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特許7271061無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20230501BHJP
   H04W 84/20 20090101ALI20230501BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20230501BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230501BHJP
【FI】
H04W8/26
H04W84/20
H04W88/06
H04W4/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019062158
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020162070
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】横山 睦人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓人
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】坂野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0105086(KR,A)
【文献】特開2017-050172(JP,A)
【文献】特開2017-207851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線ネットワークを介して前記第1無線ネットワーク内の第1無線端末と通信する第1無線通信部と、
前記第1無線ネットワークの無線エリアよりも狭い無線エリアを有する第2無線ネットワークを介して、前記第2無線ネットワーク内の第2無線端末と通信する第2無線通信部と、
前記第1無線通信部が、前記第1無線ネットワークを示す第1ネットワーク識別情報と、前記第1無線ネットワーク内の装置を示す第1装置識別情報とを用いて、前記第1無線端末と通信するように、前記第1無線通信部を制御する第1制御部と、
前記第1ネットワーク識別情報と前記第1装置識別情報とを用いて、前記第2無線ネットワークを示す第2ネットワーク識別情報を生成し、前記第2無線通信部が、前記第2ネットワーク識別情報と、前記第2無線ネットワーク内の装置を示す第2装置識別情報とを用いて、前記第2無線端末と通信するように、前記第2無線通信部を制御する第2制御部とを備え、
前記第2ネットワーク識別情報のビット数は、前記第1ネットワーク識別情報のビット数よりも多く、前記第2装置識別情報のビット数は、前記第1装置識別情報のビット数よりも少ないことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1無線ネットワーク内の前記第1無線端末を示す第3装置識別情報のビット数は、前記第1装置識別情報のビット数に等しく、前記第2無線ネットワーク内の前記第2無線端末を示す第4装置識別情報のビット数は、前記第2装置識別情報のビット数に等しく、前記第1ネットワーク識別情報のビット数と前記第1装置識別情報のビット数と前記第3装置識別情報のビット数との和は、前記第2ネットワーク識別情報のビット数と前記第2装置識別情報のビット数と前記第4装置識別情報のビット数との和に等しいことを特徴とする請求項記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記第2無線通信部が、前記第2ネットワーク識別情報と、前記第2装置識別情報と、所定の事象を示す事象情報とを含む第1無線通信パケットを、前記第2無線端末から受信した場合、前記第1ネットワーク識別情報と、前記第1装置識別情報と、前記事象情報とを含む第2無線通信パケットを生成し、
前記第1無線通信部は、前記第2無線通信パケットを、前記第1無線ネットワークを介して前記第1無線端末へ送信することを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第2制御部は、前記第2無線通信部が、前記第2ネットワーク識別情報と、前記第2装置識別情報と、所定の事象を示す事象情報とを含む第1無線通信パケットを、前記第2無線端末から受信した場合、前記第2ネットワーク識別情報と、前記第2装置識別情報と、前記事象情報に基づく指示とを含む第2無線通信パケットを生成し、
前記第2無線通信部は、前記第2無線通信パケットを、前記第2無線ネットワークを介して、前記第2無線ネットワーク内の第3無線端末へ送信することを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1制御部は、所定のデータを計測する計測器から計測データを取得し、前記第1ネットワーク識別情報と、前記第1装置識別情報と、前記計測データとを含む計測データパケットを生成し、
前記第1無線通信部は、前記計測データパケットを、前記第1無線ネットワークを介して前記第1無線端末へ送信することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のガススマートメータシステムにおいて、ガスメータに接続された無線端末は、監視センタに設置された無線端末と、無線ネットワークを介して通信することで、ガスメータにより計測されたガス使用量を監視センタへ報告することができる。さらに、ガスメータに接続された無線端末は、需要家宅内に設置されたガス漏れ警報器等の各種機器と通信することもできる。
【0003】
このようなガススマートメータシステムに関連して、電池により駆動される無線端末を含む無線通信ネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。電池により駆動される無線端末では、電池の消耗を抑えて、電池の交換頻度を減らすことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5097633号明細書
【文献】特許第5571008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
需要家宅内の家庭用電気製品、HEMS(Home Energy Management System)コントローラ等の機器を無線化する無線通信規格は数多く存在するが、これらの無線通信規格は、機器に対して電力を供給する外部電源の存在を前提としている。したがって、ガスメータに接続された無線端末のように、電池で動作する無線端末向けの通信方式は、あまり知られていない。
【0006】
一方、需要家宅内の無線ネットワークは、需要家単位で分離させることが望ましい。しかしながら、需要家単位で無線ネットワークを設ける場合、無線ネットワークの総数が膨大になるため、各無線ネットワークを識別するためのネットワーク識別子のビット数が増加する。
【0007】
ネットワーク識別子のビット数が増加すると、データ通信におけるパケットのヘッダ情報が肥大化し、パケットの送受信時間が増加するため、電池が消耗しやすくなる。さらに、ビット数の増加に伴って、ネットワーク識別子の浪費を招くこともある。
【0008】
なお、かかる問題は、ガススマートメータシステムに限らず、需要家等のユーザ毎に無線ネットワークが設けられる、様々な無線通信システムにおいて生ずるものである。
【0009】
1つの側面において、本発明は、ユーザ毎に無線ネットワークが設けられる無線通信システムにおいて、無線通信に用いられるヘッダ情報の増大を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施形態によれば、無線通信装置は、無線通信部及び制御部を含む。無線通信部は、第1無線ネットワークを介して第1無線ネットワーク内の第1無線端末と通信し、第1無線ネットワークの無線エリアよりも狭い無線エリアを有する第2無線ネットワークを介して、第2無線ネットワーク内の第2無線端末と通信する。
【0011】
制御部は、無線通信部が、第1無線ネットワークを示す第1ネットワーク識別情報と、第1無線ネットワーク内の装置を示す第1装置識別情報とを用いて、第1無線端末と通信するように、無線通信部を制御する。そして、制御部は、無線通信部が、第2無線ネットワークを示す第2ネットワーク識別情報と、第2無線ネットワーク内の装置を示す第2装置識別情報とを用いて、第2無線端末と通信するように、無線通信部を制御する。
【0012】
第2ネットワーク識別情報のビット数は、第1ネットワーク識別情報のビット数よりも多く、第2装置識別情報のビット数は、第1装置識別情報のビット数よりも少ない。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面において、ユーザ毎に無線ネットワークが設けられる無線通信システムにおいて、無線通信に用いられるヘッダ情報の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】無線通信装置の構成図である。
図2】無線通信システムの構成図である。
図3】無線ネットワーク内の無線通信パケットのフォーマットを示す図である。
図4】宅内無線ネットワーク内の無線通信パケットのフォーマットを示す図である。
図5】無線子機の構成図である。
図6】宅内親機の構成図である。
図7】ネットワーク構築シーケンスを示す図である。
図8】第1の事象通報シーケンスを示す図である。
図9】第2の事象通報シーケンスを示す図である。
図10】指示発行シーケンスを示す図である。
図11】情報処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態の無線通信装置の構成例を示している。図1の無線通信装置101は、無線通信部111及び制御部112を含む。
【0016】
無線通信部111は、第1無線ネットワークを介して第1無線ネットワーク内の第1無線端末と通信し、第1無線ネットワークの無線エリアよりも狭い無線エリアを有する第2無線ネットワークを介して、第2無線ネットワーク内の第2無線端末と通信する。
【0017】
制御部112は、無線通信部111が、第1無線ネットワークを示す第1ネットワーク識別情報と、第1無線ネットワーク内の装置を示す第1装置識別情報とを用いて、第1無線端末と通信するように、無線通信部111を制御する。そして、制御部112は、無線通信部111が、第2無線ネットワークを示す第2ネットワーク識別情報と、第2無線ネットワーク内の装置を示す第2装置識別情報とを用いて、第2無線端末と通信するように、無線通信部111を制御する。
【0018】
第2ネットワーク識別情報のビット数は、第1ネットワーク識別情報のビット数よりも多く、第2装置識別情報のビット数は、第1装置識別情報のビット数よりも少ない。
【0019】
図1の無線通信装置101によれば、ユーザ毎に無線ネットワークが設けられる無線通信システムにおいて、無線通信に用いられるヘッダ情報の増大を抑制することができる。
【0020】
図2は、図1の無線通信装置101を含む無線通信システムの構成例を示している。図2の無線通信システムは、NCU(Network Control Unit)201、無線親機202、計測器211-1~計測器211-3、無線子機212-1~無線子機212-3、及び宅内親機221-1~宅内親機221-3を含む。無線通信システムは、さらに、機器222-1~機器222-3及び宅内子機223-1~宅内子機223-3を含む。
【0021】
無線親機202及び無線子機212-1~無線子機212-3は、無線ネットワーク231内の無線端末である。宅内親機221-i(i=1~3)は、宅内無線ネットワーク232-i内の無線端末であり、宅内子機223-1~宅内子機223-3は、宅内無線ネットワーク232-2内の無線端末である。
【0022】
例えば、無線ネットワーク231は、複数の需要家宅を含む広域ネットワークである。一方、宅内無線ネットワーク232-iは、需要家宅毎に設けられ、無線ネットワーク231の無線エリアよりも狭い無線エリアを有する。
【0023】
無線子機212-1~無線子機212-3は、無線ネットワーク231を介して無線親機202と通信し、宅内親機221-2は、宅内無線ネットワーク232-2を介して宅内子機223-1~宅内子機223-3と通信する。
【0024】
計測器211-iは、例えば、需要家宅に設置され、所定のデータを計測する。計測器211-iは、ガスメータ、水道メータ、電気メータ等であってもよい。ガスメータは、ガスの使用量を計測し、水道メータは、水道の使用量を計測し、電気メータは、電気の使用量を計測する。無線子機212-i及び宅内親機221-iは、図1の無線通信装置101に対応し、計測器211-iと接続されている。宅内親機221-iは、無線子機212-iと接続されている。
【0025】
無線ネットワーク231は、各計測器211-iによって計測された計測データを収集する無線検針用ネットワークである。NCU201及び無線親機202は、例えば、監視センタに設置され、無線親機202は、NCU201と接続されており、NCU201は、監視センタのサーバ(不図示)と接続されている。NCU201は、監視センタのサーバからの指示に従って、無線親機202による通信を制御する。
【0026】
無線子機212-iは、計測器211-iから計測データを取得し、取得した計測データを含む無線通信パケットである計測データパケットを、無線ネットワーク231を介して無線親機202へ送信する。
【0027】
機器222-j(j=1~3)は、例えば、需要家宅に設置され、宅内子機223-jは、機器222-jと接続されている。機器222-jは、ガス漏れ警報器、火災警報器、一酸化炭素警報器、宅内操作器、HEMSコントローラ、家庭用電気製品等であってもよい。
【0028】
機器222-jが所定の事象を検知した場合、宅内子機223-jは、その事象を示す事象情報を含む無線通信パケットを、宅内無線ネットワーク232-2を介して宅内親機221-2へ送信する。所定の事象は、ガス漏れ、火災、一酸化炭素の発生等であってもよく、事象情報は、事象の発生を示す電文であってもよい。
【0029】
なお、無線ネットワーク231内の無線子機の台数は3台に限られず、N台(Nは1以上の整数)であってもよい。この場合、計測器の台数と宅内無線ネットワークの個数もN個となる。また、宅内無線ネットワーク232-2内の宅内子機の台数は3台に限られず、M台(Mは1以上の整数)であってもよい。宅内無線ネットワーク232-1及び宅内無線ネットワーク232-3の各々にも、M個の機器とM台の宅内子機が含まれる。
【0030】
図3は、図2の無線ネットワーク231内で送受信される無線通信パケットのフォーマットの例を示している。図3のフォーマットは、物理層データに対応し、MAC(Media Access Control)ヘッダ、MACデータ、及びチェックコードを含む。MACヘッダのサイズ(ビット数)は、7バイトであり、MACデータのサイズは、0~113バイトであり、チェックコードのサイズは、2バイトである。この例では、1バイト=8ビットである。
【0031】
MACヘッダは、Sq-No、Di-RNO、Sy-RNO、So-RNO、及びL-Conを含む。Sq-Noは、シーケンス番号を表し、Di-RNOは、宛先無線端末の装置識別情報(無線端末識別子)を表す。Sy-RNOは、無線ネットワーク231のネットワーク識別情報(ネットワーク識別子)を表し、So-RNOは、送信元無線端末の装置識別情報を表す。Di-RNO及びSo-RNOは、無線ネットワーク231内の装置を示す装置識別情報である。L-Conは、リンクコントロールコマンドを表し、リンクコントロールコマンドは、MACデータの意味を示す。
【0032】
Sq-No、Di-RNO、So-RNO、及びL-Conのサイズは、1バイトであり、Sy-RNOのサイズは、3バイトである。したがって、Di-RNO及びSo-RNOのサイズは等しい。この場合、1バイト(8ビット)の無線端末識別子によって、最大256台の無線端末を識別することができ、3バイト(24ビット)のネットワーク識別子によって、約1677万個の無線ネットワークを識別することができる。
【0033】
図2の例では、ネットワーク識別子及び無線端末識別子が16進数で示されている。無線ネットワーク231を示すネットワーク識別子は“AAAAAA”であり、無線親機202を示す無線端末識別子は“FD”である。無線子機212-1、無線子機212-2、及び無線子機212-3を示す無線端末識別子は、それぞれ、“01”、“02”、及び“03”である。
【0034】
図3のMACヘッダのフォーマットをそのまま宅内無線ネットワーク232-iに適用した場合、宅内無線ネットワーク232-iの総数が膨大になると、ネットワーク識別子が浪費されて枯渇してしまう。
【0035】
そこで、宅内無線ネットワーク232-i内の機器の最大数を16台に制限することで、無線端末識別子のサイズを8ビットから4ビットに削減する。これにより、Di-RNO及びSo-RNOそれぞれのサイズが4ビットだけ短くなる。そして、削減された8ビットをネットワーク識別子に割り当てることにより、ネットワーク識別子によって識別可能な宅内無線ネットワークの個数を、256倍に増加させることができる。
【0036】
図4は、図2の宅内無線ネットワーク232-i内で送受信される無線通信パケットのフォーマットの例を示している。図4のMACヘッダ、MACデータ、及びチェックコードのサイズは、図3のフォーマットと同様である。
【0037】
MACヘッダは、Sq-No、Di-RNO、Sy-RNO、So-RNO、及びL-Conを含む。Di-RNO及びSo-RNOは、宅内無線ネットワーク232-i内の装置を示す装置識別情報であり、Sy-RNOは、宅内無線ネットワーク232-iのネットワーク識別情報である。
【0038】
Sq-No及びL-Conのサイズは、1バイトであり、Di-RNO及びSo-RNOのサイズは、0.5バイトであり、Sy-RNOのサイズは、4バイトである。したがって、Di-RNO及びSo-RNOのサイズは等しい。
【0039】
Di-RNO及びSo-RNOのビット数は、図3のDi-RNO及びSo-RNOのビット数よりも4ビットだけ少なく、Sy-RNOのビット数は、図3のSy-RNOのビット数よりも8ビットだけ多い。Di-RNO、Sy-RNO、及びSo-RNOのビット数の和は、図3のDi-RNO、Sy-RNO、及びSo-RNOのビット数の和に等しい。
【0040】
この場合、0.5バイト(4ビット)の無線端末識別子によって、最大16台の無線端末を識別することができ、4バイト(32ビット)のネットワーク識別子によって、約42億個の宅内無線ネットワークを識別することができる。
【0041】
図2の例では、宅内無線ネットワーク232-1、宅内無線ネットワーク232-2、及び宅内無線ネットワーク232-3を示すネットワーク識別子は、それぞれ、“AAAAAA01”、“AAAAAA02”、及び“AAAAAA03”である。また、宅内親機221-1、宅内親機221-2、及び宅内親機221-3を示す無線端末識別子は“0”である。宅内子機223-1、宅内子機223-2、及び宅内子機223-3を示す無線端末識別子は、それぞれ、“1”、“2”、及び“3”である。
【0042】
各宅内無線ネットワーク232-iを示すネットワーク識別子は、無線ネットワーク231を示すネットワーク識別子と、無線子機212-iを示す無線端末識別子とを連結することで、生成される。これにより、既に構築されている無線ネットワーク231のネットワーク識別子を用いて、各宅内無線ネットワーク232-iを示す一意のネットワーク識別子を容易に生成することができる。
【0043】
図4のフォーマットによれば、図3のフォーマットと比較してMACヘッダのサイズが増加しないため、パケットの送受信時間も増加しない。したがって、宅内無線ネットワーク232-i内の無線端末が電池で動作する場合であっても、電池の消耗を抑止することができる。
【0044】
図5は、図2の無線子機212-iの構成例を示している。図5の無線子機212-iは、アンテナ511、無線通信回路512、及び制御部513を含み、無線通信回路512及び制御部513は、不図示の電池から供給される電力によって動作する。無線通信回路512及び制御部513は、図1の無線通信部111及び制御部112にそれぞれ対応する。
【0045】
受信動作において、アンテナ511は、無線親機202から無線信号を受信し、無線通信回路512は、受信した無線信号に対する復調処理を行うことで、無線通信パケットを復元して、制御部513へ出力する。
【0046】
送信動作において、制御部513は、無線通信パケットを生成して無線通信回路512へ出力し、無線通信回路512は、無線通信パケットに対する変調処理を行うことで、無線信号を生成し、アンテナ511は、その無線信号を無線親機202へ送信する。
【0047】
例えば、制御部513は、計測器211-iから計測データを取得し、無線親機202を示すDi-RNO、無線ネットワーク231を示すSy-RNO、無線子機212-iを示すSo-RNO、及び計測データを含む、計測データパケットを生成する。そして、無線通信回路512は、計測データパケットから無線信号を生成して、無線親機202へ送信する。
【0048】
図6は、図2の宅内親機221-iの構成例を示している。図6の宅内親機221-iは、アンテナ611、無線通信回路612、及び制御部613を含み、無線通信回路612及び制御部613は、不図示の電池から供給される電力によって動作する。無線通信回路612及び制御部613は、図1の無線通信部111及び制御部112にそれぞれ対応する。以下では、宅内親機221-2の送受信動作について説明する。
【0049】
受信動作において、アンテナ611は、宅内子機223-jから無線信号を受信し、無線通信回路612は、受信した無線信号に対する復調処理を行うことで、無線通信パケットを復元して、制御部613へ出力する。
【0050】
例えば、宅内子機223-jから受信した無線通信パケットは、宅内親機221-2を示すDi-RNO、宅内無線ネットワーク232-2を示すSy-RNO、宅内子機223-jを示すSo-RNO、及び事象情報を含む。
【0051】
送信動作において、制御部613は、無線通信パケットを生成して無線通信回路612へ出力し、無線通信回路612は、無線通信パケットに対する変調処理を行うことで、無線信号を生成し、アンテナ611は、その無線信号を宅内子機223-jへ送信する。
【0052】
例えば、制御部613は、いずれかの宅内子機223-jから受信した事象情報に基づいて、同じ宅内子機223-j又は別の宅内子機223-jに接続された機器222-jに対する指示を含む、無線通信パケットを生成する。この無線通信パケットは、送信先の宅内子機223-jを示すDi-RNO、宅内無線ネットワーク232-2を示すSy-RNO、及び宅内親機221-2を示すSo-RNOを含む。そして、無線通信回路612は、生成された無線通信パケットから無線信号を生成して、送信先の宅内子機223-jへ送信する。
【0053】
無線子機212-i及び宅内親機221-iは、アンテナ511を共用することも可能である。この場合、図6のアンテナ611、無線通信回路612、及び制御部613が省略され、図5の無線通信回路512が無線通信回路612としても動作し、制御部513が制御部613としても動作する。したがって、単一の無線端末によって、無線子機212-i及び宅内親機221-iの機能が実現される。
【0054】
図2の無線親機202の構成も、図5の無線子機212-iの構成と同様であり、図2の宅内子機223-jの構成も、図6の宅内親機221-iの構成と同様である。
【0055】
図7は、図2の無線通信システムにおいて宅内無線ネットワーク232-2を構築する、ネットワーク構築シーケンスの例を示している。まず、無線子機212-2が起動され(手順701)、無線子機212-2は、無線親機202との間で識別子発行通信を行う(手順702)。これにより、無線子機212-2は、無線ネットワーク231のネットワーク識別子“AAAAAA”と、無線親機202の無線端末識別子“FD”と、無線子機212-2の無線端末識別子“02”とを取得し、それらの識別子を記憶する。
【0056】
次に、宅内親機221-2が起動され(手順703)、宅内親機221-2は、無線子機212-2から、ネットワーク識別子“AAAAAA”及び無線端末識別子“02”を取得する(手順704)。次に、宅内親機221-2の制御部613は、ネットワーク識別子“AAAAAA”と無線端末識別子“02”とを連結して、宅内無線ネットワーク232-2のネットワーク識別子“AAAAAA02”を生成する。そして、制御部613は、ネットワーク識別子“AAAAAA02”と、宅内親機221-2の無線端末識別子“0”とを記憶する。
【0057】
次に、宅内子機223-1が起動され(手順705)、宅内子機223-1は、宅内親機221-2との間で識別子発行通信を行う(手順706)。これにより、宅内子機223-1は、ネットワーク識別子“AAAAAA02”と、宅内親機221-2の無線端末識別子“0”と、宅内子機223-1の無線端末識別子“1”とを取得し、それらの識別子を記憶する。
【0058】
次に、宅内子機223-2が起動され(手順707)、宅内子機223-2は、宅内親機221-2との間で識別子発行通信を行う(手順708)。これにより、宅内子機223-2は、ネットワーク識別子“AAAAAA02”と、宅内親機221-2の無線端末識別子“0”と、宅内子機223-2の無線端末識別子“2”とを取得し、それらの識別子を記憶する。
【0059】
次に、宅内子機223-3が起動され(手順709)、宅内子機223-3は、宅内親機221-2との間で識別子発行通信を行う(手順710)。これにより、宅内子機223-3は、ネットワーク識別子“AAAAAA02”と、宅内親機221-2の無線端末識別子“0”と、宅内子機223-3の無線端末識別子“3”とを取得し、それらの識別子を記憶する。
【0060】
このようなネットワーク構築シーケンスによって、宅内無線ネットワーク232-2が構築される。宅内無線ネットワーク232-1及び宅内無線ネットワーク232-3も、図7と同様のネットワーク構築シーケンスによって構築される。
【0061】
図8は、図2の無線通信システムにおいて事象の発生を監視センタへ通報する、第1の事象通報シーケンスの例を示している。まず、機器222-1は、ガス漏れ、火災、一酸化炭素の発生等の事象を検知し、その事象を示す事象情報を宅内子機223-1へ出力する(手順801)。
【0062】
次に、宅内子機223-1は、事象情報をMACデータとして含む無線通信パケットを生成し、その無線通信パケットのDi-RNOに、宅内親機221-2の無線端末識別子“0”を設定する。また、宅内子機223-1は、Sy-RNOに、ネットワーク識別子“AAAAAA02”を設定し、So-RNOに、宅内子機223-1の無線端末識別子“1”を設定する。そして、宅内子機223-1は、その無線通信パケットを宅内親機221-2へ送信する(手順802)。
【0063】
次に、宅内親機221-2の無線通信回路612は、宅内子機223-1から無線通信パケットを受信し、制御部613は、受信した無線通信パケットから事象情報を抽出して、無線子機212-2へ出力する(手順803)。
【0064】
次に、無線子機212-2の制御部513は、宅内親機221-2から出力された事象情報をMACデータとして含む無線通信パケットを生成し、その無線通信パケットのDi-RNOに、無線親機202の無線端末識別子“FD”を設定する。また、制御部513は、Sy-RNOに、ネットワーク識別子“AAAAAA”を設定し、So-RNOに、無線子機212-2の無線端末識別子“02”を設定する。そして、無線通信回路512は、その無線通信パケットを無線親機202へ送信する(手順804)。
【0065】
次に、無線親機202は、受信した無線通信パケットから事象情報を抽出して、NCU201へ出力する(手順805)。NCU201は、無線親機202から出力された事象情報を、監視センタのサーバへ転送する(手順806)。これにより、需要家宅内の機器222-1によって検知された事象が、監視センタに通報される。
【0066】
図9は、図2の無線通信システムにおいて事象の発生を計測器211-2へ通報する、第2の事象通報シーケンスの例を示している。手順901及び手順902は、図8の手順801及び手順802と同様である。
【0067】
宅内親機221-2の無線通信回路612は、宅内子機223-1から無線通信パケットを受信し、制御部613は、受信した無線通信パケットから事象情報を抽出して、計測器211-2へ出力する(手順903)。
【0068】
そして、計測器211-2は、宅内親機221-2から出力された事象情報に基づいて、所定の動作を行う。例えば、計測器211-2がガスメータであり、機器222-1がガス漏れ警報器であり、事象情報がガス漏れを示す電文である場合、計測器211-2は、ガスメータを閉栓する動作を行う。これにより、監視センタからの指示を待つことなく、自律的にガス漏れを止めることができる。
【0069】
図10は、図2の無線通信システムにおいて事象に基づく指示を発行する、指示発行シーケンスの例を示している。手順1001及び手順1002は、図8の手順801及び手順802と同様である。
【0070】
宅内親機221-2の無線通信回路612は、宅内子機223-1から無線通信パケットを受信し、制御部613は、受信した無線通信パケットから事象情報を抽出して、その事象情報に基づく指示を含む無線通信パケットを生成する。
【0071】
このとき、制御部613は、その無線通信パケットのDi-RNOに、宅内子機223-2の無線端末識別子“2”を設定する。また、制御部613は、Sy-RNOに、ネットワーク識別子“AAAAAA02”を設定し、So-RNOに、宅内親機221-2の無線端末識別子“0”を設定する。そして、無線通信回路612は、その無線通信パケットを宅内子機223-2へ送信する(手順1003)。
【0072】
宅内子機223-2は、受信した無線通信パケットから、事象情報に基づく指示を抽出し、抽出した指示を機器222-2へ出力する(手順1004)。そして、機器222-2は、宅内子機223-2から出力された指示に従って、所定の動作を行う。
【0073】
一例として、機器222-1及び機器222-2が、ガス漏れ警報器、火災警報器、又は一酸化炭素警報器であり、事象情報が、ガス漏れ、火災、又は一酸化炭素の発生を示す警報電文である場合について説明する。この場合、宅内親機221-2は、事象情報に基づく指示として、鳴動指示を示す電文を用いることで、機器222-2に対して警報の連動を指示することができる。そして、機器222-2は、鳴動指示を示す電文に従って、鳴動動作を行う。
【0074】
これにより、機器222-1及び機器222-2が別々の部屋に設置されている場合であっても、一方の部屋で発生した事象に基づいて、他方の部屋に設定された機器を鳴動させることが可能になる。図10と同様の指示発行シーケンスにより、3台以上の機器が連動して警報を発することもできる。
【0075】
図11は、図1の制御部112、図5の制御部513、及び図6の制御部613として用いられる情報処理装置(コンピュータ)の構成例を示している。図11の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)1101及びメモリ1102を含む。
【0076】
メモリ1102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリであり、処理に用いられるプログラム及びデータを記憶する。
【0077】
例えば、メモリ1102は、無線ネットワーク231及び宅内無線ネットワーク232-iのネットワーク識別子、無線親機202、無線子機212-i、宅内親機221-i、及び宅内子機223-jの無線端末識別子等を記憶することができる。また、メモリ1102は、計測データ、事象情報、事象情報に基づく指示等も記憶することができる。
【0078】
CPU1101(プロセッサ)は、例えば、メモリ1102を利用してプログラムを実行することにより、図1の制御部112、図5の制御部513、又は図6の制御部613として動作する。
【0079】
図1の無線通信装置101の構成は一例に過ぎず、無線通信装置101の用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。
【0080】
図2の無線通信システムの構成は一例に過ぎず、無線通信システムの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。例えば、計測器211-i及び機器222-jは、需要家宅の代わりに、オフィス、工場、倉庫等に設置されていてもよく、計測器211-iの代わりに、別の機器が設置されていてもよい。各無線端末は、電池以外の外部電源から供給される電力によって動作しても構わない。
【0081】
図3及び図4に示した無線通信パケットのフォーマットは一例に過ぎず、MACヘッダ、MACデータ、及びチェックコードのサイズは、別のサイズであってもよい。同様に、Sq-No、Di-RNO、Sy-RNO、So-RNO、及びL-Conのサイズは、別のサイズであってもよい。
【0082】
例えば、図4のDi-RNO、Sy-RNO、及びSo-RNOのサイズを、それぞれ、3ビット、34ビット、及び3ビットに設定することも可能である。また、図4のDi-RNO、Sy-RNO、及びSo-RNOのサイズを、それぞれ、6ビット、28ビット、及び6ビットに設定することも可能である。
【0083】
図5の無線子機212-i及び図6の宅内親機221-iの構成は一例に過ぎず、無線通信システムの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。例えば、無線子機212-i及び宅内親機221-iがアンテナ511を共用する場合は、図6の宅内親機221-iを省略することができる。
【0084】
図7図10に示した動作シーケンスは一例に過ぎず、無線通信システムの構成又は条件に応じて、一部の手順を省略又は変更してもよい。例えば、図6の宅内親機221-iが省略される場合は、図7の手順704及び図8の手順803を省略することができる。
【0085】
図11の情報処理装置の構成は一例に過ぎず、無線通信装置101、無線子機212-i、及び宅内親機221-iの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。図1の制御部112、図5の制御部513、及び図6の制御部613は、集積回路等のハードウェア回路として実装することも可能である。
【0086】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0087】
101 無線通信装置
111 無線通信部
112 制御部
201 NCU
202 無線親機
211-1~211-3 計測器
212-1~212-3 無線子機
221-1~221-3 宅内親機
222-1~222-3 機器
223-1~223-3 宅内子機
231 無線ネットワーク
232-1~232-3 宅内無線ネットワーク
511、611 アンテナ
512、612 無線通信回路
513、613 制御部
1101 CPU
1102 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11