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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】流路切替機構及びミスト生成装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/085 20060101AFI20230501BHJP
   F16N 7/32 20060101ALI20230501BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20230501BHJP
   F16K 5/04 20060101ALI20230501BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
F16K11/085 Z
F16N7/32
B05B15/00
F16K5/04 E
B23Q11/10 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017246394
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019113103
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000100827
【氏名又は名称】アイシン機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】小出 好朗
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187157(JP,A)
【文献】特開2000-317358(JP,A)
【文献】特開2011-189429(JP,A)
【文献】特開2015-052396(JP,A)
【文献】特表2016-506481(JP,A)
【文献】実開昭48-020024(JP,U)
【文献】特開2014-020501(JP,A)
【文献】特開2013-244422(JP,A)
【文献】特開2000-145989(JP,A)
【文献】実開昭62-059172(JP,U)
【文献】米国特許第05046522(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
B29C 71/04
C08J 7/00-7/02
7/12-7/18
F16K 5/00-5/22
11/00-11/24
39/00-51/02
F16N 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲部を有する1つの第1流路が貫通する第1部材と、
前記第1部材を可動状態に受容する受容部を有する第2部材と、
前記第2部材を貫通し、前記受容部の内面に一端部が開口した複数の第2流路とを備え、
前記第2部材に対する前記第1部材の相対位置の変更により、前記第1流路を任意の前記第2流路に択一的に接続して、前記第1流路から前記第2流路又は前記第2流路から前記第1流路へとミストを送給可能とする流路切替機構であって、
前記屈曲部の流路中心の曲率半径は、流路径の1/2以上になっていて、
前記第1部材の前記屈曲部を含む少なくとも一部は、前記屈曲部の流路中心を含む面で複数の分割体に分割されると共に、それら分割体を合体状態に保持する合体保持手段が備えられ、
前記合体保持手段は、前記複数の分割体が内側に嵌合されることで、それら分割体が合体状態に保持される受容孔を有する流路切替機構。
【請求項2】
前記受容部は丸孔であり、その内周面に前記複数の第2流路の開口が配置され、
前記第1部材は、前記受容部に回転可能に受容された円柱部を有し、
前記円柱部の一端面の中心に前記第1流路の一方の開口が配置されると共に、前記円柱部の外周面に前記第1流路の他方の開口が配置されている請求項1に記載の流路切替機構。
【請求項3】
前記受容部は、少なくとも一端が閉塞部材にて閉じられた丸孔であり、
前記閉塞部材のうち前記丸孔の中心から離れた位置に前記複数の第2流路の開口が配置され、
前記第1部材は、前記受容部に回転可能に受容された円柱部を有し、
前記円柱部の一方の端面の中心に前記第1流路の一方の開口が配置されると共に、他方の端面の中心から離れた位置に前記第1流路の他方の開口が配置されて、前記第1流路は、2つの前記屈曲部を有するS字状をなしている請求項1に記載の流路切替機構。
【請求項4】
請求項1~3のうち何れか1の請求項に記載の流路切替機構と、前記流路切替機構が先端部に連結されたノズルと、を備え、油膜付きのミストを生成して前記第1流路に排出するミスト生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を送給する流路を切り替える流路切替機構及び、油膜付きミストを生成して複数の箇所に選択的に供給可能なミスト生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流路切替機構を備えたものとして、所謂、三方弁や、エアオペレートバルブ等が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】[online]、SMC株式会社のWEBカタログ、[平成29年9月19日検索]、インターネット<URL:http://www.smcworld.com/products/ja/directional/s.do?ca_id=114>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の流路切替機構を備えたものは、ミストを含んだ流体に使用すると、ミストの粒径が変わったり液滴化する等の問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ミストを好適に送給可能な流路切替機構及びその流路切替機構を有するミスト生成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、屈曲部を有する1つの第1流路が貫通する第1部材と、前記第1部材を可動状態に受容する受容部を有する第2部材と、前記第2部材を貫通し、前記受容部の内面に一端部が開口した複数の第2流路とを備え、前記第2部材に対する前記第1部材の相対位置の変更により、前記第1流路を任意の前記第2流路に択一的に接続して、前記第1流路から前記第2流路又は前記第2流路から前記第1流路へとミストを送給可能とする流路切替機構であって、前記屈曲部の流路中心の曲率半径は、流路径の1/2以上になっていて、前記第1部材の前記屈曲部を含む少なくとも一部は、前記屈曲部の流路中心を含む面で複数の分割体に分割されると共に、それら分割体を合体状態に保持する合体保持手段が備えられ、前記合体保持手段は、前記複数の分割体が内側に嵌合されることで、それら分割体が合体状態に保持される受容孔を有する流路切替機構である。
【0008】
請求項の発明は、前記受容部は丸孔であり、その内周面に前記複数の第2流路の開口が配置され、前記第1部材は、前記受容部に回転可能に受容された円柱部を有し、前記円柱部の一端面の中心に前記第1流路の一方の開口が配置されると共に、前記円柱部の外周面に前記第1流路の他方の開口が配置されている請求項に記載の流路切替機構である。
【0009】
請求項の発明は、前記受容部は、少なくとも一端が閉塞部材にて閉じられた丸孔であり、前記閉塞部材のうち前記丸孔の中心から離れた位置に前記複数の第2流路の開口が配置され、前記第1部材は、前記受容部に回転可能に受容された円柱部を有し、前記円柱部の一方の端面の中心に前記第1流路の一方の開口が配置されると共に、他方の端面の中心から離れた位置に前記第1流路の他方の開口が配置されて、前記第1流路は、2つの前記屈曲部を有するS字状をなしている請求項に記載の流路切替機構である。
【0010】
請求項の発明は、請求項1~のうち何れか1の請求項に記載の流路切替機構と、前記流路切替機構が先端部に連結されたノズルと、を備え、油膜付きのミストを生成して前記第1流路に排出するミスト生成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流路切替機構によれば、第1流路と第2流路とのうち第1流路側にミスト生成装置を接続して、複数の第2流路の先の複数箇所に択一的にミストを供給することができる。また、複数の第2流路に異なるミスト生成装置を接続して、所定箇所に異なるミストを択一的に供給することができる。その際、ミスト、第1流路の屈曲部で流れの向きを変えられる。しかしながら、本発明の流路切替機構では、その屈曲部の流路中心の曲率半径が、流路径の1/2以上になっているのでミストスムーズに流れる。これにより、ミストの粒子同士の結合及び流路内面への粒子の衝突が抑えられ、ミストの粒径の変化及びミストの液滴化が抑えられる。即ち、本発明によれば、ミストを好適に送給することができる。
【0012】
また、本発明のミスト生成装置によれば、油膜付きのミストを生成して、そのミストの粒径の変化及びミストの液滴化を抑えた状態で複数箇所に択一的に共有することができる。
【0013】
なお、請求項1又は2を前提とする具体的な流路切替機構の構成としては、請求項3又は4以外にも以下の構成例1,2が挙げられる。
【0014】
[構成例1]
請求項1又は2に記載の流路切替機構において、
前記受容部は、丸孔であり、その受容部の内周面に2つの第2流路の開口が周方向に並べて配置されると共に、それら2つの第2流路の開口の間の中央位置に、前記第2部材を貫通する第3流路の開口が配置され、
前記第1部材は、前記受容部に回転可能に受容された円柱部を有し、その外周面に前記第1流路の両端の開口が配置されて、前記円柱部の回転位置に応じて前記第1流路が前記2つの第2流路を択一的に前記第3流路に接続する流路切替機構。
【0015】
[構成例2]
請求項1又は2に記載の流路切替機構において、
前記第1部材が前記受容部に直動可能に受容され、
前記第1流路の一端の開口が、前記第1部材の直動方向の一端側に配置されると共に、前記第1流路の他端の開口が、前記第1部材のうち直動方向と平行な面に配置され、
前記複数の第2流路の開口が、前記受容部の内面に前記直動方向に並べて配置されている流路切替機構。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るミスト生成装置の側断面図
図2】流路切替装置の側断面図
図3】流路切替装置の正断面図
図4】第2実施形態に係るミスト生成装置の側断面図
図5】第2実施形態に係るミスト生成装置の正面図
図6】第3実施形態に係るミスト生成装置の側断面図
図7】第4実施形態に係るミスト生成装置の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1図3に基づいて説明する。図1に示すように、本発明のミスト生成装置10は、ミスト生成装置本体30と流路切替装置11(本発明の「流路切替機構」に相当する)とを連結してなる。ミスト生成装置本体30のノズル30Nは、筒形ベース39と先端構成部38とを備えてなる。筒形ベース39は、円筒状をなし、その先端部の内側には、雌螺子部39Nが形成されている。一方、先端構成部38は、筒形ベース39より小径の円筒部38Kの軸方向における中間部分からフランジ部38Fが張り出した構造をなしている。また、先端構成部38のうちフランジ部38Fより一端側の外面には、雄螺子部38Nが形成されている。そして、筒形ベース39の雌螺子部39Nに先端構成部38の雄螺子部38Nが螺合され、フランジ部38Fが筒形ベース39の先端面に重ねられている。なお、フランジ部38Fと筒形ベース39の先端面との間には、Oリング37Aが挟まれている。
【0018】
以下、ミスト生成装置本体30及び流路切替装置11のそれぞれの構成部品において、図1及び図2における左側を「前側」といい、図1及び図2における右側を「後側」ということとする。
【0019】
筒形ベース39の後端寄り位置にはリング溝39Aが形成され、そこにEリング39Eが係合している。そして、筒形ベース39内のうちEリング39Eと先端構成部38との間には、後側から順番に、第1オリフィス33、カラー34及び第2オリフィス35が嵌合されている。
【0020】
第1オリフィス33の中心部には中心孔33Dが貫通している。その中心孔33Dは、後端から後端寄り位置に向かって縮径する縮径部33Aと、前端寄り位置から前端に向かって拡径する拡径部33Cと、縮径部33Aの前端と拡径部33Cの後端との間を連絡し、均一径をなして延びる連絡部33Bとからなる。また、連絡部33Bの周りには、それより小径の複数のバイパス孔33Eが形成されている。それらバイパス孔33Eは、縮径部33Aの外縁部と拡径部33Cの中央寄り位置との間を連絡し、拡径部33Cに向かうに従って第1オリフィス33の中心部に接近するように傾斜している。また、第1オリフィス33の周方向の1カ所には、連絡部33Bの内周面から第1オリフィス33の外周面に亘って延びる第1サイド流路31が形成され、その第1サイド流路31は筒形ベース39の外周面まで延長して形成されている。
【0021】
カラー34は円筒状をなしていて、カラー34の内側部分と第1オリフィス33の拡径部33Cとから第1拡張部屋30Vが構成されている。
【0022】
第2オリフィス35は、第1オリフィス33より軸長が長くなっている。そして、第1オリフィス33と同様に、縮径部35A、連絡部35B、拡径部35Cからなる中心孔35Dと、複数のバイパス孔35Eとを有する。また、第1サイド流路31と同様の第2サイド流路32が、第2オリフィス35の連絡部35Bの内周面から筒形ベース39の外周面まで延びている。
【0023】
また、先端構成部38の中心部に貫通する中心孔38Dは、後端から軸方向の中央部に向かって縮径する縮径部38Aと、その縮径部38Aの前端から先端構成部38の前端まで均一径をなして延びるミスト出力部38Bとからなる。そして、先端構成部38の縮径部38Aと第2オリフィス35の拡径部35Cとから第2拡張部屋30Wが構成されている。
【0024】
筒形ベース39の後端部内側に、図示しない雌螺子部が形成され、そこに螺合した図示しないパイプジョイントに圧縮エアー用パイプが接続されている。これと同様に、第1サイド流路31に図示しないオイル供給用パイプが接続され、第2サイド流路32に図示しない水供給用パイプが接続されている。そして、圧縮エアー用パイプを通して圧縮エアー(本発明の「流体」に相当する)が送給され、第1サイド流路31に供給されているオイル(例えば、切削用の潤滑油オイル)が圧送されて、第1拡張部屋30V内でミスト化し、第2サイド流路32に供給されている水が同様に圧送されて、第2拡張部屋30W内でミスト化してオイルミストと結合し、油膜付きミストが生成される。そして、その油膜付きミストを含んだエアーがミスト出力部38Bから先方に排出される。
【0025】
図2に示すように、流路切替装置11は、ミスト生成装置本体30のノズル30Nの先端部(詳細には、先端構成部38におけるフランジ部38Fより前側部分)に連結されている。流路切替装置11は、第1部材13を第2部材12に回転可能に組み付けてなり、その第1部材13(本発明の「円柱部」に相当する。)は、コア部材40とベース部材50とから構成されている。
【0026】
ベース部材50は、全体が円筒状をなし、その後端部から側方にフランジ部50Fが張り出している。また、ベース部材50の後端寄り位置には、ベース部材50内を前側のコア収容部屋51と後側の連結部屋53とに区画する区画壁52が備えられている。さらに、区画壁52の中心部には、ミスト生成装置本体30のミスト出力部38Bと略同一径の流路61が貫通している。そして、先端構成部38の先端部が連結部屋53に受容されている。また、図示しない付勢手段によりミスト生成装置本体30がベース部材50側に押されて、先端構成部38の先端面が区画壁52の後面に面当接し、先端構成部38の中心孔38Dと流路61とが連通している。なお、連結部屋53の内周面と先端構成部38の外周面との間には、Oリング37Bが挟まれている。
【0027】
ベース部50には、流路62が形成されている。流路62は、例えば、流路61と略同一の内径をなし、ベース部50を径方向に貫通している。また、流路62の流路中心J1と区画壁52の前面と間の距離は、流路61の直径(以下、単に「流路径D」という)の例えば1.5倍になっている。また、ベース部50の外周面には、流路62の開口を囲むようにOリング溝18が形成されている。
【0028】
コア部材40は、全体が円柱状をなし、コア収容部屋51内に嵌合され、コア部材40の後端面が区画壁52の前面に面当接している。なお、例えば、コア収容部屋51は、コア部材40との間の隙間を塞ぐシールを兼ねた接着剤にてコア収容部屋51内に固定されている。
【0029】
コア部材40には、ベース部材50の流路61と流路62との間を連絡する流路63が形成されている。流路63は、流路61,62と略同一の内径(即ち、同一の流路径D)をなしている。また、流路63は屈曲部64を有して両端部が例えば90度異なる方向を向いていて流路61,62に連通している。そして、これら流路61,62,63によって本発明に係る第1流路65が構成されている。
【0030】
具体的には、流路63の一端部の流路中心J3は、コア部材40の中心軸CLと重なり、流路63の他端部の流路中心J2は、コア部材40の中心軸CLと直交する径方向を向いる。また、流路63の他端部の流路中心J2と区画壁52の前面との間の距離は、流路62の流路中心J1と区画壁52の前面と間の距離と同じ、流路径Dの例えば1.5倍になっている。そして、屈曲部64の流路中心J4は、屈曲部64の一端部の流路中心J3と他端部の流路中心J2とに連続する円弧になっていて、その流路中心J4の円弧の曲率半径R1は、流路径Dの1.5倍になっている。
【0031】
図3に示すように、コア部材40は、流路63の流路中心を含む分割面45で1対の分割体41,41に縦割りに分割されている。また、分割体41,41同士は固定せず、コア収容部屋51に圧入により嵌合することで分割体41,41同士が合体した状態に保持されている。このようにコア部材40は、分割体41,41に分割されているので、機械加工によって屈曲部64を有する流路63をコア部材40に形成することができる。
【0032】
なお、ダイキャストを含む鋳造でコア部材40を製造し、その際、流路63用の屈曲した中子を使用すれば、コア部材40を分割せずに流路63を形成することができる。また、1対の分割体41,41を、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂で形成することもできる。本実施形態では、コア収容部屋51を有するベース部材50が、本発明に係る「合体保持手段」に相当するが、分割体41,41同士を固定する接着剤を本発明に係る「合体保持手段」として使用してもよい。
【0033】
第2部材12は、第1部材13のうちフランジ部50Fより先端部分が嵌合した受容部16を有する。また、受容部16の内周面と第1部材13の外周面との間には、Oリング溝18に装着されたOリング19が挟まれている。そして、第2部材12とミスト生成装置本体30とが相対移動不能に固定され、それら第2部材12及びミスト生成装置本体30に対して第1部材13が回転する。その第1部材13の回転操作を行うために、例えば、第1部材13の前面から図示しない1対のピンが突出していて、それら1対のピンに図示しないハンドルが連結可能になっている。また、第1部材13及び第2部材12の前面には、第1部材13の回転位置を視認するための目印が付されている。
【0034】
第2部材12には、例えば、複数の第2流路17が、受容部16を中心とした放射状に形成されている。そして、それら第2流路17の一端部の開口が、受容部16の内周面のうち第1部材13の外周面における第1流路65の開口の移動経路上に並べて配置され、第2部材12に対して第1部材13を回転させることで、第1流路65が複数の第2流路17に択一的に接続される。また、複数の第2流路17の図示しない他端部の開口は第2部材12の外面に配置され、所定複数箇所に臨むか又は、流路構成部品に接続されている。
【0035】
本実施形態のミスト生成装置10の構成に関する説明は以上である。本実施形態のミスト生成装置10によれば、ミスト生成装置本体30にて油膜付きのミストを生成して流路切替装置11の第1流路65に送給し、その第1流路65から複数の第2流路17の先の複数箇所に択一的にミストを供給することができる。その際、ミストを含む流体は、第1流路65の屈曲部64で流れの向きを変えられる。しかしながら、本実施形態の流路切替装置11では、屈曲部64の流路中心J4の曲率半径R1が、流路径Dの1/2以上(具体的には、流路径Dの1.5倍)になっているのでミストを含むエアーがスムーズに流れる。これにより、ミストの粒子同士の結合及び流路内面への粒子の衝突が抑えられ、ミストの粒径の変化及びミストの液滴化が抑えられる。即ち、本実施形態のミスト生成装置10によれば、ミストを好適に送給することができる。
【0036】
なお、本実施形態の流路切替装置11は、連結部屋53からミスト生成装置本体30を外して、その連結部屋53の開口を所定箇所に臨ませ、複数の第2流路17に異なる複数のミスト生成装置を接続して使用することもできる。これにより、連結部屋53の前方の所定箇所に異なるミストを択一的に供給することができる。
【0037】
また、本実施形態の流路切替装置11の変形例として、例えば前記したベース部材50において、複数の第2流路17の同軸上に複数の流路62を形成し、ベース部材50に対してコア部材40を回転させる構成も考えられる。この場合、コア部材40が本発明に係る「第1部材」に相当し、第2部材12及びベース部材50が本発明に係る「第2部材」に相当することになる。また、流路62は、第2流路17と共に本発明に係る「第2流路」の一部をなし、流路63のみで本発明に係る「第1流路」が構成されることになる。
【0038】
[第2実施形態]
本実施形態のミスト生成装置10Vは、図4に示されている。本実施形態においてミスト生成装置本体30は、前端部から側方に張り出すブラケット30Bを有している点のみが第1実施形態と異なる。そのブラケット30Bは、前方から見ると次述する第2部材12Vと略同一の正方形状になっていて、四隅には図示しない雌螺孔を有する。
【0039】
流路切替装置11Vの第2部材12Vは、図5に示すように、前方から見ると正方形状をなし、その四隅にボルト挿通孔12Mを備える。そして、ボルト挿通孔12Mに通したボルトB2をブラケット30Bの雌螺孔に螺合して第2部材12Vがミスト生成装置本体30に固定されている。
【0040】
図4に示すように、第2部材12Vには、前側が閉じかつ後面が開放した断面円形の受容部16Vが形成されている。そして、受容部16Vに第1部材13Vが受容され、受容部16Vの奥面とミスト生成装置本体30におけるフランジ部38Fの前面との間に第1部材13Vが挟まれている。
【0041】
その第1部材13Vは、第1実施形態と同様にコア部材40Vとベース部材50Vとからなる。ベース部材50Vは、円板状ベース50Tから前方に円筒壁58が突出する一方、後方に連結突部57が突出した構造をなしている。また、連結突部57の中心部には、前記第1実施形態で説明した連結部屋53が形成され、そこにミスト生成装置本体30の先端部が嵌合されている。そして、円板状ベース50Tの中心部を貫通する流路61とミスト生成装置本体30の中心孔38Dとが連通している。なお、本実施形態では、Oリング37Bは、フランジ部38Fの前面と連結突部57の後面との間に挟まれている。
【0042】
コア部材40Vは、円柱状をなして、円筒壁58の内側に嵌合されている。また、円筒壁58内の奥面である円板状ベース50Tの前面にコア部材40Vの後面が面当接し、コア部材40Vの前面と円筒壁58の前面とが面一になって、受容部16Vの奥面に面当接している。また、コア部材40Vは、円筒壁58内にシール材を兼ねた接着剤にて固定されている。さらに、円板状ベース50Tの外周面からは、複数の指掛け突部50Sが突出していて、それらに指先を掛けて第1部材13Vを回転操作することができる。
【0043】
コア部材40Vには、第1と第2の屈曲部66,67を有して全体がS字状をなした流路68が形成されている。流路68の一端部は、その流路中心J5がコア部材40Vの中心軸と重なるように配置されてベース部材50Vの流路61に連通している。一方、流路68の他端部は、その流路中心J6がコア部材40Vの中心軸から離れた位置に配置されてコア部材40Vの前面に開口している。そして、流路68の一端部から第1屈曲部66がコア部材40Vの径方向に向くように屈曲し、その第1屈曲部66から第2屈曲部67がコア部材40Vの前面側を向くように屈曲して流路68の他端部に繋がっている。また、本実施形態では、上記した流路61と流路68とから本発明にかかる第1流路69が構成されている。
【0044】
詳細には、第1屈曲部66の流路中心J7は、一端部側が流路68の一端部の流路中心J5に連続すると共に他端側がコア部材40Vの径方向を向き、第2屈曲部67の流路中心J8は、一端部側が流路68の他端部の流路中心J6に連続すると共に他端側がコア部材40Vの径方向を向いている。そして、第1屈曲部66の流路中心J7の他端部と第2屈曲部67の流路中心J8の他端部とが変曲点を介して連続するか、又は、コア部材40Vの中心軸と直交する流路中心J9を挟んで連続している。また、第1及び第2の屈曲部66,67の流路中心J7,J8の曲率半径R2,R3は、流路68の流路径の1/2以上(例えば、1.5倍)になっている。
【0045】
コア部材40Vは、第1実施形態と同様に、流路68の流路中心を含む分割面で1対の分割体41,41に分割され、分割体41,41同士は固定せず、コア収容部屋51に圧入により嵌合することで分割体41,41同士が合体した状態に保持されている。
【0046】
第2部材12Vのうちコア部材40Vの前面と対向する前面壁12Kは、本発明に係る「閉塞部材」に相当し、その前面壁12Kを複数(例えば、6つ)の第2流路17が前後に貫通している。また、それら第2流路17の流路中心は、第1部材13Vの回転中心から離れた架空の円の上に並べて配置されている。そして、第1部材13Vの回転位置に応じて、複数の第2流路17が択一的に第1流路69に接続される。また、前面壁12Kの前面における第2流路17の前端部の内側には雌螺子部が形成され、そこに螺合したパイプジョイントJにそれぞれ金属製のパイプPが接続されている。
【0047】
本実施形態のミスト生成装置10Vの構成に関する説明は以上である。本実施形態のミスト生成装置10Vによっても、油膜付きのミストを、流路切替装置11Vに接続された複数のパイプPの先の複数箇所に択一的に供給することができると共に、そのミストの粒径の変化及びミストの液滴化を抑えて好適に送給することができる。
【0048】
[第3実施形態]
本実施形態のミスト生成装置10Wは、図6に示されている。このミスト生成装置10Wの流路切替装置11Wは、所謂、三方弁になっている。具体的には、第2部材12Wに備えた受容部16Wが、丸孔になっていて、その受容部16Wの内周面に2つの第2流路17,17の開口が所定角(例えば、180度)の間隔を空けて周方向に並べて配置されている。また、それら2つの第2流路17,17の開口の間の中央位置には、第3流路71の一端部の開口が配置されている。さらに、第2部材12Wには、前述した連結部屋53が形成されて、そこにミスト生成装置本体30の先端部が嵌合されている。そして、第3流路71の他端部の開口が連結部屋53内に配置されてミスト生成装置本体30の中心孔38Dに連通している。
【0049】
第1部材13Wは、例えば円柱状をなし、受容部16Wに回転可能に受容されている。また、第1部材13Wには、屈曲部73を有する流路72が貫通している。その流路72の両端部の開口は、第3流路71と各第2流路17との間の角度(例えば、90度)の間隔を空けて第1部材13Wの外周面の周方向に並べて配置されている。また、屈曲部73の流路中心J12は、流路72の両端部の間で流路径の1/2以上の曲率半径R4で曲がっている。
【0050】
本実施形態のミスト生成装置10Wでは、第1部材13Wの回転位置に応じて第1流路72が2つの第2流路17,17を択一的に第3流路71に接続する。これにより、ミスト生成装置本体30にて生成した油膜付きのミストを複数箇所に択一的に供給することができると共に、そのミストの粒径の変化及びミストの液滴化を抑えて、ミストを含む流体を好適に送給することができる。
【0051】
[第4実施形態]
本実施形態のミスト生成装置10Xは、図7に示されている。本実施形態の流路切替装置11Xに備えた第1部材13Xは、例えば、角柱状をなし、第2部材12Xの角柱形の受容部16Xに所定のストロークSの範囲で直動可能に収容されている。また、第2部材12Xの外面には前述の連結部屋53が形成されて、ミスト生成装置本体30の先端部が連結されている。さらに、受容部16Xにおける長手方向の一端と連結部屋53とが流路78にて連絡されている。
【0052】
また、第1部材13Xの一端面からは、筒形ロッド77が延びて、第2部材12Xの流路78内に直動可能に嵌合している。そして、筒形ロッド77内が第1流路75をなし、その第1流路75が第1部材13X内に延長されて、途中の屈曲部74で90度方向を変えられてさらに延び、第1部材13Xのうち直動方向と平行な側面に開口している。その屈曲部74の流路中心の曲率半径は、前記第1~第3の実施形態と同様に流路径の1/2以上になっている。
【0053】
また、第2部材12Xには、1対の第2流路17,17がストロークSと同じ間隔で設けられ、それら第2流路17,17の開口が受容部16X内に配置されている。そして、第1部材13Xの直動範囲の両端部で第1流路75と何れか一方の第2流路17とが連通する本実施形態によっても第1~第3の実施形態と同様の効果を奏する。なお、第1部材13Xは、第1流路75の流路中心を含む分割面で分割体に2分割され、接着剤やボルト等で両分割体が合体状態に保持されている。
【0054】
なお、上記第1~第4実施形態のミスト生成装置10~10X、流路切替装置11~11Xを、高い加工温度の切削加工(例えば、スカイヴィング加工)において、切粉又は工具の冷却用のミストの供給に用いてもよい。
【0055】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0056】
(1)上記実施形態では、コア部材40が、1対の分割体41,41から構成されていたが、3つ以上の分割体から構成されていてもよい。この場合においても、それら分割体が屈曲部64の流路中心J4を含む面で分割される構成となっていてもよい。
【0057】
(2)上記実施形態では、屈曲部64が、第1部材13にのみ設けられていたが、第2部材12にも設けられていてもよい。
【0058】
(3)上記実施形態では、第1部材13の第1流路65に屈曲部64が1つ又は2つ設けられていたが、3つ以上設けられていてもよい。
【0059】
(4)上記実施形態では、流路切替装置11が、油膜付きミストの流路に用いられていたが、水のみからなるミストの流路に用いられてもよいし、オイルのみからなるミストの流路に用いられてもよいし、それ以外の液体からなるミストの流路に用いられてもよい。また、ミストを含む流体は、エアーに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
10,10V,10W,10X ミスト生成装置
11,11V,11W,11X 流路切替装置
12,12V,12W,12X 第2部材
13,13V,13W,13X 第1部材
16,16V,16W,16X 受容部
17 第2流路
64 屈曲部
65 第1流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7