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特許7270873交換可能でドッキング可能な膜モジュールを有する水中水脱塩システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】交換可能でドッキング可能な膜モジュールを有する水中水脱塩システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230501BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20230501BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
C02F1/44 G
C02F1/44 A
C02F1/44 D
B01D61/08
B01D61/58
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022524726
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2020058569
(87)【国際公開番号】W WO2021087469
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】62/929,564
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522164488
【氏名又は名称】ナチュラル オーシャン ウェル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーグストロム、ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、マイケル エム.
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0091629(US,A1)
【文献】特開2005-52802(JP,A)
【文献】特表2010-517772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/44
B01D61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過液コレクタの周りに整列された放射状に延在するホットスワップ可能水分離膜モジュールのアレイを備える水中で使用するための水脱塩装置であって、
複数のホットスタブ生産水バルブが前記透過液コレクタに連結され、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールにおける複数の水分離膜カートリッジに流体連通する放射状に延在する生産水収集マニホールドに着脱可能に連結され、
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、前記透過液コレクタに向かって収斂し、かつ、ホットスタブ生産水バルブに対する交換モジュールの水面下でのドッキングおよび取り付けを補助する、断面においテーパ状のモジュール側面を有
前記交換モジュールは前記水中で使用するための脱塩装置から取り外した前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールと交換するための新たなホットスワップ可能水分離膜モジュールである、
水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項2】
前記水分離膜カートリッジは逆浸透膜カートリッジである、請求項1に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項3】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、同一の形状およびサイズを有し、互いに交換可能である、請求項1または2に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項4】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは平面視においくさび状であり、前記水中で使用するための水脱塩装置は更に、ホットスタブ生産水バルブに対する水面下での交換モジュールのドッキングおよび取り付け中に交換モジュールまたは隣接するモジュールを引き付ける、接触させる、または反発する、1または複数の誘導用の特徴またはデバイスを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項5】
各ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールにおける前記水分離膜カートリッジを囲む、腐食耐性金属から、または、繊維強化ポリマーもしくは他の複合材料からできている支持フレームまたはハウジングを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項6】
前記水分離膜カートリッジ円筒形状を有し、前記透過液コレクタは、前記アレイの鉛直方向の中心軸を表し、または、前記中心軸に近接し整列され、前記水分離膜カートリッジは、前記透過液コレクタに平行である、請求項1から5のいずれか一項に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項7】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールおよび前記アレイは、圧力耐性外側容器に格納されていない、請求項1から6のいずれか一項に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項8】
前記水中で使用するための水脱塩装置は更に、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールに着脱可能に連結され、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールを受け、捕捉し、支持する枠組みと、濃縮液または鹹水を前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールから捕捉するフードとを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項9】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、モジュールのペアまたはモジュールの一部が、互いに並んで反対方向を向くように配置され、標準の海上輸送コンテナのフロアスペースに適合する、または実質的に充填されることを可能にする形状および寸法を有し、1または複数長方形のモジュールペアを提供する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水中で使用するための水脱塩装置。
【請求項10】
水中で使用するための水脱塩装置をメンテナンスするための方法であって、
a.透過液コレクタの周りに整列されて放射状に延在する複数のホットスワップ可能水分離膜モジュールの一部である第1ホットスワップ可能水分離膜モジュールを水中で使用するための水脱塩装置から切り離す段階であって、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、前記透過液コレクタに連結されたホットスタブ生産水バルブを介して前記透過液コレクタに流体連通し、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュール内の複数の水分離膜カートリッジに流体連通する放射状に延在する生産水収集マニホールドに着脱可能に連結し、
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、断面において、前記透過液コレクタに向かって収斂し、かつ、ホットスタブ生産水バルブに対する取り外されたモジュールの水面下でのドッキングおよび再取り付けを補助すテーパ状のモジュール側面を有する、段階と、
b.水面下において、同様のサイズおよび形状の交換モジュールの収斂するテーパ状の前記モジュール側面、および、前記第1ホットスワップ可能水分離膜モジュール上の取り外された生産水収集マニホールドを、前記透過液コレクタ上の取り外されたホットスタブ生産水バルブ向かって誘導することによって、前記交換モジュールを前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールのアレイにドッキングして取り付ける段階と
を備え
前記交換モジュールは前記水中で使用するための脱塩装置から取り外した前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールと交換するための新たなホットスワップ可能水分離膜モジュールである、方法。
【請求項11】
前記水分離膜カートリッジは逆浸透膜カートリッジである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、同一の形状およびサイズを有し、互いに交換可能である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは平面視においてくさび状であり、前記水脱塩装置は更に、ホットスタブ生産水バルブに対する水面下での交換モジュールのドッキングおよび取り付け中に交換モジュールまたは隣接するモジュールを引き付ける、接触させる、または反発する、1または複数の誘導用の特徴またはデバイスを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールにおける前記水分離膜カートリッジを囲む、腐食耐性金属から、または、繊維強化ポリマーもしくは他の複合材料からできている支持フレームまたはハウジングを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水分離膜カートリッジ円筒形状を有し、前記透過液コレクタは、前記アレイの鉛直方向の中心軸を表し、または、前記中心軸に近接し整列され、前記水分離膜カートリッジは、前記透過液コレクタに平行である、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールおよび前記アレイは、圧力耐性外側容器に格納されていない、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記水脱塩装置は更に、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールに着脱可能に連結され、前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールを受け、捕捉し、支持する枠組みと、濃縮液または鹹水を前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールから捕捉するフードとを備える、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ホットスワップ可能水分離膜モジュールは、モジュールのペアまたはモジュールの一部が、互いに並んで反対方向を向くように配置され、標準の海上輸送コンテナのフロアスペースに適合する、または実質的に充填されることを可能にする形状および寸法を有し、1または複数長方形のモジュールペアを提供する、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水脱塩に関する。
【背景技術】
【0002】
塩水(例えば海水)の脱塩の成長は、脱塩された水の比較的高い費用によって制限されてきた。この高い費用は部分的には、現在の脱塩システムに関連するエネルギーおよび資本的支出に起因する。そのようなシステムは典型的には、高圧腐食耐性ハウジングに含まれ、かつ、水中された沖合の取入システムからの海水が供給される逆浸透(RO)脱塩膜を含む陸上施設を利用する。RO膜を通過するように水を駆動するには、典型的には、非常に高い圧力が必要である。例えば、(DuPont Water Solutionsの)逆浸透膜要素の広く使用されるFILMTEC(登録商標)SW30ファミリでは、設計要件を満たすには、膜に約800psi(55bar)の圧力差があることが必要である。そのような高圧に加えて、陸上ROユニットは、主に膜動作圧力まで給水を加圧するために、高い電力需要の問題があり、陸上ROユニットにとって、これらの電力需要は典型的には、1000ガロンの生成される淡水あたり平均で約13.5kWhである。典型的な陸上ROユニットによって生成される海水および濃縮された鹹水ストリームは、高い腐食性を有し、その結果として、専用の合金からできている圧力容器および導管を含む、高価なコンポーネントおよび機器が必要となる。高度に加圧された水流はまた、メンテナンス支出を増加させる。陸上ROユニットはまた、典型的には、著しい量の高価な海岸の不動産を必要とする。加えて、海岸での脱塩は、様々な環境的影響について批判されている。それらには、取入水に海洋生物が巻き込まれること、必要なエネルギーを生成するのに関連する温室効果ガスの生成、海洋生物にとって潜在的に有害な強い鹹水ストリームを排出すること、海洋に入り得る処理化学薬品の使用、ならびに、高価であることが多く、地域の生態系にとって有害であり得る、陸上の土地の使用が含まれる。ROユニットは、米国特許第4,334,992号(Bonin et al.)、第5,192,434号(Moller)、第5,620,605号(Moller et al.)、第5,788,858号(Acernase et al. '858)、第5,972,216号(Acernase et al. '216)、第8,282,823B2号(Acernase et al. '823)および第9,227,159 B2号(DuFresne et al.)に記載されたものを含む。
【0003】
半透過RO膜の発明から50年以内に、そのような膜を水中し、天然の静水圧を利用して海水を脱塩するのに役立たせるための様々な概念が提案されてきた。代表的な例は、米国特許第3,171,808号(Todd)、第3,456,802号(Cole)、第4,125,463(Chenowith)号、第5,229,005号(Fok et al.)、第5,366,635号(Watkins)、第5,914,041号(Chancellor '041)、第5,944,999(Chancellor '999)号、第5,980,751号(Chancellor '751)、第6,149,393号(Chancellor '393)、第6,348,148 B1号(Bosley)および第8,685,252 B2号(Vuong et al.);米国特許出願公開第2008/0190849号(Vuong)、米国特許出願公開第2010/0270236号(Scialdone)、米国特許出願公開第2010/0276369号(Haag)および米国特許出願公開第2018/0001263号(Johnson et al.)、英国特許出願公開第2 068 774号(Mesple);国際公開第00/41971号(Gu)、国際公開第2009/086587号(Haag Family Trust)、国際公開第2018/148528号(Bergstrom et al.)、国際公開第2018/148542号(Bergstrom)およびPacenti et al., Submarine seawater reverse osmosis desalination system, Desalination 126, pp. 213-18 (1999年11月)に示されるシステムを含む。
【0004】
マイクロ濾過、ナノ濾過、限外濾過およびアクアポリンを利用するシステムを含む、他の水脱塩技術も提案されている。これらは、同様に様々な欠点を有する。一般的に、水中水脱塩システムは、部分的には、非常に深い場所から海面へ脱塩水を汲み上げるエネルギー費用、および、深い場所にあるコンポーネント部品のメンテナンスの難しさなどの要因に起因して、広く使用されてこなかったように思われる。
【0005】
上記から、当該技術において依然必要とされているのは、低いエネルギー費用、低い資本費用、低い運用またはメンテナンス費用、または、低減された環境への影響の1または複数を特徴とする、水脱塩のための改善されたシステムであると理解される。そのようなシステムを本明細書において開示および請求項する。
【発明の概要】
【0006】
陸上での水脱塩と比較して、水中水脱塩システムは、複数の重要な利点を提供し得る。例えば、水中での動作は、ポンプの電力要求を著しく低減できる。静水圧が脱塩に必要な駆動力の大部分または全部を提供でき、脱塩された水だけを陸上に汲み上げる必要があるからである。しかしながら、最終的には、陸上で動作しても、または、水中で動作しても、水あかまたはごみによって水分離膜が詰まり得、またはそうでない場合、有効性を喪失し得、交換する必要がある。特に膜が非常に深い場所の水中にあるとき、交換は難しいことがあり得、膜もしくはカートリッジの交換を実行するために、水中の脱塩装置全体をシャットダウンする、またはいくつかの場合には、それを海面まで運ぶ必要があり得る。いくつかの水中RO(SRO)システムでは、SRO装置が水中にあるときに膜またはカートリッジの交換が可能であると言われているが、交換は難しいままである。このことは、水中の装置が、遠隔操作車両(ROV)の使用を必要とするほど十分な深さに位置するときに、または、特定の感潮域、狭い海峡、または、いくつかの海底面崖など、移動する海流がある領域に位置するときに、特に重要であり得る。
【0007】
開示される発明は、一態様において、生産水収集導管の周りに整列された、概して放射状に延在するホットスワップ可能水分離膜モジュールのアレイを備える水中用水脱塩装置であって、複数のホットスワップ生産水バルブが前記導管に連結され、前記モジュールにおける複数の水分離膜カートリッジに流体連通する、概して放射状に延在する生産水収集マニホールドに着脱可能に連結され、前記モジュールは、前記導管に向かって収斂し、かつ、ホットスワップ生産水バルブに対する交換モジュールの水面下でのドッキングおよび取り付けを補助する、断面において概してテーパ状のモジュール側面を有する、水中用水脱塩装置を提供する。
【0008】
開示された発明は、別の態様において、水中の水脱塩装置を維持するための方法であって、
i)生産水収集導管の周りに整列されて概して放射状に延在する複数の第1ホットスワップ可能水分離膜モジュールのアレイの一部である第1ホットスワップ可能水分離膜モジュールを水中の水脱塩装置から切り離す段階であって、前記モジュールは、前記導管に連結されたホットスワップ生産水バルブを介して前記導管に流体連通し、前記モジュール内の複数の水分離膜カートリッジに流体連通する概して放射状に延在する生産水収集マニホールドに着脱可能に連結し、前記モジュールは、断面において、前記導管に向かって収斂し、かつ、ホットスワップ生産水バルブに対する取り外されたモジュールの水面下でのドッキングおよび再取り付けを補助する概してテーパ状のモジュール側面を有する、段階と、
ii.水面下において、前記交換モジュールの収斂するテーパ状の前記側面を、利用可能なホットスワップ生産水バルブに向かって付勢することによって、同様のサイズおよび形状の交換モジュールをアレイにドッキングして取り付ける段階と
を備える方法を提供する。
【0009】
開示された装置は、陸上ROシステムと比較して、費用が低減され、信頼性が改善され、特にROVを使用して交換が達成されるときに既存のSROシステムと比較して、RO膜メンテナンスおよび交換が改善された脱塩水を提供し得る水中の「天然のオーシャンウェル」を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開示された装置の一実施形態の概略側面図である。
図2】開示された装置の一実施形態の概略側面図である。
【0011】
図3】開示された装置に電力を供給するための海洋熱エネルギー変換(OTEC)システムの側面図である。
図4】開示された装置に電力を供給するための海洋熱エネルギー変換(OTEC)システムの概略図である。
【0012】
図5】開示された装置に電力を供給し、温室効果ガス排出を低減しつつ濃縮液または鹹水を処分するための代替的なシステムの側面図である。
【0013】
図6】開示された水脱塩システムの連結アレイによって形成されるウォータファームの透視図である。
【0014】
図7A】特定のコンポーネントを有し、有しない、開示された装置の下側の透視図である。
図7B】特定のコンポーネントを有し、有しない、開示された装置の下側の透視図である。
図7C】特定のコンポーネントを有し、有しない、開示された装置の下側の透視図である。
【0015】
図8A】個別のホットスワップ可能水分離膜モジュールの複数の観察角度からの上側の透視図である。
図8B】個別のホットスワップ可能水分離膜モジュールの複数の観察角度からの上側の透視図である。
図8C】個別のホットスワップ可能水分離膜モジュールの複数の観察角度からの下側の透視図である。
図8D】個別のホットスワップ可能水分離膜モジュールの複数の観察角度からの下側の透視図である。
図8E】個別のホットスワップ可能水分離膜モジュールの複数の観察角度からの下側の透視図である。
【0016】
図8F】水分離膜モジュールにおける水分離カートリッジを結合およびシールするための接着剤の使用を示す断面図である。
図8G】水分離膜モジュールにおける水分離カートリッジを結合およびシールするための接着剤の使用を示す断面図である。
【0017】
図9】取り付けられていない状態のモジュールを示す、開示されたモジュールの概して多角形のアレイの上面図である。
【0018】
図10A】平床トレーラ上で輸送するために構成された、開示されたモジュールの透視図である。
図10B】平床トレーラ上で輸送するために構成された、開示されたモジュールの透視図である。
図10C】平床トレーラ上で輸送するために構成された、開示されたモジュールの透視図である。
【0019】
図11】前置フィルタクリーニングシステムの吐出口側の概略図である。
図12】前置フィルタクリーニングシステムの吸込口側の概略図である。
【0020】
図面の様々な図における同様の参照符号は同様の要素を示す。図面における要素は縮尺通りに描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
端点を使用する数値範囲の列挙は、その範囲内に包摂されるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0022】
「1つの」、「ある」、「その」、「少なくとも1つの」、および「1または複数の」という用語は交換可能に使用される。従って、例えば、「1つ」の逆浸透膜を含む装置は、「1または複数の」そのような膜を含む。
【0023】
「エアリフト」という用語は、ポンプに関連して使用されるとき、液体またはスラリーに空気を注入することによって(好ましくは、空気だけを注入することによって)液体またはスラリーを汲み上げるためのデバイスまたは方法を指す。
【0024】
「自動」という用語は、水中ポンプの制御に関連して使用されるとき、そのようなポンプの付近で、または、そのようなポンプにおける状態に基づいて制御が動作し、海面の船舶、プラットフォーム、または、他の非水中機器へシグナルを送信する、または、それからシグナルを受信することを必要としないことを意味する。
【0025】
「鹹水」という用語は、典型的な塩水において見られるものより実質的に大きい塩化ナトリウム濃度、すなわち、約3.5%塩化ナトリウムより大きいものに対応する塩分を含む水溶液を指す。異なる管轄区域は、「鹹水」という用語に異なる定義を適用し得る、または、塩の排出に対して異なる制限を設定し得ることに留意するべきである。例えば、現在のカリフォルニア州の規制の下では、排出量は、排出地点から水平方向に100メートル以内で測定された天然のバックグラウンドの塩分を1日に最大で2.0 parts per thousand(ppt)以上超えるべきでない。他の管轄区域では、塩分の制限は例えば、環境より1ppt高い、環境より5%高い、または、絶対濃度40pptのレベルなどに設定され得る。
【0026】
「濃縮液」という用語は、海水の周りの環境と比較して塩分レベルが高いが、そのようなストリームが生成される該当する管轄区域において鹹水とみなされるほど十分な塩分を必ずしも含まないRO装置排出ストリームを指す。
【0027】
「導管」という用語は、そのような導管を利用する装置の動作中に液体が流れる管または他の中空構造(例えば、穴、チャネル、ダクト、ホース、ライン、開口、通路、ライザ、チューブまたは孔)を指す。導管は、断面が円形である必要はないことがあり得、例えば、楕円もしくは他の丸い、もしくは丸みのある形状、三角形、正方形、長方形、または他の規則的もしくは不規則的な形状を含む、他の断面形状を有し得る。導管はまた、その長さに沿って、直線状または一様である必要がないことがあり得、例えば、テーパ状、コイル状、または分岐(例えば、中心ハブから外向きに放射する分岐)を含む他の形状を有し得る。
【0028】
「深さ」という用語は、水中水脱塩装置またはそのコンポーネントに関連して使用されるとき、鉛直距離、すなわち、装置またはコンポーネントが沈んでいる水のボディの自由表面から、装置内への海水の導入の地点またはコンポーネントの位置までの水柱の高さを指す。
【0029】
「脱塩水」、「淡水」および「生産水」という用語は、重量で1000 parts per million(ppm)未満、より好ましくは、500ppm未満の溶解した無機塩類を含む水を指す。そのような塩の例には、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸カリウムおよび重炭酸水素ナトリウムが含まれる。
【0030】
「回収率」という用語は、SROシステムまたはSRO装置に関連して使用されるとき、システムまたは装置に導入される給水に対する、システムまたは装置によって生成される生産水(透過液)の体積比を意味する。
【0031】
「遠隔操作車両」および「ROV」という用語は、水中の物体の水面下での操縦および操作が可能な無人水中用車両を指す。
【0032】
「塩水」および「海水」という用語は、重量で0.5ppt以上の溶解した無機塩類を含む水を指し、従って、半鹹水(重量で0.5~3.0pptの溶解した有機塩を含む水)および重量で3.0ppt以上の溶解した有機塩を含む水の両方を包含する。海洋において、溶解した無機塩類は典型的には、総溶解固形分(TDS)に基づいて測定され、典型的には、平均で約35ppt TDSであるが、地域の条件次第で、より高い、または、より低いレベルの塩分がもたらされ得る。
【0033】
「水中」という用語は水面下であることを意味する。
【0034】
「水中用」という用語は、水中にある間の使用に好適であり、その間に主に使用されることを意味する。
【0035】
「広域」という用語は、導管の長さにわたって分布する複数の流体吐出口(例えば、濃縮液または鹹水の吐出口)を有する導管からの流体(例えば、濃縮液または鹹水)の散布に関連して使用されるとき、吐口エリアへの、典型的には、少なくとも5メートルのそのような長さを包含する体積への散布を意味する。開示されるエリアまたは体積はまた、流体吐出口を通る流体ストリームの方向および速度に部分的に依存する他の寸法(例えば、幅、直径または高さ)を有する。そのような他の寸法は、導管の内側および外側の流体の流量、ならびに、散布した流体プルームの全体の形状を含む可変要因によって影響を受けるので、「広域」という用語は単に、列挙された導管に沿った列挙された長さに焦点を当てることによって定義された。そのような長さは典型的には、所与の散布システムにおける固定量を表すからである。
【0036】
以下の説明において、水の分離を実行するための水中RO(SRO)装置におけるRO膜の使用に重点が置かれるが、脱塩の当業者であれば、本開示を読んだ後に、開示されたRO膜を他の種類の水分離膜と置き換えることが可能であると理解するであろう。そのような他の水分離膜の例には、マイクロ濾過、ナノ濾過、および限外濾過、アクアポリン、ならびに、既知の、または、今後開発される、脱塩技術の当業者によく知られる他の水分離技術に基づくものが含まれる。
【0037】
まず、図1および図2を参照すると、SRO装置100が概略側面図で示されている。未処理の海水102が前置フィルタスクリーン104を介して装置100に入り、RO膜モジュール106によって、生産水透過液ストリーム108および濃縮液または鹹水排出ストリーム110に分離される。透過液ストリーム108は、透過液コレクタ112に移り、そこから、透過液導管113、水中ポンプ114、および、送出導管116を通じて、後の使用のための後処理、輸送、または貯蔵のために船上または陸上の収集地点(図1または図2において不図示)へ移る。そのような使用には、飲用水、浴水、灌漑水、プロセス水、水貯蔵、地下水補充、冷却または熱交換、および、脱塩技術の当業者にとって明らかである様々な他の用途を含む、公共、民間、または工業の用途が含まれ得る。例えば、そのような生産水のための冷却または熱交換の潜在的な用途は、海水空調(SWAC)システムを含む空調システムの効率を提供または改善すること、(本明細書において説明されるものに加えて)OTECシステムを動作させる、またはその効率を改善すること、および、(同様に、本明細書において説明されるものに加えて)ランキンサイクル熱エンジンを動作させる、またはその効率を改善することを含む。
【0038】
開示される装置において、未処理の海水、生産水、および濃縮液または鹹水は各々、様々な方向、例えば、上方向、下方向、水平方向、斜め方向、または、それらの任意の組み合わせの方向に流れ得る。図2に示される実施形態において、膜モジュール106内の逆浸透膜は、濃縮液または鹹水110がモジュール106から概して上方向に排出され、フード118によって捕捉および収集されるように配向している。ライザ122の下端に位置するアキシアルポンプ120は、捕捉された濃縮液または鹹水110を、更なる使用または散布のために、ライザ122を通じて海面124へ送る。
【0039】
図2に示される実施形態において、濃縮液または鹹水110はライザ122を出て、そこで周りの海水において散布および希釈が生じる。追加の実施形態(図2において不図示)において、濃縮液または鹹水110は、更なる導管を通じて輸送され、装置100から遠く離れた距離(例えば、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500メートル)における散布、または、持続的な海流130内への散布(好ましくは、広域散布)を受け、装置100から一掃される。更なる実施形態(これも図2において不図示)において、濃縮液または鹹水110は、更なる使用または散布のために、更なる導管を通じて、更に大きい距離にわたって(例えば、遥か海面124まで、またはその近くへ)輸送される。所望される場合、濃縮液または鹹水は、その代わりに、好ましくは装置100から遠く離れた広域散布をなお受けつつ、下方向または水平方向など、別の方向に排出され得る。
【0040】
濃縮液または鹹水は、排出前に様々な用途に使用され得る。一実施形態において、濃縮液または鹹水は、参照によって開示が本明細書に組み込まれる、本願と同日付で出願された、「OCEAN THERMAL ENERGY CONVERSION SUBMERGED REVERSE OSMOSIS DESALINATION SYSTEM」と題する同時係属の国際出願番号(代理人整理番号4924.03US01P2)における、下でより詳細に説明される、OTECシステムを動作させ、動作または余剰電力を提供するために使用され得る望ましい体積または熱的な効用を有する。
【0041】
図2に示される実施形態において、リングフロート126およびフォーム層、例えば、フード128の表面の下に位置する、エンジニアリングシンタクチックフォーム層(図2において不図示)によって提供される浮力は、海面124の下の適切な深さDにおいて装置100を維持するのに役立つ。海底面136におけるアンカー134に固定されたカテナリ係留線132は、装置100を海面124下の適切な深さD、海底面136上の適切な高さH、および、ポンプ114の吸込口上の適切な高さH'に維持するのに役立つ。深さDは、好ましくは、深さDにおける海水の静水圧が、膜モジュール106を通るように海水102を押し流し、追加のポンプ、または、膜モジュール106の吸込口側で海水102を加圧するための他の手段を必要とすることなく、所望の全体積および回収率で、生産水108および濃縮液または鹹水110を生成するのに十分な深さである。選択された深さDは、上記の前置フィルタスクリーン104を隔てた圧力降下、膜モジュール106内のROカートリッジの種類、寸法、および構成、透過液コレクタ112、透過液導管113、生産水ポンプ114および生産水導管116の種類、サイズおよび動作条件、ならびに、鹹水アキシアルポンプ120および濃縮液ライザ122の種類、サイズ、および動作条件を含む複数の要因に基づいて変動する。例えば、吸込口の海水を加圧するためのポンプなしで動作する、Nitto HydranauticsのHYDRANAUTICS(登録商標)SWC円筒形膜カートリッジを使用して、開示されるSRO装置を動作させる場合、膜要素を囲む高圧力容器の必要性を最低限に抑える、または排除するために、膜要素から生産水を引き込むためのポンプと共に、少なくとも約350mの深さで動作することが好ましい。特に海水を膜に通すための圧力ポンプに依存するいくつかの前のSRO設計において、膜分離に必要な高圧に耐えるために、厚い圧力耐性容器が利用される。本発明のSRO脱塩装置の好ましい実施形態において、前置フィルタ要素およびRO膜は、圧力耐性容器を必要としない。なぜなら、浄化される流体において、十分な高圧で既に浸漬されているからである。望ましくは、開示されるSRO装置は単に、膜産物排出側面における十分に低い圧力、および、吸込口側と吐出口側との十分な圧力差を維持し、それにより、周りの圧力耐性容器を使用することなく、適切な膜の動作を可能にする。
【0042】
所望された場合、圧力容器無しで動作するために必要な深さより深い場所(例えば、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約550、少なくとも約600、少なくとも約650、少なくとも約700、少なくとも約750、少なくとも約800、少なくとも約900、または少なくとも約1000m)が利用され得る。そのようなより大きい深さにおける動作は、ポンプの吸引ヘッドおよび吸込口圧力を増加させ、より浅い深さで利用され得るものと同一モデルのポンプの使用を可能にする。そのようなより浅い深さは例えば、少なくとも約300、少なくとも約200、または少なくとも約100mであり得、そのようなより浅い深さにおける動作は典型的には、効率的な脱塩を達成するために、RO膜を通るように海水を押し流すのに役立つ少なくとも1つのポンプ(または、吐出口側における好適な真空の補助)を必要とし、また、場合によっては、膜要素を囲み保護する圧力容器を必要とする。海面の近くにおいて、水の分離に必要な膜を隔てた圧力差を提供するために、海洋の静水圧は、機械的に汲み上げることによって増強される必要がある。しかしながら、ポンプの故障を生じさせ得る、または加速させ得る過剰な深さは回避されるべきである。開示されるSRO脱塩システムの動作のための深さの全体的な例は、例えば、海面のすぐ下から(例えば、約10mから)、約100mから、約300mから、または、約500mから、最大約2000mまで、約1500mまで、または、約1000mまでである。選択されたポンプおよび膜に応じて、好ましい深さは、海面のすぐ下から、1500mもの深さである。海面の近くにおいて、逆浸透に必要な膜を隔てた圧力差を提供するために、海洋の静水圧は典型的には、機械的に汲み上げることによって増強される必要がある。
【0043】
深さDは更に、設置時に選択された固定の深さか、または、例えば、SRO装置の起動後に変更され得る、もしくは、状態の変化(例えば、波、潮汐、水温躍層、または塩分躍層の状態の変化、海水の塩分の変化、海面の上昇、または、RO膜の動作効率の変化)に応じて変更され得る調節可能な深さであり得る。更なる実施形態において、所望の静水圧を取得し、RO動作条件を最適化もしくは調節し、または、生産水および濃縮液もしくは鹹水の送出を最適化もしくは調節するために、システムがその深さを増加または減少させることが可能であるように、開示されるSRO装置は、圧力探知能力を含み得る。
【0044】
例として、開示される装置が、約700mの深さで動作する場合、静水圧は半透過RO膜の高圧側で約68bar(6,800,000Pa)を提供する。膜の産物排出側における現在好ましい13bar(1,300,000Pa)以下の背圧を用いて使用されるとき、膜を隔てた55bar(約800psi)以上の圧力差が生じる。より高い、または、より低い塩分の水の状況において、これらの深さおよび圧力値は変動し得る。いずれにしても、吸込口圧力は通常、選択されたSRO動作深さにおける海洋静水圧である。
【0045】
上で説明された好ましい深さおよび圧力値は、より低い、もしくは、より高い差圧、または、より高い、もしくは、より低い膜背圧を可能とする、または必要とする、将来の膜の開発を利用するシステムにおいて変動し得る。そのような開発に対応するための調節によって、開示されるSRO装置にとって好ましい動作深さは増加または減少し得る。多くの膜では、低圧側の圧力は典型的には、深さに応じて明らかに変化することはなく、その結果として、動作の深さの変化は、膜を隔てた差圧を調節し、最適な動作条件を達成するのに十分であり得る。
【0046】
図2における高さH(最低の吸込口から前置フィルタスクリーン104および海底面136の間の鉛直方向の間隔)およびH'(膜モジュール106の生産水排吐出口とポンプ114の吸込口との間の鉛直方向の間隔)は各々、例えば少なくとも約3、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約40、または少なくとも約50mを表し得る。より小さい高さHおよびH'が利用され得る。例えば、高さHは、前置フィルタスクリーン104の吸込口が海底面136の深さに近い、または同一の深さであるように、ゼロの近くまたはゼロまで低減され得る。しかしながら、それを行うと、典型的には、モジュール106に入る海水102の濁り、および、外来物質が前置フィルタスクリーン104を通じてモジュール106内に引き込まれ得る確率が増加する。また、前置フィルタスクリーン104とポンプ114との間の高さH'は、ゼロの近く、ゼロ、または、更にはゼロ未満に低減され得る(すなわち、前置フィルタスクリーン104とモジュール106との間のスクリーン付き取入システム内のハウジングポンプ114によって)。しかしながら、そのような高さH'が低減された実施形態において、ポンプ114および前置フィルタスクリーン104は好ましくは、海底面136の近くに存在し得る濁りを回避するために、海底面136の上の十分な距離に持ち上げられたままである。
【0047】
開示された装置100の深さ、ポンプ114の吸込口の高さH'および直径は望ましくは、ポンプ114の起動および動作時の吸込口側のキャビテーションを回避するのに十分な、少なくとも有効吸込みヘッド(NPSH)またはそれ以上の圧力(すなわち、膜モジュール106とポンプ114の吸込口側との間の透過液導管113および透過液コレクタ112における生産水108の管柱の高さによって生じる圧力)を提供するサイズである。起動および動作中のそのようなキャビテーション回避に関する更なる詳細は、開示が参照によって本明細書に組み込まれる、「SUBMERGED WATER DESALINATION SYSTEM WITH REMOTE PUMP」と題する、本願と同日付で出願された同時係属の国際出願番号(代理人整理番号4924.07WO01)に記載され得る。
【0048】
図2に描写されているように、ポンプ114は、海底面136または海底面上の他の自然もしくは人工構造の上に置かれ、所望される場合は係留され得る。ポンプ114は、所望される場合、例えば海底面が平らでない、または傾いている場所においては、海底面の上に吊り下げられ得る。一実施形態において、ポンプ114は、装置およびポンプに固定された水面下係留線によって、装置100の残り部分の下に吊り下げられる。ポンプ114は、所望される場合、他の位置に配置され得、例えば、沖合の石油またはガスプラットフォーム、沖合の風力発電所支持体、橋脚、または、他の部分的もしくは全体的に水中にある支持構造に固定される。
【0049】
ポンプ114、および、本明細書において言及される他のポンプは、容積式、遠心、および、軸流の原理を含む、様々なフロー方式を使用し得る、ピストン(例えば、アキシアルピストン)、プランジャ、ロータリ(例えば、遠心インペラポンプ、および、リムドリブンシャフトレススラスタ)、および、スクリューポンプを含む、幅広い様々な水中用の単一ステージまたは多ステージポンプから選択され得る。好適なポンプは、脱塩技術の当業者によく知られている様々なソースから入手可能であり、適切な場合において、海中の石油およびガスの採掘、船舶(潜水艦を含む)の位置測定および推進など、他の分野から適合され得る。例示的なポンプの供給元は、Brunvoll, Cat Pumps、Copenhagen Subsea、Enitech、FMC Kongsberg Subsea AS、Fuglesang Subsea AS、Halliburton、Hayward Tyler、Ocean Yacht Systems、Parker、Rolls Royce、Schlumberger、Schottel、Silent Dynamics、Technical Supply & Logistics、Vetus and Voithを含む。いくつかの実施形態において、開示されたポンプは、交換、修理、または再構築のために、水中にある間に、開示される装置から除去できるホットスワップコネクタを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、ポンプ114は、ポンプを駆動する電気モータと、ポンプインペラとの間に1または複数のセンサ、コントロール、または、トルクリミッタカップリング(例えば、磁気クラッチ、液圧トルクコンバータ、それらの組み合わせ、または、他のそのようなデバイス)を含み、それにより、吸込口側のキャビテーション、および、ポンプ動作中のRO膜の付随する応力または他の障害を制限または回避する。そのような動作中のキャビテーション回避に関する更なる詳細は、開示が参照によって本明細書に組み込まれる、「SUBMERGED WATER DESALINATION SYSTEM WITH PRODUCT WATER PUMP CAVITATION PROTECTION」と題する、本願と同日付で出願された同時係属の国際出願番号(代理人整理番号4924.05WO01)に記載され得る。
【0051】
一実施形態において、ポンプ114は、生産水108の少なくとも一部を、ポンプ、ポンプモータ、または、モータとポンプとの間のカップリングの1または複数を通じて誘導される潤滑または冷却流体として使用するために、迂回させる。それにより、海水、液圧流体、または、潤滑もしくは冷却用の、粒子を含む可能性がある他の腐食性もしくは毒性流体を使用する必要を回避しつつ、ポンプの寿命を改善できる。そのような潤滑および冷却のための生産水の使用に関する更なる詳細は、開示が参照によって本明細書に組み込まれる、「SUBMERGED WATER DESALINATION SYSTEM PUMP LUBRICATED WITH PRODUCT WATER」と題する、本願と同日付で出願された同時係属の国際出願番号(代理人整理番号4924.06WO01)に記載され得る。
【0052】
電力および適切な制御シグナル138が、マルチコンダクタケーブル140を通じて、ポンプ114および装置100の他のコンポーネントに供給され得る。供給された電力は、ポンプ114および120を動作させ、必要に応じて、前置フィルタクリーニングブラシシステムなど、装置100における他のコンポーネントを動作させる。望ましい前置フィルタクリーニングブラシの実施形態に関する更なる詳細は、下でより詳細に説明される。
【0053】
十分な深さで動作するとき、装置100におけるRO膜は、圧力容器に格納される必要がなく、代わりに、軽量の支持フレーム、または、好適なプラスチック、繊維補強(例えば、ガラス繊維または炭素繊維補強)プラスチックもしくは他の複合材料、または、様々な他の非補強もしくはエンジニアリングプラスチックからできている腐食耐性金属骨格またはハウジングなど(その選択は脱塩技術における当業者に理解される)、比較的安価で好適に腐食耐性の材料からできている他のハウジングに搭載され得る。圧力容器の必要性を回避することにより、海岸のROユニットを構築するための費用と比較して、装置100を構築するために必要な資本支出(CAPEX)を大幅に低減する。RO膜が個別ユニット(例えば、渦巻き状に巻かれた膜を含むカートリッジ)である場合、圧力容器の回避により、海岸のROユニットにおいて通常利用され得るものより著しく多い数のカートリッジを含み、かつ、通常の個別のスループットより低く個別カートリッジを動作させる並列アレイを使用してモジュール106を経済的に設計することもできる。例えば、カートリッジの数は、陸上ROユニットにおいて通常利用され得るものより、少なくとも10%多い、少なくとも15%多い、少なくとも20%多い、または、少なくとも25%多いことがあり得る。それにより、所望される1日の生産水の量を提供しつつ、個別の膜カートリッジの寿命を延長することに役立ち得る。図1および図2に示される実施形態において、下でより詳細に説明されるように、モジュール106は好ましくは、そのような低い個別のスループットで動作するだけでなく、低減された回収率でも動作する並列の円筒形ROカートリッジの大きいアレイを含む。また、それにより、低減された濃縮液塩分、低減された詰まりの可能性を提供し、好ましい実施形態において、該当する管轄区域において鹹水とみなされない、OTECシステムを冷却するための非常に低温の熱エネルギーポテンシャルを有する大きい体積の濃縮液をもたらす。例えば、透過液ストリーム108は、低い回収率に対応する、鹹水排出ストリーム110より実質的に小さい体積を有するものとして図1において描写される。例示的な回収率は、例えば、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、8%以下、または、6%以下であり得、例えば、3%未満、少なくとも3%、少なくとも4%、または少なくとも5%であり得る。選択された回収率は、選択されたRO膜、ならびに、SRO装置が動作する深さおよび該当する管轄区域を含む要因に依存する。選択された回収率はまた、ポンプのサイズおよびエネルギー費用に影響する。例として、8%の回収率で平均34,000ppmの塩分を有する海水を処理するためにDow FILMTEC膜カートリッジを利用するSROの実施形態では、吸込口海水ストリームの約8%は、500ppm未満の塩分を有する生産水に変換され、吸込口海水ストリームの約92%は、約37,000ppmの塩分を有する低圧または非加圧鹹水ストリームに変換される。更なる例として、約500mの深さおよび5%の回収率で動作するNitto Hydranautics膜カートリッジを利用するSRO装置は、California Water Quality Control Planの現在のバージョンにおいて鹹水とみなされない濃縮液を生成するために使用され得る。
【0054】
好ましい一実施形態において、開示されたSRO装置は、少なくとも約350mの深さで動作し、RO膜吸込口側で海水ポンプを利用せず、RO膜の吐出口側で生産水(淡水)ポンプを利用して、膜を隔てて少なくとも27bar(2,700,000Pa)、より好ましくは、少なくとも30または35bar(3,000,000または3,500,000Pa)の圧力差を維持し、海洋の静水圧が生産水をそのような膜に押し流す、または、押し流すのを大いに助けることを可能にする。そのような構成の利点は、吸込口ではなく膜の吐出口に位置するとき、ポンプが遥かに低いエネルギーを必要とすること、および、膜を格納する任意の圧力容器が回避されること、または、その要件が遥かに低くなることを含む。必要な圧力差が低い膜の使用により、より浅い深さでの、または、より小さいポンプを使用する動作が可能となる。現在好ましいそのような膜は、Nitto Hydranautics SWC6-LD膜(40bar(4,000,000Pa)の差圧)およびLG Chem LG-SW-400-ES膜(38bar(3,800,000Pa)の差圧)を含む。
【0055】
開示される装置におけるポンプは、様々な手段で電力を供給され得る。ここで図3を参照すると、閉サイクルOTECユニット300は、海面レベル124の下に位置する水中プラットフォーム304の上または中に搭載される、再循環するRankineサイクル熱交換および発電機システム302を利用して、風および波の作用からの望ましい保護を提供する。プラットフォーム304は、アンカー308に固定されたカテナリ係留線306を使用して海底面136に固定され得る。そうでない場合、プラットフォーム304は、所望される場合、例えば、沖合の石油またはガスプラットフォーム、沖合の風力発電所支持体、橋脚、または、他の部分的もしくは全体的に水中にある支持構造の位置に固定され得る。低温の液体ストリーム310は、ライザ316の上端に位置する上の濃縮液ポンプ318によってシステム302に導入される。ストリーム310は、所望される場合、濃縮液または鹹水110だけを含み得、好ましくは、リングフロート322の下のライザ316の露出された下側開放端320に入る低温海水102によって希釈される。それにより、望ましくは、塩分を減少させ、ストリーム310の低温熱エネルギーポテンシャルを増加させる。高温液体ストリーム312は、プラットフォーム304の近くの浅い深さの海水から取得され、OTEC高温海水ポンプ313によってシステム302内に汲み上げられる。高温液体ストリーム312は、海洋生物の巻き込みおよび生物付着を低減するために、スクリーニング、フィルタリング、または、そうでない場合、(例えば殺生物剤を用いて)前処理され得る。選択された場所において利用可能であり得る別の実施形態において、高温液体ストリーム312は、海中の熱水噴出孔からの出力を捕捉することによって取得される。
【0056】
システム302は、低温液体ストリーム310と高温液体ストリーム312との間の温度差から抽出された熱エネルギーを利用して、開示されたSRO装置における電動コンポーネントの動作のための電力を提供する。そのような熱エネルギーの利用に続き、ストリーム310および312は、別個に排出され得るが、図3に示される実施形態において、好ましくは混合され、広域散布ストリーム314を形成する。それにより、ストリーム314の塩分を更に低減することに役立つ。
【0057】
所望される場合、開サイクルOTECシステムが閉サイクルOTECシステムの代わりに使用され得る。開サイクルシステムにおいて、高温の海水は、好適な蒸発器を使用して蒸気に変換される。蒸気は、低温の濃縮液または鹹水ストリームによって淡水に凝縮される前にタービンを駆動する。凝縮された淡水は、オーシャンウェルからの生産水と組み合わされて、追加の淡水生産を提供し得る。開サイクルシステムは、循環する作動流体および関連する循環ポンプの必要性を回避する。また、蒸発プロセスは通常、生物付着を防止するのに十分なので、一般に、システムの高温水側でスクリーン濾過または殺生物剤を利用する必要がない。開サイクルおよび閉サイクルシステムの両方の特徴を組み合わせるハイブリッドサイクルOTECシステムも利用され得る。しかしながら、一般的には、閉サイクルOTECシステムは大部分の適用にとって好ましい。
【0058】
図4は、開示された閉サイクルOTECシステム302の概略図を示す。低温ストリーム310および高温ストリーム312はそれぞれ、OTEC作動流体ポンプ408によって循環されるアンモニアまたは炭化水素化合物などの揮発性循環作動流体406を反復的に(凝縮器402において)液化し(蒸発器404において)揮発させるためにシステム302によって使用される。高温ストリーム312および低温ストリーム310は好ましくは、システム302への到着時に測定されるとき、少なくとも18℃、少なくとも20℃、少なくとも22℃、少なくとも24℃または少なくとも26℃の温度差を有する。現在の海洋温度状態に基づき、そのような好ましい温度差は一般に、赤道の北の北回帰線と南の南回帰線との間の沖合の場所に見られる。いくらか低減された温度差は、数的により高い北緯または南緯において、ならびに、アフリカおよび南アメリカのすぐ西にある熱帯緯度沖合領域において見られ得る。
【0059】
低温ストリーム310および高温ストリーム312の異なる熱エネルギーポテンシャルは、作動流体406が、凝縮器402、作動流体ポンプ408、および蒸発器404を循環しなら、反復的に気相から液体へ変化し、また気相に戻ることを可能にし、気化によって生じる体積膨張は、タービン410およびそれに連結された発電機412を駆動するように機能する。発電機412からの電気出力416の一部は、ポンプ408を駆動するために使用され得る。電気出力416の別の部分は、図3に示される電気ケーブル324および326を介して供給される電力を使用して、ポンプ114および120をそれぞれ駆動するために使用され得る。電気出力416の別の部分は、ポンプ313および318などの他の水中ポンプを駆動するために使用され得る。任意の残りの電気出力は、SRO装置を動作させ、監視し、または維持することに関連する他の目的に使用され得る、または、外部で(例えば陸上で)使用され得る。
【0060】
再び図3を参照すると、ポンプ120および318は、ライザ316の露出した下側開放端320への低温海水102の流入および混合、ならびに、希釈された低温の濃縮液または鹹水ストリーム310の形成を促進する。ストリーム310は一般に、濃縮液または鹹水110と比較して、塩分が低減されているので、海洋生物に対する潜在的な危険性が低減されている。ストリーム310はまた、OTECシステムを冷却するためにSRO生産水ストリームが代わりに利用される場合に利用可能であるものと比較して、実質的に大きい体積および実質的に大きい低温熱エネルギーポテンシャル(例えば、Dow FILMTEC膜に基づく上記のSRO装置の場合、約11.5倍の体積および約11.5倍の低温熱エネルギーポテンシャル)を有する。従って、OTEC冷却のために低温の鹹水または濃縮液ストリームを使用する(特に、低温海水で更に希釈される低い回収率の濃縮液ストリームを使用する)ことにより、OTEC冷却のために低温の生産水を使用するROシステムと比較して、全体的なOTECエネルギー効率の著しい改善を提供できる。また、それにより、CAPEX要件および運用の支出の両方を低減するのに役立つことができる。特に、RO膜が、海岸システムにおいて使用され得るものより意図的に低い回収率で動作しているとき、濃縮液体積は、生産水の体積と比較して、非常に大きくなり得る(例えば、5~10%の回収で、透過液体積の最大10~20倍)。それにより、OTECシステム302を介して、有用なエネルギーの抽出を大幅に促進する。好ましい実施形態において、開示されるオーシャンウェル+OTECシステムは、その結果として、100%自己駆動海水脱塩システム、および、様々な使用のための余剰電力の両方を提供するために最適化されることができる。例えば、システム302は、警告ビーコン、監視機器、テレメトリデバイス、ROV、および、開示されるSRO装置において、またはそれと共に使用される他の電気デバイスを動作させるために余剰の電力を提供するサイズであり得る。追加の好ましい実施形態において、システム302は、民間または公共の陸上での使用のための好適なケーブルを介して、他の近くのSROユニットにおいて使用するための、または、陸上送出のために更なる追加の電力を提供するサイズである。
【0061】
OTEC電力生成を、希釈濃縮液の使用および排出と組み合わせることにより、特に重要な目標を達成する。それには、(1)海面124に、または、その近くに位置するOTECシステムへ濃縮液または鹹水110を輸送することにより、濃縮液または鹹水110が、開示されるSRO装置海水取入口および海底面136の両方から遠く離れて移動すること(塩分の蓄積は、脱塩プロセスおよび底生環境にとってそれぞれ有害である)、および、(2)低温海水102および高温海水312を濃縮液または鹹水110と混合することにより、濃縮液または鹹水110を無視できる上昇塩分レベルまで希釈でき、その結果、散布ストリーム314は、管轄区域に応じて、「鹹水」に分類されないことが含まれ得る。いずれにしても、ストリーム314は、環境の脅威を減らす、または無くすために制御され得る。所望される場合、散布ストリーム314はまた、または代わりに、上記の国際出願WO2018/148542A1(Bergstrom)において説明されるエアリフトポンプを使用して、システム302から汲み上げられ得る。それを行うことにより、散布ストリームに酸素を追加することに役立つことができ、それにより、近くの海水の酸素追加の増加、および、低酸素の低減を促進する。
【0062】
また、図3に描写されるように、ライザ316は好ましくは、一般に、円錐形状を有し、ライザ122の頂部に近接した狭い下端およびプラットフォーム304の基部に近接した幅広い上端を有する。この形状は、装置100およびプラットフォーム304の互いに対する横方向または他の動きによって生じ得るライザ316の曲げまたは他の閉塞にもかかわらず、ライザ316を通る水流経路のサイズ調整可能な直径を維持するのに役立つ。開示される概して円錐の形状はまた、プラットフォーム304(もっとも横方向の動きがあり得る)の近くのパイプ摩擦を低減するのに役立つことができ、そのような動きから生じ得るライザ316全体にわたる材料応力分布を低減するのに役立つことができる。ライザ316は剛性または柔軟であり得、絶縁または非絶縁海水耐性ファブリック、テキスタイル、高分子、または複合材料を含む様々な材料からできていることがあり得る。ライザ316は好ましくは、柔軟かつ絶縁され、より好ましくは、絶縁され、透過できないように被覆された柔軟なテキスタイルラミネートからできている。一実施形態において、ライザ316はまた、ライザ122に対してスライド可能に搭載され、それにより、(例えば、係留線306によって加えられる保持力にもかかわらず、波によって生じ得る)プラットフォーム304の鉛直方向の動きを補償する。
【0063】
追加の実施形態(図3において不図示)において、システム300は、好適に大きい浮遊またはそうでない場合恒久的もしくは一時的に露出した太陽光吸収熱交換器、または、色、テクスチャ、および形状が、同一の面積を占有する海水によって吸収されるものより大きい太陽光エネルギーを吸収するように調整されたソーラーポンドなど、1または複数の追加のデバイスを利用して、高温側ストリーム312の取入温度を増加させ得る。
【0064】
図3に示される実施形態の代替として、OTECユニット300は、所望される場合、海面124に、またはその上に位置する、浮遊または固定の露出したプラットフォーム上に配置され得る。例えば図5に示されるように、海面プラットフォーム500は、上記のように固定され得る、または、そうでない場合、海面に維持され得る。いくつかの実施形態において、プラットフォーム500の深さは、変化する波の高さ、潮汐、または、予測される海面の変化に対応するために、必要に応じて調節され得る。プラットフォーム500上の移動する、または、交換可能な他の部分は主に、人の運転者によって容易に届く深さ、例えば、約100メートル未満、約60メートル未満、約50メートル未満、または、約30メートル未満などの深さに位置することが望ましい。水面下(すなわち、潮汐)タービン502、他の従来のタービン(図5には不図示)、波エネルギー発電機504、ソーラーパネル506、または、風力タービン発電機508などのプラットフォーム500上の1または複数の補助または代替的な電源は、OTECユニット300を動作させるために使用され得、もしくは、動作させることを助け得、または、開示されるSRO装置において水中ポンプおよび他の電気コンポーネントを独立に動作させるために使用され得る。好適な水面下タービンは、Nova Innovationから入手可能であるものを含む。好適な波エネルギー発電機は、CalWave Power Technologies, Inc.から入手可能なものを含む。好適なソーラーパネルは、Kyocera Corporationから入手可能なものなど、プラットフォーム搭載型設計および浮遊設計の両方を含む。好適な風力タービン発電機は、Principle Power, Inc.から入手可能なものを含む。
【0065】
装置100は、所望される場合、代わりに、または、追加的に、従来のプラットフォーム搭載、船舶搭載、または、陸上の電力源、例えば陸上の発電所から電力を供給され得る。それを行うことにより、図3から図5に開示される電源システムを使用するときより大きい炭素排出をもたらし得るが、開示されるOTECシステムおよびプラットフォーム500上の開示される補助または代替的な電源が、十分な電力を提供することが可能でない、または、そのような電力が必要であり得るときのすべての時間または季節にそれを行うことが可能でない場合において、望ましいことがあり得る。
【0066】
図5にも示されるように、排出導管510は、周りの水への放出のために、OTECシステムから遠くへ、開示のOTECシステムを出る濃縮液または鹹水を輸送するために使用され得る。そのような輸送の全体的な方向は、OTECシステムに対して、水平方向、上方向、または、(図5に示されるように)下方向であり得る。好ましい実施形態において、導管510からの廃液は、これらのそれぞれのストリームがOTECシステムを通過し、それらの所望の熱エネルギーポテンシャルが抽出された後に、開示された低温濃縮液または鹹水ストリームを高温の水ストリームと組み合わせることによって作られた、塩分が低減された混合廃液である。更なる好ましい実施形態において、導管510における廃液の著しい部分(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%)は、導管510の末端に沿って整列された一連の側面開口512を介して導管を出て、残りの廃液は、端部開口514を介して出る。更なる好ましい実施形態において、導管510からの廃液は、周りの海水密度が廃液(例えば、混合された廃液)を超える深さで水柱に排出され、それにより、より浅い深さでの排出と比較して、二酸化炭素の大気への放出を低減する。
【0067】
【0068】
図6を参照すると、ポータブル沖合脱塩システム(「ポッド」)600のアレイを含む「ウォータファーム」は、透視図で示される。生産水は、モジュール600から導管602を通じて下方向に、ポンプ604を通じて中央に位置するハブ606へ水平方向に流れ、次に、送出導管608を通じて海面に向かって汲み上げられる。濃縮液または鹹水は、ポッド600から遠くにおける散布のために、または、上で説明されるようなOTECシステムにおける使用のために、導管610を通じて上方向に、海流内へ汲み上げられる。導管610は、所望される場合、互いに分離されたままであり得るか、共に束ねられ得るか、または、単一のより大きい直径の導管に連結され得、所望される場合、個別ポッド600の切断、メンテナンス、または交換を促進するために、ホットスワップ水コネクタ(図6において不図示)を装備し得る。
【0069】
図6に描写されるように、4つのポッド600が利用される。しかしながら、所望される場合、より少ない、または、より多い数のポッド、例えば2、3、5、6、7、8、10、20またはそれ以上のポッドが使用され得る。複数の連結されたポッドを使用することにより、冗長性を提供し、初期の、または増加する水の必要性を満たすために、開示されたSRO装置の容易なスケールアップを可能にする。開示された装置の動作およびメンテナンスは、各導管602とその関連するポンプ604との間、または、各ポンプ604とハブ606との間に、または、各ポンプ604の吸込口端および吐出口端の両方に、複数のホットスワップ水コネクタ(図6において不図示)を提供することによって促進され得る。開示される装置のスケールアップは、ハブ606、または、追加のポッドもしくはウォータファームアレイを後日に送出導管608に接続することを可能にする別の便利な位置に、1または複数の追加のホットスワップ水コネクタ(図6において不図示)を提供することによって促進され得る。例えば、図6に示される個別のポッド600が各々、1日あたり500万ガロンの生産水容量を有する場合、および、5個の追加のホットスワップコネクタがハブ606に含まれる場合、図6のウォータファームは、最初に設置されたとき、1日あたり2000万ガロンの生産水を提供し得、最大で5個の追加の同様のサイズのポッド600が、1日あたり500万ガロンの増分で追加され得、1日あたり合計で最大4500万ガロンの生産水を提供する。別の実施形態において、複数のそのようなアレイは、互いの近くに設置され得、図6に示される、1日あたり2000万ガロンのアレイの複数のインスタンスを提供し、それにより、個別コンポーネントについての増加した容量、冗長性、および、スケールの多様性を提供する。更に別の実施形態において、ポッドは、図6に描写されるように共にグループ化されず、むしろ、例えば、海底面の風景の地形上の変化、係留線の位置、または、他の海中の特徴に対応するために、海底面にわたって隔てられる。
【0070】
図7Aは、フード118の下に搭載された、開示される水中RO膜モジュール106の多角形アレイ700の下側透視図を示す。前置フィルタシステム104は除去され、多角形(すなわち、十二角形)アレイ700における12個のモジュール106のうち4個は、図7Aにおいて番号が付され(モジュール106A、106B、106Kおよび106L)、残りの8個のモジュールは番号が付されていない。モジュール106は概して、中心に位置する生産水(すなわち透過液)コレクタ112および生産水収集導管113に向かって収斂するテーパ状のモジュール側面を有する。モジュール106は、コレクタ112に搭載されたホットスワップ生産水バルブ706を介して、コレクタ112および導管113と流体連通する。アレイ700および導管113に連結された12個のバルブのうち3個は、図7Aにおいて番号が付され(バルブ706A、706Bおよび706K)、残りの9個のバルブは番号が付されない。各モジュール106上の収斂する側面(そのうち2つは、側面702Cおよび側面704Cと番号が付される)は、ホットスワップ生産水バルブ706に対する、取り外されたモジュール106の水面下でのドッキングおよび再取り付けを補助する。モジュール106上の中心レール(その1つは、レール703Cの番号が付される)は、モジュール106のために更なる支持を提供する。モジュール106が動作しているとき、生産水は、透過液コレクタ112および透過液導管113を通じて下方向に流され、図2におけるポンプ114などのポンプによって運び去られる。
【0071】
開示されるホットスワップ生産水バルブおよび関連するコンポーネントは、液圧流体を扱うために海中の石油およびガス機器において使用されるものなどの、いわゆる「ホットスタブ」逆止弁およびレセプタクルを含む様々な設計を利用し得る。好適なそのようなバルブおよびレセプタクルは、Blue Logic、FES Subsea Engineering Products、James Fisher Offshore、Oceaneering and Total Marine TechnologyおよびUnitechを含む様々な供給元から入手可能である。例として、OceaneeringからのM5 ROV Flyable Full Bore Connectorは、1つの有用なそのようなホットスタブバルブおよびレセプタクルの組み合わせを表す。ホットスタブデバイスは典型的には、海中の石油およびガス産業において使用するために設計され、著しい圧力の硫化水素および他の腐食性成分の扱いに耐える必要があるので、それらはディレーティングされ得、それらの設計は、非腐食性、または、腐食性が低い流体を扱うために使用され、かつ、開示されるSRO装置に遥かに低い圧力が存在するとき、簡潔になり、あまり高価でなくなり得る。
【0072】
図7Bは、アレイ700およびそのモジュール106が無い、図7Aの開示されたSRO装置の下側透視図を示す。フード118は、傾斜支柱708、クロスバー710A、710Bおよび710C、下部周縁サポート712、下部放射状レール714、下部内側アンカーリング716、および、フード118とライザ122との連結点に位置する上部内側アンカーリング(図7Bにおいて不図示)によって形成される支持枠組みを含む。開示される枠組みはまた、好ましくは、開示されるモジュールおよびアレイを受け、捕捉し、および支持する。各周縁サポート712は、下でより詳細に説明される、各モジュール106の頂部のハンガを捕捉するスロット型受け開口718を含む。開示される枠組みは、例えば、絶縁または非絶縁の海水耐性テキスタイル、プラスチック、または金属被覆材料からできていることがあり得る、上にある、非透過性の保護フードカバー128を支持する。好ましい実施形態において、フードカバー128の内側側面720は、例えば、エンジニアリングシンタクチックフォームなど、浮力を付与する材料からできている。フードカバー128は好ましくは、フードの内部を透過液から隔離しながら、フードによって収集された内部の濃縮液または鹹水と、外部環境との間のわずかな圧力差(例えば、最大50psi、またはその前後)を維持するのに役立つ保護カバーを提供する。陥凹722および生産水バルブカップリング724は、リング716のすぐ下の、導管113の頂部の近くに見られ得る。レール714、開口718、および、陥凹722は、アレイ700が設置されるときにモジュール106を誘導、支持および配置するのに役立ち、カップリング724は、モジュール106のホットスワップ取り付けおよび取り外しを補助する。所望される場合、腐食耐性磁石または電磁石は、アレイ700および装置100内の場所における、モジュール106の誘導、保持、または、誘導および保持の両方を行うために使用され得る。
【0073】
図7Cは、前置フィルタ104が設置された、図7Aの開示されるSRO装置の下側の透視図を示す。図7Cに示される実施形態において、各前置フィルタ104は、概して三角形形状を有し、下部搭載リング730の近くでピボットポイント728上に搭載される振動ブラシアーム726によって、周期的にごみを掃除される。ブラシアーム726は反復的に(例えば、断続的、周期的、または連続的に、予め定められた時間、1または複数のセンサからのシグナル、または、外部から供給される制御シグナルに基づいて)、中心支柱732に向かって、各前置フィルタ104の吸込口面を横断して掃除し、次に停止し、図7Cに示される位置に戻る、または、別の掃除の動きを開始する。クロスバー734は、各前置フィルタ104を補強および支持することに役立ち、誘導レール支持ブラシアーム726として機能し得る。別の実施形態において、組み立てられた前置フィルタは、概して全体的に円錐形状である曲がった表面、および、前置フィルタの上を掃除する、または、その周りを回転するよう構成されるブラシアームを有し得る。
【0074】
図8Aおよび図8Bは、有孔の概して三角形の隔離プレート806における開口804において吊り下げられシールされた複数のRO膜カートリッジ802を示すモジュール106の上側の透視図である。描写されるように、カートリッジ802は概して円筒形であるが、所望される場合、他の形状を有し得る。また、描写されるように、モジュール106は、142個のカートリッジを含むが、所望される場合、他のより大きい、または小さい数のカートリッジ、例えば、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100個のカートリッジ、および最大200、最大190、最大180、最大170、最大160、最大150、または最大140個のカートリッジが各モジュールにおいて利用され得る。また、描写されるように、すべてのカートリッジは概して平行であり、単一の層にあり、単一の平面を占有する。それにより、開示された装置を通る効率的な流れを促進する。しかしながら、所望される場合、モジュールにおけるカートリッジは概して互いに平行である必要がなく、また、所望される場合、カートリッジの複数の層がモジュールにおいて利用され得る。
【0075】
各モジュールにおいて、開示されるSRO装置は、上記の140のHydranauticsカートリッジを使用して、5%の回収率で動作する12個のそのようなモジュールから、1日あたり約500万ガロンを生成し得る。カートリッジが使用され得る他のRO膜の供給元は、脱塩技術における当業者に明らかであり、Aquatech International、Axeon Water Technologies、DuPont Water Solutions (makers of the above-mentioned DOW FILMTEC cartridges)、Evoqua Water Technologies、GE Water and Process Technologies、Koch Membrane Systems、Inc.およびLG Chemを含む。所望される場合、特徴が変更された(例えば、層間のより広い間隔、修正されたスペーサ、より緩い膜ロール、修正されたハウジング、または、修正された端)カスタマイズされたカートリッジが利用され得る。
【0076】
描写されるように、モジュール106がアレイ700に設置されて使用されるとき、カートリッジ802は、実質的に鉛直方向に整列され、各カートリッジ802における濃縮液または鹹水の端吐出口804は、フード118に向かって上方向を向き、生産水排吐出口(図8Cに関連して下で説明される)は、下方向を向く。しかしながら、他の向き、および、それに伴う流れの方向が利用され得、例えば、吐出口804は、下方向、水平方向、または斜め方向を向き、生産水排吐出口は、上方向、水平方向、または斜めを向く。
【0077】
特定の実施形態において、カートリッジ802は、有孔隔離プレート806における穴にカートリッジを接着的に結合およびシールすることによって、開示されるモジュール106に搭載される。図8Aおよび図8Bにおいて描写される実施形態において、接着剤結合は、濃縮液または鹹水吐出口804の近くのカートリッジ802の上端にあり得る。しかしながら、図8Gに描写されるように、1より多くの隔離プレート806が利用され得、隔離プレート、および、隔離プレート806における孔842内にカートリッジ802を結合およびシールする接着剤840は、カートリッジ802の長さに沿ったいずれかの端、または両方の端、またはどこかに位置し得る。図8Gはまた、上で説明されたように、接着剤840を使用して、マニホールド828を透過液吐出口827に結合することを示す。図8Fに示されるように、より大きい浮力(および望ましくは、意図される動作深さにおける中立浮力)を提供するために、カートリッジ802間の空間は、望ましくは、海水より小さい密度を有する好適な浮力媒体850で満たされる、または、少なくとも部分的に満たされる。そのような好ましい媒体は、Engineered Syntactic Systemsを含む供給元から入手可能なエンジニアリングシンタクチックフォームである。媒体850は、カートリッジ802の設置前にモジュール106内に挿入される、事前に成形された有孔スラブとして、または、カートリッジがモジュール106に追加された後に(例えば、噴射、または、他の形態の注入によって)カートリッジ間の空間に配置され得る、現場で硬化する材料として、カートリッジ802の設置の前または後に、モジュール106内に挿入され得る形成されたブロックの形態で提供され得る。実施形態において、接着剤840のビードは省略され得、媒体850は代わりに、カートリッジ802を隔離プレート806における孔842内に結合およびシールする接着剤として機能し得る。媒体850の使用は、開示されるアレイの位置から除去されるとき、または、その中に運ばれるとき、特に、そのような除去および設置が、モジュール106の外側縁部を把持するROVを使用して行われるとき、各モジュール106の質量のカンチレバー効果を低減することによって、モジュール106の水面下の除去および設置を著しく補助できる。
【0078】
有孔隔離プレート806は、様々な形状、例えば、概して三角形の外周、または、概して台形の外周など、概して多角形の外周を有し得る。プレート806、および、カートリッジ802を支持し包む(すなわち、そのフレームを提供する)、モジュール106における残りのコンポーネントは、ステンレス鋼またはチタンなどの腐食耐性金属、繊維強化ポリマー、または、充填複合材料を含む様々な材料からできていることがあり得る。好ましくは、そのような材料の混合物が利用され、より低い密度の成分は、全体的なモジュールの重量を低減するために、適切な位置において使用され、より高い強度またはより高い耐久性を有する材料は、そのような強度または耐久性が必要とされ得るモジュール内の他の適切な位置において使用される。隔離プレート806およびモジュール106における残りのコンポーネントは、所望される場合、生物付着に耐えるために、表面処理され得、また、接着剤840による改善された接着を必要とし得る位置における関連する表面積を増加させるために表面処理され得る。
【0079】
モジュールにおけるカートリッジを結合およびシールするために様々な接着剤が使用され得る。接着剤の例には、上記のエンジニアリングシンタクチックフォーム、ならびに、エポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル、シリコーン、およびフッ化樹脂が含まれる。好ましい一実施形態において、接着剤は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびジグリシジルエーテルを実質的に含まない、または、完全に含まない。別の好ましい実施形態において、カートリッジと隔離プレートとの間にガスケット、Oリング、または、他のプリフォームシールは無く、接着剤は、モジュール106にカートリッジ802を保持するために、主にまたは独占的に利用される。好適な接着剤は、水面の下で使用するのに好適な船舶用接着剤またはシーラントに分類されるものを含み、Dow Chemical Company、Loctite、Sikaおよび3Mを含む様々な供給元から入手可能である。更なる好ましい実施形態において、カートリッジは、圧力容器に格納されない。
【0080】
カートリッジ802の1または複数の交換のために、開示されるアレイからモジュール106が除去されるとき、いくつかの場合において、特定のカートリッジだけを除去および交換することが望ましいことがあり得、他の場合において、それらのすべてを除去および交換することがもっとも経済的である。除去は典型的には、関連するカートリッジ802が隔離プレート806から取り出され得るように、影響を受ける接着剤結合部を剥離する必要がある。選択された接着剤に依存して、剥離は、様々な技法を使用して実行され得る。例示的な技法は、接着剤、または、カートリッジおよび隔離プレートへのその結合を溶解する、破砕する、柔らかくして溶かす、または、そうでない場合、弱くする、もしくは劣化させるための、化学的剥離(例えば、溶剤、加水分解または他の手段を使用する)、極低温剥離(例えば、液体窒素を使用する)、電気的剥離(例えば、アーク溶接機または他の電源からの電流を使用して、接着剤における導電性充填剤を加熱する)、または、熱剥離(例えば、炎または他の熱源を使用する)を含む。接着剤結合が十分に弱くなる、または劣化すると、カートリッジは、モジュールからの除去のために、押され、引っ張られ、捻じられ、または、それらの組み合わせを受けることがあり得る。
【0081】
開示された接着剤の使用は、多くの利点を提供する。水分離膜カートリッジは通常、ガスケットまたはOリングを使用して、水脱塩装置における他のコンポーネントにシールされる。ガスケットおよびOリングは、特に、ガスケットまたはOリングが、低温の水面下の温度に晒されたときに生じる著しい圧縮を受ける場合、潜在的なアレイ漏洩ポイントを表す。膜カートリッジを有孔隔離プレートに接着的に結合することにより、組み立てられたモジュールのビーム強度および剛性を増加させる一方で、この潜在的な漏洩ポイントを排除する。
【0082】
再び図7Bおよび図8Aを参照すると、フード118の下側縁部は好ましくは、モジュール106の上側縁部と重複し、それに対するガスケット接続を有し、またはそうでない場合、シールによって係合し、それにより、収集された濃縮液または鹹水を、塩水包含モジュール100から隔離する。隔離プレート806は望ましくは、その外周の周りで、収斂する側面プレート702および704、外側端プレート812、および、内側端プレート814に固定およびシールされ、それにより、収集された濃縮液または鹹水を周りの塩水から更に隔離する。
【0083】
図8Aから図8Cに描写されるように、吊り下げフック816および818は、モジュール106の外側縁部の頂部および近くに固定され、モジュール106の内側縁部を向く。フック816および818は、図7Bに示されるスロット付きの受け開口718と係合し、モジュール106がアレイ700における利用可能な開いた空間に押し込まれるときに適切な位置へモジュール106を支持し誘導することに役立つ。誘導レール820および822は、モジュール106をアレイ700に挿入する間に、フード118の下の放射状レール714と係合する。概してくさび状の突出タング(tang)824はまた、モジュール106をアレイ700内へ誘導し適切に位置に固定することに役立ち、ホットスワップ可能な生産水バルブ706を透過液コレクタ112に適切に接続することを確実にするのに役立つ。そのような接続が完了すると、ホットスワップバルブ706が開き、生産水が透過液コレクタ112および透過液導管113に流れることを可能にする。
【0084】
図8C図8D、および図8Eは、モジュール106の下側の透視図である。各カートリッジ802の下端における円形の塩水吸込口826は、塩水がカートリッジ802に入ることを可能にする。脱塩された生産水は、典型的には、カートリッジマニホールド828、分岐マニホールド830A~830I(アレイ中心線の各側に2以上のカートリッジを含む、開示されたカートリッジアレイにおける、描写された9行)、および、アレイ中心線の各側に位置する、放射状に延在する生産水収集マニホールド832のペアを介して、各カートリッジ802の中央に位置する吐出口827から出る。内側端プレート814の近くのアレイ中心線の各側に位置する3つの単一カートリッジ802は、個別のカートリッジマニホールド828によって生産水収集マニホールド832に直接連結される。
【0085】
図7Cに示される前置フィルタスクリーン104、側面702、704、812および814、および、有孔隔離プレート806の下側は協働して、塩水包含モジュール100から前置フィルタスクリーン104を通って通過するフィルタリングされた水を隔離して、カートリッジ802を囲むモジュール106の内部部分が、スクリーン104を通過したフィルタリングされた水だけを含むことを確実にする。
【0086】
図7A図8Eに描写される実施形態において、モジュール106は、おおよそくさび状または台形の形状の断面を有し、側面702および704は、透過液コレクタ112、および、開示されたSRO装置の鉛直中心軸に向かって細くなる、または収斂する。開示されるモジュールは、任意の所望のサイズであり得、好ましい実施形態において、例えば、約5~8メートル長×約4~5m幅×約0.5~1.5m厚であり、下でより詳細に説明されるような標準の輸送コンテナにおけるモジュールの効率的な梱包を促進する形状および寸法を有し得る。開示されたモジュールは、好ましくは、意図される動作深さにおける中立浮力を有する。
【0087】
図9に描写される実施形態において、12のモジュールが示され、組み立てられた形態において、描写されるモジュールは、平面視において十二角形の外周を有するアレイを提供する。所望される場合、他のモジュール形状、モジュールの数(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、または16)およびアレイ形状(例えば、三角形、正方形、五角形、六角形、十六角形、および、上記のモジュールの数からできている他の多角形、ならびに、円形または他の曲がった形状)が利用され得る。
【0088】
図9に示されるように、欠陥、期限切れ、またはそうでない場合非効率的なモジュールを含むアレイ900のメンテナンスが、そのようなモジュールをアレイから引き抜くことによって実行され得、それにより、引き抜かれたモジュールによって以前占有されていたギャップを残し、引き抜かれたモジュールを新しい、または再構築されたモジュール906Lと交換する。そのような交換は、SRO装置が水中にある間に実行されるので、例えば、低い可視性、海流、または、ROV、もしくはモジュール交換を実行または補助するのに使用され得る他のデバイスの操作の困難性などの潜在的な悪条件にもかかわらず、生産水の出力の中断を最小限に抑えながら、モジュール除去およびモジュール交換の両方の手順が迅速かつ効率的に進行することが望ましい。モジュールメンテナンスは例えば、装置を流れる生産水、濃縮液、または鹹水の流量または塩分、または、装置への水の流れを監視する1または複数のセンサからのシグナルに基づいてスケジューリングまたは実行され得る。そのようなセンサは、個別カートリッジ、個別モジュール、または、アレイ全体を監視し得る。追加的または代替的に、モジュールメンテナンスは、予め設定された、または、調節可能なスケジュール、予測アルゴリズム、改善されたRO膜またはカートリッジの利用可能性、および、本開示を読んだ、脱塩技術の当業者にとって明らかである他の手段に基づき得る。
【0089】
欠陥のある、または機能しないモジュールの除去は、モジュール除去中に開示される装置の残り部分の動作を継続し、周りの塩水から透過液コレクタ112を閉鎖する、およびシールするために、透過液コレクタ112に連結されたままの、開示されるホットスワップバルブ706の部分を利用しながら促進され得る。そのようなバルブ閉鎖は、好適な電気コマンド、機械的スイッチに応じて、または、透過液コレクタ112およびホットスワップバルブ706における分離コンポーネントから離れるモジュール106の外向きの動きに応じて、を含む様々な方式で開始され得る。ホットスワップバルブ706は、従って、望ましくは、モジュール交換中に塩水が透過液コレクタ112に入ることを防止する。脱塩された水が、除去されたモジュール106の生産水排吐出口側に入ることを防止するために、除去されたモジュール106に残るホットスワップバルブ706の部分はまた、任意選択的に、除去の時に閉じられ得る。しかしながら、それを行うことは一般に必要でない。なぜなら、除去されたモジュール106は通常、海面に運ばれ、修理または再構築の手順の一部として淡水で洗浄されるからである。
【0090】
モジュール106の除去により、フィルタリングされていない塩水は、開示されるアレイ700における前置フィルタ104とモジュール106との間の、そうでない場合に通常は隔離されているチャンバに入り得る。しかしながら、典型的には、そのようなフィルタリングされていない水が入ることは、交換モジュールまたは一時的なブランキングプレートをアレイに挿入できるような時間までに、比較的短い期間にわたって発生する。その結果として、著しい有害な量のごみまたは他の固形物質がそのようなチャンバ内に導入される可能性は低い。
【0091】
交換モジュール906Lの挿入中、収斂する側面908および910ならびにハンガ916および918は、隣接するモジュール906Aと906Kとの間の3次元体積における適切な向きおよび位置にモジュール906Lを整列および誘導することを助けることによって、ならびに、ホットスワップバルブボディ920を、透過液コレクタ112に取り付けられたままのバルブボディ706の部分に対して適切に整列および係合するように整列および誘導することを助けることによって、アレイ900に対するモジュール906Lの水面下のドッキングおよび取り付けを補助する。ハンガ916および918は好ましくは、内側を向いたテーパ状の端(すなわち、開示されるアレイの長手方向中心軸を向き、平面視、側面視、または、平面視および側面視の両方においてくさび状の輪郭を有する端)を有する。そのようなテーパ状の端は、開示されるSRO装置内にモジュール906Lをドッキングすることを著しく補助する。モジュール906Lをアレイ900内に挿入する間、ハンガ916および918は、図7Bに示されるスロット付きの受け開口718を入れ、図8Aおよび図8Bに示されるレール820および822のようなレールは、図7Bに示される放射状のレール714と係合する。交換モジュール906の再取り付け時に、バルブボディ706および920によって形成されるホットスワップバルブは次に開いて、開示されるアレイの影響を受ける部分からの生産水収集の回収を可能にし得る。そのようなバルブが開くことは、好適な電気コマンド、機械的スイッチ、ROVによる物理的操作に応じて、または、モジュール906Lならびにバルブボディ706および920の接合の内向きの動きに応じて、などを含む様々な方式で開始され得る。この方式において、個別のモジュール106の除去および検査または交換は、開示のSRO装置をシャットダウンすることなく達成され得、それにより、残りの中断されていないモジュール106からの生産水および濃縮液または鹹水の生産を継続できる。
【0092】
開示されるテーパ状の側面、レール、およびハンガに加えて、開示されるモジュール再取り付け手順は、他の誘導用の特徴またはデバイスを利用することによって補助され得る。例示的なそのような他の特徴またはデバイスは、本開示を読んだ脱塩技術における当業者にとって明らかであり、ガイドレール、または、交換モジュールもしくは隣接するモジュールの側壁上の適切な形状(例えば、円錐またはテーパ状)の係合または受け入れ表面、スナバ、磁石、交換モジュールの上表面または下表面、交換モジュールを受ける枠組みの隣接部分、または、ホットスワップバルブボディ920を含む。そのような他の誘導用の特徴またはデバイスは例えば、開示される交換手順の最初、中間、または、最後のいずれか、または、すべてにおいて、交換モジュールまたは隣接するモジュールに接触し得る。所望される場合、1または複数のガスケットはまた、モジュール106、フード118、または、前置フィルタ104のアセンブリ上で利用され得、モジュール106と、開示されるSRO装置の残りの部分との間のギャップのシールを補助し、いくつかの実施形態において、そのようなガスケットは、モジュール挿入中に補助するための誘導用の特徴を提供し得る。
【0093】
メンテナンス要件は更に、潜在的に交換可能なコンポーネントと開示される装置との間の他の流体または電気的接続のために、特に、摩耗または早期の故障が生じ得るコンポーネントのために、好適なホットスワップコネクタを利用することによって、単純化され得る。そのようなコンポーネントは、例えば、ポンプ、バルブ、取入口スクリーンワイパなど、摩耗する移動コンポーネント、例えば、モータ、センサ、トランスフォーマ、および可変周波数ドライブ(VFD)などの電気コンポーネント、ならびに、例えば取入口スクリーンなどの詰まりやすいコンポーネントを含み得る。望ましくは、そのようなコネクタおよび関連するコンポーネントは、好適なROVを使用して、開示される装置から取り外され、それに再挿入され得る。
【0094】
乾燥物(すなわち、非水中)の輸送および貯蔵は、2つの概して三角形のモジュール(または、モジュールの2つの概して三角形の部分)を互いの隣に、反対方向を向くように配置して、概して長方形の高密度にパックされた輸送または貯蔵パッケージを提供することによって、より空間効率が良く成り得る。図10Aに示されるように、これは例えば、便利に半分に分割できない、モジュール106の主要な中心線の近くの部品(ホットスワップ生産水バルブ706など)を省略し、主要な中心線における、または、その近くのモジュール106の残り部分を分割してモジュラーハーフ(modular halves)1000、1002、および1004を提供することによって実行され得る。モジュラーハーフ1002および1004が、互いの隣に、反対方向を向むように配置されるとき、概して長方形のペア1006を形成する。図10Bおよび図10Cに示されるように、複数(例えば4)のハーフモジュールペア1006は、共に積み重ねられ、8個のハーフモジュールペア1006を含む小型で容易に輸送可能な貨物1008を提供し得る。これは、ハーフモジュールが省略された部品と組み合わされて互いと再結合されるとき、4つの完全なモジュール106に対応する。1または複数のそのようなハーフモジュールペアは、好ましくは、後の配送および輸送のために標準的な海上輸送コンテナに適合し、実質的に満たす(例えば、利用可能なフロアスペース、および、好ましくは、利用可能な内部体積の80%以上を占有する)、または、トラックキャブ1012によって、平床トレーラもしくは他のトレーラ1010上で包含または非包含方式で輸送され得る。代表的な標準の輸送コンテナは、典型的には、約2.4m(8フィート)の幅、約2.6m(8.5フィート)の高さ、および、約3m(10フィート)、6.1m(20フィート)、または12.2m(40フィート)の公称長さを有する。
【0095】
ここで、図11および図12を参照すると、上記の前置フィルタスクリーンは、開示されるSRO装置におけるメンテナンス要件を低減し得る、流入する塩水の前置濾過を提供する。開示されるSRO装置は典型的には、人の手から遠く離れた著しい深さで動作する。その結果として、RO膜の詰まりを回避するために厳重な手段を利用することが望ましい。いくつかの前のSRO脱塩の提案は、深海水は、前置濾過無しの脱塩を可能にするほど十分に清浄であると仮定している。いくつかの実施形態において(例えば、適切な清浄水において、または、詰まりにくい膜を使用するとき)、前処理は完全に省略され得る。しかしながら、例えば700メートルの深さの海水は典型的には、海面の水より非常に清浄であるが、そのような海水は、それにもかかわらず、閉塞または詰まりを防止または克服するためにRO膜の定期的な交換を必要とする十分な混入物を含み得る。開示される前置フィルタは、RO膜の寿命を延長できる1ステージおよび好ましくは2ステージの前置濾過処理を提供する。海岸の近くではなく、深い場所で前処理を実行することによって、致命的な海洋生物の巻き込みの全体的な可能性が低減される。前置フィルタは一方で、海洋生物への害を更に最低限に抑える、または回避しながら、前置フィルタの寿命を更に延長するために、気泡または空気/水のストリームを使用して周期的または連続的に逆流、または、そうでない場合、洗浄され得る。所望される場合、前置フィルタを消毒し、生物付着を抑えるために、塩素またはオゾンが前置フィルタの近くに導入され得る。開示される好ましい深さで利用可能な、比較的清浄な水、および、前置フィルタクリーニング手順を使用することによって、開示されるSRO装置は、そうでない場合に海岸または浅い深さのROに必要であり得る前置フィルタの交換またはRO膜の交換の必要性を著しく低減し得、一方で、付随する資本、運用、不動産、および、エネルギーの要件を低減する。
【0096】
図11および図12はそれぞれ、図7Cに示される前置フィルタスクリーン104と同様であるが同一でない、前置フィルタスクリーンをクリーニングするためのシステムの前置フィルタ吐出口側および前置フィルタ吸込口側の概略図を示す。まず、図11を参照すると、前置フィルタ1100は、外周フランジ1104、クロスピース1106、および中心フランジ1108に搭載され、かつ、それらによって囲まれる複数(図11に描写されるように、10)のスクリーン1102を含む。ピボット軸受1110は、可動クリーニングアーム1112を支持する。好適な電気または液圧エネルギーが、アーム1112に連結されたモータ(図11または図12において不図示)に供給されるとき、アーム1112は、スクリーン1102の出力面にわたって、円弧状に往復して掃除する。アーム1112は、連続的な方式で、または、断続的、定期的、ランダム、または他の間隔で移動し得る。アーム1112を通って供給される、加圧された水または空気は、ごみをスクリーン1102から取り除く水または空気逆流ジェット1114を通る。
【0097】
次に図12を参照すると、アーム1212は、上記のモータによって、スクリーン1102の表面の上を往復して移動される。アーム1212は、吸引ポート1214、および、前置フィルタスクリーン1102上に存在するごみを除去する機械的ブラシ1216を含む。吸引ポート1214はまた、ジェット1114の逆流動作によってスクリーン1102から取り除かれたごみを除去する。一実施形態において、そのようなごみをより良く取り除くために、ブラシ1216は、アームがスクリーン1102にわたって往復して横断するときに、それぞれのアーム1212に対して移動可能(例えば回転可能)である。
【0098】
開示されるSRO脱塩装置は、様々な位置で動作し得る。好ましい一実施形態において、装置は、脱塩水を必要とする人口が多いエリアに近い海溝または凹地(例えば、モントレー海底谷、プエルトリコ海溝、琉球海溝、ハワイ島周辺海域、および、脱塩技術における当業者によく知られている他のアクセス可能な深海の場所)に配備される。SRO吸込口の表面は、海溝の底の深さに配置される必要はなく、むしろ、静水圧を使用して海水を浸透膜に押し流すことができるのに十分な深さにある海溝の壁に沿って配置され得る。
【0099】
適切な深さにおける動作は、アオコ混入の可能性を大幅に低減または排除できる。これは、毒物および閉塞を回避するために、より浅い水取入口を用いる従来の海岸プラントのシャットダウンをもたらし得る。そのような適切な深さにおける動作はまた、海洋生物の損失を最低限に抑える、または無くすことができる。なぜなら、大部分の海の生物は、(最大約200mの深さに対応する水の透明性に依存して)有光層に見られ、従って、より深い深さでは、SRO装置取入口の中へ、または、前置フィルタスクリーンに対して引き込まれないからでる。
【0100】
典型的には上記の推奨されるSROが動作する深さで遭遇する冷給水(例えば、5~10℃の水)は、複数の有用な利点を提供し得る。例えば、給水は、重大な有機および無機混入物を比較的含まない。それは、非常に少ない有機物またはクロロフィルを有し、従って、微生物をほとんど含まず、それでも、開示される圧力および深さに存在するイオンミネラルおよび微量元素からの貴重な栄養を保持している。更なる利点は、灌漑用水および健康上の目的に重要であるホウ素除去に関連して生じる。ホウ素は海水に存在し、陸上ROユニットにおいて使用されるものなどの従来のRO動作温度では、植物の成長を阻害するのに十分なホウ素がRO膜を通過し得る。従来のRO施設における0.5mg/リットルという農業基準までホウ素除去を行うには、第2のRO通過を使用する水の二重処理が必要であり得、従って、資本および運用費用が増加する。しかしながら、逆浸透によるホウ素除去は、高度に温度依存的であり、少ない量のホウ素およびその塩が、より低い温度で膜を通過する。例えば、ホウ酸塩の通過は、給水温度が10℃低減するたびに、数パーセントポイントだけ低減され得る。開示されるSROデバイスを低温の深海水に配置すると、その結果として、二重処理システムに必要なエネルギー、資本、およびメンテナンス費用を節約しながら、ホウ素およびその塩の除去を改善することによって、より高品質の脱塩水を生成することに役立ち得る。また、冷給水により、膜を通過する塩の総量が少なくなり得、規制の要件を満たすために低いレベルのTDSを維持しながら、味の理由から生産水の再ミネラル強化を可能する。加えて、冷給水の使用により、ランゲリア指数で測定したときに、ミネラルの堆積による膜の水あかをほぼ無くすことができる。膜の水あかは、浅い取入口を有する海岸のROユニットにとって問題であり得、システムの効率および寿命を低減する。開示されるSRO装置において、RO膜が動作し得る5~10℃の温度においてCOは平衡である傾向があるので、水あかは最低限に抑えられる。これにより、海岸のROユニットにおいて利用されることが多い水あか防止化学品の必要性を無くし得る。膜の詰まりの別の形態であるバイオフィルム成長はまた、温度依存的であり、より高い温度ではより多くの、より低い温度(開示されるSRO装置の好ましい動作環境)ではより少ないバイオフィルムが形成する。従って、生物学的活性、ひいては生物付着は、光が少なく、酸素が少なく、水の温度が低い領域からの水を使用することに起因して低減される。
【0101】
開示されるSRO装置は、従来のROの場合と比べて、鹹水ストリームにおいて、著しく低い濃度の塩を生成し得る。圧力容器の要件が無くなることにより、直列構成である5~7膜の典型的な海水脱塩業界慣行とは異なり、RO膜が並列に整列することが可能となるからである。並列アレイは、従来のROシステムにおける共通の障害点、すなわち、膜間のOリング相互接続を無くす。並列構成はまた、膜あたりの生産水の生産量を高くすることを可能にし得る。加えて、並列の膜構成により、一連の直列に動作する単一膜と比べて、遥かに塩分が低い濃縮液または鹹水を生成し、そのような濃縮液または鹹水の塩分は、膜回収率を変更することによって容易に調節され得る。より低い鹹水塩分を達成するための開示されるSRO装置の能力は、海洋生物にとって有益であり、濃縮液または鹹水の容易な希釈を可能にする。例えば、約34,250ppmの環境TDSを含む南カリフォルニアの海水を供給され、5%の回収率で動作するとき、開示される装置は、約36,049TDSだけを含む濃縮液を提供し得る。一方、従来の直列構成の陸上ROを使用して生じ得る排出ストリームの塩分においては2倍に近い。36,049ppmのTDS排出ストリームは、環境より1800ppm未満高く、従って、カリフォルニア州の水域についての、環境TDSより2,000ppm上という現在の鹹水排出限界に余裕で収まる。
【0102】
開示された全体的なSRO装置の主な利点は、著しく低減されたエネルギー要件である。従来のRO脱塩におけるエネルギー使用の最大の原因である、プロセス水の人工加圧を低減または排除することができる。開示されるSRO装置を使用して脱塩水を生成するためのエネルギー消費、および、関連する温室効果ガスの生産は、その結果として、著しく低減され得る。関連する資本支出および運用支出も、特に、陸上RO脱塩に必要なものと比較して、著しく低減され得る。開示されるSRO装置のこれら、および他の利点は、従って、以下の1または複数を含み得る。
・電力消費を大幅に低減する。
・所与の量の水を脱塩するための温室効果ガス排出を低減する。
・従来のROにおいて使用される人工高圧環境、ならびに、付随する圧力容器、高圧配管およびフィッティングが不要になる。
・部品を無くすことにより動作およびメンテナンス要件が低減し、特に、高度に加圧された接続が低減する。
・海水腐食に耐性のある高価な合金および他の新規な材料を必要とする精密部品が少なくなる。
・前処理機器およびそれに関連する運用資本および労力を低減する、または無くす。
・局所的な鹹水の排出を低減する。
・更に低い塩分の鹹水排出を伴う、直列ではなく並列の膜構成。
・直径が50%以上小さい、海岸へのパイプライン(生産水だけが陸上へ送られるためであるが、しかしながら、必要な長さが増加する)。
・脱塩水におけるホウ素含有量が低減し、更なる処理が無くても農業にとって好適である。
・望ましくない有機または無機混入物を比較的含まない深海取入水の使用に起因して、微生物の含有量および微生物の詰まりが低減する。
・アオコによって生じる脱塩の停止の可能性が低減する。
・海岸からの可視性または不可視性が低減する。
・陸上の騒音公害が低減する。
・有害な天気事象、火事、テロリズム、または火山噴火に起因する破壊の可能性が低減する。
・必要な陸上の不動産が90%も低減する。
・帯水層を枯渇させることなく、持続的な淡水供給を提供し得る「オーシャンウェル」としての配備に好適である。
【0103】
このように記載された本発明の好ましい実施形態から、当業者であれば、本明細書において見られる教示は、本明細書に添付された特許請求の範囲の更に他の実施形態に適用され得ることを容易に理解するであろう。すべての特許、特許文書、および公報の完全な開示は、個別に組み込まれた場合と同じように、参照によって本明細書に組み込まれる。
[他の考えられる項目]
(項目1)
生産水収集導管の周りに整列された、概して放射状に延在するホットスワップ可能水分離膜モジュールのアレイを備える水中用水脱塩装置であって、複数のホットスワップ生産水バルブが前記導管に連結され、前記モジュールにおける複数の水分離膜カートリッジに流体連通する、概して放射状に延在する生産水収集マニホールドに着脱可能に連結され、前記モジュールは、前記導管に向かって収斂し、かつ、ホットスワップ生産水バルブに対する交換モジュールの水面下でのドッキングおよび取り付けを補助する、断面において概してテーパ状のモジュール側面を有する、水中用水脱塩装置。
(項目2)
水中の水脱塩装置を維持するための方法であって、
a.生産水収集導管の周りに整列されて概して放射状に延在する複数の第1ホットスワップ可能水分離膜モジュールの一部である第1ホットスワップ可能水分離膜モジュールを水中の水脱塩装置から切り離す段階であって、前記モジュールは、前記導管に連結されたホットスワップ生産水バルブを介して前記導管に流体連通し、前記モジュール内の複数の水分離膜カートリッジに流体連通する概して放射状に延在する生産水収集マニホールドに着脱可能に連結し、前記モジュールは、断面において、前記導管に向かって収斂し、かつ、ホットスワップ生産水バルブに対する取り外されたモジュールの水面下でのドッキングおよび再取り付けを補助する概してテーパ状のモジュール側面を有する、段階と、
b.水面下において、前記交換モジュールの収斂するテーパ状の前記側面、および、前記モジュール上の取り外された生産水収集マニホールドを、前記生産水収集導管上の取り外されたホットスワップ生産水バルブ接続部に向かって誘導することによって、同様のサイズおよび形状の交換モジュールをアレイにドッキングして取り付ける段階と
を備える方法。
(項目3)
前記水分離膜は逆浸透膜である、項目1に記載の装置、または、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記アレイは、平面視において、おおよそ多角形の外周を有する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目5)
前記アレイは、平面視において、おおよそ五角形~十六角形の外周を有する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目6)
前記アレイは、平面視において、おおよそ十二角形の外周を有する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目7)
前記モジュールは、同一の形状およびサイズを有し、互いに交換可能である、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目8)
前記モジュールは平面視において概してくさび状である、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目9)
前記モジュールは、平面視において概して台形の外周を有する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目10)
各モジュールは、前記モジュールにおける水分離膜を囲む、腐食耐性金属からできている支持フレームまたはハウジングを含む、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目11)
各モジュールは、前記モジュールにおける前記水分離膜を囲む、繊維強化ポリマーまたは他の複合復号材料からできている支持フレームまたはハウジングを含む、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目12)
前記水分離膜カートリッジは概して円筒形状を有する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目13)
前記生産水収集導管は、前記アレイの鉛直方向の中心軸を表すか、または、前記中心軸に近接して概して整列する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目14)
前記水分離膜カートリッジは、前記生産水収集導管に対して概して平行である、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目15)
前記モジュールおよび前記アレイは、圧力耐性外側容器に格納されていない、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目16)
前記装置は更に、前記モジュールに着脱可能に連結され、かつ、前記モジュールを受け、捕捉し、支持する枠組みを含む、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目17)
前記枠組みは、前記水分離膜モジュールから濃縮液または鹹水を捕捉するフードを含む、項目16に記載の装置または方法。
(項目18)
前記装置は更に、ホットスワップ生産水バルブに対する水面下での交換モジュールのドッキングおよび取り付け中に交換モジュールまたは隣接するモジュールを引き付ける、接触させる、または反発する、1または複数の誘導用の特徴またはデバイスを含む、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目19)
前記1または複数の誘導用の特徴またはデバイスは、ハンガ、フック、スナバ、ガイドレール、または磁石を含む、項目18に記載の装置または方法。
(項目20)
前記モジュールは、モジュールのペアまたはモジュールの一部が、互いに並んで反対方向を向くように配置され、標準の海上輸送コンテナのフロアスペースに適合する、または実質的に充填される、1または複数の概して長方形のモジュールペアを提供することを可能にする形状および寸法を有する、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目21)
前記水分離膜カートリッジは、ある体積の脱塩された生産水、および、ある体積の濃縮液または鹹水を生成し、前記生産水の体積は、前記濃縮液または前記鹹水の体積の10%未満である、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目22)
前記水分離膜カートリッジは、ある体積の脱塩された生産水およびある体積の濃縮液を生成し、前記生産水の体積は、前記濃縮液の体積より十分に小さく、その結果、前記濃縮液は、前記濃縮液が生成される管轄区域において鹹水とみなされるほど十分な塩分を含まない、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目23)
前記装置を流れる脱塩水、濃縮液、または鹹水の流量または塩分を監視する1または複数のセンサを更に備える、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目24)
前記装置は海溝に配備される、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
(項目25)
モジュール交換のための遠隔操作車両(ROV)を更に備える、前述の項目のいずれかに記載の装置または方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12