(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】吊下陳列具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
A47F5/00 D
(21)【出願番号】P 2023000009
(22)【出願日】2023-01-02
【審査請求日】2023-01-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523003881
【氏名又は名称】庄司 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100134533
【氏名又は名称】伊藤 夏香
(74)【代理人】
【識別番号】100186451
【氏名又は名称】梅森 嘉匡
(72)【発明者】
【氏名】庄司 圭子
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-122320(JP,A)
【文献】特開2021-000214(JP,A)
【文献】特開2020-031813(JP,A)
【文献】特開2019-216919(JP,A)
【文献】特開2000-070085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00 - 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窪み部及び当該窪み部を挟んで設けてある一対の突出部により構成される凹状の基端部を備える棒状部材と、
互いに一定の間隔を設けて平行に配置して接続した第1プレート及び第2プレートを備え、前記棒状部材の基端部を着脱可能に嵌め込む保持部材と、
を有し、
前記第1プレートには、前記棒状部材を挿入する挿入穴が設けてあり、
前記第2プレートには、前記一対の突出部を嵌め込む一対の嵌合穴からなる係止部が、前記挿入穴に対向する位置に設けてあることを特徴とする吊下陳列具。
【請求項2】
前記窪み部が前記棒状部材の上下方向に開口しており、
前記一対の突出部が前記窪み部を挟んで左右対称に設けてあることを特徴とする請求項1記載の吊下陳列具。
【請求項3】
前記窪み部の最深部が前記保持部材に当接する位置まで前記棒状部材を嵌め込んだときに前記挿入穴に挿入される部分の端から、前記棒状部材の先端側の任意の位置までの区間に、目印を有することを特徴とする請求項1又は2記載の吊下陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を吊り下げて陳列する吊下陳列具に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子や手袋等の各種物品を複数吊り下げて陳列するための用具(以下、「吊下陳列具」という。)として、コ字状に折り曲げられ底側が開口する保持部材と、基端部が当該保持部材に固定される棒状部材(フック)とを備え、保持部材の底側開口部を水平に架け渡された角パイプやスチールラックに嵌め込んで使用するものが知られている(例えば、特許文献1に示されるフック棒4参照)。物品は棒状部材の先端部から挿入されて吊り下げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吊下陳列具に複数の物品が吊り下げられている場合、通常、手前側(棒状部材の先端部側)にある物品から順次取り外して使用される。吊下用の貫通穴や環状リングに棒状部材を通して吊り下げるタイプの物品については、棒状部材に吊り下げられた状態のままでは配列順序を変えることができない。したがって、吊下陳列具に物品が残った状態で新たな物品を補充する場合において、製造日が古いものや消費期限等が近いものから順に使用したいときには、保持部材に固定された棒状部材の基端部側から新たな物品を補充することができないため(基端部側がコ字状の部材に固定された上記フック棒4参照)、一旦全ての物品を棒状部材から取り外した後、新たな物品が奥側(棒状部材の基端部側)に配列されるように物品を入れ替えて吊り下げ直す手間が生じ、煩雑である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、物品を吊り下げて保持する棒状部材の先端部からでも基端部からでも物品を補充することが可能な吊下陳列具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吊下陳列具は、
窪み部及び当該窪み部を挟んで設けてある一対の突出部により構成される凹状の基端部を備える棒状部材と、
互いに一定の間隔を設けて平行に配置して接続した第1プレート及び第2プレートを備え、前記棒状部材の基端部を着脱可能に嵌め込む保持部材と、
を有し、
前記第1プレートには、前記棒状部材を挿入する挿入穴が設けてあり、
前記第2プレートには、前記一対の突出部を嵌め込む一対の嵌合穴からなる係止部が、前記挿入穴に対向する位置に設けてあることを特徴とする。
【0007】
前記吊下陳列具は、
前記窪み部が前記棒状部材の上下方向に開口しており、
前記一対の突出部が前記窪み部を挟んで左右対称に設けてあることが好ましい。
【0008】
加えて、前記吊下陳列具は、
前記窪み部の最深部が前記保持部材に当接する位置まで前記棒状部材を嵌め込んだときに前記挿入穴に挿入される部分の端から、前記棒状部材の先端側の任意の位置までの区間に、目印を有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の物品を吊り下げて保持する棒状部材の基端部からでも先端部からでも物品を補充することが可能な吊下陳列具を提供することができる。特に、本発明によれば、貫通穴や環状リングに棒状部材を通して吊り下げるタイプのような棒状部材の側方から掛け留めることができない物品を吊り下げるための用具として好適な吊下陳列具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態である吊下陳列具の組立前の状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す吊下陳列具を他の方向から示した斜視図である。
【
図3】
図1に示す吊下陳列具の縦断面図であり、(A)は組立前の状態を示し、(B)は組立後の状態を示す。
【
図4】本発明の第2の実施形態である吊下陳列具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る吊下陳列具は、複数の物品を吊り下げて陳列するための用具である。以下、適宜図面を参照しつつ本発明を具体的に説明するが、本発明は図面に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0012】
{第1の実施形態}
図1は、本発明の第1の実施形態である吊下陳列具1の組立前の状態を、棒状部材2の基端部側、及び、保持部材3の第2プレート32側から示した斜視図であり、破線で囲われた領域内に棒状部材2の基端部の拡大図を示す。
図2は、吊下陳列具1を棒状部材2の先端部側、及び、保持部材3の第1プレート31側から示した斜視図である。
図3は、
図1に示す吊下陳列具1の縦断面図(
図2に示すA-A線断面図)であり、(A)は組立前の状態を示し、(B)は組立後の状態を示す。なお、
図1ないし
図3に示す両矢印は、保持部材3に対する棒状部材2の挿脱方向、又は、角パイプPに対する保持部材3の挿脱方向を示す。
【0013】
吊下陳列具1は、それぞれ別体として設けられる棒状部材2と保持部材3とを有する。棒状部材2は、直径が一定であるステンレス製の丸棒(例えば、直径8mm)であり、窪み部22、及び、窪み部22を挟んで設けてある一対の突出部23、24により構成される凹状の基端部を備える。棒状部材2の基端部の基端面に凹溝21を形成することにより、棒状部材2の基端部に窪み部22及び一対の突出部23、24を設けてある。凹溝21は、縦溝であり、その両端が上下に開口するように、基端面に所定(例えば1cm程度)の深さで形成される。
【0014】
棒状部材2の先端側は、所定(例えば、先端面から2、3cm程度)の箇所を任意の角度θ(
図3(B)参照)で上向きに折り曲げることにより斜め上方に延びて設けてある。吊下された物品を棒状部材2の先端側から取り外す際に、当該物品が折り曲げた箇所に引っ掛かって棒状部材2が保持部材3から引き抜かれることを防止するため、例えば角度θを約35°又はそれ以下の角度に設定しておくことが望ましいが、これに限られない。
【0015】
保持部材3は、互いに一定の間隔(例えば、16mm)を設けて平行に配置して接続した第1プレート31及び第2プレート32を備える。保持部材3は底側が開口しており、棒状部材2を配置したい側に第1プレート31が設置されるように当該底側の開口部を水平に架け渡された角パイプやスチールラックに嵌め込んで使用する。第1プレート31には、棒状部材2を挿入する挿入穴311が設けてある。第2プレート32には、一対の突出部23、24が嵌め込まれる一対の嵌合穴322、323からなる係止部321が、挿入穴311に対向する位置に設けてある。なお、挿入穴311に対向する位置とは、第1プレート31及び第2プレート32が垂直に配置された状態で、挿入穴311に対して棒状部材2を基端部側から水平方向に真っ直ぐに差し込んだときに第2プレート32に突き当たる位置であり、別言すれば、挿入穴311に挿入された棒状部材2の中間部を略水平に保持できる位置である。保持部材3はステンレス製であり、各種穴はレーザー加工により形成する。係止部321は2つの穴322、323のみからなるため、加工し易く、かつ、棒状部材2を嵌め込み易い。挿入穴311及び係止部321は各プレートに1箇所ずつ設けられているが、複数設けるようにしても良い。
【0016】
第1プレート31及び第2プレート32のそれぞれは、第1プレート31の上端及び第2プレート32の上端のそれぞれに直角に固定されるプレート状の連結部材33を介して接続される。保持部材3は、底側が開口する側面視コ字状の部材であり、例えば1枚の鋼板をコ字状に折り曲げることにより形成しても良く、また、各プレートを溶接することにより形成しても良い。さらに、プレート状の連結部材に変えて、第1プレート及び第2プレートの間に複数の棒材を架け渡して直角に溶接固定するようにしても良い。
【0017】
吊下陳列具1は、窪み部22が棒状部材3の上下方向に開口しており、一対の突出部23、24が窪み部22を挟んで左右対称に設けてある。棒状部材2の形状が断面円形の丸棒であることに対応して、一対の突出部23、24はいずれも断面半円状の突起からなる。嵌合穴322、323は、連結部324を挟んで左右対称に設けられる半円状の第2プレート32を貫通する穴からなる。連結部324は、凹溝21に嵌め込まれる部位である。棒状部材2の基端部を雄型とし、第2プレート32の係止部321を雌型として嵌め込むことにより、保持部材3に対して棒状部材2が組み付けられる。凹溝21に連結部324を嵌め込むことにより、棒状部材2の回転が規制され、ガタつき難く地震発生時にも外れにくい。本実施形態の吊下陳列具1は、基端部側の凹溝21と先端の曲げ方向とがいずれも縦方向であるため、指で棒状部材2を持って保持部材3に嵌め込むために位置合わせしやすく、更に、突出部23と突出部24に均等に力が加わるので強度が高い。なお、凹溝及び凹溝が嵌め込まれる連結部は縦方向に限らず、横方向や斜め方向に設けるようにしても良い。
【0018】
挿入穴311は、棒状部材2の直径よりも僅かに大きな円形の穴、即ち、丸棒が嵌入可能な直径の第1プレート31を貫通する穴からなる。嵌合穴322、323の円弧部の曲率半径は挿入穴311の半径に等しい。挿入穴311及び嵌合穴322、323に嵌め込まれた状態の棒状部材2と保持部材3(連結部材33)との間の空間に角パイプP等が配置される。配置されるパイプの形状は角筒状に限定されない。すなわち、保持部材3のうち、挿入穴311及び嵌合穴322、323よりも上側の部分が角パイプP等を配置する箇所であり、角パイプ等の形状に合わせて、挿入穴311及び嵌合穴322、323の形成位置が決められる。
【0019】
次に、吊下陳列具1の使用方法について説明する。なお、角パイプPは、陳列棚(図示しない)を構成する横架材の一部である。
【0020】
先ず、保持部材3の底側開口部を第1プレート31が手前となるように角パイプP等に差し込んで配置する。次いで、棒状部材2の基端部を第1プレート31の挿入穴311から挿入し、窪み部22に連結部324が当接する位置まで嵌め込んで、
図3(B)に示す状態とする。その後、物品に設けられた吊下用の貫通穴や環状リング等を、棒状部材2の先端側から差し入れて物品を吊り下げる。棒状部材の自重及び吊り下げた物品の重みで傾いた棒状部材2が挿入穴311や係止部321に係合することにより、保持部材3に嵌め込まれた棒状部材2が脱落し難い構造となっており、複数の物品を吊り下げて陳列する用具として使用することができる。連結部324は、棒状部材2を嵌め入れたときのストッパ、及び、ガタつき防止の役割を果たす。
【0021】
かかる吊下陳列具1に物品が残った状態で新たな物品を基端部側から補充したい場合には、吊下陳列具1ごと持ち上げて角パイプP等から取り外した後、物品を補充する位置まで移動させ、残った物品が外れないように棒状部材2を略水平に把持した状態で棒状部材2の基端部側から保持部材3を引き抜く。棒状部材2の基端部がフリーの状態(開放状態)となるため、棒状部材2に残された物品を取り外すことなく、基端部側から新たな物品を吊り下げて補充することができる。本発明によれば、フック状の吊下部等を有することにより棒状部材の側方から掛け留めることが可能な物品に限らず、貫通穴や環状リングに棒状部材を通して吊り下げるタイプのような棒状部材の側方から掛け留めることができない物品を吊り下げるための用具として好適な吊下陳列具を提供することができる。なお、より簡易な補充方法として、保持部材3が角パイプP等に嵌め込まれた状態のまま棒状部材2を把持して保持部材3から引き抜くことで、フリーの状態となった棒状部材3の基端部側から物品を補充するようにしても良い。
【0022】
{第2の実施形態}
図4は、本発明の第2の実施形態である吊下陳列具4を示す斜視図である。なお、第1の実施形態である吊下陳列具1と共通する部位には同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図4に示す両矢印は、保持部材5に対する棒状部材6の挿脱方向を示す。また、
図4中、連結部材54により隠れる挿入穴311の形成位置を破線で示す。
【0023】
保持部材5は、立設して使用される鋼製の部材であり、互いに一定の間隔を設けて平行に配置して接続した第1プレート51及び第2プレート52を備える。第1プレート51及び第2プレート52のそれぞれは、第1プレート51の側端及び第2プレート52の側端に溶接により直角に固定されるプレート状の連結部材53、54により接続され、全体として角筒状に形成される。第1プレート51には、保持部材の長手方向に一定の間隔で挿入穴311が複数設けてあり、第2プレート52には、挿入穴311に対向する位置に係止部321が複数設けてある。それぞれの係止部321は、一対の突出部23、24を嵌め込むことが可能な一対の嵌合穴322、323からなる。なお、保持部材5は鋼製の角パイプを加工して形成するようにしても良い。
【0024】
棒状部材6は、棒状部材2と同様の形状であるが、窪み部22の最深部が保持部材3に当接する位置まで棒状部材6を嵌め込んだときに挿入穴311に挿入される部分の端から、棒状部材6の先端側の任意の位置までの区間61に、着色等による目印を有する。この目印は、物品を手前側(棒状部材6の先端側)から順次取り外して使用する場合の物品を補充するタイミングを知るためのマーク(発注点)として利用できる。また、この目印は、嵌め込み不全を知るためのマークとして利用できる。すなわち、挿入穴311に挿入される部分には目印を有しないことから、第1プレート31側から見て当該部分が視認できる状態であれば、棒状部材6が最後まで嵌め込まれていない、即ち緩んでいることを認識することができ、保持部材5に対する棒状部材6の取付け作業を確実に行うことができる。
【0025】
吊下陳列具4は、吊下陳列具1と同様、物品を吊下する際には、いずれかの挿入穴311に対して棒状部材6を嵌め込んで使用するが、保持部材5には、複数の挿入穴311及び係止部321を設けてあるため、棒状部材6を嵌め込む位置、即ち物品を吊り下げる高さを調節することができる。物品を棒状部材6の基端部側から補充する際には、棒状部材6を保持部材5から引き抜いた後、フリーとなった棒状部材6の基端部側から物品を差し込んで補充する。保持部材5には複数の棒状部材2、6を嵌め込んで使用しても良い。
【0026】
本発明は、上記実施形態ないし実施例に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能である。第1の実施形態に係る保持部材3に対して棒状部材6を適用しても良く、第2の実施形態に係る保持部材5に対して棒状部材2を適用しても良い。棒状部材は通常丸棒で形成されるが、角棒、その他断面が楕円又は多角形状の棒状部材であっても良く、かかる場合には、挿入穴や係止部の形状は当該棒状部材の断面形状に対応して変更される。上述の吊下陳列具の各種寸法や材質は一例に過ぎず、取り付けられる角パイプ等の寸法や吊り下げられる物品の個数や重さ等に基づいて適宜設定される。第1区間61又は第2区間62に施される目印は、着色に限らず、模様や凹凸であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、各種物品を吊り下げて陳列する吊下陳列具として用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 吊下陳列具(第1の実施形態)
2 棒状部材
21 凹溝
22 窪み部
23 突出部
24 突出部
3 保持部材
31 第1プレート
311 挿入穴
32 第2プレート
321 係止部
322 嵌合穴
323 嵌合穴
324 連結部
4 吊下陳列具(第2の実施形態)
5 保持部材
51 第1プレート
52 第2プレート
6 棒状部材
61 第1区間
P 角パイプ
【要約】
【課題】複数の物品を吊り下げて保持する棒状部材の基端(基端)側からでも先端(先端)側からでも物品を補充することが可能な吊下陳列具を提供する。
【解決手段】吊下陳列具1は、窪み部22及び窪み部22を挟んで設けてある一対の突出部23、24により構成される凹状の基端部を備える棒状部材2と、互いに一定の間隔を設けて平行に配置して接続した第1プレート31及び第2プレート32を備え、棒状部材2の基端部を着脱可能に嵌め込む保持部材3と、を有し、第1プレート31には、棒状部材2を挿入する挿入穴311が設けてあり、第2プレート32には、一対の突出部23、24を嵌め込む一対の嵌合穴322、323からなる係止部321が、挿入穴311に対向する位置に設けてある。
【選択図】
図1