(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】外部寄生虫による皮膚疾患を治療し抗菌する機能を有するペット用シャンプー及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20230501BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230501BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/085 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/415 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/4174 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230501BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230501BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230501BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230501BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230501BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230501BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230501BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20230501BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/60
A61K31/085
A61K31/14
A61K31/155
A61K31/415
A61K31/4164
A61K31/4174
A61K31/4196
A61K31/496
A61K47/18
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61P31/04
A61P31/10
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2021562347
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 CN2020141173
(87)【国際公開番号】W WO2022110487
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】202011360709.4
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521049481
【氏名又は名称】佛山市南海東方澳龍製薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】Eastern Along Pharmaceutical CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Technology Middle Road,SonggangSongxia Industrial Park,Shishan Town,Nanhai District,Foshan City,Guangdong Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】焦 暁軍
(72)【発明者】
【氏名】辜 質純
(72)【発明者】
【氏名】崔 興龍
(72)【発明者】
【氏名】徐 奇清
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108926532(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106176317(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108524499(CN,A)
【文献】特表2002-502364(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102492574(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105686963(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第00854182(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
A61P 1/00-43/00
A61K 31/00-31/80
A61K 47/00-47/69
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部寄生虫による皮膚疾患を治療し抗菌する機能を有するペットシャンプーであって、
合計質量部を100部とし、0.1~2部のフィプロニル、1~5部の抗真菌剤
、1~5部の抗細菌剤、5~15部のアルキルグルコシド、20~30部のコカミドプロピルベタイン、2~10部のドデシルジメチルアミンオキシド、1~10部の増粘剤、0.1~2部のキレート化剤、0.1~5部のコンディショナー、0.01~1部の防腐剤、
前記抗真菌剤は、ケトコナゾール、エコナゾール硝酸塩、ミコナゾール硝酸塩、クロトリマゾール、フルコナゾールの1種又は複数種である、
前記抗細菌剤は、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、二酢酸クロルヘキシジン水和物、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、ポリヘキサメチレンビグアニドの1種又は複数種である、
前記コンディショナーは、セトリモニウムクロリド、水溶性ラノリン、アミノシリコーンオイル、アミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンのうちの1種又は複数種である、
前記防腐剤は、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、イソチアゾリノンのうちの1種又は複数種である、残部の脱イオン水を含む、
ことを特徴とするペットシャンプー。
【請求項2】
合計質量部を100部とし、0.2~2部のフィプロニル、1~3部の抗真菌剤、1~3部の抗細菌剤、6~15部のアルキルグルコシド、20~30部のコカミドプロピルベタイン、6~10部のドデシルジメチルアミンオキシド、1~5部の増粘剤、0.1~1部のキレート化剤、0.1~1部のコンディショナー、0.01~0.125部の防腐剤、残部の脱イオン水を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のペットシャンプー。
【請求項3】
前記アルキルグルコシド、コカミドプロピルベタインとドデシルジメチルアミンオキシドとの質量比は、10~15:20~30:10である、ことを特徴とする請求項1に記載のペットシャンプー。
【請求項4】
前記増粘剤は、セテアリルグルコシド、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン
、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載のペットシャンプー。
【請求項5】
前記キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載のペットシャンプー。
【請求項6】
まず、シャンプーの合計体積の35%に占める脱イオン水を60~80℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、抗真菌剤を加え、60~80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、抗真菌剤が十分に溶解してからコンディショナーを加え、コンディショナーが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)で加熱を停止させた後、キレート化剤を加えて撹拌して溶解し、40~50℃まで冷却するとき、抗細菌剤を加え撹拌して溶解し、抗細菌剤が完全に溶解した後に、増粘剤を加えて撹拌して溶解し、増粘剤が完全に溶解した後に、防腐剤及び残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌して得られるステップ(2)とを含む、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載のペットシャンプーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの日用化粧品洗浄剤の分野に関し、具体的には、外部寄生虫による皮膚疾患を治療し抗菌する機能を有するペット用シャンプー及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犬と猫の皮膚疾患は、最も一般的な臨床疾患の1つである。ペット皮膚疾患は頻繁に発生し、ペットの皮膚のかゆみ、脱毛、発赤、腫れ、痂皮などを引き起こし、有害で発生率が高くなる。ペット皮膚疾患には多くの種類があり、寄生虫性皮膚疾患や真菌性皮膚疾患が最も一般的である。ペットの犬の寄生虫性皮膚疾患には、主にニキビダニ、疥癬、イエダニに起因する皮膚疾患、ノミ、シラミ、マダニの咬傷による皮膚炎、犬糸状虫の幼虫による皮膚炎、犬糸状虫によるミクロフィラリア皮膚炎などがある。ニキビダニ、裂傷、創傷、火傷、または皮膚炎による二次感染は、ペットの細菌性皮膚疾患の膿皮症を引き起こすことがある。真菌感染によって引き起こされる皮膚疾患も、特に暑くて雨の多い夏の季節にかなりの割合を占める。この病気の原因は複雑で、診断が難しく、治療が難しく、再発率が高い。ペットの過度の集中的な繁殖、抗生物質の乱用、不当な栄養摂取、ペットへの人間のシャンプーの乱用はすべて、犬皮膚真菌病の発生率の増加に寄与する要因である。
【0003】
ほとんどのペットの皮膚疾患は裸眼で観察することにより決めることができ、局所的なペットの皮膚の問題については、シャンプー療法はアレルゲンと微生物を減らし、刺激を減らし、感染を排除し、それによって正常な皮膚表面の微小環境を回復し、ペットの毛を柔らかく、艶があり、櫛が通りやすくなる。公開番号CN108553335Aの中国発明特許は、ペット皮膚疾患を予防して治療する機能を備えた薬用シャンプー及びその調製方法を提供し、真菌感染、細菌感染及び真菌と細菌混合感染型のペット皮膚疾患に対して良好な治療効果を有するが、寄生虫性皮膚疾患に対しては、よい治療効果がない。
【0004】
フィプロニルは、新規フェニルピラゾール殺虫剤であり、犬、猫などのペットの外部寄生虫を撃退するのに適した薬であり、広域スペクトルと高効率の特性を持ち、複数の農業分野に広く使用されており、重要な殺虫剤である一方、フィプロニルは水に溶けにくく、アセトンなどの有機溶剤に溶けやすく、「化粧品の安全技術仕様書」によると、アセトンなどの有機溶剤は、化粧品及びペットシャンプーに用いることができない。従って、如何に効果的にフィプロニルをシャンプー系に溶解し、系が安定し、粘度が好ましく、殺虫性、抗真菌性、抗細菌性を備えたペットシャンプーを調製するかは、一般的なペットの体表寄生虫性皮膚疾患、細菌性皮膚疾患及び真菌性皮膚疾患の予防と治療に対して高い必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外部寄生虫による皮膚疾患を治療し抗菌する機能を有するペットシャンプー及び製造方法を提供することを目的とする。シャンプーは、殺虫成分のフィプロニルが添加され、特定の界面活性剤の複合系により、フィプロニルが溶けにくい問題を解決し、界面活性剤の複合系は、増粘及び発泡・整泡の効果を果たす。また、特定のアミノ酸増粘剤により、アニオンシャンプー系を増粘することにより、良好な増粘効果を果たし、シャンプー系が好ましい粘度に達することができ、製品が安定し、フィプロニル、抗真菌剤、抗細菌剤の3種の成分を複合することにより、一般的なペット体表寄生虫性、細菌性及び真菌性皮膚疾患を効果的に予防して治療することができる。
【0006】
本発明の主要な目的は、外部寄生虫による皮膚疾患を治療し抗菌する機能を有するペットシャンプーを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記ペットシャンプーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の技術的解決手段により実現される。
本発明は、外部寄生虫による皮膚疾患を治療し抗菌する機能を有するペットシャンプーを提供し、ペットシャンプーは、合計質量部を100部とし、0.1~2部のフィプロニル、1~5部の抗真菌剤、1~5部の抗細菌剤、5~15部のアルキルグルコシド(APG)、20~30部のコカミドプロピルベタイン(CAB)、2~10部のドデシルジメチルアミンオキシド(OB-2)、1~10部の増粘剤、0.1~2部のキレート化剤、0.1~5部のコンディショナー、0.01~1部の防腐剤、残部の脱イオン水を含む。
【0009】
本発明に係るペットシャンプーでは、フィプロニルは、防虫剤として、ペットの体表のノミ及びダニを効果的に撃退し、寄生虫の感染を治療することができる一方、フィプロニルは、水に溶けにくいが、アセトンなどの有機溶剤に溶けやすく、「化粧品の安全技術仕様書」によると、アセトンなどの有機溶剤は、化粧品及びペットシャンプーに用いることができない。本発明の特定の界面活性剤の複合系、すなわち、アルキルグリコシド(APG)、コカミドプロピルベタイン(CAB)及びドデシルジメチルアミンオキシド(OB-2)の3種の界面活性剤の複合は、いずれもシャンプー系に用いることができる。ペット用の防虫剤のフィプロニルは水に溶けにくいが、アセトンなどのペットの皮膚に有害な有機溶剤には溶け、これらの有機溶剤をペットシャンプー系に添加することはできないため、本発明は、ペットシャンプーに適用できる無毒性の革新的な界面活性剤複合処方を提供し、フィプロニルを溶解することにより、フィプロニルが溶けにくい問題を解決するだけでなく、シャンプー系の発泡と整泡の問題も解決する。
【0010】
シャンプー中の抗菌成分は、優れた抗細菌感染及び抗真菌感染の作用を有し、寄生虫による二次感染を防ぐ。本発明は、防虫剤、抗真菌剤、抗細菌剤の3種の成分を複合することにより、一般的なペットの体表寄生虫性皮膚疾患、細菌性皮膚疾患及び真菌性皮膚疾患を効果的に予防して治療できる。
【0011】
好ましくは、前記ペットシャンプーは、合計質量部を100部とし、0.2~2部のフィプロニル、1~3部の抗真菌剤、1~3部の抗細菌剤、6~15部のアルキルグルコシド、20~30部のコカミドプロピルベタイン、6~10部のドデシルジメチルアミンオキシド、1~5部の増粘剤、0.1~1部のキレート化剤、0.1~1部のコンディショナー、0.01~0.125部の防腐剤、残部の脱イオン水を含む。
【0012】
好ましくは、前記アルキルグリコシドとコカミドプロピルベタインとドデシルジメチルアミンオキシドとの質量比は、10~15:20~30:10である。該複合比率で、フィプロニル防虫剤に迅速かつ完全に溶解できる。
【0013】
好ましくは、前記増粘剤は、セテアリルグルコシド、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(SF-1)、増粘剤-SCC68、脂肪アルコールポリグリコールエーテル(VD-92)、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース(DOE-120)の1種又は複数種である。
【0014】
さらに好ましくは、前記増粘剤は、DOE-120、VD-92又は増粘剤-SCC68のうちの1種又は複数種である。
【0015】
シャンプー系は一般的に、アニオン系であるが、処方に添加される抗細菌剤、コンディショナーは、カチオン界面活性剤であるため、シャンプー系の増粘が困難である問題が引き起こされる。一般的な高分子ポリマー系増粘剤を使用すると、高温で変色しやすく、低温でゼリー状になりやすく、界面活性剤の泡の豊富さを抑制し、洗浄するとき、肌の感触が高分子原料の影響を受け、具体的には、ベタベタとし、清潔ではなく、残留感が強く、光照粘度が低下するなどの問題として表れる。従って、上記の問題を克服するために、本発明は、特定のアミノ酸増粘剤を選択することによりシャンプーを増粘し、良好な増粘効果を達成することができ、溶液が透明であり、シャンプー系をより安定させることができる。
【0016】
好ましくは、前記抗真菌剤は、ケトコナゾール、エコナゾール硝酸塩、ミコナゾール硝酸塩、クロトリマゾール、フルコナゾールの1種又は複数種である。
【0017】
好ましくは、前記抗細菌剤は、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、二酢酸クロルヘキシジン水和物、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、ポリヘキサメチレンビグアニドの1種又は複数種である。
【0018】
好ましくは、前記キレート化剤は、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1種又は複数種である。
【0019】
好ましくは、前記コンディショナーは、セトリモニウムクロリド(1631)、水溶性ラノリン、アミノシリコーンオイル、アミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンのうちの1種又は複数種である。
【0020】
好ましくは、前記防腐剤は、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、イソチアゾリノンのうちの1種又は複数種である。
【0021】
本発明は、上記ペットシャンプーの製造方法をさらに提供し、前記方法は、
まず、シャンプーの合計体積の35%に占める脱イオン水を60~80℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、抗真菌剤を加え、60~80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、抗真菌剤が十分に溶解してからコンディショナーを加え、コンディショナーが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)で加熱を停止させた後、キレート化剤を加えて撹拌して溶解し、40~50℃まで冷却するとき、抗細菌剤を加え撹拌して溶解し、抗細菌剤が完全に溶解した後に、増粘剤を加えて撹拌して溶解し、増粘剤が完全に溶解した後に、防腐剤及び残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌して得られるステップ(2)とを含む。
【0022】
好ましくは、ステップ(1)では、脱イオン水を70~80℃に加熱する。
【0023】
本発明の研究により、製造プロセスは、フィプロニルの溶解効果に明らかな影響を与えることを見出し、例えば、ステップ(1)でのアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、及びコンディショナーの各原料の添加順序が任意的ではなく、まずアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン、及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解した後、順にフィプロニル、抗真菌剤及びコンディショナーを加えた後、フィプロニルの溶解を加速し、粘度が高くなる。また、加熱温度は、フィプロニル溶解にも明らかな影響を与え、フィプロニルは、加熱温度が30℃以下の場合、全く溶解せず、加熱温度が70~80℃の場合、溶解時間が短いだけではなく、シャンプー粘度が高い。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーは、製造プロセスがシンプルであり、操作可能性が高い。
【0025】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
(1)本発明のペットシャンプーに、アルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドという安全で毒性のない特定の界面活性剤処方を添加することにより、フィプロニルが溶けにくい問題を解決するだけでなく、シャンプー系の発泡・整泡能力を高める。
【0026】
(2)特定のアミノ酸増粘剤によりシャンプー系を増粘することにより、良好な増粘効果を達成でき、溶液が透明であり、製造されたペットシャンプーが繰り返し凍結-融解試験においても良好な安定性を有し、アニオンシャンプー系が増粘しにくい問題を克服する。
【0027】
(3)本発明のペットシャンプーは、フィプロニル、抗真菌剤、抗細菌剤の3種の成分を複合することにより、ペットの体表寄生虫性皮膚疾患、細菌性皮膚疾患及び真菌性皮膚疾患を予防して治療する目的を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、特定の実施形態と併せて以下でさらに説明されるが、実施形態は、いかなる形態においても本発明を限定するものではない。特に明記しない限り、本発明で使用される試薬、方法および装置は、本技術分野における従来の試薬、方法および装置である。
【0029】
特に明記しない限り、以下の例で使用される試薬および材料はすべて市販されている。
【0030】
実施例1 ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプー
本実施例は、ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーを100g提供し、以下の重量部の各成分からなった。
フィプロニル2g、ケトコナゾール1g、臭化ベンザルコニウム1g、アルキルグルコシド(APG)6g、コカミドプロピルベタイン(CAB)25g、ドデシルジメチルアミンオキシド6g、セテアリルグルコシド1g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA-2Na)0.1g、アミノシリコーンオイルマイクロエマルジョン0.1g、ソルビン酸カリウム0.01g、脱イオン水 残部。
【0031】
上記抗菌機能を有する動物シャンプーの製造方法は、
ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、60℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、ケトコナゾールを加え、70℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、ケトコナゾールが十分に溶解した後に、アミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンを加え、アミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、EDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40℃まで冷却するとき、臭化ベンザルコニウムを加えて撹拌して溶解し、臭化ベンザルコニウムが完全に溶解した後に、セテアリルグルコシドを加えて撹拌して溶解し、セテアリルグルコシドが完全に溶解した後に、ソルビン酸カリウム及び残部の脱イオン水を加えて、均一に撹拌した後、分注して保存するステップ(2)とを含んだ。
【0032】
実施例2 ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプー
本実施例は、ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーを100g提供し、以下の重量部の各成分からなった。
フィプロニル1g、ミコナゾール硝酸塩3g、二酢酸クロルヘキシジン水和物3g、アルキルグルコシド(APG)15g、コカミドプロピルベタイン(CAB)20g、ドデシルジメチルアミンオキシド10g、脂肪アルコールポリグリコールエーテル(VD-92)5g、EDTA 1g、水溶性ラノリン1g、安息香酸ナトリウム0.125g、脱イオン水 残部。
【0033】
上記抗菌機能を有する動物シャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、70℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、ミコナゾール硝酸塩を加えて、70℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、ミコナゾール硝酸塩が十分に溶解した後に、水溶性ラノリンを加え、水溶性ラノリンが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、EDTAを加えて撹拌して溶解し、40℃まで冷却するとき、二酢酸クロルヘキシジン水和物を加えて撹拌して溶解し、二酢酸クロルヘキシジン水和物が完全に溶解した後に、脂肪アルコールポリグリコールエーテル(VD-92)を加えて撹拌して溶解し、脂肪アルコールポリグリコールエーテルが完全に溶解した後に、安息香酸ナトリウムを加え、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存するステップ(2)とを含んだ。
【0034】
実施例3 ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプー
本実施例は、ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーを100g提供し、以下の重量部の各成分からなった。
フィプロニル0.2g、エコナゾール硝酸塩2g、グルコン酸クロルヘキシジン2g、アルキルグルコシド(APG)10g、コカミドプロピルベタイン(CAB)30g、ドデシルジメチルアミンオキシド10g、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース(DOE-120)1.5g、EDTA-2Na 0.1g、セトリモニウムクロリド0.5g、イソチアゾリノン 0.01g、脱イオン水 残部。
【0035】
上記抗菌機能を有する動物シャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、80℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、エコナゾール硝酸塩を加えて、80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、エコナゾール硝酸塩が十分に溶解した後に、セトリモニウムクロリドを加え、セトリモニウムクロリドが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、EDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40℃まで冷却するとき、グルコン酸クロルヘキシジンを加えて撹拌して溶解し、グルコン酸クロルヘキシジンが完全に溶解した後に、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、イソチアゾリノンを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存するステップ(2)とを含んだ。
【0036】
実施例4 ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプー
本実施例は、ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーを100g提供し、以下の重量部の各成分からなった。
フィプロニル0.5g、クロトリマゾール2g、トリクロサン1g、アルキルグルコシド(APG)5g、コカミドプロピルベタイン(CAB)20g、ドデシルジメチルアミンオキシド10g、増粘剤-SCC68 1g、EDTA 0.1g、アミノシリコーンオイル0.1g、デヒドロ酢酸ナトリウム0.01g、脱イオン水 残部。
【0037】
上記抗菌機能を有する動物シャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、70℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、クロトリマゾールを加えて、70℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、クロトリマゾールが十分に溶解した後に、アミノシリコーンオイルを加え、アミノシリコーンオイルが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、EDTAを加えて撹拌して溶解し、50℃まで冷却するとき、トリクロサンを加えて撹拌して溶解し、トリクロサンが完全に溶解した後に、増粘剤-SCC68を加えて撹拌して溶解し、増粘剤-SCC68が完全に溶解した後に、デヒドロ酢酸ナトリウムを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存するステップ(2)とを含んだ。
【0038】
実施例5 ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプー
本実施例は、ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーを100g提供し、以下の重量部の各成分からなった。
フィプロニル0.1g、フルコナゾール1g、ポリヘキサメチレンビグアニド1g、アルキルグルコシド(APG)5g、コカミドプロピルベタイン(CAB)20g、ドデシルジメチルアミンオキシド8g、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 1g、EDTA-2Na 0.1g、セトリモニウムクロリド1g、イソチアゾリノン0.01g、脱イオン水 残部。
【0039】
上記抗菌機能を有する動物シャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、80℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、フルコナゾールを加えて、80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、フルコナゾールが十分に溶解した後に、セトリモニウムクロリドを加え、セトリモニウムクロリドが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、EDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、50℃まで冷却するとき、ポリヘキサメチレンビグアニドを加えて撹拌して溶解し、ポリヘキサメチレンビグアニドが完全に溶解した後に、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを加えて撹拌して溶解し、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンが完全に溶解した後に、イソチアゾリノンを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存するステップ(2)とを含んだ。
【0040】
実施例6 フィプロニル溶剤スクリーニング
防虫剤のフィプロニルは水に溶けにくいが、アセトンなどペットの皮膚に有害な有機溶剤には溶け、これらの有機溶剤をペットシャンプー系に添加することはできないため、本発明は、ペットシャンプーに適用できる無毒性の革新的な界面活性剤複合処方を提供し、フィプロニルを溶解することにより、フィプロニルが溶けにくい問題を解決するだけでなく、シャンプー系の発泡と整泡の問題も解決した。
【0041】
1、フィプロニルを溶解させる単一溶媒のスクリーニング試験
(1)試験方法
0.2gの防虫剤のフィプロニルを秤量し、温度を80℃以下に制御して、それぞれ表1に示す20gの各処方の溶剤に加え、防虫剤のフィプロニルの溶解度を観察した。
【0042】
【0043】
(2)溶解結果
単一溶剤にフィプロニルを溶解させる状況を表2に示した。表2から、一部の界面活性剤は、単独で、フィプロニルを溶解できないことが分かった。フィプロニルは、難溶物質であり、上記表1における一部の特定の溶剤に溶解できるが、単一溶剤による溶解効果が好ましくなく、全て、水にわずかに溶け、フィプロニルを完全に溶解できず、製品質量のニーズを満たすことができず、従って、フィプロニルを溶解するには複合方法を検討した。
【0044】
【0045】
2、フィプロニルを溶解する2種の溶剤の複合のスクリーニング試験
(1)試験方法
0.2gの防虫剤のフィプロニルを秤量し、温度を80℃以下に制御して、それぞれ表3に示す各処方の溶剤に加え、防虫剤のフィプロニルの溶解度を観察した。
【0046】
【0047】
(2)溶解結果
2種の溶剤を複合してフィプロニルを溶解する状況を表4に示した。
【0048】
【0049】
表4の溶解状況から分かるように、APGとCABの複合、APGとOB-2の複合、CABとOB-2の複合は、いずれも、防虫剤のフィプロニルを迅速かつ完全に溶解できるが、処方3、4、10の複合溶剤は、フィプロニルを完全に溶解することができなかった。
【0050】
APG、CAB及びOB-2はすべて化粧品で一般的に使用される界面活性剤であり、フィプロニル専用の溶剤ではないが、試験を通じて分かるように、界面活性剤の複合系は、難溶成分のフィプロニルをよりよく溶解できた。
【0051】
3、フィプロニルを溶解する3種の溶剤の複合のスクリーニング試験
(1)試験方法
0.2gの防虫剤のフィプロニルを秤量し、温度を80℃以下に制御して、それぞれ表5に示す各処方の溶剤に加え、防虫剤のフィプロニルの溶解度を観察した。
【0052】
【0053】
(2)溶解結果
3種の溶剤を複合してフィプロニルを溶解する状況を6に示した。
【0054】
【0055】
表6の溶解時間から分かるように、3種の溶剤を複合してフィプロニルを溶解する時間は、2種の溶剤よりも大幅に縮んだ。本発明で用いられる溶剤は、フィプロニルの専用溶剤ではなく、単独でも、両者の複合でも、溶解効果が好ましくないが、本発明では3つを適切な比率で複合することにより、難溶物質のフィプロニル防虫剤を迅速かつ完全に溶解できた。
【0056】
実施例7 シャンプーの安定性試験
一、シャンプーの製造
シャンプーの合計重量を100gとした。
【0057】
1、実施例3で製造されるのは、ペットシャンプー1であった。
【0058】
2、実施例2で製造されるのは、ペットシャンプー2であった。
【0059】
3、ペットシャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、60~80℃に加熱し、次に10gのアルキルグルコシド、20gのコカミドプロピルベタインを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、0.2gのフィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、1gのケトコナゾールを加えて、60~80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、ケトコナゾールが十分に溶解した後に、0.1gのアミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンを加え、アミノシリコーンオイルが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、0.1gのEDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40~50℃まで冷却するとき、1gの臭化ベンザルコニウムを加えて撹拌して溶解し、臭化ベンザルコニウムが完全に溶解した後に、1gのジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、0.01gのソルビン酸カリウムを加え、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存することでペットシャンプー3を得るステップ(2)とを含んだ。
【0060】
4、ペットシャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、60~80℃に加熱し、次に6gのアルキルグルコシド、6gのドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、0.2gのフィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、1gのケトコナゾールを加え、60~80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、ケトコナゾールが十分に溶解した後に、0.1gのアミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンを加え、アミノシリコーンオイルが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、0.1gのEDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40~50℃まで冷却するとき、1gの臭化ベンザルコニウムを加えて撹拌して溶解し、臭化ベンザルコニウムが完全に溶解した後に、1gのジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、0.01gのソルビン酸カリウムを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存することでペットシャンプー4を得るステップ(2)とを含んだ。
【0061】
5、ペットシャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、60~80℃に加熱し、次に20gのコカミドプロピルベタイン、6gのドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、0.2gのフィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、1gのケトコナゾールを加えて、60~80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、ケトコナゾールが十分に溶解した後に、0.1gのアミノシリコーンオイルマイクロエマルジョンを加え、アミノシリコーンオイルが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、0.1gのEDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40~50℃まで冷却するとき、1gの臭化ベンザルコニウムを加えて撹拌して溶解し、臭化ベンザルコニウムが完全に溶解した後に、1gのジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、0.01gのソルビン酸カリウムを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存することでペットシャンプー5を得るステップ(2)とを含んだ。
【0062】
二、シャンプーの安定性の評価
(1)テスト方法
泡の体積:撹拌法。ステップ1で製造された5種のシャンプーサンプルをそれぞれ0.5g秤量して100mLのメスシリンダーに入れ、20mLの純水を加えて、100回均等に振とうし、1min後に泡の体積値を読み取った。
安定性試験:製造された処方サンプルを常温で放置し、析出時間を統計した。
【0063】
【0064】
表7の結果、安定性試験の結果から分かるように、3種の界面活性剤の複合系は、フィプロニルに対して良好な溶解補助効果を有した。比較すると、シャンプー3~5は、いずれも、2種の界面活性剤の複合であり、ミコナゾール硝酸塩の溶解効果が低く、析出物や泡の体積も少なかった。これから分かるように、3種の界面活性剤の複合は、シャンプー系に有益であり、シャンプー系をより安定させることもできた。
【0065】
実施例8 増粘剤のスクリーニング試験
現在市販されている一般的なシャンプー系は、アニオン系であるが、処方に添加される抗細菌剤のほとんどはカチオン界面活性剤であり、添加するコンディショナーにもカチオンの界面活性剤があった。従って、本発明で選択された非アニオン界面活性剤を主要界面活性剤とすることにより、シャンプー系の増粘が難しいという問題を引き起こした。本実施例の試験は、一部の一般的な増粘剤と一部の特殊な増粘剤を選択し、シャンプーを増粘し、試験により比較することで、最適な増粘剤をスクリーニングした。
【0066】
1、シャンプーの製造は、実施例3と同じであった。各シャンプーの違いは、添加された増粘剤が異なることであり、具体的には、表8に示した。
【0067】
2、試験結果
(1)増粘効果:シャンプーを放置して表面の気泡を取り除き、消泡後、粘度計で粘度を測定した。シャンプーを放置して消泡後の透明度を観察した。
【0068】
【0069】
表8の試験結果から分かるように、3種の高分子ポリマー系増粘剤により製造されたシャンプー2、3、4は、粘度が十分であるが、シャンプー全体が透明ではないため、これら2つの増粘剤の使用を考慮しなかった。塩化ナトリウムなどの塩類は、明らかな増粘効果がなく、析出しやすいため、溶液の透明度と安定性に影響を与えた。アミノ酸増粘剤及び他の一部の増粘剤は、一定の増粘効果があるが、アミノ酸増粘剤の粘度が最適であり、その中でもアミノ酸増粘剤は、セテアリルグルコシド、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(SF-1)、増粘剤-SCC68、脂肪アルコールポリグリコールエーテル(VD-92)、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース(DOE-120)があった。アミノ酸増粘剤は、増粘が困難なアミノ酸界面活性剤系を増粘できるが、その他の系の増粘効果が明らかではないが、本発明は、アミノ酸増粘剤が本特許発明の特殊な非アニオン界面活性剤系においても良好な作用を果たすことができることを見出した。
【0070】
(2)繰り返し凍結-融解の安定性試験
上記表8で製造され異なる増粘剤が添加されたシャンプーサンプル1、5~9、11、及び増粘剤が添加されていないブランク対照サンプルを-20℃条件において2d放置し、取り出して40℃加速条件において2d放置した。3回繰り返し、各サイクルでサンプリングして、高速液体クロマトグラフィーで各薬物の含有量の変化を検出することにより、処方のうちの薬物の安定性状況を推断した。
【0071】
【0072】
表9の試験結果から、処方5、7及び9は粘度が高いだけでなく、含有量の変化幅も小さいことがわかった。
【0073】
【0074】
表10の結果から、アミノ酸増粘剤は、増粘が困難なャンプー系を増粘するだけでなく、シャンプー系の安定性を高める効果があることがわかった。
【0075】
実施例9 製造プロセスのスクリーニング及び最適化
1、フィプロニル溶解の最適な温度のスクリーニング試験
本実施例は、ペットの外部寄生虫による皮膚疾患を治療する機能及び抗菌機能を有するシャンプーを100g提供し、以下の重量部の各成分からなった。
フィプロニル0.2g、エコナゾール硝酸塩2g、グルコン酸クロルヘキシジン2g、アルキルグルコシド(APG)10g、コカミドプロピルベタイン(CAB)30g、ドデシルジメチルアミンオキシド10g、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース(DOE-120)1.5g、EDTA-2Na 0.1g、セトリモニウムクロリド0.5g、イソチアゾリノン 0.01g、脱イオン水 残部。
【0076】
上記抗菌機能を有する動物シャンプーの製造方法は、
合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、表11における各プロセスの温度に従って、それぞれ30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃に加熱し、次にアルキルグルコシド、コカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを脱イオン水に加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、フィプロニルを加え、フィプロニルが完全に溶解した後に、エコナゾール硝酸塩を加えて、各温度を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、エコナゾール硝酸塩が十分に溶解した後に、セトリモニウムクロリドを加え、セトリモニウムクロリドが完全に溶解した後に、加熱を停止させるステップ(1)と、
ステップ(1)の冷却過程に、EDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40℃まで冷却するとき、グルコン酸クロルヘキシジンを加えて撹拌して溶解し、グルコン酸クロルヘキシジンが完全に溶解した後に、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、イソチアゾリノンを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存するステップ(2)とを含んだ。
【0077】
【0078】
温度スクリーニング試験の結果から分かるように、70~80℃条件において溶解時間が短く、80℃は、最適であり、90℃での粘度は、70℃とほぼ同じであるが、80℃よりも低くなり、温度が高いほど、コストが高くなった。従って、最適な温度は、80℃であった。
【0079】
2、原料供給順序の最適化
シャンプーの処方及びパラメータ条件は、上記プロセス6と同じであった。
【0080】
プロセス8:
(1-1)合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、80℃、に加熱し、まず処方量のフィプロニルを加え、次に処方量のアルキルグルコシドを加え、10分加熱しながら撹拌してからコカミドプロピルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドを加えて撹拌して溶解し、完全に溶解した後に、エコナゾール硝酸塩を加え、80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、エコナゾール硝酸塩が十分に溶解した後に、セトリモニウムクロリドを加え、セトリモニウムクロリドが完全に溶解した後に、加熱を停止させた。
(1-2)ステップ(1)の冷却過程に、EDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40℃まで冷却するとき、グルコン酸クロルヘキシジンを加えて撹拌して溶解し、グルコン酸クロルヘキシジンが完全に溶解した後に、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、イソチアゾリノンを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存した。
【0081】
(2)プロセス9:
(1-1)合計体積を100mLとし、ビーカーに35mLの脱イオン水を加え、80℃に加熱し、次にアルキルグルコシドを加えて加熱して撹拌し、完全に溶解した後にフィプロニルを加え、10分加熱して撹拌した後にコカミドプロピルベタイン及びセトリモニウムクロリドを加え、10分加熱して撹拌した後にドデシルジメチルアミンオキシドを加え、完全に溶解した後に、エコナゾール硝酸塩を加え、80℃を維持するように加熱しながら撹拌して溶解し、エコナゾール硝酸塩が十分に溶解した後に加熱を停止させた。
(1-2)ステップ(1)の冷却過程に、EDTA-2Naを加えて撹拌して溶解し、40℃まで冷却するとき、グルコン酸クロルヘキシジンを加えて撹拌して溶解し、グルコン酸クロルヘキシジンが完全に溶解した後に、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースを加えて撹拌して溶解し、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコースが完全に溶解した後に、イソチアゾリノンを加えて、100mLになるように、残部の脱イオン水を加え、均一に撹拌した後、分注して保存した。
【0082】
(3)フィプロニルの添加から、完全溶解までの時間及びシャンプー全体の粘度を観察し、統計結果を表12に示した。
【0083】
【0084】
実施例10 ペットの犬と猫の寄生虫性皮膚疾患の臨床治療効果試験
1、試験動物
広東省雲浮市の新興雷米高ペットファームの犬と猫から、寄生虫性皮膚疾患の自然発症症例を合計40匹選択した。そのうち、20匹が犬、20匹が猫であった。
【0085】
2、試験方法
(1)臨床検査:体温、呼吸、心拍数などの通常指標を含む全身臨床検査を実施した。体表のかゆみ度、皮膚の損傷度、発疹または膿疱の数、皮膚病巣の部位と分布状況を局所的に検査した。
【0086】
(2)外部寄生虫の検査:患部の皮膚を採取し、顕微鏡で観察し、局所病巣での外寄生虫の数を計算した。ノミ感染の場合:ノミの数、ノミの糞の分布と数を計算して統計した。ダニ刺咬による皮膚炎:ダニの数及び皮膚の損傷状況を計算して統計した。
【0087】
(3)投薬方法
犬や猫の毛を水で濡らし、目、鼻、口を避けて全身にシャンプーを塗った。洗ってマッサージし、製品が肌や毛皮に10分間接触するようにした。水で洗浄し、エリザベスカラーをかけることにより、犬や猫が入浴中に自分や泡をなめないようにした。試験薬物群は、実施例3のシャンプーを週に2回使用し、シャンプーの毎回の使用量が1~2mg/kgの動物であり、ブランク群は、対照としてシャンプーを使用しなかった。
【0088】
(4)治療効果の評価指標:
有効:投薬治療中及び投薬完了後、皮膚の外部寄生虫数の平均減少率は90%以上であり、患部にかゆみ、発疹、皮屑、または試験動物の自己咬傷による損傷はなかった。
【0089】
無効:投薬治療中及び投薬完了後、皮膚の外部寄生虫数の平均減少率は90%未満であり、患部にはまだかゆみ、発疹、皮屑などがあり、動物の自我咬傷による損傷が明らかにあった。
【0090】
再発率の監視:治癒後の犬と猫に投薬を停止してから、1週間以内に皮膚の臨床症状と皮膚寄生虫の数を監視した。
【0091】
3、試験結果
(1)治療効果の評価結果
【表13】
【0092】
3、試験結果
表13から分かるように、本発明のペットシャンプーは、寄生虫性皮膚疾患を患った犬の治癒率が100%に達し、寄生虫性皮膚疾患を患った猫の治癒率が90%に達した。
【0093】
(2)再発率の監視結果
投薬を停止してから1週間以内に観察し、試験の治療群では、寄生虫性皮膚疾患を患った10匹の犬は、治癒後に再発例が見られない一方、寄生虫性皮膚疾患を患った9匹の猫は、治癒後に1例が寄生虫性皮膚疾患を再発した。以上から、本発明のシャンプーを用いた後、ペット体表の寄生虫を効果的に撃退することができ、ペットが寄生虫の問題から解放されることが分かった。
【0094】
実施例10 ペットの犬と猫の臨床における真菌性皮膚疾患の治療効果試験
1、試験動物
広東省雲浮市の新興雷米高ペットファームの犬と猫から、真菌性皮膚疾患の自然発症症例を合計40匹選択した。そのうち、20匹が犬、20匹が猫であった。
【0095】
2、試験方法
(1)臨床検査:全身臨床検査および局所臨床検査、ならびに必要な皮膚スミア検査を実施した。
【0096】
(2)微生物学的検査:症例の動物の患部からサンプルを収集し、病原菌を分離して特定し、最後に病原菌を数えた。
【0097】
(3)投薬方法
犬や猫の毛を水で濡らし、目、鼻、口を避けて全身にシャンプーを塗った。洗ってマッサージし、製品が肌や毛皮に10分間接触するようにした。水で洗浄し、エリザベスカラーをかけることにより、犬や猫が入浴中に自分や泡をなめないようにした。試験薬物群(実施例3のシャンプー)を週に2回使用し、シャンプーの毎回の使用量が、1~2mg/kgの動物であり、ブランク群は、対照としてシャンプーを使用しなかった。
【0098】
(4)治療効果の評価指標
治癒:投薬後、分離した皮膚の病原性真菌の陰性率が80%以上であり、炎症性分泌物が大幅に消失し、患部に臭い、発疹、皮屑、膿などがなく、かゆみの症状が大幅に消失した。
【0099】
有効:投薬後、分離した皮膚の病原性真菌の陰性率が60%以上であり、また、炎症性分泌物が減少し、患部はあまり臭いがなく、発疹、皮屑、膿疱などが減少し、かゆみ症状が軽減した。
【0100】
無効:投薬後、分離した皮膚の病原性真菌の陰性率が60%未満であり、また、炎症性分泌物はまだ存在し、患部にはまだ臭い、発疹、皮屑、膿などがあり、患部にはまだ明らかなかゆみの症状があった。
【0101】
(5)再発率の監視:治癒後の犬と猫に投薬を停止してから、1週間以内に皮膚の臨床症状及び皮膚の微生物学的検査を実施した。
【0102】
3、試験結果
(1)治療効果の評価結果
【表14】
【0103】
表14から、本発明のペットシャンプーは、真菌性皮膚疾患を患った犬及び猫の治癒率が90%にも達することがわかった。
【0104】
(2)再発率の監視結果
投薬を停止してから、1週間以内に観察し、試験の治療群では、真菌性皮膚疾患を患った9匹の犬は、治癒後に再発例が見られない一方、真菌性皮膚疾患を患った9匹の猫は、治癒後に1例が真菌性皮膚疾患を再発した。以上から、本発明のシャンプーを用いた後、ペットの真菌性皮膚疾患を効果的に改善でき、再発率が低いことが分かった。
【0105】
実施例11 ペットの犬と猫の細菌性皮膚疾患の臨床治療効果試験
1、試験動物
広東省雲浮市の新興雷米高ペットファームの犬と猫から、細菌性皮膚疾患の自然発症症例を合計40匹選択した。そのうち、20匹が犬、20匹が猫であった。
【0106】
2、試験方法
(1)臨床検査:全身臨床検査及び局所臨床検査、ならびに必要な皮膚スミア検査を行う
(2)微生物学的検査:症例の動物の患部からサンプルを収集し、病原菌を分離して特定し、最後に病原菌を数えた。
【0107】
(3)投薬方法
犬や猫の毛を水で濡らし、目、鼻、口を避けて全身にシャンプーを塗った。洗ってマッサージし、製品が肌や毛皮に10分間接触するようにした。水で洗浄し、エリザベスカラーをかけることにより、犬や猫が入浴中に自分や泡をなめないようにした。試験薬物群(実施例3のシャンプー)を週に2回使用し、シャンプーの毎回の使用量が、1~2mg/kgの動物であった。ブランク群は、対照としてシャンプーを使用しなかった。
【0108】
(4)治療効果の評価指標
治癒:投薬後、分離した皮膚の病原性細菌の陰性率が80%以上であり、炎症性分泌物が大幅に消失し、患部に臭い、発疹、皮屑、膿などがなく、かゆみの症状が大幅に消失した。
【0109】
有効:投薬後、分離した皮膚の病原性細菌の陰性率が60%以上であり、また、炎症性分泌物が減少し、患部はあまり臭いがなく、発疹、皮屑、膿疱などが減少し、かゆみ症状が軽減した。
【0110】
無効:投薬後、分離した皮膚の病原性真菌の陰性率が60%未満であり、また、炎症性分泌物はまだ存在し、患部にはまだ臭い、発疹、皮屑、膿などがあり、患部にはまだ明らかなかゆみの症状があった。
【0111】
(5)再発率の監視:治癒後の犬と猫に投薬を停止してから、1週間以内に皮膚の臨床症状及び皮膚の微生物学的検査を実施した。
【0112】
3、試験結果
(1)治療効果の評価結果
【表15】
【0113】
表15から、本発明のペットシャンプーは、細菌性皮膚疾患を患った犬の治癒率が90%に達し、細菌性皮膚疾患を患った猫の治癒率が100%に達することがわかった。
【0114】
(2)再発率の監視結果
投薬を停止してから、1週間以内に観察し、試験の治療群では、細菌性皮膚疾患を患った9匹の犬は、治癒後に再発例が見られず、細菌性皮膚疾患を患った10匹の猫は、治癒後に細菌性皮膚疾患の再発例が見られなかった。以上から、本発明のシャンプーを用いた後、ペットの細菌性皮膚疾患を効果的に改善でき、再発率が低いことが分かった。
【0115】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は本発明の技術的解決手段を説明するものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、当業者にとって、上記説明及び構想に基づいて他の異なる形態の変化や変更を行うことができ、ここで全ての実施形態を網羅する必要がない。本発明の精神及び原則内で行われるいかなる修正、同等置換及び改善などは、いずれも本発明の請求項の保護範囲内に含まれるべきである。