(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】超電導マグネット装置
(51)【国際特許分類】
H01F 6/06 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
H01F6/06 110
H01F6/06 500
(21)【出願番号】P 2019091256
(22)【出願日】2019-05-14
【審査請求日】2021-09-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「高温超電導線材接合技術の超高磁場NMRと鉄道き電線への社会実装」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】502147465
【氏名又は名称】ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 衞
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 吉紀
(72)【発明者】
【氏名】末富 佑
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098420(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104733151(CN,A)
【文献】特開平05-047549(JP,A)
【文献】特開2017-063083(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0024534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 6/00-6/06
H01B 12/00-12/16
H01R 4/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導コイルと、
前記超電導コイルの軸方向へ向かって前記超電導コイルの巻枠から延在する配線第一保持部と、
前記軸方向において前記配線第一保持部と同じ側に配置された配線第二保持部であって、前記軸方向に対して交差する方向に前記配線第一保持部から延在するとともに、前記巻枠および前記配線第一保持部よりも大径の配線第二保持部と、
を備え、
前記超電導コイルから延びるとともに接続部で相互に接続される超電導線材が、前記配線第一保持部に螺旋状に巻かれ、
前記超電導線材が、前記配線第二保持部に形成された溝であってゼンマイ形状を含む前記溝に、ゼンマイ形状で固定され、
複数の前記接続部が、前記溝に格納されて
おり、
前記接続部が、前記溝の末端部分に格納され、
前記末端部分の幅が、前記溝のうち前記末端部分よりも基端側の部分の幅に比べて広い、
超電導マグネット装置。
【請求項2】
超電導コイルと、
前記超電導コイルの軸方向へ向かって前記超電導コイルの巻枠から延在する配線第一保持部と、
前記軸方向において前記配線第一保持部と同じ側に配置された配線第二保持部であって、前記軸方向に対して交差する方向に前記配線第一保持部から延在するとともに、前記巻枠および前記配線第一保持部よりも大径の配線第二保持部と、
を備え、
前記超電導コイルから延びるとともに接続部で相互に接続される超電導線材が、前記配線第一保持部に螺旋状に巻かれ、
前記超電導線材が、前記配線第二保持部に形成された溝であってゼンマイ形状を含む前記溝に、ゼンマイ形状で固定され、
複数の前記接続部が、前記溝に格納されて
おり、
前記巻枠と前記配線第一保持部とが、同軸に配置されている、
超電導マグネット装置。
【請求項3】
超電導コイルと、
前記超電導コイルの軸方向へ向かって前記超電導コイルの巻枠から延在する配線第一保持部と、
前記軸方向において前記配線第一保持部と同じ側に配置された配線第二保持部であって、前記軸方向に対して交差する方向に前記配線第一保持部から延在するとともに、前記巻枠および前記配線第一保持部よりも大径の配線第二保持部と、
を備え、
前記超電導コイルから延びるとともに接続部で相互に接続される超電導線材が、前記配線第一保持部に螺旋状に巻かれ、
前記超電導線材が、前記配線第二保持部に形成された溝であってゼンマイ形状を含む前記溝に、ゼンマイ形状で固定され、
複数の前記接続部が、前記溝に格納されて
おり、
前記配線第一保持部と前記配線第二保持部とが、同軸に配置されている、
超電導マグネット装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
1つの前記配線第二保持部に、複数の前記接続部が格納されている、
超電導マグネット装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
前記配線第二保持部が、前記軸方向に複数、配置されている、
超電導マグネット装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
前記配線第一保持部は、前記巻枠の胴部の外径以上の外径を有している、
超電導マグネット装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
前記超電導線材が、テープ形状の線材である、
超電導マグネット装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
前記超電導線材が、前記配線第一保持部および前記配線第二保持部に、それぞれ、接着剤、パテ、テープ、ワックス、または粘土で固定されている、
超電導マグネット装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
永久電流スイッチを備え、
前記永久電流スイッチが、前記配線第二保持部とは異なる箇所に配置されている、
超電導マグネット装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれかに記載の超電導マグネット装置において、
前記超電導コイルが、層内非絶縁方式で巻線されている、
超電導マグネット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導マグネット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導マグネット装置に関する技術として、下記特許文献1に記載のものがある。この特許文献1に記載の技術は、超電導マグネット装置を構成する超電導線材の接続構造に関するものであって、次のように構成されている。
溝部を有する溝付き枠材を有し、二本の超電導線材の接続部が当該溝部に固定される。また、上記溝付き枠材は円柱形状部を備えてもよく、この場合、上記二本の超電導線材が当該円柱形状部に巻線される。
【0003】
上記構成により、曲げや衝撃、その他の外力から上記接続部が保護されて、上記接続部の破損の発生を効果的に低減することが可能とのことである。また、溝付き枠材が円柱形状部を備える構成とされた場合には、超電導線材を巻き付けにより保持することができ、超電導線材の余長部分を特定方向の曲がりや折り曲げから保護することが可能とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、超高磁場を発生させることが可能な超電導マグネット装置の開発が進められている。超高磁場を発生させるには、コイルの大型化を行う必要があり、その結果、非常に長い超電導線材を形成することが必要となる。一方、超電導線材の製造にあたり、超電導線材1本の長さには限界がある。そのため、非常に長い1本の超電導線材とするには、複数の超電導線材同士を接続する必要があり、超電導線材の接続部が多くなる。
【0006】
ここで、上記の従来技術では、二本の超電導線材の接続部が固定される1つの溝付き枠材が冷却板というプレートに取り付けられて接続器とされ、1箇所当たり1つの上記接続部が固定されてなる複数の接続器が超電導コイルの軸方向の少し離れた位置に配置されている。
【0007】
上記構成によると、超電導線材の接続部が多くなった場合、上記接続器も多く必要となり、結果として、上記接続器の配置スペースを十分に確保できなくなることが懸念される。配置スペースを無理に確保しようとすると、超電導マグネット装置が大型化してしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、超電導線材の接続部が多くても、装置の大型化を抑制することができる構造の超電導マグネット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、超電導コイルと、前記超電導コイルの軸方向へ向かって前記超電導コイルの巻枠から延在する配線第一保持部と、前記軸方向において前記配線第一保持部と同じ側に配置された配線第二保持部であって、前記軸方向に対して交差する方向に延在するとともに、前記巻枠および前記配線第一保持部よりも大径の配線第二保持部と、を備える超電導マグネット装置である。前記超電導コイルから延びるとともに相互に接続される超電導線材が、前記配線第一保持部に螺旋状に巻かれているとともに、前記配線第二保持部に形成された溝に固定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超電導線材の複数の接続部を、上記配線第二保持部に集約することが可能となる。そのため、超電導線材の接続部が多くても、装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る超電導マグネット装置を構成する超電導コイルの断面図である。
【
図2】
図1に示す複数の超電導コイルのうちの最内層の超電導コイルから延びる超電導線材(引き出し線)の保持構造を示すための、本発明の一実施形態に係る超電導マグネット装置の一部の斜視図である。
【
図4】
図1に示す複数の超電導コイルのうちの最内層の超電導コイルの永久電流ループ部分を示す回路図である。
【
図5】
図2を模式化した図である(永久電流スイッチの図示は省略)。
【
図6】複数の配線第二保持部を配置した場合の
図5に相当する図である。
【
図7】配線第二保持部に形成される、超電導線材の接続部の格納部の変形例を示す
図3に相当する図である。
【
図8】配線第二保持部に形成される、超電導線材の接続部の格納部の変形例を示す
図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1から
図5は、本発明の一実施形態に係る超電導マグネット装置を説明するための図である。
図1に示すように、上記超電導マグネット装置は、内側から順に、第1超電導コイル1、第2超電導コイル2、第3超電導コイル3、第4超電導コイル4、および軸方向に沿って配置された複数の第5超電導コイル5を備える。複数の第5超電導コイル5は、発生する磁場を補正するための補正コイルである。これら超電導コイル1~5は、クライオスタットと呼ばれる低温容器(不図示)の中に収容され、液体ヘリウムなどで冷却される。
【0014】
第1超電導コイル1を構成する超電導線材は、テープ形状の線材であり、例えば、高温超電導線材の一つであるY系超電導線材である。この第1超電導コイル1は、
図5に示すように、巻枠6の胴部6aに上記超電導線材が巻線されてなるものであり、
図4に示すように、複数の超電導線材7~11が接続されてなる。また、複数の超電導線材7~11のうちの両端の超電導線材7、11は、永久電流スイッチ14から延びる超電導線材15、16と、それぞれ接続される。超電導線材15、16も、例えば、Y系超電導線材である。超電導線材7~11、15、16の各接続部に、符号J1~J6を付している。
【0015】
ここで、Y系超電導線材などの超電導線材7~11、15、16同士を、10-11Ω以下といった低抵抗で接続する方法として、超電導線材同士を焼結などの熱処理によって接続する方法がある。超電導線材同士の熱処理にはたとえば800℃程度の温度を要するため、接続する2本の超電導線材を加熱炉に引き込む必要がある。この場合、第1超電導コイル1全体を加熱炉に入れることはできないので、第1超電導コイル1からの引き出し線7a~11a(=超電導コイルから延びる超電導線材)を加熱炉に入れ、接続する箇所を熱処理接続することになる。また、超電導線材同士を熱処理接続した後に要求される性能が出なかった場合には、熱処理接続部を切断してその近傍部位を再度熱処理接続したり、熱処理接続部を切断せずにその近傍部位を再度熱処理接続したりすることになる。そのため、超電導線材7~11、15、16同士を低抵抗で接続するにあたっては、やり直しの可能性を考慮して十分な余長を確保する必要がある。
【0016】
超電導マグネット装置の一部構造を、
図2に具体的に、
図5に模式化して示すように、超電導マグネット装置は、第1超電導コイル1の軸方向へ向かって上記巻枠6から延在する配線第一保持部としての筒状体12を備える。この筒状体12の、巻枠6とは反対側の端部には、配線第二保持部としてのジョイントプレート13が連結される。この円板形状のジョイントプレート13は、巻枠6および筒状体12よりも大径とされ、第1超電導コイル1の軸方向に対して交差する方向に筒状体12から延在される。本実施形態では、ジョイントプレート13は、筒状体12に対して直交しているが、直交している必要は必ずしもない。また、巻枠6と筒状体12とは別部品であって相互に連結されてもよいし、一の素材から形成された一体品であってもよい。
【0017】
上記筒状体12、およびジョイントプレート13は、引き出し線7a~11a(超電導線材)、超電導線材15、16が超電導状態を維持するように液体ヘリウムなどの冷媒で冷却される。
【0018】
図3は、
図2中のA部拡大平面図である。
図3に示すように、ジョイントプレート13の下面には、第1超電導コイル1からの引き出し線10a、11a、およびその接続部J5を格納するためのゼンマイ形状の溝13aが形成されている。本実施形態では、溝13aはゼンマイ形状であるが、必ずしもゼンマイ形状である必要はなく、直線形状や、S字型形状や、円弧形状であってもよい。なお、
図3は、引き出し線、およびその接続部の格納構造を代表して示す図であり、他の引き出し線7a~9aや、永久電流スイッチ14から延びる超電導線材15、16、およびその接続部J1~J4、J6についても、上記溝13aと同様の、これらを格納する溝がジョイントプレート13の下面に形成される。
【0019】
第1超電導コイル1からの引き出し線7a~11a(=超電導コイルから延びる超電導線材)の接続・格納手順は次のとおりである。
【0020】
上記引き出し線7a~11aを、巻枠6からジョイントプレート13の下面高さレベルまで、筒状体12の外周面に螺旋状に巻線する。そして、引き出し線7aの端部と引き出し線8aの端部、引き出し線7aの端部と超電導線材15の端部、というように、余長部分の引き出し線7a~11a、および永久電流スイッチ14から延びる超電導線材15、16を加熱炉に適宜入れて熱処理接続する。そして、熱処理接続した接続部J1~J6の特性を評価し、要求される性能が出なかった場合は、要求される性能が出るまで熱処理接続をやり直す。この場合、熱処理接続部を切断してその近傍部位を再度熱処理接続してもよいし、熱処理接続部を切断せずにその近傍部位を再度熱処理接続してもよい。
【0021】
熱処理接続した接続部J1~J6の特性が満足できるものであれば、熱処理接続した2本の超電導線材を重ね合わせるとともにゼンマイ形状にして、ジョイントプレート13の下面に形成された各溝(例えば溝13a)に格納する。
【0022】
そして、接着剤、パテ、テープ、ワックス、または粘土などを用いて、筒状体12の外周面に螺旋状に巻線された引き出し線7a~11aを筒状体12に固定する。同様に、接着剤、パテ、テープ、ワックス、または粘土などを用いて、ジョイントプレート13の各溝に格納された引き出し線7a~11aおよび超電導線材15、16をジョイントプレート13に固定する。これにより、余長部分の超電導線材を筒状体12およびジョイントプレート13に確実に固定することができる。
【0023】
上記構成によると、超電導線材7~11、15、16の複数の接続部J1~J6を、ジョイントプレート13に集約することが可能となる。そのため、超電導線材の接続部が多くても、装置の大型化を抑制することができる。
【0024】
また、上記実施形態では、配線第一保持部としての筒状体12の外径は、巻枠6の胴部6aの外径と同じにされている。この構成によると、筒状体12の外径が巻枠6の胴部6aの外径よりも小さい場合に比べて、筒状体12に螺旋状に巻かれた引き出し線7a~11aの曲率が小さくなり、引き出し線7a~11aの折損を抑制することができる。なお、この観点から、筒状体12は、巻枠6の胴部6aの外径以上の外径を有することが好ましい。
【0025】
ここで、引き出し線7a~11aは超電導線材であるので、引き出し線7a~11aが螺旋状となっている筒状体12部分や、ゼンマイ形状となっているジョイントプレート13部分で、通電により無視できない磁場が発生することがある。そのため、この磁場のマグネット中心部O(
図1参照)への影響をあらかじめ計算しておき、当該影響が小さくなるように、補正コイルとしての第5超電導コイル5の巻線仕様を決定することが好ましい。
【0026】
上記実施形態の超電導マグネット装置は、配線第二保持部としてのジョイントプレート13を1枚有する。これに対して、
図6は、配線第二保持部としてのジョイントプレートを複数有する場合の実施形態を示す、
図5に相当する図である。
【0027】
一つの超電導コイル、例えば、第1超電導コイル1において、超電導線材の接続部が多い場合など、一つの超電導コイルに対してジョイントプレートを複数設けてもよい。この構成によると、超電導線材の複数の接続部を集約できるジョイントプレートの枚数が増えることで、装置の大型化をより抑制することが可能となる。
【0028】
図6に示す実施形態では、複数のジョイントプレート13、18が、第1超電導コイル1の軸方向に間隔をあけて配置されている。この超電導マグネット装置は、上記筒状体12に加えて、第1超電導コイル1の軸方向へ向かって巻枠6から延在する配線第一保持部としての筒状体17をさらに備える。この筒状体17の端部に、配線第二保持部としてのジョイントプレート18が連結されている。
【0029】
第1超電導コイル1からの複数の引き出し線19(=超電導コイルから延びる複数の超電導線材19)は、筒状体12および筒状体17に螺旋状に巻かれているとともに、ジョイントプレート13およびジョイントプレート18にゼンマイ形状で固定される。
【0030】
図7および
図8は、配線第二保持部としてのジョイントプレート13に形成される、超電導線材(引き出し線10a、11a)の接続部J5の格納部の変形例を示す
図3に相当する図である。
【0031】
図7、8に示すように、超電導線材の接続部J5は、2本の超電導線材を単に重ねた(沿わせた)形状ではなく、曲がった形状になることがある。この場合、溝13aのように、単に重ねられた(沿わせられた)2本の超電導線材のみを収容できるような幅の溝の場合、曲がった接続部J5は溝に入らないことが懸念される。
【0032】
そのため、
図7に示す変形例では、接続部J5を格納する、溝13aの末端部分を、溝13aよりも幅広の平面視で長方形状の格納溝13bとしている。この構成によると、超電導線材の接続部J5のジョイントプレート13への格納性が向上する。
【0033】
また、
図8に示す変形例では、溝13aの末端部分を、溝13aよりも幅広の平面視で楕円状の格納溝13cとしている。この構成によると、
図7に示す変形例と同様、超電導線材の接続部J5のジョイントプレート13への格納性が向上する。
【0034】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
超電導線材の形状は、テープ形状でなくてもよく、円柱形状などであってもよい。また、超電導線材は、高温超電導線材ではなく、低温超電導線材であってもよい。
【0035】
超電導線材の接続部J1~J6は、超電導線材の端部とされる必要は必ずしもなく、当該端部から少し離れた位置で超電導線材が接続されてもよい。
【0036】
上記実施形態では、最内層の第1超電導コイル1から延びる複数の超電導線材(引き出し線)を、巻枠6から延在する筒状体12を介してジョイントプレート13にゼンマイ形状で固定する例を示した。最内層の超電導コイルに加えて、最内層ではない超電導コイル、すなわち、第2超電導コイル2や第3超電導コイル3から延びる複数の超電導線材(引き出し線)を、第1超電導コイル1の場合と同様に、各巻枠から延在する筒状体(配線第一保持部)を介してジョイントプレート(配線第二保持部)にゼンマイ形状で固定してもよい。さらには、最内層ではない超電導コイルのみについて、当該超電導コイルから延びる複数の超電導線材(引き出し線)を、巻枠から延在する筒状体(配線第一保持部)を介してジョイントプレート(配線第二保持部)にゼンマイ形状で固定してもよい。
【0037】
図6に示す実施形態では、巻枠6に連結された筒状体17にジョイントプレート18が連結されている。筒状体17を設けずに、その内側の筒状体12に複数の引き出し線19を全て巻き線してもよい。この場合、例えば、ボルトなどの固定手段を用いてジョイントプレート13にジョイントプレート18が連結される。
【0038】
図7および
図8に示す超電導線材の接続部の格納部の変形例では、当該接続部を格納する、溝13aの末端部分を、溝13aよりも幅広の長方形状や楕円状にしている。配線第二保持部としてのジョイントプレートに形成される、上記接続部の格納部は、上記接続部以外の2本の超電導線材を収容する溝13aよりも幅広であればよく、長方形状や楕円状に限定されることはない。
【0039】
例えば
図1から
図5に示す超電導マグネット装置において、超電導線材7~11(引き出し線7a~11aを含む)、および超電導線材15、16を全て高温超電導線材とすることに代えて、超電導線材7~11(引き出し線7a~11aを含む)を高温超電導線材とし、超電導線材15、16をNbTi線材(低温超電導線材)としてもよい。この場合、永久電流スイッチ14は、ジョイントプレート13とは異なる箇所(ジョイントプレート13外の適切な場所)に配置される。
【0040】
なお、永久電流スイッチ14が、ジョイントプレート13とは異なる箇所に配置されるとは、超電導マグネット装置を構成する、ジョイントプレート13とは異なる部材であって、永久電流スイッチ14を構成する超電導線材が超電導状態を維持するように当該永久電流スイッチ14の冷却が可能となる部材に、永久電流スイッチ14が取り付けられることをいう。
【0041】
なお、
図2に示す第1超電導コイル1は、第1超電導コイル1から筒状体12側へ超電導線材を引き出すために、層内非絶縁方式などの層巻方式で巻枠6に巻線されることが好適である。ここで、層内非絶縁方式とは、絶縁の施されていない超電導線材を用い、コイルの層間に、片面が絶縁された金属シートを挿入したり、絶縁シートおよび金属シートを挿入したりすることで、層内の超電導線材同士を電気的に接触させてコイルの熱的安定性を高める巻線方式のことである。
【0042】
以上、本発明の実施形態および変形例について説明した。なお、その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行うことは可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:第1超電導コイル(超電導コイル)
6:巻枠
6a:胴部
7~11:超電導線材
7a~11a:引き出し線(超電導線材)
12、17:筒状体(配線第一保持部)
13、18:ジョイントプレート(配線第二保持部)
J1、J2、J3、J4、J5、J6:接続部