(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】平板型エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
G01D5/245 110B
G01D5/245 110R
(21)【出願番号】P 2019181972
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】正木 耕一
(72)【発明者】
【氏名】脇若 弘之
(72)【発明者】
【氏名】田代 晋久
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-194183(JP,A)
【文献】特開2004-333478(JP,A)
【文献】特開2001-314069(JP,A)
【文献】特開2014-122867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層板で構成された固定子平板と、
該固定子平板に対して所定間隔をあけて配置される可動子平板と、を備え、
前記可動子平板の対向面には、極対数M個のセンサパターンが離散的に均等配置された第1センサパターンが形成され、
前記固定子平板の前記可動子平板との対向面には、励磁コイルパターンが形成されるとともに、
前記励磁コイルパターンの内側又は外側において、前記可動子平板の第1センサパターンと対向する第1受信コイルパターンが形成され、
前記第1受信コイルパターンは、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか一方に形成された第1受信コイルパターン(A)と、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか他方に形成された第1受信コイルパターン(B)とを有しており、
前記第1受信コイルパターン(A)及び第1受信コイルパターン(B)のパターン数Nは、前記第1センサパターンの極対数Mに対して、N≠Mとなるように、振幅の包絡線が、周期と振幅が同一で位相がずれている周期関数となるつづら折り形状に形成されていることを特徴とする平板型エンコーダ。
【請求項2】
前記可動子平板に形成された前記第1センサパターンとは異なる位置に、極対数mのセンサパターンが離散的に均等配置された第2センサパターンが形成され、
前記固定子平板の前記励磁コイルパターンの内側又は外側において、前記可動子平板の第2センサパターンと対向する第2受信コイルパターンが形成され、
前記第2受信コイルパターンは、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか一方に形成された第2受信コイルパターン(A)と、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか他方に形成された第2受信コイルパターン(B)とを有しており、
前記第2受信コイルパターン(A)及び第2受信コイルパターン(B)のパターン数nは、前記第2センサパターンの極対数mに対して、n≠mとなるように、振幅の包絡線が、周期と振幅が同一で位相がずれている周期関数となるつづら折り形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の平板型エンコーダ。
【請求項3】
前記第1センサパターンの極対数Mと前記第2センサパターンの極対数mは、M≠mであることを特徴とする請求項2記載の平板型エンコーダ。
【請求項4】
前記第1受信コイルパターン(A)及び前記第1受信コイルパターン(B)は、包絡線が前記各周期関数となる導体パターンと、該導体パターンに対して極性が反対となる逆極性導体パターンとが一筆書き状態で形成され、
該導体パターンの両端部がオペアンプの正負入力端子に入力可能となるように形成されていることを特徴とする請求項1~請求項3
のうちのいずれか1項記載の平板型エンコーダ。
【請求項5】
前記第2受信コイルパターン(A)及び前記第2受信コイルパターン(B)は、包絡線が前記各周期関数となる導体パターンと、該導体パターンに対して極性が反対となる逆極性導体パターンとが一筆書き状態で形成され、
該導体パターンの両端部がオペアンプの正負入力端子に入力可能となるように形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の平板型エンコーダ。
【請求項6】
前記第1受信コイルパターンのパターン数Nは、N=Np*k(ただしNpは任意の素数、kは1以上の正の整数)であることを特徴とする請求項1~請求項5のうちのいずれか1項記載の平板型エンコーダ。
【請求項7】
前記第1受信コイルパターンのパターン数Nは、N=Np*k(ただしNpは任意の素数、kは1以上の正の整数)であり、前記第2受信コイルパターンのパターン数nは、n=np*k(ただしnpは任意の素数、kは1以上の正の整数)であることを特徴とする請求項2、請求項3又は請求項5記載の平板型エンコーダ。
【請求項8】
前記可動子平板の前記第1センサパターンにおける、前記可動子平板の可動方向と直交する方向の長さは、
前記固定子平板の前記第1受信コイルパターンの各パターンのうちの最大振幅の2倍の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項1~請求項7のうちのいずれか1項記載の平板型エンコーダ。
【請求項9】
前記可動子平板の前記第2センサパターンにおける、前記可動子平板の可動方向と直交する方向の長さは、
前記固定子平板の前記第2受信コイルパターンの各パターンのうちの最大振幅の2倍の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5又は請求項7記載の平板型エンコーダ。
【請求項10】
前記第1受信コイルパターン(A)及び第1受信コイルパターン(B)のパターン数Nは、前記第1センサパターンの極対数Mに対して、N=M±1又はN=M±2となるように形成されていることを特徴とする請求項1~請求項9のうちのいずれか1項記載の平板型エンコーダ。
【請求項11】
前記第2受信コイルパターン(A)及び第2受信コイルパターン(B)のパターン数nは、前記第2センサパターンの極対数mに対して、n=m±1又はn=m±2となるように形成されていることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5、請求項7又は請求項9記載の平板型エンコーダ。
【請求項12】
前記可動子平板は、対向面を正面視すると円形であることを特徴とする請求項1~請求項11のうちのいずれか1項記載の平板型エンコーダ。
【請求項13】
前記固定子平板は、プリント基板によって形成されていることを特徴とする請求項1~請求項12のうちのいずれか1項記載の平板型エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線的位置又は回転角度を検出するエンコーダに関し、特に平板型のエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
エンコーダのうち回転角を検出する角度検出器としては、光学式エンコーダやレゾルバなどが一般的によく用いられている。一般的なレゾルバとしては、輪状の固定子の内側に複数のスロットを設け、このスロット内に励磁巻線を配置し、固定子の中心に鉄心からなる回転子を配置する構成の物が存在する。このように励磁巻線を備えた固定子と回転子とからなる従来型のレゾルバは、鉄心の加工歪と組立・巻線のバラツキで精度が安定しないという課題に対して、薄型化・軽量化と同時に量産精度の高度化と安定化を図るべく、基板形レゾルバが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1、特許文献2に示すような基板形レゾルバが提案されている。
基板形レゾルバは、ステータ基板と、ステータ基板に対して所定間隔をあけて配置されたロータ基板とから構成されている。ステータ基板には、sin巻線パターンとcos巻線パターンと、sin巻線パターンとcos巻線パターンの外周側に配置された励磁巻線パターンとが形成されている。ロータ基板には、ロータ巻線パターンが形成されている。
【0004】
以下、従来の基板形レゾルバの動作を説明する。
ステータ基板の励磁巻線パターンに励磁電流を印加させると励磁巻線パターンによってステータ基板垂直方向に磁束が発生する。ロータ基板が回転している場合、励磁巻線パターンによって生じた磁束に対してロータ巻線パターンが横切り、ロータ巻線パターンによって回転角に比例した渦磁界が生じ、この渦磁界によってステータ基板のsin巻線パターンからsin信号が出力され、cos巻線パターンからはcos信号が出力される。ただし、これらは極対数が1または低次数のため精度と分解能に問題が有り冗長機能も不足していた。
【0005】
また、特許文献3には、プリント基板によって構成された電磁誘導式回転センサが開示されている。
特許文献3の電磁誘導式回転センサは、ステータ基板側にsin受信ランドパターンとcos受信ランドパターンがそれぞれ16極対数パターンとして形成されており、これに対応するロータ側基板にも16分割されているランドパターンが形成されている。
また、ステータ基板側において16極対数パターンが形成された受信ランドパターンの内周側においては、sin受信ランドパターンとcos受信ランドパターンがそれぞれ1ターン形成されており、これに対応するロータ側基板にも1つのランドパターンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-314069号公報
【文献】特開2001-194183号公報
【文献】特開2004-333478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来からの角度検出器として光学式エンコーダの場合、ロータに該当するコード板を用いる必要があるため小型(直径30mm以下)化することができないという課題がある。
また、上述したような従来の基板型レゾルバは、励磁巻線を備えたレゾルバと比較すれば小型化が達成できるが、冗長系を設けようとすると構造が二重になってしまい大型化してしまう。
【0008】
また、特許文献3に開示されているセンサによれば、ロータ側基板のセンサパターン数と、ステータ側基板のsin受信センサパターン及びcos受信センサパターンの数とが、同一数となっており、空間高調波ノイズが多く残り誤差が大きく精度が低いという課題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、従来よりも小型化され、精度が高い平板型エンコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる平板型エンコーダによれば、多層板で構成された固定子平板と、該固定子平板に対して所定間隔をあけて配置される可動子平板と、を備え、前記可動子平板の対向面には、極対数M個のセンサパターンが離散的に均等配置された第1センサパターンが形成され、前記固定子平板の前記可動子平板との対向面には、励磁コイルパターンが形成されるとともに、前記励磁コイルパターンの内側又は外側において、前記可動子平板の第1センサパターンと対向する第1受信コイルパターンが形成され、前記第1受信コイルパターンは、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか一方に形成された第1受信コイルパターン(A)と、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか他方に形成された第1受信コイルパターン(B)とを有しており、前記第1受信コイルパターン(A)及び第1受信コイルパターン(B)のパターン数Nは、前記第1センサパターンの極対数Mに対して、N≠Mとなるように、振幅の包絡線が、周期と振幅が同一で位相がずれている周期関数となるつづら折り形状に形成されていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、固定子平板側の励磁コイルパターンによって均一磁界が発生し、可動子平板側に設けた第1センサパターンに均一磁界が貫通して、渦磁界が生じる。この渦磁界を第1受信コイルパターンが受信するが、このとき第1センサパターンの極対数Mに対して第1受信コイルパターンのパターン数Nは、N≠Mである。このため、固定子平板に対する可動子平板の可動距離又は可動角度における差分を検出してバーニア効果による高精度化を達成することができる。
【0011】
また、前記可動子平板に形成された前記第1センサパターンとは異なる位置に、極対数mのセンサパターンが離散的に均等配置された第2センサパターンが形成され、前記固定子平板の前記励磁コイルパターンの内側又は外側において、前記可動子平板の第2センサパターンと対向する第2受信コイルパターンが形成され、前記第2受信コイルパターンは、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか一方に形成された第2受信コイルパターン(A)と、前記固定子平板の表面又は内層のいずれか他方に形成された第2受信コイルパターン(B)とを有しており、前記第2受信コイルパターン(A)及び第2受信コイルパターン(B)のパターン数nは、前記第2センサパターンの極対数mに対して、n≠mとなるように、振幅の包絡線が、周期と振幅が同一で位相がずれている周期関数となるつづら折り形状に形成されていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、第2センサパターンに均一磁界が貫通して、回転角に比例した渦磁界が生じ、この渦磁界を第2受信コイルパターンが受信する。このように、第2受信コイルパターンを設けて冗長系を確保しつつも従来よりも小型化することができる。
【0012】
また、前記第1センサパターンの極対数Mと前記第2センサパターンの極対数mは、M≠mであることを特徴としてもよい。
このように第1受信コイルパターン極対数と第2受信コイルパターン極体数が相違するようにすれば、各受信コイルパターンから得られる信号に基づいて、基準位置に基づくロータ回転角度の絶対角を検出することができる(アブソリュート型)。
【0013】
また、前記第1受信コイルパターン(A)及び前記第1受信コイルパターン(B)は、包絡線が前記各周期関数となる導体パターンと、該導体パターンに対して極性が反対となる逆極性導体パターンとが一筆書き状態で形成され、該導体パターンの両端部がオペアンプの正負入力端子に入力可能となるように形成されていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、第1受信コイルパターンにおける、それぞれの第1受信コイルパターン(A)及び第1受信コイルパターン(B)は、各周期関数のゼロクロス点に対して正負対称(面積対称)となるように形成されているので、ノイズの混入を防止して高精度な信号の受信が可能である。そして、第1受信コイルパターンによる一回転絶対角検出を実現し、且つ小型化を達成することができる。
さらに、特許文献3と本願との比較によれば、特許文献3ではステータ側基板の第1層に受信コイルパターンと、この受信コイルパターンと位相がπ/2ずれた受信コイルパターンの双方を形成しているが、2つの受信コイルパターンが重なる箇所はビア穴を介して第2層以下で電気的接続を行う必要があり、ビア穴が非常に多く存在している。ビア穴が多いと信頼性が低下し、且つ電気抵抗が増加してしまうという問題がある。この点、本願発明では、2つの受信コイルパターンは第1層と第2層で完全に分離しているので、ビア穴を設ける箇所は非常に少なくて済み、信頼性の向上及び電気抵抗低減による性能の向上を達成することができる。
【0014】
また、 前記第1受信コイルパターンのパターン数Nは、N=Np*k(ただしNpは任意の素数、kは1以上の正の整数)であることを特徴としてもよい。
さらに、前記第1受信コイルパターンのパターン数Nは、N=Np*k(ただしNpは任意の素数、kは1以上の正の整数)であり、前記第2受信コイルパターンのパターン数nは、n=np*k(ただしnpは任意の素数、kは1以上の正の整数)であることを特徴としてもよい。
単位相、極数のパターン数はN/M(またはM+1)=a/bのa/bを既約分数とし、パターン数Nの中の素数またはa値が大きい方が望まれるのは、2ak±1以外の空間高調波を全て消すことができるためである。すなわち、このような構成であれば、可動子平板と固定子平板との間の空隙において通常発生してしまう多数の高調波成分の重畳を無くし、任意素数に対応する数だけの空間高調波成分のみとなるので、空間高調波を原因とする誤差を抑え、S/N比を上げることができる。
【0015】
また、前記可動子平板の前記第1センサパターンにおける、前記可動子平板の可動方向と直交する方向の長さは、前記固定子平板の前記第1受信コイルパターンの各パターンのうちの最大振幅の2倍の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴としてもよい。
さらに、前記可動子平板の前記第2センサパターンにおける、前記可動子平板の可動方向と直交する方向の長さは、前記固定子平板の前記第2受信コイルパターンの各パターンのうちの最大振幅の2倍の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴としてもよい。
この構成を採用することによって、可動子平板が、可動子平板の可動方向に対して直交する方向にずれてしまっても、固定子平板のセンサパターンによる渦電流を受信コイルパターンで確実に受信することができるので、正確な位置・角度の検出が可能である。
【0016】
また、前記第1受信コイルパターン(A)及び第1受信コイルパターン(B)のパターン数Nは、前記第1センサパターンの極対数Mに対して、N=M±1又はN=M±2となるように形成されていることを特徴としてもよい。
さらに、前記第2受信コイルパターン(A)及び第2受信コイルパターン(B)のパターン数nは、前記第2センサパターンの極対数mに対して、n=m±1又はn=m±2となるように形成されていることを特徴としてもよい。
【0017】
また、前記可動子平板は、対向面を正面視すると円形であることを特徴としてもよい。
【0018】
また、前記固定子平板は、プリント基板によって形成されていることを特徴としてもよい。
N=M±1又はM±2なので、1周360°をMで除算した電気角に対して1周M±1等分又はM±2等分で平均化された電気角で検出することでバーニア効果による高精度化を達成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の平板型エンコーダによれば、バーニア効果による高分解能を実現することができ、且つ小型化・軽量化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】平板型エンコーダの一例としての、プリント基板型角度検出器の側面図である。
【
図2】固定子平板の一例としての、ステータプリント基板の対向面を示す説明図である。
【
図3】可動子平板の一例としての、ロータプリント基板の対向面を示す説明図である。
【
図4】sin受信コイルパターンを見やすくするために、直線状にしてオペアンプを接続した説明図である。
【
図5】sin受信コイルパターンの形状を決定するためのグラフである。
【
図6】固定子平板の一例としての、ステータプリント基板の第1層と第2層を模式的にした断面図である。
【
図7】極対数31の場合における全周33等分パターンの機械角と出力カーブを表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
平板型エンコーダの例として、プリント基板型の角度検出器の実施形態を以下に説明する。
本実施形態のプリント基板型角度検出器の側面図を
図1に示す。
プリント基板型角度検出器(以下、単に角度検出器と称する場合がある)10は、基本構成としてステータプリント基板(固定子平板)12と、ロータプリント基板(可動子平板)14とを備えている。本実施形態の角度検出器10は、ステータプリント基板12とロータプリント基板14とは所定間隔をあけて配置されている。
【0022】
ステータプリント基板12及びロータプリント基板14は、絶縁体から構成される一般的なプリント基板を用いることができる。材質としては、例えば、多層基板で一般的に用いられるガラスエポキシ基板やコンポジット基板などを採用することができるが、特にその材質に限定するものではない。
また、ステータプリント基板12には励磁コイルパターン、受信コイルパターンが形成され、ロータプリント基板14にはセンサパターンが形成されているが、これらのパターンは通常のプリント基板において形成されるような銅箔によって形成されていればよい。
【0023】
(ステータプリント基板)
図2に、ステータプリント基板の、ロータプリント基板に対する対向面(第1層)において形成されたプリント形状の平面図を示す。
本実施形態のステータプリント基板12の直径及び厚さは特定の数値に限定するものではない。そしてステータプリント基板12は多層基板で構成されている。本実施形態では、例えば6層の多層基板で構成したが、特に層数は限定されない。
【0024】
ステータプリント基板12の対向面には、同心円状に三重の励磁コイルパターンが形成されている。三重の励磁コイルパターンは全て1本のパターンで形成されている。すなわち、励磁コイルパターンには、発振器(図示せず)が接続され、MHz領域の高周波の励磁電流が入力されるが、最外周の励磁コイルパターン16、中間周の励磁コイルパターン18、最内周の励磁コイルパターン20を経て発振器に戻るように、1本のパターンで形成されている。各励磁コイルパターン16、18、20の端部には、ビア穴19が形成されており、ビア穴19を介して第2層目以降で各励磁コイルパターン16、18、20が接続されている。
【0025】
なお、三重の各励磁コイルパターン16、18、20それぞれについても、三重のプリントパターンによって形成されている。
具体的には、最外周の励磁コイルパターン16は、対向面を平面視して電流が時計回りに三周するように、3本の円形パターンによって形成されている。
最外周の励磁コイルパターン16と中間周の励磁コイルパターン18とはプリント基板の第2層以降のパターンによって接続されている。
中間周の励磁コイルパターン18は、対向面を平面視して電流が反時計回りに三周するように、3本の円形パターンによって形成されている。
中間周の励磁コイルパターン18と最内周の励磁コイルパターン20とはプリント基板の第2層以降のパターンによって接続されている。
最内周の励磁コイルパターン20は、対向面を平面視して電流が時計回りに三周するように、3本の円形パターンによって形成されている。
【0026】
発振器から所定の高周波励磁電流が、最初に最外周の励磁コイルパターン16に流れ、次に中間周の励磁コイルパターン18に逆向きに流れる。さらに、中間周の励磁コイルパターン18から、高周波励磁電流が最内周の励磁コイルパターン20に最外周の励磁コイルパターン16と同じ向きに流れる。
このため、最外周の励磁コイルパターン16と中間周の励磁コイルパターン18との間、及び中間周の励磁コイルパターン18と最内周の励磁コイルパターン20との間の磁界はキャンセルされ、三重の励磁コイルパターン全体に均一の磁界が発生する。
【0027】
なお、三重の励磁コイルパターンのうち、中間周の励磁コイルパターン18をステータプリント基板12の第2層に形成してもよい。これは、対向面におけるスペースが確保しにくい場合には有効である。
さらに、励磁コイルパターンは、一重又は二重でも十分な磁界が発生するのであれば三重の励磁コイルパターンとして形成する必要はない。すなわち、励磁コイルパターンは最外周、中間周、又は最内周のいずれか1つのみ又はいずれか2つ形成されていればよい。
【0028】
また、本実施形態では、ステータプリント基板12の中間周の励磁コイルパターン18と最内周の励磁コイルパターン20との間には、後述するロータプリント基板14の第1センサパターンと対向する第1受信コイルパターン25が形成されている。
ステータプリント基板12の最外周の励磁コイルパターン16と中間周の励磁コイルパターン18との間には、後述するロータプリント基板14の第2センサパターンと対向する第2受信コイルパターン27が形成されている。
なお、第1受信コイルパターン25と、第2受信コイルパターン27の具体的構成については後述する。
【0029】
(ロータプリント基板)
図3にロータプリント基板14における、ステータプリント基板12との対向面の平面図を示す。
本実施形態のロータプリント基板14の直径及び厚さは特定の数値に限定するものでは無い。
ロータプリント基板14は、単層であり、特に多層基板で構成されていなくてもよい。
【0030】
ロータプリント基板14の対向面には、扇型形状のセンサパターンが、所定個数M個(極対数M)等間隔で円周方向に配置されて第1センサパターン22を構成している。そして、第1センサパターン22の外周側において、扇型形状のセンサパターンが、所定個数M±1個(極対数M±1)等間隔で円周方向に配置されて第2センサパターン24を構成している。
第1センサパターン22と第2センサパターン24のそれぞれは、面積が同一面積となるように構成されている。また、第1センサパターン22と第2センサパターン24はそれぞれ銅箔で形成されている。
本実施形態では、第1センサパターン22のセンサパターン個数すなわち極対数31であり、第2センサパターン24のセンサパターン個数すなわち極対数は32である。
【0031】
ロータプリント基板14の第1センサパターンの各センサパターンは、ステータプリント基板12の三重の励磁コイルパターンによって形成された均一磁界と鎖交し、各センサパターン上に渦電流が生じ、渦電流によって磁束が発生する。この磁束をステータプリント基板12の第1受信コイルパターンで受信して出力が生じる。
同様に、ロータプリント基板14の第2センサパターンの各センサパターンは、ステータプリント基板12の三重の励磁コイルパターンによって形成された均一磁界と鎖交し、各センサパターン上に渦電流が生じ、渦電流によって磁束が発生する。この磁束をステータプリント基板12の第2受信コイルパターンで受信して出力が生じる。
【0032】
(受信コイルパターンの構造)
まず、第1受信コイルパターン25について説明する。
第1受信コイルパターン25は、ロータプリント基板14の第1センサパターン22と対向する位置に設けられている。本実施形態では、最内周の励磁コイルパターン20と中間周の励磁コイルパターン18の間に設けられている。
なお、第1受信コイルパターン25は、第1sin受信コイルパターン(第1受信コイルパターン(A))28と第1cos受信コイルパターン(第1受信コイルパターン(B))29の2つのパターンから構成されている。以下、第1受信コイルパターンとして主に第1sin受信コイルパターンについて説明する。
【0033】
本実施形態では、第1受信コイルパターン25のパターン数(つづら折り形状の分割検出部の数)をNとすると、N=M±1又はN=M±2となるように設計されている。ここで、Mは上記のように扇型形状の第1センサパターン22の極対数である。本実施形態ではM=31である。したがって、第1受信コイルパターン25のパターン数はN=32又は33である。本実施形態における第1受信コイルパターン25のパターン数Nは、N=33としている。
【0034】
なお、第1受信コイルパターン25のパターン数Nは素数の整数倍であること、またはパターン数Nは素数の整数倍±1であることが好ましい。これは、上述したように空間高調波を低減させるためである。
このような構成とすることにより、ロータ側プリント基板14とステータ側プリント基板12との間の空隙において通常発生してしまう多数の高調波成分の重畳を無くし、任意素数に対応する数だけの空間高調波成分のみとなるので、空間高調波を原因とする誤差を抑え、S/N比を上げることができる。
具体的には、本実施形態では上記のように第1受信コイルパターン25のパターン数Nは、N=33としているので、素数である11×整数3ということになる。なるべく大きい素数に基づいて極対数、パターン数を設定することで、多数の空間高調波成分の重畳を無くすことができる。
【0035】
図4に、円周状に形成されたステータ側プリント基板12の第1受信コイルパターン25を見やすくするために直線状にして簡略化した図面を示す。なお、
図4は簡略図面であるため、パターン数は33ではない。
第1受信コイルパターン25は、そのパターン数の数だけ、つづら折り形状の分割検出部を1周分を分割するように形成されている。このつづら折り形状の振幅の頂点を結ぶ包絡線が正弦波形となる。また、第1受信コイルパターン25は、両端部がオペアンプ30の正負入力端子に接続されるように一筆書きのパターンとして形成されている。そして、包絡線としての正弦波形の極性が正負逆の波形が、正弦波形のゼロクロス点を中心に対称となるように形成されている。
【0036】
図4では、オペアンプ30の正入力端子に実線で描かれる正極側パターン32が接続され、オペアンプ30の負入力端子に破線で描かれる負極側パターン33が接続され、正極側パターン32と負極側パターン33は一筆書きとなるよう1本のパターンで形成されている。なお、正極側パターン32と負極側パターン33が交差するゼロクロス点においてはビア穴19を介して第2層以下の階層でパターン接続される。このように受信コイルパターンを一筆書きにして正極側と負極側とで対称となるように配置することによって、出力信号におけるノイズの混入を防止して高精度な信号の受信が可能である。
なお、
図4では、第1受信コイルパターン25を囲むように励磁コイルパターン16、18、20が模式的に図示されており、励磁コイルパターン16、18、20には発振器38が所定の高周波電流を印加するように接続されている。
【0037】
次に、
図5に基づいて、第1受信コイルパターン25におけるつづら折り形状の分割検出部の各振幅(径方向への長さ)について説明する。
図5では、第1受信コイルパターン25のパターン数が33であるとした場合におけるつづら折り形状の分割検出部の高さを棒グラフ状に示したものである。このつづら折り形状の分割検出部の高さは次のように算出される。
まず、1周360°を極対数33で除算して33個の分割検出部における機械角を算出する。算出した機械角にロータ側プリント基板の第1センサパターンの極対数31を乗算したものを1周360°で除算して各分割検出部における電気角を算出する。そしてこの電気角のsinの値を順番に配置していく。
【0038】
なお、上述してきた第1受信コイルパターン25については第1層(ロータ側基板の対向面)に形成された第1sin受信コイルパターンについて説明した。
図6に示すように、第1受信コイルパターン25は、第1層に形成された第1sin受信コイルパターン28と、第2層に形成された第1cos受信コイルパターン29を有している。第2層における第1cos受信コイルパターン29での磁束の検出を確実にするために第1層の厚さを通常よりも薄く形成するとよい。
なお、
図6は受信コイルパターンの配置関係を示すために簡略化した構成を示している図であって、実際には第1層と第2層は完全に接触した積層構造となっている。
【0039】
第1cos受信コイルパターン29は、第1sin受信コイルパターン28とは位相がπ/2ずれたつづら折り形状の分割検出部をパターン数33個有しており、具体的には上述したように1周360°を極対数33で除算して33個の分割検出部における機械角を算出する。算出した機械角にロータ側プリント基板の第1センサパターンの極対数31を乗算したものを1周360°で除算して各分割検出部における電気角を算出する。そしてこの電気角のcosの値を順番に配置して形成される。
【0040】
次に第2受信コイルパターンについて説明する。
第2受信コイルパターン27は、ロータプリント基板14の第2センサパターン24と対向する位置に設けられている。本実施形態では、中間周の励磁コイルパターン18と最外周の励磁コイルパターン16の間に設けられている。
なお、第2受信コイルパターン27は、第2sin受信コイルパターン(第2受信コイルパターン(A))32と第2cos受信コイルパターン(第2受信コイルパターン(B))33の2つのパターンから構成されている。以下、第2受信コイルパターンとして主に第2sin受信コイルパターンについて説明する。
【0041】
第2センサパターン24の極対数Mは、M=32である。これに対向する第2受信コイルパターン27のパターン数Nは、N=33であってM+1である。
第2受信コイルパターン27のパターン数Nは素数の整数倍であること、またはパターン数Nは素数の整数倍±1であることが好ましい。これは、空間高調波を低減させるためである。
このような構成とすることにより、ロータ側プリント基板14とステータ側プリント基板12との間の空隙において通常発生してしまう多数の高調波成分の重畳を無くし、任意素数に対応する数だけの空間高調波成分のみとなるので、空間高調波を原因とする誤差を抑え、S/N比を上げることができる。
具体的には、本実施形態では第1受信コイルパターン25と同様に、第2受信コイルパターン27のパターン数Nは、N=33としているので、素数11×3ということになる。なるべく大きい素数に基づいて極対数を設定することで、多数の空間高調波成分の重畳を無くすことができる。
【0042】
第2受信コイルパターン27のパターン形状も
図4で示したように簡素化した図面で説明できる。
すなわち、第2受信コイルパターン27は、そのパターン数の数だけ、つづら折り形状の分割検出部が1周分を分割するように形成されている。このつづら折り形状の振幅の頂点を結ぶ包絡線が正弦波形となる。また、第2受信コイルパターン27は、両端部がオペアンプ30の正負入力端子に接続されるように一筆書きのパターンとして形成されている。そして、包絡線としての正弦波形の極性が正負逆の波形が、正弦波形のゼロクロス点を中心に対称となるように形成されている。
【0043】
図4では、オペアンプ30の正入力端子に実線で描かれる正極側パターン32が接続され、オペアンプ30の負入力端子に破線で描かれる負極側パターン33が接続され、正極側パターン32と負極側パターン33は一筆書きとなるよう1本のパターンで形成されている。なお、正極側パターン32と負極側パターン33が交差するゼロクロス点においてはビア穴19を介して第2層以下の階層でパターン接続される。このように受信コイルパターンを一筆書きにして正極側と負極側とで対称となるように配置することによって、出力信号におけるノイズの混入を防止して高精度な信号の受信が可能である。
なお、
図4では、第2受信コイルパターン27を囲むように励磁コイルパターン16、18、20が模式的に図示されており、励磁コイルパターン16、18、20には発振器38が所定の高周波電流を印加するように接続されている。
【0044】
また、第2sin受信コイルパターン32におけるつづら折り形状の分割検出部の各振幅(径方向への長さ)について説明する。
まず、1周360°をパターン数33で除算して33個の分割検出部における機械角を算出する。算出した機械角にロータ側プリント基板の第2センサパターンの極対数32を乗算したものを1周360°で除算して各分割検出部における電気角を算出する。そしてこの電気角のsinの値を順番に配置していく。
【0045】
なお、
図6に示すように、第2受信コイルパターン27も第1受信コイルパターン25と同様に、第1層(ロータ側基板の対向面)に形成された第2sin受信コイルパターン32と、第2層に形成された第2cos受信コイルパターン33を有している。第2層における第2cos受信コイルパターン32での磁束の検出を確実にするために第1層の厚さを通常よりも薄く形成するとよい。
なお、
図6は受信コイルパターンの配置関係を示すために簡略化した構成を示している図であって、実際には第1層と第2層は完全に接触した積層構造となっている。
【0046】
第2cos受信コイルパターン33は、第2sin受信コイルパターン32とは位相がπ/2ずれたつづら折り形状の分割検出部をパターン数33個有している。つづら折り形状の分割検出部の振幅の大きさとしては、まず1周360°をパターン数33で除算して33個の分割検出部における機械角を算出し、算出した機械角にロータ側プリント基板の第2センサパターンの極対数32を乗算したものを1周360°で除算して各分割検出部における電気角を算出する。そしてこの電気角のcosの値を順番に配置して形成される。
【0047】
上述してきたように、本実施形態における受信コイルパターンは、第1sin受信コイルパターン28及び第2sin受信コイルパターン32が第1層に形成され、第1cos受信コイルパターン29及び第2cos受信コイルパターン33が第2層に形成されている。
このような構成を採用することによって、各受信コイルパターンにおけるsin受信コイルパターンとcos受信コイルパターンが同一面上に形成されることによる互いのパターンの交差部分におけるビア穴の数を減らして信頼性の向上及び電気抵抗低減による性能の向上を達成することができる。
【0048】
なお、ロータプリント基板14の第1センサパターン22における径方向の長さ(回転方向に対して直交する方向の長さ:
図3のx)は、ステータプリント基板12の第1sin受信コイルパターン28の各パターンの最大振幅における正極方向と負極方向の振幅を足した長さ(すなわち、各パターンの最大振幅の2倍の長さ:
図2のx´)よりも長くなるように形成されている。
同様に、ロータプリント基板14の第2センサパターン24における径方向の長さ(回転方向に対して直交する方向の長さ:
図3のy)は、ステータプリント基板12の第2sin受信コイルパターン32の各パターンの最大振幅における正極方向と負極方向の振幅を足した長さ(すなわち、各パターンの最大振幅の2倍の長さ:
図2のy´)よりも長くなるように形成されている。
【0049】
このように、ロータプリント基板14の各センサパターンを、対応するステータプリント基板12の受信コイルパターンの各パターンの最大振幅の正極パターンと負極パターンを足した長さよりも長くすることにより、ロータプリント基板14の回転の軸ブレに対しても受信コイルパターンでの受信が確実に行えるため、正確な位置・角度の検出が可能である。
【0050】
(冗長系について)
本実施形態の角度検出器は、バーニア型の冗長系を備えている。
具体的には、ロータ側に第1センサパターン22の31個のセンサパターンと、第2センサパターン24の32個のセンサパターンとを備えており、ステータ側の第1受信コイルパターンと第2受信コイルパターンはつづら折り形状の分割検出部が33分割となっている。
第1センサパターン22による磁束は第1受信コイルパターン25で受信され、第2センサパターン24による磁束は第2受信コイルパターン27によって受信される。まずこのように、2つの受信コイルパターン25、27によってそれぞれの磁束を受信することで冗長系を確保できる。
【0051】
また、上記のように第1センサパターン22と第1受信コイルパターン25の分割数を変え、第2センサパターン24と第2受信コイルパターン27の分割数を変えることによって、それぞれ角度差分を作り、分解能を高めるようにしている。これが本実施形態におけるバーニア型の意味である。
そもそもバーニアとはノギス等に形成された副尺のことであり、基準となる目盛りを細分化して読み取るために使用される。
【0052】
本実施形態の角度検出器では、磁束検出を多極化しているため、例えば1回転すると軸倍角分の出力サイクルが発生し、機械角×軸倍角=電気角となる。例えば、ロータ側のセンサパターン極対数(個数)が31の場合(31X)、電気角=機械角×31である。本実施形態ではロータ側のセンサパターン極対数が31の場合と32の場合の双方を採用している。
そして、全周M個(MX)のロータ側のセンサパターン個数に対して、ステータ側のつづら折り受信コイルパターン(sin又はcos)のパターン数(つづら折り個数、分割検出部個数)NをM+1個とし、このパターン数を素数の整数倍とすることにより、ロータ側のセンサパターン個数当たりの角度360/Mi(i=1,2,・・M)とステータ側のつづら折り個数当たりの角度360/(Mi+1)の角度差分のsin(正弦)とcos(余弦)に比例した振幅値のパターンを出力する。
【0053】
なお、本実施形態のプリント基板型角度検出器の第1受信コイルパターンから出力されたsin出力信号及びcos出力信号、並びに第2受信コイルパターンから出力されたsin出力信号及びcos出力信号は、オペアンプ30に入力されて増幅されたのち、レゾルバデジタルコンバータからMPUに入力されて角度位置が算出される。
【0054】
図7に、極対数31の場合における全周33等分パターンの機械角と出力カーブを表している。この図では、縦軸を出力電圧としており、縦軸は実際の出力30mVを100倍増幅して3Vとした時を1としている。
【0055】
なお、上述してきた実施形態における各受信コイルパターンの各分割検出部の振幅の包絡線は正弦波(sin)又はcos(余弦波)に限定するものではない。
【0056】
上述してきた実施形態ではプリント基板型角度検出器の例について説明したが、本発明としては、可動子平板、固定子平板ともにプリント基板に限定するものではない。可動子平板は、例えば単なる金属板等であってもよいし、固定子平板はセラミック基板等であってもよい。
また、上述してきた実施形態では、可動子平板、固定子平板ともに対向面を正面視して円形のものについて説明した。少なくとも可動子平板は回転のために円形が好ましいが、固定子平板は円形でなくてもよく、例えば固定子平板をモータ内に固定するために四角形状に形成してもよい。
【0057】
また、上述してきた実施形態は固定子平板に対して可動子平板が回転した場合の角度を検出するいわゆるロータリーエンコーダについて説明したが、本発明としては固定子平板に対して可動子平板が対向面に対して平行移動した場合における位置の検出を行うリニアエンコーダについても採用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 角度検出器
12 ステータプリント基板
14 ロータプリント基板
16 最外周の励磁コイルパターン
18 中間周の励磁コイルパターン
19 ビア穴
20 最外周の励磁コイルパターン
22 第1センサパターン
24 第2センサパターン
25 第1受信コイルパターン
27 第2受信コイルパターン
28 第1sin受信コイルパターン
29 第1cos受信コイルパターン
32 第2sin受信コイルパターン
33 第2cos受信コイルパターン