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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】乾燥機と乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20230501BHJP
   F26B 21/04 20060101ALI20230501BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20230501BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20230501BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
F26B21/00 C
F26B21/04
F26B3/04
B05C9/14
B05C11/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020525222
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2018043341
(87)【国際公開番号】W WO2019239614
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018113403
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593008427
【氏名又は名称】日本電子精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】大縣 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】丸野 正徳
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-306977(JP,A)
【文献】特開2004-082018(JP,A)
【文献】特開2017-172960(JP,A)
【文献】特開2005-172359(JP,A)
【文献】特開2002-221090(JP,A)
【文献】特開昭64-011667(JP,A)
【文献】実開昭53-046672(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/00
F26B 21/04
F26B 3/04
B05C 9/14
B05C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を取り入れるガス配管部と、
前記ガス配管部と接続され、対象物を保持する熱処理部と、
前記ガス配管部からの熱風を乱流にし、前記熱処理部へ提供する乱流部と、を含む乾燥機であり、
前記乱流部は、断面が非対称の柱状形状であり、
前記乱流部は、断面が楕円形状であり、線対称でなく、渦の乱流を発生させる乾燥機。
【請求項2】
前記楕円は線対称でなく、上辺が下辺より長く、曲がっている請求項1記載の乾燥機。
【請求項3】
空気を取り入れるガス配管部と、
前記ガス配管部と接続され、対象物を保持する熱処理部と、
前記ガス配管部からの熱風を乱流にし、前記熱処理部へ提供する乱流部と、を含む乾燥機であり、
前記乱流部は、断面が非対称の柱状形状であり、
前記断面は、三角形の3つの頂点を丸めた形状であり、
前記熱風を受ける側の前記頂点の角度θ2は、前記熱風を放出する側の前記頂点の角度θ1より大きく、
前記乱流部は、渦の乱流を発生させる乾燥機。
【請求項4】
前記角度θ1は、20~30度であり、前記角度θ2は、30~50度である請求項3記載の乾燥機。
【請求項5】
前記乱流部は、複数あり、任意に方向が変化出来るように配置されている1~4のいずれか1項に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記方向は、前記ガス配管部からの前記熱風が送られてくる熱風通路の中心面に対して、±10度内である請求項5に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記ガス配管部は、空気を取り入れる吸気通路と、前記空気を放出する排気通路とを有し、
前記吸気通路は、前記空気を加熱し、第1熱風供給通路と第2熱風供給通路とに熱風を供給し、
前記第1熱風供給路と前記第2熱風供給路とは、前記熱風を、それぞれの前記乱流部へ供給する請求項1~6のいずれか1項に記載の乾燥機。
【請求項8】
前記第1熱風供給路は、前記乱流部へ前記熱風を供給する前に、前記熱風を集中させる熱風集中部を有する請求項7に記載の乾燥機。
【請求項9】
前記熱風集中部で絞った熱風の中央に、前記乱流部の端部が位置する請求項8に記載の乾燥機。
【請求項10】
前記乱流部は、前記熱風に傾斜している1~9のいずれか1項に記載の乾燥機。
【請求項11】
空気を吸引し熱風を発生させる工程と、
前記熱風を乱流とする工程と、
前記乱流を対象物に導く工程と、
前記乱流を回収する工程と、を含む乾燥方法であり、
請求項1~10のいずれか1項の乾燥機で使用される乾燥方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機と乾燥方法に関する。特に、現像後の対象物を乾燥する乾燥機と乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷用の感光性樹脂版は、沸点が低い有害なハロゲン系溶剤を使用して、現像してきた。しかし、環境問題から、ハロゲン系溶剤は使用できなくなってきた。世界的に、代替溶剤として炭化水素系溶剤を使用しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-000442号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、炭化水素系溶剤で現像した場合、沸点が高く、乾燥工程に時間がかかる。約60℃~80℃で約2時間かかる。結果、トータルの製造プロセス時間が長くなる。
本発明は長時間かかるプロセス時間問題に鑑みてなされたものであり、短時間で対象物を乾燥できる乾燥機と乾燥方法とを提供することを目的とする。
【0005】
上記課題を解決するために、空気を取り入れるガス配管部と、上記ガス配管部と接続され、対象物を保持する熱処理部と、上記ガス配管部からの熱風を乱流にし、上記熱処理部へ提供する乱流部と、を含む乾燥機を用いる。
また、空気を吸引し熱風を発生させる工程と、上記熱風を乱流とする工程と、上記乱流を対象物に導く工程と、上記乱流を回収する工程と、を含む乾燥方法を用いる。
【0006】
本発明によれば、短時間で対象物の乾燥をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態の乾燥機の平面構成図である。
図2図2は、実施の形態の乾燥機の斜視図である。
図3A図3Aは、実施の形態の第1乱流部の斜視図である。
図3B図3Bは、実施の形態の第1乱流部の斜視図である。
図3C図3Cは、実施の形態の第1乱流部の平面図である。
図3D図3Dは、実施の形態の第1乱流部の平面図である。
図3E図3Eは、実施の形態の第1乱流部の平面図である。
図4A図4Aは、実施の形態の熱風集中部付近の断面図である。
図4B図4Bは、実施の形態の熱風集中部付近の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下対象物としてフレキソ印刷用樹脂版で説明するが、他の対象物でもよい。
(製造プロセス)
始めに、フレキソ印刷用樹脂板の製造プロセスを説明する。
【0009】
フレキソ印刷用感光性樹脂板は、感光性樹脂層を画像露光、現像、乾燥して作製される。
<感光性樹脂層の形成>
上記感光性樹脂層を形成する組成物としては、熱可塑性エラストマー、光重合性不飽和単量体および光重合開始剤を主成分とする組成物である。
【0010】
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン等のモノビニル置換芳香族炭化水素と、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンとの共重合体が例示される。具体例としては、スチレン-ブタジエン-スチレンのブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンのブロック共重合体、スチレン-イソプレン/ブタジエン-スチレンブロック共重合体が挙げられる。熱可塑性エラストマーは一種単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
前記熱可塑性エラストマーは感光性樹脂組成物中に30~95重量%、好ましくは50~85重量%の割合で配合される。前記配合量が30重量%未満ではゴム弾性に優れた組成物が得られず、また配合量が95重量%を超えると再現性に優れたパターンの形成が困難となる。
【0012】
また、光重合性不飽和単量体としては、重合性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体、アリルエステル、スチレン、スチレン誘導体、N置換マレイミド化合物が挙げられる。具体的には、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール等のアルカンジオールのジアクリレートおよびジメタクリレート;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアクリレートおよびジメタクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート、ジアクリルフタレート;フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、フマル酸ビス(3-フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル;マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル;N,N’-ヘキサメチレンビスアクリルアミドおよびメタクリルアミド;トリアリルシアヌレート;ビニルトルエン、ジビニルベンゼン;N-ラウリルマレイミド;が挙げられる。重合性不飽和単量体は一種単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
さらに、光重合開始剤は、非赤外放射線に感応して重合性不飽和単量体の重合を開始する能力を有する限り特に制限はなく、目的とする感光性樹脂層の物性に応じて適宜選択することができる。例えば、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類、α-ヒドロキシケトン類、α-アミノケトン類、オキシムエステル類、アシルホスフィンオキサイド系化合物が挙げられる。光重合開始剤は一種単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
上記の感光性樹脂層には、上記成分以外に、可塑剤、加工安定剤、液状ゴム、熱重合禁止剤、増感剤、着色剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、耐オゾン劣化剤、無機フィラー、難燃剤等の添加剤を、要求される性能に応じて、1種または2種以上配合してもよい。
【0015】
感光性樹脂層は、種々の方法で形成することができ、例えば、熱可塑性エラストマーと、重合性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物から形成される。例えば上述のような組成であれば、配合される原料を適当な溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶媒に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶媒を蒸発させ、そのまま感光性樹脂板とすることができる。また溶媒を用いず、ニーダーあるいはロ-ルミルで混練し、押出機、射出成形機、プレス等により、所望の厚さの感光性樹脂板に成形することができる。
【0016】
感光性樹脂層の厚みは、通常0.5mm~9.0mmの範囲内である。
叙上のようにして得られた感光性樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂フィルムまたはシート、鉄、アルミニウム、銅等の金属板等に圧着して、感光性樹脂層を形成する。
【0017】
<画像露光、現像、乾燥>
ネガマスクをもしくは薄膜にコートされたカーボン層をレーザーアブレーションされたマスク層を介して活性光線を選択的に感光性樹脂層へ照射し画像露光を行い、未露光部分を現像液で洗い出し、それを乾燥してゴム弾性を有するフレキソ印刷用レリーフ版を製造する。
【0018】
前記画像露光には、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、LED等の光源を用いて2~20分程度照射することにより行われる。露光後現像処理が行われるが、使用する現像液としては、芳香族系溶剤やこれにパラフィン系溶剤やナフテン系溶剤を添加したものが好適であり、これにさらに水及び界面活性剤を加えたエマルション溶剤としたものも好適に用いられる。前記芳香族系溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、アミルトルエン、シメン等、またはこれらの混合物(例、原油または石炭乾留ナフサ)等が挙げられ、これらの化合物の単独あるいは2種以上の混合物が使用される。
【0019】
混合物の市販品としては、例えばソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上商品名、エクソン化学社製)、スワゾール100、スワゾール200、スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500、スワゾール1800(以上商品名、丸善石油化学社製)などがある。また、パラフィン系炭化水素としては、例えばヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等を挙げることができ、これらの化合物の単独でもまた2種以上の混合物でもよい。さらに、ナフテン系炭化水素としては、例えばジメチルシクロヘキサン、メチルエチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン等が挙げられ、これらの単独でもまた2種以上の混合物でもよい。特に、これらの溶剤に水、及び高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩、脂肪族第四アンモニウム塩、脂肪族アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪族エステル、ポリエチレングリコール脂肪族エステル等の界面活性剤を添加したエマルション現像液はレリーフの再現性がよく、安全性が高いため好ましく用いることができる。
【0020】
感光性樹脂は熱可塑性エラストマーと、重合性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物から形成される故にネガマスクを感光性樹脂にラミネートする際に粘着性を有する為、ネガマスクを破損したり感光性樹脂とネガマスクの間にエアがみが発生し忠実な画像が形成しない為、一般的には薄膜のコート層を形成させる。その為上記成分からなる現像液にコート層が容易に溶解出来る化合物、例えばn-ブチルイソブチレート、イソブチル-n-ブチレート、イソブチルイソブチレ-ト、イソブチル-2-メチル-ブチレート、イソブチル-3-メチル-ブチレート等を添加することができる。
【0021】
上記現像液を用いた現像方法としては、ブラシ現像、スプレー現像等の従来の方法が用いられる。
本願の実施の形態は、1例として、感光性樹脂の表面もしくは感光性樹脂層に膨潤した現像液を乾燥で除去する乾燥方法、乾燥機に関する。
【0022】
なお、これ以外の対象物の乾燥にも利用できる。
(実施の形態)
図1に、実施の形態の乾燥機100の平面構成図を示す。図2に乾燥機100の斜視図を示す。
【0023】
<構成>
乾燥機100は、熱処理部31bと、ガス配管部31aとを有する。
<ガス配管部31a>
熱処理部31bには、第1乱流部17a、第2乱流部17bと、対象物16aを保持する保持部16bと、を有する。
【0024】
ガス配管部31aは、吸気通路10a、第1熱風供給通路10c、第2熱風供給通路10bと、熱風回収通路10dと、排気通路10fと、連結通路10eとを有する。
吸気通路10aは、吸気弁19aを有し、外部から空気を取り入れる。加熱部14で熱風を作製する。ファン13aで空気の流れを発生させる。
【0025】
吸気通路10aから、第1熱風供給通路10cと第2熱風供給通路10bの左右方向へ広がり、それぞれ、熱風集中部31cへ熱風を送る。熱風集中部31cは、熱風を一定範囲へ集中させ、熱処理部31bの第1乱流部17a、第2乱流部17bへ吹き付ける。
熱風回収通路10dは、ファン13bを有し、熱処理部31bの熱風を引き込む。熱風回収通路10dは、左右の第1熱風供給通路10cと第2熱風供給通路10bとの間に位置する。第1熱風供給通路10cと第2熱風供給通路10bとが、熱処理部31bの両端に位置し、熱風回収通路10dが、熱処理部31bの中央に位置するのが好ましい。熱処理部31bの全体を均質に熱風の流れとできる。
【0026】
排気通路10fは、熱風回収通路10dからの熱風を受け取り、外部へ放出する。
連結通路10eは、熱風回収通路10dと吸気通路10aとを繋ぐ通路である。連結通路10eは、熱風を循環させる場合に利用される。
【0027】
複数の弁が配置されている。吸気通路10aには、吸気弁19aがある。連結通路10eには、連結弁19bがある。排気通路10fには、排気弁19cがある。
それぞれ通路の開け閉めがされる。
【0028】
さらに、熱風回収通路10dには、ガス検知器18がある。ガス検知器18の結果により、上記3つの弁の開閉がされる。
<熱処理部31b>
熱処理部31bは、第1乱流部17a、第2乱流部17bと、対象物16aを保持する保持部16bを有する。また、熱処理部31bは、個別の部屋である第1熱処理部31b1と第2熱処理部31b2とを積層状態で有する。図2では、2室であるが、2室以上でもよい。それぞれの室に熱風が送られる。
【0029】
第1乱流部17a、第2乱流部17bは、第1熱風供給通路10c、第2熱風供給通路10bからの熱風を、それぞれ、乱流とし対象物16aに照射する。また、第1乱流部17a、第2乱流部17bは、それぞれ複数ある。詳細は、下記で説明する。
保持部16bは、対象物16aを保持する。対象物16aの上下に熱風(乱流)を照射できる構造である。例えば、網状体のプレートである。上下から熱風の乱流で加熱でき効率的に対象物16bを乾燥できる。
【0030】
さらに、熱処理部31bには、第1圧力計15bがある。熱処理部31bの圧力の検出し、ファン13bの制御をする。熱処理部31bを減圧状態とし、対象物16aからの溶剤の蒸発をすばやく取り除く。
また、ガス配管部31aの第1熱風供給通路10cには、第2圧力計15aがある。第1熱風通路10cの圧力の検出をし、ファン13aの制御をする。第1熱風通路10cに続く熱処理部31bを減圧状態として、対象物16aからの溶剤の蒸発を素早くする。
【0031】
第1圧力計13a、第2圧力計13bで、熱処理部31bを均質に減圧できる。
<プロセス>
吸気通路10aより空気をファン13aにて取り込む。その空気を加熱部14で加熱する。熱風は、第1熱風供給通路10c、第2熱風供給通路10bへ送くられる。
【0032】
第1熱風供給通路10c、第2熱風供給通路10bは、熱風を熱処理部31bへ供給する。
熱処理部31bでは、その空気を第1乱流部17a、第2乱流部17bで、乱流、すなわち、渦巻き状にして、熱処理部31bの対象物16aの表面に吹きかける。
【0033】
図示しないが、熱処理部31bの温度をモニターし、所定の温度、温度プロファイルとなるように、加熱部14のヒータが調整される。
通常は、熱風を循環させる。つまり、連結弁19bを開き、吸気弁19aと排気弁19cとを閉じ、熱風を循環させる。
【0034】
ガス検知器18で、対象物16aから蒸発したガスの飽和を検知したら、吸気弁19a、排気弁19cを開け、数秒吸気と排気をし、ガス飽和濃度を下げる。必要に応じて、全ガス(熱風)を入れ替える場合もある。
乾燥させる対象物16aが含む溶剤の種類に応じて、対応したガス検知器18へ交換する。ガスは、可燃性ガスの場合がほとんどである。
【0035】
また、常時、第2圧力計15a、第1圧力計15bで、熱処理部31bの圧力を監視する。少し減圧状態にするように、ファン13a、13bを調整する。減圧状態とすることで、熱風を入れ替える場合に、より空気を入れやすく、速く入れ替えることができる。
具体的には、常圧101.3kpaとして、減圧は、-80kpa~-100kpaの範囲にする。
【0036】
熱風回収通路10dに回収のファン13bがあることで、回収の風量を大きくすることで、熱処理部31bを減圧状態にできる。渦で拡散された熱風(乱流)を、対象物16aに当てることができる。かつ、熱処理部31bを、減圧状態にすることで、溶剤の沸点も下がり、対象物16aに膨潤した溶剤も抜けやすく、乾燥が早くなる。
【0037】
<乱流部>
図3A図3Bに、第1乱流部17aの斜視図を示す。第2乱流部17bも同様であるので、第1乱流部17aで説明する。図3C図3Dに、第1乱流部17aを上から見た平面図を示す。第1乱流部17aは、柱状であり、断面は、非対称の形状であり、断面が目の形状である。第1乱流部17aは、鉛直方向に複数個立っている。図3Eは、第1乱流部17aの拡大断面図である。
【0038】
第1乱流部17aの形状は、断面が長細い楕円形状(目の形状)の柱状である。ただし、楕円は線対称でなく、上辺が下辺より長く、曲がっている。このため、熱風の流れは、上流21aが、下流21bより遅い。結果、熱風が乱流34となる。
図3Aで示すように、第1乱流部17aの長手方向は、熱風の流れの方向に垂直に配置される。上流21aと下流21bとで差ができ、特に、第1乱流部17aの先端の端部33(コーナ部)付近で、下流21bから巻き上げられる渦の乱流34が発生する。
【0039】
図3Bでは、図3Aに対して、第1乱流部17aを傾けている(図示しないが回転機構がある)。傾けた方が、上流21aと下流21bとで差ができ、より乱流34が発生しやすくよい。このため、第1乱流部17aは、任意に方向が変化出来るようにするのが好ましい。
図3Eに示すように、第1乱流部17aの断面は、三角形の3つの頂点を丸めた形状である。
【0040】
熱風を受ける側の角度θ2は、熱風を放出する側の角度θ1より大きければよい。角度θ1のところの端部33で乱流34が発生するので、角度θ1は小さくする。角度θ1は、20~30度が好ましい。角度θ2は、角度θ1より大きく30~50度が好ましい。
傾ける角度αは、傾けるほど、熱風が振幅の大きな乱流34となるが、角度αは、熱風通路の中心面32(または、熱風が流れる管に対して、または、熱風の流れに対して)に対して±10度が好ましい。熱風通路の中心面32は、熱風の通る通路の中心であり、鉛直方向に平行な面である。
【0041】
第1乱流部17aの横方向(側面方向)は、柱状で一定の断面であるのが好ましい。空気抵抗が一様で、均質に乱流34が発生でき好ましい。
均質に乱流34が発生させるため、第1熱風供給通路10c内で、複数の第1乱流部17aを傾けたり、水平方向に均等に配置したりする。
【0042】
図4Aは、熱風集中部31c付近の断面図である。図4Bは、熱風集中部31c付近の平面図である。
第1乱流部17aの手前の第1熱風供給部10cに、熱風集中部31cがある。熱風集中部31cは、熱風を集中させ、第1乱流部17aに導く。多くの熱風を乱流34にする。
【0043】
熱風は、第1乱流部17aで乱流34となり、対象物16aの上下面に導かれる。
特に、第1乱流部17aのエッジ部分、すまり、端部33を中心に、乱流34が発生する。このため、熱風集中部31cで絞った領域のほぼ中央に、第1乱流部17aの端部33がくるようにする。
【0044】
図4A図4Bからわかるように、対象物16aの表面に平行に、乱流34が流れる。このことで、対象物16aから蒸発する溶剤が効率的に除去される。
対象物16aは、熱風の乱流34で上下面から加熱されるので、第1熱処理室31b1と第2熱処理室31b2とで差ができにくい。
【0045】
<効果>
熱風の乱流34により、対象物は効率的に乾燥される。
<全体として>
各要素の材料は、金属もしくは耐熱性を有する化合物である。温度は対象物16aにより異なる。溶剤などを蒸発させるので、100~400℃程度に耐える材質を用いる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明の乾燥機は、乾燥機として広く利用される。対象物として、各種部材を対象とできる。
【符号の説明】
【0047】
10a…吸気通路、10b…第2熱風供給通路、10c…第1熱風供給通路、10d…熱風回収通路、10e…連結通路、10f…排気通路、13a、13b…ファン、14…加熱部、15a…第2圧力計、15b…第1圧力計、16a…対象物、16b…保持部、17a,17b…乱流部、17a…第1乱流部、17b…第2乱流部、18…ガス検知器、19a…吸気弁、19b…連結弁、19c…排気弁、21a…上流、21b…下流、31b…熱処理部、31a…ガス配管部、31b1…第1熱処理部、31c…熱風集中部、31b2…第2熱処理部、32…通路の中心面、33…端部、34…乱流、100…乾燥機。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B