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  • 特許-避雷器の取り付け構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】避雷器の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/42 20060101AFI20230501BHJP
   H01T 4/08 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H02B1/42
H01T4/08 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019142129
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021027641
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新規性喪失の例外1 2019年5月22日、東京ビックサイトにおける第67回電設工業展において配布した、パナソニック株式会社「カンタッチSPD搭載分電盤」パンフレットにおいて、「避雷器の取り付け構造」として公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新規性喪失の例外2 2019年5月22日、東京ビックサイトにおける第67回電設工業展において配布した、パナソニック株式会社「カンタッチSPD搭載分電盤」パンフレットにおいて、「避雷器の取り付け構造」として公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新規性喪失の例外3 2019年5月22日、東京ビックサイト西1・2ホールにおける第67回電設工業展において、音羽電機株式会社は、「避雷器の取り付け構造」を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新規性喪失の例外4 2019年5月22日、東京ビックサイト西1・2ホールにおける第67回電設工業展において、音羽電機株式会社は、「避雷器の取り付け構造」を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000123354
【氏名又は名称】音羽電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 智章
(72)【発明者】
【氏名】川坂 悟史
(72)【発明者】
【氏名】圓山 武志
(72)【発明者】
【氏名】梶原 宣隆
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-166622(JP,A)
【文献】特開2018-170119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/42
H01T 4/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
避雷器を分電盤に組み付けて前記避雷器の線路側端子を前記分電盤の電源線に接続する避雷器の取り付け構造であって、
前記避雷器の側面に端子ブロックを配し、前記端子ブロックを介して避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを接続し
前記避雷器の線路側端子はねじ状金具で、前記端子ブロックの避雷器側端子は凹状金具であり、前記凹状金具の前記ねじ状金具への嵌め込みにより前記線路側端子と前記避雷器側端子とが接続されていることを特徴とする避雷器の取り付け構造。
【請求項2】
前記避雷器は、前記分電盤の電源線との間で避雷器を断接する断路器が付設され、避雷器の線路側端子が配設された前記断路器の側面に前記端子ブロックが配されている請求項1に記載の避雷器の取り付け構造。
【請求項3】
前記端子ブロックの分電盤側端子は刃受状金具で、前記分電盤の電源線は帯板状金具であり、前記帯板状金具の前記刃受状金具への挿入により前記分電盤側端子と前記電源線とが接続されている請求項1又は2に記載の避雷器の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避雷器を分電盤に組み付けて避雷器の線路側端子を分電盤の電源線に接続する避雷器の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば直撃雷や誘導雷による雷害を防止する目的から、雷撃による過渡的な過電圧であるサージ電圧を制限してサージ電流を分流することにより電気機器を保護するデバイスとして避雷器がある。
【0003】
この種の避雷器の一つに、酸化亜鉛形バリスタ等の避雷素子で構成されたSPD(Surge Protective Device:サージ防護装置)がある。
【0004】
例えば工場や一般家庭などの電力需要家では、単相または三相交流電路から電源線が引き込まれ、その電源線に接続した分電盤が設置されている。
【0005】
避雷器は、電力需要家の分電盤に組み付けられ、避雷器の線路側端子を分電盤の電源線に接続することにより取り付けられている。
【0006】
避雷器において、例えば避雷素子の特性劣化による短絡故障時、故障状態となった避雷器を電源線から速やかに切り離し、避雷器の点検および交換を行う必要がある。
【0007】
そこで、本出願人は、避雷器を分電盤の電源線から分離させる機能を具備した電源線接続装置を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1で開示された電源線接続装置は、電源線に対して避雷器を断接するレバーが設けられた断路器を有し、その断路器に対して避雷器を着脱自在に取り付けた断路器付き避雷器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6245673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1の電源線接続装置、つまり、断路器付き避雷器を電力需要家の分電盤に組み付けるに際しては、断路器に設けられた避雷器の線路側端子を分電盤の電源線に接続するための配線が必要である。
【0011】
このように、避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを繋ぐための配線作業、例えば配線の引き回しやねじ締め等を実施しなければならない。そのため、避雷器の分電盤への設置に手間がかかることで、工数の削減および作業時間の短縮化が困難であった。
【0012】
また、避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを繋ぐための配線が必要なことから、作業者による配線ミスが発生するおそれもあり、避雷器の分電盤への設置作業において信頼性の向上を図ることが困難であった。
【0013】
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、避雷器の分電盤への設置において、工数の削減、作業時間の短縮化および信頼性の向上を図り得る避雷器の取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、避雷器を分電盤に組み付けて避雷器の線路側端子を分電盤の電源線に接続する避雷器の取り付け構造である。
【0015】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、避雷器の側面に端子ブロックを配し、その端子ブロックを介して避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを接続したことを特徴とする。
【0016】
このように、避雷器の側面に取り付けられた端子ブロックを利用することにより、避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを繋ぐための配線が不要となる。
【0017】
本発明における避雷器は、分電盤の電源線との間で避雷器を断接する断路器が付設され、避雷器の線路側端子が配設された断路器の側面に端子ブロックが配されている構造が望ましい。
【0018】
このような構造を採用すれば、断路器に設けられた避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを繋ぐための配線が不要となる。このように、本発明は、断路器付き避雷器にも適用可能である。
【0019】
本発明において、避雷器の線路側端子はねじ状金具で、端子ブロックの避雷器側端子は凹状金具であり、凹状金具のねじ状金具への嵌め込みにより線路側端子と避雷器側端子とが接続されている構造が望ましい。
【0020】
このような構造を採用すれば、避雷器の線路側端子と端子ブロックの避雷器側端子とを配線なしで簡単な手段により繋ぐことができる。
【0021】
本発明において、端子ブロックの分電盤側端子は刃受状金具で、分電盤の電源線は帯板状金具であり、帯板状金具の刃受状金具への挿入により分電盤側端子と電源線とが接続されている構造が望ましい。
【0022】
このような構造を採用すれば、端子ブロックの分電盤側端子と分電盤の電源線とを配線なしで簡単な手段により繋ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、避雷器の側面に取り付けられた端子ブロックを利用することにより、避雷器の線路側端子と分電盤の電源線とを繋ぐための配線が不要となる。
【0024】
これにより、配線の引き回しやねじ締め等の配線作業がなくなるので、避雷器の分電盤への設置において工数の削減および作業時間の短縮化が図れる。また、作業者による配線ミスもなくなるので、避雷器の分電盤への設置作業において信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態で、避雷器に端子ブロックを取り付ける前の状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態で、避雷器に端子ブロックを取り付けた後の状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態で、端子ブロックを避雷器側から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態で、端子ブロックを電源線側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態で、避雷器を分電盤に組み付ける前の状態を電源線側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態で、避雷器を分電盤に組み付ける前の状態を避雷器側から見た斜視図である。
図7】本発明の実施形態で、避雷器を分電盤に組み付けた後の状態を電源線側から見た斜視図である。
図8】本発明の実施形態で、避雷器を分電盤に組み付けた後の状態を避雷器側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る避雷器の取り付け構造の実施形態を図面に基づいて以下に詳述する。
【0027】
なお、以下の実施形態では、単相3線式交流回路や三相3線式交流回路に適用した場合を例示するが、単相2線式交流回路など他の交流回路にも適用可能である。
【0028】
また、以下の実施形態では、本出願人が先に提案した電源線接続装置(特許文献1参照)、つまり、避雷器に断路器を付設して一体化した断路器付き避雷器を例示するが、断路器が付設されていない避雷器のみについても適用可能である。
【0029】
断路器付き避雷器11は、協約寸法の大きさを持ち、図1および図2に示すように、断路器12に対して避雷器11を着脱自在に取り付けた構造を具備する。図1は、避雷器11に端子ブロック13を取り付ける前の状態を示し、図2は、避雷器11に端子ブロック13を取り付けた後の状態を示す。
【0030】
この実施形態の避雷器11は、サージ電圧に対しては低抵抗、通常の電源電圧に対しては高抵抗を示す非直線性の電流電圧特性を有する酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする避雷素子(酸化金属バリスタ)を樹脂製筐体14の内部に収容した構造を具備する。
【0031】
断路器12は、樹脂製筐体15の天面に、分電盤28の電源線33(図5および図7参照)に対して避雷器11を断接するレバー16が設けられた構造を有する。また、断路器12の側面には、避雷器11の線路側端子17が配設されている。線路側端子17は、ねじ状金具18からなるねじ締め構造を有する。
【0032】
この実施形態では、3線式交流回路であることから、3個の線路側端子17を例示しているが、2線式交流回路であれば、2個の線路側端子17となり、線路側端子17の数は任意である。
【0033】
断路器付き避雷器11では、例えば避雷素子の特性劣化による短絡故障時、断路器12のレバー16を操作することにより、故障状態となった避雷器11を断路器12から電気的に切り離した状態で取り外し、避雷器11の点検および交換を行う。
【0034】
断路器付き避雷器11において、断路器12に設けられた避雷器11の線路側端子17と分電盤28の電源線33(図5および図7参照)とを接続するための端子ブロック13が断路器12の側面に配されている。
【0035】
端子ブロック13は、樹脂製筐体19の一方の側面から突出した凹状金具20からなる避雷器側端子21(図3参照)と、筐体19の他方の側面のスリット22内に配された刃受状金具23からなる分電盤側端子24(図4参照)とを有する。
【0036】
なお、避雷器側端子21の凹状金具20と分電盤側端子24の刃受状金具23とは、筐体19の内部で電気的に接続されている。
【0037】
分電盤側端子24の刃受状金具23は、筐体19の側面の上下方向に配された3つのスリット22のうち、3個の端子ブロック13について異なる上下位置にある1つのスリット22に設けられている。
【0038】
この実施形態では、避雷器11の線路側端子17の数に対応させて3個の端子ブロック13が取り付けられている。線路側端子17と端子ブロック13とを一対一で対応させることで、避雷器11の器種変更に伴う線路側端子数の変更に容易に対応できる。なお、複数個の端子ブロック13は一体物であってもよい。
【0039】
端子ブロック13の凹状金具20を断路器12のねじ状金具18に嵌め込むことにより、避雷器11の線路側端子17と端子ブロック13の避雷器側端子21とを電気的に接続する。また、ねじ状金具18による凹状金具20のねじ締め構造でもって、断路器12の側面に端子ブロック13を取り付けて固定する。
【0040】
なお、避雷器11の線路側端子17の上面開口部25と端子ブロック13の上面凹段部26とを覆うように、保護カバー27が取り付けられている。保護カバー27は、接着剤などにより断路器12および端子ブロック13に固定することが可能である。
【0041】
以上の構成からなる断路器付き避雷器11および端子ブロック13が組み付けられる分電盤28には、図5および図6に示すように、断路器12および避雷器11を固定するための構造として、切り起こし状の引掛け爪29と、弾性変形可能な押え片30とが設けられている。
【0042】
なお、図5および図6では、分電盤28の一部、つまり、断路器付き避雷器11を取り付けるための部分のみを示し、他の部分は省略している。
【0043】
分電盤28において、引掛け爪29は、避雷器11および断路器12の一方の側面に沿って一直線上の複数箇所に設けられている。押え片30は、避雷器11および断路器12の他方の側面に沿って一直線上の複数箇所に設けられている。
【0044】
これに対して、引掛け爪29が係合する凹部31を避雷器11および断路器12の一方の側面下部に設けている。また、押え片30が嵌合する凹部32を避雷器11および断路器12の他方の側面下部に設けている。
【0045】
電源線33は、分電盤28に立設されたフレーム34に取り付けられている。電源線33は、フレーム34から避雷器11および断路器12の側面に沿って水平方向へ延びる帯板状金具35からなる。帯板状金具35は、端子ブロック13のスリット22と対応させて上下方向に3本配されている。
【0046】
以上の構成からなる分電盤28に対して、断路器付き避雷器11および端子ブロック13を以下の要領でもって組み付ける。
【0047】
図5および図6に示すように、分電盤28の引掛け爪29および押え片30を利用して避雷器11および断路器12を分電盤28に組み付ける。
【0048】
つまり、分電盤28の引掛け爪29を避雷器11および断路器12の一方の側面の凹部31に係合させると共に、分電盤28の押え片30を弾性変形させながら避雷器11および断路器12の他方の側面の凹部32に嵌合させる。このようにして、避雷器11および断路器12を分電盤28に固定する。
【0049】
一方、端子ブロック13のスリット22内の刃受状金具23に電源線33の帯板状金具35を挿入して接触させることにより、端子ブロック13の分電盤側端子24と分電盤28の電源線33とを電気的に接続する(図7および図8参照)。
【0050】
これにより、避雷器11の線路側端子17と分電盤28の電源線33とを端子ブロック13を介して電気的に接続する。このように、断路器12の側面に取り付けられた端子ブロック13を利用することで、避雷器11の線路側端子17と分電盤28の電源線33とを繋ぐための配線が不要となる。
【0051】
その結果、配線の引き回しやねじ締め等の配線作業がなくなるので、避雷器11の分電盤28への設置において工数の削減および作業時間の短縮化が図れる。また、作業者による配線ミスもなくなるので、避雷器11の分電盤28への設置作業において信頼性の向上が図れる。
【0052】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0053】
11 避雷器
12 断路器
13 端子ブロック
17 線路側端子
18 ねじ状金具
20 凹状金具
21 避雷器側端子
23 刃受状金具
24 分電盤側端子
28 分電盤
33 電源線
35 帯板状金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8