(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】異常検知システムおよび異常検知方法
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20230501BHJP
G08B 13/22 20060101ALI20230501BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H02S50/00
G08B13/22
H02J7/35 J
(21)【出願番号】P 2022011814
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521401597
【氏名又は名称】明和興業ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521401601
【氏名又は名称】明和テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】林 譲治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066693(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02608172(EP,A1)
【文献】特開2017-169264(JP,A)
【文献】特開2017-033219(JP,A)
【文献】国際公開第2011/151672(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0034564(KR,A)
【文献】特開2016-131470(JP,A)
【文献】特開2013-251581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-99/00
G08B 13/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽光パネルのそれぞれから接続部まで延びる複数の上流出力ケーブルと、前記接続部から電力変換装置まで延びる下流出力ケーブルとを備えた太陽光発電システムに用いられ、前記下流出力ケーブルの異常を検知するための異常検知システムであって、
前記複数の上流出力ケーブルのうち対象上流ケーブルに巻かれる上流コイル
と、前記複数の太陽光パネルのいずれかからまたは前記複数の太陽光パネルとは異なる他の太陽光パネルから供給される電源を受けるバッテリとを含み、
前記バッテリが受ける電源電圧に基づいて、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けてパルス信号を出力する出力装置と、
前記下流出力ケーブルに巻かれる下流コイルを含み、前記出力装置によって出力された前記パルス信号を、前記下流コイルを介して受信する受信装置と
を備え、
前記出力装置は、
前記バッテリが受ける電源電圧が所定電圧未満の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けて前記パルス信号を出力し、
前記バッテリが受ける電源電圧が前記所定電圧以上の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けた前記パルス信号の出力を停止し、
前記受信装置は、
前記パルス信号を
所定の検知期間に受信しなかった場合に、エラーを通知する通知手段を備えたことを特徴とする異常検知システム。
【請求項2】
前記出力装置は、
前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けて前記パルス信号をあらかじめ定められた出力タイミングで出力し、
前記通知手段は、
前記出力タイミングに応じた受信タイミングで前記パルス信号を受信しなかった場合に、前記エラーを通知する
ことを特徴とする請求項
1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記上流コイルは、前記対象上流ケーブルとして、前記複数の太陽光パネルのうち前記接続部から最も離れた位置に配置される前記太陽光パネルから延びる前記上流出力ケーブルに巻かれる
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の異常検知システム。
【請求項4】
複数の太陽光パネルのそれぞれから接続部まで延びる複数の上流出力ケーブルと、
前記接続部から電力変換装置まで延びる下流出力ケーブルと、
前記複数の上流出力ケーブルのうち対象上流ケーブルに巻かれる上流コイルと、前記複数の太陽光パネルのいずれかから、または前記複数の太陽光パネルとは異なる他の太陽光パネルから供給される電源を受けるバッテリとを含み、前記バッテリが受ける電源電圧に基づいて、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けてパルス信号を出力する出力装置と、
前記下流出力ケーブルに巻かれる下流コイルを含み、前記出力装置によって出力された前記パルス信号を、前記下流コイルを介して受信する受信装置と
を備えた太陽光発電システムにおいて、前記下流出力ケーブルの異常を検知するための異常検知方法であって、
前記異常検知方法は、
前記バッテリが受ける電源電圧が所定電圧未満の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けて、前記出力装置に前記パルス信号を出力させ、前記バッテリが受ける電源電圧が前記所定電圧以上の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けた、前記出力装置による前記パルス信号の出力を停止させる出力制御処理と、
前記出力制御処理で前記出力装置が出力した前記パルス信号を、前記受信装置が所定の検知期間に受信しなかった場合に、エラーを通知する通知処理と
を備えたことを特徴とする異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに用いられる異常検知システムおよび異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムでは、出力ケーブルが盗難にあうなど、出力ケーブルが断線する場合がある。たとえば、特許文献1に記載の異常検知システムは、計測器と判定部を備え、以下のように出力ケーブルの断線を検知する。
【0003】
計測器は、太陽光発電システムの出力ケーブルに設けられ、インピーダンスを計測する。判定部は、計測器による計測結果に基づいて出力ケーブルの断線を検知する。結果として、異常検知システムは、出力ケーブルの盗難など、出力ケーブルの異常を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記異常検知システムでは、インピーダンスを計測するために、接続箱の中において、開閉器を回路に組み込む必要がある。したがって、上記異常検知システムを既設の太陽光発電システムに適用することは難しいといった問題があった。
【0006】
本発明の目的は、出力ケーブルの断線を検知でき、且つ既設の太陽光発電システムに容易に適用できる異常検知システムおよび異常検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る異常検知システムは、複数の太陽光パネルのそれぞれから接続部まで延びる複数の上流出力ケーブルと、前記接続部から電力変換装置まで延びる下流出力ケーブルとを備えた太陽光発電システムに用いられ、前記下流出力ケーブルの異常を検知するための異常検知システムであって、前記複数の上流出力ケーブルのうち対象上流ケーブルに巻かれる上流コイルと、前記複数の太陽光パネルのいずれかからまたは前記複数の太陽光パネルとは異なる他の太陽光パネルから供給される電源を受けるバッテリとを含み、前記バッテリが受ける電源電圧に基づいて、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けてパルス信号を出力する出力装置と、前記下流出力ケーブルに巻かれる下流コイルを含み、前記出力装置によって出力された前記パルス信号を、前記下流コイルを介して受信する受信装置とを備え、前記出力装置は、前記バッテリが受ける電源電圧が所定電圧未満の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けて前記パルス信号を出力し、前記バッテリが受ける電源電圧が前記所定電圧以上の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けた前記パルス信号の出力を停止し、前記受信装置は、前記パルス信号を所定の検知期間に受信しなかった場合に、エラーを通知する通知手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記第一態様によれば、例えば下流出力ケーブルが断線した場合、受信装置はパルス信号を受信しない。この場合、通知手段がエラーを通知する。よって、異常検知システムは、下流出力ケーブルの断線を検知できる。また、異常検知システムは、上流出力ケーブルに上流コイルを巻き、且つ下流出力ケーブルに下流コイルを巻くことにより、既設の太陽光発電システムに適用できる。つまり、異常検知システムは、既設の太陽光発電システムの回路を組み替えることなく適用できる。よって、異常検知システムは、既設の太陽光発電システムに容易に適用できる。
【0009】
【0010】
さらに、例えば、太陽光パネルによって発電される電力が大きい場合には、盗難者が下流出力ケーブルを切断しようとすると、太陽光パネルによって発電される電力が小さい場合に比べて、盗難者が感電する可能性が高い。このため、バッテリが受ける電源電圧が所定電圧以上の場合には、盗難者によって下流出力ケーブルが切断される可能性は、バッテリが受ける電源電圧が所定電圧未満の場合よりも低い。この場合、上記異常検知システムでは、出力装置はパルス信号の出力を停止する。よって、異常検知システムは不必要にパルス信号を出力することを抑制でき、パルス信号発生による出力装置の消耗を抑制できる。
【0011】
本発明の第一態様に係る異常検知システムにおいて、前記出力装置は、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けて前記パルス信号をあらかじめ定められた出力タイミングで出力し、前記通知手段は、前記出力タイミングに応じた受信タイミングで前記パルス信号を受信しなかった場合に、前記エラーを通知してもよい。
【0012】
この場合、出力装置がパルス信号を常には出力しないので、異常検知システムはパルス信号発生による出力装置の消耗を抑制できる。
【0013】
本発明の第一態様に係る異常検知システムにおいて、前記上流コイルは、前記対象上流ケーブルとして、前記複数の太陽光パネルのうち前記接続部から最も離れた位置に配置される前記太陽光パネルから延びる前記上流出力ケーブルに巻かれてもよい。
【0014】
この場合、異常検知システムは、盗難者によって出力装置が発見される可能性を抑制できる。
本発明の第二態様に係る異常検知方法は、複数の太陽光パネルのそれぞれから接続部まで延びる複数の上流出力ケーブルと、前記接続部から電力変換装置まで延びる下流出力ケーブルと、前記複数の上流出力ケーブルのうち対象上流ケーブルに巻かれる上流コイルと、前記複数の太陽光パネルのいずれかから、または前記複数の太陽光パネルとは異なる他の太陽光パネルから供給される電源を受けるバッテリとを含み、前記バッテリが受ける電源電圧に基づいて、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けてパルス信号を出力する出力装置と、前記下流出力ケーブルに巻かれる下流コイルを含み、前記出力装置によって出力された前記パルス信号を、前記下流コイルを介して受信する受信装置とを備えた太陽光発電システムにおいて、前記下流出力ケーブルの異常を検知するための異常検知方法であって、前記異常検知方法は、前記バッテリが受ける電源電圧が所定電圧未満の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けて、前記出力装置に前記パルス信号を出力させ、前記バッテリが受ける電源電圧が前記所定電圧以上の場合に、前記上流コイルを介して前記対象上流ケーブルから前記下流出力ケーブルに向けた、前記出力装置による前記パルス信号の出力を停止させる出力制御処理と、前記出力制御処理で前記出力装置が出力した前記パルス信号を、前記受信装置が所定の検知期間に受信しなかった場合に、エラーを通知する通知処理とを備えたことを特徴とする。
上記第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】異常検知システム2が適用された太陽光発電システム1を示す概念図である。
【
図2】異常検知システム2の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】出力時刻記憶エリア4021を示す概念図である。
【
図4】受信時刻記憶エリア5021を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載された装置の構成およびフローチャートは、それらのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0017】
まず、
図1を参照して、太陽光発電システム1について説明する。太陽光発電システム1は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する公知のシステムであり、本実施形態では、複数のユニット10A、10B、10CとPCS(Power Conditioning System)90とを備える。
【0018】
複数のユニット10A、10B、10Cのそれぞれの構成は互いに同じなので、以下ではユニット10Aの構成について説明し、ユニット10B、10Cの構成の説明については省略する。なお、ユニット10B、10Cにおいて、ユニット10Aと同じ構成については、ユニット10A中の符号と同じ符号を付す。
【0019】
ユニット10Aは複数の太陽光パネル20A、20B、20Cと複数の上流出力ケーブル21A、21B、21Cと接続箱30と下流出力ケーブル31とを備える。複数の太陽光パネル20A、20B、20Cは、それぞれ、屋外に設置され、太陽電池がパネル状に配置されることで構成される。太陽電池は太陽光を受けることで光電効果によって発電を行う。
【0020】
複数の太陽光パネル20A、20B、20Cは、それぞれ、太陽電池によって直流電力を生成する。複数の太陽光パネル20A、20B、20Cのそれぞれの最大電圧は特定の値に限定されないが、例えば15V程度である。本実施形態では、複数の太陽光パネル20A、20B、20Cの中で、太陽光パネル20Aが、後述の接続箱30から最も離れた位置に設置される。
【0021】
上流出力ケーブル21Aは太陽光パネル20Aから接続箱30まで延びる。つまり、太陽光パネル20Aは、上流出力ケーブル21Aを介して接続箱30に接続する。上流出力ケーブル21Bは太陽光パネル20Bから接続箱30まで延びる。つまり、太陽光パネル20Bは、上流出力ケーブル21Bを介して接続箱30に接続する。上流出力ケーブル21Cは太陽光パネル20Cから接続箱30まで延びる。つまり、太陽光パネル20Cは、上流出力ケーブル21Cを介して接続箱30に接続する。
【0022】
複数の上流出力ケーブル21A、21B、21Cは、それぞれ、導電性を有し、複数の太陽光パネル20A、20B、20Cのそれぞれによって発電された電力を接続箱30まで送る。複数の上流出力ケーブル21A、21B、21Cの周囲は、それぞれ、絶縁体で被覆される。接続箱30は屋外に設置され、複数の上流出力ケーブル21A、21B、21Cを1つにまとめる端子を含む。
【0023】
下流出力ケーブル31は接続箱30からPCS90まで延び、接続箱30をPCS90に接続する。下流出力ケーブル31は導電性を有し、接続箱30からPCS90まで電力を送る。下流出力ケーブル31の周囲は、絶縁体で被覆される。下流出力ケーブル31は、複数の上流出力ケーブル21A、21B、21Cのそれぞれよりも太く且つ長い。
【0024】
下流出力ケーブル31には整流ダイオード32が接続される。整流ダイオード32のカソードはPCS90側の端子に接続される。整流ダイオード32のアノードは接続箱30側の端子に接続される。
【0025】
PCS90はコンテナ91内に設置され、太陽光パネル20A、20B、20Cから送られる直流電力を交流電力に変換する。PCS90は変換後の交流電力を外部電力系統99に出力する。
【0026】
以下では、太陽光パネル20AとPCS90との間の電力の伝達経路において、太陽光パネル20A側を「上流側」といい、PCS90側を「下流側」という。
【0027】
ここで、
図1を参照して、異常検知システム2について説明する。異常検知システム2は上述した太陽光発電システム1に設けられる。本実施形態では、複数の異常検知システム2が、それぞれ、複数のユニット10A、10B、10Cに設けられる。異常検知システム2は既存の太陽光発電システム1に後付けされ、下流出力ケーブル31の異常を検知する。
【0028】
異常検知システム2は出力装置40と受信装置50とを備える。出力装置40は接続箱30よりも上流側に設けられ、本実施形態では太陽光パネル20A近傍に設けられる。出力装置40はパルス発生装置であり、上流コイル41と電源ケーブル42とバッテリ413(
図2参照)とを備える。
【0029】
上流コイル41は上流出力ケーブル21Aに巻かれる。すなわち、上流コイル41は複数の太陽光パネル20A、20B、20Cのうち接続箱30から最も離れた位置に配置される太陽光パネル20Aから延びる上流出力ケーブル21Aに巻かれる。
【0030】
上流出力ケーブル21Aの周囲は絶縁体で被覆されているので、上流コイル41と上流出力ケーブル21Aとは互いに絶縁された状態にある。したがって、上流コイル41が上流出力ケーブル21Aに与える電気的影響は実質的にない。
【0031】
電源ケーブル42は上流出力ケーブル21Aに接続される。バッテリ413は電源ケーブル42と接続する。バッテリ413は、太陽光パネル20Aから供給される電源を、電源ケーブル42を介して受けて充電し、または充電した電源を出力装置40全体に供給する。このため、出力装置40は太陽光発電システム1以外の外部電源から電源の供給を受ける必要がない。
【0032】
以下では、太陽光パネル20Aからバッテリ413に供給される電源の電圧を単に「電源電圧」という。電源電圧は時間帯(夜間または昼間)、天気などによって変動する。例えば夜間の電源電圧は、晴れの日の昼間の電源電圧よりも低い。なお、本実施形態において、「夜間」とは、太陽光発電システム1の設置位置において、日の入りから日の出までを示す。「昼間」とは、太陽光発電システム1の設置位置において、日の出から日の入りまでを示す。
【0033】
電源ケーブル42には整流ダイオード44が接続される。整流ダイオード44のカソードはバッテリ413(
図2参照)側の端子に接続される。整流ダイオード44のアノードは上流出力ケーブル21A側の端子に接続される。
【0034】
受信装置50は接続箱30よりも下流側に設けられ、本実施形態では、コンテナ91内に設けられる。受信装置50は外部電源または内部バッテリ(図示略)からの電力を受けて動作する。つまり、受信装置50は太陽光発電システム1とは異なる電力系統からの電力供給によって動作する。これにより、受信装置50は太陽光発電システム1に異常が発生しても動作できる。
【0035】
受信装置50はパルス検知装置であり、下流コイル51を備える。下流コイル51は下流出力ケーブル31に巻かれる。本実施形態では、下流コイル51は下流出力ケーブル31のうち中間地点よりも下流側の位置に巻かれ、詳細には、PCS90近傍で下流出力ケーブル31に巻かれる。下流コイル51は整流ダイオード32よりも上流側に位置する。
【0036】
下流出力ケーブル31の周囲は絶縁体で被覆されているので、下流コイル51と下流出力ケーブル31とは互いに絶縁された状態にある。したがって、下流コイル51が下流出力ケーブル31に与える電気的影響は実質的にない。
【0037】
上記構成によれば、出力装置40がファラデーの電磁誘導の法則を利用し、上流コイル41を介してパルス信号を上流出力ケーブル21Aに伝える。パルス信号は、上流出力ケーブル21Aから下流出力ケーブル31を介してPCS90に向かって流れる。詳しくは後述するが、出力装置40は、電源電圧が所定電圧未満の場合に、あらかじめ定められた時刻に一定時間の間パルス信号を発生させる。
【0038】
下流出力ケーブル31が断線していない状態では、受信装置50がファラデーの電磁誘導の法則を利用し、下流コイル51を介してパルス信号を受信する。一方、下流出力ケーブル31が断線している状態では、受信装置50は下流コイル51を介してパルス信号を受信しない。
【0039】
パルス信号を受信すべきタイミングで受信しなかった場合、受信装置50は下流出力ケーブル31に断線などの異常が発生したと判断する。この場合、受信装置50は下流出力ケーブル31に異常が発生したことを太陽光発電システム1のオーナー、管理者などに通知し、サイレンを鳴らす。
【0040】
次に、
図2を参照して、出力装置40の電気的構成について説明する。出力装置40はCPU401とROM402とRAM403とを備える。CPU401とROM402とRAM403とは互いに接続する。CPU401は出力装置40の動作を制御する。ROM402は、CPU401が出力装置40の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU401が必要な情報などを記憶する。
【0041】
ROM402は所定電圧を複数記憶する。所定電圧は、電源電圧の電圧範囲の上限値であり、出力装置40がパルス信号を出力する条件を示す。複数の所定電圧は、それぞれ、太陽光パネル20Aが発電可能な最大電圧よりも低い。上述したように、本実施形態では、太陽光パネル20Aの最大電圧は15V程度である。複数の所定電圧は、それぞれ、特定の値に限定されないが、本実施形態では、3V、5V、7Vである。
【0042】
ROM402には、後述の出力時刻記憶エリア4021(
図3参照)が設けられる。RAM403は、制御プログラムで用いられる各種データなどを一時的に記憶する。
【0043】
CPU401にはパルスジェネレータ411とGPS(Global Positioning System)モジュール412とバッテリ413と操作部414とが接続される。パルスジェネレータ411はCPU401による制御によって、パルス信号を上流コイル41に出力する。
【0044】
パルス信号の周波数は、特定の周波数に限定されないが、省電力のため、低周波が好ましく、本実施形態では、100Hz~200Hz程度である。なお、パルス信号を発生させるための電圧は、特定の大きさに限定されないが、本実施形態では、5V程度である。
【0045】
また、本実施形態では、出力装置40と受信装置50との間のパルス信号の通信方式は、単一側波帯(SSB)通信方式が採用される。なお、出力装置40と受信装置50との間のパルス信号の通信方式は、両側波帯(DSB)通信方式が採用されてもよい。
【0046】
また、パルス信号の周波数は、ノイズの発生を抑制するため、太陽光発電システム1の設置地域の電源周波数(例えば日本では50Hzまたは60Hz)の倍数とは異なる周波数であることが好ましい。GPSモジュール412はGPS衛星との間の通信によって現在の時刻を取得する。
【0047】
操作部414はロータリスイッチである。CPU401は操作部414の位置に応じて、複数の所定電圧のいずれか1つを特定する。つまり、操作部414の操作によって複数の所定電圧のいずれか1つが選択される。
【0048】
図3に示すように、出力時刻記憶エリア4021は、出力装置40がパルス信号を出力する時刻(以下、「出力時刻」という。)を記憶する。つまり、出力装置40は、あらかじめ定められた出力時刻にパルス信号を出力するように構成される。本実施形態では、出力時刻記憶エリア4021には、午前0時から午後11時まで1時間ごとに出力時刻が記憶されている。
【0049】
図2を参照して、受信装置50の電気的構成について説明する。受信装置50はCPU501とROM502とRAM503とを備える。CPU501とROM502とRAM503とは互いに接続する。CPU501は受信装置50の動作を制御する。ROM502は、CPU501が受信装置50の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU501が必要な情報などを記憶する。ROM502には、後述の受信時刻記憶エリア5021(
図4参照)が設けられる。RAM503は、制御プログラムで用いられる各種データなどを一時的に記憶する。
【0050】
CPU501にはパルス検知センサ511とGPSモジュール512とスピーカ513と通信モジュール514とが接続される。パルス検知センサ511はパルス信号の有無を検知する。GPSモジュール512はGPS衛星との間の通信によって現在の時刻を取得する。
【0051】
スピーカ513はCPU501による制御によって、サイレンを出力する。通信モジュール514はCPU501による制御によって、オーナー、管理者などの通信端末と通信を行う。
【0052】
図4に示すように、受信時刻記憶エリア5021は、受信装置50がパルス信号を受信することが想定される時刻(以下、「受信時刻」という。)を複数記憶する。本実施形態では、複数の受信時刻の全部(午前0時~午前5時、午後8時~午後11時)は、それぞれ、複数の出力時刻(午前0時~午後11時)の一部と同じである。
【0053】
例えば昼間は、電源電圧が所定電圧以上となることが想定されるので、出力装置40は出力時刻になってもパルス信号を出力しないことが想定される。仮に、パルス信号が出力されないことが想定される期間にもパルス信号の有無が判断された場合、下流出力ケーブル31に異常が発生していないにも関わらず、下流出力ケーブル31に異常が発生したと誤検知される可能性がある。
【0054】
したがって、本実施形態において、受信時刻には、出力装置40によって出力時刻にパルス信号が出力されることが想定される期間内の時間が設定される。このため、受信時刻は特定の時刻に限定されないが、夜間の時間であることが好ましい。本実施形態では、受信時刻記憶エリア5021には、午前0時から午前5時まで、および午後8時から午後11時まで1時間ごとに受信時刻が記憶されている。
【0055】
図5を参照して、出力処理について説明する。出力装置40に電源が投入された場合、CPU401は、ROM402から制御プログラムを読み出して動作することで、出力処理を実行する。出力処理では、CPU401はパルス信号の出力制御を行う。
【0056】
出力処理が開始されると、まず、CPU401は電源電圧が所定電圧未満であるか否かを判断する(S11)。例えば昼間などの明るい時間帯には、下流出力ケーブル31に夜間に比べて比較的大きな電圧(例えばDC600V程度)がかかる。この場合、盗難者が下流出力ケーブル31を切断しようとすると、盗難者は感電する恐れがある。このため、下流出力ケーブル31に大きな電圧がかかっている場合には下流出力ケーブル31は盗難者によって切断されにくい。したがって、昼間などの明るい時間帯には、下流出力ケーブル31が断線したか否かを判断する必要性が比較的少ない。
【0057】
昼間などの明るい時間帯には、電源電圧が所定電圧以上となる(S11:NO)。この場合、CPU401は処理をS11の判断に戻す。つまり、この場合には、CPU401は後述のS13によるパルス信号の出力を行わない。したがって、昼間などの明るい時間帯には、CPU401はS11の判断を繰り返すことになる。
【0058】
一方で、夜間などの暗い時間帯になると、電源電圧が所定電圧未満になる(S11:YES)。この場合、CPU401は、GPSモジュール412によって取得された時刻に基づいて、現在の時刻が出力時刻であるか否かを判断する(S12)。
【0059】
現在の時刻が出力時刻でない場合(S12:NO)、CPU401は処理をS11の判断に戻す。つまり、この場合には、CPU401は後述のS13によるパルス信号の出力を行わない。したがって、昼間などの明るい時間帯には、CPU401は出力時刻となるまでS11とS12の判断を繰り返すことになる。
【0060】
現在の時刻が出力時刻の場合(S12:YES)、CPU401はパルスジェネレータ411を駆動し、パルス信号を発生させる(S13)。パルスジェネレータ411によって発生したパルス信号が上流コイル41を介して上流出力ケーブル21Aに伝わる(
図2の矢印Y1参照)。パルス信号は上流出力ケーブル21Aから接続箱30を介してPCS90に向かって流れる。
【0061】
S13の処理ではCPU401は所定の出力時間の間、パルス信号を発生させる、出力時間は、特定の時間の長さに限定されないが、本実施形態では複数の出力時刻の間の時間(本実施形態では1時間)よりも短く、例えば10秒程度である。なお、出力時間はROM402にあらかじめ記憶されている。その後、CPU401はパルスジェネレータ411の駆動を停止し、処理をS11の判断に戻す。これにより、夜間などの暗い時間帯では(S11:YES)、CPU401は出力時刻になるたびに(S12:YES)、パルス信号を出力する(S13)。
【0062】
次に、
図6を参照して、受信処理について説明する。受信装置50に電源が投入された場合、CPU501は、ROM502から制御プログラムを読み出して動作することで、受信処理を実行する。受信処理では、CPU501はパルス信号を受信しない場合に下流出力ケーブル31の異常を検知するための処理を行う。
【0063】
受信処理が開始されると、CPU501は、まず、GPSモジュール512によって取得された時刻に基づいて、現在の時刻が受信時刻であるか否かを判断する(S31)。現在の時刻が受信時刻でない場合(S31:NO)、CPU501は処理をS31の判断に戻す。つまり、この場合には、CPU501は後述のS32によるパルス信号の有無の検知を行わない。
【0064】
現在の時刻が受信時刻の場合(S31:YES)、CPU501はパルス検知センサ511(
図2参照)からの信号に基づいて、出力装置40からパルス信号を受信したか否かを判断する(S32)。
【0065】
CPU501は受信時刻になってから検知時間が経過するまでの間に、パルス信号を受信した場合に受信装置50が出力装置40からパルス信号を受信したと判断する(S32:YES)。この場合、下流出力ケーブル31は断線していないので、CPU501は処理をS31の判断に戻す。検知時間は特定の時間の長さに限定されないが、本実施形態では複数の受信時刻の間の時間(本実施形態では1時間)よりも短く、且つ出力時間よりも長く、例えば10秒程度である。検知時間はROM502にあらかじめ記憶されている。
【0066】
CPU501は受信時刻になってから検知時間が経過するまでの間に、パルス信号を受信しなかった場合に受信装置50が出力装置40からパルス信号を受信しなかったと判断する(S32:NO)。この場合、下流出力ケーブル31が断線している可能性が高いので、CPU501はエラー処理を行う(S33)。
【0067】
S33の処理では、CPU501は、スピーカ513(
図2参照)からサイレンを鳴らす。例えば盗難者によって下流出力ケーブル31が切断されることによって、下流出力ケーブル31が断線する可能性がある。異常検知システム2は、下流出力ケーブル31の断線を検知した場合にサイレンを鳴らすことで、切断された下流出力ケーブル31が盗難されることを抑制できる。
【0068】
さらに、S33の処理では、CPU501は、通信モジュール514によってオーナー、管理者などに下流出力ケーブル31が断線した可能性がある旨を通知する。その後、CPU501は処理をS31の判断に戻す。
【0069】
以上説明した実施形態の主な効果について説明する。上記実施形態では、例えば下流出力ケーブル31が断線した場合、受信装置50はパルス信号を受信しない。この場合、CPU501がエラー処理を行う。よって、異常検知システム2は、下流出力ケーブル31の断線を検知できる。また、異常検知システム2は、上流出力ケーブル21Aに上流コイル41を巻き、且つ下流出力ケーブル31に下流コイル51を巻くことにより、既設の太陽光発電システム1に適用できる。つまり、異常検知システム2は、既設の太陽光発電システム1の回路を組み替えることなく適用できる。よって、異常検知システム2は、既設の太陽光発電システム1に容易に適用できる。
【0070】
また、例えば、複数の太陽光パネル20A、20B、20Cによって発電される電力が大きい場合には、盗難者が下流出力ケーブル31を切断しようとすると、複数の太陽光パネル20A、20B、20Cによって発電される電力が小さい場合に比べて、盗難者が感電する可能性が高い。このため、電源電圧が所定電圧以上の場合には、盗難者によって下流出力ケーブル31が切断される可能性は、電源電圧が所定電圧未満の場合よりも低い。この場合、上記実施形態では、出力装置40はパルス信号の出力を停止する。よって、異常検知システム2は不必要にパルス信号を出力することを抑制でき、パルス信号発生による出力装置40の消耗を抑制できる。
【0071】
また、上記実施形態では、出力装置40は現在の時刻が出力時刻になるたびにパルス信号を出力する。つまり、出力装置40はパルス信号を常には出力しない。よって、異常検知システム2はパルス信号発生による出力装置40の消耗を抑制できる。
【0072】
また、上記実施形態では、上流コイル41が上流出力ケーブル21Aに巻かれる。上流出力ケーブル21Aは太陽光パネル20Aから延びる。太陽光パネル20Aは、複数の太陽光パネル20A、20B、20Cのうち接続箱30から最も離れた位置に配置される。つまり、出力装置40は下流出力ケーブル31から比較的離れた位置に配置される。よって、異常検知システム2は、盗難者によって出力装置40が発見される可能性を抑制できる。例えば、異常検知システム2は、異常検知システム2が無効化するように盗難者によって改造されることを抑制できる。
【0073】
本発明の構成と上記実施形態の対応関係を説明する。上記実施形態において、複数の太陽光パネル20A、20B、20Cが、本発明の「複数の太陽光パネル」に相当する。接続箱30が、本発明の「接続部」に相当する。複数の上流出力ケーブル21A、21B、21Cが、本発明の「複数の上流出力ケーブル」に相当する。PCS90が、本発明の「電力変換装置」に相当する。下流出力ケーブル31が、本発明の「下流出力ケーブル」に相当する。太陽光発電システム1が、本発明の「太陽光発電システム」に相当する。
【0074】
異常検知システム2が、本発明の「異常検知システム」に相当する。上流出力ケーブル21Aが、本発明の「対象上流ケーブル」に相当する。上流コイル41が、本発明の「上流コイル」に相当する。出力装置40が、本発明の「出力装置」に相当する。下流コイル51が、本発明の「下流コイル」に相当する。受信装置50が、本発明の「受信装置」に相当する。
図6に示すエラー処理を実行するCPU501が、本発明の「通知手段」に相当する。
【0075】
電源ケーブル42が、本発明の「電源ケーブル」に相当する。バッテリ413が、本発明の「バッテリ」に相当する。午後8時から翌日の午前5時までの期間が、本発明の「検知期間」に相当する。出力時刻が、本発明の「出力タイミング」に相当する。受信時刻が、本発明の「受信タイミング」に相当する。
【0076】
以下では、変形例について説明する。本発明は上記実施形態から種々変更できる。また、以下説明する変形例は、矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることができる。
【0077】
太陽光発電システム1の構成は上記実施形態に限定されない。例えば太陽光パネルの個数、ユニットの個数などは上記実施形態に限定されない。
【0078】
また、複数の受信時刻の全部が、それぞれ、複数の出力時刻の全部と同じとなるように、出力時刻記憶エリア4021が構成されてもよい。例えば上記実施形態では、出力時刻記憶エリア4021に、午前0時から午前5時まで、および午後8時から午後11時まで1時間ごとに出力時刻が記憶されていてもよい。
【0079】
また、ROM502には、例えば季節の違いによる夜間の長さに合わせて受信時刻記憶エリア5021が複数設けられてもよい。また、出力時刻記憶エリア4021に記憶される出力時刻または受信時刻記憶エリア5021に記憶される受信時刻は、変更可能に構成されてもよい。
【0080】
また、出力装置40において、上流コイル41は上流出力ケーブル21Bまたは上流出力ケーブル21Cに巻かれてもよい。また、下流コイル51は整流ダイオード32よりも下流に位置してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、出力装置40は、電源電圧が所定電圧未満の状態で現在の時刻が出力時刻になった場合にパルス信号を出力する。これに対し、出力装置40は電源電圧の大きさによらず、現在の時刻が出力時刻になった場合にパルス信号を出力してもよい。また、出力装置40は現在の時刻によらず、電源電圧が所定電圧未満の場合にパルス信号を常時出力してもよい。さらに、出力装置40は電源電圧の大きさおよび現在の時刻のいずれにもよらず、パルス信号を常時出力してもよい。つまり、出力装置40は1日24時間常にパルス信号を出力し続けてもよい。
【0082】
出力装置40がパルス信号を常時出力する場合、受信装置50において、CPU501はS32の処理で、パルス信号を出力装置40から受信したか否かを、受信時刻によらず、常に監視してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、出力装置40と受信装置50とは、それぞれのGPS通信によって互いの内部時刻が一致するように構成される。これに対し、出力装置40と受信装置50のそれぞれの内部時刻を一致させる方法は上記実施形態に限定されない。例えば、出力装置40と受信装置50は、それぞれ、RTC(Real Time Clock)を備え、それぞれのRTCによって内部時刻が管理されてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、ROM502に複数の所定電圧が記憶される。これに対し、ROM502には1つの所定電圧が記憶されてもよい。また、操作部414はロータリスイッチに限定されず、タッチパネル、押しボタンスイッチ、スライドスイッチなどでもよい。所定電圧は例えば3Vから7Vまでの間でアナログ的(連続的)に変更可能であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、既設の太陽光パネル20Aから出力装置40に電源が供給される。これに対し、既設の太陽光パネル20Aとは別に出力装置40に電源を供給するための太陽光パネルが設けられてもよい。また、出力装置40に太陽電池が搭載されてもよい。
【0086】
また、上記実施形態において、スピーカ513、通信モジュール514は、受信装置50と別体として、警報器に設けられてもよい。この場合、受信装置50において、CPU501は出力装置40からパルス信号を受信しなかった場合に、警報器にエラーを通知する。警報器はエラーの通知を受信装置50から受けると、スピーカ513によってサイレンを鳴らし、通信モジュール514によってオーナー、管理者などに下流出力ケーブル31が断線した可能性がある旨を通知する。
【0087】
また、S32の判断において、出力装置40からのパルス信号の受信の有無のCPU501による判断条件は上記実施形態に限定されない。例えば、検知時間の間、常にパルス信号を受信した場合、CPU501はS32の判断において、パルス信号を受信したと判断し、検知時間の間に、パルス信号を受信しない時間が発生した場合にパルス信号を受信しなかったと判断してもよい。この場合、検知時間は出力時間と同じ長さまたは出力時間よりも短いことが好ましい。また、上記実施形態においても、検知時間は出力時間と同じ長さでもよいし、出力時間よりも短くてもよい。
【0088】
さらに、S32の判断において、CPU501は検知時間の間に検知したパルス信号中のパルスの個数が所定個数よりも多い場合、パルス信号を受信したと判断し、検知時間の間に検知したパルス信号中のパルスの個数が所定個数以下の場合にパルス信号を受信しなかったと判断してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、複数のユニット10A、10B、10Cの全部に異常検知システム2が設けられる。これに対し、複数のユニット10A、10B、10Cの一部(例えばユニット10Aのみ、またはユニット10Aおよびユニット10B)に異常検知システム2が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 太陽光発電システム
2 異常検知システム
20A、20B、20C 太陽光パネル
21A、21B、21C 上流出力ケーブル
30 接続箱
31 下流出力ケーブル
40 出力装置
41 上流コイル
42 電源ケーブル
50 受信装置
51 下流コイル
90 PCS
413 バッテリ
401 CPU
402 ROM
403 RAM
501 CPU
502 ROM
503 RAM
【要約】
【課題】出力ケーブルの断線を検知でき、且つ既設の太陽光発電システムに容易に適用できる異常検知システム
および異常検知方法を提供する。
【解決手段】異常検知システム2は太陽光発電システム1に用いられる。異常検知システム2は、上流出力ケーブル21Aに巻かれる上流コイル41
と太陽光パネルから供給される電源を受けるバッテリとを含み、
バッテリが受ける電源電圧に基づいて上流コイル41を介して上流出力ケーブル21Aから下流出力ケーブル31に向けてパルス信号を出力する出力装置40と、下流出力ケーブル31に巻かれる下流コイル51を含み
、下流コイル51を介して
パルス信号を受信する受信装置50とを備える。
出力装置40は、電源電圧が所定電圧未満の場合にパルス信号を出力し、電源電圧が所定電圧以上の場合にパルス信号の出力を停止する。受信装置50は、パルス信号を
所定の検知期間に受信しなかった場合に、エラーを通知する。
【選択図】
図1