(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20230501BHJP
C08J 9/30 20060101ALI20230501BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230501BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230501BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20230501BHJP
B01J 39/18 20170101ALI20230501BHJP
B01J 41/12 20170101ALI20230501BHJP
【FI】
B01J20/26 J
C08J9/30 CER
C08J9/30 CEZ
B01J20/28 A
B01J20/30
B01J20/22 C
B01J39/18
B01J41/12
(21)【出願番号】P 2020567154
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020100690
(87)【国際公開番号】W WO2021004458
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910611463.4
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520465150
【氏名又は名称】武漢紡織大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】王棟
(72)【発明者】
【氏名】劉軻
(72)【発明者】
【氏名】程▲パン▼
(72)【発明者】
【氏名】郭啓浩
(72)【発明者】
【氏名】劉瓊珍
(72)【発明者】
【氏名】程芹
(72)【発明者】
【氏名】李沐芳
(72)【発明者】
【氏名】趙青華
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106319688(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104491914(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0199993(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109412456(CN,A)
【文献】国際公開第2018/038049(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106009056(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/28,20/30-20/34
B01J 39/00-49/90
C08J 9/00-9/42
C02F 1/28
B01D 15/00-15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法であって、それは以下の工程を含む。
S1、溶解紡糸によりポリマーナノファイバー集積体を得て、前記ポリマーナノファイバーの表面
に架橋剤を通して架橋構造を形成するヒドロキシ基又はアミノ基である活性化基を有する。
S2、工程S1で得た前記ポリマーナノファイバー集積体を分散溶媒に分散し、均一なポリマーナノファイバー分散液を形成してから、遠心分離により分散溶媒を取り除いて、分散後のポリマーナノ単繊維を得る。
S3、工程S2で得た前記ポリマーナノ単繊維を脱イオン水に分散して、小分子架橋剤を加えて、撹拌して予め架橋反応が起こり、予めポリマーナノファイバー懸濁液を得る。
S4、工程S3で得た前記予めポリマーナノファイバー懸濁液に高分子電解質溶液を加えて、乳化後、機能化ポリマーナノファイバー懸濁液を得る。
S5、工程S4で得た前記機能化ポリマーナノファイバー懸濁液を型に入れて、凍結乾燥を行い、構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得る。
前記高分子電解質の含有量、及び/又は前記凍結乾燥の方式を調整することにより、前記イオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の多孔質構造の構造について調整し、異なる構造を備える多孔質構造を取得することを特徴とする構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項2】
工程S4に、前記高分子電解質溶液はキトサン溶液、ポリエチレンイミン溶液、アルギン酸ナトリウム溶液、ポリアクリル酸溶液、ポリアクリルアミド溶液の何れか一種であり、前記高分子電解質の質量は前記予めポリマーナノファイバー懸濁液質量の0.5%~5%になり、工程S5に、前記凍結乾燥の方式は指向性凍結乾燥と無指向性凍結乾燥を有することを特徴とする請求項1に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項3】
工程S5に、前記凍結乾燥の凍結温度は-196~-10℃、凍結時間は4~6h、乾燥時間は24~72hに設定されることを特徴とする請求項1に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項4】
工程S2に、前記分散溶媒は水とアルコール類又は水と酸類有機溶媒からなる混合溶媒であり、前記混合溶媒において、水と有機溶媒の容積比は(1.2~10):1となり、前記ポリマーナノファイバー集積体の質量は前記混合溶媒の質量の0.5%~10%に設定されることを特徴とする請求項1に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項5】
前記混合溶媒を取り除くために、前記遠心分離の時間は4~10min、遠心分離の回転速度は8000~12000r/minに設定されることを特徴とする請求項4に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項6】
工程S3に、前記予めポリマーナノファイバー懸濁液において、前記ポリマーナノ単繊維の質量分率は0.5%~10%、前記架橋剤の容積分率は0.5%~20%に設定されることを特徴とする請求項1に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項7】
前記小分子架橋
剤は多塩基アルデヒド又は多塩基酸の何れか一種または複数種であることを特徴とする請求項6に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【請求項8】
工程S1に、前記ポリマーナノファイバー集積体は熱可塑性ポリマーナノファイバー集積体であり、前記熱可塑性ポリマーナノファイバー集積体は、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体とポリアミドナノファイバー集積体の何れか一種または複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性ナノ吸着材の技術分野に関し、特に構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スポンジ体とは、三次元で多孔質の物質であり、比表面積が大きくて吸着性能も優れているため、いつも水体又は大気汚染の濾過や吸着等の分離処理に用いられていて、しかも著しい効果を持っていた。その中で、ポリビニルアルコールスポンジは吸水性に富むため、よく吸着材の製造に用いられている。ポリビニルアルコールスポンジは架橋剤を通してPVA分子鎖を架橋、発泡して固化されることで作られているが、今国内でポリビニルアルコールスポンジ等の吸着材の製造技術は時代に遅れて、殆ど澱粉を充填して発泡させるような方法を採用している。この製造方法を採用する場合、環境汚染がひどく、次の工程に手間がかかり、澱粉は完全に清浄できなく、また、澱粉と酸触媒は完全に回収して利用できないため、省エネやコストダウンに不利である。しかも、スポンジ体の吸着性能も更に向上させる必要もある。ということで、吸着性能に優れるスポンジ体の構造及び製造工程に対して研究開発、改善する必要があり、更にエネルギーを節約し、生産コストを低減し、コストパフォーマンスを向上させるようになり、このような吸着材の大規模な量産を促進する。
【0003】
中国特許CN107051408Aで公開された「繰り返して油吸着可能な三次元ナノファイバー疎水性スポンジ体の製造方法」には、電界紡糸により酢酸繊維素/ポリエチレンオキシドナノファイバー膜を得て、ナノファイバー膜に対して架橋、粉剤処理を行った後、分散溶媒を加えて、均一に分散してから、凍結乾燥を行ってナノファイバースポンジ体を得る。続いて、ナノファイバースポンジ体に対して疎水的に改質されて、繰り返して油吸着可能なナノファイバー疎水性スポンジ体を得る。該材は油を含む汚水の処理に用いられて、優れる吸着性能も有するが、その不足な所は以下の通りである。(1)該方法には、電界紡糸によりナノファイバー膜を作っており、電界紡糸は溶解紡糸と比べたら、工程が複雑であり、コストは比較的に高くて、大規模な量産には最適な選択とならない。(2)ナノファイバーを架橋した後粉砕することは、橋かけ度が不均一になる問題を引き起こし、この方法により凍結乾燥してきたスポンジ体の強度は比較的に低い;(3)製造中に、マシン粉砕処理を行っており、ファイバー膜の形状が不規則で、流動性が悪くて低い問題を引き起こしやすい。
【0004】
中国特許CN106009056Bで公開された「ポリマーナノファイバーベースエアロゲル材及びその製造方法」には、溶融混合と、牽引及び抽出工程を通してポリマーナノファイバーを得て、続いてポリマーナノファイバーを水性溶媒に置いて分散液を形成し、後はポリビニルアルコールやキトサン等架橋剤を加えて、加熱、架橋した後凍結乾燥を行い、ポリマーナノファイバーベースエアロゲルを得る。該方法の不足な所は以下の通りである。直接にポリマーナノファイバーを水性溶媒に分散した後架橋を行うのは、溶媒は水性溶媒であるため、分散効果は良くない。また、溶剤は水性溶媒と有機溶媒からなる混合溶媒である場合、凍結乾燥を行う際、エアロゲル材が均一に成形し難しくて、製造してきたナノファイバーベースエアロゲルの強度が比較的に低い問題を引き起こす。それ以外、架橋剤とナノファイバーは何れもポリマーマトリックスであるため、架橋後の気孔率は比較的に低いという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記既存技術にある不足に対して、本発明の目的は、構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材及びその製造方法を提供することである。該製造方法には、ナノファイバーの溶解紡糸と分散、予め架橋ナノファイバー懸濁液の製造及び凍結乾燥架橋等の工程を有し、予め架橋ナノファイバー懸濁液にある高分子電解質の含有量及び凍結乾燥の方式を調整することにより、構造が多様化で、強度と吸着量に優れるイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得る。
【0006】
本発明の目的は、またナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供することである。該製造方法には、ナノファイバーの溶解紡糸と分散、予め架橋ナノファイバー懸濁液の製造及び凍結乾燥架橋等の工程を有し、更に構造が安定で、比表面積が高くて、吸着量が大きいナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体を得て、水質汚染の吸着に広く用いられることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を実現するために、本発明の使用する技術的な解決方案は以下の通りである。
【0008】
構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材であって、前記イオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材はポリマーナノファイバーと、ポリマーナノファイバーが架橋剤によって凍結乾燥架橋して形成した高分子電解質を備え、前記高分子電解質の含有量、及び/又は前記凍結乾燥の方式を調整することにより、前記イオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の多孔質構造について調整する。前記ポリマーナノファイバーの表面に活性化基を有し、前記架橋剤は多塩基アルデヒド又は多塩基酸の何れか一種または複数種である。
【0009】
本発明では、ポリマーナノファイバーを三次元分離材の骨格材料とし、ナノファイバーの高アスペクト比と高強度により三次元分離材に優れる圧縮強度を付与して、また、多塩基アルデヒド又は多塩基酸のような架橋剤を採用して、それを高分子電解質と一緒に凍結乾燥して架橋を行う。高分子電解質は多価陽イオンと多価陰イオンを備えているため、三次元分離材に優れる静的吸着及びイオン交換性能を付与し、更に選択的吸着性能を実現する。高分子電解質の含有量と凍結の方式を簡単に調整することにより、構造が多様化で、強度と吸着量に優れるイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得られる。
【0010】
構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法であって、それは以下の工程を含む。
【0011】
S1、溶解紡糸によりポリマーナノファイバー集積体を得て、前記ポリマーナノファイバーの表面に活性化基を有する。
【0012】
S2、工程S1で得た前記ポリマーナノファイバー集積体を分散溶媒に分散し、均一なポリマーナノファイバー分散液を形成してから、遠心分離により分散溶媒を取り除いて、分散後のポリマーナノ単繊維を得て、ここで分散溶媒と前記貧溶媒は、何れも前記ポリマーナノファイバー集積体をちゃんと分散させるが、前記ポリマーナノファイバー集積体を溶解しない溶剤である。
【0013】
S3、工程S2で得た前記ポリマーナノ単繊維を脱イオン水に分散して、架橋剤を加えて、撹拌して予め架橋反応が起こり、予めポリマーナノファイバー懸濁液を得る。
【0014】
S4、工程S3で得た前記予めポリマーナノファイバー懸濁液に高分子電解質溶液を加えて、乳化後、機能化ポリマーナノファイバー懸濁液を得る。
【0015】
S5、工程S4で得た前記機能化ポリマーナノファイバー懸濁液を型に入れて、凍結乾燥を行い、構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得る。
【0016】
前記高分子電解質の含有量、及び/又は前記凍結乾燥の方式を調整することにより、前記イオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の構造について調整する。
【0017】
上記技術方案において、ポリマーの溶解紡糸からナノファイバー骨格三次元分離材の成形まで完全な製造方法を提供する。上記各工程の間はお互いに関連していて、製造方法全体は操作しやすく、大規模な量産に適合するとともに、製品の性能も素晴らしく、構造が多様化で吸着性能に優れる三次元分離材を大量で高効率に製造するのに有効なルートを提供する。
【0018】
ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法であって、それは以下の工程を含む。
【0019】
S1、熱可塑性ポリマーナノファイバーを作ること。熱可塑性ポリマーと酢酸酪酸セルロースを溶融混合して相分離により熱可塑性ポリマーナノファイバーを作る。
【0020】
S2、分散液を作ること。上記工程で得た熱可塑性ポリマーナノファイバー集積体を貧溶媒に分散して、均一な分散液を形成する。
【0021】
S3、純粋なナノファイバーを作ること。上記工程で得たナノファイバー懸濁液について遠心分離を行い、貧溶媒を取り除いて、分散後の純粋なナノファイバーを得る。
【0022】
S4、ナノファイバー泡を作ること。上記工程で得た純粋なナノファイバーに水と、架橋剤及び界面活性剤を加えて、乳化後、ナノファイバー泡を得る。
【0023】
S5、スポンジ体を作ること。上記工程で得たナノファイバー泡を型に入れて、凍結乾燥を行った後、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体を得る。
【0024】
溶解紡糸及び相分離により熱可塑性ポリマーナノファイバーを作ってから、ポリマーナノファイバーを単繊維に分散して、続いてポリマーナノ単繊維を架橋剤及び界面活性剤と一緒に水に入れてナノファイバー泡を作る。ポリマーナノ単繊維の分散性がよいため、凍結乾燥後、気孔率が高い構造に保ち、吸着量を著しく向上させる。また、製造周期は短くて、スポンジ体吸着材を大量に製造することが可能になり、且つ製造効率も高く、製造コストは低い。これによって製造したナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能がよく、ある程度で、イオン交換と三次元分離機能を持つため、濾過、断熱、吸着材等の分野に広く用いられることができる。
【0025】
前記化学架橋剤は多塩基アルデヒドや多塩基酸等である。多塩基アルデヒドや多塩基酸等架橋剤を加えることで、ポリマーナノファイバーにあるヒドロキシ基又はアミノ基等の活性化基は、架橋剤にあるアルデヒド基又はカルボキシ基と、エステル化、アセタール、ヘミアセタール又は水素結合を通して架橋構造に形成し、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の親水性を強化し、また、透かし彫ボール状はサイズが小さくて、粒度が均一に分布しているため、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体に大きい比表面積を付与して、その吸着性能も向上させる。
【0026】
既存技術と比べて、本発明で提供する構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材及びその製造方法の有益な効果は以下の通りである。
【0027】
(1)本発明で提供する構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材では、ポリマーナノファイバーを三次元分離材の骨格材料とし、ナノファイバーの高アスペクト比と高強度により三次元分離材に優れる圧縮強度を付与して、また、多塩基アルデヒド又は多塩基酸のような架橋剤を採用して、それを高分子電解質と一緒に凍結乾燥して架橋を行う。高分子電解質は多価陽イオンと多価陰イオンを備えているため、三次元分離材に優れる静的吸着及びイオン交換性能を付与し、更に選択的吸着性能を実現する。多塩基アルデヒドや多塩基酸のような小分子架橋剤を使って、ポリマーナノファイバーと高分子電解質を架橋させることで、架橋点を上げて、架橋構造を豊富にして、更に三次元分離材の気孔率及び強度を向上させる。高分子電解質の含有量と凍結の方式を簡単に調整して、架橋過程に対して調整を行い、更にミクロ構造に対して調整を行うことで、構造が多様化で、強度と吸着量に優れるイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得て、濾過、断熱、吸着材等の分野に広く用いられることができる。
【0028】
本発明で提供する構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法では、ポリマーの溶解紡糸からナノファイバー骨格三次元分離材の成形まで完全な製造方法を含む。まず溶解紡糸を使ってポリマーナノファイバーを作ることは、ナノファイバーの原材料を大量に製造することができる。ただし、溶解紡糸により作ってきたポリマーナノファイバーはいつもお互いに付き纏って又は粘着しており、それによってポリマーナノファイバー集積体の形を呈し、水溶液の中で凝集しやすくようにしているため、均一に分散してナノ単繊維に形成し難しい。従って、本発明では、まず溶解紡糸により作ってきたポリマーナノファイバーを、水とアルコール類又は水と酸類等有機溶媒からなる混合溶媒に分散して、ナノ単繊維に剥離して、続いて遠心分離により混合溶媒を取り除く。この過程において、ナノ単繊維は基本的に現有の高分散状態を維持することができる。続いてナノ単繊維を順次に小分子架橋剤と高分子電解質と混合して、均一なナノファイバー懸濁液を形成する。最後は、凍結乾燥により構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得る。上記各工程の間はお互いに関連していて、製造方法全体は操作しやすく、大規模な量産に適合するとともに、製品の性能も素晴らしく、構造が多様化で吸着性能に優れる三次元分離材を大量で高効率に製造するのに有効なルートを提供する。
【0029】
(3)本発明で提供するナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体では、まず溶解紡糸及び相分離により熱可塑性ポリマーナノファイバーを作ってから、ポリマーナノファイバーを単繊維に分散して、続いてポリマーナノ単繊維を架橋剤及び界面活性剤と一緒に水に入れてナノファイバー泡を作る。ポリマーナノ単繊維の分散性がよいため、凍結乾燥後、気孔率が高い構造に保ち、吸着量を著しく向上させる。また、製造周期は短くて、スポンジ体吸着材を大量に製造することが可能になり、且つ製造効率も高く、製造コストは低い。ラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤を加えて、ラウリル硫酸ナトリウムの溶出機能と水分子と合わせてナノファイバー材に良い拡散な役割を果たして、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の比表面積を向上させ、その吸着性能も向上させる。その他に、本発明では、表面に活性化基(例えばヒドロキシ基、アミノ基等)を有するポリマーナノファイバーを採用しており、アルデヒド基又はカルボキシ基を有する架橋剤を通して架橋を行い、製造してきたスポンジ体はある程度で、イオン交換性能を持つようになる。それに基づいて製造してたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能がよく、濾過、断熱、吸着材等の分野に広く用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】aとbは何れも本発明の実施例1により製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の電子顕微鏡像である。
【
図2】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はそれぞれPVA-co-PEナノファイバー多孔質三次元分離材、キトサン多孔質三次元分離材(比較例6)、ポリエチレンイミン多孔質三次元分離材、架橋後PVA-co-PEナノファイバー多孔質三次元分離材(比較例5)、架橋後キトサン混合PVA-co-PEナノファイバー多孔質三次元分離材(実施例28)、ポリエチレンイミン混合PVA-co-PEナノファイバー多孔質三次元分離材(実施例33)のIRスペクトルである。
【
図3】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ実施例28~32において製造してきたイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の電子顕微鏡像である。
【
図4】(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ実施例5~8において製造してきたイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の電子顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
これから、図面と併せて本発明の原理及び特徴について詳しく説明する。上記の実例の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎなく、それによって、本発明の保護範囲を制限してはいけない。本発明の原理から逸脱しない前提において、実施した改善又は修正は、いずれも本発明の保護範囲とみなすべきである。
【実施例1】
【0032】
ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体であって、質量分率が90%である熱可塑性ポリマーナノファイバーと質量分率が10%である化学架橋剤によってお互いに付き纏って積み重ねて構成されたスポンジ体である。前記熱可塑性ポリマーナノファイバーは質量分率が20%であるポリアミドと質量分率が80%である酢酸酪酸セルロースにより溶融混合及び相分離で製造された。前記化学架橋剤はグルタルアルデヒドに設定される。その製造方法は以下の工程を含む。
【0033】
S1、熱可塑性ポリマーナノファイバーを作ること。ポリアミドと酢酸酪酸セルロースにより溶融混合及び相分離で熱可塑性ポリマーナノファイバーを作る。具体的は以下通りである。
【0034】
a)20%のポリアミドと80%の酢酸酪酸セルロースを均一に混合し、加工温度が200℃になる二軸押出機にて、抽出、ペレット化して、ポリアミド/酢酸酪酸セルロースの複合材を作る。
【0035】
b)工程a)で得たポリアミド/酢酸酪酸セルロースの複合材を融解紡糸機にて紡糸、牽引を行い、複合繊維を得る。その中で、紡糸機の加工温度は200℃、牽引速度は20m/minに設定される。
【0036】
c)工程b)で得た複合繊維を60℃のアセトンにおいて72h回流させて、酢酸酪酸セルロースを抽出し、酢酸酪酸セルロースを抽出した複合繊維に対して空気乾燥を行い、直径が50~500nmになるポリアミドナノファイバーを得る。
【0037】
S2、懸濁液を作ること。上記工程で得たポリアミドナノファイバーをアルコール-水混合溶媒に分散して均一な懸濁液を形成する。その中で、アルコール類有機溶媒の容積比は5:1となり、ポリアミドナノファイバーと前記アルコール-水混合溶媒の質量比は0.05:1に設定される。
【0038】
S3、純粋なナノファイバーを作ること。上記工程で得たナノファイバー懸濁液を遠心分離させて、遠心分離とは、高速遠心分離機に入れて、遠心分離の回転速度は9000r/minの状態で、5minを遠心分離させることである。アルコール-水混合溶媒を取り除いた後、分散後の純粋なナノファイバーを得る。
【0039】
S4、ナノファイバー泡を作ること。上記工程で得た純粋なナノファイバーに水と、架橋剤グルタルアルデヒドと界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを加えて、その中で、ラウリル硫酸ナトリウムの質量分率は溶液質量全体の0.25%となり、乳化機の中で12min乳化させて、乳化後、ナノファイバー泡を得る。
【0040】
S5、スポンジ体を作ること。上記工程で得たナノファイバー泡を型に入れて、凍結乾燥を行い、凍結温度は-30℃、凍結時間は5h、乾燥時間は30hに設定され、凍結乾燥後、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体を得る。
【0041】
図1に示すように、実施例1において製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の透かし彫ボールはいくつかのナノファイバーから付き纏って構成され、内部は中空になり、透かし彫ボールの粒度の大きさは均一であり、お互いに積み重ねてふわふわしたスポンジ体構造を形成する。
【0042】
(実施例2~4)
実施例2~4において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と比べて、違うところは、熱可塑性ポリマーナノファイバーと化学架橋剤の質量パーセントを変えることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明せず、具体的なパラメータは下記表1に示す。
【0043】
2つの油性水溶液を作る。一つの油性水溶液はn-ヘキサンを有し、もう一つの油性水溶液はドデカンを有し、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表1に示す。
【0044】
【0045】
表1から見れば、熱可塑性ポリマーナノファイバーの含有量は90~99%、化学架橋剤の含有量は1~10%になる場合、油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着する時、強い吸着性能が現れて、本発明により製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能が比較的によく、粒度分布が均一で、吸着性能も優れることが分かる。
【0046】
(実施例5~7)
実施例5~7において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と違うところは、本実施例の化学架橋剤はクエン酸を採用し、クエン酸の含有量を変えることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明せず、具体的なパラメータは下記表2に示す。
【0047】
2つの水溶液を作る。一つの水溶液はリゾチームを有し、もう一つの水溶液はウシ血清アルブミンを有し、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表2に示す。
【0048】
【0049】
表2から見れば、化学架橋剤のクエン酸含有量は1%~10%になる場合、製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は水溶液にあるリゾチームとウシ血清アルブミンに対して優れる吸着性能を有することが分かる。
【0050】
(実施例8~12)
実施例8~12において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と比べて、違うところは、工程S3に記載の遠心分離の時間及び回転速度を変えることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明せず、具体的なパラメータは下記表3に示す。
【0051】
2つの油性水溶液を作る。一つの油性水溶液はn-ヘキサンを有し、もう一つの油性水溶液はドデカンを有し、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表3に示す。
【0052】
【0053】
表3から見れば、遠心分離の時間は4~6min、回転速度は8000~12000r/minになる場合、油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着する時、強い吸着性能が現れて、本発明により製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能が比較的によく、粒度分布が均一で、吸着性能も優れることが分かる。
【0054】
(実施例13~15)
実施例13~15において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と比べて、違うところは、工程S4に記載の界面活性剤の含有量を変えることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明せず、具体的なパラメータは下記表4に示す。
【0055】
2つの油性水溶液を作る。一つの油性水溶液はn-ヘキサンを有し、もう一つの油性水溶液はドデカンを有し、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表4に示す。
【0056】
【0057】
表4から見れば、界面活性剤の含有量は0.05%~5%になる場合、油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着する時、強い吸着性能が現れて、本発明により製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能が比較的によく、粒度分布が均一で、吸着性能も優れることが分かる。
【0058】
(実施例16~18)
実施例16~18において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と比べて、違うところは、工程S4に記載の乳化機の乳化時間を変えることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明せず、具体的なパラメータは下記表5に示す。
【0059】
2つの油性水溶液を作る。一つの油性水溶液はn-ヘキサンを有し、もう一つの油性水溶液はドデカンを有し、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表5に示す。
【0060】
【0061】
表5から見れば、乳化機の乳化時間は10~20minになる場合、油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着する時、強い吸着性能が現れて、本発明により製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能が比較的によく、粒度分布が均一で、吸着性能も優れることが分かる。
【0062】
(実施例19~27)
実施例19~27において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と比べて、違うところは、工程S5に記載の凍結乾燥の温度と、凍結時間と乾燥時間を変えることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明せず、具体的なパラメータは下記表6に示す。
【0063】
濃度が異なっている銅イオン、クロムイオン及び油類を含む水溶液を作る。その中で、油性物質はn-ヘキサンとドデカンを含み、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表6に示す。
【0064】
【0065】
表6から見れば、凍結乾燥の温度は-80~-10、凍結時間は4~6h、乾燥時間は24~72hになる場合、油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着する時、強い吸着性能が現れて、本発明により製造してきたナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は性能が比較的によく、粒度分布が均一で、吸着性能も優れることが分かる。
【比較例1】
【0066】
比較例1において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と違うところは、本実施例では、化学架橋剤はクエン酸を採用し、クエン酸の含有量は0.5%に設定されることである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0067】
2つの水溶液を作る。一つの水溶液はリゾチームを有し、もう一つの水溶液はウシ血清アルブミンを有し、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表7に示す。
【比較例2】
【0068】
比較例2において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と比べて、違うところは、工程S3に遠心分離をしないことである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0069】
濃度が異なっている銅イオン、クロムイオン及び油類を含む水溶液を作る。その中で、油性物質はn-ヘキサンとドデカンを含み、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表7に示す。
【比較例3】
【0070】
比較例3において、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体の製造方法を提供する。実施例1と違うところは、工程S5に常温乾燥を採用することである。上記違うところ以外は、他はほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0071】
濃度が異なっている銅イオン、クロムイオン及び油類を含む水溶液を作る。その中で、油性物質はn-ヘキサンとドデカンを含み、上記溶液を量って吸着性能測定を行った結果は表7に示す。
【0072】
【0073】
実施例5~7と比較例1から見れば、クエン酸の含有量は比較的に低い場合、ナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体が水溶液にあるリゾチームとウシ血清アルブミンを吸着することによくない。実施例8~12と比較例2から見れば、遠心分離をしない場合、油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着する時、吸着性能は比較的に低い。実施例19~27と比較例3から見れば、凍結乾燥を行ったナノファイバー透かし彫ボール状スポンジ体は油性物質n-ヘキサンとドデカンを吸着することに、優れる吸着性能が現れる。
【0074】
(実施例28)
構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材の製造方法であって、それは以下の工程を含む。
【0075】
S1、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン) (PVA-co-PE)と酢酸酪酸セルロースを質量比20%:80%に基づいて均一に混合して、加工温度が180℃になる二軸押出機にて、抽出、ペレット化して、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)/酢酸酪酸セルロースの複合材を作る。
【0076】
続いて、前記ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)/酢酸酪酸セルロースの複合材に対して融解紡糸、牽引を行い、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)/酢酸酪酸セルロース複合繊維集積体を得る。その中で、前記融解紡糸の加工温度は200℃、牽引速度は20m/minに設定される。
【0077】
前記ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)/酢酸酪酸セルロース複合繊維集積体を60℃のアセトンにおいて72h回流させて、酢酸酪酸セルロースを抽出し、酢酸酪酸セルロースを抽出した複合繊維に対して空気乾燥を行い、直径が200nmに設定されるポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体を得る。
【0078】
S2、工程S1で得たポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体を水とアルコール(容積比は5:1)からなる混合溶剤に分散して(ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体の質量は前記混合溶剤質量の5%に設定される)、高速に分散して均一なポリマーナノファイバー分散液を得てから、遠心分離により分散液にある混合溶剤を取り除いて、分散後のポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノ単繊維を得る。ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体は水とアルコールからなる混合溶剤において分散してナノ単繊維に形成しやすく、遠心分離により溶剤を取り除く過程に、ナノ単繊維は基本的に現有の高分散状態を維持することができる。
【0079】
S3、工程2で得た前記ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノ単繊維を脱イオン水に分散して、グルタルアルデヒドを加えて、6h撹拌して予め架橋反応が起こり、予めポリマーナノファイバー懸濁液を得る。その中で、予めポリマーナノファイバー懸濁液の中で、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノ単繊維の質量分率は3%に設定され、前記架橋剤の容積分率は1%に設定される。
【0080】
S4、工程3で得た前記予めポリマーナノファイバー懸濁液にキトサン溶液を加えて、乳化後、機能化ナノファイバー懸濁液を得る。その中で、キトサンは機能化ナノファイバー懸濁液の質量全体の0.5%に設定される。
【0081】
S5、工程4で得た前記機能化ナノファイバー懸濁液を型に入れて、無指向性の凍結乾燥を行い(凍結温度は-40℃、凍結時間は5h、乾燥時間は30h)、イオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得る。
【0082】
図2に示すように、曲線(a)から見れば、単純なPVA-co-PEナノファイバー多孔質三次元分離材は3298cm
-1のところに伸縮吸収ピークが現れて、2941cm
-1と2906cm
-1のところは、脂肪族化合物C-Hの伸縮吸収ピークであり、1095cm
-1のところはCーC骨格振動の吸収ピークであることが分かる。曲線(e)から見れば、3276cm
-1の周りの広いピークはO-HとN-Hの伸縮振動混合吸収ピークであり、2935cm
-1のところは脂肪族化合物C-Hの伸縮振動吸収ピークであり、1062cm
-1のところはC-O-Cの伸縮振動吸収ピークであることが分かる。それでポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)と、キトサン及びグルタルアルデヒドの間は架橋反応が起こったことを説明し、1720cm
-1のところにカルボニル基吸収ピークを観察されないため、グルタルアルデヒドにあるアルデヒド基は完全に反応されたことを表明する。
【0083】
図3に示すように、本実施例により作ったイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材のミクロ構造は小球体状の秩序化した多孔質構造を呈する。
【0084】
(実施例29~38)
実施例29~38において、 構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を提供しており、実施例28と違うところは、表8に示すように、高分子電解質の種類、含有量及び凍結方式と凍結温度である。その他は実施例28とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0085】
図2に示すように、曲線(c)から見れば、純粋なポリエチレンイミン多孔質三次元分離材に対して、2935と2832cm
-1のところはCH
2の伸縮振動吸収ピークであり、1455cm
-1のところは、CH
2の面内曲げ振動吸収ピークであり、1650cm
-1と1581cm
-1のところは第一級アミンと第二級アミンのNH曲げ振動吸収ピークであり、1360cm
-1と1073cm
-1のところは第一級アミンと第二級アミンのC-N曲げ振動吸収ピークであることが分かる。曲線(f)から見れば、1641cm
-1のところに新しい吸収ピークが現れて、ポリエチレンイミンがグルタルアルデヒドと架橋した後形成したC=Nの伸縮振動と対応になっているのは、成功に架橋したことを説明する(実施例33)。
【0086】
【0087】
比表面積測定方法:比表面積測定装置(Micrometrics, ASPS2020, USA)を使って、サンプルが373K下でN2の吸着等温線を測定し、Brunauer-Emmett-Tellet(BET)式によりサンプルの比表面積を計算する。
【0088】
水流束測定方法:サイズが一定になるサンプルを浸透性測定装置に置いて、脱イオン水を流れ込んで、重力作用の下で、脱イオン水をサンプルに透過させて、1min内で、サンプルを透過した脱イオン水の容積を記録して、以下の公式により脱イオン水がサンプルを透過した単位面積当たりの水流束を算出する。
【0089】
【0090】
公式の中で、Jは純粋な水流束、L/(m2・h)である、Aは有効膜面積、m2であり、本測定では、Aは0.000314m2となり、Tは濾過時間、hであり、VはT時間内にサンプルを透過した濾液の容積である。
【0091】
吸着容量測定方法:0.2gの酵母RNA粉末を量って100ml、0.1MのTris-Hcl緩衝液を載せてあるビーカーに入れて、0.05gのサンプルをその中に入れて、封をしてからビーカーを振とう恒温水槽の中に置いて、30℃で150r/minの状態で24hを振とうする。超微量分光光度計を使って吸着前後溶液にあるRNAの濃度を測定し、以下の公式によりサンプルの吸着容量を算出する。
【0092】
【0093】
公式の中で、QはサンプルがRNAに対する吸着容量、mg/gであり、Coは溶液にあるRNAの初期濃度であり、Ctはサンプルが吸着した後、溶液にあるRNAの濃度であり、VはRNA溶液の容積である。
【0094】
【0095】
表9は実施例28~38の性能測定結果となり、
図3と合わせて見れば、キトサンの含有量は比較的に低い場合、無指向性凍結(実施例28)を採用して得た三次元分離材は小球体状秩序化した多孔質構造になり、また、キトサンはポリカチオン電解質に属するため、イオン交換性能を持っている。キトサンの含有量が変わらず、指向性凍結を行う場合(実施例29)、三次元分離材の多孔質構造は
図3(b)に示すような無秩序な構造になり、該無秩序な構造は蜂の巣状構造及びその中に嵌め込まれている球状多孔質構造からなっている。その比表面積、圧縮強度及び吸着容量は実施例28と比べて何れもアップした。キトサンの含有量は連続的に上げて且つ指向性凍結を行う場合、片状又は蜂の巣状秩序化した多孔質構造を得られる。その中で、蜂の巣状秩序化した多孔質構造は総合性能が一番よい。キトサンの含有量は比較的に高い場合、また、無指向性凍結を行う場合(実施例32)、
図3(e)に示すような無秩序な多孔質構造を得て、このような構造は吸着性能が比較的に悪い。
【0096】
高分子電解質の種類を変えることで多孔質構造及び吸着性能に対して調整することができて、更に異なるイオン交換式を持つ三次元分離材を得られる。
【0097】
(実施例39~41)
実施例39~41において、構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を提供しており、実施例28と比べて、違うところは、工程S1に記載のポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)をすべてポリアミド6に変え、工程S3に記載のグルタルアルデヒドをすべてクエン酸に変え、工程S3に記載のポリアミド6ナノ単繊維の質量分率は5%になり、工程S4に記載のキトサンをすべてアルギン酸ナトリウムに変えることである。その中で、キトサンの含有量と凍結方式及び凍結温度は表10に示す。その他は実施例28とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0098】
【比較例4】
【0099】
比較例4において、構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を提供しており、実施例28と比べて、違うところは、工程2が含まれていなく、即ち、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体に対して予め分散しないことである。
【比較例5】
【0100】
比較例5において、構造制御可能なイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を提供しており、実施例28と比べて、違うところは、工程S4にキトサンを追加しないことである。その他は実施例28とほぼ同じなので、ここで改めて説明しない。
【0101】
図2に示すように、曲線(d)から見れば、PVA-co-PEナノファイバー多孔質三次元分離材はグルタルアルデヒドによって架橋を行った後、1062cm
-1のところに、C-O-Cの伸縮振動吸収ピークが現れて、成功に架橋反応が起きたことを説明する。
【0102】
(比較例6~8)
比較例6~8において、イオン交換式三次元分離材を提供しており、その製造方法は以下の通りである。
【0103】
キトサン溶液にグルタルアルデヒドを加えて、乳化後、機能化溶液を得る。
【0104】
上記得た機能化溶液を型に入れて、指向性凍結乾燥を行って(凍結温度は-190℃、凍結時間は5h、乾燥時間は30h)、イオン交換式三次元分離材を得る。その中で、比較例6~8に、キトサンの含有量はそれぞれ0.5%、1.5%と3%に設定される。
【0105】
図2に示すように、曲線(b)から見れば、3700-3200cm
-1の広いピークはO-HとN-H伸縮振動混合吸収ピークであり、2977cm-1の周りの両ピークは-CH
3と-CH
2の伸縮振動吸収ピークであり、1075cm
-1のところはC-C骨格振動の吸収ピークであり、1641cm
-1のところに現れた吸収ピークはC=Nの伸縮振動と対応になっていることは、キトサンは架橋剤グルタルアルデヒドの作用で成功に架橋したことを表明する(比較例6)。
【0106】
【0107】
表11に示す実施例39~41の性能測定結果から見れば、架橋剤はクエン酸、高分子電解質はアルギン酸ナトリウムになる場合、凍結乾燥で架橋を行うと、多孔質構造が異なる陽イオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得られる。また、比表面積が大きくて、気孔率も比較的に高く、選択的にRNAを吸着することができるとともに、吸着容量は380mg/gまでに達する。比較例4から見れば、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体に対して予め分散しない場合、ポリ(ビニルアルコール-CO-エチレン)ナノファイバー集積体は水で単繊維に形成し難しく、最後得た三次元分離材の比表面積と気孔率は著しく下がって、圧縮強度と吸着性能もそれにつれて著しく下がった。比較例5から見れば、高分子電解質キトサンを添加しないで得た三次元分離材の構造は
図4(a)に示すように、無秩序な構造を呈し、その選択性的吸着性能も著しく下がって、RNA又はリゾチームを殆ど吸着することはできない。比較例6~8から見れば、キトサンだけによってグルタルアルデヒドと架橋を行うことで得た三次元分離材の比表面積と気孔率は著しく下がって、吸着性能もそれにつれて著しく下がった。ということで、本発明では、原材の成分について合理的に選択や設計し、また本発明の製造方法も合わせて、構造制御可能且つ多様化の三次元分離材を得られ、機能化吸着材の工業的応用に有効なルートを提供する。
【0108】
上記の通り、本発明は、ポリマーの溶解紡糸からナノファイバー骨格三次元分離材の成形まで完全な製造方法を提供する。予め架橋ナノファイバー懸濁液の成分や凍結方式を調整することで、ナノファイバー骨格三次元分離材のミクロ構造を調整する。予め架橋ナノファイバー懸濁液に含有量が異なる高分子電解質を加えると、構造が多様化で、強度と吸着量に優れるイオン交換式ナノファイバー骨格三次元分離材を得る。製造方法全体は操作しやすく、大規模な量産に適合するとともに、製品の性能も素晴らしく、構造が多様化で吸着性能が優れる三次元分離材を大量で高効率に製造するのに有効なルートを提供する。濾過、断熱、吸着材等の分野に広く用いられることができる。
【0109】
上記の実例の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎなく、それによって、本発明の保護範囲を制限してはいけない。本発明の原理から逸脱しない前提において、実施した改善又は修正は、いずれも本発明の保護範囲とみなすべきである。