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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】表示パネル及び操作表示パネル
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230501BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/33
G09F9/30 349A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022553491
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2021027103
(87)【国際公開番号】W WO2022070564
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020164195
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518074753
【氏名又は名称】mui Lab株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗彦
【審査官】道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106917968(CN,A)
【文献】国際公開第2019/083051(WO,A1)
【文献】特表2005-502083(JP,A)
【文献】特開2016-122820(JP,A)
【文献】特開2020-98362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00- 9/30
H01L 33/00-33/46
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体を含まない発光素子が2次元配列された発光素子アレイ基板と、
前記発光素子アレイ基板に積層される蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材と、
前記蛍光体シート又は前記蛍光体樹脂基材に積層され、前記発光素子の光軸方向に導光路を形成し、光指向性を有する導光路形成基材と、
前記導光路形成基材の出射面側を被覆する光拡散性の不透明の薄層、
を備えた表示パネル。
【請求項2】
蛍光体を含まない発光素子が2次元配列された発光素子アレイ基板と、
前記発光素子アレイ基板に積層され、前記発光素子の光軸方向に導光路を形成し、光指向性を有する導光路形成基材と、
前記導光路形成基材に積層される蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材と、
前記蛍光体シート又は前記蛍光体樹脂基材の出射面側を被覆する光拡散性の不透明の薄層、
を備えた表示パネル。
【請求項3】
前記薄層と前記導光路形成基材の間に、又は、前記導光路形成基材と前記発光素子アレイ基板の間に、透明基材が積層されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記蛍光体シート又は前記蛍光体樹脂基材の蛍光色は、前記発光素子の発光色の補色であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の表示パネル。
【請求項5】
前記発光素子アレイ基板の上には、前記発光素子の間に前記発光素子の高さより高い衝立状壁部が設けられたことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の表示パネル。
【請求項6】
前記導光路形成基材は、樹脂又は金属基材に微細孔が設けられ、該微細孔は、格子状のルーバにより形成され、格子状のルーバの間隙が、前記発光素子アレイ基板に配列された前記発光素子の光軸に沿った導光路となることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の表示パネル。
【請求項7】
前記導光路形成基材は、透明性樹脂から成る樹脂基材に微細孔が設けられ、該微細孔に前記樹脂基材とは屈折率の異なる透光性材料が充填されたものであることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の表示パネル。
【請求項8】
前記導光路形成基材は、少なくとも2枚のルーバフィルムを、ルーバが直交するように積層されたものであることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の表示パネル。
【請求項9】
前記導光路形成基材は、微細繊維の集合体から成ることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の表示パネル。
【請求項10】
前記導光路形成基材は、前記発光素子アレイ基板の前記発光素子の周囲を囲む衝立状壁部の集合体であって、前記衝立状壁部の高さは前記発光素子の高さより高いことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の表示パネル。
【請求項11】
前記衝立状壁部は、前記発光素子アレイ基板の上に印刷形成されたものであることを特徴とする請求項5又は10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記導光路形成基材は、フレキシブル性を有する樹脂で形成されることを特徴とする請求項1~11の何れかに記載の表示パネル。
【請求項13】
前記蛍光体樹脂基材は、樹脂に蛍光体が混錬され形成された基材であることを特徴とする請求項1~12の何れかに記載の表示パネル。
【請求項14】
前記発光素子アレイ基板は、フレキシブル性を有する樹脂又は非平面で形成されることを特徴とする請求項12の何れかに記載の表示パネル。
【請求項15】
前記蛍光体シート又は前記蛍光体樹脂基材は、黄色蛍光体と赤色蛍光体、又は、緑色蛍光体と赤色蛍光体で構成されることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の表示パネル
【請求項16】
前記薄層は、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革、又は、天然石材から成ることを特徴とする請求項1~15の何れかに記載の表示パネル。
【請求項17】
前記薄層は、自然由来の木材の外観と手触りを模倣した樹脂、天然繊維の外観と手触りを模倣した合成繊維、天然皮革の外観と手触りを模倣した合成皮革、又は、天然石材の木材の外観と手触りを模倣した人工石から成ることを特徴とする請求項1~15の何れかに記載の表示パネル。
【請求項18】
請求項1~17の何れかの表示パネルにおいて、
前記薄層の裏面に透明導電性シートが積層されたことを特徴とする操作表示パネル。
【請求項19】
請求項1~17の何れかの表示パネルにおいて、
前記導光路形成基材の出射面又は入射面に透明導電性シートが積層されたことを特徴とする操作表示パネル。
【請求項20】
請求項3の表示パネルにおいて、
透明基材の入射面に透明導電性シートが積層されたことを特徴とする操作表示パネル。
【請求項21】
請求項1~17の何れかの表示パネルにおいて、
ユーザの手の形や動きのジェスチャーを認識できる光センサが更に設けられることを特徴とする操作表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電化製品のコントローラ、電子機器のディスプレイ又は自動車等の移動体等に搭載する操作表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術は目覚しい進化を遂げている。かつては、パーソナルコンピュータは自宅やオフィスなどの限られた空間のみで利用されていたが、スマートフォンやタブレット端末の普及により、今日ではいつでも誰でもインターネット等を利用した利便性の高い生活を送ることができるようになっている。また、IoT(Internet of Things)の観点から、従来はインターネットに接続されていなかった家電製品等についても、インターネットを利用した新しい製品が次々に開発されている。このように、インターネットやインターネットを利用した製品は、既に人々の生活に欠かせないものとなっており、そのような製品は、あらゆる場所に設置され、或は携帯されて、多くの人に利用されている。
しかしながら、このようにあらゆる機器が自身の身の回りに存在することで、便利な生活を享受できる反面、電子機器に囲まれて生活することにストレスを感じている人も多い。
【0003】
例えば、自然の木の温もりを大切にしたホテルは、宿泊する者にとって仕事等を忘れてリラックスできる上質な空間であるといえる。しかしながら、そのような客室の中に無機質な形態をした電子機器、ディスプレイ又はコントローラが多数置かれていると、日常を忘れて充分にリラックスするということができなくなってしまうのである。
【0004】
そこで、木材などから成る薄層が、筐体の外周面に組込まれたタッチセンサ付き表示パネル前面全体を被覆し筐体の外周面に配設された操作表示パネル組込物品が知られている(特許文献1を参照)。これは、薄層の厚さとパネルの輝度が、該パネルに表示されたコンテンツを視認できるように設計されたものであり、かかる技術によれば、操作表示パネルが組み込まれた物品であっても、空間に自然に調和してユーザにとって視覚的ノイズとならず、かつ、ユーザが使用したいと思ったときや必要なときには、自然素材の手触りを感じながら直感的に操作することが可能である。
【0005】
そして、特許文献1の操作表示パネル組込物品では、表示の際の視認性を向上させるために、透明導電性シートと発光素子アレイの間に、発光素子の光の射出方向を導くライトガイドが設けられるとしている。ここでのライトガイドとは、発光素子アレイの基板に積層される不透明の暗色基材であり、発光素子アレイ全体を囲い込み、それぞれの発光素子の光軸に沿って貫通孔が設けられているものを指している。このように、それぞれの発光素子の光軸に沿って貫通孔が設けられることにより、発光時の視認性を向上させることができるとする。
しかしながら、表示パネルの前面に薄層を設ける構造では、発光時の視認性をより向上させるニーズは依然として存在する。
また、表示パネルの前面に薄層を設ける構造では、装置につき一定の厚みが必要となるが、装置の薄型化のニーズもあり、さらに低コストで作製するニーズも存在する。すなわち、薄型化については、特許文献1に示すライトガイドでは作製時に穴開け工程が必要になるところ、ディスプレイが高精細化したときには、小さな穴を開けることが工程上や強度上困難になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6370519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる状況に鑑みて、本発明は、装置の薄型化を図りつつ、より高精細なディスプレイにも対応すべく発光時の視認性を向上させ、かつ低コストで作製可能な表示パネル及び操作表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の第1の観点の表示パネルは、蛍光体を含まない発光素子が2次元配列された発光素子アレイ基板と、発光素子アレイ基板に積層される蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材と、蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材に積層され、発光素子の光軸方向に導光路を形成する導光路形成基材と、導光路形成基材の出射面側を被覆する不透明の薄層を備える。
発光素子アレイ基板に2次元配列される発光素子として、蛍光体が含まれない発光素子を用いることで、発光素子への蛍光体樹脂のモールドが不要になるため、発光素子の小型化が可能となり、生産性向上や薄型化に寄与する。蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材を用いることで、発光素子と蛍光体の位置合わせが不要となり、低コストでの作製が可能である。
蛍光体シートは、その厚みが薄く設けられることで、蛍光体シート内での光の散乱を抑え、表面素材に表示される光の滲みが軽減される。蛍光体シート内での光の拡散度合いによるが、光の滲みの軽減のためには、例えば、蛍光体シートの厚みが0.4mm未満にすることが好ましい。また、蛍光体シートは、蛍光体を含有した液剤を導光路形成基材の表面もしくは裏面、又は、薄層の裏面に塗布して形成してもよい。
また、蛍光体シートは、より厚みを設けた蛍光体樹脂基材とすることで、薄層を貼り付ける基材の替わりに使用することも可能である。その場合には、蛍光体樹脂基材の表面に、発光素子の配列に合わせて貫通孔が形成された不透明マスクを設けることが好ましい。蛍光体樹脂基材の表面に不透明マスクを設けることにより、蛍光体における光の拡散を防止することができる。
蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材を構成する蛍光体は、単色のものに限られず、複数色の蛍光体を用いるものでもよい。例えば、2色の蛍光体を市松模様に配置してもよい。
また、蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材の蛍光色は、発光素子の発光色の補色であることでもよい。二つの色光が加法混色で白色光を生ずるとき、2色は互いに補色であり、発光素子の発光色が、蛍光体シートの蛍光色によって、白色光を生じさせることができる。
導光路形成基材の出射面側、又は、蛍光体シートもしくは蛍光体樹脂基材の出射面側、すなわち、表示パネルの出射面側を被覆する不透明の薄層は、非表示時に発光素子の存在を見えなくする効果や、用いる素材によっては審美性やリラックス効果を与える効果がある。また、導光路が形成された導光路形成基材を通して指向性が高くなった光を、不透明の薄層を通すことで拡散させるバックプロジェクションのスクリーンとしての効果も有している。
【0009】
本発明の表示パネルは、発光素子の光軸方向に導光路を形成する導光路形成基材を備えることにより、発光素子の光を効率的に直進させることができる。これにより、光のロスが少なくなり、薄層に表示される際の光量が増加し、表示性能を向上させることができる。また、発光素子部品のコストダウン及び小型化、消費電力及び発熱の抑制などの効果が得られる。さらに発光素子部品の小型化は、画素の高密度化に寄与する。
また、従来技術のライトガイドとは異なり、発光素子と導光路形成基材の位置合わせが不要となるため、作製コストを低減できる。
本発明の第1の観点の表示パネルにおいては、発光素子アレイ基板上に蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材を積層し、発光素子アレイ基板の発光素子からの出射光が、蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材、導光路形成基材の順に透過することで、発光素子の発光位置や方向によって起こる輝度や色のばらつきが改善でき、生産性や薄型化での効果が期待できる。
【0010】
本発明の第2の観点の表示パネルは、蛍光体を含まない発光素子が2次元配列された発光素子アレイ基板と、発光素子アレイ基板に積層され、発光素子の光軸方向に導光路を形成する導光路形成基材と、導光路形成基材に積層される蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材と、蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材の出射面側を被覆する不透明の薄層を備える。
発光素子アレイ基板の発光素子からの出射光が、導光路形成基材、蛍光体シート又は蛍光体樹脂基材の順に透過することにより、発光素子の光を導光路形成基材において直進させた後に、蛍光体シート等を透過させることができ、蛍光体シート等における光の拡散を防止することが可能である。
本発明の表示パネルは、薄層と導光路形成基材の間に、又は、導光路形成基材と発光素子アレイ基板の間に、透明基材が積層されることでもよい。
透明基材は、薄膜の裏面に積層されてもよいし、導光路形成基材の表面(出射側)または裏面(入射側)に積層されてもよい。透明基材としては、透明ポリカーボネート(PC)や透明ポリエチレンテレフタレート(PET)などを使用できる。この透明基材の厚みを変えて、薄層上に表示される文字や図の滲み方を調整することが可能である。
また、本発明の表示パネルにおいて、発光素子アレイ基板の上には、発光素子の間に発光素子の高さより高い衝立状壁部が設けられてもよい。衝立状壁部は、発光素子アレイ基板上に、例えば印刷により形成することができる。衝立状壁部が設けられることにより、発光素子の光が横方向に漏れ表示性能が低下することを防止することができる。なお、衝立状壁部の高さは、ニーズに応じて適宜設計可能であるが、衝立状壁部をより高く設けることにより、発光素子の光をより効果的に上方へと導くことができる。一方で、発光素子の高さ以下とならない範囲で、衝立状壁部をより低く設けることにより、表示パネルの薄型化を図ることもできる。
ここで、衝立状壁部は、発光素子アレイ基板の上に印刷形成されたものでもよい。発光素子のサイズがミリオーダーから、ミクロンオーダにダウンサイジング化されていくことにより、発光素子アレイ基板上に印刷形成したものが、発光素子の高さより高い衝立状壁部として機能することができるからである。
【0011】
本発明の表示パネルにおいて、導光路形成基材は、樹脂又は金属基材に微細孔が設けられ、該微細孔は、格子状のルーバにより形成され、格子状のルーバの間隙が、発光素子アレイ基板に配列された発光素子の光軸に沿った導光路となるものが好適に用いられる。また、導光路形成基材は、透明性樹脂から成る樹脂基材に微細孔が設けられ、該微細孔に樹脂基材とは屈折率の異なる透光性材料が充填されたものであることでもよい。上記構成とされることにより、発光素子の光を効率的に直進させることができ、表示性能を高めることができる。樹脂又は金属基材に、格子状のルーバにより形成される微細孔が設けられるものや、樹脂基材に設けられた微細孔に透光性材料が充填された導光路形成基材としては、公知のプライバシーフィルターが好適に用いられる。
なお、本明細書において、微細孔の形状については特に限定は無く、平面視で円形の孔だけではなく、例えば平面視で六角形等の多角形状でもよい。
【0012】
本発明の表示パネルにおいて、導光路形成基材は、少なくとも2枚のルーバフィルムを、ルーバが直交するように積層されたものであることでもよい。複数枚のルーバフィルムを積層することで、格子状のルーバを用いない場合でも、低コストで発光素子の光を効率的に直進させることができ、表示性能が向上する。
【0013】
本発明の表示パネルにおいて、導光路形成基材は、微細繊維の集合体から成ることでもよい。導光路形成基材が、微細繊維の集合体から成ることにより、発光素子の光を効率的に光軸にそって直進させることができ、表示性能を高めることができる。微細繊維は、光ファイバやウレキサイトなど幅広く利用可能であるが、ガラス製又はプラスチック製の光ファイバであることが好ましい。上述した微細孔の場合は、孔内で光が吸収され表面に到達する光量は減少するが、光ファイバなどの微細繊維では光が全反射するため光の吸収が抑えられ、表面に到達する光量が増加するという利点がある。
本発明の表示パネルにおいて、導光路形成基材は、発光素子アレイ基板の発光素子の周囲を囲む衝立状壁部の集合体であってもよい。この衝立状壁部の高さは発光素子の高さより高いことで、発光素子の光軸方向に導光させることができる。
【0014】
本発明の表示パネルにおいて、導光路形成基材は、フレキシブル性を有する樹脂で形成されることでもよい。導光路形成基材がフレキシブル性を有する樹脂で形成されることにより、多様な形状の表示パネルを作製可能である。
また、蛍光体シートがフレキシブルであり、導光路形成基材がフレキシブル性を有する樹脂で形成される場合は、発光素子アレイ基板についても、フレキシブル性を有する樹脂又は非平面で形成されることでもよい。かかる構成とすることにより、表示パネル全体を屈曲又は湾曲させた形状とすることができ、多様なデザインの表示パネルを作製することが可能となる。
本発明の表示パネルにおいて、蛍光体樹脂基材は、樹脂に蛍光体が混錬され形成された基材であってもよい。樹脂に蛍光体が混錬され形成された基材であれば、厚みを確保でき、ある程度の強度を持たせることが可能である。
【0015】
上述のように、表示パネルの出射面側を被覆する不透明の薄層は、非表示時に発光素子の存在を見えなくする効果や、導光路が形成された基材を通して指向性が高くなった光を、不透明の薄層を通すことで拡散させるバックプロジェクションのスクリーンとしての効果を有している。指向性が高くなった光を拡散させる効果は、より高精細なディスプレイで汎用的に利用できるため、薄層の材質としては樹脂や金属、その他の自然素材等幅広い材質を用いることができ、形状としてもシート状に限らず、塗膜により形成されるものでもよい。
また、表示パネルの出射面側を被覆する不透明の薄層は、用いる素材によっては審美性やリラックス効果を与える効果がある。したがって、本発明の表示パネルにおいて、薄層は、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革、又は、天然石材から成ることが好ましい。
或いは、薄層は、自然由来の木材の外観と手触りを模倣した樹脂、天然繊維の外観と手触りを模倣した合成繊維、天然皮革の外観と手触りを模倣した合成皮革、又は、天然石材の木材の外観と手触りを模倣した人工石から成ることが好ましい。
自然由来の素材又は自然の外観と手触りを模倣して生成された素材を用いることによって、自然な手触り感を実現することができる。したがって、自然の外観や、自然な手触り感を実現するものであれば、薄層の材料として樹脂などの高分子材料を用いることもできる。樹脂は成形が容易であるため、3次元的に複雑な形状の薄層を作製できるという利点がある。ここで、高分子材料とは分子量が大きい材料を示し、モノマーを重合させて得られるポリマーや、天然高分子などの分子量の大きい化合物をいう。また、静電容量式タッチパネルにおいて樹脂を用いる場合には、比誘電率が高く絶縁性の樹脂が用いられることが好ましい。
【0016】
本発明の操作表示パネルは、上記の何れかの表示パネルにおいて、薄層の裏面に透明導電性シートが積層される。或いは、本発明の操作表示パネルは、上記の何れかの表示パネルにおいて、導光路形成基材の出射面又は入射面に透明導電性シートが積層される。透明導電性シートの他、薄層の周囲に取り付けられる赤外線方式タッチセンサや、ユーザの手の形や動きのジェスチャーを認識できる光センサを設けることでも、操作表示パネルとして機能でき、操作入力デバイスとして利用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示パネル及び操作表示パネルによれば、装置の薄型化を図りつつ、より高精細なディスプレイにも対応すべく発光時の視認性を向上させ、かつ低コストで作製できるといった効果がある。
また、蛍光体シートを薄層の直ぐ下に配置した場合には、薄層の色に合わせて蛍光体シートの特性を変えられるといった効果がある。例えば、蛍光体シートに含まれる蛍光体の配合を変えることで、青色LEDと黄色蛍光体により生成される白色光の波長分布や色温度を変えることができる。これにより、例えば木材の色味や材質に合わせて白色光の色温度を変えることで、表面素材を透過して最終的に表面に映しだされる色味を調整することが、基板の構成を変えることなく実現される。その結果、薄層として多様な素材を利用できたり、例えば自然素材を用いた場合の一点毎のばらつきに対して、単一の基板の利用が可能となり、低コストでの対応が可能となるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の操作表示パネルの断面模式図
図2】実施例2の操作表示パネルの断面模式図
図3】実施例3の表示パネルの断面模式図
図4】実施例4の表示パネルの断面模式図
図5】実施例5の操作表示パネルの断面模式図
図6】実施例6の操作表示パネルの断面模式図
図7】実施例7の表示パネルの断面模式図
図8】実施例8の表示パネルの断面模式図
図9】実施例9の操作表示パネルの断面模式図
図10】実施例10の操作表示パネルの断面模式図
図11】従来技術の操作表示パネル組込物品の構成イメージ図
図12】従来技術の操作表示パネル組込物品の断面模式図
図13】実施例12の操作表示パネルの断面模式図
図14】実施例13の表示パネルの断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0020】
まず、本発明の実施形態を説明するに当たり、従来技術の操作表示パネルを用いた操作表示パネル組込物品の基本的構成について説明する。
図11は、従来技術の操作表示パネル組込物品の構成イメージ図を示している。図11に示すように、操作表示パネル組込物品111は、突板2、透明基材3、透明導電膜として透明導電性シート4、ライトガイド5及び発光素子アレイとして発光素子アレイ基板6から構成され、それぞれ上から順に積層されている。シカモア材が用いられた突板2は、操作表示パネル組込物品111の外表面に位置し、発光素子アレイ基板6は物品内部に位置するように構成される。発光素子アレイ基板6には多数のLED光源7が2次元に配列されている。ライトガイド5は、各LED光源7の光の射出方向を発光素子アレイ基板6と垂直方向に導くものであり、LED光源7の個数と同じガイド孔5aが設けられている。
【0021】
図11においては、説明の都合上、全てのLED光源を図示していないが、例えば、縦32個横200個の計6400個のLED光源で発光素子アレイ基板6が構成される。1つのLED光源は平面実装タイプのLEDで構成される。1つのLED光源の光で点光源を実現し、これを1ドットと見て、8×8ドット、或は、16×16ドットで1つの文字や図柄を表現することができる。例えば、6400個のLED光源を有する発光素子アレイ基板6の場合、22文字×3行の文章を表現することができる。ここで、LED光源は、例えば、2mm×2mmのサイズで、700~1000mcd(ミリカンデラ)のものを用いる。
ライトガイド5は暗色の基材であり、LED光源7から発せられる光で構成される文字や図柄を、突板2を通して鮮明に視認させる役割を担っている。すなわち、発光素子アレイ基板6の上にライトガイド5が積層された際に、各LED光源7の真上にガイド孔5aが配置されるように、LED光源7の配置に合わせて、多数のガイド孔5aが設けられている。
【0022】
次に、従来技術の表示パネルを用いた操作表示パネル組込物品の組み立て後の構造について図12を参照しながら説明する。
図12は、従来技術の操作表示パネル組込物品の断面模式図を示している。図12に示すように、操作表示パネル組込物品111において、突板2、透明基材3、透明導電性シート4、ライトガイド5及び発光素子アレイ基板6は、筐体8によって、上から順に積層された状態で接着されている。発光素子アレイ基板6上に設けられたLED光源7から発せられた光の内、斜めに発せられた光(90b,90c)は、ライトガイド5によって遮られ、光90aのように真っ直ぐな光として、突板2に届くこととなる。なお、筐体8は、主にABS樹脂で形成されている。
突板2と透明基材3、又は、透明基材3と透明導電性シート4は、間隙を設けることなく、貼り合わされている。これに対して、透明導電性シート4とライトガイド5の間には、ギャップGが設けられている。これは、ライトガイド5にはガイド孔5aが設けられているため、透明導電性シート4とライトガイド5を接着すると、タッチパネルを操作した際に、応力にばらつきが生じ、誤作動の原因となるためである。
【0023】
また、ライトガイド5とLED光源7の間にも、ギャップGが設けられている。発光素子アレイ基板6に設けられるLED光源7や、ライトガイド5に設けられるガイド孔5aの数は、数千個にも及ぶことから、ライトガイド5と発光素子アレイ基板6を積層した場合に、配置の誤差が生じる可能性がある。誤差が生じた状態で、ライトガイド5と発光素子アレイ基板6を接着すると、LED光源7から発せられた光がガイド孔5aに通らず、正確な表示がなされないこととなる。そこでギャップGを設けることにより、LED光源7とガイド孔5aの配置の誤差による表示品質の低下を防止することができる。また、多少の誤差があっても表示品質が保たれるため、製造が容易となる。
以下では、本発明の表示パネル又は操作表示パネルについて説明する。なお、以下の実施例で説明する表示パネル又は操作表示パネルは、図12に示すような筐体8に内蔵することも可能である。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1の操作表示パネルの断面模式図を示している。図1に示すように、操作表示パネル101においては、従来技術の操作表示パネル組込物品111とは異なり、透明基材3の替わりに、発光素子の光軸方向に導光路を形成する導光路形成基材30が設けられている。
発光素子70は、発光素子に蛍光体が含まれておらず、発光素子への蛍光体樹脂のモールドが不要なため、発光素子の小型化が可能な構成となっている。発光素子70に蛍光体が含まれていない替わりに、突板2と導光路形成基材30の間には蛍光体シート10が設けられている。このように、蛍光体シート10を用いることで、発光素子と蛍光体の位置合わせが不要となり、低コストでの作製が可能である。なお、本明細書では、発光素子70は青色LEDであり、蛍光体シート10は、補色となる黄色蛍光体で構成されているが、その他の構成でもよい。例えば、蛍光体シート10につき黄色蛍光体と赤色蛍光体、又は緑色蛍光体と赤色蛍光体などで構成されることでもよい。
【0025】
導光路形成基材30は、透明性樹脂から成る樹脂基材であり、発光素子の光軸方向に多数の微細孔がガイド孔30aとして形成されている。図示しないが、ガイド孔30aは、格子状のルーバにより形成され、格子状のルーバの間隙が発光素子70の光軸に沿った導光路となっている。或は、ガイド孔30aに、導光路形成基材30本体とは屈折率の異なる透光性材料が充填されることにより、ガイド孔30aが発光素子70の出射光の導光路となっている。すなわち、発光素子70から発せられた光9aは、ガイド孔30aを通過することにより、発光素子70の出射光を効率的に直進させることができる。これにより、光のロスが少なくなり、薄層に表示される際の光量が増加し、表示性能を向上させることができる。また、ライトガイド5を設けない構成とすることにより、コストダウン及び薄型化を図ることができる。
【0026】
発光素子70から発せられた光9aは、ガイド孔30aを通過した後、蛍光体シート10を透過することにより、発光色が調整された状態で、突板2に到達することとなる。このように、発光素子70からの出射光が、導光路形成基材30、蛍光体シート10の順に透過することにより、発光素子の光を導光路形成基材30において直進させた後に、蛍光体シート10を透過させることができ、蛍光体における光の拡散を防止することが可能である。
蛍光体シート10は、その厚みを薄く設けられることで、蛍光体内での光の散乱を抑え、表面素材に表示される光の滲みが軽減される。
また、光9bは、蛍光体シート10においては滲みにくい構造となっているが、突板2において拡散するため視野角は広くなる。したがって、光量を増加させつつ、広い視野角が得られる構成とすることができ、発光時の視認性が向上する。なお、上述のように、突板2はシカモア材が用いられているため、鮮明な表示でありつつ、かつ自然素材の温かみが感じられる柔らかな見た目の表示が実現できる。
【実施例2】
【0027】
図2は、実施例2の操作表示パネルの説明図を示している。図2に示すように、従来技術とは異なり操作表示パネル102においては、ライトガイド5の替わりに、導光路形成基材として導光路形成基材31が設けられている。透明性樹脂から成る樹脂基材である導光路形成基材31本体には、多数の微細孔がガイド孔31aとして形成されている。図示しないが、ガイド孔31aは、格子状のルーバにより形成され、格子状のルーバの間隙が発光素子70の光軸に沿った導光路となっている。或は、ガイド孔31aに、導光路形成基材31本体とは屈折率の異なる透光性材料が充填されることにより、ガイド孔31aが発光素子70の出射光の導光路となっている。図2に示す導光路形成基材31は、図1に示す導光路形成基材30よりも厚く設けられているが、導光路形成基材の厚みについて特に限定するものではない。すなわち、導光路形成基材の厚みはニーズに応じて多様な厚みを採用することができる。例えば、導光路形成基材30の剛性を高めたい場合には、より厚みを持たせた構成とすることもできるし、装置の薄型化を図るために、導光路形成基材31をより薄型の構成としてもよい。
ガイド孔31aは、発光素子アレイ基板6に配列された発光素子70の光軸に沿った導光路となることにより、発光素子70から発せられる光9aを効率的に直進させることができる。ガイド孔31aを直進した光は、蛍光体シート10により発光色が調整され光9bとなり、表示面に届くことになる。これにより、光のロスが少なくなり、突板2に表示される際の光量が増加し、表示性能を向上させることができる。
【実施例3】
【0028】
図3は、実施例3の表示パネルの説明図を示している。図3に示すように、表示パネル107は、操作表示パネル101とは異なり、透明導電性シート4が設けられていない。その他の構成については、操作表示パネル101と同様である。
このように、透明導電性シート4が設けられない表示パネルにおいても、発光素子に蛍光体が含まれない発光素子70、蛍光体シート10及び多数の微細孔が形成された導光路形成基材30を用いて、装置の薄型化を図りつつ、発光時の視認性をより向上させ、かつ低コストで作製可能な構成とすることができる。
【実施例4】
【0029】
図4は、実施例4の表示パネルの断面模式図を示している。図4に示すように、表示パネル108は、操作表示パネル102とは異なり、透明導電性シート4が設けられていない。その他の構成については、操作表示パネル102と同様である。
このように、透明導電性シート4が設けられない表示パネルにおいても、発光素子に蛍光体が含まれない発光素子70、蛍光体シート10及び多数の微細孔が形成された導光路形成基材31を用いて、装置の薄型化を図りつつ、発光時の視認性をより向上させ、かつ低コストで作製可能な構成とすることができる。
【実施例5】
【0030】
図5は、実施例5の操作表示パネルの断面模式図を示している。図5に示すように、操作表示パネル103は、操作表示パネル101とは異なり、透明導電性シート4と発光素子70の間に蛍光体シート10が設けられている。その他の構成については、操作表示パネル101と同様である。
図5に示すように、発光素子70から発せられた光9aは、蛍光体シート10を透過し、発光色が調整された状態で、ガイド孔30aを通過して、突板2に到達することとなる。このように、発光素子70からの出射光が、蛍光体シート10、導光路形成基材30の順に透過した場合でも、一定程度、発光時の視認性をより向上させる効果は得られる。また、各部材の配置は操作表示パネル101と異なるものの、使用する部材は同一であるので、装置の薄型化を図りつつ、低コストで作製することが可能である。
【実施例6】
【0031】
図6は、実施例6の操作表示パネルの断面模式図を示している。図6に示すように、操作表示パネル104は、操作表示パネル102とは異なり、導光路形成基材31と発光素子70の間に蛍光体シート10が設けられている。その他の構成については、操作表示パネル102と同様である。
図6に示すように、発光素子70から発せられた光9aは、蛍光体シート10を透過し、発光色が調整された状態で、ガイド孔31aを通過して、突板2に到達することとなる。このように、発光素子70からの出射光が、蛍光体シート10、導光路形成基材31の順に透過した場合でも、一定程度、発光時の視認性をより向上させる効果は得られる。また、各部材の配置は操作表示パネル102と異なるものの、使用する部材は同一であるので、装置の薄型化を図りつつ、低コストで作製することが可能である。
【実施例7】
【0032】
図7は、実施例7の表示パネルの断面模式図を示している。図7に示すように、表示パネル109は、操作表示パネル101とは異なり、透明導電性シート4が設けられていない。また、導光路形成基材30と発光素子70の間に蛍光体シート10が設けられている。その他の構成については、操作表示パネル101と同様である。
図7に示すように、発光素子70から発せられた光9aは、蛍光体シート10を透過し、発光色が調整された状態で、ガイド孔30aを通過して、突板2に到達することとなる。このように、発光素子70からの出射光が、蛍光体シート10、導光路形成基材30の順に透過した場合でも、一定程度、発光時の視認性をより向上させる効果は得られる。また、透明導電性シート4が設けられない点以外は、操作表示パネル103と同様であり、装置の薄型化を図りつつ、低コストで作製することが可能である。
【実施例8】
【0033】
図8は、実施例8の表示パネルの断面模式図を示している。図8(1)に示すように、表示パネル110は、操作表示パネル102とは異なり、透明導電性シート4が設けられていない。また、導光路形成基材31と発光素子70の間に蛍光体シート10が設けられている。その他の構成については、操作表示パネル102と同様である。
図8(1)に示すように、発光素子70から発せられた光9aは、蛍光体シート10を透過し、発光色が調整された状態で、ガイド孔31aを通過して、突板2に到達することとなる。このように、発光素子70からの出射光が、蛍光体シート10、導光路形成基材31の順に透過した場合でも、一定程度、発光時の視認性をより向上させる効果は得られる。また、透明導電性シート4が設けられない点以外は、操作表示パネル104と同様であり、装置の薄型化を図りつつ、低コストで作製することが可能である。なお、透明基材3と導光路形成基材31の積層順については、図8(2)に示すように、突板2のすぐ裏に導光路形成基材31を配置し、その下に透明基材3を配置することでもよい。
【実施例9】
【0034】
図9は、実施例9の操作表示パネルの断面模式図を示している。図9に示すように、操作表示パネル105は、蛍光体シート10の替わりに、蛍光体シート10より厚みがあり剛性の強い蛍光体樹脂基材11が設けられている。蛍光体樹脂基材11は、樹脂材料に蛍光体が混練されたものである。また、突板2と蛍光体樹脂基材11の間には、導光路形成基材30と不透明マスク12が設けられている。不透明マスク12には、発光素子70の配置パターンに合わせて、同じピッチで貫通孔12aが配置されており、発光素子70の光の射出方向を導く機能を有している。不透明マスク12を設けることにより、パネル面において表示が不鮮明となることを防止することができる。その他の構成については、操作表示パネル101と同様である。
【実施例10】
【0035】
図10は、実施例10の操作表示パネルの断面模式図を示している。図10に示すように、操作表示パネル106は、操作表示パネル105とは異なり、不透明マスク12が設けられていない。
操作表示パネル105における不透明マスク12は、発光素子70の配置パターンに合わせて、同じピッチで貫通孔12aが配置されており、発光素子70の光の射出方向を導く機能を有しているが、操作表示パネル105の作製時には発光素子70と不透明マスク12を位置合わせが必要となる。
これに対して、本実施例では不透明マスク12を設けない構成とすることにより、発光素子70と不透明マスク12の位置合わせが不要となり、低コストでの作製が可能となる。また、不透明マスク12を設けないため、さらに装置の薄型化を図ることが可能になる。
【実施例11】
【0036】
図1~10を用いて説明した操作表示パネル(101~106)又は表示パネル(107~110)においては、更に、集光レンズが設けられる構成でもよい。ここでの集光レンズは、発光素子のピッチに合わせてレンズが2次元配列されたレンズアレイであることでもよいし、発光素子の直径より大きい若しくは小さいレンズが2次元配列されたレンズアレイであることでもよい。さらに、集光レンズは、レンズとは屈折率の異なる樹脂がレンズアレイ上に積層され、集光レンズの上面及び下面が略平面に形成されたことでもよい。
レンズの種類としては、集光機能を有するフレネルレンズにより構成されることでもよいし、
コリメーターレンズにより構成されることでもよい。
集光レンズの配置については、突板2、導光路形成基材(30,31)、透明導電性シート4、蛍光体シート10、蛍光体樹脂基材11及び発光素子70の、それぞれの何れの間に設けることでもよい。
【実施例12】
【0037】
図13は、実施例12の操作表示パネルの断面模式図を示している。図13に示すように、操作表示パネル112は、操作表示パネル101と同様に、突板2、蛍光体シート10、導光路形成基材30、透明導電性シート4及び発光素子アレイ基板6を備え、発光素子アレイ基板6には発光素子70が配列されている。
蛍光体シート10、導光路形成基材30及び発光素子アレイ基板6は、フレキシブル性を有する樹脂で形成されている。また、突板2、透明導電性シート4についてもフレキシブル性のある素材で形成されている。そのため、全体として平面状に形成されていた操作表示パネル101とは異なり、操作表示パネル112では、屈曲部13において屈曲し、湾曲部14において湾曲した形状となっている。
このように、操作表示パネルや表示パネルを構成する部材をフレキシブル性のある素材で形成することで、多様なデザインの操作表示パネル又は表示パネルを作製することが可能となる。
なお、フレキシブル性のある素材を用いる以外に、成形時に非平面の形状として成形することで多様な形状の操作表示パネル又は表示パネルを作製することでもよい。
【実施例13】
【0038】
図14は、実施例13の表示パネルの断面模式図を示している。
表示パネル114においては、実施例3で示した表示パネル107とは異なり、発光素子アレイ基板6上には、各発光素子70の間に衝立状壁部20が設けられている。衝立状壁部20は、発光素子アレイ基板6上に印刷することで形成したものであり、発光素子70の高さより高い衝立状壁部20が設けられることにより、発光素子70の出射光9aが横方向に漏れることを防いて、表示性能が低下することを防止することができる。発光素子70のサイズがミリオーダーから、ミクロンオーダにダウンサイジング化されていくことにより、発光素子アレイ基板6上に印刷形成したものが、発光素子70の高さより高い衝立状壁部として機能することができる。
同様に、他の実施例1,2,6~12についても、発光素子アレイ基板6上の各発光素子70の間に衝立状壁部20を設けることにより、さらに表示性能を向上することができる。
なお、図14に示される発光素子70を囲む衝立状壁部20の集合体を、導光路形成基材30と位置づけることでもよい。すなわち、発光素子70のサイズがミリオーダーから、ミクロンオーダにダウンサイジング化されていくことにより、図14に示される隣接する衝立状壁部20が、導光路形成基材30における導光路として機能できるからである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、家庭用電化製品のコントローラ、電子機器のディスプレイ、自動車等の移動体に搭載する表示装置に使用する表示パネル又は操作表示装置に使用する操作表示パネルとして有用である。また、家屋やビルの内装・外装のように構造物に設けられる表示装置に使用する表示パネル又は操作表示装置に使用する操作表示パネルとしても有用である。
【符号の説明】
【0040】
2 突板
3 透明基材
4 透明導電性シート
5 ライトガイド
5a,30a,31a ガイド孔
6 発光素子アレイ基板
7 LED光源
8 筐体
9a,9b,90a~90c 光
10 蛍光体シート
11 蛍光体樹脂基材
12 不透明マスク
12a 貫通孔
13 屈曲部
14 湾曲部
20 衝立状壁部
30,31 導光路形成基材
70 発光素子
101~106,112 操作表示パネル
107~110,113,114 表示パネル
111 操作表示パネル組込物品
G ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14