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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】棒材の連結具
(51)【国際特許分類】
   E04G 17/06 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
E04G17/06 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018199707
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020066905
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】392027900
【氏名又は名称】株式会社イトーヨーギョー
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 浩
(72)【発明者】
【氏名】高岡 薫生
(72)【発明者】
【氏名】井上 了介
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-225140(JP,A)
【文献】特開2005-146686(JP,A)
【文献】特開2003-120029(JP,A)
【文献】特開2003-343085(JP,A)
【文献】特開2003-013600(JP,A)
【文献】特開2005-048519(JP,A)
【文献】特開2014-043760(JP,A)
【文献】特開2008-214911(JP,A)
【文献】特開2016-216958(JP,A)
【文献】実開昭57-168618(JP,U)
【文献】特許第6000868(JP,B2)
【文献】特開2011-069185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 17/06
E04G 21/12
E04B 9/18
E04C 5/16
E04C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋からなる第1の棒材を保持する第1の保持具と、端部に雄ネジ部を有する第2の棒材を保持する第2の保持具とを備えており、前記第2の保持具は、前記第1の保持具に保持された前記第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動可能に前記第1の保持具に連結され、
前記第1の保持具が、互いに対向して配置される一対の挟持板、及び前記一対の挟持板の一端部同士を接続する接続板を有する第1の保持具本体と、前記一対の挟持板を貫通して取り付けられる締結ボルトと、前記締結ボルトに締結することによって当該一対の挟持板を互いに接近させる締結ナットと、を有し、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって前記第1の棒材を一対の挟持板で挟持するものであり、
前記第2の保持具が、前記締結ボルトに螺合される第1のナットと、前記第1のナットに連結され前記第2の棒材を保持する第2の保持具本体とを有している、棒材の連結具。
【請求項2】
鉄筋からなる第1の棒材を保持する第1の保持具と、端部に雄ネジ部を有する第2の棒材を保持する第2の保持具とを備えており、前記第2の保持具は、前記第1の保持具に保持された前記第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動可能に前記第1の保持具に連結され、
前記第1の保持具が、互いに対向して配置される一対の挟持板、及び前記一対の挟持板の一端部同士を接続する接続板を有する第1の保持具本体と、前記一対の挟持板を貫通して取り付けられる締結ボルトと、前記締結ボルトに締結することによって当該一対の挟持板を互いに接近させる締結ナットと、を有し、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって前記第1の棒材を一対の挟持板で挟持するものであり、
前記一対の挟持板は、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって互いに接近したときに、互いに係合することによって前記第1の棒材の長さ方向についての相対移動を阻止する係合構造を有している、棒材の連結具。
【請求項3】
鉄筋からなる第1の棒材を保持する第1の保持具と、端部に雄ネジ部を有する第2の棒材を保持する第2の保持具とを備えており、前記第2の保持具は、前記第1の保持具に保持された前記第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動可能に前記第1の保持具に連結され、
前記第1の保持具が、互いに対向して配置される一対の挟持板、及び前記一対の挟持板の一端部同士を接続する接続板を有する第1の保持具本体と、前記一対の挟持板を貫通して取り付けられる締結ボルトと、前記締結ボルトに締結することによって当該一対の挟持板を互いに接近させる締結ナットと、を有し、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって前記第1の棒材を一対の挟持板で挟持するものであり、
前記第1の保持具が、複数の前記第1の保持具本体を備えており、1本の前記締結ボルトが、複数の前記第1の保持具本体の前記挟持板を貫通して取り付けられる、棒材の連結具。
【請求項4】
鉄筋からなる第1の棒材を保持する第1の保持具を備え、
前記第1の保持具が、互いに対向して配置される一対の挟持板、及び前記一対の挟持板の一端部同士を接続する接続板を有する複数の第1の保持具本体と、複数の第1の保持具本体における一対の挟持板を貫通して取り付けられる1本の締結ボルトと、前記締結ボルトに締結することによって各第1の保持具本体における一対の挟持板を互いに接近させる締結ナットと、を有し、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって各第1の保持具本体における一対の挟持板で前記第1の棒材を挟持するものであり、
前記複数の第1の保持具本体が、各第1の保持具本体に保持された第1の棒材に直交する方向に沿った前記締結ボルトの軸心回りに回動可能に互いに連結される、棒材の連結具。
【請求項5】
前記締結ナットと前記第1のナットとが兼用されている、請求項1に記載の棒材の連結具。
【請求項6】
前記第2の保持具本体が、前記第1のナットの軸心に直交する方向に沿った軸心を有しかつ前記第2の棒材が螺合する第2のナットからなる、請求項1又はに記載の棒材の連結具。
【請求項7】
前記第1の棒材の外周面には、長さ方向に沿って延びるリブが前記第1の棒材の外周方向に180°位相をずらして2箇所に形成されており、前記各挟持板には、前記各リブを嵌合させる凹部が互いに対向して形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の棒材の連結具。
【請求項8】
前記第1の棒材の外周面には、長さ方向に沿って延びるリブが形成されており、前記第1の保持具の内面には、前記リブを嵌合させる凹部が、前記第1の保持具に保持された第1の棒材の外周方向に沿って3箇所以上形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の棒材の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリート型枠内に配設された鉄筋に型枠板を支持するセパレータを連結するために用いられる棒材の連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、コンクリート型枠内に配設された鉄筋と型枠板を支持するセパレータとを連結する連結金物が開示されている。この連結金物は、一対のアーム部と両アーム部を連結する抱持部とを有するU字状の金物本体と、一対のアーム部に締結するボルト部材と、セパレータが螺合するネジ孔を有し金物本体に固定されたナットとを有している。
【0003】
この連結金物を用いて鉄筋とセパレータとを連結するには、抱持部の内側に鉄筋を嵌合させた状態で一対のアーム部にボルト部材を締結し、一対のアーム部を互いに接近させることによって抱持部と一対のアーム部とで鉄筋を挟持する。そして、金物本体に固定されたナットにセパレータを螺合することで鉄筋とセパレータとが連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-120029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の連結金物を用いた場合、金物本体に挟持される鉄筋と、ナットに螺合されるセパレータとが直交した関係で連結される。しかしながら、鉄筋とセパレータとは必ずしも直交した関係にあるわけではなく、型枠が傾斜している場合などはセパレータと鉄筋とが相対的に傾斜している場合もある。このような場合、特許文献1記載の連結金物を使用して鉄筋とセパレータとを連結することができない。また、互いに交差した状態で配置される鉄筋同士を連結したい場合もあるが、特許文献1記載の連結金物はそのような連結に適用することができない。
【0006】
本発明は、鉄筋を含む2本の棒材を、両者の相対角度に関わらず連結することができる棒材の連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の棒材の連結具は、
鉄筋からなる第1の棒材を保持する第1の保持具と、端部に雄ネジ部を有する第2の棒材を保持する第2の保持具とを備えており、
前記第2の保持具は、前記第1の保持具に保持された前記第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動可能に前記第1の保持具に連結される。
【0008】
以上の構成を有する連結具によれば、第1の棒材を保持している第1の保持具に対して、第2の棒材を保持している第2の保持具を、当該第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動させることで、当該第1の棒材と当該第2の棒材とを両者の相対角度に関わらず連結することができる。
【0009】
(2)好ましくは、前記第1の保持具が、互いに対向して配置される一対の挟持板、及び前記一対の挟持部の一端部同士を接続する接続板を有する第1の保持具本体と、前記一対の挟持板を貫通して取り付けられる締結ボルトと、前記締結ボルトに締結することによって当該一対の挟持板を互いに接近させる締結ナットと、を有し、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって前記第1の棒材を一対の挟持板で挟持するものである。
この構成によれば、締結ボルトと締結ナットとを締結することによって一対の挟持板で第1の棒材を保持することができる。
【0010】
(3)好ましくは、前記第2の保持具が、前記締結ボルトに螺合される第1のナットと、前記第1のナットに連結され前記第2の棒材を保持する第2の保持具本体とを有している。
この構成によれば、締結ボルトに第1のナットを螺合させることで、当該第1のナットを締結ボルトの軸心回りに回動させ、第2の保持具本体に保持された第2の棒材と、第1の保持具本体に保持された第1の棒材とを任意の角度に配置することができる。
【0011】
(4)好ましくは、前記締結ナットと前記第1のナットとが兼用されている。
このような構成によって、部品点数を少なくすることができる。
【0012】
(5)好ましくは、前記第2の保持具本体が、前記第1のナットの軸心に直交する方向に沿った軸心を有しかつ前記第2の棒材が螺合する第2のナットからなる。
この構成によれば、第2のナットに第2の棒材を螺合することによって第2のナットで第2の棒材を保持することができる。
【0013】
(6)好ましくは、前記一対の挟持板は、前記締結ボルトと前記締結ナットとの締結によって互いに接近したときに、互いに係合することによって前記第1の棒材の長さ方向についての相対移動を阻止する係合構造を有している。
このような構成によって、一対の挟持板を第1の棒材の長さ方向にずらすような力が付与されたとしても、一対の挟持板の相対移動が阻止され、第1の棒材の保持力を維持することができる。
【0014】
(7)好ましくは、前記第1の棒材の外周面には、長さ方向に沿って延びるリブが前記第1の棒材の外周方向に180°位相をずらして2箇所に形成されており、
前記各挟持板には、前記各リブを嵌合させる凹部が互いに対向して形成されている。
このような構成によって、第1の棒材に形成されたリブを、一対の挟持板のそれぞれの凹部に嵌合させることができる。
【0015】
(8)好ましくは、前記第1の棒材の外周面には、長さ方向に沿って延びるリブが形成されており、
前記第1の保持具の内面には、前記リブを嵌合させる凹部が、前記第1の保持具に保持された第1の棒材の外周方向に沿って3箇所以上形成されている。
このような構成によって、第1の保持具に形成された複数の凹部のいずれかに、第1の棒材に形成されたリブを嵌合させることができ、第1の棒材の外周方向の向きの自由度を高めることができる。
【0016】
(9)好ましくは、前記一対の挟持板には、それぞれ前記締結ボルトを貫通させる取付孔が形成され、
前記各挟持板に形成された前記取付孔の径が互いに異なっている。
このような構成によって、一対の挟持板に形成された取付孔に締結ボルトを貫通させた状態で、締結ボルトを斜めに傾けることができ、一対の挟持板の間に配置された第1の棒材と締結ボルトとの隙間を拡げることができる。そのため、第1の棒材の長さ方向に第1の保持具を容易に移動させることができ、第1の棒材の長さ方向の適切な位置に第1の保持具を容易に位置づけることができる。
【0017】
(10)好ましくは、前記第1の保持具が、複数の前記第1の保持具本体を備えており、
1本の前記締結ボルトが、複数の前記第1の保持具本体の前記挟持板を貫通して取り付けられる。
このような構成によって、連結具を用いて複数本の第1の棒材同士を連結することができる。また、1本の締結ボルトで複数の保持具本体を連結することができるので、連結具の構成を簡素化することができる。
【0018】
(11)本開示の棒材の連結具は、鉄筋からなる第1の棒材を保持する第1の保持具本体を複数有している第1の保持具を備えており、
前記複数の第1の保持具本体が、各第1の保持具本体に保持された第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動可能に互いに連結される。
【0019】
以上の構成を有する連結具によれば、一の第1の棒材を保持している第1の保持具本体に対して、他の第1の棒材を保持している第1の保持具本体を、各第1の棒材に直交する方向に沿った軸心回りに回動させることで、一の第1の棒材と他の第1の棒材とを両者の相対角度に関わらず連結することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の連結具によれば、鉄筋からなる第1の棒材と、端部に雄ネジ部を有する第2の棒材とを、両者の相対角度に関わらず連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る連結具を用いたコンクリート型枠を示す側面図である。
図2】連結具の側面図である。
図3】連結具の正面図である。
図4図3(a)のIV-IV矢視断面図である。
図5】第1の保持具の斜視図である。
図6】連結具を用いて2本の鉄筋を連結る場合を示す側面図である。
図7】連結具を用いて2本の鉄筋を連結する場合を示す正面図である。
図8】連結具を用いて3本の鉄筋を連結する場合を示す正面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る連結具の側面図である。
図10】連結具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る連結具を用いたコンクリート型枠を示す側面図である。
本実施形態の連結具20は、コンクリート型枠10内に配置された鉄筋(第1の棒材)11と、型枠板13を支持するセパレータ(第2の棒材)12とを連結するために用いられる。また、連結具20は、複数の鉄筋(第1の棒材)11同士を連結するためにも用いられる。本実施形態では、複数本の角材13bや鋼管13c等によって支持された型枠板13aが傾斜して配置され、セパレータ12が型枠板13aに直交する方向に突出している。また、鉄筋11は、セパレータ12に一端が連結された主鉄筋11a,11bと、これらの主鉄筋11a,11bの他端が連結され、均しコンクリート14に埋め込まれたアンカー鉄筋11cとを含む。
【0023】
図2は、連結具の側面図、図3は、連結具の正面図である。
連結具20は、鉄筋11を保持する第1の保持具21と、セパレータ12を保持する第2の保持具22とを有している。
鉄筋11は、その外周面に、長さ方向に沿って延びるリブ15と、周方向に沿って延びる節16とが形成されている。リブ15は、鉄筋11の外周方向に180°位相をずらした2箇所に設けられている。節16は、鉄筋11の長さ方向に所定のピッチで多数設けられている。また、鉄筋11の外周面の一側部に配置された節16と他側部に配置された節16とは鉄筋11の長さ方向に半ピッチ位置をずらして設けられている。セパレータ12は、その長さ方向の全体に雄ネジが形成されている。ただし、セパレータ12は、少なくとも鉄筋11に連結される端部のみに雄ネジが形成されていてもよい。
【0024】
第1の保持具21は、第1の保持具本体24と、締結ボルト25と、締結ナット31とを有している。
第1の保持具本体24は、鋼板等の金属製の板材を折り曲げることによって形成されている。第1の保持具本体24は、一対の挟持板27と、一対の挟持板27の一端部同士を接続する接続板28とを有している。第1の保持具本体24は、鉄筋11を保持していない状態で正面からみて略U字形状を呈している。一対の挟持板27は、略矩形状に形成されている。接続板28は、正面から見て半円弧状に湾曲して形成されている。鉄筋11は、一対の挟持板27及び接続板28の内側に配置される。
【0025】
一対の挟持板27は、鉄筋11の外径(リブ15及び節16を含む外径)よりもやや広い間隔をあけて配置されている。各挟持板27には、締結ボルト25を挿通させる取付孔27a,27bが形成されている。締結ボルト25は、取付孔27a,27bに挿通されることで、一対の挟持板27を貫通して取り付けられる。
【0026】
図3(a)に示すように、一方の取付孔27bは、他方の取付孔27aよりも大径に形成されている。また、両取付孔27a,27bは、接続板28側の位置が一致し、反接続板28側において他方の取付孔27aよりも一方の取付孔27bが接続板28から離れた位置にある。そのため、両取付孔27a,27bに挿通した締結ボルト25を、矢印a方向に傾斜させることができる。これによって第1の保持具21の内側に配置された鉄筋11と締結ボルト25との隙間tを可及的に拡げることが可能となり、鉄筋11の長さ方向に第1の保持具21を移動させやすくすることができる。そのため、鉄筋11の長さ方向の適切な位置に第1の保持具本体24を容易に位置づけることができる。
【0027】
締結ボルト25は、六角頭付きのボルトである。締結ボルト25は、一対の挟持板27を貫通した状態で雄ネジ部25aの先端部に締結ナット31を締結することによって、図3(b)に示すように、一対の挟持板27の間隔を狭め、一対の挟持板27で鉄筋11を挟持することができる。なお、以下の説明においては、図2に示すように、第1の保持具21で保持された鉄筋11の長さ方向を「第1の方向A」ともいう。また、後述するように第2の保持具22に保持されたセパレータ12の長さ方向を「第2の方向B」ともいう。
【0028】
図4は、図3(a)のIV-IV矢視断面図である。
図3及び図4に示すように、一対の挟持板27及び接続板28の内面には、複数の突起29が形成されている。この突起29は、第1の方向Aと、鉄筋11の外周方向とに間隔をあけて縦横に並べて配置されている。締結ボルト25と締結ナット31とを締結したときに、各突起29が鉄筋11の節16に係合することによって、鉄筋11の長さ方向に第1の保持具本体24が移動するのを阻止することができる。
【0029】
鉄筋11の外周方向に並ぶ突起29の間は、鉄筋11のリブ15を嵌合させる凹部30として機能している。この凹部30は、鉄筋11の2つのリブ15を一対の挟持板27に向けて配置したときに当該リブ15を嵌合させる位置に配置されている。また、凹部30は、一対の挟持板27が対向する方向に対して傾斜する方向や直交する方向に鉄筋11のリブ15を向けたときに、当該リブ15を嵌合させる位置にも配置されている。
【0030】
このように凹部30にリブ15を嵌合させることで、鉄筋11が外周方向に回ってしまうのを防止することができる。また、凹部30は、鉄筋11の外周方向に複数個所に形成されているので、鉄筋11の外周方向においてリブ15がどのような方向に向けられていたとしても、いずれかの凹部30に嵌合させやすくなり、鉄筋11の外周方向におけるリブ15の位置の自由度を高めることができる。
【0031】
図5は、第1の保持具の斜視図である。
一方の挟持板27において、接続板28とは反対側の他端部には係合凸部27cが設けられ、他方の挟持板27において、接続板28と反対側の他端部には係合凹部27dが設けられている。この係合凸部27cと係合凹部27dとは、締結ボルト25を締結ナット31に締め付け、一対の挟持板27の他端部同士を接近させたときに、互いに係合するように構成されている。言い換えると、一対の挟持板27は、締結ボルト25及び締結ナット31によって互いに接近したときに、互いに係合することによって鉄筋11の長さ方向についての相対移動を阻止する係合構造を有している。これにより、第1の保持具21に保持された鉄筋11と、後述するように第2の保持具22に保持されたセパレータ12とを引き離すような力がかかったときに、一対の挟持板27が相互に位置ずれして鉄筋11の保持力が弱まるのを防止することができる。
【0032】
第1の保持具本体24の接続板28において、第1の方向Aの両端部には切り欠き28aが形成されている。この切り欠き28aによって締結ボルト25と締結ナット31とを締結したとき、接続板28を変形させやすくなり、一対の挟持板27の間隔を容易に狭くすることができる。
【0033】
第2の保持具22は、第1のナット31と第2のナット32とを有している。
第1のナット31は、締結ボルト25に螺合されるナットである。本実施形態では、第1の保持具21を構成する締結ナット31が、第1のナット31と兼用されている。
第2のナット32は、セパレータ12に螺合することによってセパレータ12を保持する第2の保持具本体を構成している。第2のナット32は、第1のナット31の外周面に溶接等によって接合されている。第2のナット32の軸心(雌ネジの中心軸)は、第1のナット31の軸心(雌ネジの中心)に直交する方向に沿って配置されている。本実施形態では、第2のナット32の軸心が第1のナット31の軸心に直交している。
【0034】
第2の保持具22は、締結ボルト25の軸心を支点として回動可能に締結ボルト25に取り付けられる。そのため、第2のナット32に締結したセパレータ12の長さ方向(第2の方向)Bと、第1の保持具21に保持された鉄筋11の長さ方向(第1の方向)Aとを任意の角度に設定することができる。そのため、図1に示すように、型枠板13に取り付けられたセパレータ12と鉄筋11とが互いに傾斜した関係にある場合であっても、連結具20を用いて好適に両者を連結することができる。また、セパレータ12と鉄筋11とが直交する関係にある場合や、平行な関係にある場合であっても、連結具20を用いて好適に両者を連結することができる。
【0035】
図6は、連結具を用いて2本の鉄筋を連結する場合を示す側面図、図7は同正面図である。図8は、連結具を用いて3本の鉄筋を連結する場合を示す正面図である。
連結具20を用いて複数本の鉄筋11を接続する場合、鉄筋11の数と同数の第1の保持具本体24を準備する。そして、各第1の保持具本体24の内側に鉄筋11を配置し、各第1の保持具本体24の取付孔27a,27bに1本の締結ボルト25を挿通する。つまり、1本の締結ボルト25を複数の第1の保持具本体24に貫通させる。そして、締結ボルト25に締結ナット31を締結することによって、各第1の保持具本体24における一対の挟持板27を互いに接近させ、当該挟持板27で各鉄筋11を挟持する。これにより、複数本の鉄筋11を任意の相対角度で連結することができる。
【0036】
図7(a)に示すように、各第1の保持具本体24において、一対の挟持板27に形成された取付孔27a,27bは、一方が他方よりも大径に形成されている。そのため、2つの第1の保持具本体24を互いに逆向きにして隣接させたとき、締結ボルト25を挟持板27に対して傾斜させることができる。そのため、第1の保持具本体24の内側に配置された鉄筋11と締結ボルト25との隙間tを拡げることができ、鉄筋11の長さ方向に第1の保持具21を移動させ易くすることができる。したがって、鉄筋11の長さ方向の適切な位置に第1の保持具21を容易に位置づけることができる。
【0037】
なお、図6図8に示す例において、締結ボルト25には、締結ナットとして第2の保持具22における第1のナット31を締結しているが、複数本の鉄筋11にセパレータ12を連結しない場合、例えば、図1のC部に示すように、複数本の鉄筋11a,11b,11cのみを互いに連結する場合には、締結ナット31として一般的なナットを締結してもよい。この場合、本実施形態の連結具20は、次の構成を具備することになる。
【0038】
すなわち、連結具20は、鉄筋からなる第1の棒材11を保持する第1の保持具本体24を複数有している第1の保持具21を備え、複数の第1の保持具本体24が、各第1の保持具本体24に保持された第1の棒材11に直交する方向に沿った軸心回りに回動可能に互いに連結される。
また、第1の保持具21は、複数の第1の保持具本体24を貫通して取り付けられる締結ボルト25と、この締結ボルト25に締結する締結ナット31とを有し、複数の第1の保持具本体24が、締結ボルト25の軸心回りに回動可能に連結される。
【0039】
図9は、本発明の他の実施形態に係る連結具を示す側面図、図10は、同正面図である。
本実施形態の連結具20は、第2の保持具22の構成が、上記実施形態とは異なっている。本実施形態の連結具20は、第1のナット31と第2のナット32とに加え、両ナット31,32を連結する連結部材33を備えている。連結部材33は、第1の板部33aと第2の板部33bとを備え、両板部33a,33bは、1枚の板材を直角(L字形状)に折り曲げることによって形成されている。そして、第1の板部33aには第1のナット31が固定され、第2の板部33bには第2のナット32が固定され、第1のナット31と第2のナット32とは、軸心が互いに直交した関係になる。
【0040】
したがって、本実施形態においても、第2の保持具22の第2のナット32にセパレータ12を螺合させ、第1のナット31を締結ボルト25に締結することによって、鉄筋11とセパレータ12とを連結することができ、しかも鉄筋11に対してセパレータ12を任意の角度に配置することができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、第1の保持具21を構成する締結ナット31と、第2の保持具22を構成する第1のナット31とが兼用されていたが、両者を個別に構成することができる。つまり、締結ナットとして一般的なナットを用い、当該ナットと、第2の保持具22の第1のナット31とを、ともに締結ボルト25に螺合させてもよい。また、この場合、締結ナット31は、一方の挟持板27に溶接等によって固定してもよい。また、一方の挟持板27の取付孔27aに雌ネジを形成することによって、当該挟持板27を締結ナットとして利用してもよい。
【0042】
また、本発明の連結具は、コンクリート型枠に用いられる鉄筋とセパレータ以外の棒材の連結にも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
11 :鉄筋(第1の棒材)
12 :セパレータ(第2の棒材)
15 :リブ
20 :連結具
21 :第1の保持具
22 :第2の保持具
24 :第1の保持具本体
25 :締結ボルト
27 :挟持板
27a :取付孔
27b :取付孔
27c :係合凸部
27d :係合凹部
28 :接続板
30 :凹部
31 :締結ナット(第1のナット)
32 :第2のナット(第2の保持具本体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10