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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】移動間仕切り壁構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/00 20060101AFI20230501BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20230501BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
E05D15/00 B
E05D15/06 125A
E04B2/74 561C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021136132
(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公開番号】P2023030800
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504374849
【氏名又は名称】株式会社泉陽商会
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】田井 博康
(72)【発明者】
【氏名】柿城 洋
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-195615(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010694(JP,U)
【文献】特開昭57-096183(JP,A)
【文献】特開2006-144293(JP,A)
【文献】特開2018-003404(JP,A)
【文献】特開2015-071855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/14
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガーレール(10)に沿って走行する吊車(20)に吊り下げられた複数の間仕切り壁(30)を備え、対面する第1室内面(1)と第2室内面(2)の間に複数の上記間仕切り壁(30)を平面視直列状に配設して室内空間(R0 )を間仕切りする移動間仕切り壁構造に於て、
上記ハンガーレール(10)は、
上記第1室内面(1)と第2室内面(2)に対して平面視垂直に結ぶように配設された間仕切り用幹線レール部(12)と、
上記第2室内面(2)から、上記間仕切り壁(30)の一枚の幅寸法(W0 )に略等しい寸法(W14)だけ離れた位置で、上記幹線レール部(12)から主分岐部(5)によってT字状に分岐する収納誘導レール部(14)と、
該収納誘導レール部(14)の途中からT字状に副分岐部(7)によって分岐して、上記第2室内面(2)に対して垂直に接近する収納用第1レール部(15)と、
該収納誘導レール部(14)の先端からL字状に折曲って、上記収納用第1レール部(15)と平行状として、上記第2室内面(2)に対して垂直に接近する収納用第2レール部(16)とを、
具備し、
さらに、上記間仕切り用幹線レール部(12)は、上記収納誘導レール部(14)が分岐するT字状主分岐部(5)の配設位置で、複数枚の間仕切り壁(30)を吊り下げ可能な本線レール部(12A)と、一枚の間仕切り壁(30)のみが吊り下げ可能な支線レール部(12B)とに、区画し
上記収納誘導レール部(14)が幹線レール部(12)からT字状に分岐する上記主分岐部(5)には、T字状の吊車方向変換用主ガイドブロック(6)が配設され、
上記収納用第1レール部(15)が上記収納誘導レール部(14)からT字状に分岐する副分岐部(7)には、L字状の吊車方向変換用副ガイドブロック(8)が配設されており、
全ての間仕切り壁(30)を平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、上記収納用第1レール部(15)と収納用第2レール部(16)に収納する際に、
上記支線レール部(12B)に吊り下げられた一枚のみの支線用間仕切り壁(30B)は、上記主分岐部(5)にて方向変換しつつ上記収納誘導レール部(14)に進入し、さらに、上記本線レール部(12A)に吊り下げられている残りの複数枚の本線用間仕切り壁(30A)は、上記主分岐部(5)にて順次方向変換しつつ上記収納誘導レール部(14)に進入し、さらに、収納用第1レール部(15)と収納用第2レール部(16)に、全ての間仕切り壁(30)を進入させて、重ね合せ状態に収納するよう構成し、
全ての間仕切り壁(30)を、平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、上記収納誘導レール部(14)に向かって、上記支線用間仕切り壁(30B)と本線用間仕切り壁(30A)の進行する各々の方向を前方と呼べば、
上記支線用間仕切り壁(30B)は支線前吊車(21)と支線後吊車(22)を、備え、
上記本線用間仕切り壁(30A)は本線前吊車(24)と本線後吊車(25)を、備え、
上記支線前吊車(21)には、上記副分岐部(7)の上記副ガイドブロック(8)の背面(8A)を素通りさせる被ガイド部材(9)が突出状に設けられ、
さらに、上記主ガイドブロック(6)には、上記支線前吊車(21)の突出状の上記被ガイド部材(9)が干渉するのを避ける通過許容パス溝(50)が、凹設されていることを特徴とする移動間仕切り壁構造。
【請求項2】
上記被ガイド部材(9)は、上方突出状の断面円形のピン(P 9 )から成り、
上記主ガイドブロック(6)の上記通過許容パス溝(50)は、底面視円弧状である
請求項1記載の移動間仕切り壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動間仕切り壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議室、展示室、各種式場等の室内空間を区画するための移動間仕切り壁構造は、下方開口状のスリット部を有する(天井側の)ハンガーレールと、スリット部にガイドされる下ローラを有すると共にハンガーレール内の方向変換用誘導部材にガイドされる上ローラを有する前吊車・後吊車と、その前吊車・後吊車に吊り下げられる間仕切り壁と、を備えていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、図15に示すように、従来のハンガーレール91は、平行状に対面する第1室内面96と第2室内面97を(平面視)直交状に連結する幹線レール部92と、この幹線レール部92の一方の端部92Aを直角に折曲げて第2室内面97に平行に、かつ、近接して設けた収納用第1レール部93と、この収納用第1レール部93と平行状に設けた収納用第2レール部94と、から構成されていた。
収納用レール部93,94には、2点鎖線で示すように複数の全間仕切り壁95…が重なり合うように収納される。また、室内を間仕切り状態とした全ての間仕切り壁95…は、図15に実線にて示したように、対面状の第1室内面96と第2室内面97の間を、平面視垂直状かつ直列状に、配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-42945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図15に示すように、収納空間98を形成するための収納用レール部93,94が配設される場所には、建物の(支)柱や収納棚、その他の物99が(2点鎖線をもって示すように)存在する場合が多く、図15に示す如く、収納用レール部93を、第2室内面97の近くに沿って、配設できないことがたびたび起こっている。
【0006】
そこで、本発明は、第2室内面97の近傍に、収納用レール部93を配置困難とする邪魔な物99が存在している状況下(図15参照)にあっても、収納空間98を確保したハンガーレールを配設できるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係る移動間仕切り壁構造は、ハンガーレールに沿って走行する吊車に吊り下げられた複数の間仕切り壁を備え、対面する第1室内面と第2室内面の間に複数の上記間仕切り壁を平面視直列状に配設して室内空間を間仕切りする移動間仕切り壁構造に於て;上記ハンガーレールは;上記第1室内面と第2室内面に対して平面視垂直に結ぶように配設された間仕切り用幹線レール部と;上記第2室内面から、上記間仕切り壁の一枚の幅寸法に略等しい寸法だけ離れた位置で、上記幹線レール部から主分岐部によってT字状に分岐する収納誘導レール部と;該収納誘導レール部の途中からT字状に副分岐部によって分岐して、上記第2室内面に対して垂直に接近する収納用第1レール部と;該収納誘導レール部の先端からL字状に折曲って、上記収納用第1レール部と平行状として、上記第2室内面に対して垂直に接近する収納用第2レール部とを;具備し;さらに、上記間仕切り用幹線レール部は、上記収納誘導レール部が分岐するT字状主分岐部の配設位置で、複数枚の間仕切り壁を吊り下げ可能な本線レール部と、一枚の間仕切り壁のみが吊り下げ可能な支線レール部とに、区画し;上記収納誘導レール部が幹線レール部からT字状に分岐する上記主分岐部には、T字状の吊車方向変換用主ガイドブロックが配設され;上記収納用第1レール部が上記収納誘導レール部からT字状に分岐する副分岐部には、L字状の吊車方向変換用副ガイドブロックが配設されており;全ての間仕切り壁を平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、上記収納用第1レール部と収納用第2レール部に収納する際に;上記支線レール部に吊り下げられた一枚のみの支線用間仕切り壁は、上記主分岐部にて方向変換しつつ上記収納誘導レール部に進入し、さらに、上記本線レール部に吊り下げられている残りの複数枚の本線用間仕切り壁は、上記主分岐部にて順次方向変換しつつ上記収納誘導レール部に進入し、さらに、収納用第1レール部と収納用第2レール部に、全ての間仕切り壁を進入させて、重ね合せ状態に収納するよう構成し;全ての間仕切り壁を、平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、上記収納誘導レール部に向かって、上記支線用間仕切り壁と本線用間仕切り壁の進行する方向を前方と呼べば;上記支線用間仕切り壁は支線前吊車と支線後吊車を、備え;上記本線用間仕切り壁は本線前吊車と本線後吊車を、備え;上記支線前吊車には、上記副分岐部の上記副ガイドブロックの背面を素通りさせる被ガイド部材が突出状に設けられ;さらに、上記主ガイドブロックには、上記支線前吊車の突出状の上記被ガイド部材が干渉するのを避ける通過許容パス溝が、凹設されている。
【0008】
また、上記被ガイド部材は、上方突出状の断面円形のピンから成り;上記主ガイドブロックの上記通過許容パス溝は、底面視円弧状である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2室内面から一枚の間仕切り壁の幅寸法だけ離れた範囲内に、邪魔となる物が存在していても、間仕切り壁を(収納空間に)収納可能となる。
しかも、全ての間仕切り壁を、収納空間に収納し、逆に、引出しすることが、スムーズに行うことができる。
かつ、第1室内面から第2室内面の全幅間を、全ての間仕切り壁によって美しく閉鎖(区画)できる。
【0010】
また、支線レール部に対応した一枚の(支線用)間仕切り壁は、残りの本線用間仕切り壁とは、逆方向に幹線レール部を走行するにかかわらず、スムーズに収納誘導レール部に進入して、容易・迅速な、収納空間への収納操作が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の一形態を示す断面平面図である。
図2】本発明の他の実施形態を示す断面平面図である。
図3図2の状態から、ほとんど全ての間仕切り壁を収納空間に収納した状態を示す断面平面図である。
図4】ハンガーレール、及び、主ガイドブロックと副ガイドブロック、及び、吊車を説明するための一部断面平面図である。
図5図4の要部拡大平面図である。
図6】支線前吊車が主ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は(a)の簡略Y-Y矢視図である。
図7】支線後吊車が主ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は(a)の簡略Y-Y矢視図である。
図8】本線前吊車が主ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は(a)の簡略Y-Y矢視図である。
図9】本線後吊車が主ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は(a)の簡略Y-Y矢視図である。
図10】支線前吊車が主ガイドブロックによって、順次、(i)→(ii)→(iii)→(iv)→(v)のように方向変換してゆく状態を説明する一部断面平面説明図である。
図11】支線後吊車が副ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は簡略正面図である。
図12】支線前吊車が副ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は簡略正面図である。
図13】本線前吊車が副ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は簡略正面図である。
図14】本線後吊車が副ガイドブロックにて方向変換中の図であって、(a)は簡略平面図、(b)は簡略正面図である。
図15】従来例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
図1に示した平面図に於て、R0 は区画前の室内空間を示し、1は第1室内面、2は第2室内面を示し、相互に平行に対面する。天井側に固設されたハンガーレール10に沿って走行する吊車20(図11図14参照)に吊り下げられた複数の間仕切り壁30…によって、元の広い室内空間R0 が第1室R1 と第2室R2 に区画(間仕切り)される。
【0013】
図1に実線をもって示したように、複数の間仕切り壁(間仕切りパネル)30は、平面視直列状に配設して、室内空間R0 を間仕切りする。図1では、具体的に4枚の間仕切り壁(パネル)30をもって、平面視、第1室内面1・第2室内面2に、垂直状として第1室R1 と第2室R2 に、区画している。
【0014】
ハンガーレール10の全体配置形状について説明すれば、第1室内面1と第2室内面2の各々に対して、平面視、垂直に結ぶように配設された間仕切り用幹線レール部12を、有する。
また、第2室内面2から、間仕切り壁(パネル)30の一枚の幅寸法W0 に略等しい寸法W14だけ離れた位置で、幹線レール部12から主分岐部5によって(平面視)T字状に分岐する収納誘導レール部14を、有する。
【0015】
また、収納誘導レール部14の途中からT字状に、副分岐部7によって分岐して、第2室内面2に対して垂直に接近する収納用第1レール部15を有すると共に、上記収納誘導レール部14の先端からL字状に(第2室内面2に対して垂直に接近するように)折曲って、上記収納用第1レール部15と平行状の第2レール部16とを、有する。
【0016】
相互に平行な第1レール部15と第2レール部16によって、図1に2点鎖線をもって示したように、全ての間仕切り壁(パネル)30…が重ね合せ状態に収納される。つまり、収納用第1レール部15と収納用第2レール部16によって、(第2室内面2寄りに)収納空間18が、形成されている。
【0017】
そして、図1から明らかなように、幹線レール部12は、収納誘導レール部14が分岐する前記主分岐部5の配設位置(点)で、複数枚(図1では3枚)の間仕切り壁30,30,30を吊り下げ可能な本線レール部12Aと、一枚の間仕切り壁30のみが吊り下げ可能な支線レール部12Bとに、区画される。
【0018】
言い換えれば、平面視、本線レール部12Aと支線レール部12Bは、真直な一本線を描くが、主分岐部5を境として、複数枚の間仕切り壁30,30,30用の本線レール部12Aと、一枚の間仕切り壁30用の支線レール部12Bに、区別される。
【0019】
なお、図1の平面図に於て、支線レール部12Bと収納誘導レール部14と収納用第1レール部15にて包囲された空間内に、建物自体の柱や、収納棚、その他の邪魔となる物99が、存在する場合であっても、全ての間仕切り壁30…は、その物99に干渉せずに、収納空間18への出し入れが自由に行うことができる。
【0020】
次に、図2図3に示す本発明の他の実施形態について以下説明する。
基本的には、図1と同一の符号は、同様の構成を示すが、最も相違する点は、第1室内面1と第2室内面2が凸部40,41を有する点にある。図例では建物の柱が室内空間R0 に突出状として存在し、しかも、全ての間仕切り壁30は、凸部40と凸部41の間に、直列状に配設されて、室内空間R0 を間仕切りする構成である。
【0021】
この図2図3が示すように、本発明にあっては、平行状に対面する第1室内面1と第2室内面2とは、凸部40,41の相互に平行に対面する部位の場合もあり得る。
また、図2からも判るように、幹線レール部12は、凸部40と凸部41を結ぶように配設される。
【0022】
また、(図1図3に示した)収納誘導レール部14が幹線レール部12からT字状に分岐する主分岐部5には、図4図5及び図6図9に示すように、T字状の吊車方向変換用主ガイドブロック6が配設されている。
さらに、収納用第1レール部15が収納誘導レール部14からT字状に分岐する副分岐部7には、L字状の吊車方向変換用副ガイドブロック8が、配設されている。
【0023】
そして、図1又は図2に示すように、全ての間仕切り壁30…を平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、(収納空間18の)収納用第1レール部15と収納用第2レール部16に収納する際に、(上述した)支線レール部12Bに吊り下げられた一枚のみの支線用間仕切り壁30Bは、上記主分岐部5にて方向変換しつつ収納誘導レール部14に進入し、さらに、本線レール部12Aに吊り下げられている残りの複数枚の本線用間仕切り壁30Aは、上記主分岐部5にて、順次方向変換しつつ上記収納誘導レール部14に進入する(図1図3参照)。
【0024】
その後、収納用第1レール部15と収納用第2レール部16に、全ての間仕切り壁30…を進入させて、重ね合せ状態に収納する。なお、図3に於て、最後の間仕切り壁30Aが主分岐部5から収納誘導レール部14に進入中であるが、その後、間もなく全てが重ね合せ状態に収納されることを、示している。
【0025】
そして、本発明の説明において、全ての間仕切り壁30の完全間仕切り状態から、収納誘導レール部14に向かって、支線用間仕切り壁30Bと本線用間仕切り壁30Aの進行する各々の方向を、「前方」と呼べば(定義すれば)、支線用間仕切り壁30Bの前・後の吊車20,20は、支線前吊車21・支線後吊車22と呼ぶことができる。かつ、本線用間仕切り壁30Aの前・後の吊車20,20は、本線前吊車24・本線後吊車25と呼ぶことができる。
【0026】
そして、支線前吊車21には、副分岐部7の副ガイドブロック8の背面8A(図4図12参照)を矢印Y8 のように素通りする被ガイド部材9が、突出状に設けられている。具体的には、この被ガイド部材9は、図6図12に示すような細径の丸棒材を鉛直上方へ突設させている。即ち、被ガイド部材9は、上方突出状の断面円形のピンP9 から成る。また、支線前吊車21は左右各々に2個のローラ26,26を有するが、2個のローラ26,26の間隙部に、細径丸棒材の被ガイド部材9が、コンパクトに配設されている(図12参照)。
【0027】
ところで、支線前吊車21は、図1図3に示したレール10の配置、及び、収納空間18への誘導から判断すれば明らかとなるように、副分岐部7(副ガイドブロック8)をストレート状に(矢印Y8 のように)通過(素通り)する必要がある。従って、前述の被ガイド部材9が支線前吊車21には必須となる。
【0028】
そして、主ガイドブロック6には、図4図5図6及び図10に示すように、上述の支線前吊車21の突出状の被ガイド部材9が、干渉せずに通過させるために、通過許容パス溝50が、下方開口状に形成されている。
【0029】
かつ、この通過許容パス溝50は、平面視円弧状とするのが望ましい。溝幅が小さくでき、円滑に被ガイド部材9が(誘導されつつ)通過できる。図10に示すように、被ガイド部材9が、順次、(i)→(ii)→(iii)→(iv)→(v)のようにパス溝50を通過してゆき、支線前吊車21が90°方向変換してゆく。上ローラ45,45は、円弧凹部29にガイドされている。
【0030】
主ガイドブロック6は、平面視略T字状であるが、(さらに具体的には、)左右対称形の円弧凹部28,29を有する略T字状である。
主ガイドブロック6の一方の円弧凹部28は、図8に示すように、本線前吊車24の前後2個の上ローラ42,42が90°方向変換させるための誘導を行う。
【0031】
この本線前吊車24も、(図12に示した被ガイド部材9と同じ作用を行う)被ガイド部材31を上方突出状に有する。
しかしながら、支線前吊車21の被ガイド部材9用の通過許容パス溝50のようなパス溝を必要としない。つまり、図8から明らかなように、(平面的に見て)この被ガイド部材31は、主ガイドブロック6を横切らないからである。
【0032】
また、図13に示したように、本線前吊車24の被ガイド部材31は、副分岐部7の副ガイドブロック8に対して、背面8Aに沿って矢印Y8 のようにストレート状に通過する。
このように、本線前吊車24及び支線前吊車21は、矢印Y8 のように、副ガイドブロック8の有る副分岐部7を、通過し、(図1図3図4に示した)収納誘導レール部14の先端のアール部17にて90°方向変換しつつ収納用第2レール部16に進入する。
【0033】
次に、支線後吊車22について説明すると、図7図11に示すように、上下に多くのローラを積重ねて成る上ローラ43を備えている。まず、主ガイドブロック6に対しては、一方の円弧凹部29に誘導されつつ、(図4図5に示した)支線レール部12Bから収納誘導レール部14に進入する。
【0034】
さらに、副ガイドブロック8に対しては、図11に示すように、上ローラ43,43は、(副ガイドブロック8の2段のブロックの上方のガイドブロックにて)90°方向変換されて、矢印X方向に走行する(収納誘導レール部14に進入する)。
【0035】
次に、本線後吊車25について説明すると、図9図14に示すように、上下に3段のローラを積重ねて成る上ローラ44を備えている。まず、主ガイドブロック6に対しては、他方の円弧凹部28に誘導されつつ、(図4図5に示した)本線レール部12Aから収納誘導レール部14に進入する。
【0036】
さらに、副ガイドブロック8に対しては、図14に示すように、上ローラ44,44は、(副ガイドブロック8の2段のブロックの下方のガイドブロックにて)90°方向変換されて、矢印X方向に走行する(収納用第1レール部15に進入する)。
【0037】
なお、間仕切り壁30の内の一枚(特に、支線用間仕切り壁30B)については、ガススプリングやその他弾発部材を内蔵して、幅寸法を弾発的に僅かに減少復元するように構成するも望ましい(図示省略)。そのようにすれば、全ての間仕切り壁30を平面視直列状に配設した完全間仕切り状態に於て、隣り合った間仕切り壁30,30の間に間隙が生じず、光が完全に遮断されて、完全な間仕切り状態とできる。しかも、上記の完全間仕切り状態(図1図2の実線参照)から、間仕切り壁を図1又は図2の矢印Nのように、最初に動かす作動が、円滑(スムーズ)となる。
【0038】
本発明は、以上詳述したように、ハンガーレール10に沿って走行する吊車20に吊り下げられた複数の間仕切り壁30を備え、対面する第1室内面1と第2室内面2の間に複数の上記間仕切り壁30を平面視直列状に配設して室内空間R0 を間仕切りする移動間仕切り壁構造に於て;上記ハンガーレール10は;上記第1室内面1と第2室内面2に対して平面視垂直に結ぶように配設された間仕切り用幹線レール部12と;上記第2室内面2から、上記間仕切り壁30の一枚の幅寸法W0 に略等しい寸法W14だけ離れた位置で、上記幹線レール部12から主分岐部5によってT字状に分岐する収納誘導レール部14と;該収納誘導レール部14の途中からT字状に副分岐部7によって分岐して、上記第2室内面2に対して垂直に接近する収納用第1レール部15と;該収納誘導レール部14の先端からL字状に折曲って、上記収納用第1レール部15と平行状として、上記第2室内面2に対して垂直に接近する収納用第2レール部16とを;具備し;さらに、上記間仕切り用幹線レール部12は、上記収納誘導レール部14が分岐するT字状主分岐部5の配設位置で、複数枚の間仕切り壁30を吊り下げ可能な本線レール部12Aと、一枚の間仕切り壁30のみが吊り下げ可能な支線レール部12Bとに、区画した構成であるので、(図1に示した)邪魔な物99が第2室内面2寄りに存在しているような状況であっても、収納空間18に、全ての間仕切り壁30をスムーズに、収納することが、できる。
さらに、第1室R1 と第2室R2 とを、両室内面1,2に対して、空隙無しに、完全に遮断して、見映えが良く、高級感のある間仕切りが可能である。また、間仕切り幹線レール部12は、平面視、一本線状で済み、天井側への配設工事も容易かつ迅速となる利点もある。
【0039】
また、上記収納誘導レール部14が幹線レール部12からT字状に分岐する上記主分岐部5には、T字状の吊車方向変換用主ガイドブロック6が配設され;上記収納用第1レール部15が上記収納誘導レール部14からT字状に分岐する副分岐部7には、L字状の吊車方向変換用副ガイドブロック8が配設されているので、ハンガーレール10の配設形状が最もシンプル化できて、天井側への配設工事が、一層、容易となる。また、ハンガーレール10の必要な全長を短くできる。
【0040】
また、全ての間仕切り壁30を平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、上記収納用第1レール部15と収納用第2レール部16に収納する際に;上記支線レール部12Bに吊り下げられた一枚のみの支線用間仕切り壁30Bは、上記主分岐部5にて方向変換しつつ上記収納誘導レール部14に進入し、さらに、上記本線レール部12Aに吊り下げられている残りの複数枚の本線用間仕切り壁30Aは、上記主分岐部5にて順次方向変換しつつ上記収納誘導レール部14に進入し、さらに、収納用第1レール部15と収納用第2レール部16に、全ての間仕切り壁30を進入させて、重ね合せ状態に収納するよう構成したので、完全間仕切り状態から、(従来は想到されなかったような)一枚の支線用間仕切り壁30Bを、逆走させつつ収納誘導レール部14に進入して、巧妙に、全ての間仕切り壁30B,30Aをコンパクトに(重ね合せ状態に)収納できる。
【0041】
また、全ての間仕切り壁30を、平面視直列状に配設した完全間仕切り状態から、上記収納誘導レール部14に向かって、上記支線用間仕切り壁30Bと本線用間仕切り壁30Aの進行する各々の方向を前方と呼べば;上記支線用間仕切り壁30Bは支線前吊車21と支線後吊車22を、備え;上記本線用間仕切り壁30Aは本線前吊車24と本線後吊車25を、備え;上記支線前吊車21には、上記副分岐部7の上記副ガイドブロック8の背面8Aを素通りさせる被ガイド部材9が突出状に設けられ;さらに、上記主ガイドブロック6には、上記支線前吊車21の突出状の上記被ガイド部材9が干渉するのを避ける通過許容パス溝50が、凹設されているので、(逆走させる)支線用間仕切り壁30Bが、収納誘導レール部14に進入することが可能となる。
【0042】
また、上記被ガイド部材9は、上方突出状の断面円形のピンP9 から成り;上記主ガイドブロック6の上記通過許容パス溝50は、底面視円弧状であるので、ピンP9 はパス溝50を、円滑に通過できる。これによって、一枚の支線用間仕切り壁30Bを(矢印Nのように)逆走させることを、実現できた。
【符号の説明】
【0043】
1 第1室内面
2 第2室内面
5 主分岐部
6 主ガイドブロック
7 副分岐部
8 副ガイドブロック
8A 背面
9 被ガイド部材
10 ハンガーレール
12 幹線レール部
12A 本線レール部
12B 支線レール部
14 収納誘導レール部
15 収納用第1レール部
16 収納用第2レール部
20 吊車
21 支線前吊車
22 支線後吊車
24 本線前吊車
25 本線後吊車
30 間仕切り壁
30A 本線用間仕切り壁
30B 支線用間仕切り壁
50 通過許容パス溝
9 ピン
0 室内空間
0 幅寸法
14 寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15