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特許7271026遺伝子導入細胞の免疫応答を回避させるための剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】遺伝子導入細胞の免疫応答を回避させるための剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20230501BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230501BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230501BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230501BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20230501BHJP
   C12N 15/86 20060101ALN20230501BHJP
   C12N 15/88 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
C12N15/87 ZNA
C12N5/10
A61K48/00
A61K45/00
A61P43/00 105
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N15/88 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022104279
(22)【出願日】2022-06-29
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2021215047
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522002179
【氏名又は名称】株式会社Hyperion Drug Discovery
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100168918
【弁理士】
【氏名又は名称】杉江 顕一
(72)【発明者】
【氏名】田村 健一
(72)【発明者】
【氏名】赤平 莉菜
(72)【発明者】
【氏名】嶽北 和宏
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110129367(CN,A)
【文献】国際公開第1996/034109(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/020421(WO,A1)
【文献】特開2020-193203(JP,A)
【文献】国際公開第2021/050848(WO,A1)
【文献】Nanomedicine, 2021年7月22日,Vol.16, No.19,p.1673-1690
【文献】Pharm. Res., 2013年,Vol.30,p.1642-1651,DOI 10.1007/s11095-013-1009-4
【文献】Bioorganic Chemistry, 2019年,Vol.82,p.178-191,https://doi.org/10.1016/j.bioorg.2018.02.025
【文献】Organic & Biomolecular Chemistry, 2015年,Issue14,p.4310-4320 (p.1-11)
【文献】The effects of antioxidative additives on electroporation efficacy,Human Gene Therapy, 2011年,Vol.22, No.10,A86
【文献】Advanced Drug Delivery Reviews, 2021年11月8日,Vol.181,114041 (p.1-36),https://doi.org/10.1016/j.addr.2021.114041
【文献】Biochim. Biophys. Acta., 2010年,Vol.1799 (10-12),p.775-787,doi:10.1016/j.bbagrm.2010.05.004.
【文献】Int. J. Biomed. Sci., 2017年,Vol.13, No.2,p.48-57
【文献】Stem Cell Research & Therapy, 2013年,Vol.4,15 (p.1-12)
【文献】Mediators of Inflammation, 2012年,Volume 2012, Article ID 416036,p.1-11,doi:10.1155/2012/416036
【文献】FEBS Letters, 2004年,Vol.571,p.50-54,doi:10.1016/j.febslet.2004.06.056
【文献】THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, 2013年,VOL.288, NO.27,pp.19450-19458,DOI 10.1074/jbc.M113.467670
【文献】Biol. Pharm. Bull., 2019年,Vol.42, No.2,p.299-302
【文献】SCIENCE, 1995年,Vol.270,p.286-290,DOI: 10.1126/science.270.5234.286
【文献】Molecular Therapy, 2009年,Vol.17, Supplement 1,S54-S55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 5/10
A61K 48/00
A61K 45/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子導入細胞の数を増加させるために用いられる剤であって、
JSH-21、JSH-23、ビタミンE(ビタミンCと共に含む態様を除く)、カルシトリオールビタミンD3カルシフェジオール、ビタミンD2およびビタミンDからなる群から選択される1または2以上を含むNFκB核移行阻害剤
を含み、ただしビタミンE、カルシトリオール、ビタミンD3、カルシフェジオール、ビタミンD2およびビタミンDに関して遺伝子導入試薬に含まれる態様を除く、前記剤。
【請求項2】
細胞が、ヒト細胞である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
ヒト細胞が、ヒト体細胞またはヒト幹細胞である、請求項2に記載の剤。
【請求項4】
ヒト体細胞またはヒト幹細胞が、ヒト多能性幹細胞、ヒト多能性幹細胞由来分化細胞、ヒト間葉系幹細胞、ヒト筋芽細胞、ヒト造血幹細胞、ヒト筋細胞、ヒト血球系細胞、ヒト線維芽細胞、ヒト神経系細胞、ヒト表皮細胞、ヒト上皮細胞、ヒト内皮細胞、ヒト骨細胞、ヒト軟骨細胞またはヒト脂肪細胞である、請求項3に記載の剤。
【請求項5】
ヒト体細胞またはヒト幹細胞が、ヒト筋芽細胞、ヒト間葉系幹細胞またはヒトT細胞である、請求項4に記載の剤。
【請求項6】
導入遺伝子が、一本鎖または二本鎖である、請求項1~5のいずれか一項に記載の剤。
【請求項7】
導入遺伝子とともに投与されることを特徴とする、請求項1~5に記載の剤。
【請求項8】
請求項1~5に記載の剤を投与することを含む、遺伝子導入細胞の産生方法。
【請求項9】
in vitroにおいて遺伝子導入細胞の数を増加させるための方法であって、
細胞への遺伝子の導入前または細胞への遺伝子の導入と同時に、
JSH-21、JSH-23、ビタミンE(ビタミンCと共に含む態様を除く)、カルシトリオールビタミンD3カルシフェジオール、ビタミンD2およびビタミンDからなる群から選択される1または2以上を含むNFκB核移行阻害剤、ただしビタミンE、カルシトリオール、ビタミンD3、カルシフェジオール、ビタミンD2およびビタミンDに関して遺伝子導入試薬に含まれる態様を除く、
を細胞に投与することを含む、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞への遺伝子の導入に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子導入は、細胞に所望の遺伝子を導入する技術であり、遺伝子工学の基礎をなしている。かかる遺伝子導入技術は、遺伝子の機能解析や遺伝子導入作物の作製、さらには遺伝子治療等に応用されている。しかしながら、細胞や組織への遺伝子導入の際には、導入遺伝子自体が引き起こす自然免疫による細胞死が発生することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
このような自然免疫による細胞死を回避するため、細胞へのトランスフェクションの際に、導入するメッセンジャーRNA(以下、mRNAと称する)をN1-メチルシュードウリジン、5-メチルシチジンなどのさまざまな修飾ヌクレオシドを利用することが行われてきた(非特許文献2)。ここで、導入されたmRNAは、翻訳の際に、翻訳停止を意味する終始コドンによってタンパク質の生合成を停止する。しかしながら、終始コドン(UAA、UAGまたはUGA)のウリジンが、シュードウリジル化されることにより、リボソームが修飾された終始コドンをリードスルーすることが知られている(非特許文献3)。また、生体内に投与されたmRNAを体内で増幅させる自己増幅型mRNA技術が次世代型のmRNA医薬品として脚光を浴びているが、標的細胞におけるRDRP媒介のmRNA増幅を弱め得ること、修飾ヌクレオシドの効果を最初の1ラウンドの増幅で失われることから、自己増幅型RNAにおいては、修飾ヌクレオシドの使用が選択肢に入らないことが記載されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Katalin Kariko et al., Mol. Ther. 2008 November; 16 (11): 1833-1840
【文献】Oliwia Andries et al., Journal of Controlled Release 217 (2015) 337-344
【文献】Hironori Adachi, et al., RNA (2020) 26: 1247-1256
【文献】Giulietta Maruggi, et al., Molecular Therapy (2019) 27: 757-772
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、遺伝子導入による免疫応答を回避させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、導入遺伝子自体が引き起こす自然免疫による細胞死が、目的遺伝子が導入された細胞を充分量獲得することを困難にしていることに着目し、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねる中で、遺伝子の導入される細胞における自然免疫を抑制することで、自然免疫による細胞死を回避し、遺伝子導入細胞の収量を増加させることができることを見出し、かかる知見に基づき、さらに研究を重ねることで、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
[1]遺伝子が導入される細胞の、導入遺伝子に対する自然免疫を抑制することにより、遺伝子導入による免疫応答を回避させるための剤。
[2]自然免疫を抑制することが、NFκBの阻害または自然免疫に関する遺伝子の発現の阻害により行われる、[1]に記載の剤。
[3]NFκBの阻害が、NFκB核移行阻害剤の添加により行われる、[2]に記載の剤。
[4]NFκB核移行阻害剤が、JSH-21、JSH-23、ビタミンE、カルシトリオール(ビタミンD3)、カルシフェジオール、ビタミンD2、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンB6、ロリプラム、SN50またはこれらの誘導体である、[3]に記載の剤。
[5]自然免疫に関する遺伝子が、TNF、IFN、p50、p65、IRF3、IL-6、IL-12、TLR、MyD88またはTRIFである、[2]に記載の剤。
[6]自然免疫に関する遺伝子の発現の阻害が、siRNAを用いて行われる、[5]に記載の剤。
【0008】
[7]細胞が、ヒト細胞である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の剤。
[8]ヒト細胞が、ヒト筋芽細胞、ヒト間葉系幹細胞またはヒトT細胞である、[7]に記載の剤。
[9]導入遺伝子が、一本鎖または二本鎖である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の剤。
[10][1]~[6]のいずれか1つに記載の剤を用いて得られた遺伝子導入細胞。
[11]導入遺伝子およびNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤を投与することにより、遺伝子導入による免疫応答を回避させるための剤。
[12]in vitroにおいて遺伝子が導入される細胞の、導入遺伝子に対する自然免疫を抑制することを含む、遺伝子導入による免疫応答を回避させる方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の剤を用いることにより、シュードウリジンなどの修飾ヌクレオシドを用いるよりも、簡便に遺伝子導入細胞による免疫応答を回避することができ、それにより遺伝子導入細胞の収量を増加させることができる。また、本発明の剤を用いることで、簡便に収量を増加させることができるため、充分量の目的遺伝子の遺伝子導入細胞を作製するために要する時間およびコストを削減することができる。さらに、本発明の剤を用いることにより、細胞への導入遺伝子量の許容量が向上するため、導入効率をさらに向上させることができる。
本発明の剤を用いることにより、シュードウリジンなどの修飾ヌクレオシドを用いることなく、遺伝子導入細胞の収量を増加させることができるため、従来修飾ヌクレオシドとしてシュードウリジンを用いた際に必要とされていた終始コドンのリードスルーを防ぐ工夫を省略することができる。また、本発明の剤を用いることにより、自己増幅型mRNA技術のように修飾ヌクレオシドの使用が困難なケースにおいても自然免疫による細胞死を回避できることが期待される。さらに、本発明の剤およびシュードウリジンなどの修飾ヌクレオシドの両方を用いることにより、より強く細胞の自然免疫を抑制することができる。
本発明の剤を用いて得られた細胞は、遺伝子がすでに高確率で導入されており、例えば、体細胞もしくは体性幹細胞から分化、分化転換、リプログラミングなどをした細胞を必要とする対象、または細胞に任意の遺伝子発現性能を付与した細胞を必要とする対象に、本発明の遺伝子導入細胞を投与することができる。または、生体に遺伝子導入する際に併用することで、生体での導入効率の向上や有害事象を回避することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の剤を用いてヒト間葉系幹細胞に導入されたTERTプラスミドの概略図である。図中、EF1Aは、EF1αプロモーターを、hTERTは、ヒトTERT遺伝子(配列番号3)を、SV40 late pAは、シアミンウイルス40後期ポリA付加シグナルを、pUC oriは、pUC複製開始点を、Ampicillinは、アンピシリン耐性遺伝子の配列を夫々表す。
図2図2は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23(0.1、1または10μM)を添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの夫々の相対細胞数を示す。
図3図3は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
【0011】
図4図4は、ヒト筋芽細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの夫々の相対細胞数を示す。
図5図5は、ヒト筋芽細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を使用した場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの夫々の相対細胞数を示す。
【0012】
図6図6は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはカルシトリオールを添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図7図7は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはカルシトリオールを添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図8図8は、ヒト筋芽細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはカルシトリオールを添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
【0013】
図9図9は、ヒト筋芽細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、対照またはカルシトリオールを添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図10図10は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図11図11は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
【0014】
図12図12は、ヒト筋芽細胞にウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図13図13は、ヒト筋芽細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図14図14は、シュードウリジンを用いたmRNAを導入した細胞およびシュードウリジンを用いたmRNAを、JSH-23を用いて導入した細胞におけるTNF-αの発現量を示すグラフである。縦軸は、対照におけるTNF-αの発現量を1としたときの夫々の相対発現量を示す。
【0015】
図15図15は、ヒト間葉系幹細胞にTERTプラスミドを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図16図16は、ヒト間葉系幹細胞にGFPウイルスベクターを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図17図17は、ヒト筋芽細胞にGFPウイルスベクターを導入する際に、対照またはJSH-23を添加した培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
【0016】
図18図18は、ヒト筋芽細胞にGFPウイルスベクターを導入する際に、各混合液(GFPウイルスベクター:MOI0.1、1.5または10、ポリブレン:0、5または10、およびカルシトリオールの有無の夫々の組み合わせ)を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、ポリブレンが5μg/mL、ウイルスベクターのMOIが0.1、カルシトリオール無である混合液における細胞数を1としたときの夫々の相対細胞数を示す。
図19図19は、GFP mRNA:20pg/細胞および培養液へのJSH-23添加あり、GFP mRNA:20pg/細胞および培養液へのJSH-23添加なし、GFP mRNA:10pg/細胞および培養液へのJSH-23添加なし(対照)の3条件においてヒト間葉系幹細胞にGFP mRNAを導入した際の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図20図20は、ヒト間葉系幹細胞にGFP mRNAを導入する際に、夫々のsiRNAを添加したリポフェクション溶液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
【0017】
図21図21は、本発明の剤を用いてヒト白血病T細胞に導入されたGFPでタグ付したCAR-Tプラスミドの概略図である。図中、CMV(CMV Promoter)は、ヒトサイトメガロウイルス即時エンハンサー/プロモーターの配列を、Kozakは、Kozac翻訳開始配列を、CD8-leaderは、T細胞表面糖タンパク質CD8α鎖のリーダーシグナルペプチドの配列を、CD19-scFVは、CD19抗体由来の単鎖可変フラグメント配列(配列番号10)を、CD28-hingeは、T細胞表面糖タンパク質CD28のヒンジ領域の配列(配列番号11)を、CD28-TMは、CD28の膜貫通領域の配列(配列番号12)を、CD28は、CD28細胞内共刺激ドメインの配列(配列番号13)を、CD3zetaは、T細胞受容体CD3ζ鎖の細胞内ドメインの配列を、SV40 late pAは、シアミンウイルス40後期ポリA付加シグナルを、EGFPは、EGFP遺伝子(配列番号14)を、BGH pAは、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナルを、pUC oriは、pUC複製開始点を、Ampicillinは、アンピシリン耐性遺伝子の配列を夫々表す。
図22図22は、ヒト白血病T細胞にGFPでタグ付けしたCAR-Tプラスミド遺伝子を導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。
図23図23は、GFPでタグ付したCAR-Tプラスミドを導入した細胞およびCAR-Tプラスミドを、JSH-23を用いて導入した細胞におけるTNF-αの発現量を示すグラフである。縦軸は、対照におけるTNF-αの発現量を1としたときの夫々の相対発現量を示す。
図24図24は、GFPでタグ付したCAR-Tプラスミドを導入した細胞およびCAR-Tプラスミドを、JSH-23を用いて導入した細胞におけるIFN-αの発現量を示すグラフである。縦軸は、対照におけるIFN-αの発現量を1としたときの夫々の相対発現量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、遺伝子が導入される細胞の、導入遺伝子に対する自然免疫を抑制することにより、遺伝子導入による免疫応答を回避させるための剤およびその方法に関する。
【0019】
本発明において、自然免疫を抑制することは、遺伝子を導入され得る細胞の自然免疫機能を抑制する、既知の任意の手法を利用することができる。かかる手法としては、これらに限定されるものではないが、自然免疫応答や細胞死に関わる因子の阻害、具体的には、NFκBの阻害、自然免疫に関する遺伝子の発現を阻害することなどが挙げられる。自然免疫を抑制することは、導入遺伝子および自然免疫機能を抑制する因子を、同時または別々に細胞に投与することによって行ってもよく、具体的には、細胞への遺伝子の導入時に行ってもよく、または遺伝子の導入前の細胞の培養時から行っていてもよい。
NFκBの阻害は、例えば、NFκB阻害剤を用いることによって行われる。NFκB阻害剤は、例えば、本発明の剤の構成要素として遺伝子を導入され得る細胞の培養液に添加される。NFκB阻害剤としては、NFκB核移行阻害剤、DNA結合阻害剤、IKK阻害剤、IKβ分解阻害剤、p65アセチル化阻害剤、NFκB転写活性阻害剤などが挙げられるが、より高い生存率が確保できるという観点から、NFκB核移行阻害剤が好ましい。
【0020】
一態様において、NFκB阻害剤として、NFκB核移行阻害剤が用いられる。かかる態様において、用いられるNFκB核移行阻害剤としては、JSH-21、JSH-23、ビタミンE、カルシトリオールビタミンD3カルシフェジオール、ビタミンD2、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンB6、ロリプラム、SN50といったSubash C Gupta et al., Biochim Biophys Acta. 2010; 1799(10-12): 775-787のTable1に記載されるものおよびこれらの誘導体などが挙げられるが、入手が容易であるという観点から、JSH-23またはカルシトリオールが好ましい。NFκB核移行阻害剤が培養液に添加される場合、その濃度は、0.001~300μMであってもよく、好ましくは、0.1~10μMである。NFκB核移行阻害剤としてJSH-23が培養液に添加される場合、その濃度は、0.001~300μMであってもよく、好ましくは、0.1~50μMである。NFκB核移行阻害剤としてカルシトリオールが培養液に添加される場合、その濃度は、0.001~10μMであってもよく、好ましくは、1μMである。
【0021】
自然免疫に関する遺伝子の発現の阻害は、任意の既知の方法、例えば、自然免疫に関する遺伝子に対する干渉核酸、リボザイム、アンチセンス核酸、マイクロRNA、単鎖ヘアピンRNA、これらを発現するベクターを用いて行われ、好ましくは、RNA干渉を利用した遺伝子サイレンシングによって行われる。RNA干渉には、siRNAまたはmiRNAなどが用いられるが、本発明においては、二本鎖であることによる構造安定性並びに短鎖長で合成しやすいという観点から、siRNAを用いるのが好ましい。本発明において、RNA干渉は、例えば、siRNAなどを、本発明の剤の構成要素として遺伝子を導入される細胞の培養液に添加することによって行われ得る。siRNAの導入は、製造元の指示に従って行うことができる。siRNAを培養液に添加する場合、その濃度は、0.1~100nMであってもよく、好ましくは、5~20nMである。
また、本発明において、発現の阻害の標的となる遺伝子は、細胞内の自然免疫に関する遺伝子であれば、特に限定されない。かかる遺伝子としては、例えば、TNF、IFN、p50、p65、IRF3、IL-6、IL-12、TLR、MyD88、TRIFなどが挙げられるが、細胞死を誘発する炎症性サイトカインを特異的に発現阻害するという観点から、TNFまたはIFNであることが好ましく、TNF-αまたはIFN-αであることがより好ましい。もっとも好ましくは、発現の阻害の標的となる遺伝子は、TNF-αおよびIFN-αである。
一態様において、遺伝子導入の免疫応答を回避させることは、in vitroにおける遺伝子導入細胞の収量の増加をもたらす。遺伝子導入細胞の収量の増加は、遺伝子が導入された細胞の数の増加および遺伝子導入効率の増加を含む。また本発明において、遺伝子導入細胞の収量を増加させることは、収量の増加した遺伝子導入細胞を得ることを含む。
【0022】
本発明の剤は、当該技術分野において、遺伝子導入に通常用いることのできる任意の遺伝子の細胞への導入に利用することができる。本発明において、細胞に導入される遺伝子、すなわち、導入遺伝子は、一本鎖であっても、二本鎖であってもよい。一本鎖の導入遺伝子としては、例えば、mRNAやmiRNAが挙げられる。二本鎖の導入遺伝子としては、例えば、ウイルスベクターやプラスミドDNA、siRNAが挙げられる。本発明において、導入遺伝子は、特に限定されない。例えば、導入遺伝子として、細胞周期に関わる遺伝子(CDKファミリー、Cyclinファミリー、p16、p21、p27、E2Fおよびそれらの変異体など)、染色体の構造に関連する遺伝子(テロメラーゼ、TERT、ZSCAN、SV40 Large T抗原、HPV E6/E7、Ras、Rb、リコンビナーゼ、インテグラーゼ、ヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、レプリカーゼ、B-cell lymphoma 2、CRISPR Casおよびそれらの変異体など)、リプログラミング関連遺伝子(Oct3/4、c-Myc、Klf4、Sox2、NANOG、ASCL1、PITX3、NURR1、LMX1Aおよびそれらの変異体など)、骨格筋関連遺伝子(CD56、Pax3、Pax7、Myogenin、Myf5、MyoD、Myomaker、Myomixer、Myosin Heavy Chain、Desmin、Dystrophin、Myotilin、Laminin A/C、CAV、CAPN、SGCG、TRIM32、TCAP、FKRP、EMD、PABP、DMPK、ZNF9、FCMD、POMENTI、Collagen、SEPN1、RYRI、MTM、TNNT、NEB、TPM、ACTN、GNE、DYSF、CRY AB、ACTAおよびそれらの変異体など)、成長因子に関わる遺伝子(VEGF、IGF、FGF、HGF、EGF、TGF、NGF、BDNF、GDNF、BMP、PDGF、EPO、TPO、G-CSF、GM-CSFおよびそれらのファミリー並びにそれらの変異体など)、転写因子に関わる遺伝子(RUNXおよびその変異体を含むRuntドメインをはじめ、ヘリックス・ターン・ヘリックス、ヘリックス・ループ・ヘリックス、ジンクフィンガー、ロイシンジッパー、βシートモチーフおよびそれらの変異体など)、酵素に関わる遺伝子(グルコース-6-ホスファターゼ、t-PA、コラゲナーゼ、アルグルコシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グリコサミノグリカン分解酵素、β-グルクロニダーゼ、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ、スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ、α-L-イズロニダーゼ、イズロン酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ、α-ガラクトシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、およびその変異体など)、膜タンパク質に関わる遺伝子(ネプリライシンを含むMonotopicをはじめ、Polytopicおよびそれらの変異体など)、キメラ抗原受容体に関わる遺伝子(CARおよびその変異体など)、抗体遺伝子(マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、由来を示すサブステムを持たない抗体など)、血液凝固関連因子、血清タンパク質、ホルモン、ワクチン、インターフェロン類、エリスロポエチン類、サイトカイン類、毒素類、融合タンパク質などが挙げられる。本発明において、例えば、上記のような遺伝子を導入することにより、遺伝子が導入された細胞の寿命を長期化するか、または、所望する細胞への分化を促進することができる。
【0023】
本発明において、遺伝子が導入され得る細胞は、当該技術分野において遺伝子導入に通常用いることのできる細胞であれば、特に限定されない。かかる細胞として、例えば、幹細胞(例えば、多能性幹細胞、多能性幹細胞由来分化細胞、間葉系幹細胞、筋芽細胞、造血幹細胞等)、体細胞(例えば、筋細胞、血球系細胞(T細胞、B細胞等)、線維芽細胞、神経系細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞等)などが挙げられる。本発明において、遺伝子が導入され得る細胞は、当該技術分野において遺伝子導入に通常用いることのできる任意の生物に由来する細胞であってもよい。かかる細胞としては、例えば、哺乳動物に由来する細胞が挙げられる。好ましくは、本発明において、遺伝子が導入され得る細胞は、ヒト由来の細胞である。より好ましくは、本発明において遺伝子が導入され得る細胞は、ヒト間葉系幹細胞、ヒト筋芽細胞、ヒトT細胞またはヒト筋細胞などのヒト間葉系幹細胞から分化するヒト細胞である。
【0024】
本発明において、細胞に遺伝子を導入する手法としては、既知の任意の手法を利用して行うことができる。かかる手法として、例えば、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ポリブレン法などが挙げられる。
本発明において、リポフェクション法を利用する場合、遺伝子が導入される細胞は、約1,000~100,000細胞/cmで播種される。好ましくは、最終的に得られる収量が安定するという観点から、遺伝子が導入される細胞は、約5,000~20,000細胞/cmで播種される。遺伝子が導入される細胞が、ヒト間葉系幹細胞またはヒトT細胞である場合において、より好ましくは、細胞は、1x10細胞/cmで播種され、細胞が、ヒト筋芽細胞である場合、より好ましくは、2x10細胞/cmで播種される。
【0025】
例えば、リポフェクション法を利用して細胞にmRNAを導入する場合、mRNAは、1~100pg/細胞の量となるようにLipofectamine(Thermo Fisher Scientific)などのリポフェクション試薬と混合されて遺伝子が導入される細胞に添加される。好ましくは、最終的な導入効率および生存率が高いという観点から、mRNAは、5~20pg/細胞の量となるように遺伝子が導入される細胞に添加される。さらに、かかる混合液の添加後は、製造元の指示に従い、細胞を培養することができる。しかしながら、最終的に得られる遺伝子導入細胞の収量が安定するという観点から、遺伝子が導入される細胞が、ヒト間葉系幹細胞またはヒトT細胞の場合は約1日間(18時間)、ヒト筋芽細胞の場合は約2日間(42時間)培養することが好ましい。
例えば、リポフェクション法を利用して細胞にプラスミドDNAを導入する場合、プラスミドDNAは、1~100pg/細胞の量となるようにLipofectamine(Thermo Fisher Scientific)またはViaFect(Promega)またはPEI MAX(Polysciences)などのリポフェクション試薬と混合されて遺伝子が導入される細胞に添加される。好ましくは、最終的な導入効率および生存率が高いという観点から、プラスミドDNAは、5~20pg/細胞の量となるように遺伝子が導入される細胞に添加される。
【0026】
本発明において、エレクトロポレーション法を利用する場合、遺伝子が導入される細胞にR buffer(Thermo Fisher Scientific)などのエレクトロポレーション用試薬を添加した細胞溶液は、1x10~1x10細胞/mLの濃度となるように調製される。好ましくは、最終的な導入効率および生存率が高いという観点から、1x10~1x10細胞/mLの濃度で調製される。
例えば、エレクトロポレーション法を利用して細胞にプラスミドDNAを導入する場合、プラスミドDNAは、1~100pg/細胞の量となるように細胞溶液と混合される。好ましくは、最終的な導入効率および生存率が高いという観点から、プラスミドDNAは、1~50pg/細胞の量となるように細胞溶液と混合される。また、例えば、Neon Transfection System(Thermo Fisher Scientific)を使用してエレクトロポレーションを行う場合、Pulse Voltage:990~1650V、Pulse Width:10~40ms、Pulse Number:1~3という設定において、最終的な高い導入効率および生存率を達成できる。
【0027】
本発明において、ポリブレン法を利用する場合、細胞は、約1,000~100,000細胞/cmで播種される。好ましくは、最終的に得られる収量が安定するという観点から、約1,000~2,000細胞/cmで播種される。遺伝子が導入される細胞が、ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞である場合において、より好ましくは、2,000細胞/cmで播種される。
例えば、ポリブレン法を利用して細胞にウイルスベクターを導入する場合、ウイルスベクターは、MOI0.1~30となるように遺伝子が導入される細胞に添加される。好ましくは、最終的な導入効率および生存率が高いという観点から、ウイルスベクターは、MOI0.1~10となるように遺伝子が導入される細胞に添加される。また、ポリブレンは、0~20μg/mLの量となるように遺伝子が導入される細胞に添加されるが、最終的な導入効率および生存率が高いという観点から、好ましくは、0~10μg/mLの量となるようにかかる細胞に添加される。
【0028】
本発明は、別の側面において、上記の遺伝子導入による免疫応答を回避させるための剤を用いて得られた遺伝子導入細胞に関する。上記のとおり、本発明の剤は、遺伝子が導入される細胞の種類、導入遺伝子の種類を限定することなく、遺伝子が導入される細胞の収量を増加させることができ、本発明の遺伝子導入細胞における、遺伝子および細胞については、上記に列挙した遺伝子および細胞を使用することができる。本発明の遺伝子導入細胞は、例えば、間葉系幹細胞または間葉系幹細胞から分化した細胞を必要とする対象に、10,000~100,000,000細胞/kg体重を投与することができる。
【0029】
本発明は、また別の側面において、導入遺伝子およびNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤を投与することにより、遺伝子導入による免疫応答を回避させるための剤およびその方法に関する。
本発明において、自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、自然免疫に関する遺伝子の発現を阻害する任意の剤であり、これに限定されるものではないが、好ましくは、自然免疫に関する遺伝子に対するsiRNAを含む。本発明において、導入遺伝子とNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、同時に投与されてもよく、または個別に投与されてもよい。本発明において、導入遺伝子および/またはNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、細胞に遺伝子を導入する手法の実施時に投与されてもよく、または実施前に予め投与されていてもよい。本発明において、導入遺伝子および/またはNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、これを必要とする対象において、NFκB阻害剤が0.025~3,000μg/kg体重の濃度となるように投与されてもよい。NFκB阻害剤がJSH-23である場合、導入遺伝子および/またはNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、これを必要とする対象において、JSH-23が1~3mg/kg体重の濃度となるように投与されてもよい。NFκB阻害剤がカルシトリオールである場合、導入遺伝子および/またはNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、これを必要とする対象において、カルシトリオールが1~5,000IU/kg体重の濃度となるように投与されてもよい。本発明において、導入遺伝子および/またはNFκB阻害剤または自然免疫に関する遺伝子の発現阻害剤は、これを必要とする対象において、導入遺伝子が10~2,000μg/kg体重の濃度となるように投与されてもよい。
本発明は、さらに別の側面において、遺伝子が導入される細胞の、遺伝子導入による免疫応答を回避させる方法に関する。本発明において自然免疫を抑制させる方法は上記のとおりである。本発明は、in vitroであってもよく、またin vivoであってもよい。一態様において、本発明の方法をin vitroで実施することにより、遺伝子導入細胞の収量が増加される。
【実施例
【0030】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
以下の実施例において、試薬・培地・機器などは、次に示すものを用いた。
試薬
・ヒト間葉系幹細胞(ロンザ、製品番号:PT-2501)
・ヒト筋芽細胞(ロンザ、製品番号:CC-2580)
・ヒト白血病T細胞(Jurkat E6.1)(ケー・エー・シー、型番:EC88042803-F0)
・ウリジンを含有するGFP mRNA(配列番号1)
・ウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNA(ウリジンを含有するGFP mRNAにおけるウリジンをすべてシュードウリジン(TriLink、製品番号:N-1019-10)に置換したもの)
・ウリジンを含有するTERT mRNA(配列番号2)
・ウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNA(ウリジンを含有するTERT mRNAにおけるウリジンをすべてシュードウリジンに置換したもの)
・GFPウイルスベクター(VectorBuilder、コントロールVector ID:VB160109-10005)
・TERTプラスミドDNA(図1に示す)
・CAR-TプラスミドDNA(図21に示す)
・αMEM(ナカライテスク、製品番号:21444-05)
・MCDB131(GIBCO、製品番号:10372-019)
・RPMI1640培地(ナカライテスク、製品番号:30264-85)
・ウシ胎児血清(以下、血清と称する)(GIBCO、製品番号:26140-079)
・JSH-23(abcam、製品番号:ab144824)
カルシトリオール(cayman chemical、製品番号:71820)
・OptiMEM(GIBCO、製品番号:31985-062)
・Lipofectamine RNAiMAX(Thermo Fisher Scientific、製品番号:13778075)
・Lipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific、製品番号:11668027)
・細胞剥離液(GIBCO、製品番号:2605-028)
・ポリブレン溶液(Vector Builder、製品番号:PL0001)
・PureLink(商標)RNA Mini Kit(Thermo Fischer Scientific、製品番号:12183018A)
・SuperScript(商標)III Reverse Transcriptase(Thermo Fisher Scientific、製品番号:18080044)
・TNF-αプライマー(フォワード):ATCAATCGGCCCGACTATCTC(配列番号4)
・TNF-αプライマー(リバース):GCAATGATCCCAAAGTAGACC(配列番号5)
・βアクチンプライマー(フォワード):AGAAAATCTGGCACCACACC(配列番号6)
・βアクチンプライマー(リバース):AGAGGCGTACAGGGATAGCA(配列番号7)
・IFN-αプライマー(フォワード):TTCTCTGGGCTGTGATCTGC(配列番号8)
・IFN-αプライマー(リバース):CTGTCCTTCAGGCAGGAGAAA(配列番号9)
・PowerTrack(商標)SYBR Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific、製品番号:A46012)
・siRNA(TNF-α)(Ambion、製品番号:s14247、s14248)
・siRNA(IFN-α)(Ambion、製品番号:s226340、s226337)
・Negative Control siRNA(Negative Control No.1)(Ambion、製品番号:4390843)
培地
・基礎培地(ヒト間葉系幹細胞用):αMEM+10%血清
・基礎培地(ヒト筋芽細胞様):MCDB131+10%血清
機器
・CO2インキュベータ(astec、型番:CPI-165R)
・遠心分離機(KUBOTA、型番:5911)
・フローサイトメーター(SYSMEX、型番:RF-500)
【0031】
例1.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)およびヒト筋芽細胞(hSMM)へのGFP mRNA導入におけるJSH-23を用いた収量向上
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。ヒト筋芽細胞を、約20,000細胞/cmとなるように別の6ウェルプレートに播種した。培養液として、JSH-23を夫々0.1、1または10μM添加した夫々の細胞についての基礎培地を使用した。対照として、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加した夫々の細胞についての基礎培地を培養液として用いた。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよび蛍光タンパク質GFPのmRNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。GFPのmRNAは、ウリジンを含有するもの、またはウリジンに代えてシュードウリジンを含有するものを用いた。なお、シュードウリジンを含有するものについては、JSH-23を1μM添加した夫々の細胞についての基礎培地および、対照としてJSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加した夫々の細胞についての基礎培地を培養液として用いた。mRNAの量はヒト間葉系幹細胞の場合は10pg/細胞、ヒト筋芽細胞の場合は5pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0032】
次いで、夫々のリポフェクション溶液を、ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)(ヒト間葉系幹細胞)または、約2日(42時間)(ヒト筋芽細胞)培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)(ヒト間葉系幹細胞)、または約2日(42時間)(ヒト筋芽細胞)培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図2図5に示す。
【0033】
図2は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図3は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図4は、ヒト筋芽細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図5は、ヒト筋芽細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。各図において縦軸は、対照における細胞数を1としたときの夫々の相対細胞数を示す。図1および図2より、ヒト間葉系幹細胞において、ウリジンを含有するGFP mRNAを用いた際は、JSH-23を添加することにより、GFP陽性細胞数が増加し、1μMのJSH-23において最も増加することが確認された。試験した条件において、最大7倍以上の収量、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて7倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。またウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを用いた際についても、JSH-23を添加することにより、GFP陽性細胞が増加することが確認された。試験した条件において、最大7倍以上の収量を確保することができた。図3および図4より、ヒト筋芽細胞において、ウリジンを含有するGFP mRNAおよびウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAのいずれを用いても、JSH-23を添加することにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。試験した条件において、ウリジンを含有するGFP mRNAにおいては、3倍以上の収量、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて3倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。ウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAにおいては、2倍以上の収量を確保することができた。
【0034】
例2.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)およびヒト筋芽細胞(hSMM)へのGFP mRNA導入におけるカルシトリオールを用いた収量向上
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。ヒト筋芽細胞を、約20,000細胞/cmとなるように別の6ウェルプレートに播種した。培養液として、カルシトリオールを1μM添加した夫々の細胞についての基礎培地を使用した。対照として、カルシトリオールに代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加した夫々の細胞についての基礎培地を培養液として用いた。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよび蛍光タンパク質GFPのmRNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。GFPのmRNAは、ウリジンを含有するもの、またはウリジンに代えてシュードウリジンを含有するものを用いた。mRNAの量はヒト間葉系幹細胞の場合は10pg/細胞、ヒト筋芽細胞の場合は5pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0035】
次いで、夫々のリポフェクション溶液を、ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)(ヒト間葉系幹細胞)または、約2日(42時間)(ヒト筋芽細胞)培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)(ヒト間葉系幹細胞)または、約2日(42時間)(ヒト筋芽細胞)培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図6図9に示す。
【0036】
図6は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図7は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図8は、ヒト筋芽細胞にウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図9は、ヒト筋芽細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。各図において縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。以上より、ヒト間葉系幹細胞およびヒト筋芽細胞の両方において、ウリジンを含有するGFP mRNAおよびウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAのいずれを用いても、カルシトリオールを添加することにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。試験した条件において、ヒト間葉系幹細胞へのウリジンを含有するGFP mRNAの導入においては、7倍以上の収量、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて7倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。ヒト間葉系幹細胞へのウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAの導入においては、2.7倍以上の収量を確保することができた。また試験した条件において、ヒト筋芽細胞へのウリジンを含有するGFP mRNAの導入においては、5倍以上の収量、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて5倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。ヒト筋芽細胞へのウリジンに代えてシュードウリジンを含有するGFP mRNAの導入においては、4倍以上の収量を確保することができた。
【0037】
例3.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)およびヒト筋芽細胞(hSMM)へのTERT mRNA導入におけるJSH-23を用いた収量向上
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。ヒト筋芽細胞を、約20,000細胞/cmとなるように別の6ウェルプレートに播種した。培養液として、JSH-23を1μM添加した夫々の細胞についての基礎培地を使用した。対照として、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加した夫々の細胞についての基礎培地を培養液として用いた。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよびTERT mRNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。TERT mRNAは、ウリジンを含有するもの、またはウリジンに代えてシュードウリジンを含有するものを用いた。mRNAの量は、ヒト間葉系幹細胞の場合は10pg/細胞、ヒト筋芽細胞の場合は5pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0038】
次いで、夫々のリポフェクション溶液を、ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)(ヒト間葉系幹細胞)、または約2日(42時間)(ヒト筋芽細胞)培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)(ヒト間葉系幹細胞)、または約2日(42時間)(ヒト筋芽細胞)培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。結果を図10図13に示す。
【0039】
図10は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。図11は、ヒト間葉系幹細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。図12は、ヒト筋芽細胞にウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。図13は、ヒト筋芽細胞にウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。各図において縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。以上より、ヒト間葉系幹細胞およびヒト筋芽細胞の両方において、ウリジンを含有するTERT mRNAおよびウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAのいずれを用いても、JSH-23を添加することにより、生細胞数が増加することが確認された。試験した条件において、ヒト間葉系幹細胞へのウリジンを含有するTERT mRNAの導入においては、1.5倍以上の細胞、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて1.5倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。ヒト間葉系幹細胞へのウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAの導入においては、1.3倍以上の細胞を確保することができた。また試験した条件において、ヒト筋芽細胞へのウリジンを含有するTERT mRNAの導入においては、7倍以上の細胞、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて7倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。ヒト筋芽細胞へのウリジンに代えてシュードウリジンを含有するTERT mRNAの導入においては、5倍以上の細胞を確保することができた。
【0040】
例4.免疫抑制の強化
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)へのGFP mRNA導入におけるJSH-23を用いたTNF-α発現量の低下
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。培養液として、JSH-23を10μM添加したαMEM(+10%血清)を使用した。対照として、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加したαMEM(+10%血清)を培養液として用いた。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよび蛍光タンパク質GFPのmRNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。GFPのmRNAは、ウリジンに代えてシュードウリジンを含有するものを用いた。mRNAの量は10pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0041】
次いで、夫々のリポフェクション溶液を、ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞を、PureLink RNA Mini kitを使用して、製造元のプロトコルに従い、細胞の溶解およびRNAの抽出、精製を行った。
精製したRNAから、SuperScript(商標)III Reverse Transcriptaseを使用して、製造元のプロトコルに従い、cDNAを合成した。合成されたcDNAおよびPCRプライマーならびにPowerTrack(商標)SYBR Green Master Mixを使用して、qPCRを行った。測定されたTNF-αのCt値は、ハウスキーピング遺伝子であるβアクチンのCt値で正規化した。結果を図14に示す。
【0042】
図14は、対照におけるTNF-αの発現量を1としたときの、シュードウリジンを用いたmRNAを導入した細胞およびシュードウリジンを用いたmRNAを、JSH-23を用いて導入した細胞における発現量を示すグラフである。mRNA導入時にシュードウリジンを用いることは、TLR(Toll様受容体)の活性化を低減することにより、そのシグナル下流にあるNFκBやTNF-αの活性化を低減し、細胞死を防ぐことにある。しかしながら、図14に示されるとおり、シュードウリジンを用いるのみではTNF-αの発現量は増加している。これに対して、さらにJSH-23を用いることにより、シュードウリジンを用いた場合と比べて、よりTNF-αの発現量が低減されることが確認された。
【0043】
例5.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)へのTERTプラスミド導入におけるJSH-23を用いた収量向上
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。培養液として、JSH-23を1μM添加したαMEM(+10%血清)を使用した。対照として、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加したαMEM(+10%血清)を培養液として用いた。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよびTERTプラスミドDNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。プラスミドDNAの量が10pg/細胞となるように調製した。
【0044】
次いで、リポフェクション溶液を、ヒト間葉系幹細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて18時間培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて18時間培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。結果を図15に示す。
【0045】
図15は、ヒト間葉系幹細胞にTERTプラスミドを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、生細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。以上より、JSH-23を添加することにより、生細胞数が増加することが確認された。試験した条件において、1.4倍以上の細胞、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて1.4倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。
【0046】
例6.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)およびヒト筋芽細胞(hSMM)へのGFPウイルスベクター導入におけるJSH-23を用いた収量向上
ヒト間葉系幹細胞を、約2,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。ヒト筋芽細胞を、約2,000細胞/cmとなるように別の6ウェルプレートに播種した。培養液として、JSH-23を添加した夫々の細胞についての基礎培地を使用した。JSH-23は、ヒト間葉系幹細胞に用いた培養液には1μMを、ヒト筋芽細胞に用いた培養液には0.1μMを添加した。対照として、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加した基礎培地、ヒト間葉系幹細胞の場合はαMEM(+10%血清)、ヒト筋芽細胞の場合はMCDB131(+10%血清)を培養液として用いた。
GFPウイルスベクターとポリブレン溶液とを混合し、混合液を調製した。GFPウイルスベクターの量がMOI10に、ポリブレンの量が5μg/mLとなるように調製した。
【0047】
次いで、上記混合液を、ヒト間葉系幹細胞またはヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて24時間培養した。培養後、夫々の細胞について、GFPウイルスベクター、ポリブレンおよびJSH-23を含有しない培養液(ウイルス不含培養液)に置換した。
ウイルス不含培養液の添加からから4日後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図16図17に示す。
【0048】
図16は、ヒト間葉系幹細胞にGFPウイルスベクターを導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。図17は、ヒト筋芽細胞にGFPウイルスベクターを導入した際の夫々の培養液における、GFP陽性細胞数を示すグラフである。各図の縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。以上より、ヒト間葉系幹細胞およびヒト筋芽細胞の両方において、JSH-23を添加することにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。
【0049】
例7.ヒト筋芽細胞(hSMM)へのGFPウイルスベクター導入におけるカルシトリオールを用いた収量向上
ヒト筋芽細胞を、約2,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。培養液として、カルシトリオールを1μM添加したMCDB131(+10%血清)を使用した。対照として、カルシトリオールに代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加したMCDB131(+10%血清)を培養液として用いた。
GFPウイルスベクターとポリブレン溶液とを混合した。ウイルスベクターの量を、MOI0.1、5または10から、ポリブレンの量を、0、5または10μg/mLとなるように夫々混合液を調製した。
次いで、上記混合液を、ヒト筋芽細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて24時間培養した。培養後、GFPウイルスベクター、ポリブレンおよびJSH-23を含有しない培養液(ウイルス不含培養液)に置換した。
ウイルス不含培養液の添加から4日後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図18に示す。
【0050】
図18は、ヒト筋芽細胞にGFPウイルスベクターを導入する際に、夫々の混合液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、ポリブレンが5μg/mL、ウイルスベクターのMOIが0.1である混合液における細胞数を1としたときの夫々の相対細胞数を示す。以上より、カルシトリオールを添加することにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。いずれの量のウイルスベクターまたはポリブレンについても、カルシトリオールの添加により、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。トランスダクション条件によっては、約4.5倍増加していた。
【0051】
例8.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)へのGFP mRNA導入におけるJSH-23を用いた導入遺伝子量の向上
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。培養液として、JSH-23を1μM添加したαMEM(+10%血清)またはJSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加したαMEM(+10%血清)を培養液として用いた。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよび蛍光タンパク質GFPのmRNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。mRNAの量は10pg/細胞または20pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0052】
次いで、mRNAの量が20pg/細胞となるように調製したリポフェクション溶液を、培養液としてJSH-23またはDMSOを添加したαMEM(+10%血清)を用いたプレートに夫々添加した。対照として、mRNAの量が10pg/細胞となるように調製したリポフェクション溶液を、培養液としてDMSOを添加したαMEM(+10%血清)を用いたプレートに添加した。続いてCO2インキュベータで37℃にて18時間培養した後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて18時間培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図19に示す。
【0053】
図19は、各条件においてヒト間葉系幹細胞にGFP mRNAを導入した際の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。リポフェクション溶液中のGFP mRNAの量を10pg/細胞から20pg/細胞に増加させると、GFP陽性細胞数が減少するが、GFP mRNAの量を20pg/細胞としても、JSH-23を添加することにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。
一般に、導入遺伝子量を増加させると、死細胞が増加するが、本発明の剤を用いることにより、生存率が高いまま高濃度の遺伝子導入が可能となる。したがって、細胞への遺伝子の導入効率をさらに向上させることができると考えられる。
【0054】
例9.siRNA(TNF-α、IFN-α)による自然免疫回避
ヒト間葉系幹細胞を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。
OptiMEMにLipofectamine RNAiMAXおよび蛍光タンパク質GFPのmRNAを添加して、リポフェクション溶液を調製した。mRNAの量が10pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液に、TNF-αおよびIFN-αのsiRNAを5nMとなるように添加した。対照には、Negative Control siRNAを5nMとなるように添加した。siRNAを添加したリポフェクション溶液を、夫々製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0055】
次いで、夫々のリポフェクション溶液を、ヒト間葉系幹細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて18時間培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に夫々置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト間葉系幹細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて18時間培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞剥離液で細胞を剥離し、遠心分離機を用いて600xgで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図20に示す。
【0056】
図20は、ヒト間葉系幹細胞にGFP mRNAを導入する際に、夫々のsiRNAを添加したリポフェクション溶液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。以上より、ヒト間葉系幹細胞において、リポフェクションの際にTNF-αおよびIFN-αのsiRNAを用いることにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。試験した条件において、1.5倍以上の収量、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて1.5倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。
【0057】
例10.ヒト白血病T細胞(Jurkat E6.1)へのCAR-Tプラスミド遺伝子導入におけるJSH-23を用いた収量向上
ヒト白血病T細胞(Jurkat E6.1)を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。培養液として、10%ウシ血清を含むRPMI1640培地を用いた。これにJSH-23を0.1μM添加、あるいは比較のために、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加して用いた。
OptiMEMにLipofectamine 2000およびGFPでタグ付けしたCAR-Tプラスミドを添加して、リポフェクション溶液を調製した。CAR-Tプラスミドの量は、1pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0058】
次いで、リポフェクション溶液を、ヒト白血病T細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト白血病T細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞を回収し、遠心分離機を用いて800rpmで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞は、血球計算盤を使用してカウントした。さらに、集めた細胞を、フローサイトメーターを用いて、GFPの陽性率を測定した。カウントされた細胞数とGFP陽性率から、GFP陽性細胞数の収量を算出した。結果を図22に示す。
【0059】
図22は、ヒト白血病T細胞にGFPでタグ付けしたCAR-Tプラスミド遺伝子を導入する際に、夫々の培養液を用いた場合の、GFP陽性細胞数を示すグラフである。縦軸は、対照における細胞数を1としたときの相対細胞数を示す。以上より、JSH-23を添加することにより、GFP陽性細胞数が増加することが確認された。試験した条件において、2倍以上の細胞、すなわち、同じ細胞数から開始して、対照に比べて2倍以上の遺伝子導入細胞を確保することができた。
【0060】
例11.プラスミド遺伝子導入時の免疫抑制の評価
ヒト白血病T細胞(Jurkat E6.1)を、約10,000細胞/cmとなるように6ウェルプレートに播種した。培養液として10%ウシ血清を含むRPMI1640培地を用いた。これにJSH-23を0.1μM添加、あるいは比較のために、JSH-23に代えて、DMSO 0.1%(v/v)を添加して用いた。
OptiMEMにLipofectamine 2000および蛍光タンパク質GFPでタグ付けしたCAR―Tプラスミドを添加して、リポフェクション溶液を調製した。プラスミドの量は1pg/細胞となるように調製した。調製したリポフェクション溶液を、製造元の推奨プロトコルに従ってよく混合し、約15分間室温にて静置した。
【0061】
次いで、リポフェクション溶液を、ヒト白血病T細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)培養した。培養後、リポフェクション溶液を含む培養液を全て除去し、夫々リポフェクション溶液添加前と同じ組成の新たな培養液に置き換えた。
さらに6時間後、上記のリポフェクション溶液を新たに調製し、再度ヒト白血病T細胞を播種したプレートに添加し、CO2インキュベータで37℃にて約1日(18時間)培養した。これらの工程を、遺伝子導入が合計4回となるよう繰り返した。
最後の遺伝子導入から24時間後に、細胞を回収し、遠心分離機を用いて800rpmで5分間遠心し、細胞を集めた。集めた細胞PureLink RNA Mini kitを使用して、製造元のプロトコルに従い、細胞の溶解およびRNAの抽出・精製を行なった。
精製したRNAから、SuperScript(商標)III Reverse Transcriptaseを使用して、製造元のプロトコルに従い、cDNAを合成した。合成されたcDNAおよびPCRプライマーならびにPowerTrack(商標)SYBR Green Master Mixを使用して、qPCRを行った。測定されたTNF-αのCt値は、ハウスキーピング遺伝子であるβアクチンのCt値で正規化した。結果を図23および24に示す。
【0062】
図23は、GFPでタグ付したCAR-Tプラスミドを導入した細胞およびCAR-Tプラスミドを、JSH-23を用いて導入した細胞におけるTNF-αの発現量を示すグラフである。縦軸は、プラスミドを導入しないヒト白血病T細胞である対照におけるTNF-αの発現量を1としたときの夫々の相対発現量を示す。図24は、GFPでタグ付したCAR-Tプラスミドを導入した細胞およびCAR-Tプラスミドを、JSH-23を用いて導入した細胞におけるIFN-αの発現量を示すグラフである。縦軸は、プラスミドを導入しないヒト白血病T細胞である対照におけるIFN-αの発現量を1としたときの夫々の相対発現量を示す。以上より、JSH-23を用いてCAR-Tプラスミドを導入した場合には、JSH-23を用いずにCAR-Tプラスミドを導入した場合に比べ、TNF-α、IFN-α両方の遺伝子の発現量の増加が低減されることが確認された。
【0063】
TNF-αおよびIFN-αは、免疫系の活性の指標であり、それぞれ外来性遺伝子が細胞内に取り込まれた際の免疫応答として発現量が高まる。過剰な免疫応答は細胞死につながるため、免疫応答の抑制は外来遺伝子導入細胞の作製に向けた課題であった。しかしながら、図23および24に示されるとおり、JSH-23を用いることにより、TNF-αおよびIFN-αの発現量増加の低減、すなわち、免疫応答の抑制が可能となることが見出された。この免疫応答の抑制が、遺伝子導入細胞の収量向上につながると考えられる。
【要約】
【課題】本発明は、遺伝子導入による免疫応答を回避させることを課題とする。
【解決手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねる中で、遺伝子の導入される細胞における自然免疫を抑制することで、自然免疫による細胞死を回避し、遺伝子導入細胞の収量を増加させることができることを見出し、かかる知見に基づき、さらに研究を重ねることで、本発明を完成するに至った。
【選択図】図2
図1
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【配列表】
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