(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】再生装置
(51)【国際特許分類】
G11B 3/38 20060101AFI20230501BHJP
G11B 3/12 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
G11B3/38
G11B3/12
(21)【出願番号】P 2022177246
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2022122271の分割
【原出願日】2022-07-29
【審査請求日】2023-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322006308
【氏名又は名称】シングス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 聡太
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-287797(JP,A)
【文献】実開昭54-081704(JP,U)
【文献】特開昭56-065305(JP,A)
【文献】特開昭56-094551(JP,A)
【文献】特開昭56-137556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 3/38
G11B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコード盤に記録された音声を再生する再生装置であって、
レコード盤を回転させる回転部と、
前記回転部の側方に配置され、液体、粉体またはゲルを収容可能な容器と、
前記容器内に収容された静止状態の液体、粉体またはゲルに浮かべるためのフロートと、
前記フロートから前記回転部の方向に延設されたアームと、
前記アームに取り付けられ音声再生用針を有するフォノカートリッジと、
を備えた再生装置。
【請求項2】
前記フロートは前記フォノカートリッジのトラッキング方向と並行な軸を中心として回動可能な形状である請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記フロートは、回転体形状である請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記レコード盤に設けられた音溝から前記音声再生用針が受ける力をガイドするガイド機構を更に備えた請求項1に記載の再生装置。
【請求項5】
前記ガイド機構は、
前記フロートを貫通する、前記フォノカートリッジのトラッキング方向と並行な棒状のシャフト、を含む請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記ガイド機構は、
更に、前記シャフトを摺動可能に支持するリング、を含む請求項5に記載の再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、レコード盤(Vinyl)11の一方に設けられた1つの容器5内の水にフロート6を浮かべ、そのフロート6にトーンアーム1が取り付けられた再生装置が開示されている(
図4)。
【0003】
特許文献2には、レコード盤16の上方に設けられた1つの容器10内の流体にフロート14を浮かべ、そのフロートにトーンアーム26が取り付けられた再生装置が開示されている(
図1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】露国特許2463675号公報
【文献】米国特許3,235,267
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、偏心やそりが大きいレコード盤を再生した際にフォノカートリッジの針がレコード盤から周期的な力を受けると、フォノカートリッジの姿勢が安定しなかった。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
レコード盤に記録された音声を再生する再生装置であって、
レコード盤を回転させる回転部と、
前記回転部の近傍に配置され、液体、粉体またはゲルを収容可能な容器と、
前記容器内に収容される液体、粉体またはゲルに浮かべるためのフロートと、
前記フロートから前記回転部の方向に延設されたアームと、
前記アームに取り付けられ音声再生用針を有するフォノカートリッジと、
を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高音質で安定した音声の再生を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【
図2】第2実施形態に係る再生装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】第2実施形態に係る再生装置の動作を示す平面図である。
【
図4】第2実施形態に係る再生装置の動作を示す断面図である。
【
図5】第3実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【
図6】第3実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【
図7】第3実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【
図8】第3実施形態に係る再生装置のメリットを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての再生装置100について、
図1を用いて説明する。再生装置100は、レコード盤110に記録された音声を再生する再生装置である。
【0012】
図1に示すように、再生装置100は、回転部101と、容器102と、フロート103と、アーム104と、フォノカートリッジ105とを含む。
【0013】
回転部101は、レコード盤110を回転させる。
【0014】
容器102は、回転部101の近傍に配置され、液体、粉体またはゲルを収容可能である。
【0015】
フロート103は、容器102内に収容される液体、粉体またはゲルに浮かべるためのものである。
【0016】
アーム104はフロート103から回転部101方向に延設されている。
【0017】
フォノカートリッジ105は、アーム104に取り付けられ音声再生用針151を有する。
【0018】
以上の構成によれば、レコード盤110に偏心やそりが存在しても、フォノカートリッジ105は、姿勢を大きく変化させることなく針圧を一定にすることができ、ひいては高音質の再生装置を提供できる。
【0019】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る再生装置について、
図2を用いて説明する。
図2は、再生装置200の概要を説明するための斜視図である。
【0020】
レコード盤に記録された音声を再生する再生装置200は、回転部201と、容器202と、フロート203と、アーム204と、フォノカートリッジ205とを備えている。
【0021】
回転部201は、レコード盤210を回転させる。
【0022】
容器202は、回転部201の近傍に配置され、液体、粉体またはゲルを収容可能である。
【0023】
フロート203は、容器202内に収容される液体、粉体またはゲルに浮かべるためのものである。
【0024】
アーム204は棒状であって、フロート203から回転部201方向に延設されている。
【0025】
フォノカートリッジ205は、アーム204の一端に取り付けられ音声再生用針251を有する。
【0026】
アーム204は、自身にかかる荷重やフォノカートリッジ205の針から伝わってくる荷重により変形しないように、剛性の高く振動吸収性を有する鉄鋼などで形成されている。
【0027】
回転部201は、いわゆるターンテーブルを含む構成であり、レコード盤210を時計回りに回転させるための回転駆動機能を有している。回転部201は回転中心軸としてセンタースピンドル211を有している。
【0028】
本実施形態では回転部201は、例として上方から正方形に見える平板形状である。
【0029】
容器202は、直方体であり、回転部201の一辺を構成する側面に沿って配置されている。
【0030】
回転部201および容器202は、平板状のベース209に固定されている。
【0031】
回転部201は、ベース209の上に、レコード盤210を回転させるためのターンテーブルとして機能する。
【0032】
容器202は、例えば、樹脂、金属、ガラス、陶器などの材質で形成されている。容器202は、ここでは、例えば水などの液体220を収容している。フロート203は、容器202内に収容される液体、粉体またはゲルなどの流体に浮かべられる。容器202内の流体を水以外の物質から選択することで質量や粘性係数を調整することができる。
【0033】
フロート203は、例えば断面が円形または楕円形の柱状部材であって回動可能である。フロート203は、容器204内に収容される流体と比べて比重の小さい材質、例えば発泡スチロール、木材などで形成されている。
【0034】
アーム204の他端はフロート203を貫通して、カウンタウエイト241が固定されている。
【0035】
アーム204は、フロート203内部でフロート203の回動軸と交差していることが望ましい。なぜなら、そのように交差させることにより、アーム204とフォノカートリッジ205とカウンタウエイト241を合わせた物体の重心とフロート203と中空軸231とリング232,233を合わせた物体の重心を安定して一致させることが可能となるからである。このため、アーム軸と水平面とのなす角度がレコード盤の反りに追従する時に変化しても、浮上ユニットにかかるR軸まわりの力のモーメントが釣り合う。具体的には、浮上ユニットの重心よりもフォノカートリッジ205側にかかる力のモーメントと、浮上ユニットの重心よりもカウンタウエイト241側にかかる力のモーメントとが釣り合う。結果として針圧が大きく変化しないため、レコード盤の反りが音質に大きな影響を与えない。例えば、針圧0.02N、アーム長さ200mm、レコード盤の反り量1.5mmアーム・フォノカートリッジ・カウンタウエイトを合計した質量が150gの場合、この影響による針圧の変化を針圧の1%以下に抑えるためには、交差しているアーム軸と回転軸の距離(ズレ)を約4mm以内にすることが望ましい。
【0036】
カウンタウエイト241は、針圧を調整する機能を有し、その形状は円柱形状などで、材質は比重の大きい銅や鉛などが用いられている。
【0037】
アーム204は、長尺の丸棒または角棒形状であり、音声再生用針251の先端からセンタースピンドル211の回転軸に下ろした垂線が、アーム204の軸とねじれの位置において直交するように、音声再生用針251が配置されている。
【0038】
また、フロート203の移動方向(R軸方向)が、音声再生用針251とセンタースピンドル211とを結ぶ直線と平行になるように配置される。
【0039】
アーム204が、フロート203の移動方向長さの中心を貫通するように配置されることが好ましい。フロート203は、この移動方向長さの中心を通り、R軸に垂直な面に対して対称な形状(例えば円柱)であることが望ましい。
【0040】
フロート203はフォノカートリッジ205のトラッキング方向Tと並行な軸Rを中心として回動可能である。
【0041】
ベース209には直方体の2つの支柱291、292が2つ固定されており、支柱291、292の間には、R軸方向に棒状のシャフト293が固定されている。シャフト293の位置と姿勢はR軸と同軸となるように調整することが好ましい。
【0042】
支柱291、292とシャフト293の材質は、ともに、剛性の高い鉄鋼などの素材である。さらにシャフト293の表面には摩擦係数が0.1以下のフッ素樹脂などの材質でコーティングすることが望ましい。
【0043】
一方、フロート203には円筒形状の中空軸231がR軸と同心上にフロート203を貫通して固定されている。中空軸231はアームと同様に、剛性の高い鋼材などによって形成されている。
【0044】
中空軸231の両端には、中空軸231と同心のリング232、233が2つ固定されている。リング232、233は、軸方向のフロート203の動きをガイドする摺動部として機能する。そのため、リング232、233は、フッ素樹脂など摩擦係数が0.1以下の材質で形成されていることが望ましい。
【0045】
シャフト293はリング232、233に貫入された状態で、支柱291と支柱292に支持されている。
【0046】
これにより、フロート203とこれに固定されている部品(アーム204、カウンタウエイト241、フォノカートリッジ205、音声再生用針251、中空軸231、リング232、233)からなる浮上ユニットが一体となってR軸回りに回動する。
【0047】
リング232、233とシャフト293との間に鉛直方向の力が働かない位置に液体220の水位を調整する。つまり、リング232、233とシャフト293が同軸となる位置に流体等220の水位を調整する。
【0048】
支柱291、292、シャフト293、中空軸231およびリング232、233が、レコード盤210に設けられた音溝から音声再生用針251が受ける力をガイドするガイド機構として機能する。ガイド機構は、浮上ユニットが音声再生用針251の先端でレコード盤210の接点から受ける周速方向の力F2を受けとめ、音声再生用針271がセンタースピンドル211の方向に直線的に移動する動きをガイドする。
【0049】
フォノカートリッジ205はレコード盤210の音溝に形成された凹凸を読み取って電気信号に変換するための音声再生用針251と不図示の発電機構を備えている。
【0050】
多くのレコード盤は製造時の誤差により最大2mm程度偏心しているが、上述のように音声再生用針271を、センタースピンドル211の方向に直線的に移動させることができるので、レコード盤210の偏心に追従でき、音質の低下を抑制することができる。
【0051】
一方、多くのレコード盤には製造時の誤差や経年の変形により最大3mm程度の反りがある。その場合、反ったレコード盤210の回転に伴い、音声再生用針251とレコード盤210の上面の接点の鉛直方向の位置は周期的に変化する。回動自在なフロート203によってアーム204を支持したので、音声再生用針251が受ける力の変化を最小限にしつつ、音声再生用針271がレコード盤210との接点の鉛直方向の位置の変化に追従することができる(
図4)。
【0052】
ひいてはフォノカートリッジ205および音声再生用針251の姿勢を安定させることができる。結果として音声再生用針251は、レコード盤201の音溝の凹凸を純粋に検知できる。
【0053】
アーム204に固定(または連結)されたフロート203が液体220に浮かんだまま回動することで、レコードの反りによる上下の揺動を吸収するため、音質への悪影響を抑制することができる。
【0054】
音声再生用針251がレコード盤210に与える力(いわゆる針圧)が所定範囲(例えば0.001~0.01N)となるように、カウンタウエイト241の重量と位置とを調整することができる。
【0055】
図3に示すように、音声再生用針251は、回転部201上で回転するレコード盤210の溝に沿ってレコード盤210の外周部から中心方向(センタースピンドル211方向)に移動する。
【0056】
この音声再生用針251の移動に伴い、アーム204も姿勢を保ったまま(R軸となす角度を直角に保ったまま)移動する。
【0057】
逆にいえば、音声再生用針251が、レコード盤210の最外周からセンタースピンドル211まで移動可能となるように容器202およびフロート203の長さL1,L2が設定される。
【0058】
浮上ユニットの重量のうち、音声再生用針251がレコード盤210に与えるレコード回転面に垂直な方向の力(いわゆる針圧)を除いた分(99.0~99.9%)を、フロート203が液体220から受ける浮力によって支えることができる。これにより、フロート203が移動する際には、液体220から小さな抵抗しか受けず、非常にスムーズに移動することができる。
【0059】
このため、音声再生用針251は、回転中のレコード盤210の溝から受けたセンタースピンドル211方向の力により、非常に安定してセンタースピンドル211に向けて直線的に移動する。
【0060】
本実施形態では、フォノカートリッジ205・アーム204・フロート203・カウンタウエイト241が一体に固定(または連結)された浮上ユニットが浮力に支えられた状態で、上下方向とトラッキング方向の両方の揺動に追従するため、浮上ユニットの総重量を大きくしても、僅かにしか追従に対する抵抗力が大きくならない。そのため、浮上ユニットの総重量を大きくすることができる。
【0061】
フォノカートリッジ205を支持する構造の総重量を大きくすると、慣性によりフォノカートリッジ205の姿勢が安定し、音声再生用針251がレコード盤210の音溝の凹凸を忠実に音楽信号に変換できる。
【0062】
浮上ユニットは液体220に浮かんでいるため、針251がレコード盤210から受ける摩擦力によりR軸方向に移動しようとする。その際、レコード回転の周速方向(R軸と垂直な方向)にも力F2を受けるが、リング232、233とシャフト293との接点により、回転部201方向への浮上ユニットの移動と鉛直軸まわりの回転が制限され、R軸方向に平行移動する。つまり、浮上ユニットが音声再生用針251のリニアトラッキングガイドとして機能する。
【0063】
レコード盤210の回転時、音声再生用針251の先端とレコード盤210の接点の位置は、レコード盤210の偏心により、トラッキング方向Tに周期的に変化する。この周期的な位置変化に、浮上ユニットは液体等に浮かんだ状態で、姿勢を保ちながら追従する。つまり、レコード盤210の偏心による音声再生用針251の周期的な位置変化に対しても、浮上ユニットがリニアトラッキングガイドとして機能する。
【0064】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る再生装置500について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係る再生装置500の構成を説明するための図である。本実施形態に係る再生装置500は、上記第2実施形態と比べると、フロート駆動を規制するための構成が異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0065】
レコード盤210の偏心が1mm以上など大きい場合、レコード盤210の回転に伴い、浮上ユニット全体が大きく揺動する(
図6)。
【0066】
この問題を解決するために、第2実施形態のリング232、233等の代わりに、接触部532と、接触部532に接触させるためのシャフト593と、シャフト593をベース509に対して剛に固定するための部材591,592を設けた。シャフト593は例えば円柱状である。
【0067】
接触部532はフロート503のR軸方向の全長の中央に固定されている。接触部532の先端はシャフト593と点で接触するために尖った形状とする。
【0068】
レコード盤210の偏心に対して、接触部532の先端を中心として、浮上ユニット全体が回動する(
図6)。これにより、レコード盤210の偏心によって針が受けるモーメントを逃がし、音質に悪影響を与えるサイドフォース(音声再生用針251がレコード盤の音溝から受けるトラッキング方向Tの方向の力)を低減することができる。
【0069】
偏心量が±1.5mmでアーム長さが200mm程度だとすると、角度の変化は±0.5°以内にとどまり、音質への影響は僅少だと考えられる。
【0070】
板バネ531,533を、R軸方向において接触部532を挟むように、フロート503の回転部201側の表面に設けた。板バネ531,533をシャフト593に接触させることで、浮上ユニットの鉛直方向まわりの回動の中心が、接触部532の先端となるように調整することができる。
【0071】
板バネ531,533のバネ定数が大きすぎると揺動に伴って接触部532がシャフト593から離れてしまい、音質に悪影響が生じる。そのため、板バネのバネ定数は十分に小さく設定する必要がある。板バネ531,533のバネ定数は音声再生用針251の先端にかかる力F2により、接触部532の先端がシャフト592に接する位置まで容易にたわむ値、例えば0.001~0.005N/cmとする。
【0072】
接触部532、板バネ531,533とシャフト593とは、レコード盤210に設けられた音溝から音声再生用針251が受ける力をガイドするガイド機構として機能する。つまり、ガイド機構は、フロート203の側壁に設けられ、シャフト593に接触する、少なくとも2つの接触部を含む。
【0073】
接触部532と板バネ531,533とシャフト593とが互いに接触する面は、フッ素樹脂など摩擦係数が0.1よりも小さい材質でコーティングすることが望ましい。接触部532は、接触部としての板バネ531,533の間に設けられている。板バネ531,533は、接触部532よりも大きな弾性を備える(弾性係数が小さい)。接触部532は力F2による変形がなるべく小さく例えば0.1μm以下となるような縦弾性係数の大きい(高剛性の)材料が望ましい。
【0074】
図7に示すように、接触部532はR軸方向からみて円筒形状の一部となっていることが望ましい。レコード盤の回転時、レコード盤210の反りによるフロート503の周期的な回動時、接触部532のシャフト593との接点の位置が変化しないように、接触部532の先端のシャフト593との接触部はR軸を中心とする円弧に沿った形状とする。
【0075】
以上の実施形態において、フロート103,203、503は、回動可能な形状であった。そのメリットについて、
図8を用いて説明する。
【0076】
図8に示すように、フロートが円柱形状、円筒形状、円錐形状など回動自在な形状であれば、レコード盤の反りに対して、音声再生用針251がレコード盤210に針圧がほぼ一定のまま追従することができる。
【0077】
フロートは、1つに限定されない。複数のフロートを剛体で接合して用いてもよい。R軸方向に離間した2つのフロートを用いることで、安定した配置とすることもできる。
【0078】
音楽再生用針251の垂直方向位置を調整するため、容器202に流体220を供給したり排出したりするためのポンプ付きの外部タンクを設置してもよい。
【0079】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【要約】
【課題】高音質で安定した音声の再生を実現すること。
【解決手段】レコード盤に記録された音声を再生する再生装置であって、レコード盤を回転させる回転部と、前記回転部の近傍に固定配置され、液体、粉体またはゲルを収容可能な容器と、前記容器内に収容された静止状態の液体、粉体またはゲルに浮かべるためのフロートと、前記フロートから前記回転部の方向に延設されたアームと、前記アームに取り付けられ音声再生用針を有するフォノカートリッジと、を備えた再生装置。
【選択図】
図1