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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】施術器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20230501BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A61H39/04 B
A61H7/00 300A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021070054
(22)【出願日】2021-04-18
(65)【公開番号】P2022164937
(43)【公開日】2022-10-28
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】505008958
【氏名又は名称】株式会社BHY
(74)【代理人】
【識別番号】100100918
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 公治
(72)【発明者】
【氏名】金沢 生花
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-45705(JP,A)
【文献】特開2007-259876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/04
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する筒状体と、
前記筒状体の軸線方向と略直交する状態で前記筒状体の一端に装着される板状体と、
を備え、
前記板状体は、周縁形状及び素材の少なくとも一方が異なる複数種類の板状体から成り、
前記複数種類の板状体の中から、施術を受ける顧客の体質に応じて選択された板状体が前記筒状体に装着される、施術器具。
【請求項2】
請求項1に記載の施術器具であって、
前記筒状体の前記中空部に収容される、アロマオイルを吐出する吐出装置を備え、
前記吐出装置から吐出されたアロマオイルが、前記筒状体に装着された前記板状体の孔を通って吐出される、施術装置。
【請求項3】
請求項1に記載の施術器具であって、
前記筒状体の前記中空部に収容される棒状ヒーターを備え、前記棒状ヒーターに通電して前記板状体を温めることが可能である、施術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の老廃物を排出するデトックス(解毒)の施術に使用される施術器具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、下記特許文献において、解毒法の施術に用いる種々の施術器具を提案している。
この施術器具は、基本的に、図7に示すように、金属製の板状体50と、板状体50の平面に垂直に立設された筒状体30とを備えており、図8に示すように、施術者は、筒状体30を把持し、板状体50の周縁部の各部を施術を受ける顧客40の身体に押し当てて皮膚を擦り、経絡やツボを刺激する。この刺激により、老廃物が溜まっている身体の箇所では、老廃物が皮膚近くに引き出されて皮下出血のような反応物が顧客40の皮膚表面に現れる。施術後、顧客は血行循環やリンパの流れが良くなり、老廃物が体外に排出されて、反応物は1週間前後できれいに消える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4299842号公報
【文献】特開2011-45705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、顧客によっては、板状体50の金属にアレルギー反応を示す場合があり、老廃物は体外に排出されても、丘疹や紅斑が皮膚表面に生じたり、痒みが続いたりすることがある。人の肌は様々であり、乾燥肌、敏感肌、アトピー性の肌等の顧客に対しては、肌状態に配慮した施術が必要である。
【0005】
また、中国では、古代から、人体は陰陽のバランスが取れていると健康で、バランスが失われると病気になると考えられている。「陽」が虚(不足)した陽虚体質の人には、顔色が悪い、甲状腺機能の低下、血圧が低い、脈拍が少ない、体温低下、寒がり、汗が出にくい、炎症反応が弱い、症状が出にくい、神経機能が不活発、等の状態が観られる。一方「陰」が虚した陰虚体質の人には、赤ら顔、甲状腺機能の亢進、血圧が高い、脈拍が多い、体温上昇、暑がり、汗かき、炎症反応が強い、症状が出やすい、神経機能が活発、等の状態が観られる。そのため、陽虚体質の人には新陳代謝を促進する施術が求められ、陰虚体質の人には過剰な新陳代謝を抑える施術が求められる。
【0006】
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、顧客の体質や状態に応じた施術を施すことができる施術器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の施術器具は、
(1)中空部を有する筒状体と、前記筒状体の軸線方向と略直交する状態で前記筒状体の一端に装着される板状体と、を備え、前記板状体は、周縁形状及び素材の少なくとも一方が異なる複数種類の板状体から成り、前記複数種類の板状体の中から、施術を受ける顧客の体質に応じて選択された板状体が前記筒状体に装着されるものである。
(2)(1)記載の施術器具であって、前記筒状体の中空部に収容される、アロマオイルを吐出する吐出装置を備え、前記吐出装置から吐出されたアロマオイルが、前記筒状体に装着された前記板状体の孔を通って吐出されるものである。
(3)(1)に記載の施術器具であって、前記筒状体の中空部に収容される棒状ヒーターを備え、前記棒状ヒーターに通電して前記板状体を温めることを可能にしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の施術器具は、前記(1)の構成を有するため、顧客の体質や肌の状態等に応じて、筒状体に装着する板状体を切替えることができ、顧客に対して適切な施術を施すことができる。
また、前記(2)の構成により、施術者は、アロマオイルに直接触れることなく、顧客の施術箇所にアロマオイルを塗布することができる。
また、前記(3)の構成により、顧客の肌に接触する前の板状体を温めることができ、冷たい板状体が肌に触れたときの顧客の緊張を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第1の実施形態に係る施術器具の分解図
図1B図1Aの筒状体60の端面を示す図
図1C図1Aの各部を結合した施術器具の側面図
図1D図1Cの施術器具を固定ネジ80の側から見た平面図
図2】板状体の第2の例を示す図
図3】板状体の第3の例を示す図
図4】板状体の第4の例を示す図
図5】アロマオイル吐出装置の一例を示す図
図6】棒状ヒーターを示す図
図7】従来の施術器具を示す図
図8】施術器具の使用形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る施術器具は、図1Aに示すように、円筒状の筒状体60と、筒状体60の一端61に装着される板状体70と、筒状体60に板状体70を固定する円筒状の固定ネジ80とを備えている。
【0011】
この筒状体60には、円筒表面にレリーフ模様が形成されており、レリーフ模様の隙間を通して円筒内部(中空部)を見ることができる。
筒状体60の板状体70が取付けられる一端61の内側には、固定ネジ80の雄ネジと螺合する雌ネジが設けられている。また、この一端61の端面には、図1Bに示すように、一対の凸部62が設けられている。
【0012】
板状体70は、曲率半径の異なる複数の曲線が結合された周縁部を有し、板の中央部に固定ネジ80の雄ネジが挿通される孔71を有し、孔71の周囲に、筒状体60の凸部62と係合する凹部72を有している。
【0013】
図1Cは、筒状体60の一端61の凸部62と板状体70の凹部72とが嵌まり合うように、筒状体60に対して板状体70を配置し、固定ネジ80を板状体70の孔71を通して筒状体60の一端61に螺合した状態の施術器具の側面図を示している。このように、筒状体60と板状体70とが固定ネジ80で一体化された施術器具では、板状体70が、筒状体60の軸線に略直交している。
【0014】
図1Dは、一体化された施術器具を固定ネジ80の側から見た状態を示している。円筒状の固定ネジ80は、中央に中空部81を有し、この中空部81は、筒状体60の中空部と連通している。
【0015】
この施術器具は、材質や周縁部の形状が異なる複数種類の板状体を備えており、図1A図1Cに示す板状体70は、複数種類の板状体の中から選択された一つのものを示している。
その他の板状体として、例えば、図2に示す木製のものや、図3に示す水牛角で形成したもの、図4で示す熊手状の形状を有するチタン製のもの等がある。
さらに、金や銀、玉を素材として板状体を形成したり、磁性を有する金属で形成したり、周縁部に真珠を埋め込んで板状体を構成したりしても良い。
【0016】
これらの板状体には、図1Aに示すように、固定ネジ80の雄ネジが挿通される孔71と、筒状体60の凸部62に係合する凹部72とを設けることで、固定ネジ80により筒状体60と一体化することができる。
【0017】
顧客が金属アレルギーであるときは、複数種類の板状体の中から、木製や水牛角の板状体を選択する。
敏感肌の顧客には、局所的に強い力が作用しないように、緩やかな曲線形状を有し、剛性の低い素材の板状体を選択する。
また、陽虚体質の顧客には、広い範囲で新陳代謝が促進されるように、熊手状の板状体を選択し、陰虚体質の顧客には、新陳代謝が進み過ぎないように、図2の形状の板状体を選択する。
【0018】
このように、顧客の体質や肌の状態に応じて、筒状体60に装着する板状体を切替えることで、それぞれの顧客に対して適切な施術を施すことができる。
【0019】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る施術器具は、図1Cに示す筒状体60の中空部に、図5に示す、アロマオイルの吐出装置90が装着されている。
【0020】
この吐出装置90は、吐出孔92を有するシリンダ91と、シリンダ91の内壁に密接して移動する移動体93と、移動体93の移動をシリンダ91の外部から操作する操作部94とを備えており、操作部94と移動体93とが連結棒95で接続されている。
【0021】
この吐出装置90では、吐出孔92を有するシリンダ91の面を、容器に貯めたアロマオイルに接触させた状態で、操作部94を上方に引き出すと、アロマオイルが吐出孔92からシリンダ91内に進入し、シリンダ91の移動体93によって区画された空間に溜まる。
【0022】
この状態の吐出装置90を筒状体60の中空部に装着し、操作部94を少しずつ押せば、シリンダ91内に溜まったアロマオイルが少量ずつ小径の吐出孔92から飛び出す。このアロマオイルは、筒状体60の一端61の孔63、板状体70の孔71及び固定ネジ80の中空部81を通過して顧客の肌に到達する。
【0023】
従来は、施術器具による施術に先立ち、施術者が手にアロマオイルを垂らして顧客に塗っていたが、この方法では、施術者が油でベトベトの手をタオルで拭うのに多くの時間を要していた。
本発明の施術器具を使用する施術者は、アロマオイルに直接触れることなく、顧客にアロマオイルを塗布することができるため、施術作業を効率的に進めることができる。
【0024】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る施術器具は、図1Cに示す筒状体60の中空部に、図6に示すの棒状ヒーター100が装着される。
棒状ヒーター100は、ニクロム線等の加熱エレメントを鞘(シース)で被った、外形が棒状のヒーターであり、加熱が電熱により行われる。
【0025】
例えば、施術に先立ち、棒状ヒーター100を施術器具の筒状体60の中空部に挿入し、通電して棒状ヒーター100を加熱し、この熱で板状体70を温める。
顧客の肌に触れる板状体70が冷たいと、顧客は緊張してしまうが、板状体70を温めてから施術を開始することにより、顧客はリラックスして施術を受けることができる。
なお、施術開始後は、棒状ヒーター100を施術器具から取り外しても良い。
【0026】
ここで示した板状体70やアロマオイル吐出装置90、棒状ヒーター100は、いずれも一例であって、本発明は、それらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の施術器具は、中国民間療法や、美容分野、ヘルス分野、アンチエイジング分野など心身に美しさ、健やかさ、若さをもたらすことを目的として行われる施術に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
30 筒状体
40 顧客の身体
50 板状体
60 筒状体
61 筒状体の一端
62 凸部
70 板状体
71 孔
72 凹部
80 固定ネジ
81 中空部
90 アロマオイル吐出装置
91 シリンダ
92 吐出孔
93 移動体
94 操作部
95 連結棒
100 棒状ヒーター
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8