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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】理美容椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/06 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
A47C1/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018246683
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020103695
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-09-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】山本 一秀
(72)【発明者】
【氏名】多田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】高田 知明
(72)【発明者】
【氏名】河野 六甲
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】大谷 光司
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1177425(JP,S)
【文献】意匠登録第1298368(JP,S)
【文献】米国特許第5542746(US,A)
【文献】特開2010-162337(JP,A)
【文献】特開昭63-135103(JP,A)
【文献】特開平8-182559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C1/04-1/11, 7/50
A61G15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の背中を支持するバックレストと、
前記被施術者の腰部を支持する着座部と、
前記被施術者の脚部を支持するレッグレストと、
基台に支持された前記着座部に前記レッグレストを接続して支持する支持機構部と、
を備え、
前記着座部は、
前記被施術者の腰部に当接する上面の、前記着座部の前端側の幅方向両側方部が丸く形成され、
前記レッグレストは、
前記被施術者の脚部に当接する上面の、前記着座部の前端側の幅方向両側方部に対向配置される前記レッグレストの基端側の幅方向両側方部が丸く形成され、
前記支持機構部が、
前記基台に略水平に支持固定された前記着座部の前端側と、前記レッグレストの基端側と、を対向させ、前記着座部の前端側の幅方向中央近傍と前記レッグレストの基端側の幅方向中央近傍とを接続し、
前記着座部の前端側と前記レッグレストの基端側とがほぼ同じ高さのままで、前記レッグレストの基端側を回転軸として前記レッグレストの先端側の高さを変化させる関節になって前記レッグレストを支持し、
前記着座部の前端側に、前記レッグレストの重み、またさらに、前記レッグレストに支持される前記被施術者の脚部の重みを支えさせ、
それぞれ丸く形成された、前記着座部の前端側の幅方向両側方部および前記レッグレストの基端側の幅方向両側方部によって、前記着座部および前記レッグレストの幅方向の各側方から中央へ向かう窪みが形成され
前記窪みは、該窪みが形成された位置に前記被施術者が立った場合、前記被施術者の脚部を、前記着座部の幅方向において前記着座部の側方部よりも中央寄りに位置させることができるように設けられる、
ことを特徴とする理美容椅子。
【請求項2】
被施術者の背中を支持するバックレストと、
前記被施術者の腰部を支持する着座部と、
前記被施術者の脚部を支持するレッグレストと、
基台に支持された前記着座部に前記レッグレストを接続して支持する支持機構部と、
を備え、
前記着座部は、
前記被施術者の腰部に当接する上面の、前記着座部の前端側の幅方向両側方部が丸く形成され、
前記レッグレストは、
前記被施術者の脚部に当接する上面の、前記着座部の前端側に対向配置される前記レッグレストの基端側を有し、
前記支持機構部が、
前記基台に略水平に支持固定された前記着座部の前端側と、前記レッグレストの基端側と、を対向させ、前記着座部の前端側の幅方向中央近傍と前記レッグレストの基端側の幅方向中央近傍とを接続し、
前記着座部の前端側と前記レッグレストの基端側とがほぼ同じ高さのままで、前記レッグレストの基端側を回転軸として前記レッグレストの先端側の高さを変化させる関節になって前記レッグレストを支持し、
前記着座部の前端側に、前記レッグレストの重み、またさらに、前記レッグレストに支持される前記被施術者の脚部の重みを支えさせ、
丸く形成された、前記着座部の前端側の幅方向両側方部によって、前記着座部の幅方向の両側方から中央へ向かう窪みが形成され、
前記窪みは、該窪みが形成された位置に前記被施術者が立った場合、前記被施術者の脚部を、前記着座部の幅方向において前記着座部の側方部よりも中央寄りに位置させることができるように設けられる
ことを特徴とする理美容椅子。
【請求項3】
被施術者の背中を支持するバックレストと、
前記被施術者の腰部を支持する着座部と、
前記被施術者の脚部を支持するレッグレストと、
基台に支持された前記着座部に前記レッグレストを接続して支持する支持機構部と、
を備え、
前記着座部は、
前記被施術者の腰部に当接する上面の、前記着座部の前端側を有し、
前記レッグレストは、
前記被施術者の脚部に当接する上面の、前記着座部の前端側に対向配置される前記レッグレストの基端側の幅方向両側方部が丸く形成され、
前記支持機構部が、
前記基台に略水平に支持固定された前記着座部の前端側と、前記レッグレストの基端側と、を対向させ、前記着座部の前端側の幅方向中央近傍と前記レッグレストの基端側の幅方向中央近傍とを接続し、
前記着座部の前端側と前記レッグレストの基端側とがほぼ同じ高さのままで、前記レッグレストの基端側を回転軸として前記レッグレストの先端側の高さを変化させる関節になって前記レッグレストを支持し、
前記着座部の前端側に、前記レッグレストの重み、またさらに、前記レッグレストに支持される前記被施術者の脚部の重みを支えさせ、
丸く形成された、前記レッグレストの基端側の幅方向両側方部によって、前記レッグレストの幅方向の両側方から中央へ向かう窪みが形成され、
前記窪みは、該窪みが形成された位置に前記被施術者が立った場合、前記被施術者の脚部を、前記着座部の幅方向において前記着座部の側方部よりも中央寄りに位置させることができるように設けられる、
ことを特徴とする理美容椅子。
【請求項4】
前記レッグレストは、
前記被施術者の脚部に当接する上面の先端側を含めて前記上面の外周全体を丸く形成した
ことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の理美容椅子。
【請求項5】
前記窪みは、
前記着座部および前記レッグレストの両側方から中央へ向かって狭くなるクサビ型に形成されている、
ことを特徴とする請求項1、請求項3又は請求項4に記載の理美容椅子。
【請求項6】
前記支持機構部は、
前記レッグレストが、前記着座部に対して垂直とならない範囲で変化するように支持する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の理美容椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被施術者の脚部を支持するレッグレストを備えた理美容椅に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、理美容サロンにおいて用いられる理美容椅子には、被施術者が着座する着座部の前側に、被施術者の脚部を支持もしくは載置するレッグレストを備えたものがある。
また、被施術者にバックシャンプーやヘッドスパを施す際には、被施術者の上半身を背後から支持するバックレスト等を可倒式に構成して備えた理美容椅子が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、従来の理美容椅子100の概略構成を示す説明図である。図示した理美容椅子100は、バックレスト101、着座部102、レッグレスト103を備え、これらを基台104が支持するように構成されている。また、理美容椅子100は、バックレスト101の後方にシャンプーボウル105を備えている。なお、バックレスト101は、後方へ倒れることができるように、例えば図示されないバックレスト支持機構部によって支持されており、レッグレスト103は、例えば図示されないレッグレスト支持機構部によって支持されている。
【0004】
被施術者にバックシャンプーなどを施す際には、理美容椅子100に被施術者を着座させ、被施術者の首元がシャンプーボウル105に載置することができる程度に、バックレスト101を後方へ傾倒させる。
バックレスト101を後方(シャンプーボウル105側)へ傾倒させるときには、被施術者の腰部やその近傍が浮き上がらないようにするため、施術者は、着座部102の奥側へ深く座るように被施術者へ声掛けする。
バックレスト101を傾斜させ、概ねフラット状態にすると、ここで例示した理美容椅子100は、手摺などを椅子側方に備えていないため、バックレスト101ならびに着座部102に支持されて寝姿勢となっている被施術者は、バックレスト101の上面形状(上面側方に備えられたサポート部位等)によって、背中を左右方向からホールドされた状態になる。
【0005】
理美容椅子100は、着座部102、バックレスト101、シャンプーボウル105等の配置位置は固定されている。そのため、寝姿勢となっている被施術者は、シャンプーボウル105の載置部に首元の位置を合わせる場合には、前述のようにフラット状態になっているバックレスト101、着座部102等の上面で身体を動かし、身長方向(バックレスト101の上下方向)に首元の位置をずらす(移動する)。このように被施術者が寝姿勢になっている身体の位置を調整した後、施術者は前述の施術を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-200479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バックレストを傾斜させる、もしくは略水平状態に近付ける場合には、腰部などの身体各部にかかる荷重等を軽減するため、着座部の奥側へ着座すると良い。しかし、手摺等を備えた理美容椅子では、着座部の前方から着座することが必須になる。即ち、着座部の側方が制限されているため、当該着座部の前側部分に腰を下ろすことになり、着座部の奥側まで身体を入れて着座することが難しくなる。
レッグレストを備えた理美容椅子に着座する場合には、着座部の前側に、例えば倒状態(折畳んだ状態)のレッグレストが存在する。そのため、被施術者が後ろ向きになって着座部に腰掛ける際には、踵などがレッグレストに当接しないように、少し離れた立ち位置から腰を下ろすことになり、着座部に浅く座るようになり易い。
【0008】
理美容椅子は、初高を低く抑えるように構成していることから、レッグレストを折畳んだ状態で垂直となるように構成すると、当該理美容椅子をベッド状態としたときレッグレストの長さが不足し、被施術者の脹脛を十分に支持することができなくなる。
そのため、理美容椅子を椅子状態にしたとき、レッグレストを完全に折畳まずに、椅子前方へ先端部分を突き出し、適当に傾斜させて配置したものが多く、前述のように被施術者が着座部に浅く座るようになる。
ベッド状態においてフラット感を重視した理美容椅子は、側方に手摺などを備えていないものが多く、このような理美容椅子に浅く腰掛けてしまうと、着座部に深く座り直すことが難しくなる。また、この理美容椅子に浅く腰掛けた状態でバックレストを倒すと、身体側方のサポート感が弱いため被施術者が不安を感じる場合がある。
【0009】
本開示は、被施術者が腰掛けるとき、自発的に着座部の奥側へ深く座り易くする理美容椅を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の理美容椅子は、被施術者の背中を支持するバックレストと、前記被施術者の下半身を支持する座部と、を備え、前記座部は、前記被施術者の腰部を支持する部位の前方で、前記被施術者の脚部を支持する部位の両側方に、該座部の幅方向に沿って側端から中央へ向かう窪みを有し、前記窪みは、立ち姿勢から腰を下ろすと前記腰部を支持する部位に深く着座することが可能な立ち位置に、前記被施術者が立つことができるように形成した、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2の手段は、前記座部が、前記被施術者の腰部を支持する着座部と、前記被施術者の脚部を支持するレッグレストと、を備え、前記着座部は、前記窪みを形成するように前記被施術者の腰部に当接する上面の前端側を丸く形成した、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の手段は、前記座部が、前記被施術者の腰部を支持する着座部と、前記被施術者の脚部を支持するレッグレストと、を備え、前記レッグレストは、前記窪みを形成するように前記被施術者の脚部に当接する上面の、前記着座部前端側と対向配置する基端側を丸く形成した、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の手段は、前記座部が、前記被施術者の腰部を支持する着座部と、前記被施術者の脚部を支持するレッグレストと、を備え、前記着座部は、前記被施術者の腰部に当接する上面の前端側を丸く形成し、前記レッグレストは、前記被施術者の脚部に当接する上面の、前記着座部前端側と対向配置する基端側を丸く形成し、前記着座部の丸く形成された前端と前記レッグレストの丸く形成された基端側によって前記窪みを形成する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の手段は、前記レッグレストが、前記被施術者の脚部に当接する上面の先端側を含めて該上面全体を丸く形成した、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の手段は、前記着座部と前記レッグレストとを接続し、前記着座部に対して前記レッグレストを水平または傾いた状態にして支持する支持機構部を、前記着座部および前記レッグレストの幅方向中央に備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示は、前記したように着座部に深く座ることが容易になり、着座する際や着座した後の姿勢を調整する動作を軽減して、被施術者に与えるストレス等を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施例による理美容椅子の概略構成を示す斜視図である。
図2】本実施例の理美容椅子に備えられる着座部およびレッグレストの構成を示す説明図である。
図3】本実施例の理美容椅子に被施術者が着座するときの態様を示す説明図である。
図4】従来の理美容椅子の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
(実施例)
図1は、本開示の実施例による理美容椅子1の概略構成を示す斜視図である。図示した理美容椅子1は、着座した被施術者の背中を背後から支持するバックレスト11、着座した被施術者の尻部分(腰部下側)を支持する着座部12、着座した被施術者の脚部を背後から支持するレッグレスト13等を備えている。また、理美容椅子1は、バックレスト11、着座部12等を支持する基台14を備えており、着座部12の前方にレッグレスト13を備え、基台14の後方(バックレスト11の後方)に、図示を省略したシャンプーボウル等を備えている。
【0019】
バックレスト11は、被施術者を座姿勢の状態と、寝姿勢の状態にすることができるように、例えば基台14に備えられたバックレスト支持機構部(図示省略)によって支持されている。バックレスト支持機構部によって、バックレスト11が後方へ倒された状態になったときには、バックレスト11の上端部分がシャンプーボウル等に接近し、理美容椅子1に着座している被施術者の頭部をシャンプーボウル等のボウル(流し場)へ入れることが可能になる。
バックレスト11は、内部にクッション材等を備えており、理美容椅子1をベッド状態としたときの上面、即ち、被施術者の背中に当接する面が、概ね背中の形状に沿うように形成されている。
着座部12は、被施術者が着座する上面が略水平状態となるように基台14に支持固定されており、後端側にバックレスト11が配置され、前端側にレッグレスト13が配置されている。また、着座部12は、内部に適度な硬さ(柔らかさ)を有するクッション材等を備えており、座面(上面)前側の両角部等を、例えば適当な円周形状で丸く形成した側方部12a,12bを設けている。
【0020】
レッグレスト13は、基端側が着座部12の前端側と対向するように配置されており、例えば、着座部12の幅方向(前端側)中央近傍と、レッグレスト13の幅方向(基端側)中央近傍とを接続するレッグレスト支持機構部(図示省略)によって支持されている。
このレッグレスト支持機構部により、レッグレスト13の先端側は、床面等からの高さが変化し、例えば、レッグレスト13の上面が、椅子前方へ傾斜した状態から略水平状態となる範囲で変化する。なお、レッグレスト13の先端側は、被施術者の踵、もしくはその近傍を支持する部分である。
換言すると、理美容椅子1は、着座部12とレッグレスト13との間に関節が設けられており、着座部12に対してレッグレスト13が起きた状態と寝た状態になるように構成されている。なお、理美容椅子1は、ベッド状態、即ち、レッグレスト13が略水平状態となっている場合には、レッグレスト13の上面と着座部12の上面が連なって平面または略平面となるように構成されている。
【0021】
レッグレスト支持機構部は、前述のバックレスト支持機構部と連動してレッグレスト13の姿勢を変化させるように構成してもよい。
具体的には、バックレスト11が椅子後方へ倒されたとき、レッグレスト13と座部12が略水平になるように支持し、バックレスト11が起きた状態にされたとき、レッグレスト13の先端側を低くして傾斜した状態にするように構成する。
レッグレスト13は、内部に適度な硬さ(柔らかさ)のクッション材等を備えており、レッグレスト13上面(被施術者の脹脛等に当接する面)の基端側を丸く形成し、例えば適当な円周形状で丸く形成した側方部13a,13bを設けている。なお、レッグレスト13は、上面の先端側を丸く形成し、上記の基端側と先端側を含めて上面全体を丸く形成してもよい。
【0022】
図2は、本実施例の理美容椅子1に備えられる着座部12およびレッグレスト13の構成を示す説明図である。
図2(a)の着座部12およびレッグレスト13は、図1に例示したものを上方視したものである。なお、ここで図示したレッグレスト13は、先端部分を低く下げ、当該レッグレスト13の上面を、理美容椅子1の前方に向けて傾いている状態である。
前述のように、着座部12の前側両角部等(前端)を丸く形成し、また、レッグレスト13の後側(基端側)を丸く形成して、これらを対向配置すると、側方部12aと側方13aとの間に空き領域Aが生じ、側方部12bと側方部13bとの間に空き領域Aが生じる。
換言すると、理美容椅子1の、被施術者の脚部を支持する部位の両側方に、着座部12等の幅方向に沿って側端から中央へ向かう窪み(空き領域A)が設けられている。
【0023】
図3は、本実施例の理美容椅子1に被施術者Bが着座するときの態様を示す説明図である。図3(a)は、空き領域Aに被施術者Bが立っている状態を示し、図3(b)は、空き領域Aに立っていた被施術者Bが着座部12に腰掛けた状態を示している。なお、図3(a)および図3(b)において、レッグレスト13は上面が前方へ傾斜している(先端部分を低く下げている)状態である。
理美容椅子1は、施術前の初期状態として椅子状態になっており、バックレスト11は起立し、レッグレスト13は先端部分を低く下げている。
【0024】
この状態の理美容椅子1に被施術者Bが着座するとき、被施術者Bは、着座部12の前側(着座部12前端とレッグレスト13後端との間)に近づき、図3(a)に示したように、概ねバックレスト11に背を向けて(後ろ向きになって)空き領域Aの位置に立つ。
空き領域Aに立った場合、被施術者Bの脚部は、着座部12(もしくは理美容椅子1)の幅方向において、着座部12の側端部よりも当該着座部12の中央寄りに位置する。
この位置に立った状態から着座部12へ腰を下ろすと、腰もしくは尻部分が着座部12の例えば中央近傍に降りることになり、図3(b)に示したように、着座部12の奥側へ深く腰掛けた姿勢になる。
【0025】
被施術者Bは、このように着座部12へ深く腰掛けた後、腰部等を回転して背中をバックレスト11に当接させ、また、両脚をレッグレスト13の上面側へ移動し、例えば脹脛等をレッグレスト13に当接させる。
換言すると、空き領域A(前述の窪み)は、被施術者Bが、立ち姿勢から腰を下ろしたとき、着座部12に深く着座することができる位置に立つことを可能にするものである。
【0026】
ここで説明した着座部12およびレッグレスト13は、図2(a)に示したように、着座部12の前側とレッグレスト13の後側の両方を丸く形成したものであるが、十分な大きさ(広さ)の空き領域Aが生じる形状であれば、例えば、図2(b)に示したように、着座部12の側方部12a,12b等を適当な円周形状で丸く形成し、レッグレスト13の側方部13a,13bには角部(略角部)を有するように形成してもよい。また、図2(c)に示したように、着座部12の側方部12a,12bには角部(略角部)を有するように形成し、レッグレスト13の側方部13a,13等を適当な円周形状で丸く(もしくはレッグレスト13上面の外周全体を概ね丸く)形成してもよい。
【0027】
ここで例示した理美容椅子1は、着座部12とレッグレスト13を別部材として備えているが、着座部12の機能を有する部位(被施術者Bの腰部等を支持する部位)と、レッグレスト13の機能を有する部位(被施術者Bの脚部を支持する部位)とを連結し、一連の構造体として構成してもよい。このとき、空き領域Aは、脚部を支持する部位の両側方に、前述のように被施術者Bが立つことができる窪みとして設けられる。
【0028】
以上のように本実施例によれば、被施術者Bが空き領域Aに立っている姿勢から着座部12に腰を下ろすと、当該着座部12の奥側に深く着座することができる。
また、着座部12とレッグレスト13の各部分を丸く形成することにより、空き領域Aが形成され、上記のように着座部12の奥側に深く着座することができる。
また、レッグレスト13を丸く形成することにより、被施術者Bが着座する際に、レッグレスト13上側の側方部分が邪魔にならず、ストレスを感じることなく着座姿勢を整えることができる。
【0029】
また、被施術者Bが、理美容椅子1に近寄る際に、レッグレスト13下側の側方部分が邪魔にならず、ストレスを感じることなく接近して着座することができる。
また、レッグスレスト13を支持するレッグレスト支持機構部を、着座部12およびレッグレスト13の幅方向中央となる位置に設置したので、空き領域Aを十分広く設けることが可能になり、被施術者Bが着座部12に十分接近して腰を下ろし、深く腰掛けることが容易になる。
【符号の説明】
【0030】
1,100理美容椅子
11,101バックレスト
12,102着座部、
12a,12b,13a,13b側方部
13,103レッグレスト
14,104基台
105シャンプーボウル
図1
図2
図3
図4