IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲広▼州大学の特許一覧

特許7270983リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料
<>
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図1
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図2
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図3
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図4
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図5
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図6
  • 特許-リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/65 20060101AFI20230501BHJP
   C08G 18/24 20060101ALI20230501BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20230501BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20230501BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
C08G18/65 005
C08G18/24
C08G18/28 085
C08G18/38 002
C08G18/66 003
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020152295
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2021130804
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2020-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】202010035474.5
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519295166
【氏名又は名称】▲広▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 旭
(72)【発明者】
【氏名】劉 敏換
(72)【発明者】
【氏名】郭 玉良
(72)【発明者】
【氏名】徐 秀彬
(72)【発明者】
【氏名】于 丹鳳
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】細井 龍史
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/172936(WO,A1)
【文献】特開2007-169411(JP,A)
【文献】特開2014-218657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料であって、原料として、
ハードモノマー25重量%~40重量%、ソフトモノマー45重量%~65重量%、低表面エネルギー化合物1重量%~25重量%、鎖延長剤及び触媒を含めて組成物の総和が100重量%となり、
前記低表面エネルギー化合物は、有機フッ素化合物から選ばれ、
前記有機フッ素化合物は、パーフルオロポリエーテルアルコール、及びヘキサフルオロブタノールから選ばれる少なくとも1種であり
記ハードモノマーは、トルエン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び1,4-シクロヘキサンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種であり、
前記ソフトモノマーは、ポリエーテルグリコール及び/又はポリエステルジオールから選ばれ、
前記ポリウレタン材料でコーティングした膜は、500nm以上の波長の光に対して、98%以上の透過率を有し、410nm以下の波長の光に対して、90%以下の透過率を有することにより、二次元コードの認識に影響を及ぼさない、ことを特徴とするリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料。
【請求項2】
前記鎖延長剤は、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン及び水から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料。
【請求項3】
前記触媒は有機スズ触媒から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載のリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料。
【請求項4】
ポリウレタン材料の原料中、前記触媒は0.05重量%以下である、ことを特徴とする請求項3に記載のリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料の技術分野に属し、特にリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクル性は、材料の重要な特性の1つであり、資源の利用効率の向上、材料の調製によって引き起こされる環境汚染の低減に寄与する。近年、水/油を付着させない低付着性材料の設計及び調製に関して多くの研究がなされており、低付着性材料は、セルフクリーニング、防汚、防氷、防曇、防錆、液体輸送や抵抗低減などの分野における幅広い応用性が期待できる。材料の低付着性は、材料の表面の化学組成と形態による影響を受け、材料のリサイクル性の実現は、低付着材料を設計する従来の方法により深刻に制限されてしまい、低付着性とリサイクル性が両立することのできない2つの特性であると考えられることもある。
【0003】
従来の低付着性材料は、組成に応じて均質材料と複合材料の2つの種類に大別できる。均質低付着性材料は、単分子層、テフロンなどの線形分子構造の熱可塑性材料と、化学的に架橋された熱硬化性材料とにさらに分類できる。これらの均質材料の平坦な表面は、水や油を付着させず、120度以下の接触角を示す。さらにエッチング又は繊維加工により平坦な表面にマイクロナノの粗い構造を付与する場合、接触角を150度に向上させて、超疎水性を実現できる。複合材料の代表例としては、表面がマイクロナノの粗さを有するハスの葉のようなバイオニック超疎水性材料及び内部がマイクロナノの構造を有するウツボカズラのようなバイオニック超潤滑性材料がある。複合超疎水性材料の組成には、SiO、TiO、ZnO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子とフッ素含有化合物の組み合わせを使用できる。超潤滑性材料では、多孔質基材に潤滑油を閉じ込むことで形成された潤滑面も、水/油を付着させない性能及び120度以下の接触角を示す。低表面エネルギーのフルオロエーテル又はシリコーンオイルは、試験対象の液体と相溶せず、注入用の潤滑油として使用でき、テフロン繊維、シリカのビーズ、又はアルミナゲルなどは、多孔質基材の材料として使用できる。複合材料、特に複合材料の微細なナノ構造の分離と再現は困難であり、テフロン及び熱硬化性系はほとんどの溶媒に対して不溶であるとともに、高沸点である。このような問題により、従来の低付着性材料のリサイクルが大幅に制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第107779032号明細書
【0005】
本発明は、新規高分子機能性材料、高性能高分子構造材料、及びポリマーコーティング材料の分野に属し、原油に対する付着性の低い防汚コーティング及びその調製方法を開示する。このコーティングは、成分として、ポリマー樹脂又はエマルジョン10~95wt%、架橋成分0~50wt%、低表面エネルギー成分0~20wt%を含み、残りの成分は溶媒又は水である。原油は、コーティングに接触した後、付着マークを残すことなくコーティング表面から滑り落ちる。さらに、コーティングは、良好な透明性、硬度、付着性、柔軟性、耐食性などの総合的な特性を備えている。スプレー塗装、浸せき塗装、ナイフ塗装などに用いる工業用設備やプロセスに適しており、ガラス、金属、木材器具、セラミック、ポリマー、紡績物など、さまざまな基材に適用できる。原油に対する低付着性及びコーティングの広範な適用によって、コーティングは、原油採掘、輸送、保管、処理や加工などの分野において応用の将来性が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来の低付着性材料のリサイクルが困難である問題を解決して、各原料が良性溶剤への溶解又は低温加熱により再加工・自己修復を行うことができ、また優れた透明性や引張性を有し、水性・油性液体に対して耐付着性を示すリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料、及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料は、原料として、ハードモノマー25重量%~40重量%、ソフトモノマー45重量%~65重量%、低表面エネルギー化合物1重量%~25重量%、鎖延長剤及び触媒を含み、
前記低表面エネルギー化合物は、有機フッ素化合物又は有機シリコーン化合物から選ばれる。
【0008】
さらに、前記有機フッ素化合物は、パーフルオロポリエーテルアルコール(たとえば、ポリパーフルオロプロピレンオキシドグリコール)、トリデカフルオロ-n-オクタノール及びヘキサフルオロブタノールから選ばれる少なくとも1種である。
【0009】
さらに、前記有機シリコーン化合物は、アミノシリコーンオイル(たとえば、アミノプロピルポリジメチルシロキサン、アミノポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシシリコーンオイル(たとえば、ヒドロキシポリジメチルシロキサン)から選ばれる少なくとも1種である。
【0010】
さらに、前記ハードモノマーは、トルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソフルロンジイソシアネート(IPDI)から選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
さらに、前記ソフトモノマーはポリエーテルグリコール及び/又はポリエステルジオールから選ばれる。
【0012】
さらに、鎖延長剤は1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、水から選ばれる少なくとも1種である。
【0013】
さらに、ポリウレタン材料の原料中、前記鎖延長剤は0~5重量%である。
【0014】
さらに、前記触媒は、有機スズ触媒から選ばれ、たとえば、ジブチルスズジラウレートである。
【0015】
さらに、ポリウレタン材料の原料中、前記触媒は0~0.05重量%である。
【0016】
本発明による上記リサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料の調製方法は、ソフトモノマー、鎖延長剤、ハードモノマー及び触媒を溶剤に分散させ、反応させてプレポリマーを形成するステップ(1)と、
プレポリマーに低表面エネルギー化合物を加えて、重縮合反応を行うステップ(2)と、
最後に、鎖延長剤を加えて反応させ、反応終了後、硬化させてポリウレタン材料を得るステップ(3)と、を含む。
【0017】
さらに、ステップ(1)では、ソフトモノマー、鎖延長剤、ハードモノマー、触媒及び溶剤の混合順番について、まず、ソフトモノマーと鎖延長剤の混合物にハードモノマーを加え、次に触媒と溶剤を加える。
【0018】
さらに、ステップ(2)では、前記重縮合反応の温度は70~80℃であり、反応時間は1~2hである。
【0019】
さらに、ステップ(3)では、反応時間は10~12h、好ましくは12hである。ステップ(3)では、重縮合反応が終了した後、さらに鎖延長剤を加える。このときに、鎖延長剤を加えることによって、ハードモノマー中の未反応-NCOを消費できる。たとえば、水を鎖延長剤とする場合、水は、ハードモノマー中のイソシアネートの-NCOと反応し、高極性の尿素結合を形成して、プレポリマーを接続し、大分子を生成し、また、より強固な物理的架橋作用を材料へ付与する。
【0020】
さらに、ステップ(1)では、溶剤は、ブタノン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミドから選ばれる少なくとも1種であり、使用量が20%~60%(質量比)である。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本発明では、ソフトモノマーとハードモノマーが重合してプレポリマーを形成した後、低表面エネルギーを有する有機フッ素化合物、有機シリコーン化合物を加え、有機フッ素化合物、有機シリコーン化合物とプレポリマーを重縮合反応させて、低表面エネルギーセグメントを持つポリウレタン材料を形成し、また、ポリマーにおいて低表面エネルギーセグメントが物理的架橋の形だけで存在し、化学的架橋がないため、ポリウレタン材料は、一般的な溶剤に溶解するか、又は低温で溶融することができ、それによって、リサイクルが可能になり、さらに、ポリウレタン材料の表面エネルギーを効果的に低下させ、ポリウレタン材料の付着性を低下させ、その防汚能力を高める。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ポリウレタン材料の表面の元素マップである。
図2】(a)水(観察しやすさから青色インクで染色)、(b)ヘキサデカン、(c)植物油、(d)ポンプオイルに対するポリウレタンフィルムの付着性のテスト結果である。
図3】(a)ポリテトラフルオロエチレン、(b)金属、(c)ガラス、(d)木材、(e)ポリエチレンテレフタレート基材上に形成されたポリウレタン材料コーティングである。
図4】ポリウレタン材料がポリテトラフルオロエチレン上に形成された基材の曲げテスト結果である。
図5】ポリウレタン材料コーティングの透過率曲線である。
図6】ポリウレタン材料の再成形過程を示す。
図7】ポリウレタン材料の自己修復過程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、特定の実施例にて本発明の技術案を詳細に説明する。
【0024】
本発明のリサイクル可能な低付着性ポリウレタン材料は、ハードモノマー、ソフトモノマー、低表面エネルギー化合物、鎖延長剤及び触媒で製造されるものであり、具体的には、原料として、ハードモノマー25重量%~40重量%、ソフトモノマー45重量%~65重量%、低表面エネルギー化合物1重量%~25重量%、鎖延長剤0~5重量%、触媒0~0.05重量%を含む。
【0025】
各原料として使用される具体的な物質及びこれらの使用量の詳細を表1~6に示す。
【0026】
本発明のポリウレタン材料の調製方法は以下のとおりである。
(1)ソフトモノマー、鎖延長剤、ハードモノマー及び触媒を溶剤に分散させ、反応させてプレポリマーを形成する。
具体的には、表1の配合比でソフトモノマーと鎖延長剤を四つ口フラスコに加えて、均一に混合した。次に、撹拌しながらハードモノマーを加え、さらに触媒と溶剤を加えた。反応系の温度を70~85℃、好ましくは80℃に上げて、保温したまま2h反応させて、プレポリマーを形成した。
(2)プレポリマーに低表面エネルギー化合物を加えて、重縮合反応を行う。
具体的には、ステップ(1)のプレポリマーに低表面エネルギー化合物を加えて、2h反応させ続け、低表面エネルギー化合物とステップ(1)のプレポリマーを重縮合反応させ、低表面エネルギーセグメントを生成した。
(3)最後に、鎖延長剤を加えて反応させ、反応終了後、硬化させてポリウレタン材料を得る。
重縮合反応が終了した後、反応系を40℃に降温し、次に一定量の鎖延長剤を加えて、50℃で12h反応させた。反応終了後、20~70℃で1~24hベークして硬化させると、最終的なポリウレタン材料を得た。
実際に調製する際に、ステップ(1)で使用される溶剤は、ブタノン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドから選ばれる少なくとも1種であり、その使用量は、少なくともソフトモノマー、鎖延長剤及びハードモノマーを均一に分散できるほどである。ステップ(3)で加える鎖延長剤は、好ましくは水である。
比較として、以下、低表面エネルギー化合物を添加せず、ハードモノマー、ソフトモノマー、鎖延長剤及び触媒だけで製造されるポリウレタン材料を提供し、原料の詳細を表7の比較例1に示し、その調製方法は以上と同様であった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】
上記各実施例又は比較例で調製されたポリウレタン材料は、すべて液体形態であり、固形分40%~80%であり、以下、ポリウレタン溶液と呼ぶ。
【0035】
実施例1のポリウレタン材料の表面の元素マップを図1に示す。図1から、C、O、N、Fなどの元素がポリウレタン材料に均一に分布していることがわかる。
【0036】
実施例1のポリウレタン溶液の一定量を室温又は20~70℃でシャーレに注ぎ、次に50℃の恒温乾燥オーブンに平らに置き、24時間乾燥させた後、シャーレからフィルムを剥離し、ポリウレタンフィルムを得た。次に、ポリウレタンフィルムを水、ヘキサデカン、植物油、ポンプオイルのそれぞれに浸漬し、取り出した後、ポリウレタンフィルムへの水、ヘキサデカン、植物油、ポンプオイルの付着状況を観察し、この結果を図2に示す。図2に示すように、水はポリウレタンフィルムにまったく付着できず、ポリウレタンフィルムをヘキサデカンから取り出した直後、ポリウレタンフィルムの表面にはわずかなヘキサデカンが付着しているが、5s後、ヘキサデカンが完全にポリウレタンフィルムから分離し、付着し続けることができず、ポリウレタンフィルムに対する植物油の付着性はヘキサデカンのそれよりわずかに強いものの、ポリウレタンフィルムを植物油から取り出してから25s後、植物油はポリウレタンフィルムから完全に分離することができ、より高粘度のポンプオイルの場合は、35s後、ポリウレタンフィルムから完全に分離できた。
【0037】
実施例1のポリウレタン溶液を、ポリテトラフルオロエチレン、金属、ガラス、木材やポリエチレンテレフタレートなどのさまざまな基材にコーティングし、乾燥させて、図3に示すように、滑らかで透明なコーティングを形成した。また、ポリウレタン材料コーティングでコーティングされたポリテトラフルオロエチレンを曲げた結果、図4に示すように、コーティングの最小曲げ半径が1mm未満であり、これは、ポリウレタン材料とポリテトラフルオロエチレンとの付着性が良好であることを示している。
【0038】
さらに、実施例1のポリウレタン溶液を、二次元コードパターンを有する基材上にコーティングし、乾燥させてコーティングを形成し、このコーティングの透過率をテストし、結果を図5に示した。図5は、本発明のポリウレタン材料で形成されたコーティングが98%以上の透過率を有し、透明性が優れ、二次元コードの認識に影響を及ぼさないことを示している。
【0039】
実施例1のポリウレタン溶液を型に注入し、乾燥させて成形品とし、次に、有機溶剤(たとえば、エタノール、ブタノン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド)に室温で溶解して溶液とし、型に注入し、有機溶剤が蒸発乾固すると、図6に示すように、再成形された成形品を得て、これは、本発明のポリウレタン材料が簡単な溶解法でリサイクルできることを示している。また、図7に示すように、ポリウレタン材料で形成されたコーティング上をスクラッチして、スクラッチ(図7a)を形成し、次に120℃で10min加熱すると、スクラッチが消え(図7b)、これは、本発明のポリウレタン材料が自己修復機能を有することを示している。
【0040】
さらに、テストしたところ、実施例2~6で調製されたポリウレタン材料は、実施例1のポリウレタン材料と同じ特性を有し、このため、ここでは詳しく説明しない。
【0041】
これに対して、低表面エネルギー化合物を添加していない比較例1のポリウレタン材料は、透明性が良好であり、透過率が95%以上に達し、また、リサイクル性及び修復性を有するが、水/油性液体に対する耐付着性がなかった。
【0042】
以上説明したとおり、本発明は、ソフトモノマーとハードモノマーが重合してプレポリマーを形成した後、低表面エネルギーを有する有機フッ素化合物、有機シリコーン化合物を加え、有機フッ素化合物、有機シリコーン化合物とプレポリマーを重縮合反応させて、低表面エネルギーセグメントを持つポリウレタン材料を形成し、また、ポリマーにおいて低表面エネルギーセグメントが物理的架橋の形だけで存在し、化学的架橋がないため、ポリウレタン材料は、一般的な溶剤に溶解するか、又は低温(80~120℃)で溶融することができ、それによって、リサイクルが可能になり、さらに、ポリウレタン材料の表面エネルギーを効果的に低下させ、ポリウレタン材料の付着性を低下させ、形成されたフィルムは、水をまったく付着させず、高粘度のヘキサデカン、植物油、ポンプオイルなどの液体有機物のいずれにも付着性が非常に低い。さらに、本発明のポリウレタン材料は、ガラス、金属、セラミック、ポリマー、木材などの固体基材に対しては良好な付着性を有し、形成されたフィルム又はコーティングは、光透過率が非常に高いので、可撓性電子表示装置、ウェアラブルセンサなどのウェアラブルデバイス、スマートロボットや人体修復材料などの分野に適用できる。
【0043】
上記実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は、上記実施例により制限されず、本発明の趣旨及び原理から逸脱することなく行われる他の変更、修正、置換、組み合わせや簡略化は、すべて同等の置換方式であり、いずれも本発明の特許範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7