(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】予めプレスされた板を含む建築要素の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20230501BHJP
E04B 1/10 20060101ALI20230501BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
E04B1/58 509J
E04B1/10 Z
F16B5/02 V
(21)【出願番号】P 2020528511
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2018071166
(87)【国際公開番号】W WO2019025605
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-08-03
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520038541
【氏名又は名称】レコ ラブス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブショウー,ジャンヌ
(72)【発明者】
【氏名】コルディア,フランソワ-ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】ディファー,ゲール
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-082791(JP,A)
【文献】仏国実用新案証公開第02737745(FR,A3)
【文献】特開昭60-127104(JP,A)
【文献】特開2004-298371(JP,A)
【文献】特開2000-291130(JP,A)
【文献】米国特許第01289147(US,A)
【文献】特開2010-133178(JP,A)
【文献】特開2005-076766(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076058(JP,U)
【文献】特開2005-325639(JP,A)
【文献】国際公開第96/026334(WO,A1)
【文献】特開2001-115552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/10
E04C 2/12,2/32,2/42
B27M 3/00
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの木製構造板(101、111)のうちの第1の
木製構造板
(101)の面(101A)および
少なくとも2つの木製構造板(101、111)のうちの第2の
木製構造板
(111)の面(111B)が接触界面(I
101-111)で重畳されるように配置された、少なくとも2つの木製構造板(101、111)であって、重畳面には、前記接触界面(I
101-111)において、溝付きパターン(R
101A、R
111B)のセットが少なくとも部分的に設けられており、前記溝付きパターン(R
101A、R
111B)が、少なくとも略相補的な形状を有し、少なくとも1つの軸(B
1)に沿って、前記第1の
木製構造板(101)および前記第2の
木製構造板(111)の互いに対する摺動に対して障害物を形成するように配置されている、少なくとも2つの木製構造板(101、111)と、
前記少なくとも2つの
木製構造板(101、111)を、前記接触界面(I
101-111)で互いに対して保持するように配置された少なくとも1つの保持システム(30)と、
を備え、
前記重畳面の前記溝付きパターン(R
101A、R
111B)は互いに対して予めプレスされており、前記保持システム(30)は、前記接触界面(I
101-111)で
前記木製構造板(101、111)のうちの少なくとも2つを少なくとも部分的に貫通する少なくとも1つの金属製ねじ付きロッド部材(30.1)を備える建築要素(10)を製造する方法であって、
機械加工面の前記溝付きパターン(R
101A、R
111B)が前記接触界面(I
101-111)で互いに接触するように、
前記木製構造板(101、111)を重畳するステップと、
前記
木製構造板(101、111)を少なくとも30kPaの圧力で互いに押し付けるステップと、
前記木製構造板(101、111)のうちの少なくとも2つを前記接触界面(I
101-111)で少なくとも部分的に貫通する少なくとも1つの金属製ねじ付きロッド部材(30.1)を備える保持システム(30)によって、前記
木製構造板(101、111)を一体に保持するステップと、
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記溝付きパターン(R
101A、R
111B)は、少なくとも2つの非平行軸(B
1、B
2)に沿った、前記第1の
木製構造板(101)および前記第2の
木製構造板(111)の互いに対する摺動に対して障害物を形成するように配置される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記溝付きパターンは、互いに平行な第1の一連の溝(R
101A’、R
111B’)と、互いに平行であるが、前記第1の一連の溝には平行でない第2の一連の溝(R
101A’’、R
111B’’)とを備える、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
溝付きパターン(R
101A’、R
101A’’、R
111B’、R
111B’’)の少なくともいくつかは、複数のとげ(P)のマトリックスの形態であり、とげの形状は、四辺形の底部を有する略ピラミッドの形状である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記金属製ねじ付きロッド部材(30.1)は、両端に、頭部(32)とスパイク(33)とが設けられたねじ付きロッド(31)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記金属製ねじ付きロッド部材(30.1)は、略円筒または略円柱の形状を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記金属製ねじ付きロッド部材(30.1)は、交互に配置され、異なる直径を有する少なくとも2つのねじ山(34’、34’’)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記保持システム(30)は、前記接触界面(I
101-111)の全体にわたって分配され、前記接触界面(I
101-111)で、前記木製構造板(101、111)のうちの少なくとも2つを少なくとも部分的に通過する4つの金属製ねじ付きロッド部材(30.1、30.2、30.3、30.4)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属製ねじ付きロッド部材(30.1)のうちの少なくとも1つを、前記接触界面の縁部から隔てる距離(D
10-30)が、1.5から4センチメートルである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1の木製構造板(101)、前記第2の木製構造板(111)および第3の木製構造板(121)を含む少なくとも3つの木製構造板(101、111、121)を備え、少なくとも3つの木製構造板の面の少なくともいくつか(101A、111B、111A、121B)は、各接触界面(I
101-111、I
111-121)で、対で重畳されており、前記保持システム(30)は、前記
第1の木製構造板および前記第2の木製構造板(101、111)の第1の部分を少なくとも部分的に貫通する複数の金属製ねじ付きロッド部材の第1のセット(30.1、30.2、30.3、30.4)と、前記
第2の木製構造板および前記第3の木製構造板(111、121)の第2の部分を少なくとも部分的に貫通する複数の金属製ねじ付きロッド部材の第2のセット(30.5、30.6、30.7、30.8)とを備え、前記第1
の部分および前記第2
の部分が、少なくとも1つの共通の
木製構造板(111)を有し、前記金属製ねじ付きロッド部材(30.1、...、30.8)は
、前記接触界面(I
101-111、I
111-121)の平面で互いに対してオフセットされている、請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記金属製ねじ付きロッド部材のうちの少なくとも1つの長さ(L
30)は、一体に保持されることが意図された前記
第1の部分および前記第2の部分の全体の厚さ(E
101+E
111)に略等しい、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記金属製ねじ付きロッド部材のうちの少なくとも1つ(30.1)は、前記溝付きパターンの窪み(C
1234)に配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記金属製ねじ付きロッド部材のうちの少なくとも1つの直径(D
30)は、4つ以下の溝付きパターン(R
L14、R
L23、R
T12、R
T34)を覆うように構成される、請求項10または請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記重畳面の前記溝付きパターン(R
101A、R
111B)は、少なくとも75kPaの圧力で互いに予めプレスされる、請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記
木製構造板(101、111)の互いに対する加圧が、少なくとも75kPaの圧力で実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居または小さな共同入居ビルなどの木材から作製された要素を建築することを目的とした建築システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、木材建築要素から建築システムを設計および製造するためのさまざまな技術が知られている。
【0003】
「建築要素」とは、耐負荷性であろうとなかろうと、非限定的に、例えば、パネル、パーティション、支柱、梁、窓など、建築システムに装備できる任意のタイプの要素を意味する。
【0004】
既知の技術の1つによれば、建築要素は、一方が他方の上に配置された一組の層(または積層)によって形成され得る。
【0005】
第1の構成では、各層は、木製構造板、または互いに平行な複数の木製構造板を備え、連続する層は互いに当接する。
【0006】
CLT(直交集成板)と呼ばれる第2の構成では、各層に構造木材板が順次配置され、互いに平行である。加えて、1つの層の板が隣接する層の板に直交するように、層は互いに対して配置される。
【0007】
これらの構成のそれぞれにおいて、第1の層の構造板は、第1の層に隣接する第2の層の構造板と並置され、互いに対して保持される。この構成では、第1の層の板の面と第2の層の板の面は、したがって、接触界面を形成する平面で接触している。
【0008】
接触界面の平面における構造板の係止を改良するために、例えば溝付きパターンなどのパターンの組を構造板の面上にそのように接触するように配置することもまた知られている。これらのパターンは、接触する板の面の各パターンが協働して、それらの接触界面の平面内でのこれらの板の互いに対する摺動に対して障害物を形成するように配置され得る。溝付きパターンが少なくとも実質的に相補的な形状を有する場合に、この係止はなおさら優れている。
【0009】
この後者の構成では、1つまたは複数の保持システムによって、板の平面(板間の接触界面の平面でもある)に直交する軸に沿って、互いに隣接する層の構造板を保持することが重要である。
【0010】
このシステムの主な試みの1つは、構造板を相互に最適に保持するだけでなく、アセンブリ上に局所的に圧縮力を加えることにより、板によって伝達される力を良好に伝達し、かつ良好に吸収できるようにすることである。
【0011】
これに関連して、板の平面に直交する軸に沿って加えられる力は「局所圧縮」力、および板の平面(板間の接触界面の平面でもある)に加えられる力は「せん断」力と表記される。
【0012】
1つの板から別の板への力の吸収または伝達により、アセンブリの高い機械的強度を保証し、板を互いから分離する溝付きパターンの自然な動きに対抗することができる。したがって、保持システムがそのような力の伝達を可能にすることが望ましい。
【0013】
さらに、溝付きパターンは相補的であるが、実際にはこれらは完全に一体に嵌合することはないため、したがって通常は接触界面で板間にスペースが残り、これは、溝付きパターン表面の摩擦による力の吸収に関しては好ましくない。
【0014】
最初の既知の保持システムは、接触界面で接着剤の層から構成される。しかしながら、接着剤にはいくつかの欠点がある。第1に、その生態学的影響は特に有害であるため、したがって使用する接着剤の量を制限する必要がある。第2に、接着剤は、特に長時間のプレスおよび乾燥時間が必要なため、大量生産には適さない。第3に、接着剤は耐震性の観点から不利な可能性があり、それは接着されたアセンブリには可塑性がないため、したがって過度の応力が発生した場合には突然破断するからである。
【0015】
別法として、接着剤を用いない保持システムも既知である。接着剤を用いないシステムの第1の種類は、ピン、リング、またはクランプタイプの部材と、スパイクまたはステープルタイプの部材とを備える。それにもかかわらず、溝付きパターンの自然な摺動が原因で、保持システムと板の木材との間で誘発される牽引力に対抗するために、これらの部材の幾何形状は引き離しに対して高い抵抗を提供しない。
【0016】
接着剤を用いないシステムの第2の種類には、ねじ山、特にボルトおよびねじが付いたロッドタイプの部材が含まれる。しかしながら、ボルトは、事前の穿孔ステップおよびナット用のスペースが必要なため、工業生産には適さない。加えて、それらはそれらの本体の周りの間隙を含み、ナットの位置を除いて張力の吸収を許容しない。
【0017】
特に、既知の保持システムは、上下に配置された2つの構造板の間で力の適切な伝達を可能にする溝付きパターンを全く考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、重ねられた木製構造板で構成され、溝付きパターンが設けられた建築要素において、板間の力の伝達を改良し、したがってそのように構成された建築要素の機械的強度を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的のために、本発明の主題は、第1の板の面および第2の板の面が接触界面で重畳されるように配置された少なくとも2つの木製構造板を備える建築要素であって、接触界面において重畳面には溝付きパターンのセットが少なくとも部分的に設けられ、パターンは少なくとも略相補的な形状を有し、少なくとも1つの軸に沿って第1の板および第2の板の互いに対する摺動に対して障害物を形成するように配置され、少なくとも1つの保持システムは、接触界面で少なくとも2つの板を互いに対して保持するように配置される。本発明によれば、重畳面の溝付きパターンは、互いに対して予めプレスされ、保持システムは、接触界面で少なくとも2つの木製構造板を少なくとも部分的に貫通する金属製ねじ付きロッドを備えた少なくとも1つの部材を備える。
【0020】
建築要素の構成により、溝付きパターンは、保持システムによって一体に保持される前に、互いに押し付けられる。この事前の当接は、溝付きパターンを互いにより正確に嵌合させることを可能にし、力の伝達およびアセンブリの機械的強度を改良する。加えて、板に事前に加えられた圧力が特定の閾値を超えると、溝付きパターンがわずかに変形する可能性があり、これは、溝付きパターンを接触および協働させ、ならびにこれを行うときに力を伝達する。さらに、この事前の接触により、板を一体に保持する前に、板を互いに対してより正確に位置決めすることができ、それにより板および溝付きパターンの相互の協働をさらに改良する。
【0021】
加えて、本発明は、とりわけ金属製ねじ付きロッド部材によって、特に木製構造板内の貫通速度に関する利点、および、木材内の引き離しに対する高耐性という利点を得ることができる。したがって、保持がより簡単になることを保証し、信頼性が高まり、木材が割れるリスクを最小限に抑えることができる。
【0022】
さらに、本発明は、接触界面での接着剤の使用を回避することにより、溝付きパターンから利益を得ることができる。したがって、このように形成された建築要素は、接着剤の使用を回避し、または最小限の接着剤の使用で済む。その結果、接着剤に関連する前述の問題はすべて克服され得る。
【0023】
加えて、溝付きパターンによるアセンブリを採用することにより、本発明は、広葉樹からの木材を使用して有利な構造板を形成する。これは、木材が一般に2つの種類、ヤニ成分の多い木材と広葉樹からの木材とに分類されるからである。ヤニ成分の多い木材は、広葉樹の木材よりも低コストで、建設現場での乾燥が容易なので、一般に好都合である。広葉樹の木材は、より高い密度を有する。溝付きパターンの品質および機械加工性は、木材繊維の密度および局所的な機械的強度に直接関係しているため、元の木材の外観や品質がどのようなものであっても、広葉樹の木材を使用することによってこれが容易になる。
【0024】
好ましくは、溝付きパターンは、少なくとも2つの非平行軸に沿った、第1の板および第2の板の互いに対する摺動に対して障害物を形成するように配置される。したがって、接触界面の平面全体で係止が保証される。
【0025】
好ましくは、溝付きパターンは、互いに平行な第1の一連の溝と、互いに平行であるが、第1の一連の溝には平行でない第2の一連の溝とを備える。その場合、溝付きパターンはスパイクの形態である(特に生産条件に応じて、その端部は鋭い可能性があり、またはそうでない可能性がある)。
【0026】
好ましくは、溝付きパターンの少なくともいくつかは、略四辺形の底部を有するピラミッドの形状である、とげのマトリックスの形態である。このパターンの形状は、機械加工がより簡単であることがわかる。
【0027】
特定の実施形態では、部材は、ロッドの両端に頭部およびスパイクが設けられたねじ付きロッドを備える。
【0028】
この頭部はねじの本体の直径よりも大きいが、その寸法は、できるだけ少ない溝付きパターンを破壊するための小さな寸法と、挿入時に十分な結合を可能にする標準的な圧痕を生成するのに十分な寸法との間の兼ね合いによって生じる。これは、ねじが挿入されると、圧痕は、材料を貫通できるようにする特定のトルク(または力)を受けるからである。この圧痕の形態は、頭部の直径に関連するTORX規格であり、必要なトルクに対応するように選択されるが、ねじが挿入された場合に工具が抜け出すリスクを減らすためにも選択される。スパイクにより、予穿孔効果(「セルフタッピング」ねじ)が可能になり、挿入時に木材が裂けるリスクを軽減する。
【0029】
好ましくは、部材は略円筒または略円柱の形状を有する。
【0030】
好ましい実施形態では、部材のロッドは、異なる直径を有する少なくとも2つの交互配置されたねじ山を備える。ねじ山の一般的な特性は、そのピッチおよび直径である。ねじ山のピッチが大きいほど、木材への貫通速度が速くなる。ねじ山の直径が大きいほど、ねじ山はせん断時に木材に、より一層局所的に機能する。その結果、異なる直径の2つのねじ山を設けることにより、木材の局所的な作用は2つの異なるせん断面でもたらされ、それは、アセンブリの機械的強度を高め、2つのねじ山の存在に関連する、ねじのピッチサイズによって、ねじが貫通する時間を短縮する効果を有する。
【0031】
好ましくは、最も幅の広いねじ山の直径とロッドの直径との比は、1.5から1.7の間である。この比は、広葉樹の木材から作製された板の使用に特に適していると確認されている。
【0032】
好ましくは、保持システムは、接触面の全体にわたって分配され、接触界面で複数の木製構造板のうちの少なくとも2つの木製構造板を少なくとも部分的に貫通する金属製ねじ付きロッドを含む4つの部材を備え、これにより接触界面の可能な限り大きい表面を最小限の部材でカバーすることが可能になる(溝付きパターンを貫通する部材の数が多いほど、接触界面の平面に係止を提供するために残る溝付きパターンはより少なくなる)。
【0033】
一実施形態では、複数のねじ付きロッド部材のうちの少なくとも1つの、接触界面の縁部からの距離は、1.5から4センチメートルである。したがって、問題の保持システムは、接触界面の周辺部分上、つまり、アセンブリがモーメントを受けるときに力が最大になる地点に取り付けられ、その結果、表面全体を強固に取り付ける。
【0034】
建築要素が、少なくとも3つの木製構造板を備えている場合、その面の少なくともいくつかが各接触界面に対で重畳されており、好適には、保持システムが、板の第1の部分を少なくとも部分的に貫通する金属製ねじ付きロッド部材の第1のセットと、板の第2の部分を少なくとも部分的に貫通する金属製ねじ付きロッド部材の第2のセットとを備え、第1の板部分および第2の板部分は、少なくとも1つの板を共通に有し、部材は、板の接触界面の平面で互いに対してオフセットされている。この構成により、部材の直径を大きくし、アセンブリの精度を下げることを要求する、単一の部材がすべての板の厚さを貫通しなければならないことを回避することができる。部材は2つの厚さを貫通するため、部材間の衝突を回避することが必要である。さらに、対称性の理由から、第2部材の位置は、保持システムの中心に対して90°回転した後の第1部材の位置と同一である。この構成により、部材の寸法によって、2枚以上の板の部材のセットを重ねることにより、建築要素の厚さ全体を貫通することが可能になる。
【0035】
加えて、複数の金属製ねじ付きロッド部材のうちの少なくとも1つの長さが、一体に保持することを意図された板部分の全体の厚さにほぼ等しい。その結果、ロッドおよびねじ山が板の厚さ全体にわたって板を貫通し、これにより、作用する材料の割合が増加し、木材内のロッドの引き離しに対する抵抗が向上するため、したがって溝付きパターンのプレストレスの維持が向上する。
【0036】
好ましくは、複数の金属製ねじ付きロッド部材のうちの少なくとも1つは、溝付きパターンの窪み(すなわち、各パターンを囲み、パターンを一体に結合する底端部)に配置され、それにより部材の貫通を促進する。
【0037】
好ましくは、重畳面の溝付きパターンは、少なくとも75kPaの圧力で互いに予めプレスされる。
【0038】
本発明はさらに、構造板に対する保持システムの配置(構成)を改良することを提案する。これに関連して、複数の部材のうちの少なくとも1つの部材の直径は、4つ以下の溝付きパターンを覆うように構成される。したがって、システムは、できる限り少ない溝付きパターンを損傷する。
【0039】
本発明はまた、上記記載の建築要素を製造する方法に関し、
-機械加工面の溝付きパターンが接触界面で互いに接触するように、構造板を重畳するステップと、
-構造板を少なくとも30kPaの圧力で互いに押し付けるステップと、
-接触界面で複数の木製構造板のうちの少なくとも2つを少なくとも部分的に貫通する少なくとも1つの金属製ねじ付きロッド部材を備える保持システムによって、構造板を一体に保持するステップと
を含む。
【0040】
好ましくは、構造板を圧力下で互いに対して押しつけることは、少なくとも75kPaの圧力で実施される。
【0041】
この製造方法では、好ましくは、その重畳前に、重畳されることを意図された構造板の面は、溝付きパターンが設けられるように機械加工される。
【0042】
本発明はまた、少なくとも2つの建築要素を含む建築システムに関し、そのうちの少なくとも1つは上述のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の他の特徴および利点は、例として、かつ添付の図面を参照して与えられる本発明の実施形態の以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【0044】
【
図1】本発明による建築システムの実施例の斜視図である。
【
図2】本発明による、
図1の建築システムを構成する要素の1つの斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、建築要素の2つの構造板の斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による、建築要素の2つの構造板の斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による、建築要素の2つの構造板の斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による、建築要素の2つの構造板の斜視図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態による、建築要素の3つの構造板の断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態による、建築要素の3つの構造板の断面図である。
【
図11A-11B】本発明の一実施形態による、保持システムの部材の側面図である。
【
図12】本発明の実施形態による、建築要素の詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1を参照すると、本発明による建築システム1は、木材住居の形態であり得るが、しかし他の任意の形態の建造物を想定することができる。この住居は、特に床、壁、屋根勾配を備える。それらは、例えば木材から形成され得る。窓を配置するために、これらの複数の要素、例えば壁の1つに開口部が形成され得る。
【0046】
この例では、第1の壁は、建築要素10を含む建築要素のセットを備える。第2の壁自体は、要素20を含む建築要素のセットを備える。建築要素へのこの分割は、標準的輸送手段、建設中の吊搬手段、およびこれらの要素を製造するための工業用工具のサイズ決定の制限に関連する。
【0047】
建築要素10は、
図2により詳細に示されている。
図2の第1の建築要素10は、8層の重畳層のセットを備え、そのうちの最初の4つは、層100、110、120、および130である。層の構成は、「交差板」と言われている。異なる数の層、例えば3つより多く、好ましくは5から15の間、好ましくは7から12の間の層が提供され得る。最適な層の数の決定は、建築要素10の熱性能、その強度(より良い、より多くの層が存在する)、その全体の厚さ(通常、特定の限度を超えてはならない)、そのコストおよびその用途(内壁または外壁、床または屋根など)の兼ね合いである。
【0048】
層100、110、120および130のそれぞれは、木製構造板を備える。第1の層100は、軸(Ox)に沿って平行に配向された4つの板101、103、105および107を備える。第2の層110は、軸(Oy)に沿って平行に配向された4つの板111、113、115および117を備える。第3の層120は、軸(Ox)に沿って平行に配向された4つの板を備える。第4の層130は、軸(Oy)に沿って平行に配向された4つの板を備える。この「交差板」構成では、層100、110、120および130は、軸(Ox)に沿った平行板と軸(Oy)に沿った平行板とが交互になった構造を成している。2つの隣接する層の構造板は互いに直交し、建築要素10全体を覆う格子を共に形成する。
【0049】
同じ層の板は、同じ方向に配向され得、建築要素10の全体を略均一に覆うように互いに離隔して配置される。これらの板は、1つの層の板が隣接する層の板に直交するように配向されるが、これらの板間に異なる角度を提供することもまた可能である。さらに、各層の構造板の数は、一方で木材の経済性と、他方で建築要素の強度およびサイズとの間の兼ね合いに起因する。
【0050】
機能板(図示せず)が、同じ層の2つの構造板の間に挿入され得る。この機能板は、構造板の機能とは異なる特定の機能を果たすことを意図されており、言い換えると、建築要素を支える役目を果たすのではなく、無垢材から形成されていない(ただし、木毛など特定のタイプの断熱材から形成されている場合があるが、耐負荷性があると認識されていない)。その構成材料の選択は、それに付与することが望まれる機能に依存する。この機能は、断熱および/または遮音、熱慣性、耐火性、または適切と考えられる任意の機能に関連することができる。加えて、木材の経済性には、構造板内の材料の欠乏を機能性板で補い、関連する能力をさらに向上させることが必要である。
【0051】
図3により詳細に見られるように、構造板101は特に2つの面101Aおよび101Bを有する。構造板111もやはり、特に2つの面を有し、そのうちの1つは111Bで示される。層100および110が上下に配置されると、構造板101(白で示される)および111(溝付き)は、それぞれの面101Aおよび111Bで接触し、平面(Oxy)に位置する接触界面I
101-111を形成する。
【0052】
図3および
図4は、本発明の第1の実施形態による、2つの隣接する層100および110の2つの構造板101および111の間の接触をより正確に示す。
【0053】
図3では、構造板101は、底面101A(見えない)および頂面101Bを有する。同様に、構造板111は、底面111A(見えない)および頂面111Bを有する。層100および110が重ねられると、構造板101および111は、平面(Oxy)に位置する接触界面I
101-111で接触する。
【0054】
図4に見られるように、板111の底面111Bには、その長手方向全体にわたって、すなわち軸(Oy)に沿って溝付きパターンR
111Bのセットが設けられている。板101の頂面101Aにも、その長手方向の範囲の一部だけにわたって、軸(Oy)に沿って、溝付きパターンR
101Aのセットが設けられている。面101Aおよび111B上で、溝付きパターンR
101AおよびR
111Bは相補的であり、互いに平行な一連の直線状溝を形成する。これらのパターンは、接触界面I
101-111を覆うように板の面上に配置される。それらの形状と寸法は略同一であり、その結果、これらの溝付きパターンは互いにほぼ相補的である。
【0055】
したがって、基板101および111が上下に配置される場合、溝付きパターンR101AおよびR111Bは少なくとも部分的に互いに嵌合し、それにより接触界面I101-111の平面(Oxy)において、溝の軸(Ox)に直交する軸(Oy)に平行な第1の係止軸B1に沿った、2つの板101および111の互いに対する摺動に対して障害物を形成することが可能になる。この障害物は、接触界面I101-111に接着剤を配置せずに得られるため、特に生態学的、機械的、および工業的な観点から接着剤の欠点を回避する。さらに、これらの溝付きパターンは、特に自動化アセンブリで、板を一体に嵌合するための基準として機能することができる。
【0056】
この例では、溝付きパターンの断面は三角形であるが、溝付きパターンの他の形状、特に断面が三角形でない形状も可能である。例えば、正方形、長方形または半円形の断面が設けられていてもよい。
【0057】
溝付きパターンR
101AおよびR
111Bが互いに少なくとも部分的に嵌合した状態にとどまるために、接触界面で板を互いに保持するための少なくとも1つの保持システムが提供される。
図3および
図4の例では、保持システムは、以下により詳細に説明される金属製ねじ付きロッドの形態である、接触界面I
101-111に分配される2つの部材30.1および30.2を備える。したがって、保持システムは、建築要素10に存在する接着剤量をやはり回避し、または少なくとも制限するために、接着剤を一切含まない。この保持システムは、接触界面I
101-111の平面(Oxy)に直交する軸(Oz)に沿った、板101および111の互いに対する保持を提供する。金属製ねじ付きロッドには、木材内の貫通速度および引き抜きに対する抵抗を含む、いくつかの利点がある。したがって、保持がより簡単に提供され、信頼性を高め、木材が割れるリスクを最小限に抑えることができる。
【0058】
図5および
図6は、本発明の第2の実施形態による、2つの隣接する層100および110の2つの構造板101および111の間の接触をより正確に示す。
【0059】
図5では、構造板101および111の一般的な構造および重畳は、
図3のものと類似していることが分かる。
【0060】
図6において、板111の面111Bには、第1に、軸(Ox)に沿って、板の長手方向範囲の全体にわたって配置された平行な溝の形態の溝付きパターンR
111B’’が設けられており、第2に、軸(Oy)に沿って、すなわち溝R
111B’’に直交して、板111の横断方向および長手方向範囲の一部分のみにわたって配置された平行な溝の形態の補助的な溝パターンR
111B’が設けられていることが見て取れる。反対に、板101の面101Aには、第1に、軸(Ox)に沿って、板101の長手方向範囲の一部分のみにわたって配置された平行な溝の形態の溝付きパターンR
101A’が設けられており、第2に、軸(Oy)に沿って、すなわち溝R
101A’に直交して、板の長手方向範囲の全体にわたって配置された平行な溝の形態の補助的な溝パターンR
101A’’が設けられていることが見て取れる。
【0061】
この構成では、溝付きパターンR101A’、R101A’’、R111B’、R111B’’は、接触界面I101-111の平面(Oxy)に位置する、平行でない2つの係止軸B1およびB2に沿って第1の板および第2の板の互いに対する摺動に対して障害物を形成するように配置され、第1の係止軸B1は軸(Ox)に平行で、溝R111A’およびR111B’’に直交し、第2の係止軸B2は軸(Oy)に平行で、溝R111A’’およびR111B’に直交する。したがって、板101および111の互いに対する摺動に対して障害物が、接着剤を必要とせずに、接触界面I101-111の平面全体で、得られる。
【0062】
この構成では、溝付きパターンR
101A’、R
101A’’、R
111B’、およびR
111B’’を含む接触界面I
101-111の部分は、スパイクP
101AおよびP
111Bの形態であり、その端部は、状況に応じて、特に生産状況に応じて、尖っていても、または尖っていなくてもよい。
図6では、これらのスパイクがとげのマトリックスを形成しており、その形状は、ほぼ四辺形の底部、特に正方形の底部を有するピラミッドの形状であることが観察され得る。この形のとげは、機械加工が簡単である。特に溝の軸が直交していない場合には、他の形態のパターン、例えば、三角形の底部、または平行四辺形の底部を想定することができることが理解されよう。
【0063】
図5では、すべて金属製ねじ付きロッドの形態の4つの部材30.1、30.2、30.3、および30.4を含む保持システムによって、板が軸(Oz)に沿って一体に保持されていることが見られる。それにもかかわらず、これらの部材の異なる数および分配が想定され得る。
【0064】
板101および111の係止を保証するために、溝付きパターンR101A’、R101A’’、R111B’’およびR111B’’が接触界面I101-111の少なくとも一部に配置されることで十分であることが理解されよう。それにもかかわらず、機械的観点から、接触界面I101-111全体にわたって、面に溝付きパターンが設けられている場合、板の係止はさらに一層良くなるであろう。さらに、工業的観点から、溝付きパターンは、面101Aおよび111Bの機械加工によって生成され得る。この場合、機械加工は、板の一部のみよりも、板の全長にわたってより簡単に、手際よく、迅速に実行され得る。
【0065】
上記の実施例では、板101および111は互いに直交しており、係止軸B1およびB2自体が直交している。板101および111が直交しておらず、例えば約45°の角度だけ互いに対して傾斜している他の実施例も提供され得る。本発明は、より一般的には、2つの構造板の間の任意の可能な傾斜を網羅する。
【0066】
板101および111の溝付きパターン間の機械的結合を強化するために、これらは広葉樹の木材から形成される。このタイプの木材は密度が高いため、溝付きパターンは小さい寸法になり、したがって潜在的に脆弱になるが、機械的力の影響下でより強く、引き離されにくくなる。さらに、アセンブリの強度が改良されたため、本発明は、断面積が小さく品質の低い広葉樹の木材を使用することを可能にし、それによって原材料を購入する場合に節約を可能にするばかりでなく、この木材は通常、エネルギーを生成するために燃焼させる目的で再利用できる。
【0067】
本発明によれば、部材30.1から30.4によって一体に保持される前に、溝付きパターンR101A’、R101A’’、R111B’、およびR111B’’は最初に互いに押し付けられる。この事前の押し付けは、当業者の能力の範囲内の様々な手段によって、例えば最上段の板に重量を加えることによって提供され得る。溝付きパターンを備えた板の特定の状況では、これにより、部材を適用する前に溝付きパターンをより正確に互いに嵌合させることができ、アセンブリの精度が向上する。この事前の押し付けにより、力の伝達およびアセンブリの機械的強度もまた向上する。板のこの加圧を達成するための適切な圧力は、75kPaを超える可能性がある。一例として、12センチメートル×12センチメートルの正方形の接触界面では、75kPaの圧力は、この接触界面に約110キログラムの質量を加えることになる。
【0068】
この圧力が増加する場合、特に、例えば約150kPaであってもよい閾値を超える場合、溝付きパターンがわずかに変形する可能性がある。この変形により、溝付きパターンの互いの接触と協働が促進され、それに応じて板間の力の伝達が向上する。12センチメートル×12センチメートルの正方形の接触界面では、150kPaの圧力は、この接触界面に約220キログラムの質量を加えることになる。
【0069】
図7および
図8は、3つの重畳された層を一体に保持することが課題である場合の部材の配置の詳細を示す。課題の3つの板は、符号101、111、および121で示され、対で重畳されており、すなわち、板101および111は接触界面I
101-111で重畳され、板111および121は接触界面I
111-121で重畳されている。この配置は、前述の実施形態と組み合わせることができる。特に、より多くの層および重畳板に適合され得る。
【0070】
図7では、保持システムは、接触界面I
101-111で板101および111を貫通する第1の部材のセット、またはねじ付きロッド30.1および30.2と、接触界面I
111-121で板111および121を貫通する第2の部材のセット、またはねじ付きロッド30.5および30.6とを備える。このようにして、2セットの部材が中間板111を貫通し、これにより板の一体のアセンブリおよび保持の連続性が保証される。したがって、板111が二重に貫通されるために、各部材30.1(および30.2)は、2つの接触界面の平面(Oxy)において各部材30.5(および30.5)に対してオフセットされる。
【0071】
この構成により、単一の部材(例えば部材30.1)がすべての基板101、111および121を貫通することを回避することが可能になる。3層を含む構成でこのことがやはり可能であるならば、例えば7層または8層を含む構成を貫通するために同じねじ付きロッドを使用するには、より長いロッドおよびより太いロッドが必要になり、したがって板の組み立てがより高価になり、精度が低くなることが理解されよう。一方、部材がこのようにオフセットされていると、これらを短くすることができ、多数の部材は溝付きパターンとの相互作用が局所的に増加し、その結果、力の伝達が向上する。
【0072】
図8では、建築要素10は、3つよりも多い数の層を備える。次に、その上方に位置する層の板によって板121を保持するために、追加の部材30.9および30.10(ならびに図示されていない他の2つの部材)が貫通される。見て分かるように、部材30.1(および30.2)は、それぞれ各部材30.9(および30.10)と位置合わせ(整列)される。
【0073】
図7および
図8に示されている部材は、2つの層、したがって2つの板を貫通することを目的とする。この場合、各長さL
30は、それらが貫通し、一体に保持される2つの板E
101およびE
111(
図12に示す)の合計の厚さに略等しい。これは、板の厚さ全体にわたって部材の貫通を可能にする効果があり、機能する材料の割合が増加し、実際に木材内の部材の引き離しに対する抵抗が向上する。
【0074】
代わりに、これらの部材がより多くの層および板を貫通するように準備することも可能である。この場合、本発明によれば、少なくとも1つの第1の部材が層の第1の部分を貫通し、第2の部材が層の第2の部分を貫通し、層の第1の部分および第2の部分が少なくとも1つの共通の層を有し、第1の部材および第2の部材は少なくともわずかにオフセットされていることも好ましい。
【0075】
図9は、複数の構造板の間の接触界面上の保持システムの様々な部材の分配の例を示している。
【0076】
この構成では、建築要素10は、少なくとも3つの重畳された層によって形成され、その板101および111が見られる(分かりやすくするために板121は図示されていない)。保持システム30には、4つの部材30.1、30.2、30.3および30.4の第1のセットと、4つの部材30.5、30.6、30.7および30.8の第2のセットとを含む複数の部材のセットが設けられている。4つの部材30.1から30.4は、接触界面I
101-111で板101および111を互いに保持するために設けられている。4つの部材30.5から30.8は、接触界面I
111-121で板111および121(図示せず)を互いに保持するために設けられている。したがって、この構成は、4つの部材による2つの板の保持する仕組み(
図5に示す)と、いくつかの板のみを一体に保持する部材を提供する仕組み(
図7および8に示す)とを繰り返す。したがって、部材30.1から30.8は、金属製ねじ付きロッドの形態である。
図9からわかるように、第1のセットの部材および第2のセットの部材はわずかにオフセットされて、これらの部材は、障害物を形成せずに、共通の板、この場合は板111を貫通することができる。
【0077】
最適な保持を実現するために、各接触界面について、同じセットの4つの部材が接触界面の縁部近傍に分配され、同時に木材の割れを回避するために、縁部から離すことが順守される。したがって、
図9に示す部材30.1から30.4を、1.5から4センチメートルの間にある、界面I
101-111(
図12に示す)の縁部からの距離D
10-30に配置することが好ましい。
【0078】
図10Aおよび
図10Bは、接触界面での保持システムの位置をより正確に示す。見て分かるように、溝付きパターンはとげPのセットを形成している。そこに図示される部材30.1は、溝R
T12、R
T34、R
L14およびR
L23の交点で、符号C
1234で示される、溝付きパターンの窪みに位置している。この場合、部材30.1のロッド31.1の直径は、接触界面I
101-111上の部材30.1の範囲が4つのパターンP
1、P
2、P
3およびP
4に制限される。したがって、部材30.1は、各軸の2つの溝付きパターン、すなわち軸(Ox)のパターンR
L23およびR
L14、ならびに軸(Oy)のパターンR
T12およびR
T34のみを覆う。したがって、それはわずか4つの溝付きパターンを覆う。
【0079】
図11Aおよび
図11Bは、保持システム30の金属製ねじ付きロッド部材30.1の一例を示しており、これは、すでに説明されたすべての部材30.1、30.2以下に応用することができる。
【0080】
長さL30の部材30.1は、略円筒形または略円柱形の金属製ねじ付きロッド31を備える。このロッドは、その両端に頭部32およびスパイク33を備える。頭部32は、直径の異なる2つのサブパーツ32’および32’’によって形成されている。頂部32’には、ねじ工具と相補的な凹部が設けられている。ロッド31には、ねじ山が設けられており、このねじ山は一条ねじ山でも二条ねじ山でもよい。
【0081】
図11Aの構成では、ロッド31のねじ山は、交互配置され、異なる直径を有する2つのねじ山34’および34’’を備える。このねじ山の利点は、ねじ山の性能がそのピッチおよび直径に依存するという事実に関連する。ねじ山のピッチが大きいほど、ロッドが木材を素早く貫通する。ねじ山の直径が大きいほど、木材をよりせん断する。直径が異なる2つの交互配置されたねじ山の構成により、2つの異なるせん断面での木材の局所的な機能が保証され、アセンブリの機械的強度が向上し、ねじの貫通時間が短縮される。
【0082】
それにもかかわらず、特に広葉樹の木材から作製された板の場合、ねじ山が十分に狭い状態に維持されることは重要である。したがって、ねじ山の最大直径とロッドの直径との比は、1.5から1.7の間であることが好ましい。
【0083】
本発明はまた、上述のような建築要素10を製造する方法を提案する。この方法は、各接触界面上に溝付きパターンがすでに設けられている構造板から開始することを含む。あるいは、これらの板に溝付きパターンを設けるために、例えばそれらの面を重畳する目的で機械加工することにより準備することができる。
【0084】
本発明によれば、溝付きパターンR101AおよびR111Bが既に設けられている基板101および111は、これらの溝付きパターンが接触界面I101-111で互いに接触するように重畳される。これに関して、溝付きパターンR101AおよびR111Bの相補的な形状を利用して、少なくとも部分的に互いに嵌合するまでそれらを一体にすることができ、これにより、この重畳ステップを高精度で実行することが可能になる。
【0085】
続いて、基板101および111は、接触界面I101-111で、圧力が掛けられ、すなわち、互いに押し付けられる。したがって、溝付きパターンR101AおよびR111Bは、実際に一体に保持される前に予めプレスされる。この加圧ステップは、当業者の能力の範囲内の様々な手段によって、例えば最上段の板上に重量を加えることによって行うことができる。すでに上述した、適切な圧力は75kPaを超え得る。圧力レベルに応じて、溝付きパターンは一体に嵌合され(ほとんどの場合、単純な重畳によっては不可である)、または押しつぶされてわずかに変形されることさえあるが、それによって、そのように重畳された板の間の伝達力およびアセンブリの機械的強度が向上する。
【0086】
最後に、そのように重畳されて圧力を受ける基板101および111は、本発明による保持システム30、特に、接触界面I101-111に配置され、板の厚さを貫通する1つまたは複数のねじ付き金属製ロッドによって互いに保持され得る。そして、板は、高い位置精度だけでなく、板の間で力のより良い伝達を有して、互いに保持される。
【0087】
この方法は、同じ建築要素10のすべての板およびすべての層を組み立てるために繰り返され、それにより完全な製造を可能にすることができる。
【0088】
当然、本発明は、説明および図示された実施例および実施形態に限定されず、当業者がアクセス可能な多数の変形形態が可能である。特に、上記で説明したコネクタのさまざまな形態、ならびに本発明の説明を読む当業者の能力の範囲内の他の形態は、それぞれの利点および建築システムの特定の要件に従って、同じ構造システム内で組み合わせることができる。