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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】コリオリ流量センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
G01F1/84
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020530586
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083554
(87)【国際公開番号】W WO2019110622
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】15/832,473
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ラング
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ルエッテン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・イー・シーリー
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-502960(JP,A)
【文献】特開平04-291119(JP,A)
【文献】特開昭62-075320(JP,A)
【文献】特開昭63-018219(JP,A)
【文献】特表2000-505896(JP,A)
【文献】特開平06-273210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローチューブを受け入れるように構成されている構造支持コンポーネントであって、前記フローチューブは流体のための流路を提供するように構成される、構造支持コンポーネントと、
流体が前記流路を通って流れている間に前記フローチューブおよび前記構造支持コンポーネントの振動を駆動するように構成されている機械駆動アセンブリであって、少なくとも1つの平面内の前記フローチューブの振動は、前記フローチューブが前記構造支持コンポーネントに結合されたときに減少する、機械駆動アセンブリと
を備え
前記構造支持コンポーネントは、その長さに沿って分布する複数のリブを備え、前記複数のリブは、前記フローチューブを受け入れるように構成され、
前記複数のリブは、互いに距離が離れたバックボーン構造を構成するアセンブリ。
【請求項2】
前記構造支持コンポーネントは、前記フローチューブが前記構造支持コンポーネントに結合されたときに、前記フローチューブから離れて延在する本体部を備え、前記本体部の第1の部分は前記フローチューブから第1の距離だけ離れて延在し、前記本体部の第2の部分は前記フローチューブから第2の距離だけ離れて延在し、前記第1の距離は前記第2の距離より大きい、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記構造支持コンポーネントは、前記フローチューブに結合されたときに、前記フローチューブの周りに部分的環状部を形成する、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記構造支持コンポーネントは、前記フローチューブに結合されたときに前記フローチューブの全長に沿って、前記フローチューブが前記全長に沿って前記構造支持コンポーネントの少なくとも一部と直接接触するように延在する、請求項1、2、または3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記構造支持コンポーネントは、第1および第2の領域において、第3の領域に対して異なっており、前記第3の領域は両側に前記第1の領域および前記第2の領域がある、請求項1から4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記フローチューブは、前記構造支持コンポーネントに可逆的に結合されるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記構造支持コンポーネントは、前記フローチューブから離れて横方向に延在する少なくとも1つのフィンを備える、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記フローチューブは、前記構造支持コンポーネントに結合される、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記フローチューブは、前記フローチューブの第2の配置と比べて高められた剛性を有する第1の配置を備える、請求項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コリオリ流量センサに関する。より詳細には、本開示は、コリオリ流量センサによって実行される測定の感度を改善する構造的修正を伴うコリオリ流量センサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
流動システムを通して送達される流体の特性の正確な測定は、バイオプロセッシングシステムおよび石油ガスパイプラインなどにおける様々な用途に重要である。流体の特性を測定するための一技術は、流量を使用するものである。これは、流体送達時に測定が実行されることを可能にし、関連する運転費を低減するのに有利である。すなわち、能動的流動システムは測定しながら運転可能であるものとしてよい。流量は、体積流量または質量流量のいずれかとして測定され得る。体積流量は、流体の密度が一定の場合に正確であるが、しかしながら、密度は温度、圧力、または組成とともに著しく変化し得るので、これはいつでも当てはまるわけではない。そのようなものとして、質量流量は、典型的には、流体流動を測定する上で信頼性が高い。質量流量を測定するための一方法は、コリオリ流量センサ(たとえば、流量計)を用いるものである。一般に、コリオリ流量センサは、振動チューブを通って移動するときに流体から結果として生じるコリオリの力を介して質量流量を測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
元々請求されていた主題と、範囲に関して釣り合いが取れているいくつかの実施形態が以下に要約されている。これらの実施形態は、請求されている主題の範囲を制限することを意図されず、むしろ、これらの実施形態は、可能な実施形態の概要を提示することのみを意図されている。実際、本開示は、以下で述べられている実施形態に類似するか、または異なり得る様々な形態を包含し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で提供されるのは、フローチューブを受け入れるように構成されている構造支持コンポーネントを備えるアセンブリであり、フローチューブは流体のための流路を提供するように構成される。さらに、アセンブリは、流体が流路を通って流れている間にフローチューブおよび構造支持コンポーネントの振動を駆動するように構成されている機械駆動アセンブリを含み、少なくとも1つの平面内のフローチューブの振動は、フローチューブが構造支持コンポーネントに結合されたときに減少する。
【0005】
本明細書において提供されるのは、フローチューブを通る流路を提供するように構成されているフローチューブを備えるアセンブリであり、フローチューブは、第1の領域と第2の領域とを有し、第1の領域および第2の領域は両方とも第3の領域より大きい剛性を有する。さらに、アセンブリは、流体が流路を通って流れている間にフローチューブの振動を駆動するように構成されている機械駆動アセンブリを含む。
【0006】
本明細書において提供されるのは、流体流動アセンブリを備えるシステムであり、流体流動アセンブリはフローチューブを備え、流体流動アセンブリは、フローチューブを通る流路を提供するように構成され、フローチューブは、第1の配置において第1の剛性を、第2の配置において第2の剛性を有する材料から形成され、第1の剛性は第2の剛性と異なる。さらに、システムは、流体が流路を通って流れている間にフローチューブの振動を駆動するように構成されている機械駆動アセンブリを含む。なおもさらに、システムは、フローチューブの振動を感知し、振動を示す信号を発生するように構成されているセンサを備える。
【0007】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、類似の文字は図面全体を通して類似の部分を表す添付図面を参照しつつ次の詳細な説明を読んだときによりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示によるコリオリ流量センサシステムのブロック図である。
図2】本開示による動作しているコリオリ流量センサアセンブリの振動を示す概略図である。
図3】均一な剛性を有するフローチューブのコリオリ位相シフトを示す図である。
図4】本開示による均一な剛性または可変剛性を有するフローチューブの位相シフトの比較を示す図である。
図5】本開示による均一または可変剛性を備えるフローチューブを有するコリオリ流量センサアセンブリの位相シフトを示す図である。
図6】本開示による可変剛性を有するコリオリ流量センサアセンブリのフローチューブの実装形態を示す図である。
図7】本開示によるコリオリ流量センサアセンブリのフローチューブの横および縦振動を示す概略図である。
図8】本開示によるドーサルフィンを有する構造支持コンポーネントの位相シフトを示す図である。
図9】本開示によるドーサルフィンを有する構造支持コンポーネントの横および駆動振動モードを示す図である。
図10】本開示によるコリオリ流量センサのフローチューブの様々な振動モードを示す図である。
図11】本開示による横および縦フィンを有する構造支持コンポーネントに結合されているフローチューブのコリオリ位相シフト感度を示す図である。
図12】本開示による二重フィンを有する構造支持コンポーネントを備えるフローチューブのコリオリ位相シフト感度を示す図である。
図13】本開示による構造支持特徴部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の1つまたは複数の特定の実施形態が以下で説明される。これらの実施形態について簡潔に説明するために、本明細書では、実際の実装形態のすべての特徴が説明されない場合がある。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトの場合のように、そのような実際の実装形態の開発において、実装形態毎に異なり得る、システム関係および事業関係の制約条件への適合など、開発者の特定の目標を達成するために多数の実装形態特有の決定が下されなければならないことは理解されるべきである。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかる可能性もあるが、それにもかかわらず、本開示を利用する当業者にとって設計、加工、および製造の日常業務であることは理解されるべきである。
【0010】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介するときに、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」は、これらの要素の1つまたは複数があることを意味することが意図されている。「備える、含む(comprising)」、「含む、備える(including)」、および「有する、持つ(having)」という言い回しは、包含的であることが意図されており、列挙されている要素以外に追加の要素があり得ることを意味する。
【0011】
コリオリ流量センサは、バイオプロセッシングシステムなどの、流体送達を伴う多数の用途において有用である。一般に、コリオリ流量センサは、コリオリの力の結果生じる1つまたは複数の振動するフローチューブの位相シフトを測定することによって動作する。コリオリの力の効果を高め、次いで結果として質量流量感度および感知振幅(高信号対雑音比:SNR)を高める、コリオリ流量センサ設計を提供することが有益である。いくつかのコリオリ流量センサは、長さに沿って均一な連続チュービングと併せて使用されることが多い。
【0012】
コリオリ流量センサを実装するいくつかのアプローチは、チュービング、および対応する流体流路を、都合のよい幾何学的形態に成形することによって流量感度を増幅することを目指す。しかしながら、コリオリ流量センサの測定感度を改善することに加えて、コリオリ流量センサは、また、センサ読み取り値の精度に影響を及ぼし得る環境外乱に対してロバストであるべきである。チュービングの幾何学的形態を修正する多くのアプローチは、結果として、大きなチュービングループを形成し、これは外乱も増幅される(次いで、センサ精度を低下させる)のでゼロ点安定性における有利な点を有しない。したがって、有効信号対雑音比は同じままであり得る。さらに、これらの構成は、流体流動システム内に追加の領域をも占有し、ループした幾何学的形態は流体流路を修正し、これは圧力損失、流速、剪断速度、トラッピング、排出、および摩耗に影響を及ぼす。
【0013】
本開示は、信号対雑音比が改善されたコリオリ流量センサアセンブリを対象とする。アセンブリは、振動力の損失を低減する特徴部を有するフローチューブ(たとえば、使い捨てフローチューブ)を備え得る。一実施形態において、コリオリ流量センサアセンブリは、長さに沿って可変剛性を有するフローチューブを備え得る。以下で詳しく説明されているように、フローチューブに沿った可変剛性は、振動チューブのコリオリ位相シフトを高めることによって、および他の振動モード(たとえば、構造振動モード)からの寄与分を機械駆動アセンブリによってもたらされる振動まで低減することによってコリオリ流量センサアセンブリの性能を改善する。いくつかの実施形態において、フローチューブに沿って可変剛性であることは、フローチューブの修正の結果である(たとえば、内壁厚さを変える、またはフローチューブの材質をその長さに沿って変える)。他の実施形態において、フローチューブに沿った可変剛性は、センサ雑音に寄与する傾向のある振動モードを含むいくつかの軸に剛性を付与する外部構造支持コンポーネントの結果である。さらに、可変剛性特徴部を組み込むことで、ループした、または他の幾何学的形状のフローチューブ構造なしでコリオリ流量センサアセンブリが使用され得る。たとえば、開示されている技術は、真っ直ぐな、またはループしていないフローチューブを備えるコリオリ流量センサアセンブリに適用されてよく、それにより、従来のループしたセンサフローチューブに関連するいくつかの不利点(たとえば、領域を占有する、流体流路を修正する効果)を減らすか、またはなくす。すなわち、開示されている技術を介して達成される信号対雑音比の改善は真っ直ぐな、またはループしていないフローチューブで達成される。しかしながら、開示されている技術は、そのようなアセンブリにおいて信号対雑音比を高めるためにループまたは他の幾何学的形状を有するフローチューブと併せても使用され得ることが理解されるべきである。
【0014】
次に図を参照すると、図1はコリオリ流量センサシステム10の一実施形態を例示する図である。コリオリ流量センサシステム10は、センサアセンブリ14に結合されている電子回路12を備える。センサアセンブリ14は、フローチューブおよびフローチューブの剛性を高める1つまたは複数の特徴を備え得る。
【0015】
一実施形態において、センサアセンブリ14は、流体流路を提供するフローチューブに沿って可変剛性をもたらす流体流動アセンブリ18を備える。たとえば、センサアセンブリは、流体22を保持するための可変剛性フローチューブ20を備え得る。別の実施形態において、可変剛性フローチューブ20は、いくつかの軸においてフローチューブ20の移動を制約することによって可変剛性を付与し、および/または高める構造支持コンポーネント24に結合され得る。いくつかの実施形態において、可変剛性は、フローチューブ20それ自体と一体の特徴を介して達成されるものとしてよく、フローチューブ20は、構造支持コンポーネント24あり、またはなしで、システム10と併せて使用され得る。本明細書において提供される他の実施形態において、構造支持コンポーネントは、均一剛性フローチューブ(すなわち、本明細書において開示されている可変剛性特徴部を備えないフローチューブまたは図2に示されているようなフローチューブ17などの長さに沿って概して一定の剛性を有するフローチューブ)と併せて使用されてよい。
【0016】
それに加えて、センサアセンブリ14は、いくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサ26と1つまたは複数のアクチュエータ16とを備え得る。当業者であれば、センサアセンブリ14の1つまたは複数のコンポーネントは、使い捨て部品として構成されてよく、他のコンポーネントは、再利用可能な常駐部品として構成されてよいことを理解するであろう。その目的のために、いくつかのコンポーネントが使い捨てである実装形態において、使い捨てコンポーネントは、常駐部品から分離されていてよい(たとえば、適切なツールを使用して、または手で操作者によって)。たとえば、フローチューブ20、1つもしくは複数のアクチュエータ16、または1つもしくは複数のセンサ26のうちの少なくとも1つは使い捨て部品であってよく、他の部品は再利用可能な常駐部品として構成される。当業者であれば、使い捨て部品は、特定のプロセス必要条件で定められた間隔で非常に低いコストにより交換され得ることを理解するであろう。それに加えて、いくつかの実装形態において、フローチューブ20は、コリオリ流量センサを丸ごと交換しなくても、変更され得る。使い捨て部品サブシステムは、高精度測定結果を取得すること、コリオリ流量センサシステム10の一部を再利用することを可能にし、1回限り使用する用途への柔軟性を提供し、コストおよび材料の節約を達成する。
【0017】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、フローチューブ20は、機械的振動子28と結合されるか、または機械的振動子28とともにアセンブリを形成し、それにより、機械的振動子28の動作中に振動する剛体チュービングの形態をとり得る。1つまたは複数のアクチュエータ16は、機械的振動子28およびフローチューブ20を通る流体22内の要求された振動数範囲にわたって適切な振幅の振動を誘起するために使用される。機械的振動子28およびアクチュエータ16は、機械駆動アセンブリ30と総称される。1つまたは複数のセンサ26は、フローチューブ20を通って流れる流体22によって引き起こされるコリオリ応答を示す信号を提供するように構成される。1つまたは複数のセンサ26は、たとえば、電磁センサ、または光学センサ、および関連するコンポーネントを含み得る。
【0018】
フローチューブ20は、流体の流れを可能にする内部通路を備える導管として構成されるものとしてよく、限定はしないが、単一の、二重もしくは多重ループ構成、分流、ストレートチューブ、向流または並行流構成を含む形状に形成され得る。いくつかの実装形態において、フローチューブ20は、たとえば、機械的振動子の振動モード(調和振動数)に対する影響が支配的ではないポリマーから作られる。他のいくつかの例において、フローチューブ20は金属から作られる。さらに他のいくつかの例において、フローチューブ20はガラスから作られる。フローチューブ材料は、いくつかの例において、温度、圧力、測定されるべき流体の特性(たとえば、腐食性)などの、バイオプロセッシングアプリケーションの特定の要件に合わせて手直しされる。さらに、フローチューブ20は、本明細書において提示されているように長さに沿って可変剛性を促進する壁厚さまたは材料特徴を持つように実装され得る。フローチューブ20は、流体処理システムに対するインライン流体流感知を可能にするように配置され得る。したがって、フローチューブは、より大きい流体処理システムの流体導管と流体的に連通し得る。
【0019】
コリオリ流量センサシステム10は、センサアセンブリ14に結合されている電子回路12も備える。電子回路12は、所望の振動数および大きさの振動をフローチューブ20内に発生させるために1つまたは複数のアクチュエータ16をトリガーする駆動回路32を備える。コリオリ流量センサシステム10は、フローチューブ20からのコリオリ応答を受け取るためのセンサ回路34をさらに備える。電子回路12は、センサ26から受信したコリオリ応答信号を処理して流体の1つまたは複数の特性を表す1つまたは複数の測定結果を生成するためのプロセッサ36をさらに備える。これらの測定結果は、ユーザインターフェース38を介して表示される。電子回路12は、さらなる使用および通信のために測定結果を記憶し、駆動回路32に使用するデータを記憶するためのメモリ40と、センサ回路34も備える。
【0020】
動作時に、電子回路12は、流体22に伝えられる、フローチューブ20内の振動を発生するように1つまたは複数のアクチュエータをトリガーする。これらの振動により、コリオリ応答(振動の振幅および位相)は流体中に生成され、フローチューブ20を通じてセンサ26によって感知される。センサ26からの感知されたコリオリ応答信号は、さらに処理を行って流体流を含む流体の1つまたは複数の特性の測定結果を取得するために電子回路12に伝送される。
【0021】
システム10は、任意の流体流動システムにおける流体特性を評価するために使用され得る。開示されているように、流体特性は、多様な製造および/または流体流動プロセスの運転中に評価され得る。本明細書において説明されるシステム10のいくつかの用途は、半導体産業におけるウェハの加工、および有機物流体の使用を伴う医療用途を含む。これらのうちのいくつかは高純度用途であり、たとえばポリマー、または他の化学的に不活性な材料から作られているフローチューブ20の使用は、そのような用途に有利である。いくつかの他の用途では、ガラスのような電気的に不活性で、熱伝導率の低い材料から形成されたフローチューブ20が有利である。
【0022】
図2は、例示的な振動モードの振動図42、44、および46を示している。振動図42は、振動図44および46に関する均一剛性フローチューブ17を示しており、これは本明細書で提示されているようなコリオリ流量センサシステム10と併せて使用され得る可変剛性を有するフローチューブ20とともに流体流動アセンブリ18を示す。図示されているように、各フローチューブ20は、各フローチューブ20の振動を駆動する機械的振動子28に結合され得る。システム10は、振動を感知する2つのセンサ26を備え得る。
【0023】
振動図44および46に示されているフローチューブ20は、フローチューブ20に沿って位置決めされている剛性を高めた1つまたは複数の領域23を備える。剛性を高めた領域は、剛性の低い領域25に相対的である。いくつかの実施形態において、フローチューブ20の1つまたは複数が剛性の低い領域25と比べて1つまたは複数の領域23内で異なる材料から形成され、剛性の低い領域25内のフローチューブ20の壁厚さと比べて領域23内のフローチューブ20の壁厚さが大きい結果として、またはフローチューブに結合される1つまたは複数の構造支持コンポーネント24(たとえば、図7に示されているように)を介して、剛性が高められ得る。
【0024】
動作時に、力48が、機械駆動アセンブリ30の機械的振動子28によって、長さまたは流体流動軸に沿って測定されるような(たとえば、流動矢印52によって示されているような)、またフローチューブ20の流体入口点27と流体出口点29との間の距離の半分に対応し得る、フローチューブ20のほぼ中心31に加えられる。力48は、典型的な駆動偏向形状50をもたらす。流れ52(たとえば、矢印52の方向に流れるように示されている、流体22の)において、コリオリの力の分布54がフローチューブ20に加えられ、その結果、フローチューブの回転56が生じる。コリオリの力の分布52と駆動偏向形状50との組合せは、コリオリ偏向形状58である。
【0025】
コリオリ偏向形状wは、コリオリの力の分布52およびフローチューブの曲げ剛性に依存する。コリオリ位相シフトΔtは、フローチューブの駆動偏向形状48、vと特定の振動数fにおけるコリオリ偏向形状58、wとの関係によって決定される。すなわち、
【0026】
【数1】
【0027】
である。
【0028】
上で説明されているように、コリオリ位相シフトは、流体の特性および流体の流量を測定するために使用される。一般に、コリオリ位相シフトが大きければ大きいほど結果として測定感度が高くなる。コリオリ位相シフトは、駆動変位とコリオリ変位との関係により決定することができる。
【0029】
振動子軸に沿った(たとえば、力48の方向の)可変曲げ剛性は、駆動偏向形状48とコリオリの力の分布の両方に影響し、その結果、コリオリ偏向形状が修正される。さらに、可変曲げ剛性は、振動子軸に沿ってコリオリの力の分布をシフトさせ、これはコリオリの力の分布54を振動最大値の方へシフトする。振動図44および46は、コリオリ偏向形状52が剛性が高くなっている領域23によって付与される可変剛性分布とともにどのように変化するかを例示している。概略図44は、振動子軸の端部(すなわち、流体入口点27および流体出口点29)のところで剛性が大きいことで、コリオリの力の分布64の最大値は振動子の中心の方へシフトすることを例示している。したがって、コリオリの力は、感知された領域におけるより高いコリオリ運動を引き起こし、その結果位相シフトが大きくなる。概略図48に示されているように、剛性の高い1つまたは複数の領域23がフローチューブの中心31に位置しているときに、駆動偏向形状48は、中心のところで平坦になっているものとしてよい。したがって、コリオリの力の分布52およびコリオリ偏向形状はピンぼけであり、回転軸の方へシフトされ、その結果、回転軸の近くでの均一な曲げ剛性または高い曲げ剛性と比べてコリオリ位相シフトが小さくなる。したがって、いくつかの実施形態において、フローチューブ20は、フローチューブ20の流体入口点27および/または流体出口点29に隣接して位置決めされている剛性の高い1つまたは複数の領域23を備える。さらに、フローチューブ20は、フローチューブ20の中点31(たとえば、流体入口点27と流体出口点29との間の中点)を回避または除外するように位置決めされている剛性の高い1つまたは複数の領域23を有するものとしてよい。フローチューブ20は、剛性の高い1つ、2つ、または任意の数の領域23を有し得る。
【0030】
図3は、一定の剛性を有する均一剛性フローチューブ17と併せてコリオリ位相シフトを評価することに対する実験結果およびコリオリ位相シフト感度の対応するグラフ70を示している。画像72は、フローチューブが機械駆動アセンブリ30に結合されているコリオリ位相シフト感度(たとえば、流量に基づくコリオリ位相シフト)を決定するための実験装置を示している。グラフ70は、スケール流量(kg/分)に対するコリオリ位相シフトを表示している。点74は、画像72に例示されているフローチューブ20を有するコリオリ流量センサの繰り返される測定を表す。この構成に対して、測定されたコリオリ位相シフトは、最大10kg/分までの流量で約2から10μsの範囲内である。画像72に示されているフローチューブの測定されたコリオリ位相シフトは、4.7kg/分の流量および150Hzの駆動振動に基づき4μsである。
【0031】
図4は、本開示による、均一剛性フローチューブ17と可変剛性を(たとえば、軸78に沿って)有する可変剛性フローチューブ20との間の位相シフトを比較する概略図である。フローチューブ17は、連続剛性分布を有し、有限要素解析(FEA)法を使用して計算された、4.7kg/分の流量および150Hzの駆動振動に基づく4μsの位相シフトを有する。フローチューブ20の位相シフトは、4.7kg/分の流量に基づいて37μsであり、150Hzの駆動振動は、FEA法を使用して計算される。
【0032】
図5は、有限要素解析(FEA)法を使用して計算された対応するコリオリ位相シフト感度を有する、可変曲げ剛性分布を伴う可変剛性フローチューブ20(フローチューブ82、84、86、および88として例示されている)の様々な実装形態に対して、均一剛性フローチューブ17を示している。各フローチューブ17、20は、長さ90(たとえば、流動軸91)を横切る可変曲げ剛性を有する。各フローチューブ17、20の曲げ剛性の大きさは、軸94(たとえば、縦軸)に沿って高さ92に関係する。たとえば、フローチューブ82は、各フローチューブの長さの先頭の約25%および末尾の約25%の範囲内でより大きな曲げ剛性の2つの領域を有する。フローチューブ84、86、および88は、各フローチューブの長さに沿って可変(たとえば、段階的)剛性を示す。
【0033】
各フローチューブ17、20(82、84、86、および88)の位相差Δtは、4.7kg/分の一定流量および6.3mmのフローチューブ内径(ID)に基づき有限要素解析(FEA)シミュレーションを使用して計算された。各矢印96の長さ(いくつかが図4において注釈付きである)は、フローチューブ17、20(82、84、86、および88)にかかるコリオリの力の大きさを表す。フローチューブ17、20(82、84、86、および88)の計算された位相差は、それぞれ4.5、8.1、14.3、12.4、4.4、2.9μsである。各計算された位相差は、各フローチューブに対して同じ位置で測定される。フローチューブ82は、本明細書で表されているフローチューブの最高の位相差(たとえば、14.3μsの位相差)を有しており、これは最高の感度を有していることを示している。したがって、図5は、結果として最大の性能(たとえば、高流量感度)をもたらす剛性の分布がフローチューブ20上にあることを示す。図5に示されているフローチューブ17、20(82、84、86、および88)は、すべて概して流動軸の周りで真っ直ぐであるが、当業者であれば、フローチューブ20の修正された剛性による改善された性能の効果は、本明細書で提示されているように他の幾何学的形状のフローチューブに及ぶことを理解すべきである。したがって、本明細書で提示されているように、中点31を横切り、比較的高いまたは大きい剛性の領域23の間に挟まれているより低い(たとえば、最小の)剛性の領域25を有するフローチューブ20が形成され得る。フローチューブ20の剛性を高めた領域23は段付きのまたは一定でない厚さを有するものとしてよく、これにより、剛性を高めた1つまたは複数の領域23内の個別の配置は、剛性の低い領域25と比べて剛性を高められているが、剛性を高めた1つまたは複数の領域23内の他の配置とは異なる剛性を有し得る。他の実装形態も企図されることは理解されるべきである。たとえば、間を挟む剛性を高めた領域23aおよび23bは、互いに同じ剛性を有し得るか、または互いに対して異なる剛性を有し得るがそれにもかかわらず剛性の低い領域25より剛性は高い。さらに、剛性を高めた領域23aおよび23bは、同じ長さであるか、または異なる長さであり得る。それに加えて、剛性を高めた領域23aまたは23bは、いくつかの実装形態においてなくされてもよい。一実施形態において、剛性を高めた領域23(たとえば、23aおよび/または23b)は、流体入口点27から流体出口点29まで測定したときに、フローチューブ20の全長の約5~30%であるものとしてよい。剛性が最低である領域25は、流体入口点27から流体出口点29まで測定したときに、フローチューブ20の全長の約20~80%(たとえば、20~30%、20~40%、20~50%、30~60%)であるものとしてよい。それに加えて、剛性が最低である領域25は中点31に関して対称的であり得るか、または中点31に関して非対称であり得る。具体的な構成に関係なく、フローチューブ20は、フローチューブ上の第1の配置が流体流路に沿って第1の配置から離間する第2の配置と異なる剛性(たとえば、幾何学的形状、調和運動、またはヤング率から決定される)を有するように構成され得る。
【0034】
図6は、本明細書に提示されているようなコリオリ流量センサシステム10と併せて使用するためのフローチューブ20の長さに沿って可変剛性を有する可変剛性フローチューブ20のいくつかの例示的な実装形態の断面図を示している。フローチューブ100は、高い剛性を付与する長さ90に沿って徐々に変化する壁厚さ102を有する。フローチューブ100は、厚さ102の直線的変化を例示しているが、厚さの段階的変化は許容可能である。一般に、フローチューブは、配置106と比べて配置104および108における厚さが大きい。フローチューブ109は、周期的間隔で増大する厚さの領域112、たとえば、配置に分布する厚さが増大するリブから結果として生じる高い剛性を端部110において有し、それにより、より高い信号対雑音比を促進する。フローチューブ114は、フローチューブの可変材料組成により達成される可変剛性を例示している。たとえば、フローチューブの中心は、材料118と材料120の間に挟まれている第1の材料116から作られる。材料118および120は、同じまたは異なる材料であってよい。材料116、118、および120の相対的剛性は、所望の可変剛性に関して異なり得る。たとえば、材料118および120は、端部において剛性を高めるように材料116より高い剛性を有するものとしてよい。厚さまたは材料のそのような変化は、フローチューブ20を製造するときに適切な押し出しパラメータを使用して達成され得る。さらに、フローチューブ20の可変剛性は、剛性の低い領域25ではなく剛性を高めた領域23内で添加剤または補強材(たとえば、添加粒子、ワイヤ)をフローチューブ20の材料に供給することによって達成され得る。いくつかの実施形態において、厚さまたは材料組成の変化はフローチューブ20の全周について生じることがあり、他の実施形態では、厚さまたは材料組成の変化は、厚さを大きくした領域または配置におけるフローチューブの周の一部のみに適用され得る。
【0035】
本明細書において一般的に説明されているように、フローチューブの流動軸(たとえば、軸91)に沿って振動軸の方向に剛性を変化させることで、振動軸(たとえば、縦軸94)に沿って振動(たとえば、モード)を修正する。それに加えて、結果としてコリオリ位相シフトを大きくする振動を調節することに対する要因が他にもある。図7は、フローチューブ20に沿った縦軸122および横軸124の概略図である。図示されているように、振動126は、縦軸122および流動軸91上に広がる平面125内で生じる。不要な調和モード(たとえば、構造モード)は、軸122および124に沿って生じ、コリオリ偏向形状(たとえば、コリオリ偏向形状58、図2)に寄与し得る。チュービング流体流動アセンブリ18の不要な調和モードの振動数を減衰またはシフトするために、追加の構造特徴が、図示されているような、均一剛性フローチューブ17、または可変剛性フローチューブ20(たとえば、モーダル特徴)のいずれかに加えられ得る。いくつかの軸(たとえば、122および124)に沿った構造特徴は、不要な調和モードの効果が無視できるくらい小さくなり、その結果、コリオリ流量センサアセンブリの感度およびロバスト性が高められるまで不要な調和モードを調整する(たとえば、調和モードの振動数を上にシフトする、振動数を下にシフトする、または振幅を減少させる)可変断面を有する異なる振動モードに対して独立した影響をもたらし得る。不要な調和モードを変える特徴(たとえば、モーダル特徴)は、異なるモードに対処するための様々な設計、構造、および特性を有し得る。
【0036】
たとえば、モーダル特徴は、縦軸122の剛性を高める縦フィン構造127を含むものとしてよく、その結果、コリオリ偏向形状をより適切に制御できるようになる。それに加えて、モーダル特徴は、横軸124に沿ってモードを調整する(たとえば、防ぐ、シフトする、または減少させる)横フィン構造128(たとえば、ペクトラルフィン)を含み得る。横フィン構造128は、縦軸122に沿ってモードに悪影響をほとんどまたはまったく及ぼさずに横平面内の剛性を高める。一実施形態において、縦フィン構造127は、フローチューブの壁の伸長または可変厚さを介してフローチューブ20の構造と一体形成され得る。いくつかの実施形態において、本明細書において提示されているような縦フィン構造または他の構造は、フローチューブ20に結合される構造支持コンポーネント24として実装されてよい。一実施形態において、構造支持コンポーネント24は、センサアセンブリ14(図1)の再利用可能なコンポーネントを保持しながら使用済みフローチューブを入れ替えまたは交換することができるようにフローチューブ17またはフローチューブ20に可逆的に結合される。当業者であれば、構造支持コンポーネント24を加えることで図5で説明されているようなフローチューブの剛性を修正することを理解するであろう。さらに、当業者であれば、取り付け可能な構造支持コンポーネントは使い捨て(たとえば、取り付け可能および取り外し可能)または再利用可能フローチューブに好適であり得ることを理解するであろう。フローチューブ(たとえば、フローチューブ17またはフローチューブ20)に結合されたときに、構造支持コンポーネント24は、結合されているフローチューブの振動を許容するように構成される。いくつかの実施形態において、構造支持コンポーネントはフローチューブと一緒に振動する。
【0037】
図8および図11図13は、コリオリ流量センサの異なる実施形態を例示している。特に、図8および図11図13は、異なる特徴(たとえば、フィン)および関連するコリオリ位相シフト感度測定を有する構造支持コンポーネント24に結合されているフローチューブを示している。一般に、以下で説明されている実施形態は、流量に基づき測定されたコリオリ位相シフトの範囲によって例示される、コリオリ位相シフト感度の増大を示す。
【0038】
図8は、本開示によるフローチューブに結合されている縦フィン構造支持コンポーネント24を示している。画像128は、可変流量に基づきコリオリ位相シフト感度を決定するために使用される実験装置を示している。画像128は、フローチューブ、振動子28、および縦フィン構造支持コンポーネント24を示している。グラフ130は、画像128内のフローチューブの流量に対するコリオリ位相シフトを示している。流量に対する測定されたコリオリ位相シフトからの点132は概して直線に適合する。
【0039】
図9は、構造支持コンポーネント24の一実装形態の横モード136および駆動または動作モード138を示している。FEAシミュレーションは、横モードが150Hzの動作モード振動数に近い、97Hzの振動数を有することを示している。当業者であれば、コリオリ流量センサアセンブリがうまく働いているが(たとえば、所与の流量に対する測定された位相シフトは一次方程式に当てはめられるが)、修正(たとえば、モーダル特徴)を加えることでいくつかの条件(たとえば、流量)に関してコリオリ流量センサアセンブリの性能を改善し得ることを理解すべきである。例示されている構造支持コンポーネント24は、フローチューブ端部(たとえば、流体入口点27および出口点29)と対応し、フローチューブから距離dだけ離れて延在する領域に概して位置決めされている伸長するフィン部分127を備える本体部125を有し得る。本体部は、中心部分135において細く、たとえば、dより小さい距離dまで延在する。フローチューブに結合するために、本体部125は、受入領域139を形成し、たとえば、操作者がフローチューブを挿入しおよび/または取り出すことを可能にする部分的環状部をフローチューブの周りに形成することによって、フローチューブ(たとえば、フローチューブ17またはフローチューブ20)に結合するサイズおよび形状を有する複数のリブ137を備える。フローチューブは、構造支持コンポーネント24に結合されたときに、横モード矢印136から外向きに延在する横平面に沿って振動の減少を受ける。
【0040】
図10は、駆動振動140、横モード142、および曲げモード144の振動数のプロットを示している。これらのモードの図解は、それぞれ、各モード140、142、および144について141、143、および145に示されている。構造支持コンポーネントは、調和モードを調整する(たとえば、モードの振動数を上もしくは下にシフトするか、または不要なモードが無視できるくらいに小さくなるまで振幅を小さくする)。たとえば、駆動振動と横モードとの間の少なくとも1.5の振動数マージンは、横モードの動的応答を著しく減少させることがわかった。それに加えて、駆動振動と曲げモードとの間の少なくとも2.0の振動数マージンにより、コリオリ流量センサアセンブリの性能をさらに改善する結果となった。
【0041】
図11は、本開示による縦フィンおよび横フィンを有する構造支持コンポーネント24の一実装形態に結合されているフローチューブ20を備えるコリオリ流量センサアセンブリのコリオリ位相シフト感度を示している。画像148は、フローチューブ20、振動子30、および構造支持コンポーネント146を備える可変流量に基づくコリオリ位相シフト感度を決定するために使用される実験装置を示している。概略図150に示されているように、フローチューブは、流路に垂直である方向152に振動する。グラフ154は、概略図150に例示されている構造支持コンポーネント24を有する画像146に示されているフローチューブの流量に対するコリオリ位相シフトを示している。構造支持コンポーネント24に結合されているフローチューブ20の流量に対する測定されたコリオリ位相シフトは一次方程式に当てはめられる(たとえば、直線156として表される)。縦フィンおよび横フィンを有する構造支持コンポーネント24を備えるコリオリ流量センサアセンブリの測定されたコリオリ位相シフトは19μsであり、一定の剛性を有するコリオリ流量センサアセンブリの4μsの位相シフトより大きい。
【0042】
図12は、本開示による二重フィン構造支持コンポーネント24の一実装形態に結合されているフローチューブ20のコリオリ位相シフト感度を示している。画像160は、フローチューブ20、振動子30、および二重フィン構造支持コンポーネント24を備える可変流量に基づくコリオリ位相シフト感度を決定するために使用される実験装置を示している。二重フィン構造支持コンポーネント24は、フィン構造の間に内部空間158を備える。例示されているように、内部空間158は中空であるが、しかしながら、他の実施形態では、内部空間158は中実であるか、または部分的に中実(たとえば、多孔質)であってよく、二重フィン構造支持コンポーネント24の残りの部分と異なる材料から構成され得る。第1の概略図162は、矢印164として例示されているコリオリの力とともに二重フィン構造支持コンポーネント24を例示している。第2の概略図166は、二重フィン構造支持コンポーネント24の側面斜視図である。グラフ168は、概略図162、166、および画像160に示されているフローチューブの流量に対するコリオリ位相シフトを示している。二重フィン構造支持コンポーネント24を備えるコリオリ流量センサアセンブリの測定されたコリオリ位相シフトは22μsであり、一定の剛性を有するコリオリ流量センサアセンブリの4μsの位相シフトより大きい。
【0043】
図13は、本開示による構造支持特徴部24を示している。上で説明されているように、構造支持特徴部は、機械駆動アセンブリ32から結果として生じる駆動振動に対する不要な調和振動の効果を低減するためにコリオリフローチューブに加えられ得る。一般に、構造支持コンポーネントは、1つの軸(たとえば、縦または横のいずれか)における不要な調和振動に対処する特徴を有し得る。たとえば、図8に示されている縦フィンを有する構造支持コンポーネントはコリオリ流量センサアセンブリのコリオリ位相シフト感度を改善したけれども、コリオリ流量センサアセンブリは、いくつかの条件の下で(たとえば、点110において)感度が低いことを示した。図10に示されている、横フィンおよび縦フィンを有する構造支持コンポーネント116は、結果として、コリオリ位相シフト感度の増大を引き起こしたが、しかしながら、いくつかの実施形態において、当業者であれば、特徴(たとえば、モーダル特徴)が追加されるとフローチューブの嵩を増やしあまり望ましくない可能性のあることを理解するであろう。図13は、いくつかの軸に沿った不要な調和特徴に対処する特徴を有する構造支持コンポーネント24を例示している。一般に、構造支持コンポーネント24は、フローチューブの異なる領域が可変曲げ剛性、横剛性、および縦剛性を有することを許す。フローチューブに結合されたときに、構造支持コンポーネント24は、フローチューブの長さの全体に沿って、またはいくつかの実施形態では、フローチューブの長さの一部に沿って、フローチューブと直接接触するものとしてよい。
【0044】
図13に例示されている構造支持コンポーネント24は、構造支持コンポーネント24がフローチューブ20に結合することを可能にするリブ構造180を有するバックボーン構造178に沿って第1の領域172、第2の領域174、および第3の領域176を有する。バックボーン構造178は、距離186によって隔てられた第1のバックボーン182と第2のバックボーン184とを有する。第1の領域172および第2の領域174は、類似の構造特徴を有する。さらに、第1のバックボーン182と第2のバックボーン184との間の距離186は類似している。画像188は、第3の領域176内の構造支持コンポーネント24の長さに沿った代表的断面図を例示している。画像190は、第1の領域172および第2の領域174内の構造支持コンポーネント24の長さに沿った代表的断面図を例示している。図示されているように、第1の領域172および第2の領域174内の第1のバックボーン182と第2のバックボーン184との間の距離186(たとえば、リブ構造180の周りのより大きい円弧長)は、画像190に示されている第1のバックボーン182と第2のバックボーン184との間の距離186より大きい。距離186が大きければ大きいほど結果として横剛性は大きくなる。したがって、フローチューブ20に沿った横剛性は、バックボーン182と184との間の距離に基づき調節され得る。
【0045】
図13にさらに例示されているように、第1のバックボーン182および第2のバックボーン184は可変厚さを有する。第1の領域172および第2の領域174において、バックボーンは、第3の領域に比べて大きい厚さ192を有する。構造支持コンポーネント170がフローチューブ20に結合されたときに、バックボーン厚さ192が大きければ大きいほど、結果として、フローチューブ20の縦剛性は大きくなる。構造支持コンポーネントがフローチューブ20に結合されたときに、第3の領域176のバックボーン厚さ192が薄くなると、フローチューブ20に対する縦剛性は低くなる。したがって、構造支持コンポーネント170は、可変横剛性に加えてフローチューブ20に可変縦剛性を付与し得る。
【0046】
本開示は、機械駆動アセンブリから結果として生じる振動への不要な調和モードの寄与を低減する特徴を備えるコリオリ流量センサに関するものである。本明細書において説明されているように、特徴は可変剛性を有するフローチューブを含むものとしてよく、これはフローチューブの可変壁厚さなどのフローチューブそれ自体の特徴を通じて、またはフローチューブの材料組成を変化させることで、実装され得る。それに加えて、可変剛性は、フローチューブに結合されている外部構造支持コンポーネントと一体形成されるか、またはそれを介する構造支持特徴部を備えることによって達成され得る。構造支持コンポーネントは、振動子によって付与される振動の振動数から不要振動の振動数を減衰するか、またはシフトする異なる軸に沿ってフローチューブの剛性に影響を及ぼすサブコンポーネント(たとえば、フィンおよびバックボーン)を備え得る。
【0047】
本明細書では、例を使用して、当業者がデバイスまたはシステムを製作し、使用すること、および組み込まれている方法を実行することも含めて本開示の実施形態を実施することを可能にする。特許可能な範囲は、請求項によって定められ、当業者であれば思い付く他の例を含むものとしてよい。このような他の例は、これらの例が請求項の文言と異ならない構造要素を有している場合、またはこれらの例が請求項の文言との違いがわずかである同等の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
10 コリオリ流量センサシステム
12 電子回路
14 センサアセンブリ
16 アクチュエータ
17 フローチューブ
18 流体流動アセンブリ
20 可変剛性フローチューブ
22 流体
23 領域
24 構造支持コンポーネント
25 領域
26 センサ
27 流体入口点
28 機械的振動子
29 流体出口点
30 機械駆動アセンブリ
31 中心
32 駆動回路
34 センサ回路
36 プロセッサ
38 ユーザインターフェース
40 メモリ
48 力
50 駆動偏向形状
52 流れ
52 コリオリ偏向形状
54 コリオリの力の分布
56 回転
58 コリオリ偏向形状
64 コリオリの力の分布
70 グラフ
72 画像
74 点
78 軸
82、84、86、および88 フローチューブ
90 長さ
91 流動軸
92 高さ
94 軸
100 フローチューブ
102 壁厚さ
104、106、108 配置
109 フローチューブ
110 端部
112 領域
114 フローチューブ
116、118、120 材料
116 構造支持コンポーネント
122 縦軸
124 横軸
125 平面
126 振動
127 縦フィン構造
128 横フィン構造
136 横モード
137 リブ
138 駆動または動作モード
139 受入領域
140 駆動振動
142 横モード
144 曲げモード
146 構造支持コンポーネント
152 方向
158 内部空間
160 画像
162 第1の概略図
164 矢印
166 第2の概略図
168 グラフ
172 第1の領域
174 第2の領域
176 第3の領域
178 バックボーン構造
180 リブ構造
182 第1のバックボーン
184 第2のバックボーン
186 距離
188、190 画像
192 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13