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特許7271083ガラス製品及びガラス製品の信頼性を向上させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】ガラス製品及びガラス製品の信頼性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20230501BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
C03C15/00 B
B65D23/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017512381
(86)(22)【出願日】2015-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-09-21
(86)【国際出願番号】 US2015048592
(87)【国際公開番号】W WO2016037083
(87)【国際公開日】2016-03-10
【審査請求日】2018-09-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/046,208
(32)【優先日】2014-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】デマルティノ,スティーヴン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エリソン,アダム ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ホフ,カイル クリストファー
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】原 和秀
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/130721(WO,A1)
【文献】特開2011-57547(JP,A)
【文献】特開2011-236100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C15/00-23/00
B65D23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス容器の信頼性を向上させる方法であって、
外面、該外面に対向する内面、前記外面から前記内面に延びる初期厚T、及び前記外面から前記初期厚Tに延びる、最大初期欠陥深さAの欠陥集団を有するガラス容器を用意するステップと、
前記ガラス容器の少なくとも前記外面に化学処理を施すことによって、前記ガラス容器の前記外面及び前記欠陥集団内の各々の欠陥の近傍から、ガラス材料を一定の割合で選択的に除去するステップであって、前記化学処理が、該化学処理後、
前記最大初期欠陥深さA有していた欠陥が、前記ガラス容器に残り、前記欠陥の先端に、前記化学処理前の前記欠陥の前記先端の初期応力集中係数Ktより小さい、処理後応力集中係数Ktppを有し、
前記欠陥集団が、最大処理後欠陥深さAppを有し、
前記ガラス容器の処理後厚Tppが、初期厚Tより薄く、
|Tpp-T|が、|App-A|以下である、
温度及び時間で施される、ステップと、
を有し、
前記ガラス容器の前記外面をエッチング溶液に接触させることによって、前記ガラス容器が化学的に処理され、前記エッチング溶液が、0.5M~3.0Mの第1のモル濃度を有するフッ化水素酸と、前記第1のモル濃度の3~6倍の第2のモル濃度を有する少なくとも1種の鉱酸との混合物を水で希釈したものを含み、
前記エッチング溶液が、ゲル層を生成せずに、ガラス材料を前記ガラス容器の前記外面、及び前記欠陥集団内の各々の欠陥の近傍から均一に除去する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記外面及び内面が、それぞれ曲率半径を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガラス容器の前記外面を、90分以上、360分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることによって、前記ガラス容器が化学的に処理されることを特徴とする、求項1~2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス容器が、化学処理前に初期破壊確率Pを有し、前記ガラス容器が化学的に処理された後、エッチング後破壊確率Pppを有し、PppがPより小さいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記欠陥集団内の各々の欠陥が、化学処理前に、前記欠陥の先端に初期曲率半径rを有し、化学処理後に、前記欠陥の前記先端にエッチング後曲率半径rppを有し、r≦rppであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連技術の相互参照】
【0001】
本出願は、参照により全内容が本明細書に組み込まれたものとする、2014年9月5日出願の「ガラス製品の信頼性を向上させる方法」と題する、米国仮特許出願第62/046,208号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概してガラス製品に関し、より具体的には、機械的破壊を軽減し、欠陥の存在によるガラス製品の信頼性を向上させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ガラス製品は、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、現金自動預け払い機、食品及び飲料パッケージ等を含む、多様な消費者向け及び商業製品に益々多く使用されている。ガラス製品の強度を向上させる様々な技術が利用可能ではあるが、材料の欠陥によって、ガラス製品が破壊する危険性が常に存在している。従って、これ等のガラス製品が破壊する可能性を低減することに重点が置かれている。
【0004】
ガラス製品の強度は、溶融表面から使用までの損傷履歴、並びに強度、位置、及び持続時間を含む、使用中に受ける応力によって決定される。このことは、同じ損傷履歴を有するガラス製品は2つとないため、製造されたガラス製品の所与の集団についての強度分布につながる。その結果、ガラス製品の確率的強度は、特にこの強度分布のばらつきを考慮すると、予測することが困難であり得る。
【0005】
強度分布のばらつきを低減する1つの方法は、製造時のガラス製品を焼き戻して、全ての表面欠陥が、ガラス製品に与えられた残留圧縮応力区域内存在していることを保証することが挙げられる。焼戻しの手段には、表面の熱消滅又は網目修飾イオンを化学的に交換すること(即ち、イオン交換強化)が含まれる。これらの処理は、処理によってガラス製品に与えることができる残留圧縮応力の深さによって、効果的に強度分布のばらつきを低減することが制限される。特に、残留圧縮応力の深さは、製品に使用されるガラスの厚さ及びガラスの組成に依存する。圧縮応力の深さが、ガラス製品の最も深い欠陥を超えない場合、荷重支持状況において、残留圧縮応力の恩恵は殆どない。従って、これらの焼き戻しのいずれの方法を用いても、残留圧縮応力の深さを超える欠陥を有する、ガラス製品の強度分布のばらつきを効果的に低減することはできない。
【0006】
有機及び無機両方のコーティングによって、ガラス製品が寿命中に受ける損傷の深刻度が軽減され、ガラス製品の寿命における強度分布のばらつきが低減されることが示されている。しかし、コーティングを効果的に使用するためには、まず、意図した用途に対する適切な強度分布を有するガラス製品を製造する、製造プロセスに従ってガラス製品を製造する必要がある。コーティングの付加は、製品寿命を通してその強度分布を維持するだけであって、強度分布のばらつきを低減するものではない。即ち、製造プロセスによって適切な強度分布が生成されない場合、コーティングによって、強度分布のばらつきが低減されることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ガラス製品の強度分布のばらつきを低減し、それによってガラス製品の機械的破壊を軽減し、信頼性を向上させる別の方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施の形態によれば、ガラス製品は、第1の表面及び第1の表面に対向する第2の表面を有するガラス本体を含むことができる。第1の表面及び第2の表面は、それぞれ曲率半径を有している。ガラス本体の第1の表面は、第1の表面から最大初期欠陥深さAでガラス本体の厚さに延びる欠陥集団を含んでいる。ガラス本体の第1の表面は、第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約25%以下の深さまで、エッチングすることができる。ガラス製品が一軸圧縮荷重下にあるとき、第1の表面の少なくとも一部が張力状態にあり、ガラス製品の一軸圧縮強度は、欠陥のない一軸圧縮強度の90%以上である。
【0009】
別の実施の形態によれば、ガラス製品の信頼性を向上させる方法が、第1の表面、第1の表面に対向する第2の表面、第1の表面から第2の表面に延びる初期厚T、及び第1の表面から初期厚Tに延びる、最大初期欠陥深さAの欠陥集団を有するガラス製品を用意するステップを備えることができる。ガラス製品の少なくとも第1の表面に化学処理を施すことによって、ガラス製品の第1の表面及び欠陥集団内の各々の欠陥の近傍から、ガラス材料が一定の割合で選択的に除去され、化学処理が、化学処理後、最大初期欠陥深さAを有する欠陥が、ガラス製品に残り、欠陥の先端に、化学的処理前の欠陥の先端における初期応力集中係数Ktより小さい、処理後応力集中係数Ktppを有し、欠陥集団が、実質的にAに等しい最大処理後欠陥深さAppを有し、ガラス製品の処理後厚Tppが、初期厚Tより薄く、|Tpp-T|が|App-A|に実質的に等しくなる温度及び時間で施される。
【0010】
本明細書に記載のガラス製品の機械的破壊を軽減し、ガラス製品の信頼性を向上させる方法の更なる特徴及び効果は、これに続く詳細な説明に述べてあり、当業者はその記述から、一部は容易に明らかであり、これに続く詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面を含め、本明細書に記載の実施の形態を実施することによって認識できるであろう。
【0011】
前述の概要説明及び以下の詳細な説明は、いずれも様々な実施の形態を説明するものであって、特許請求した主題の性質及び特徴を理解するための概要、及び枠組みの提供を意図したものであることを理解されたい。添付図面は様々な実施の形態について更なる理解が得られることを意図して添付したもので、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものである。添付図面は本明細書に記載の様々な実施の形態を示すもので、その説明と併せ、特許請求した主題の原理及び作用の説明に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書に記載の1つ以上の実施の形態による、ガラス製品の断面を示す概略図。
図2図1のガラス製品の断面を示す概略図。
図3】ガラス製品の一軸圧縮応力を測定する装置に配置された、図1のガラス製品の概略図。
図4】化学処理を施す前の欠陥を有するガラス製品の一部を示す概略図。
図5】化学処理後の欠陥を有するガラス製品の一部を示す概略図。
図6A図1の欠陥を示す拡大概略図。
図6B図2の欠陥を示す拡大概略図。
図7】時間を関数とした、1Mのフッ化水素酸及び4Mの塩酸の溶液でエッチングしたガラス製品の質量損失をグラフ表示した図。
図8A】無処理のガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図8B】無処理のガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図9A】化学処理を施したガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図9B】化学処理を施したガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図10A】化学処理を施したガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図10B】化学処理を施したガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図11A】化学処理を施したガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図11B】化学処理を施したガラス製品の破面及び欠陥の起点を示す、SEM顕微鏡写真。
図12】破壊荷重(x軸)を関数とした、無処理のガラス製品、及び化学処理を施したガラス製品のワイブル強度分布(y軸)をグラフ表示した図。
図13】化学処理時間(x軸)を関数とした、誘発損傷における一軸圧縮破壊の割合(y軸)をグラフ表示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、添付図面に例を示す、ガラス製品及びガラス製品の機械的破壊を軽減する方法の実施の形態について詳細に説明する。図面全体を通し、可能な限り、同じ又は同様の部品には、同じ参照番号を用いている。1つの実施の形態によれば、ガラス製品は、第1の表面、及び第1の表面に対向する第2の表面を有するガラス本体を含むことができる。第1の表面及び第2の表面は、各々曲率半径を有している。ガラス本体の第1の表面は、第1の表面から最大初期欠陥深さAでガラス本体の厚さに延びる欠陥集団を含んでいる。ガラス本体の第1の表面は、第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAiの約25%以下の深さまで、エッチングすることができる。ガラス製品が一軸圧縮荷重下にあるとき、第1の表面の少なくとも一部は張力状態にあり、ガラス製品の一軸圧縮強度は、欠陥のない一軸圧縮強度の90%以上である。ガラス製品及びガラス製品の機械的破壊を軽減し、ガラス製品の信頼性を向上させる方法の様々な実施の形態について、以下添付図面を具体的に参照しながら説明する。
【0014】
従来、ガラス製品の集団の強度分布のばらつきを低減する主な方法は、ガラス製品を「最悪の場合」の欠陥シナリオを考慮して、過剰に設計することであった。具体的には、製造中又はその後の処理中に、ガラス製品にもたらされた欠陥集団の最大サイズは、同じ製造及び/又は処理条件を経た統計的に有意なガラス製品の集団を詳しく調査することによって、統計的に決定することができる。
【0015】
ガラス製品の欠陥の最大サイズが決定されると、エッチング処理等の修復処理を進めて、ガラス製品の表面から、ガラス製品の欠陥の最大サイズより深くまでガラス材料を除去して、ガラス製品から欠陥集団全体を効果的に除去することができる。多くの場合、ガラス製品の設計が修正され、欠陥集団を除去するための任意の処理後において、完成した製品が厚さに関する設計仕様内に収まるように、ガラスに付加的な厚さを追加することによって、この材料損失に対処している。
【0016】
かかる技術は、ガラス製品の集団の強度分布のばらつきを低減するのに有効であるが、任意の修復処理中に失われた材料に対処するために、ガラス材料を設計に追加する必要があり、最終的にガラス製品のコストを大幅に増加させる。
【0017】
本明細書に記載の方法は、ガラス製品の表面からガラス製品の欠陥の最大サイズを超える深さまでガラス材料を除去せずに、ガラス製品の集団の強度分布のばらつきを低減するものである。即ち、本明細書に記載の方法は、ガラス製品の表面から欠陥集団を完全に除去するものではない。
【0018】
ここで、図1及び2を参照すると、ガラス製品100の1つの実施の形態が、概略的に示されている。ガラス製品100は、第1の表面106、第2の表面108、及び第1の表面106と第2の表面108との間に延びる厚さTを有するガラス本体101を備えている。実施の形態において、ガラス製品100は、ガラス製品100がロッド又はシリンダー等である場合のように、湾曲形状を有することができる。例えば、実施の形態において、ガラス製品100は、ガラス製品100が、図1に示すようなガラス容器等である場合のように、内部容積を少なくとも部分的に囲む、実質的に連続した側壁を備えた湾曲形状を有することができる。ガラス容器は食品又は飲料の保存、更には医薬品パッケージとして使用することができる。例えば、一部の実施の形態において、ガラス容器は、円形ガラス容器、及び非円形ガラス容器の両方を含む、バイアル、Vacutainer(登録商標)、カートリッジ、注射器、アンプル、ボトル、フラスコ、薬瓶、管、ビーカー等であってよい。これ等の実施の形態において、ガラス容器100の第1の表面106は、ガラス容器の外面であってよく、第2の表面108は、ガラス容器の内面であってよい。更に、ガラス容器100の第1の表面106は、ガラス製品100の長軸103から測定したとき、第1の曲率半径rを有し、ガラス容器100の第2の表面108は、これもガラス製品100の長軸103から測定したとき、第2の曲率半径rを有することができる。第2の曲率半径rは、第1の曲率半径rと同じであってもよく、また第2の曲率半径rは、第1の曲率半径rと異なっていてもよい。
【0019】
ガラス製品100が、図1及び2に示すようなガラス容器である実施の形態において、ガラス製品100は、一軸圧縮強度を有している。実施の形態において、一軸圧縮強度は、例えば、2013年2月28日に出願され、「低摩擦コーティングを有するガラス製品」と題する、係属中の米国特許出願第13/780,740号明細書の段落[00149] に記載の横圧縮試験装置を用いて測定することができる。具体的には、本明細書の図3において、ガラス製品100の一軸圧縮強度は、装置の2つの対向するプラテン202、204の間に、プラテン202、204によってガラス製品100に加えられる圧縮荷重(矢印300、302によって概略的に示す)に対し、ガラス製品の長軸103が略直交するように、ガラス製品100を配置することによって測定することができる。その後、少なくとも1つのプラテン202、204を他方に向けて前進させ、ガラス製品100に圧縮荷重を加える。ガラス製品100が圧縮されているとき、ガラス本体101の第1の表面106の少なくとも一部は張力状態にある。例えば、ガラス製品100が圧縮されているとき、ガラス製品100の第1の表面106の少なくとも領域107が張力下にある。プラテン202、204によってガラス製品100に加えられる圧縮荷重は、破砕することによってガラス製品100が機能しなくなるまで更に増加される。破壊持に加えられた圧縮荷重が、ガラス製品の一軸圧縮強度と見なされる。圧縮荷重がガラス製品の長軸に略直角に加えられる実施の形態において、一軸圧縮強度は横圧縮強度とも呼ぶことができる。
【0020】
図3は、ガラス製品100の第1の表面106の一部が、張力状態になるように、ガラス製品100の長軸103に対し、ほぼ直交する方向に加えられる圧縮荷重を示しているが、ガラス製品100の一軸圧縮強度を決定する別の方法も考えられ、可能であることを理解されたい。例えば、一部の実施の形態(図示せず)において、ガラス製品100の長軸103が、加えられる圧縮荷重に対し平行になるように、ガラス製品100をプラテン202、204の間に配向することによって、ガラス製品100の一軸圧縮強度を決定することができる。この実施の形態において、圧縮荷重が加えられているとき、ガラス製品の壁が半径方向外側に座屈するときのように、ガラス製品100の第1の表面106の少なくとも一部が張力を受けている。この実施の形態において、ガラス製品100の第1の表面106の一部は、ガラス製品100の全周にわたり張力を受けている。
【0021】
一部の実施の形態において、本明細書に記載のガラス製品は、米国特許第8,980,777号明細書、米国特許第8,551,898号明細書、又は米国特許第8,753,994号明細書に記載のガラス組成等のアルミノシリケートガラス組成から形成されている。あるいは、ガラス製品は、ASTM規格E438-92(2011)に準拠した、従来のタイプI、クラスA又はクラスBホウケイ酸ガラス、更にはASTM規格E438-92(2011)に準拠した、タイプIIガラス組成から形成することができる。しかし、ガラス製品が形成される特定の種類のガラス組成は特に限定されず、他の適切なガラス組成が考えられていることを理解されたい。
【0022】
ここで、図4及び6Aを参照すると、本明細書に記載の実施の形態において、ガラス製品100が、ガラス製品100の少なくとも第1の表面106に欠陥集団を含んでいる。一般に、欠陥のないガラス製品と比較して、欠陥集団が存在することによって、ガラス製品の一軸圧縮強度は低下する。本明細書において、「欠陥のない」ガラス本体又はガラス製品は、評価されるガラス製品又はガラス本体と同じ材料から形成され、同じ形状及び寸法を有するが、完全に欠陥のない理論的なガラス製品又はガラス本体を意味する。欠陥集団は、第1の表面から、第2の表面108に向けて、ガラス製品100の厚さTに延びている。欠陥集団内の各々の欠陥102は、ガラス製品の第1の表面106から欠陥102の先端110まで測定したとき、最大初期欠陥深さA以下の欠陥深さを有している。本明細書に記載の実施の形態において、各々の欠陥102は、楕円形の亀裂として説明されている。即ち、欠陥102は、長軸2A及び短軸2dを有する楕円の半分の形状を有している。従って、各々の欠陥は、ガラス製品100の厚さTのA以下の深さまで延びている。欠陥102の先端110における曲率半径rは、r=d /Aとなる亀裂の幅及び深さの関数である。
【0023】
実施の形態において、同じ製造、処理、及び取り扱い条件を受けた(従って、潜在的に欠陥の導入をもたらす、同じ機械的傷害に曝露された)ガラス製品の所与の集団の最大初期欠陥深さAは、ガラス製品の集団の統計的に有意なサブセットを精査して、集団全体の欠陥深さ分布を決定することによって判定することができる。最大初期欠陥深さAは、欠陥深さ分布から直接判定することができる。
【0024】
各々の欠陥102は、初期応力拡大係数Ktを有している。初期応力拡大係数Ktは、欠陥の先端110を囲む材料の応力の大きさに関係する無次元係数であり、欠陥102が材料中を伝播し、最終的にはガラス製品100の破壊に至る傾向に直接関係している。具体的には、初期応力拡大係数Ktの値が大きいほど、特に内部残留引張応力がガラス製品に作用する外部応力と組み合わされたとき、材料の引張応力が大きくなり、亀裂の伝播が大きくなる傾向があることを示す。初期応力拡大係数Ktは、欠陥102の先端110における初期曲率半径rに反比例する。即ち、初期応力拡大係数Ktは、欠陥102の先端110における初期曲率半径rが小さい欠陥102に対してより大きく、欠陥102の先端110における初期曲率半径rが比較的大きい欠陥102に対してより小さい。
【0025】
再度図4において、ガラス製品100は、欠陥102を囲む、亀裂影響域104を更に含んでいる。亀裂影響域104は、材料の初期厚Tの内部を欠陥102の最大初期欠陥深さA以上に延びている。加えて、亀裂影響域104は、欠陥102の幅2dより大きい幅を有している。亀裂影響域104内のガラス材料は、ガラス製品の残りの材料と組成的に同じである。しかし、理論に拘束されることを望むものではないが、亀裂影響域104内のガラス材料は、ガラス製品100の第1の表面106に欠陥が導入されたことによって、僅かに異なる物理的特性を有すると仮定される。具体的には、ガラス製品100の第1の表面106に欠陥102が導入されたことにより、ガラスネットワークの構成要素に、分子結合の伸長及び/又は切断が生じ、亀裂影響域104内の欠陥102に直接隣接するガラス材料が、より高いエネルギー状態のままになると仮定される。その結果、亀裂影響域内の欠陥102に直接隣接するガラス材料が、高いエネルギー状態を有し、その結果、エッチング溶液等、化学処理に曝露されたとき、亀裂影響域104以外のガラス製品100のバルク内の材料より溶解し易いと仮定される。
【0026】
本明細書に記載の実施の形態において、集団内の各欠陥の深さに沿って材料を選択的に除去することによって、特に最大初期欠陥深さAiに沿って材料を選択的に除去することによって(即ち、亀裂影響域から材料を選択的に除去することによって)、ガラス製品100の第1の表面からの材料の除去を最小にしつつ、欠陥集団の存在に起因するガラス製品100の強度分布のばらつきが抑制又は軽減され、ガラス製品100の信頼性が向上する。その結果、先端部110における曲率半径が大きくなり、欠陥102の先端部110が広く又は「丸く」なり、それによって初期応力拡大係数Kt及び欠陥102がガラス材料中を伝播する傾向が減少する。しかし、最大初期欠陥深さAに沿って材料を選択的に除去した後、欠陥集団の少なくとも一部がガラス製品内に残る。より具体的には、ガラス材料を除去した後も、少なくとも最大初期欠陥深さAを有する欠陥が、依然としてガラス製品内に存在する。
【0027】
本明細書に記載のように、ガラス製品が曲面を有する実施の形態において、欠陥集団内の欠陥の深さに沿って、材料を選択的に除去することにより、欠陥のないガラス製品に対し、ガラス製品の一軸圧縮強度が相対的に増加する。即ち、欠陥集団内の欠陥の深さに沿って、材料を選択的に除去することにより、一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度に近づくように増加する。例えば、実施の形態において、欠陥集団内の欠陥の深さに沿って、材料を選択的に除去することにより、ガラス製品の一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の90%以上に増加する。一部の実施の形態において、欠陥集団内の欠陥の深さに沿って、材料を選択的に除去することにより、ガラス製品の一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の92%以上、更には欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の95%以上に増加する。一部の別の実施の形態において、欠陥集団内の欠陥の深さに沿って、材料を選択的に除去することにより、ガラス製品の一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の98%以上に増加する。
【0028】
一部の実施の形態において、ガラス材料が、化学処理によって、欠陥102の最大初期欠陥深さAに沿って選択的に除去される。実施の形態において、化学処理はガラス製品100をエッチング溶液に接触させることを含むことができる。実施の形態において、ガラス製品をエッチング溶液浴に完全に浸漬したときのように、エッチング溶液をガラス製品100の第1の表面106及び第2の表面の両方に接触させることによって、ガラス製品を化学的に処理することができる。一部の別の実施の形態において、エッチング溶液は、ガラス製品100の第1の表面106のみに接触する。例えば、ガラス製品100が、ガラス容器であって、第1の表面106がガラス容器の外面であり、ガラス容器の一端が閉じている、例えば、ガラス容器がガラスバイアル等である一部の実施の形態において、エッチング溶液はガラス容器の外面にのみ接触し、ガラス容器の内面(即ち、第2の表面108)には接触しないように、ガラス製品をエッチング溶液浴に浸漬することができる。
【0029】
一部の実施の形態において、化学処理を施す前に、欠陥集団内の各々の欠陥102を閉じることができる。即ち、ガラス容器の欠陥は、損傷が導入された後、各々の欠陥の深さに沿って、欠陥の両側の破面が互いに接触するように、欠陥が閉じる弾性的に生じた摩擦損傷の結果である可能性がある。この状況において、化学プロセス処理が、ガラス製品の第1の表面をエッチング溶液に接触させることを伴う場合、エッチング溶液は、欠陥自体に入ることができず、代わりに、エッチング溶液の接触による、亀裂影響域104内からの材料の選択的除去が、第1の表面106から欠陥の先端110まで(即ち、ガラス製品の表面からガラス製品の内部まで)進行するが、亀裂影響域104外の領域において、ガラス製品の第1の表面106から同じ深さまで、対応するガラス材料が除去されることはない。実験的に観察されたこの挙動は、亀裂影響域104外部のガラス製品のバルク内のガラス材料より溶解し易いという仮定が立証される。
【0030】
実施の形態において、亀裂影響域104の最大初期欠陥深さAに沿って、材料を選択的に除去するのに十分な濃度、時間、及び温度で、ガラス製品の少なくとも第1の表面をエッチング溶液に接触させることによって、化学処理が施され、ガラス製品の第1の表面106及び/又は第2の表面108からは、(少なくとも深さに関して)同量以下の材料が除去される。即ち、少なくとも第1の表面106に適用されるエッチング溶液及びエッチング溶液が適用される条件によって、ガラス製品の第1の表面106からすべての欠陥集団が除去されるように、ガラス製品の第1の表面106から最大初期欠陥深さAに対応する深さまでガラス材料が除去されるのではなく、代わりに、少なくとも第1の表面106に適用されるエッチング溶液及びエッチング溶液が適用される条件が、ガラス製品の第1の表面106及び第2の表面108のいずれからの材料の除去を最小限に抑制しつつ、欠陥を囲む亀裂影響域104から材料が十分に除去される。このことは、化学処理後、ガラス製品100の第1の表面106に、形態は異なるが、欠陥集団の少なくとも一部が残る結果になる。
【0031】
実施の形態において、ガラス製品の少なくとも第1の表面が、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約25%以下の深さまでエッチングされる。例えば、一部の実施の形態において、ガラス製品の第1の表面は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約20%以下、更には約15%以下の深さまでエッチングすることができる。一部の実施の形態において、ガラス製品は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約25%以下、約5%以上の深さまでエッチングされる。一部の別の実施の形態において、ガラス製品は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約20%以下、約5%以上の深さまでエッチングすることができる。更に別の実施の形態において、ガラス製品は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約15%以下、約5%以上の深さまでエッチングされる。一部の別の実施の形態において、ガラス製品は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約25%以下、約10%以上の深さまでエッチングされる。一部の別の実施の形態において、ガラス製品は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約20%以下、約10%以上の深さまでエッチングすることができる。更に別の実施の形態において、ガラス製品は、ガラス製品の第1の表面に存在する欠陥集団の最大初期欠陥深さAの約15%以下、約10%以上の深さまでエッチングされる。
【0032】
実施の形態において、エッチング溶液は、第1のモル濃度を有するフッ化水素酸と、第2の異なるモル濃度を有する少なくとも1つの鉱酸との混合物を含んでいる。フッ化水素酸及び鉱酸のモル濃度は、所定の関係を満足して、ガラス製品の均一なエッチングを促進するように選択される。具体的には、フッ化水素酸はガラスネットワークからSiOを溶解するためにエッチング溶液に含まれる。鉱酸は混合物に含まれ、具体的にガラスネットワークの他の構成成分の溶解を促進するように選択される。例えば、MgO及び/又はCaO濃度の高いガラスに対しては、塩酸を使用してガラスネットワークのこれ等の成分を溶解させることができる。しかし、フッ化水素酸及び鉱酸の溶解率の差によって、ガラス製品からの材料の除去が、不均一になる可能性があることも見出されている。
【0033】
具体的には、少なくとも1つの鉱酸のモル濃度が、フッ化水素酸のモル濃度の3倍未満の場合、鉱酸及び鉱酸に溶解したガラス構成成分が、ガラス製品の表面を覆い、ガラス製品からの材料の更なる溶解を遅らせ、及び/又は阻害することにより、ガラス製品の表面からの材料除去を不均一にするゲル層を形成(即ち、ゲル化)することが見出されている。本明細書に記載のように、ガラス製品をエッチングして、欠陥による破壊を軽減する状況において、ゲル層は亀裂先端の形態の改変を妨害し、ひいては亀裂先端における応力拡大係数を高くし、欠陥による破壊の傾向を増大させる可能性がある。例えば、ガラス製品をエッチングして、ガラス製品の表面から欠陥を除去する場合、エッチング溶液中の低モル濃度(即ち、フッ化水素酸のモル濃度に対して低モル濃度)の鉱酸に起因する、ゲル層が欠陥先端の近傍に蓄積して、事実上先端を閉鎖し、亀裂先端の形態の更なる改変を妨げる可能性がある。
【0034】
しかし、エッチング溶液の鉱酸のモル濃度が、エッチング溶液のフッ化水素酸のモル濃度の約3倍以上、かつエッチング溶液のフッ化水素酸のモル濃度の約6倍以下であるとき、エッチング溶液がガラス製品の表面(又は欠陥内部)にゲル層を形成しないことが判明しており、従って、ガラス材料は、ガラス製品の表面から(及び欠陥内部から)、実質的に均一な割合で除去される。従って、本明細書に記載の実施の形態において、鉱酸のモル濃度は、フッ化水素酸のモル濃度の3倍以上、6倍以下である。即ち、第2のモル濃度が、第1のモル濃度の3倍以上、6倍以下である。
【0035】
本明細書に記載の実施の形態において、フッ化水素酸のモル濃度(即ち、第1のモル濃度)を0.5M以上、3.0M以下とし、鉱酸のモル濃度(即ち、第2のモル濃度)を第1のモル濃度の約3~約6倍として、ガラス製品の第1の表面及びガラス製品の欠陥の近傍からの材料均一な溶解除去を達成している。
【0036】
本明細書に記載の実施の形態において、鉱酸はフッ化水素酸以外の少なくとも1種の鉱酸を含んでいる。例えば、鉱酸は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、臭化水素酸、及び過塩素酸のうちの少なくとも1種を含むことができる。実施の形態において、鉱酸は2種以上の鉱酸を含むことができる。例えば、エッチングするガラスの化学的性質に応じて、鉱酸の組み合わせを使用して、一連のガラス構成成分の均一な溶解及び除去に影響を与えることができる。
【0037】
本明細書に記載の実施の形態において、エッチング溶液は、約90分以上、約360分以下の処理時間わたり、ガラス製品の質量の10%未満の割合で、ガラス製品の第1の表面の材料を均一に溶解除去するのに適している。この比較的低い材料の除去割合によって、材料除去の均一性が向上する一方、除去される材料の総量が最小限に抑制されると共に、ガラス製品に存在する欠陥集団内の各欠陥の先端における応力拡大係数が減少する。
【0038】
1つの実施の形態において、化学処理に使用されるエッチング溶液は、1モル(1M)のフッ化水素酸及び4モル(4M)の塩酸の水中混合物を含むことができる。例えば、1つの実施の形態において、エッチング溶液は、3.4体積%の1MのHF、33.3体積%の4MのHClを含み、残りは水(例えば、136mLの1MのHF、1332mLの4MのHCl、及び2532mLのHO)とすることができる。
【0039】
実施の形態において、エッチング溶液及びガラス製品は、互いに接触するとき、周囲温度(例えば、25℃の温度)である。しかし、エッチング溶液の温度を変えて(例えば、上げて又は下げて)ガラス製品からガラス材料が除去される割合を制御することができる。
【0040】
実施の形態において、ガラス製品は、360分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。一部の実施の形態において、ガラス製品は、270分以下の処理時間、更には180分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。一部の別の実施の形態において、ガラス製品は、90分以下の処理時間、更には60分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。一部の実施の形態において、ガラス製品は、60分、更には90分以上の処理時間、かつ360分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。一部の別の実施の形態において、ガラス製品は、60分、更には90分以上の処理時間、かつ270分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。一部の別の実施の形態において、ガラス製品は、60分、更には90分以上の処理時間、かつ180分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。更に別の実施の形態において、ガラス製品は、60分以上、90分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることができる。
【0041】
エッチング溶液が、3.4体積%の1MのHF及び33.3体積%の4MのHClの25℃の水中混合物である、1つの特定の実施の形態において、亀裂影響域104からの材料の除去を促進するために、90分以上の処理時間、ガラス製品をエッチング溶液に接触させる。この実施の形態において、処理時間は360分以下であってよい。即ち、処理時間は、約90分~約360分であってよい。しかし、処理時間は、特定のエッチング溶液、エッチング溶液の温度、及びガラス製品のガラス組成に応じて変えることができることを理解されたい。また、処理時間は、ガラス製品の欠陥集団の最大初期欠陥深さAに応じて変えることができることも理解されたい。即ち、最大初期欠陥深さAがより大きい欠陥集団は、表面から亀裂先端までの材料の選択的除去の完了に、より長い時間を必要とし得る。
【0042】
ここで、図5及び6Bを参照すると、亀裂影響域104の最大初期欠陥深さAに沿ってガラス材料を選択的に除去した後、ガラス製品100は、少なくとも最大初期欠陥深さAを有していた欠陥を含む、初期欠陥集団内に存在していた欠陥の少なくとも一部を依然として含んでいる。即ち、エッチングによって、ガラス材料が欠陥の深さに沿って除去される実施の形態において、エッチング処理は、ガラス製品100の第1の表面106から初期最大欠陥深さAより深い位置まで材料を完全に除去するほど十分に侵食的ではない。エッチング処理後、ガラス製品の処理後厚はTppとすることができる。実施の形態において、処理後厚Tppは、初期厚T以下である。一部の実施の形態において、エッチング処理は、処理後厚Tppが初期厚Tにできるだけ近くなるように、ガラス製品100の第1の表面106からの材料の除去が最小限に抑制されるように選択される。即ち、厚さの変化ΔT=(|T-Tpp|)が最小限に抑制される。
【0043】
前述のように、亀裂影響域104内の材料は、エッチング溶液に曝露されたとき、ガラス製品の第1の表面のガラス材料を含む、ガラス製品100のバルク内のガラス材料より溶解し易い。エッチング処理後、欠陥集団内の各々の欠陥102は、ガラス製品の処理後の第1の表面106ppから欠陥102の先端110までを測定した、最大処理後欠陥深さApp以下の深さを有している。本明細書に記載の一部の実施の形態において、最大処理後欠陥深さAppは、最大初期欠陥深さAより大きいか又は実質的に等しい。即ち、一部の実施の形態において、最大初期欠陥深さAは、化学プロセス処理の結果、実際に増大し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、この増加は、欠陥102の先端110を囲む材料を含む、亀裂影響域104(図4)のガラス材料の溶解度と、ガラス製品100のバルク内のガラス材料、及び特に、ガラス製品100の第1の表面のガラス材料の溶解度との差に起因すると考えられる。従って、最大処理後欠陥深さAppと、最大初期欠陥深さAとの差ΔAは、厚さの変化ΔTより大きいか又は実質的に等しい。即ち、(|Tpp-T|)≦(|App-A|)である。
【0044】
化学プロセス処理によって、欠陥102の幅、及び先端110における欠陥102の曲率半径も増大する。即ち、化学プロセス処理後、欠陥集団に残った各々の欠陥102は、初期幅2dより大きいエッチング処理後幅2dppを有している。同様に、化学処理後、欠陥集団に残った、各々の欠陥102の先端110の処理後半径rppは、欠陥102の初期半径rより大きい。即ち、dpp /Appは、d /Aより大きい。
【0045】
前述のように、欠陥の応力拡大係数Ktは、欠陥先端の半径に反比例する。従って、化学処理によって、欠陥102の先端110における半径を増大させると、応力拡大係数Ktが減少する。具体的には、エッチング処理に曝露された後等、化学処理後の欠陥102の処理後応力拡大係数Ktppは、化学処理前の欠陥102の初期応力拡大係数Ktより小さい(即ち、Ktpp<Kt)。このことは、化学処理後、欠陥集団内のいずれの欠陥も、ガラス製品100の厚さを通して伝播する傾向が低くなり、その結果、ガラス製品100の機械的破壊が軽減され、ガラス製品100の信頼性が向上することを意味している。
【0046】
換言すれば、化学処理前(例えば、エッチング処理に曝露される前)、ガラス製品100は初期破壊確率Pを有している。化学処理後(例えば、エッチング処理に曝露された後)、ガラス製品100は、エッチング処理に曝露された後、当初最大初期欠陥深さAを有していた欠陥等、欠陥集団内の欠陥の少なくとも一部が、ガラス製品100に残っていると共に、最大初期欠陥深さAがAppに増大したにも拘わらず、初期破壊確率Pより低い処理後破壊確率Pppを有している。化学処理後のこの破壊確率の低下は、少なくとも部分的には、欠陥102の深さに沿った、及び欠陥102の先端110における、形態の変化に起因している。
【0047】
実施の形態において、ガラス製品が最大初期欠陥深さAの25%以下の深さまでエッチングされるように、エッチング溶液に曝露することによって、ガラス製品を化学処理した後、化学処理されたガラス製品の一軸圧縮強度は、同じ一軸圧縮荷重条件下において、最大初期欠陥深さAまでエッチングしたガラス製品の一軸圧縮強度と実質的に同じである。
【0048】
前述のように、欠陥102の幅2dppは化学処理の結果として増大し、欠陥の破面を露出させ、その面は今や互いに略平行である。理論に拘束されることを望むものではないが、欠陥102の幅が増大すると、他の処理流体が欠陥102の深さに入り込んで、先端110まで浸透することが可能になると考えられる。例えば、化学処理後、ガラス製品100の少なくとも第1の表面106ppに圧縮応力層を導入するために、ガラス製品を溶融塩浴においてイオン交換処理することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、化学処理後の欠陥の増大した幅によって、欠陥102の少なくとも先端110が圧縮状態になるように、塩浴の溶融塩を欠陥102の先端110まで浸透させることができ、既存の欠陥集団を有するガラス製品100の強度を、更に向上させることができると考えられる。このことは、かかる欠陥の先端が圧縮状態にされるため、一般に、イオン交換処理によって達成される圧縮層の深さを超えて延びる欠陥も修復可能とし得る。
【0049】
本明細書に記載の方法を用いて、ガラス製品の集団におけるワイブル強度分布のばらつきを低減し、同様の荷重条件下におけるガラス製品の機械的破壊の可能性を軽減し、寿命にわたりガラス製品の信頼性を向上させることができる。即ち、ガラス製品は、意図した寿命において、ランダムに加えられる荷重事象を受けるため、本明細書に記載の方法を用いて、ガラス製品の集団におけるワイブル強度分布のばらつきを低減することによって、ガラス製品の最終的な信頼性を向上させることができる。
【0050】
具体的には、本明細書に記載の方法は、欠陥集団内のすべての欠陥を除去することなく、欠陥集団内の欠陥の先端における応力集中係数を低減することによって、ワイブル強度分布の下端部を上昇させて、ワイブル強度分布の高端部により近づけるものである。従って、ガラス容器の集団全体にわたり、ワイブル強度分布のばらつきが低減され、ひいては、ガラス容器の寿命において、許容される適用荷重事象の大きさを増加させることができる。換言すれば、低強度外れ値(例えば、最大初期欠陥深さAを有する欠陥等)の破壊傾向を低減することによって、既知の適用荷重事象によるガラス製品の破損を防止し、ガラス製品集団の信頼性を向上させる。損傷を軽減するこの方法は、既知の破壊モードの主要因を排除することによって、超高信頼性ガラス製品を保証するように適合させることができる。
【0051】
ワイブル統計の観点から、ワイブル強度分布のばらつきの低減(即ち、強度分布幅の縮小)、及び分布の大きさの増加による、ガラス製品集団の信頼性の向上は、ワイブル係数の増大及び既知の欠陥源に対するガラス製品集団の特性強度の増加を意味し、それぞれ、欠陥の先端における応力集中係数を効果的に低下させ、ガラス製品の強度を高める、本明細書に記載の方法によって達成することができる。本明細書に記載の方法を使用して、ガラス製品から欠陥を除去することなく、最大初期欠陥深さAを有する欠陥を改質して応力集中係数が低減される。応力集中係数の低減によって、処理後ガラス製品に残留している任意の欠陥の伝播に必要な応力の大きさが効果的に低減され、それによって観察される強度のばらつきが低減する。
【0052】
化学処理後の破壊確率の低下は、欠陥のないガラス本体又は製品の破壊確率と同等と見なすことができる。具体的には、化学処理後のガラス本体又は製品のワイブル強度分布は、欠陥のないガラス本体又は製品の理論的なワイブル強度分布に関連付けることができる。欠陥のないガラス製品の理論的なワイブル強度分布は、破壊力学を用いて、所与の荷重条件(本明細書に記載の一軸圧縮荷重等)に対して算出することができる。本明細書に記載の実施の形態において、化学処理後のガラス製品の一軸圧縮荷重下における、実際のワイブル強度分布は、同じ荷重条件下における、欠陥のないガラス製品の理論的なワイブル強度分布の10%以内である。即ち、欠陥のないガラス製品が、加えられた一軸圧縮荷重条件に対して、理論的なワイブル強度分布Xを有している場合、化学的に処理されたガラス製品は、同じ荷重条件下において、欠陥のないガラス製品の理論的なワイブル強度分布の90%以上の実際のワイブル強度分布を有することになる。本明細書に記載の一部の実施の形態において、化学処理後のガラス製品の一軸圧縮荷重下における、実際のワイブル強度分布は、同じ荷重条件下における、欠陥のないガラス製品の理論的なワイブル強度分布の5%以内である。一部の別の実施の形態において、化学処理後のガラス製品の一軸圧縮荷重下における、実際のワイブル強度分布は、同じ荷重条件下における、欠陥のないガラス製品の理論的なワイブル強度分布の2%以内である。
【実施例
【0053】
本明細書に記載の実施形態は、以下の実施例によって更に明らかになるであろう。
【0054】
実施例1
本明細書に記載の方法に従って得られた、ガラス製品の信頼性の向上を立証するために、無処理のガラス製品集団の荷重-破壊分布と、本明細書に記載の方法に従って処理したガラス製品集団の荷重-破壊分布とを比較するための実験室規模の実験を設定した。
【0055】
各集団の既存の損傷履歴を効果的に排除するために、ガラス製品の6つの集団に対し、まず同じ条件下で、弾性的に誘導される摩擦接触損傷を与えた。ガラス製品は3mlの丸型のガラスバイアルである。弾性的に誘導される摩擦接触損傷は、基本的には、局所的な応力の大きさがガラス製品の表面強度の大きさを超え、深い(>100マイクロメートル)欠陥が導入される損傷導入事象である。特に、ガラス製品の表面に損傷を誘導するために、2013年2月28日に出願され、「低摩擦コーティングを有するガラス製品」と題する、係属中の米国特許出願第13/780,740号明細書の段落[00140]~[00142]に記載され、図5に示されている、バイアル対バイアル試験冶具を用いて、ガラス製品の各々の集団に対し、ガラス対ガラスの摩擦接触を行った。6Nの印加荷重下において、各々の集団に摩擦損傷を与えた。
【0056】
弾性的に誘導される摩擦損傷の導入後、ガラス製品の第1の集団を残りの集団から隔離して、それ以上の処理をしなかった(即ち、「無処理」集団)。残りの集団に対して化学処理を施し、各々の集団を3.4体積%の1MのHF及び33.3体積%の4MのHClの水中混合物から成る循環浴に入れた。浴の温度は25℃であった。ガラス製品の第2の集団を22.4分間、ガラス製品の第3の集団を45分間、ガラス製品の第4の集団を90分間、ガラス製品の第5の集団を180分間、ガラス製品の第6の集団を360分間、それぞれ浴に入れた。エッチング溶液に曝露する前に、各々のガラス製品を秤量した。浴から取り出した後、各集団を濯ぎ、乾燥させ、エッチング前後の質量に基づいて、エッチング溶液に曝露したことによる、質量損失が決定できるように、各々の集団の各々のガラス製品を再度秤量した。各々の集団の目標エッチング時間、実際のエッチング時間、平均質量損失、及び算出除去深さを以下の表1に示す。図7は第2~第6の集団のエッチング時間(x軸)を関数とした、平均質量損失(y軸)をグラフ表示した図である。図7が示すように、1MのHFと4MのHClの組み合わせ(即ち、鉱酸のモル濃度がフッ化水素酸のモル濃度の3~6倍のエッチング溶液)を使用することによって、ガラス材料が時間の関数として均一に除去される。即ち、材料の割合は、エッチング溶液のゲル化のために、時間の増加と共に低下することはなかった。各々の集団のガラス製品の表面から除去される材料の深さは、最大初期欠陥深さA未満であった(即ち、100μm未満)ことに留意されたい。
【0057】
【表1】
【0058】
その後、2013年2月28日に出願され、「低摩擦コーティングを有するガラス製品」と題する、係属中の米国特許出願第13/780,740号明細書の段落[00149]に記載されているような、横圧縮試験装置を使用して、第1~第6の集団の各々を一軸圧縮で破壊するまで試験した。図8A及び8Bは、「無処理」集団の1つのガラス製品の破壊起点を示すSEM顕微鏡写真である。図9A~11Bは、化学処理を施した集団のガラス製品の修正欠陥形態を示すSEM顕微鏡写真である。いずれの場合においても、エッチング処理によって欠陥の先端が丸くなり、それによってガラス製品の荷重耐性能力が向上したと考えられる。
【0059】
各々の集団の各々のガラス製品の破壊荷重のプロットを図12に示す。図12に示すように、エッチング溶液中で22.4分間及び45分間処理したガラス製品の集団は、「無処理」の集団と比較して、破壊荷重が観察可能な増加を示し、エッチング溶液中で90分、180分、及び360分間処理したガラス製品の集団は、「無処理」の集団と比較して、破壊荷重が更に顕著に増加した。「無処理」の集団に対する、エッチング処理を施したガラス製品の各々の集団の破壊荷重分布の改善(%)を以下の表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
図12及び表2に示すように、「無処理」集団、更には45分間エッチング処理した集団と比較して、90分以上エッチング処理したガラス製品の耐荷重能力が顕著に改善された。いずれの場合においても、破壊荷重分布の改善は、「無処理」集団の破壊分布荷重の99%以上であり、エッチング処理が、これ等の集団のガラス容器の信頼性向上に有効であったことを立証している。
【0062】
また、90分を超えるエッチング処理を施したガラス製品については、荷重耐性能力の僅かな改善しか観察されなかったことにも留意されたい。例えば、図13は、エッチング時間(x軸)を関数とした、一軸圧縮破壊(y軸)の割合をグラフ表示した図である。図13に示すように、「無処理」集団及び22.4分間の処理を施した集団については、誘導損傷からの破壊の数は100%であった。しかし、90分以上の処理では、一軸圧縮破壊は、誘導損傷以外で生じ、エッチング処理が誘導損傷による破壊を軽減することに成功したことを示している。このデータは、従来の慣行で行われている、欠陥集団全体の完全除去を行わなくても、ガラス容器の強度がほぼ理論的な最大値(即ち、欠陥のないガラス容器の強度)に回復できることを示している。事実、データは、比較的少ない割合の材料を除去する、あまり侵食的でない化学プロセス処理が、ガラス製品の強度を回復する上において、欠陥集団を完全に除去する、より侵食的な化学処理と同等に有効であり得ることを立証している。
【0063】
今や当然ではあるが、本明細書に記載の方法は、ガラス製品の機械的破壊を軽減し、ガラス製品から欠陥集団全体を除去することなく、ガラス製品の信頼性を向上させるのに有効であることを理解されたい。
【0064】
特許請求した主題の精神及び範囲を逸脱せずに、本明細書に記載の実施の形態に対し、様々な改善及び変形が可能であることは当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、本明細書に記載の様々な実施の形態の改善及び変形も、かかる改善及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲に属することを条件に、カバーすることを意図するものである。
【0065】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0066】
実施形態1
ガラス製品であって、
第1の表面及び該第1の表面に対向する第2の表面を有するガラス本体であって、前記第1の表面及び前記第2の表面が、それぞれ曲率半径を有し、
前記ガラス本体の前記第1の表面が、該第1の表面から最大初期欠陥深さAで前記ガラス本体の厚さに延びる欠陥集団を含む、ガラス本体を備え、
前記ガラス本体の前記第1の表面が、該第1の表面に存在する、前記欠陥集団の前記最大初期欠陥深さAの約25%以下の深さまでエッチングされ、
一軸圧縮荷重下において、前記第1の表面の少なくとも一部が張力状態にあり、前記ガラス製品の一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の90%以上である、ガラス製品。
【0067】
実施形態2
前記ガラス製品の一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の95%以上である、実施形態1記載のガラス製品。
【0068】
実施形態3
前記ガラス製品の一軸圧縮強度が、欠陥のないガラス製品の一軸圧縮強度の98%以上である、実施形態1記載のガラス製品。
【0069】
実施形態4
前記ガラス製品の破壊確率が、欠陥のないガラス製品の算出された破壊確率の10%以内である、実施形態1記載のガラス製品。
【0070】
実施形態5
前記ガラス製品の破壊確率が、欠陥のないガラス製品の算出された破壊確率の5%以内である、実施形態1記載のガラス製品。
【0071】
実施形態6
前記ガラス製品の前記第1の表面が、該第1の表面に存在する、前記欠陥集団の前記最大初期欠陥深さAの約5%以上の深さまでエッチングされる、実施形態1記載のガラス製品。
【0072】
実施形態7
前記ガラス製品がガラス容器であって、前記ガラス製品の第1の表面が、前記ガラス容器の外面であり、前記第2の表面が、前記ガラス容器の内面である、実施形態1記載のガラス製品。
【0073】
実施形態8
前記ガラス容器が、医薬品パッケージである、実施形態7記載のガラス製品。
【0074】
実施形態9
前記ガラス製品が、アルカリアルミノシリケートガラス組成で構成された、実施形態1記載のガラス製品。
【0075】
実施形態10
ガラス製品の信頼性を向上させる方法であって、
第1の表面、該第1の表面に対向する第2の表面、前記第1の表面から前記第2の表面に延びる初期厚T、及び前記第1の表面から前記初期厚Tに延びる、最大初期欠陥深さAの欠陥集団を有するガラス製品を用意するステップと、
前記ガラス製品の少なくとも前記第1の表面に化学処理を施すことによって、前記ガラス製品の前記第1の表面及び前記欠陥集団内の各々の欠陥の近傍から、ガラス材料を一定の割合で選択的に除去するステップであって、前記化学処理が、該化学的処理後、
前記最大初期欠陥深さAを有する欠陥が、前記ガラス製品に残り、前記欠陥の先端に、前記化学的処理前の前記欠陥の前記先端の初期応力集中係数Ktより小さい、処理後応力集中係数Ktppを有し、
前記欠陥集団が、実質的にAに等しい最大処理後欠陥深さAppを有し、
前記ガラス製品の処理後厚Tppが、初期厚Tより薄く、
|Tpp-T|が、|App-A|に実質的に等しくなる、
温度及び時間で施される、ステップと、
を有する方法。
【0076】
実施形態11
前記第1の表面及び前記第2の表面が、それぞれ曲率半径を有する、実施形態10記載の方法。
【0077】
実施形態12
前記ガラス製品の前記第1の表面をエッチング溶液に接触させることによって、前記ガラス製品が化学的に処理され、前記エッチング溶液が、約0.5M~約3.0Mの第1のモル濃度を有するフッ化水素酸と、前記第1のモル濃度の3~6倍の第2のモル濃度を有する少なくとも1種の鉱酸との混合物を含み、
前記エッチング溶液が、ゲル層を生成せずに、ガラス材料を前記ガラス製品の前記第1の表面、及び前記欠陥集団内の各々の欠陥の近傍から均一に除去する、実施形態10記載の方法。
【0078】
実施形態13
前記少なくとも1種の鉱酸が、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、臭化水素酸、及び過塩素酸のうちの少なくとも1種である、実施形態12記載の方法。
【0079】
実施形態14
前記ガラス製品の前記第1の表面を、360分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることによって、前記ガラス製品が化学的に処理される、実施形態10記載の方法。
【0080】
実施形態15
前記ガラス製品の前記第1の表面を、90分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることによって、前記ガラス製品が化学的に処理される、実施形態10記載の方法。
【0081】
実施形態16
前記ガラス製品の前記第1の表面を、90分以上、360分以下の処理時間、エッチング溶液に接触させることによって、前記ガラス製品が化学的に処理される、実施形態10記載の方法。
【0082】
実施形態17
前記ガラス製品が、化学処理前に初期破壊確率Pを有し、前記ガラス製品が化学的に処理された後、エッチング後破壊確率Pppを有し、PppがPより小さい、実施形態10記載の方法。
【0083】
実施形態18
前記欠陥集団内の各々の欠陥が、化学処理前に、前記欠陥の先端に初期曲率半径rを有し、化学処理後に、前記欠陥の前記先端にエッチング後曲率半径rppを有し、r≦rppである、実施形態10記載の方法。
【0084】
実施形態19
前記ガラス製品がガラス容器である、実施形態10記載の方法。
【0085】
実施形態20
前記ガラス製品が医薬品パッケージである、実施形態10記載の方法。
【符号の説明】
【0086】
100ガラス製品
101ガラス本体
102欠陥
103長軸
104亀裂影響域
106第1の表面
106pp処理後の第1の表面
108第2の表面
110先端
202、204プラテン
最大初期欠陥深さ
pp最大処理後欠陥深さ
初期厚
pp処理後厚
2d初期幅
2dpp処理後幅
初期曲率半径
ppエッチング後曲率半径(処理後半径)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13