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特許7271064積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心
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  • 特許-積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/147 20060101AFI20230501BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20230501BHJP
   H01F 1/18 20060101ALI20230501BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20230501BHJP
   C23C 8/14 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01F1/147
H02K1/02 Z
H01F1/18
H01F41/02 B
C23C8/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019108894
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020202314
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】519210675
【氏名又は名称】鈴木 茂
(73)【特許権者】
【識別番号】000222048
【氏名又は名称】東北特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将仁
(72)【発明者】
【氏名】浦川 潔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武信
(72)【発明者】
【氏名】佐々 達郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大喜
(72)【発明者】
【氏名】江幡 貴司
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-336061(JP,A)
【文献】特開2000-328207(JP,A)
【文献】特開2010-202923(JP,A)
【文献】特開2013-209739(JP,A)
【文献】特開2008-036671(JP,A)
【文献】Shigeru Suzuki et al.,Characterization of surface oxide layers formed on Fe-Al alloys by annealing under different atmospheres,SURFACE and INTERFACE ANALYSIS,2008年01月09日,Vol.40,p.311-314,DOI 10.1002/sia.2635
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/147
H02K 1/02
H01F 1/18
H01F 41/02
C23C 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Co:40質量%~53質量%と、V:質量%~質量%と、Al:0.1質量%~1.5質量%とを含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成る鋼板を、酸素分圧が1×10-26Pa~1×10-14Paの雰囲気中で、700℃~950℃で熱処理することにより、表面にAlを主成分とする酸化膜を有し占積率が98%以上の積層鉄心用板材を製造することを特徴とする積層鉄心用板材の製造方法。
【請求項2】
前記鋼板は、Fe-Co系の軟磁性材料から成る圧延板であることを特徴とする請求項1記載の積層鉄心用板材の製造方法。
【請求項3】
前記酸化皮膜は、0.5nm乃至120nmの厚さを有していることを特徴とする請求項1または2記載の積層鉄心用板材の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理の雰囲気は、水素を含み、露点-50℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層鉄心用板材の製造方法。
【請求項5】
前記不可避的不純物は、C、SiおよびMnのうちの少なくともいずれか1つを含んでいることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の積層鉄心用板材の製造方法。
【請求項6】
Co:40質量%~53質量%と、V:質量%~質量%と、Al:0.1質量%~1.5質量%と、O:0.001質量%~0.02質量%とを含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成り、表面にAlを主成分とする酸化膜を有し占積率が98%以上であることを特徴とする積層鉄心用板材。
【請求項7】
前記酸化皮膜は、0.5nm乃至120nmの厚さを有していることを特徴とする請求項記載の積層鉄心用板材。
【請求項8】
前記不可避的不純物は、C、SiおよびMnのうちの少なくともいずれか1つを含んでいることを特徴とする請求項6または7記載の積層鉄心用板材。
【請求項9】
請求項乃至のいずれか1項に記載の積層鉄心用板材を積層して成ることを特徴とする積層鉄心。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モーターや小型発電機、タービン発電機、トランス等で使用される積層鉄心は、誘導鉄損を低減するために、表面に高抵抗の絶縁膜を有する電磁鋼板を積層して形成されている。その絶縁膜の製造方法としては、リン酸塩系膜処理を行う方法や、マグネシア、シリカ、アルミナなどの酸化物粉末を塗布する方法、その酸化物粉末を有機系等溶媒に混合したものを塗布する方法、有機樹脂を塗布したり貼り合わせたりする方法等がある(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0003】
また、積層鉄芯の板材として、電磁鋼板の他に、パーマロイやパーメンジュール、アモルファスナノ結晶系軟磁性板材などが用いられている(例えば、特許文献4乃至7参照)。特に、近年、ドローンや高性能電気自動車などの分野では、電動モーターの高効率化のために、ステータなどの磁気回路に、アモルファスナノ結晶系軟磁性材料やパーメンジュールといった高性能軟磁性材料を組み込むニーズが高まっている。
【0004】
なお、本発明者等により、所定の酸素分圧を有する雰囲気中でFe-Al合金を熱処理することにより、Fe-Al合金の表面にAl 膜を形成する方法が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2662336号公報
【文献】特開2004-88970号公報
【文献】特開2003-100523号公報
【文献】特開平1-168014号公報
【文献】国際公開WO2005/029515号
【文献】特開2016-77149号公報
【文献】特開2017-55556号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Shigeru Suzuki, Takamichi Yamanoto, Kozo Shinoda and Shigeo Sato, “Characterization of surface oxide layers formed on Fe-Al alloys by annealing under different atmospheres”, Surf. Interface Anal., 2008, 40, p.311-314
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パーメンジュールなどのFe-Co系の軟磁性材料の板材の表面に、特許文献1乃至3に記載の方法により絶縁膜を形成すると、絶縁膜の厚みが比較的大きくなってしまうため、その板材を積層して積層鉄心を製造しても、軟磁性材料の占積率が小さくなり、材料から期待されるほどの性能が得られないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、Fe-Co系軟磁性材料を利用して、占積率が大きく、高性能な積層鉄心を得ることができる積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
Fe-Co系合金は、スレーター・ポーリング(Slater-Pauling)曲線で知られるように、約35Co付近を中心として、バルク金属としては最大の磁束密度を示す。そこで、本発明者等は、この高磁束密度のFe-Co系軟磁性材料を利用し、板材積層時の占積率を上げるために、できるだけ薄くかつ抵抗の高い膜を形成することを目的として検討を行い、本願発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法は、Co:40質量%~53質量%と、V:質量%~質量%と、Al:0.1質量%~1.5質量%とを含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成る鋼板を、酸素分圧が1×10-26Pa~1×10-14Paの雰囲気中で、700℃~950℃で熱処理することにより、表面にAlを主成分とする酸化膜を有し占積率が98%以上の積層鉄心用板材を製造することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る積層鉄心用板材は、Co:40質量%~53質量%と、V:質量%~質量%と、Al:0.1質量%~1.5質量%と、O:0.001質量%~0.02質量%とを含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成り、表面にAlを主成分とする酸化膜を有し占積率が98%以上であることを特徴とする。本発明に係る積層鉄心は、本発明に係る積層鉄心用板材を積層して成ることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る積層鉄心用板材は、本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法により好適に製造される。本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法は、鋼板を熱処理することにより、鋼板の表面にAlを主成分とする薄い酸化皮膜を形成することができ、本発明に係る積層鉄心用板材を製造することができる。製造された積層鉄心用板材を積層することにより、占積率が大きい本発明に係る積層鉄心を得ることができる。得られた積層鉄心は、占積率が大きく、原料の鋼板として、パーメンジュールなどの高性能なFe-Co系軟磁性材料を利用しているため、その材料が有する性能を発揮することができ、高性能である。また、得られた積層鉄心は、積層鉄心用板材の表面に酸化皮膜を有しているため、誘導鉄損を低減することができる。
【0013】
Fe-Co系合金は、50%Co付近を中心に、規則化脆化による加工性の劣化を起こしやすいが、本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法の鋼板および本発明に係る積層鉄心用板材は、Vを0質量%~4質量%含んでいるため、その加工性を改善することができる。
【0014】
本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法の鋼板および本発明に係る積層鉄心用板材は、残部のFeを46質量%~50質量%含むことが好ましい。また、不可避的不純物は、10質量%以下であることが好ましい。また、本発明に関する積層鉄心用板材の製造方法の鋼板および本発明に係る積層鉄心用板材は、Coが10質量%~30質量%のとき、Vを含んでいなくてもよい。
【0015】
本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法の鋼板および本発明に係る積層鉄心用板材は、Alを0.1質量%~1.5質量%含んでいるが、Alの添加量が1.5質量%より多くなると、熱間および冷間での加工性が低下し、割れを引き起こしてしまう。
【0016】
本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法で、熱処理の時間は10分から3時間であることが好ましい。この場合、十分な誘導鉄損の低減効果および耐久性を有する酸化皮膜を得ることができる。また、酸化皮膜を薄くして、より高性能な積層鉄心が得られるよう、熱処理時間は10~60分間であることが特に好ましい。本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法および積層鉄心用板材で、酸化皮膜は、数μm以下の厚さを有していることが好ましく、特に0.5nm乃至120nmの厚さを有していることが好ましい。
【0017】
アモルファスナノ結晶系軟磁性材料やパーメンジュールといった高性能軟磁性材料を利用した、従来の積層鉄心では、占積率が96%より小さかったのに対し、本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法および積層鉄心用板材では、積層鉄心の占積率を98%~99%以上に大きくすることができる。なお、ここで、占積率とは、積層鉄心の断面積に対する、酸化皮膜を除いた部分(酸化されていない部分)の面積の割合である。
【0018】
本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法で、前記熱処理の雰囲気は、水素を含み、露点-50℃以下であることが好ましい。この場合、十分な誘導鉄損の低減効果および耐久性を有し、薄い酸化皮膜を形成することができる。
【0019】
本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法で、前記鋼板は、前記Coを40質量%~53質量%、前記Vを1質量%~2質量%含む。本発明に係る積層鉄心用板材は、前記Coを40質量%~53質量%、前記Vを1質量%~2質量%含む。これらの場合、特に高性能な積層鉄心を形成することができる。また、本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法で、鋼板は、積層鉄心として利用可能なものであれば、圧延板など、いかなる加工が施されたものであってもよい。
【0020】
本発明に係る積層鉄心用板材の製造方法および積層鉄心用板材で、前記不可避的不純物は、C、SiおよびMnのうちの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。また、Cr、Nb、Mo、W、Ni、Tiのうちの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。これらの元素を含む場合、それらの含有量は、合計で1質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、Fe-Co系軟磁性材料を利用して、占積率が大きく、高性能な積層鉄心を得ることができる積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)本発明の実施の形態の積層鉄心用板材(実施例8)、(b) (a)よりAlの配合量が少ない積層鉄心用板材(比較例5)の、X線光電子分光法による、表面から深さ約2nmまでの組成の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例等に基づいて、本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法、積層鉄心用板材および積層鉄心について説明する。
本発明の実施の形態の積層鉄心用板材は、本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法により好適に製造される。すなわち、本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法は、Co:10質量%~55質量%と、V:0質量%~4質量%と、Al:0.1質量%~1.5質量%とを含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成る鋼板を、酸素分圧が1×10-26Pa~1×10-14Paの雰囲気中で、700℃~950℃で熱処理する。これにより、鋼板の表面にAlを主成分とする酸化膜を形成することができ、本発明の実施の形態の積層鉄心用板材を製造することができる。
【0024】
本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法は、鋼板を熱処理することにより、薄い酸化皮膜を有する積層鉄心用板材を製造することができ、その積層鉄心用板材を積層することにより、占積率が大きい本発明の実施の形態の積層鉄心を得ることができる。得られた積層鉄心は、占積率が大きく、原料の鋼板として、パーメンジュールなどの高性能なFe-Co系軟磁性材料を利用しているため、その材料が有する性能を発揮することができ、高性能である。また、得られた積層鉄心は、積層鉄心用板材の表面に酸化皮膜を有しているため、誘導鉄損を低減することができる。
【0025】
本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法で、熱処理の時間は10分から3時間であることが好ましい。この場合、十分な誘導鉄損の低減効果および耐久性を有する酸化皮膜を得ることができる。また、酸化皮膜を薄くして、より高性能な積層鉄心が得られるよう、熱処理時間は10~60分間であることが特に好ましい。
【0026】
本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法および積層鉄心用板材で、不可避的不純物は、C、SiおよびMnのうちの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。また、Cr、Nb、Mo、W、Ni、Tiのうちの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。これらの元素を含む場合、それらの含有量は、合計で1質量%以下であることが好ましい。
【0027】
[積層鉄心用板材の占積率等の測定]
本発明の実施の形態の積層鉄心用板材の製造方法、および、それに類似する方法であって、原料の配合量や各種条件のみが異なる方法に従って、積層鉄心用板材を製造し、占積率等の測定を行った。まず、表1に示す実施例1~15および比較例1~6について、それぞれ表1の配合量のCoとVとAlと、残部のFeとを含む原料を、真空誘導溶解炉で溶解し、押し湯を含めて約7kgのインゴット(径約80mm)を作製した。次に、各インゴットを、熱間鍛造で20mm厚に成形し、さらに熱間圧延で3mm厚まで圧延した。圧延後の各試料に対して、溶体化処理を行った後、冷間圧延で0.35mm厚まで圧延し、#400番相当まで機械研磨した。研磨後の各試料を、10mm角に切り出し、鏡面研磨を施して表面を清浄化した。こうして、軟磁性材料のFe-Co系合金製の鋼板から成る各試料を製造した。
【0028】
【表1】
【0029】
製造された実施例1~15および比較例1~6の各試料について、公称露点-70℃以下の水素ガス雰囲気中、または、水槽を通して-70℃以下に露点を制御した水素ガス雰囲気中にて、様々な酸素分圧および温度で熱処理を行い、各試料の表面に酸化膜を形成して積層鉄心用板材を製造した。酸素分圧は、露点測定により算出した。各試料の酸素分圧および熱処理温度を、表1に示す。
【0030】
製造された各試料の積層鉄心用板材について、4探針プローブを用いて、表面の抵抗を測定した。また、各試料の積層鉄心用板材による占積率、および、各試料の積層鉄心用板材の酸化膜の厚さも測定した。占積率および酸化膜の厚さの測定では、まず、各試料の積層鉄心用板材および熱処理前の各試料から、それぞれ外径10mm、内径5mmのリング形状の円板を100枚切り出し、その円板100枚を拡散接合にて積層したものに対して、直流B-H曲線を測定した。各試料について、測定された積層鉄心用板材の磁束密度と、熱処理前の試料の磁束密度とを比較し、酸化膜による飽和磁束の減少分から、占積率および酸化膜の厚みを算定した。測定された表面抵抗、占積率および酸化膜の厚さを、表1に示す。なお、実施例8と11は、同じものである。
【0031】
表1に示すように、比較例1~6では、表面抵抗が0.510Ω/sq. 以下であるのに対し、実施例1~15では、10Ω/sq. 以上であり、表面抵抗が非常に大きいことが確認された。また、実施例1~15は、酸化膜の厚さが約1nm~約100nmと非常に薄く、占積率が99%以上であることが確認された。
【0032】
次に、実施例8(実施例11)および比較例5の積層鉄心用板材について、X線光電子分光法により、表面から深さ約2nmまでの組成を測定した。なお、比較例5は、Alの配合量が、0.05質量%と少ない試料である。測定結果を、図1に示す。図1(a)に示すように、実施例8の積層鉄心用板材では、表層の組成が、ほぼAlとOのみから成ることが確認された。このことから、実施例8の積層鉄心用板材は、表層にAl(アルミナ)の酸化膜が形成されていると考えられる。また、このアルミナの酸化膜により、表1に示すように、表面抵抗が約400Ω/sq. と大きくなっていると考えられる。
【0033】
これに対し、図1(b)に示すように、比較例5の積層鉄心用板材では、表面から深さ1nm程度までは、Oが比較的多く存在しており、酸化されていると考えられるが、表層にはAlはほとんど存在せず、Alは存在していないと考えられる。これにより、表1に示すように、表面抵抗は0.1Ω/sq. よりも小さい値になっていると考えられる。
図1