被押し当て部900に対する円柱状部材559の位相が、予め定められた一つの位相以外の他の位相にはならないようになる。
【0075】
本実施形態では、被押し当て部900に円柱状部材559が押し当てられると、被押し当て部900の軸方向、被押し当て部900の径方向の各々において、円柱状部材559の位置が調整され、円柱状部材559の位置決めが行われる。
さらに、本実施形態では、被押し当て部900の周方向における、円柱状部材559の回転角度が調整され、被押し当て部900に対する円柱状部材559の位相(回転角度)が、予め定められた一つの位相(回転角度)となる。
【0076】
本実施形態では、円柱状部材559のこの位置決めが行われると、インクジェットヘッド11Cの直下に缶体10が位置するようになる。また、インクジェットヘッド11Cの長手方向と、缶体10の軸方向とが平行となる。
さらに、円柱状部材559のこの位置決めが行われると、インクジェットヘッド11Cの長手方向における予め定められた箇所に、缶体10が配置される。
【0077】
図6(A)、(B)は、被押し当て部900、円柱状部材559を説明する図である。より具体的には、
図6(A)は、
図5の矢印VIA方向から被押し当て部900を眺めた場合の図であり、
図6(B)は、
図5の矢印VIB方向から円柱状部材559を眺めた場合の図である。
【0078】
図6(A)に示すように、本実施形態では、被押し当て部900のうちの、円柱状部材559に対向する円形の対向面908に、凹部908Aが設けられている。さらに、対向面908に、永久磁石901が設置されている。
また、
図6(B)に示すように、円柱状部材559のうちの、被押し当て部900の対向面908に対向する対向面559Aには、凹部908Aに入る凸部559Bが設けられている。
【0079】
凹部908Aは、被押し当て部900の回転軸(回転中心)900Cからずれた箇所に位置しており、また、被押し当て部900の径方向に沿って延びるように形成されている。
凸部559Bも、円柱状部材559の回転軸559Cからずれた箇所に位置している。さらに、凸部559Bも、円柱状部材559の径方向に沿って延びるように配置されている。
【0080】
本実施形態では、被押し当て部900に対する円柱状部材559の回転角度(相対的な回転角度)が、予め定められた一つの回転角度となると、凹部908A内に、凸部559Bが入るようになる。
これにより、本実施形態では、被押し当て部900に対する円柱状部材559の位相が予め定められた一つの位相となる状態で、被押し当て部900への円柱状部材559の押し当てが行われる。
【0081】
そして、この場合、支持部材20により支持されている缶体10についても、被押し当て部900に対し、予め定められた一つの位相で配置されるようになる。
ここで、凹部908Aを有した被押し当て部900、凸部559Bを有した円柱状部材559は、被押し当て部900に対する缶体10の位相を予め定められた位相とする位相調整手段として捉えることができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、凹部908Aに凸部559Bが入ることで、被押し当て部900の径方向における、円柱状部材559の位置決めが行われる。言い換えると、缶体10の径方向における缶体10の位置決めが行われる。
ここで、凹部908Aを有した被押し当て部900、凸部559Bを有した円柱状部材559は、缶体10の径方向における缶体10の位置決めを行う位置決め手段として捉えることができる。
さらに、本実施形態では、凹部908Aに凸部559Bが入ると、対向面908と対向面559Aとが互いに突き当たる。これにより、本実施形態では、缶体10の軸方向における缶体10の位置決めも行われる。
【0083】
なお、凹部908Aおよび凸部559Bは、
図7(A)、(B)(被押し当て部900および円柱状部材559の他の構成例を示した図)に示すように、被押し当て部900および円柱状部材559の各々が有する回転軸(回転軸900C、回転軸559C)上に設けてもよい。
この構成例では、凸部559Bおよび凹部908Aを正面から眺めた場合の形状が、二等辺三角形となっている。この構成例でも、上記と同様、被押し当て部900に対する円柱状部材559の回転角度が予め定められた1つの回転角度となったときに、凹部908Aに凸部559Bが入る。
【0084】
そして、凹部908Aに凸部559Bが入ると、上記と同様、缶体10の径方向における缶体10の位置決め、缶体10の軸方向における缶体10の位置決めが行われる。
さらに、被押し当て部900に対する缶体10の位相が、予め定められた一つの位相となる。
【0085】
なお、本実施形態では、缶体10(円柱状部材559)の上記位置決めを行う際は、被押し当て部900を回転させた状態で、磁力を用い、被押し当て部900に円柱状部材559を接近させる。
そして、凸部559Bと凹部908Aとが向き合う状態となると、凹部908A内に凸部559Bが入り、上記の位置決めが行われる。
その後(位置決めの後)、本実施形態では、被押し当て部900を予め定められた回転数で回転させた状態で、インクジェットヘッド11Cからのインクの吐出を行う。これにより、缶体10の外周面に画像が形成される。
【0086】
本実施形態では、被押し当て部900は、この被押し当て部900により回転する円柱状部材559と同軸上に配置され、被押し当て部900が回転すると、円柱状部材559も回転する。これにより、缶体10が周方向に回転する。
付言すると、本実施形態では、サーボモータMからの回転駆動力が、被押し当て部900および円柱状部材559を介して、移動ユニット550側に伝達され、移動ユニット550の缶体10が周方向に回転する。
【0087】
さらに説明すると、本実施形態では、被押し当て部900は、停止箇所Pにて停止した移動ユニット550により保持されている缶体10と同軸上に配置される。
そして、本実施形態では、被押し当て部900が回転すると、被押し当て部900からの回転駆動力が、円柱状部材559、支持部材20を介して缶体10に伝達され、缶体10が周方向に回転する。
【0088】
さらに説明すると、
図5に示すように、本実施形態の被押し当て部900は、缶体10と同軸上に配置され、さらに、缶体10が有する開口部10A側に配置される。
そして、本実施形態では、被押し当て部900が回転すると、開口部10Aを通じて缶体10の内部に挿入された支持部材20が回転し、これに伴い、缶体10が周方向に回転する。
【0089】
図8(A)、(B)は、被押し当て部900、円柱状部材559の他の構成例を示した図である。
この構成例では、
図8(A)、(B)に示すように、円柱状部材559の径方向に向かって突出する凸部559Bを設け、さらに、被押し当て部900の径方向に向かって凹む凹部908Aを設けている。
【0090】
より具体的には、
図8(A)、(B)に示す構成例では、円柱状部材559の対向面559Aから軸方向に向かって突出する円柱状の突出部559Xを設け、凸部559Bは、この突出部559Xの外周面から突出している。
また、被押し当て部900側については、断面が円形であって被押し当て部900の軸方向に凹む凹部908Xを設け、凹部908Aは、この凹部908Xの内周面に設けられている。
【0091】
この構成例では、上記と同様、被押し当て部900の対向面908と、円柱状部材559の対向面559Aとが突き当たることで、缶体10の軸方向における位置決めが行われる。
また、円柱状部材559の円柱状の突出部559Xが、被押し当て部900の円形の凹部908Xに入ることで、缶体10の径方向における位置決めが行われる。
また、円柱状部材559の凸部559Bが、被押し当て部900の凹部908Aに入ることで、被押し当て部900に対する缶体10の位相が、予め定められた一つの位相となる。
【0092】
なお、上記では、被押し当て部900側に、凹部908Aや凹部908Xなどの凹部を設け、円柱状部材559側に、凸部559Bや突出部559Xなどの凸部を設けたが、被押し当て部900側に凸部を設け、円柱状部材559側に凹部を設けてもよい。
【0093】
図5を再度参照し、退避機構789について説明する。
本実施形態では、
図5に示すように、被押し当て部900から円柱状部材559を退避させる退避機構789が設けられている。
停止箇所Pにおける処理が終了すると、制御部からの信号に応じて、この退避機構789が駆動される。これにより、被押し当て部900から円柱状部材559が退避して、被押し当て部900から円柱状部材559が離間する。これにより、移動ユニット550の下流側への更なる移動が可能になる。
【0094】
退避機構789には、被押し当て部900の軸方向に沿って移動し、円柱状部材559を押圧する移動部材781が設けられている。また、この移動部材781を、円柱状部材559に向けて移動させる移動機構(不図示)が設けられている。
なお、この移動機構は、公知の機構を用いて構成される。具体的には、移動機構には、例えば、モータ、エアシリンダ、ソレノイドなどの駆動源が設けられ、この駆動源にて発生した駆動力が用いられて、上記移動部材781が移動する。
【0095】
本実施形態の印刷装置500では、移動ユニット550が停止した際の移動ユニット550の姿勢が、移動ユニット550毎に異なりやすい。
特に、本実施形態のように、移動ユニット550が個別に移動する構成では、移動ユニット550の姿勢が異なりやすい。この場合、缶体10に形成される画像の質が、安定しにくい。
【0096】
これに対し、本実施形態の構成では、共通の部材である被押し当て部900に対して、各移動ユニット550が押し当てられ、移動ユニット550毎に移動ユニット550の姿勢が異なることが起きにくくなる。
これにより、各缶体10に形成される画像の質が安定化する。
【0097】
また、本実施形態では、円柱状部材559(缶体10)を回転させるためのモータが、移動ユニット550に設けられておらず、印刷装置500の本体側に設けられたサーボモータMにより、円柱状部材559は回転する。
これにより、移動ユニット550が軽量となり、移動ユニット550の移動に起因する印刷装置500の揺れが小さくなる。
【0098】
ここで、移動ユニット550に、缶体10を回転させるためのモータが設けられ、移動ユニット550の重量が大きいと、移動ユニット550が停止等した際の印刷装置500の揺れが大きくなりやすい。そして、この場合、インクジェットヘッド11などが揺れ、画質の低下を招きやすい。
これに対し、本実施形態のように、モータを、印刷装置500の本体側に設ける構成では、移動ユニット550の軽量化が図られ、移動ユニット550が停止等した際の印刷装置500の揺れが小さくなる。
【0099】
また、本実施形態では、各インクジェットヘッド11等では、サーボモータMの回転角度が予め定められた角度となったときに印刷を開始すればよく、これにより、色毎に形成される各画像の位置合わせをより簡易に行えるようになる。
より具体的には、本実施形態では、上記のとおり、停止箇所Pの各々にて、被押し当て部900に対する缶体10の回転角度が予め定められた一つの角度となる状態で、缶体10が配置される。
【0100】
このため、被押し当て部900の回転角度(位相)が予め定められた回転角度であるときには(サーボモータMの回転角度が予め定められた回転角度であるときには)、印刷対象である缶体10も、予め定められた回転角度で配置されるようになる。
そして、この場合は、上記のとおり、サーボモータMの回転角度が予め定められた角度となったときに、印刷を開始するようにすれば、色毎に形成される画像の位置合わせが自然と行われるようになる。
【0101】
図9は、円柱状部材559等の他の構成例を示した図である。なお、上記と同様の機能を有する部材については、上記と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図9にて示すこの構成例では、永久磁石901および凹部908Aを有する回転部材988が設けられている。この回転部材988は、上記と同様、サーボモータMにより回転される。この構成例では、この回転部材988で、凸部559Bを有した円柱状部材559を吸引する。
【0102】
また、この構成例では、回転部材988よりも円柱状部材559側に、被押し当て部として機能する位置決め部材989が設けられている。本実施形態では、回転部材988により吸引された円柱状部材559の一部が、この位置決め部材989に押し当てられる。
より具体的には、円柱状部材559の外周面には、環状の突出部559Dが設けられており、この突出部559Dが、位置決め部材989に押し当てられる。
【0103】
この構成例では、円柱状部材559の径方向における位置決め、円柱状部材559の周方向における位置決め(円柱状部材559の位相の調整)については、上記と同様、回転部材988に設けられた凹部908A、および、円柱状部材559に設けられた凸部559Bにより行われる。
また、この構成例では、円柱状部材559の軸方向における位置決めについては、位置決め部材989に、円柱状部材559の突出部559Dが突き当たることで行われる。
【0104】
なお、上記では、缶体10の軸方向に向けて円柱状部材559を付勢した場合を説明したが、缶体10の径方向に向けて、円柱状部材559や支持部材20を付勢して、これらの部材を被押し当て部900に押し当ててもよい。
また、上記では、移動ユニット550の一部を被押し当て部900に押し当てる場合を説明したが、缶体10の一部を被押し当て部900に押し当てるようにしてもよい。また、移動ユニット550および缶体10の両者を、被押し当て部900に押し当てるようにしてもよい。
【0105】
さらに、上記では、静止した状態の被押し当て部900に対して、移動ユニット550の一部を移動させたが、移動可能な押し当て部を設け、この押し当て部を、移動ユニット550および/または缶体10に押し当て、缶体10の位置決めを行ってもよい。
【0106】
図10は、押し当て部992を移動させて、移動ユニット550にこの押し当て部992を押し当てる構成例を示した図である。なお、上記と同様の機能を有する部分については、上記と同じ符号を付している。
この構成例では、例えば、インクジェットヘッド11の下方にて、移動ユニット550を停止させた後、回転させた状態の押し当て部992を円柱状部材559に向けて進出させる。
【0107】
より具体的には、予め定められた姿勢を保った状態の押し当て部992を、円柱状部材559に向けて進出させる。そして、押し当て部992の進出量が、予め定められた進出量となったら、押し当て部992を停止させる。
これにより、この場合も、押し当て部992に対して、円柱状部材559が押し当てられた状態となり、この場合も、上記と同様、缶体10の位置決めが行われる。
【0108】
より具体的には、この構成例では、移動ユニット550に、ばね部材などの付勢部材108が設けられ、円柱状部材559は、押し当て部992側に付勢される。
押し当て部992が、円柱状部材559に向かって進出すると、この付勢部材108によって、押し当て部992に対して、円柱状部材559が付勢される。
【0109】
押し当て部992に円柱状部材559が接触すると、この構成例でも、押し当て部992の凹部908Aに、円柱状部材559の凸部559Bが入る。また、押し当て部992の対向面992Aと、円柱状部材559の対向面559Aとが突き当たる。
これにより、この構成例においても、上記と同様、缶体10の軸方向における位置決め、缶体10の径方向における位置決め、缶体10の周方向における位置決めが行われる。
【0110】
[その他]
上記では、いわゆるリニアを用いて移動ユニット550を移動させたが、移動ユニット550の移動は、リニアに限らず、例えば、無端状の部材(ベルトなどの部材)に、移動ユニット550を取り付け、この無端状の部材を周回移動させることで行ってもよい。
また、例えば、移動ユニット550の各々に、移動ユニット550を移動させるための、モータなどの駆動源を設け、移動ユニット550を自律的に移動させるようにしてもよい。
【0111】
また、上記では、被押し当て部900、押し当て部992が、インクジェット印刷部700に設けられた場合を説明したが、被押し当て部900、押し当て部992は、インクジェット印刷部700以外にも設けられている。
具体的には、缶体供給部510、光照射部750、版式印刷部760、保護層形成部770などにも設けられている。
そして、缶体供給部510、光照射部750、版式印刷部760、保護層形成部770の各々では、上記と同様、缶体10の位置決めが行われ、また、被押し当て部900、押し当て部992から缶体10に対して駆動力が供給される。
【符号の説明】
【0112】
10…缶体、10A…開口部、11…インクジェットヘッド、20…支持部材、500…印刷装置、510…缶体供給部、550…移動ユニット、559…円柱状部材、559B…凸部、750…光照射部、760…版式印刷部、770…保護層形成部、780…取り外し部、800…移動経路、800C…軸中心、810…第1直線状部、900…被押し当て部、901…永久磁石、908A…凹部、992…押し当て部、P…停止箇所