(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】ボックスファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/14 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
B42F7/14 C
B42F7/14 B
(21)【出願番号】P 2018231190
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2017238127
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593118782
【氏名又は名称】澤木 英夫
(73)【特許権者】
【識別番号】509207977
【氏名又は名称】澤木 由弥子
(72)【発明者】
【氏名】澤木 英夫
(72)【発明者】
【氏名】澤木 由弥子
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-204599(JP,A)
【文献】登録実用新案第3121434(JP,U)
【文献】特開2006-026985(JP,A)
【文献】実開昭62-129932(JP,U)
【文献】特開2000-247083(JP,A)
【文献】特許第2776254(JP,B2)
【文献】特開平09-254577(JP,A)
【文献】実開昭61-022673(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
A47B 63/00-65/00
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と正面の2方向から収納物の出し入れが可能で前記正面に扉を設けたボックスファイルであって、
平面視長方形で長手の一対の両側面4と、
開口にした前記正面2と、
開口にした前記天面3と、背面5と、底面6と、前記両側面4の少なくとも一方の側面の前記正面側の端部にヒンジ71を介して延設した扉7と、その扉7を
係止する手段と、
前記両側面4の上端で前記正面側の端部近傍に設けた前記両側面4を連結させる連結部33と、でなるボックスファイル。
【請求項2】
収納物のサイズが大きく前記連結部33の下を通らない場合に対処できるボックスファイルであって、
前記両側面4のそれぞれに上端で前記前面側の端部に折り線を介して延設した連結部33aと、連結部33bと、その左右の連結部33aと連結部33bを着脱可能に結合する手段と、でなる請求項1のボックスファイル。
【請求項3】
前記両側面4を上下方向にずらして前記正面2と前記背面5を菱形に変形させつつ折りたたむボックスファイルであって、
前記底面6の前記背面5側の端部に折線Dを介して前記両側面4の背面5側の高さと略同寸法の長さまで延設した背面5cと、その背面5cに折り線を介してその折り線から前記両側面4の背面5側の高さと略同寸法まで延設した背面5dと、
前記両側面4の前記背面側に折線を介して前記底面6の横手方向の寸法と略同一の寸法まで延伸させた一対の背面5aと、背面5bと、
前記背面5aの略中央にコの字状でコの字の両先端を折線Aの反対側に向けた切り込み92と、前記コの字の両先端を結ぶ折線95と、で、形成される返し部93と、前記背面5bに前記背面5aを重ね合わせた状態で前記折線95と一致する位置に前記背面5bに前記返し部93を挿入するためのスリット状の挿入部94と、でなる請求項2のボックスファイル。
【請求項4】
前記正面2の強度を上げ且つ前記両側面4を前後方向にずらして前記天面3と前記底面6を菱形に変形させつつ折りたたむボックスファイルであって、
前記正面2の内側全周に設けた正面視縦長のロの字形状の正面リブ22と、その正面リブ22の上辺は前記連結部33の役割を兼ねさせ、
前記正面リブ22の下辺に折線を介して延設した底面部材6dと、前記正面リブ22の内周に収納物の出し入れを可能に形成した正面開口部21と、
前記両側面4及び前記背面5の各々下端に折線を介して延伸させた底面組立部材6aと、6bと6cと、でなる請求項1のボックスファイル。
【請求項5】
全体の強度を上げ且つ前記両側面4を前後方向にずらして前記天面3と前記底面6を菱形に変形させつつ折りたたむボックスファイルであって、
鉄または鉄に相当する強度を有する素材の丸棒により縦長のロの字状に前記正面2の周囲と略同形状に形成した補強材25と、
その補強材25の上辺は前記連結部33の役割を兼ねさせ、
前記両側面4の前記正面2側端部の縁部に前記補強材25を回動自在に取り付ける取り付け部26と、
前記補強材25の下辺に回動自在に取り付けた底面組立部材6dと、
前記両側面4及び前記背面5の各々の下端に折線を介して延設させた底面組立部材6aと、6bと、6cと、でなる請求項1のボックスファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部をカット又は、切欠きをした箱体で、正面に扉を有する主に文書整理に用いられているボックスファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
ボックスファイルの正面に扉を設け、棚に載置したままで、収納物の検索。出し入れを可能にしたものに特許文献1がある。
【0003】
しかし、特許文献1は、正面扉を跳ね上げで開閉する物であり、本発明とは構造と作用が全く異なる。
【0006】
ボックスファイルは、同一分野・同一分類で形状サイズが不揃いな様々な資料でも投げ込むように一つのボックスに収納できる利点がある。
しかし、そのため、雑然とした外見となり、使用しないときや棚に収納する場合は、内部が前面から見えないように面が高い側を表にして置かれている。
棚に収納すると、収納文書の一覧性が無く、表面に収納見出しを全て記載も困難であり、文書を探し出す仕事に時間と労力を要する原因の一つとなっている。
従来のボックスファイルは、開口部が天面のみのため、文書の検索・出し入れが必要な都度、棚から降ろさなければならない。文書は重量があり、高い棚段では危険でもある。
机上にあっても天面に物品を載置して開口部を塞いでいることがあり、載置物を片づける作業が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとしている課題】
【0008】
本発明は、棚に収容したままでもワンタッチで収納物を一覧でき、検索・出し入れが迅速に出来るボックスファイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以上の課題を果たすため、次の手段を講じる。
1.天面と正面の2方向から収納物の出し入れが可能で前記正面に扉を設けたボックスファイルであって、開口にした前記正面2と、開口にした前記天面3と、平面視長方形で長手方向の一対の両側面4と、背面5と、底面6と、前記両側面4の少なくとも一方の側面の前記正面側の端部にヒンジ71を介して延設した扉7と、その扉7を係止する手段と、前記両側面4の上端で前記正面側の端部に設けた前記両側面4を連結させる連結部33と、で構成する。
2.前項1.に加え、
収納物のサイズが大きく前記連結部33の下を通らない場合に対処できるボックスファイルであって、前記両側面4のそれぞれに上端で前記前面側の端部に折り線を介して上方に延設した左右の連結部33aと、連結部33bと、その左右の連結部33aと連結部33bを重ね合わせて着脱可能に結合する手段と、で構成する。
3.前項2.に加え、
前記両側面4を上下方向にずらして前記正面2と前記背面5を菱形に変形させつつ折りたたむ
ボックスファイルであって、前記底面6の前記背面5側の端部に折線Dを介して前記両側面4の背面5側の高さと略同寸法の長さまで延設した背面5cと、その背面5cに折り線を介してその折り線から前記両側面4の背面5側の高さと略同寸法まで延設した背面5dと、前記両側面4の前記背面側に折線を介して前記底面6の横手方向の寸法と略同一の寸法まで延伸させた一対の背面5aと、背面5bと、前記背面5aの略中央にコの字状でコの字の両先端を折線Aの反対側に向け切り込み92と、前記コの字の両先端を結ぶ折線95と、で、形成される返し部93と、前記背面5aと前記背面5bを重ね合わせた状態で前記折線95と一致する位置に前記背面5bに前記返し部93を挿入するスリット状の挿入部94と、で構成する。
4.前項1に加え、
前記正面2の強度を上げ且つ前記両側面4を前後方向にずらして前記天面3と前記底面6を菱形に変形させつつ折りたたむボックスファイルであって、前記正面2の内側全周に設けた正面視縦長のロの字形状の正面リブ22と、その正面リブ22の上辺は前記連結部33の役割を兼ねさせ、
前記正面リブ22の下辺に折線を介して延設した底面部材6dと、前記正面リブ22の内周に収納物の出し入れを可能に形成した正面開口部21と、前記両側面4及び前記背面5の各々下端に折線を介して延伸させた底面組立部材6aと、6bと6cと、で構成する。
5.前項1.に加え、
全体の強度を上げ且つ前記両側面4を前後方向にずらして前記天面3と前記底面6を菱形に変形させつつ折りたたむボックスファイルであって、鉄または鉄に相当する強度を有する素材の丸棒により縦長のロの字状に前記正面2の周囲と略同形状に形成した補強材25と、その補強材25の上辺は前記連結部33の役割を兼ねさせ、前記両側面4の前記正面2側端部の縁部に前記補強材25を回動自在に取り付ける取り付け部26と、前記補強材25の下辺に回動自在に取り付けた底面組立部材6dと、前記両側面4及び前記背面5の各々の下端に折線を介して延設させた底面組立部材6aと、6bと、6cと、で構成する。
【発明の効果】
【0010】
正面の扉を開くことで、収納物が即一覧できて検索が容易になり、出し入れもそのままで出来て、探す時間を減らしビジネスの効率を上げられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】正面開口部にリブを設けた斜視図と正面図及び断面図
【
図6】
効果を示す(a)と(b)は斜視図(c)は正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1により説明する。(a)は,斜視図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、(b)のA-A断面図である。箱状の本体10は、平面視長方形で、一対の長手の両側面4と、短手の一方の正面2と、対向する短手の一方の背面5と、天面3と、底面6と、扉7と、で構成する。
素材は、硬質紙・樹脂シート・段ボールなどで成形する。又は樹脂で一体成形してもよい。鉄板をプレスしたもの或いはそれに樹脂コーテイングや紙で覆ってもよい。
【0013】
扉7の構造は、両側面4の少なくとも一方の側面の正面2側の端部にヒンジ71を介して,正面2を開閉する扉7を設ける。
扉7は正面2の全域を覆う寸法にし、見出しとして使用できる。
扉7を係止する手段は、公知の係止方法でよい。例として、
図1と
図2では正面リブ22の上下に磁石81を取りつけ、扉7の上下に鉄片82を取りつける。その磁石81に替えて、
図11に示すとおり、扉7の下端が本体10の設置面101に当接するようにして、その摩擦を利用して扉7の動きを抑える方法でもよい。
磁石81の他、例えば面ファスナー・フック・紐留め・ホックや本体10の部材同士の組み合わせるインターロックと言われる係止構造などがある。
【0014】
天面3に設けた天面開口部31と、正面2に正面開口部21を設け、その正面開口部21の周囲を補強する正面リブ22を設ける。
正面開口部21の形状は、強度のある材質であれば四角でもよいが、硬質紙や樹脂シートの場合は、上方と下方をアーチ状24にすることで応力が分散し強度を維持できる。
正面リブ22は、折線を介して両側面4に延伸し,
図2のとおり折線を介し底面6の折り畳み部材6dに延伸しており、硬質紙や樹脂シートの場合、横断面視L字状の形となって強度を維持する。
図1の(c)A-A断面図のとおり、硬質紙や樹脂シートで形成する場合、正面リブ22に正面リブ22aを貼り合わせる、これにより正面リブ22が二枚の貼り合わせとなり強度を高められる。
正面リブ22の形状に合わせた補強材を正面開口部21の周囲に貼付けてもよい。
正面開口部21の中央の高さhは、収納文書が取り出せる高さにする。
本体10内の左右の端に収納した文書は、正面開口部21のアーチ状24と正面材22により一部見えなくなり取り出しにくいが中央の文書を一部取り出せば解決し、用済み後戻せばよい。
正面リブ22の下部は、収納物の飛び出しを防ぐ役割も果たす。
以上により、従来の天面開口部31に併せ正面開口部も文書の検索・出し入れが可能となる。
【0015】
図2は
図1の展開図である。
正面リブ22の上辺は連結部33の役割を兼ねる。
【0016】
図3は、背面5を折り畳み構造にしたものである。
図3(a)は、折り畳みを組立てた状態を示す斜視図であり、(b)は、折り畳み構造を示す斜視図であり、(c)は展開図である。
本体10を、天面3から背面5にかけて斜めのカットと、正面開口部21により収納物の検索・出し入れを容易にしたものである。
折り畳み方法は、背面5と正面2を菱形に変形させ、全体に上下方向に折り畳むことになる。
参考までに、一般の底面6の折り畳み構造の場合は、天面3と底面6を菱形に変形させ、前後方向に折り畳む方式である。
図3(c)展開図のとおり、底面6を中心に折線を介して両側面4と、折線Dを介して背面5cとその背面5cから折線を介して背面5dを設ける。
一方の側面4の背面5側端部に折線を介して背面5aを設け、対向する一方の側面4の背面5側端部に折線を介して背面5bを設ける。
背面5aの略中央に、コの字状で、そのコの字の両先端を折線Aと反対側に向けた切り込み92を設ける。コの字の両先端を結ぶ折り線95を設けることで返し部93が形成される。
両側面4を、折り線により底面6aに対し直角に立ち上げ、背面5bを折り線により前面側に直角に折った状態にし、次に背面5aを折り線により前面側に直角に折った状態で、折り線95と一致する背面5bの位置に折り線95と同一寸法の長孔の挿入部94を設ける。
背面5の組立て方法は、両側面4を折り線により直角に折り、背面5bを内側に直角に折り、背面5aを折り線により内側に折りながら返し部93を挿入部94に入れる。次いで背面5cを折り線により上側に直角に折り、次いで背面5dを折り線により下向きに折り本体10の内側に押し込み、突起部52を係止穴53に挿入する。
以上の背面5の折り畳み構造により、接着面を全廃しても箱体組立てが可能である。
折り畳み面を、荷重の少ない背面5に替え、底面6が両側面4に延設することで、底抜けの恐れを無くした。
背面5が、背面a~dの4枚で構成することで強度が増し、本体10全体の強度を上げられ、正面2を囲む面まで強化され、補強材25を廃することができる。
両側面4の前面側2の上端に連結部33aと33bをそれぞれ設け、それを貼り合わせ又は、かぎ型に組み合わせ、あるいは面ファスナーで連結することで内部からの圧力を受け止められる。
【0017】
図4は、(a)(b)とも斜視図であり、金属線又はプラスチックあるいは圧縮接着した厚紙などの強靭な材により、断面視円形で、正面2の形状に合わせロの字状に形成した棒状の補強材25を両側面4の正面2側の端部の上方と下方に設けた取付け部26に取り付けたものである。それにより、正面開口部21を補強できる。
取付け部26をヒンジ状にして棒状の補強材25を可動にすれば、本体10を、折り畳みを可能にできる。
樹脂シートや段ボール・厚紙などで形成する場合の取付け部26は、両側面4から延伸させ、正面開口部21の内側に、あるいは外側に向けて円筒状に巻き込み、棒状の補強材25を包み込むようにさせて両側面4に接着させる。
取付け部26に棒状の補強材25を取り付ける工程が製造上困難な場合は、ロの字状の棒状の補強材25の長手方向をコの字状に2分割し、上方の取付け部26の上端からと、下方の取付け部26の下端からそれぞれ挿入し、接手パイプにより結合する方法でもよい。
外扉72、と内扉73は、上方の取付け部26と下方の取付け部26の間に両側面4から前方に延伸させて一方を外扉72にし、対向する側の一方を内扉73とし、折り返し部11を接着して完成する。
図4(b)は、棒状の補強材の下辺に、底面組立て部材6dを回動可能に取り付けた状態を示し、これにより底面6が折り畳み可能になる。
図5は
図4の展開図である。
【0025】
図
6は効果の例を示す斜視図である。
(a)は、従来のボックスファイルを書類の検索・収納のため、ボックスファイルを棚Tから上げ降ろししなければならない状態Wを示す。
(b)は、本発明のボックスファイルは、棚に収容したままで扉7を開いた状態を示し、書類を収納する場合は、ボックスファイルを降ろさずに収納できる。
検索する場合は、複数のボックスファイルの扉を開き、収納した文書を一覧できる。
例えば、Aボックスファイルにあると思っていた文書がGボックスファイルに入っていることを一目で確認でき、文書を探す時間と労力を少なくできる。
従来は、A~Gまで7回上げ降ろしをすることになる。本発明は上げ降ろし不要である。
(c)は、扉7による本体の転倒を防止する状態を示す正面図である。
図4に示す外扉72と内扉73を開くことで、扉7下端の転倒防止部100が平面101に当接することで安定した直立を保持できる。
以上により単独で机上に置く場合、倒れることなく片手で出し入れが可能となる。
【0026】
以上の記載の中で、本体10を折り畳み可能にする構造を図示した場合でも、折り畳み構造を廃し樹脂などで一体形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
ビジネスで、物を探すムダな時間と労力を削減し、能率向上に寄与できる。
【符号の説明】
【0028】
1ボックスファイル 10本体
2正面 21正面開口部 22正面リブ 24アーチ状部 h正面開口部高さ 25補強材 26取り付け部 3天面 31天面開口部 33連結部 33a連結部a 33b連結部b 4両側面 5背面 6底面 7扉 71ヒンジ 72外扉 73内扉 8係止部 81磁石 82鉄片 9折りたたみ部 92コの字状の切り込み 93返し部 94返し挿入孔 100転倒防止部 101平面 T棚 W検索