(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】排水床及び処理装置
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20230501BHJP
B09C 1/02 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
B65D88/12 E
B09C1/02 ZAB
(21)【出願番号】P 2019061883
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】508346619
【氏名又は名称】成友興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】繁泉 恒河
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕己
(72)【発明者】
【氏名】細沼 順人
(72)【発明者】
【氏名】月澤 麻衣
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217575(JP,A)
【文献】特開平08-141314(JP,A)
【文献】特開2017-039542(JP,A)
【文献】特開2002-035795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
B09B 3/70
B09C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を収容する容器と、
前記容器の底部から間隔をあけて設けられて、複数の孔を有する排水床と、
前記排水床と前記底部との間に設けられる液収容部と、を備え
、
前記容器の前端部を後端部よりも上方に位置付けるように前記容器を傾けることができる処理装置であって、
前記液収容部を
前記容器の前後方向に複数に区画する区画手段を備え
、
前記区画手段は、前記容器の前後方向に並べられる複数の収容槽と、前記複数の収容槽同士を連結する連結用配管を備え、
前記収容槽の最も後方のみに接続し、前記液収容部の液体を外部に排出する排出用配管を備える処理装置。
【請求項2】
前記連結用配管は、開閉を切り替える開閉弁を有する、請求項1に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水床及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼却施設で発生する焼却灰やスラグ、汚染土壌等の廃棄物は、重金属類を含有する。鉛(Pb)等、一部の重金属は溶出性が比較的高く、焼却灰のリサイクルや最終処分場での埋立てに際し、重金属の安定化処理が求められている。特許文献1には、廃棄物の安定化処理を行う処理装置が記載されている。特許文献1の処理装置は、廃棄物等の対象物を収容する容器と、容器内の対象物に散水する給水装置と、容器の底部と間隔をあけて配置されかつ散水された対象物を固液分離する排水床とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された処理装置は、底部と排水床との間の収容室内に分離された液状物を収容する。このために、処理装置は、車両に積載されてダンプアップ時等の傾いた際に、液状物の液面が収容室を超えて、容器と開閉扉との間から液状物が漏れ出る虞があった。
【0005】
本発明は、傾いた際に液状物が漏れることを抑制することができる処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る処理装置は、対象物を収容する容器と、前記容器の底部から間隔をあけて設けられて、複数の孔を有する排水床と、前記排水床と前記底部との間に設けられる液収容部と、を備えた処理装置であって、前記液収容部を前後方向に複数に区画する区画手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、傾いた際に液状物が漏れることを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る処理装置が設置された荷役車両の模式的な側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された荷役車両のダンプアップした状態の模式的な側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示された処理装置の床枠の一部分を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示された処理装置の床枠の模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示された処理装置の排水床の第1の床材を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3に示された処理装置の排水床の第1の床材が設置された状態を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図3に示された処理装置の排水床の第2の床材が設置された状態を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図3に示された処理装置の排水床の通水シートが設置された状態を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図3に示された処理装置の排水床の第1の床材、第2の床材及び通水シートを固定する構造を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図3に示された処理装置の区画手段の側面視を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図3に示された処理装置の区画手段の平面視を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係る処理装置が傾いた状態を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、比較例の処理装置が傾いた状態を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る処理装置の側面視を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る処理装置の平面視を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る排水床及び処理装置を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る処理装置が設置された荷役車両の模式的な側面図である。
図2は、
図1に示された荷役車両のダンプアップした状態の模式的な側面図である。
図3は、第1実施形態に係る処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
図4は、
図3に示された処理装置の床枠の一部分を模式的に示す斜視図である。
図5は、
図3に示された処理装置の床枠の模式的に示す平面図である。
図6は、
図3に示された処理装置の排水床の第1の床材を模式的に示す斜視図である。
図7は、
図3に示された処理装置の排水床の第1の床材が設置された状態を模式的に示す平面図である。
図8は、
図3に示された処理装置の排水床の第2の床材が設置された状態を模式的に示す平面図である。
図9は、
図3に示された処理装置の排水床の通水シートが設置された状態を模式的に示す平面図である。
図10は、
図3に示された処理装置の排水床の第1の床材、第2の床材及び通水シートを固定する構造を示す断面図である。
【0011】
第1実施形態に係る処理装置1は、容器であるコンテナ10内に対象物2を収容し、対象物2の洗浄、安定化処理を行う装置である。なお、第1実施形態では、対象物2は、焼却施設で発生する焼却灰であるが、本発明では、焼却灰に限らず、スラグ、汚染土壌、又はアルカリ土壌でもよい。
【0012】
処理装置1のコンテナ10は、箱状に形成され、
図1、
図2及び
図3に示すように、コンテナ本体11と、コンテナ本体11に取り付けられた開閉扉12と、を有する。コンテナ本体11は、四角形、例えば長方形の底部13と、底部13の平行な2辺に連続して設けた一対の側壁14と、コンテナ10の長手方向の一端部に設けられた前壁15とを有する。前壁15は、一対の側壁14及び底部13に連続して、これらの間を塞いでいる。なお、本明細書では、便宜上、コンテナ10において前壁15が設けられている長手方向の一端部を前部といい、前壁15とは長手方向の反対側の他端部を後部という。また、本明細書では、コンテナ10の長手方向をコンテナ10の前後方向Xと記し、コンテナ10の幅方向を左右方向Yと記す。
【0013】
コンテナ本体11は、金属製、例えば、鉄板、鋼鉄、又はステンレス鋼等で形成されている。コンテナ本体11は、底部13の前部及び後部それぞれに回転可能なローラ16が設けられている。ローラ16の回転中心は、左右方向Yと平行である。
【0014】
コンテナ本体11は、前後方向Xの後部側に一対の側壁14と底部13とで囲まれた取り出し口17が形成され、上部に一対の側壁14と前壁15とで囲まれた開口部18が形成されている。
【0015】
開閉扉12は、コンテナ本体11の後部側に取り出し口17を開閉可能に取り付けられている。開閉扉12は、一対の側壁14の後部の上端にヒンジ19により取り付けられている。ヒンジ19は、一対の側壁14の後部の上端と、開閉扉12の上端とを水平方向と平行な軸回りに回転自在に連結している。また、第1実施形態では、開閉扉12は、上端に連結されたヒンジによって取り出し口17を開閉するが、本発明では、これに限定されずに、開閉扉12は、所謂観音開きなどで取り出し口17を開閉してもよい。
【0016】
コンテナ10は、上部に形成された開口部18を通してコンテナ本体11内に対象物2を収容し、コンテナ本体11内に収容した対象物2が取り出し口17を通してコンテナ本体11外に排出される。コンテナ10は、前壁15の外表面に係止部20を設けている。第1実施形態において、コンテナ10は、コンテナ本体11の取り出し口17と開閉扉12との間にこれらの間を水密に保つシール部材を備えていない所謂非水密式のコンテナである。
【0017】
なお、本発明のコンテナ10は、箱状に限定されるものではなく、コンテナ本体11と、コンテナ本体11に取り付けられた開閉扉12とを有するのであれば柱状のコンテナであってもよい。なお、本発明は、コンテナ10において、コンテナ本体11に蓋を設け、ダンパー等で当該天蓋を開閉することで開口部18を形成する構成であってもよい。
【0018】
第1実施形態に係る処理装置1は、
図1及び
図2に示すように、荷役車両100に設置される。荷役車両100は、処理装置1のコンテナ10を運搬する車両である。第1実施形態では、荷役車両100は、ダンプカー(dump truck)であるが、本発明では、ダンプカーに限定されない。
【0019】
荷役車両100は、運転者が乗るキャブ101と、キャブ101に連続して設けられた車体フレーム102と、サブフレーム103と、荷役フレーム104と、アクチュエータとしてのシリンダ105とを備えている。車体フレーム102は、水平に配置された金属により構成されたフレームである。サブフレーム103は、金属により構成され、車体フレーム102上に固定されている。荷役フレーム104は、金属により構成され、サブフレーム103上に設けられている。荷役フレーム104は、
図1及び
図2に示すように、箱形状のコンテナ10を支持する。荷役フレーム104は、キャブ101から離れた側の後部に設けられた支持軸106を中心としてサブフレーム103に対して所定角度の範囲内で回動可能である。支持軸106は、荷役車両100の左右方向Yと平行である。
【0020】
荷役フレーム104は、サブフレーム103に重ねられる基部107と、基部107のキャブ101寄りの前部から基部107に対して直交する方向に延びた上方延在部108と、を備える。なお、荷役フレーム104は、車体フレーム102に対して、車体フレーム102の前後方向Xに移動・停止可能であり、かつ、車体フレーム102の前後方向Xに伸縮可能であるが、具体的な構造の説明は省略する。基部107は、支持軸106と同軸なローラ112を回転自在に設けている。上方延在部108は、上端部に係止部20に係止するフック109を設けられている。
【0021】
荷役フレーム104は、基部107に底部13を重ね、上方延在部108に前壁15を重ね、フック109が係止部20に係止することで、コンテナ10を積載可能である。また、荷役フレーム104は、フック109に係止部20を係止させることで、コンテナ10の荷役車両100の前後方向X、及び左右方向Yの移動を規制できる。また、荷役フレーム104は、フック109の係止部20の係止を外すことにより、コンテナ10を取り外すことが可能である。
【0022】
シリンダ105は、サブフレーム103に対して荷役フレーム104を回動させるものである。シリンダ105は、第1実施形態では、サブフレーム103の前端部に取り付けられたシリンダ本体110と、シリンダ本体110から伸縮自在に設けられかつ荷役フレーム104に取り付けられたロッド111とを備える。シリンダ105は、ロッド111を縮小することで、
図1に示すように、荷役フレーム104の基部107を水平方向と平行に位置付け、ロッド111を伸張することで、
図2に示すように、荷役フレーム104の基部107の前端部を後端部よりも上方に位置付ける。
図2に示す荷役フレーム104の基部107の前端部を後端部よりも上方に位置付ける状態をダンプアップという。なお、
図2に示すダンプアップの状態では、開閉扉12は、自重により取り出し口17を開放する。コンテナ10は、
図1に示す位置で開口部18を通して対象物2が積み込まれ、
図2に示す位置で取り出し口17を通して対象物2の外部に排出する。なお、第1実施形態では、コンテナ10の前後方向Xと荷役車両100の前後方向が一致し、コンテナ10の左右方向Yと荷役車両100の左右方向とが一致している。
【0023】
次に、処理装置1の構成を説明する。処理装置1は、
図3に示すように、前述したコンテナ10と、コンテナ10内に設けられた床枠30と、排水床40とを備える。床枠30は、底部13から間隔をあけて排水床40を支持するものである。床枠30は、
図3、
図4及び
図5に示すように、複数の縦部材31と、複数の横部材32と、複数の脚部33とを備える。縦部材31と横部材32は、直線状に形成され、かつコンテナ本体11内において底部13から間隔をあけて配置される。床枠30は設けられなくともよい。
【0024】
コンテナ10内であって、底部13上に床枠30を介して排水床40が設けられている。床枠30は、
図4のように、コンテナ10の前後方向Xに沿って配置された複数本の縦部材31と、縦部材31同士を接続するようにコンテナ10の左右方向Yに配置した横部材32と、縦部材31に連続して設けた脚部33と、を有する。コンテナ10の前後方向Xは、コンテナ10の長手方向と同じである。縦部材31及び横部材32は、断面形状がL形の金属材であり、脚部33は、断面形状がL形又はT形の金属材であり、かつ、互いに溶接して固定されている。脚部33は、底部13に接触している。縦部材31及び横部材32は、底部13に対して平行である。そして、2本の縦部材31と、2本の横部材32との間に、空間34が形成されている。空間34は、コンテナ10の平面視で四角形である。また、本発明では、脚部33の縦部材31及び横部材32に対する相対的な位置は、
図4及び
図5に記載されたものに限定されない。縦部材31、横部材32及び脚部33は、第1実施形態では金属材であるが、排水床40を支持することができるものであればよく、金属材に限定されない。縦部材31、横部材32及び脚部33は、本実施形態では断面形状がL形又はT形であるが、角型形状や円形形状など排水床40を支持することができるものでよく、断面形状がL形又はT形に限定されない。
【0025】
本発明では、脚部33の形状や数は適宜変更してもよく、床枠30は、脚部33をなくして床枠30をコンテナ10に溶接してもよい。また、本発明では、脚部33及び床枠30を設けずに、排水床40をコンテナ10に溶接してもよい。
【0026】
また、複数の横部材32のうちの最も後側の横部材32には、開閉扉12との間を水密に維持して、取り出し口17を通して液状物4が漏れることを抑制するシール部材35(
図3に示す)が取り付けられている。シール部材35は、ゴムなどの弾性を有する樹脂から構成されている。
【0027】
排水床40は、床枠30上に支持されて、対象物2を収容するコンテナ10の底部13から間隔をあけて設置される。排水床40は、床枠30上に支持されて、コンテナ10内の空間を液収容部である第1空間SP1と第2空間SP2とに区切る。第1空間SP1は、排水床40と底部13との間に配置された空間であって、排水床40により分離された液状物を収容する。より具体的には、第1空間SP1は、排水床40と底部13と一対の側壁14と前壁15とで囲まれた空間である。第2空間SP2は、排水床40よりも開口部18側の空間である。第2空間SP2は、排水床40と一対の側壁14と前壁15とで囲まれた空間である。
【0028】
排水床40は、上側に対象物2を載せて、コンテナ10内に収容される。排水床40は、通気性と通水性とを有し、対象物2を固体物3と液状物4とに分離するものである。なお、液状物4は、第1の孔411及び通水シート43の第3の孔431及び第2の孔421を通過するものを総称し、固体物3は、通水シート43上に留まるものをいう。
【0029】
排水床40は、
図3に示すように、第1の床材41と、第2の床材42と、第1の床材41と第2の床材42との間に配置される通水シート43とを備える。
【0030】
第1の床材41は、処理装置1に複数設けられている。
図7に示すように、第1の床材41は、前後方向Xに4つ設置され、左右方向Yに2つ設置され、合計8つ設置されている。第1の床材41は、厚さが1mm以上でかつ20mm以下である。第1の床材41は、金属から構成された平板状の部材であり、打ち抜き加工などにより第1の孔411が形成された所謂パンチングメタルである。第1の床材41は、
図6及び
図7に示すように、特許請求の範囲の孔に相当する第1の孔411と貫通孔414を有している。第1の床材41は、通気性と通水性とを有する。第1の床材41は、第1の孔411を複数有している。第1の孔411は、第1の床材41を貫通している。第1の孔411は、対象物2の液状物4が通過することを許容する。第1実施形態において、複数の第1の孔411は、等間隔に設けられている。第1実施形態では、第1の孔411の平面形は、円形に形成され、かつ内径が10mm以上でかつ100mm以下である。なお、第1実施形態では、第1の孔411の平面形が円形であるが、本発明では、第1の孔411の平面形は、円形に限定されない。
【0031】
第1の床材41は、
図6及び
図11のように、位置決め片417と結合しても良い。位置決め片417は、コ字状の金属からなる部材であって、接続部412と一対の嵌め込み部413を有する。一枚の金属板が2回、約90度折り曲げられることによって接続部412と嵌め込み部413が形成される。接続部412は、第1の床材41の裏面に溶接などで結合される。嵌め込み部413は、底部13に向かって形成される。第1の床材41は、床枠30上に設けられる。第1の床材41は、床枠30の空間34内即ち互いに隣り合う縦部材31間及び横部材32間に嵌め込まれる。位置決め片417の嵌め込み部413が床枠30と嵌合されていることにより、ダンプアップの際に処理装置1が傾斜しても、第1の床材41は床枠30上に固定された状態を保持することができる。
【0032】
なお、第1実施形態では、第1の床材41は、処理装置1に8つ設けられているが、1つでもよく、数は限られない。第1実施形態では、複数の第1の孔411は等間隔に設けられているが、等間隔でなくともよい。第1の床材41は、位置決め片417と結合しているが、位置決め片417はなくともよい。第1実施形態では、第1の床材41はパンチングメタルであるが、金属製のメッシュであってもよい。第1実施形態では、第1の床材41は金属から構成されるが、第1の床材41を構成する材料は、金属に限定されない。
【0033】
第2の床材42は、
図8に示すように、第1実施形態では、処理装置1に複数設けられている。前後方向Xに4つ設置され、左右方向Yに2つ設置され、合計8つ設置されている。第2の床材42は、厚さが0.1mm以上でかつ5mm以下である。第2の床材42は、金属から構成された平板状の部材であり、打ち抜き加工などにより第2の孔421が形成された所謂パンチングメタルである。第2の床材42は、特許請求の範囲の孔に相当する第2の孔421及び貫通孔424を有している。第2の床材42は、通気性と通水性とを有する。第2の床材42は、第2の孔421を複数有している。第2の孔421は、第2の床材42を貫通している。第2の孔421は、対象物2の液状物4が通過することを許容する。第2の床材42は、固体物3を留めることができる。第1実施形態において、複数の第2の孔421は等間隔に設けられている。第1実施形態では、第2の孔421の平面形は、円形に形成され、かつ内径が0.5mm以上でかつ30mm以下である。なお、第1実施形態では、第2の孔421の内径は、第1の孔411の内径よりも小さいが、本発明では、第2の孔421の内径は、第1の孔411の内径以上でもよい。なお、第1実施形態では、第2の孔421の平面形が円形であるが、本発明では、第2の孔421の平面形は、円形に限定されない。
【0034】
なお、第1実施形態では、第2の床材42は、処理装置1に8つ設けられているが、1つでもよく、数は限られない。第1実施形態では、複数の第2の孔421は等間隔に設けられているが、等間隔でなくともよい。第1実施形態では、第2の床材42はパンチングメタルであるが、金属製のメッシュであってもよい。第1実施形態では、第2の床材42は金属から構成されるが、第2の床材42を構成する材料は、金属に限定されない。
【0035】
通水シート43は、第1実施形態では、処理装置1に複数設けられている。前後方向Xに4つ設置され、左右方向Yに2つ設置され、合計8つ設置されている。通水シート43の厚さは、0.01mm以上でかつ1mm以下である。通水シート43は、樹脂等から構成されたメッシュシートである。通水シート43は、
図9に示すように、特許請求の範囲の孔に相当する第3の孔431及び貫通孔434を有している。通水シート43は、通気性と通水性とを有する。通水シート43は、第3の孔431を複数有している。第3の孔431は、通水シート43を貫通している。第3の孔431は、対象物2の液状物4が通過することを許容する。通水シート43は、固体物3を留めることができる。第1実施形態において、複数の第3の孔431は等間隔に設けられている。第1実施形態では、第3の孔431の平面形は、円形に形成され、かつ内径が0.45μm以上でかつ3mm以下である。第3の孔431の内径が0.45μm以上でかつ3mm以下であるのは、0.45μmが、溶解物と懸濁物を分ける指標だからであり、第3の孔431が溶解物のみを通過させるためである。通水シート43は、第1の床材41及び第2の床材42よりも重さが軽い。なお、第1実施形態では、第3の孔431の平面形が円形であるが、本発明では、第3の孔431の平面形は、円形に限定されない。
【0036】
なお、第1実施形態では、通水シート43は、処理装置1に8つ設けられているが、1つでもよく、数は限られない。第1実施形態では、複数の第3の孔431は等間隔に設けられているが、等間隔でなくともよい。第1実施形態では、通水シート43は樹脂等から構成されるメッシュシートであるが、樹脂から構成された網(所謂、トリカルネット(登録商標)ともいう)、樹脂、布、紙、不織布、ろ布、樹脂性フィルター(メンブレンフィルターなど)などでもよい。即ち、通水シート43は、第1の床材41及び第2の床材42を構成する材料よりも機械的な強度(対象物2の荷重に耐え得る強度)が低い材料から構成されたものであればよい。
【0037】
通水シート43は、第1の床材41と第2の床材42との間に配置される。通水シート43は、床枠30及び第1の床材41上に設けられ、床枠30及び第1の床材41とともに脚部33に支持される。
図10に示すように、第1の床材41と通水シート43と第2の床材42とは、ボルト44が第1の床材41の貫通孔414、通水シート43の貫通孔434、第2の床材42の貫通孔424に通されて、ボルト44のネジ部441にナット45が螺合して結合する。通水シート43の第3の孔431は、第2の孔421及び第1の孔411の少なくとも一部に重なるように配置される。
【0038】
なお、第1実施形態では、通水シート43は、第1の床材41及び第2の床材42と同数設けられているが、第1の床材41と第2の床材42とのうち一方と同数設けられてもよく、第1の床材41と第2の床材42との双方と異なる数設けられてもよい。第2実施形態では、通水シート43は、第1の床材41及び第2の床材42と等しい大きさに形成されているが、本発明では、第1の床材41と第2の床材42とのうち一方と等しい大きさに形成されてもよく、第1の床材41と第2の床材42との双方と異なる大きさに形成されてもよい。第1実施形態では、第1の床材41と通水シート43と第2の床材42とは、ボルト44で結合されているが、固定することができるものであればよく、ボルト44に限られない。第1実施形態では、第1の孔411と第2の孔421とは、同数設けられているが、異なる数でもよい。第1実施形態では、第3の孔431と第1の孔411及び第2の孔421とは、異なる数設けられているが、等しい数でもよい。複数の第3の孔431のうち、少なくとも一つが第1の孔411及び第2の孔421と少なくとも一部が重なるように配置されていればよい。第1実施形態では、通水シート43の重さは、第1の床材41及び第2の床材42より軽いが、同じでもよい。
【0039】
第1の孔411、第2の孔421、第3の孔431の内径は、対象物2によって適宜設定される。第1実施形態では、第2の孔421の内径は、第1の孔411の内径よりも小さい。第3の孔431の内径は、第1の孔411の内径及び第2の孔421の内径よりも小さい。固体物3は、固体物3の大きさによって第2の床材42上又は通水シート43上に留まる。通水シート43の第3の孔431は、対象物2のうちの液状物4の通過を許容し、通水シート43上に固体物3を留めることができる。即ち、第1実施形態において、対象物2の液状物4とは、第1の孔411及び通水シート43の第3の孔431及び第2の孔421を通過するものを総称し、固体物3とは、通水シート43上に留まるものを総称する。即ち、第1実施形態では、固体物3は、通水シート43又は第2の床材42上に留まる。第2の孔421及び第3の孔431には目詰まりが発生するが、第1の孔411の目詰まりを低減することができる。その結果、第1実施形態に係る排水床40及び処理装置1は、重さの軽い第2の床材42及び通水シート43を取り外して掃除すればよく、清掃のために重い第1の床材41をコンテナ10から取り外す回数を減らすことができ、メンテナンス性を向上することができる。要するに本発明では、第2の孔421の平面形の大きさは、第1の孔411の平面形の大きさよりも小さい。第3の孔431の平面形の大きさは、第1の孔411の平面形の大きさ及び第2の孔421の平面形の大きさよりも小さい。第1の孔411、第2の孔421及び第3の孔431の平面形の大きさは、第1の孔411、第2の孔421及び第3の孔431の平面形の面積である。
【0040】
なお、第1実施形態では、通水シート43の第3の孔431の内径は、第2の孔421の内径よりも小さいが、等しくてもよく大きくてもよい。第1実施形態では、第2の孔421の内径は、第1の孔411の内径よりも小さいが、等しくてもよい。要するに本発明では、第3の孔431の平面形の大きさは、第2の孔421の平面形の大きさよりも小さいが、等しくてもよく大きくてもよい。本発明では、第2の孔421の平面形の大きさは、第1の孔411の平面形の大きさよりも小さいが、等しくてもよい。
【0041】
第2の孔421の内径を第1の孔411の内径よりも小さくし、又は第2の孔421の内径を第1の孔411の内径と等しくすることにより、通水シート43の破断を抑制することができる。
【0042】
また、ダンプアップ時に、通水シート43上に第2の床材42が設けられていることにより、対象物2から通水シート43にかかる引っ張り力を抑制することができ、さらに排出に重機を用いた場合、通水シート43に重機のアタッチメントが接触することを抑制することができる。その結果、通水シート43が破損することを抑制することができる。
【0043】
また、処理装置1は、
図3及び
図11に示すように、第1空間SP1を前後方向Xに複数に区画する区画手段80を備える。次に、本明細書は、区画手段80を図面に基づいて説明する。
図11は、
図3に示された処理装置の区画手段の側面視を模式的に示す断面図である。
図12は、
図11に示された区画手段の要部の側面視を模式的に示す断面図である。
図13は、
図3に示された処理装置の区画手段の平面視を模式的に示す断面図である。
図14は、
図13中のXIV-XIV線に沿う断面を模式的に示す図である。
【0044】
第1実施形態では、区画手段80は、複数の収容槽81を備える。収容槽81は、前後方向Xに間隔をあけて第1空間SP1内に複数並べられている。第1実施形態では、収容槽81は、
図11及び
図13に示すように、4つ設けられているが、本発明では、収容槽81の数は、4つに限定されない。
【0045】
第1実施形態では、収容槽81は、矩形状の底部811と、底部811の外縁に連なった4つの側壁812と、を備え、上部に液状物4を通す開口部813が形成されている。開口部813は、排水床40の第1の孔411、第2の孔421及び第3の孔431の下方に配置され、4つの側壁812により囲まれている。収容槽81は、孔411,421,431及び開口部813を通過した液状物4を収容する。収容槽81は、
図11及び
図12に示すように、床枠30の空間34内に嵌合した第1の床材41の位置決め片417の一対の嵌め込み部413により側壁812の上端が挟まれて位置が固定される。実施形態1では、位置決め片417と収容槽81の側壁812との間には、通気のための空間418が設けられている。また、実施形態1では、
図9に示すように、位置決め片417で収容槽81の位置を固定したが、本発明では、断面形状がL形又はT形の脚部33を利用して収容槽81の位置を固定してもよい。収容槽81は、
図13及び
図14に示すように、側壁812と側壁14との間に設けられた伸張部材82により第1空間SP1内で位置決められている。伸張部材82は、中央のジョイント821を軸心回りに回転することにより全長が伸縮するものである。
【0046】
また、区画手段80は、複数の収容槽81同士を連結する連結部である連結用配管83を備える。第1実施形態では、連結用配管83は、前後方向Xに隣り合う収容槽81の内部同士を連結する配管であって、それぞれ、開閉弁84が設けられている。実施形態1ででは、最も後方の収容槽81には、開閉弁87により開閉される排出用配管86が連結している。排出用配管86は、開閉弁87が開いた状態でダンプアップされることで複数の収容槽81内の液状物4を排出することができる。
【0047】
処理装置1は、
図3に示すように、収容槽81内に開口した排水口50と、複数の通気口60とを備えている。排水口50は、収容槽81内とコンテナ10の外部とをつなぐ通路である。第1実施形態では、排水口50は、複数の収容槽81のうち最も前側の収容槽81に開口しているが、本発明では、排水口50が開口する収容槽81は最も前側の収容槽81に限定されずに、例えば、全ての収容槽81に排水口50が開口してもよい。
【0048】
排水口50は、図示しない開閉弁が接続しており、開閉弁により開閉される。排水口50は、開閉弁が開くと収容槽81内の液状物4をコンテナ10外に排水し、開閉弁が閉じると液状物4が収容槽81内に貯留されることを維持する。また、本発明では、排水口50は、開閉弁を介して図示しない排水管、図示しないポンプに接続されて、ポンプにより吸引されて、コンテナ10の外部へ液状物4を排水してもよい。
【0049】
第1実施形態では、通気口60は、2つ設けられ、一方が、第1空間SP1に開口し、他方が、第2空間SP2に開口している。通気口60は、第1空間SP1又は第2空間SP2とコンテナ10の外部とをつなぐ通路である。第1実施形態では、第1空間SP1に開口した通気口60は、複数の収容槽81の内部と空間418により通気する。本発明では、一つの通気口60を給気、一つの通気口60を排気として用いてもよく、通気口60を複数(三つ以上)設けてもよい。
【0050】
第1空間SP1に開口した通気口60の位置は、区画手段80が複数の収容槽81を備えるので、収容槽81外に液状物4がたまらないので、収容槽81外であればどこでもよい。
【0051】
また、通気口60は、図示しない通気管を介してガス供給装置に接続している。ガス供給装置は、第2空間SP2内の対象物2に二酸化炭素(CO2)を含有するガスを供給する装置である。ガス供給装置は、例えば、ガスボンベ、ガスタンク、送風機又は圧縮機等である。ガス供給装置は、ガスの二酸化炭素(CO2)の濃度を調整できる機能を有していてもよい。また、処理装置1が焼却施設で用いられる場合には、ガス供給装置は、焼却炉からの排ガスを利用してガスを供給することもできる。
【0052】
なお、本発明では、ガスは、二酸化炭素に限られず、適宜、空気、水蒸気、酸素、オゾン、窒素、水素、硫化水素、酸性ガス等を適宜含有するガスを用いてもよい。また、その場合、ガス供給装置は、空気、水蒸気、酸素、オゾン、窒素、水素、硫化水素、酸性ガス等を適宜含有するガスを供給する装置であればよい。
【0053】
また、処理装置1は、
図3に示す給水装置70により開口部18を通してコンテナ10の内部に水が散水される。給水装置70は、コンテナ10又は荷役車両100に取り付けられている必要はなく、処理装置1とは別途用意されても良く、コンテナ10又は荷役車両100に取り付けられて処理装置1の一部分であってもよい。
【0054】
第1実施形態では、給水装置70は、給水ホース71と、給水ホース71に接続された給水管72と、給水管72の先端に取り付けたノズル73と、を備える。給水管72は、複数設けられ、支持フレーム74により支持されている。また、複数の給水管72は、互いに間隔をあけて平行に配置されている。給水装置70は、例えば、給水タンク又は水道等から供給される水を第2空間SP2内の対象物2にノズル73から散水して、対象物2を洗浄する。なお、給水タンクは、雨水を回収するタンクであってもよい。また、本発明では、給水装置70が散水する水は、水、井戸水、水道水、雨水、又は炭酸イオンを含有する溶液が用いられる。また、本発明では、給水装置70の構成は、第1実施形態に記載されたものに限定されない。
【0055】
次に、第1実施形態に係る処理装置1を用いた対象物2の処理作業を簡単に説明する。
第1実施形態に係る処理装置1は、荷役車両100の荷役フレーム104に積載されかつ
図1に示す状態で開口部18を通してコンテナ10内に対象物2が積み込まれる。処理装置1は、給水装置70により開口部18を通して水が散水される。給水装置70から散水された水は、対象物2を洗浄しながら下方に移動し、排水床40を通って液状物4として第1空間SP1内の収容槽81内に溜まる。また、対象物2のうち固体物3は、排水床40上の第2空間SP2内に留まる。
【0056】
散水中又は散水していない状態で、ガス供給装置からガスがコンテナ10内の対象物2内に供給される。ガスにより、対象物2に含まれる重金属、例えば、鉛、カルシウムなどは、二酸化炭素により炭酸化され不溶化が促進される。処理装置1は、対象物2(固体物3)を排出してから液状物4を排出する。処理装置1は、液状物4の排出後であればダンプアップ時に液状物4が排水床40を超える心配がないからである。なお、処理装置1は、ダンプアップの際に、重機のアタッチメントによりコンテナ本体11内の対象物2が取り出し口17から外部に排出されてもよい。
【0057】
以上説明したように、第1実施形態に係る処理装置1は、第1空間SP1を前後方向Xに複数に区画する区画手段80を備える。また、第1実施形態に係る処理装置1は、区画手段80が複数の収容槽81を備える。これにより、処理装置1は、
図15に模式的に示すように、ダンプアップまたは荷役車両100が傾いた際等に、収容槽81内の液状物4の液面を、
図16に示す比較例よりも低くすることができる。なお、
図15は、第1実施形態に係る処理装置が傾いた状態を模式的に示す図である。
図16は、比較例の処理装置が傾いた状態を模式的に示す図である。なお、
図16に示された比較例は、区画手段80を備えていない、処理装置100であり、第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
その結果、処理装置1は、
図16に示す比較例では液状物4の液面が排水床40を超えて第2空間SP2に浸入して取り出し口17を通してコンテナ10外に排水されるのに対し、
図15に示すように、液状物4の液面が排水床40を超えることを抑制でき、コンテナ10が傾いた際に液状物4が開閉扉12と取り出し口17との間から漏れることを抑制することができるという効果を奏する。
【0059】
また、処理装置1は、区画手段80が複数の収容槽81を備えるので、コンテナ10が非水密式のコンテナであっても取り出し口17を通して液状物4が漏れることを抑制でき、非水密式のコンテナを用いることができるので、低コスト化を図ることができる。
【0060】
また、処理装置1は、収容槽81同士を連結する連結用配管83を備えているので、1つの収容槽81に開口した排水口50を通して、全ての収容槽81内の液状物4をコンテナ10外に排水することができる。
【0061】
また、第1実施形態に係る排水床40及び処理装置1は、第1の床材41と第2の床材42との間に通水シート43を配置している。これにより、排水床40及び処理装置1は、ダンプアップ時に、対象物2から通水シート43にかかる引っ張り力を抑制することができ、通水シート43にアタッチメントが接触することを抑制することができる。その結果、排水床40及び処理装置1は、特に、通水シート43が破損することを抑制することができるという効果を奏する。
【0062】
また、第1実施形態に係る排水床40及び処理装置1は、第2の孔421が第1の孔411よりも小さいので、第2の孔421を通して露出する通水シート43の破損を抑制でき、ダンプアップ時に、対象物2から通水シート43にかかる引っ張り力を抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態に係る排水床40及び処理装置1は、第2の床材42の厚さが0.1mm以上でかつ5mm以下であることが好ましい。第2の孔421の内径が0.5mm以上でかつ30mm以下であることが好ましい。
【0064】
第2の床材42の厚さが0.1mm以上でかつ第2の孔421の内径が30mm以下であると、ダンプアップ時に対象物2から通水シート43にかかる引っ張り力を抑制することができ、通水シート43の破損を抑制することができるからである。
【0065】
また、第2の床材42の厚さが5mmを超えると重く、メンテナンス時に第2の床材42を取り外しにくくなるため、第2の床材42の厚さは5mm以下であることが好ましい。第2の孔421の内径は、対象物2からかかる引っ張り力に耐えることができる0.5mm以上であることが好ましい。したがって、固体物3を通水シート43で留めることができるとともに、対象物2と通水シート43の接触を最小限に抑えることができ、ダンプアップ時に、対象物2からかかる引っ張り力が通水シート43に作用することを抑制することができる。この結果、通水シート43の破損を抑制することができる。
【0066】
また、第1実施形態に係る排水床40及び処理装置1は、第1の床材41の厚さが1mm以上であるので、第1の床材41が通水シート43、第2の床材42及び対象物2を支えるのに必要な機械的な強度を有することとなる。第1の床材41の厚さが1mm未満であると、第1の床材41が通水シート43、第2の床材42及び対象物2を支えることができない。また、第1の床材41の厚さが20mmを超えると、処理装置1のメンテナンス時に第1の床材41を取り外しにくくなるからである。
【0067】
また、第1実施形態に係る排水床40及び処理装置1は、第1の孔411の内径が10mm以上でかつ100mm以下であるので、10mm未満であるとスケールによる詰まりが発生しやすくなるため、対象物2を固体物3と液状物4とに分離する際にかかる所要時間が長時間化することを抑制できる。なお、第1の孔411の内径が10mm未満であると、通水シート43を通過した液状物4が第1の孔411を通るのにかかる所要時間が長時間化して、第1の孔411の内径が100mmを超えると、第1の床材41が通水シート43、第2の床材42及び対象物2を支えることができないからである。なお、第2の床材42の第2の孔421の内径が10mm以下でも良いのは、第2の床材42の厚さが第1の床材41より薄く、第2の床材42が第1の床材41より軽いので、第1の床材41よりも清掃しやすいためである。
【0068】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る排水床及び処理装置を図面に基づいて説明する。
図17は、第2実施形態に係る処理装置の側面視を模式的に示す断面図である。
図18は、第2実施形態に係る処理装置の平面視を模式的に示す断面図である。なお、
図17及び
図18は、第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
第2実施形態に係る処理装置1-2は、区画手段80-2が複数の隔壁85を備えていること以外、第1実施形態と同じである。隔壁85は、
図17及び
図18に示すように、第1空間SP1を前後方向Xに複数に区画する壁であって、前後方向Xに間隔をあけて複数設けられ、第2実施形態では、3つ設けられている。隔壁85の数は
図17及び
図18の例に限定されない。第2実施形態では、通気のために隔壁85の上部を床枠30からすこしあけている。この場合、床枠30は、コンテナ10に溶接してもよいし、別途、床枠30を支持する図示しない脚を設けてもよい。また、本発明では、隔壁85の高さは、液状物4の量に応じて適宜変更してもよい。
【0070】
第2実施形態に係る処理装置1-2は、第1空間SP1を前後方向Xに複数に区画する区画手段80-2を備え、区画手段80-2が複数の隔壁85を備える。これにより、処理装置1-2は、ダンプアップまたは荷役車両100が傾いた際等に、第1実施形態と同様に、液状物4の液面が排水床40を超えることを抑制でき、コンテナ10が傾いた際に液状物4が漏れることを抑制することができるという効果を奏する。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施形態等において、焼却灰の炭酸化反応を良好に行うことができる処理装置1,1-2を説明したが、本発明の処理装置1は、これに限定されない。例えば、本発明では、処理装置1,1-2は、スラグ、有機廃棄物、堆肥原料、土壌、コンクリート資材、植物等を適宜処理する処理装置でもよい。
【0072】
また、上記実施形態に記載された処理装置1,1-2は、コンテナ10が荷役車両100に積載されるものであるが、本発明では、処理装置1,1-2は、コンテナ10が荷役車両100に積載されなくてもよい。また、上記実施形態に記載された処理装置1,1-2は、排水床40が床材41,42と通水シート43とを備えた三層構造であるが、本発明では、排水床40は、床材41,42と通水シート43とのうち2つを備えた二層構造でもよい。また、上記実施形態に記載された処理装置1,1-2は、コンテナ10が非水密式のコンテナであるが、本発明では、コンテナ10は、コンテナ本体11の取り出し口17と開閉扉12との間にこれらの間を水密に保つ図示しないシール部材を備えた所謂水密式のコンテナでもよい。また、本発明では、排水床40を構成する各層に設けられる孔411,421,431の大きさは、上記実施形態に記載されたものに限定されずに、処理装置1,1-2の用途に応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,1-2 処理装置
2 対象物
3 固体物
4 液状物
10 コンテナ(容器)
13 底部
40 排水床
80,80-2 区画手段
81 収容槽
83 連結用配管(連結部)
411 第1の孔(孔)
421 第2の孔(孔)
431 第3の孔(孔)
SP1 第1空間(液収容部)