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特許7271111多材料自動車構造のためのUAM抵抗スポット溶接継手トランジション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】多材料自動車構造のためのUAM抵抗スポット溶接継手トランジション
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20230501BHJP
   B23K 11/00 20060101ALI20230501BHJP
   B23K 11/20 20060101ALI20230501BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20230501BHJP
   B62D 29/00 20060101ALI20230501BHJP
   B62D 27/00 20060101ALI20230501BHJP
   B23K 11/11 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B23K20/10
B23K11/00 570
B23K11/20
B62D25/06 A
B62D29/00
B62D27/00
B23K11/11 540
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018157084
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2019048336
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】15/689,095
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516133799
【氏名又は名称】オハイオ・ステート・イノヴェーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・エム・ハーンレン
(72)【発明者】
【氏名】マルセロ・ジェイ・ダピノ
(72)【発明者】
【氏名】レオン・エム・ヘディングス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ブライアント・ギンガリッチ
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-239076(JP,A)
【文献】特開2002-096180(JP,A)
【文献】特開2003-117665(JP,A)
【文献】特表2003-509244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0240212(US,A1)
【文献】特開2008-030100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
B23K 11/00
B23K 11/20
B62D 25/06
B62D 29/00
B62D 27/00
B23K 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料を備える第1の構成要素と、
前記第1の材料とは異なる第2の材料を備える第2の構成要素と、
前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に位置決めされており、前記第1の構成要素に超音波積層造形(UAM)によって溶接されており、これにより前記第1の構成要素と前記インサートとの間にUAMインターフェースが形成されているインサートであって、前記第2の構成要素が前記インサートに固定されている、前記インサートと、
を備えている、多材料構成要素において、
前記インサートが、UAMブロックビルド構成を作るための、重なった又は積み重ねられたホイルテープによって形成されている複数のUAM層を備えており、
前記第2の構成要素が、前記インサートに融接されている、多材料構成要素。
【請求項2】
前記第2の構成要素が、前記インサートにRSW継手を介して抵抗スポット溶接(RSW)されている、請求項1に記載の多材料構成要素。
【請求項3】
前記UAMインターフェースが、前記第1の構成要素及び前記インサートの長さに沿って連続的に延伸している、請求項1に記載の多材料構成要素。
【請求項4】
前記インサートが、前記第1の構成要素の周縁部において前記第1の構成要素に固定されており、前記インサートが、前記第2の構成要素が固定される取り付けフランジを形成している、請求項1に記載の多材料構成要素。
【請求項5】
第1の材料を備える第1の構成要素を準備するステップと、
前記第1の材料とは異なる第2の材料を備えるインサートを準備するステップと、
前記第1の構成要素と前記インサートとの間にUAMインターフェースを形成するために、前記インサートを前記第1の構成要素に超音波積層造形(UAM)によって溶接するステップであって、前記UAMインターフェースが、前記第1の構成要素及び前記インサートの長さに沿って連続的に延伸している、前記ステップと、
前記第2の材料を備える第2の構成要素を準備するステップと、
前記第2の構成要素を前記インサートに接合するステップと、
を備える、多材料構成要素を製造するための方法において、
前記第2の構成要素を前記インサートに接合する前記ステップが、前記第2の構成要素を前記インサートにRSW継手を介して、抵抗スポット溶接(RSW)することを含んでいる、多材料構成要素を製造するための方法。
【請求項6】
前記第1の材料が、アルミニウム又はアルミニウム基合金とされ、
前記第2の材料が、鋼又は鋼基合金とされる、請求項に記載の多材料構成要素を製造するための方法。
【請求項7】
前記第1の構成要素が、ルーフ構成要素又はサイドパネルである、請求項に記載の多材料構成要素を製造するための方法。
【請求項8】
前記第2の構成要素が、車体構成要素である、請求項に記載の多材料構成要素を製造するための方法。
【請求項9】
第1の材料の材料を備える第1の部分と、前記第1の材料とは異なる第2の材料を備える第2の部分と、を含んでいる第1の構造構成要素であって、前記第2の部分が、前記第1の部分の周縁部に形成されており、前記第1の構造構成要素のための取り付けフランジを形成しており、前記第2の部分が、前記第1の部分に超音波積層造形(UAM)によって溶接されており、これにより前記第1の部分と前記第2の部分との間にUAMインターフェースが形成されている、前記第1の構造構成要素と、
前記第2の材料を備える第2の構造構成要素であって、抵抗スポット溶接(RSW)継手を介して、前記取り付けフランジにおいて前記第2の部分に接合されている前記第2の構造構成要素と、
を備えている、車体アセンブリにおいて、
前記第1の構造構成要素が、ルーフ構成要素又はサイドパネルであり、前記第1の部分が、パネルであり、前記第2の部分が、前記パネルに固定されているサポートブラケットである、車体アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の材料が、アルミニウム又はアルミニウム基合金とされ、
前記第2の材料が、鋼又は鋼基合金とされる、請求項に記載の車体アセンブリ。
【請求項11】
前記UAMインターフェースが、前記第1の部分及び前記第2の部分の長さに沿って連続的に延伸している、請求項に記載の車体アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自動車業界における異なる金属の接合は、通常、接着剤又は機械的締付具の使用を通して達成される。しかしながら、機械的締付具は、追加の重さ、コスト、部品、及び組み立て時間を必要とする。接着剤は、専用設備、タクトタイムの増加、及び接着剤を完全な強度に硬化させる別の熱サイクルを必要とする。異なる接合プロセスに変更することは、しばしば、工場の組み立てラインに新しいインフラストラクチャを必要とし、追加の設備投資、ラインの再設計、及び人員のトレーニングに費用がかかる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
1つ又は複数の態様によると、多材料構成要素は、第1の材料を含む第1の構成要素、第1の材料とは異なる第2の材料を含む第2の構成要素、及び第1の構成要素と第2の構成要素との間に置かれたインサートを含む。インサートは、第1の構成要素に、超音波積層造形(UAM)インターフェースを介して接合され、第2の構成要素は、インサートに固定されている。
【0003】
インサートは、複数のUAM層を含むことができる。第2の構成要素は、インサートに、RSW継手を介して、抵抗スポット溶接(RSW)され得る。インサートの厚さは、RSW継手がUAMインターフェースの任意の部分を除くように形成されていること、又はRSW継手がUAMインターフェースの一部を熱影響部(HAZ)内に含むように形成されていることに基づくことができる。UAMインターフェースは、第1の構成要素及びインサートの長さに沿って、車体の前後方向又は横方向に伸びることができる。インサートは、第1の構成要素に、第1の構成要素の周辺端において固定され、第2の構成要素を固定する取り付けフランジを形成することができる。
【0004】
1つ又は複数の態様によると、多材料構成要素を製造するための方法は、第1の材料を備える第1の構成要素を提供することと、第1の材料とは異なる第2の材料を備えるインサートを提供することと、インサートを第1の構成要素に超音波積層造形(UAM)インターフェースを介して接合することと、第2の材料を備える第2の構成要素を提供することと、第2の構成要素をインサートに接合することとを含むことができる。第2の構成要素をインサートに接合することは、第2の構成要素をインサートにRSW継手を介して抵抗スポット溶接(RSW)することを含むことができる。第2の構成要素をインサートに接合することは、UAMインターフェースの一部を熱影響部(HAZ)内に含むようにRSW継手を形成することを含むことができる。第2の構成要素をインサートに接合することは、UAMインターフェースの任意の部分を除くようにRSW継手を形成することを含むことができる。インサートの厚さは、RSW継手がUAMインターフェースの一部を含む又は除くように形成されていることに基づくことができる。第1の材料は、アルミニウム又はアルミニウム基合金であってよく、第2の材料は、鋼又は鋼基合金であってよい。第1の構成要素は、ルーフ構成要素又はサイドパネルであってよく、第2の構成要素は、車体構成要素であってよい。
【0005】
1つ又は複数の態様によると、車体アセンブリは、第1の構造構成要素及び第2の構造構成要素を含むことができる。第1の構造構成要素は、第1の材料を含む第1の部分、及び第1の材料とは異なる第2の材料を含む第2の部分を含むことができる。第2の部分は、第1の部分の周縁部上に形成することができ、第1の構造構成要素のための取り付けフランジを形成することができる。第2の部分は、第1の部分に、超音波積層造形(UAM)インターフェースを介して接合することができる。第2の構造構成要素は、第2の材料を含むことができる。第2の構造構成要素は、取り付けフランジにおいて、抵抗スポット溶接(RSW)継手を介して第2の部分に接合され得る。
【0006】
第1の材料は、アルミニウム又はアルミニウム基合金であってよく、第2の材料は、鋼又は鋼基合金であってよい。第1の構造構成要素は、ルーフ構成要素又はサイドパネルであってよい。第2の部分の厚さは、RSW継手又は関連する熱影響部(HAZ)がUAMインターフェースの一部を含むこと又は除くことに基づくことができる。UAMインターフェースは、第1の部分及び第2の部分の長さに沿って、車体アセンブリの前後方向又は横方向に伸びることができる。UAMインターフェースは、抵抗スポット溶接によって溶接される領域に対応する位置に置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第2の構造構成要素に取り付けられた超音波積層造形(UAM)インターフェースを有する第1の構造構成要素を含む車体アセンブリの例示的概略図である。
図2】車体構成要素(つまり、第2の構造構成要素に固定されたルーフ構成要素(つまり、第1の構造構成要素)を含む車体アセンブリの斜視図である。
図3図2の線A-Aに沿って見た断面図である。
図4図2の線B-Bに沿って見た断面図である。
図5A図2の線C-Cに沿って見た断面図である。
図5B図2の線C-Cに沿って見た断面図である。
図6】車体アセンブリの例示的概略図である。
図7】車体アセンブリの例示的概略図である。
図8】車体アセンブリの例示的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書の説明及び図面が単に例示であり、さまざまな修正及び変更を、本開示から逸脱することなく開示される構造物に行うことができることを理解されるべきである。本明細書で使用される時、横方向は、車体を横断する、つまり、左右方向である。同様に、縦方向は、車体の前後方向を差し、垂直方向は、高さ、つまり、上下方向を指す。
【0009】
図1は、第2の構造構成要素104に取り付けられた第1の構造構成要素102を含む、車体アセンブリ100の例示的概略図である。車体アセンブリ100の一態様によると、第1の構造構成要素102は、(たとえば、図2~5で説明する)ルーフ構成要素110である。第1の構造構成要素102をルーフ構成要素110として本明細書では説明するが、たとえば、第1の構造構成要素102がサイドパネル構成要素であり、第2の構造構成要素104が構造的ピラーである他の実施形態が考えられることを理解すべきである。
【0010】
本開示によると、ルーフ構成要素110は、第1の金属又は材料を備える第1の部分112(たとえば、第1の構成要素)と、第1の金属とは異なる第2の金属又は材料を備える第2の部分114(たとえば、インサート)とを含む。第1の部分112は、たとえば、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されたルーフパネル又はスキンであってよい。第2の部分114は、鋼又は鋼合金を備えるシートメタルブランクであってよい。1つ又は複数の態様では、図6に示す通り、第2の部分114又はインサートは、複数のUAM層を含むことができ、それらは、第2の部分114又はインサートのためのUAMブロックビルド構成を作るための、重なった又は積み重ねられたホイルテープ114’によって形成されている。ホイルテープ114’は、一般に、たとえば、150ミクロンなどの予め決められた厚さを有する。これに関して、複数の層のホイルテープ114’を互いに積み重ねて、所望の厚さを有するインサート又は第2の部分114を形成することができる。
【0011】
第1の部分112は、第2の部分114に、超音波積層造形(UAM)溶接プロセスを使用して接合され、それにより、UAMインターフェース116を、第1の部分112と第2の部分114との間に作成する。第2の部分114が鋼又は鋼合金を備える例では、第2の部分114は、基板を、UAM溶接プロセス中に形成し、第1の部分112が、基板とUAM溶接互換性がある金属から形成されるようにする。そのような金属の例は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、Alベース合金(たとえば、5000、6000、及び7000シリーズアルミニウム合金)、Mg合金、鋼(たとえば、軟鋼、二相鋼、冷間成形鋼)などを含む。いずれにしても、第1の部分112及び第2の部分114は、互いにUAM溶接互換である第1及び第2の材料、金属、又は金属合金から形成される。
【0012】
このようにして、ルーフ構成要素110は、2つの異なる材料がUAMインターフェース116を用いて接合される領域を含む多材料構成要素である。UAMインターフェース116は、熱的に敏感な材料及び/又はそうでない場合は異なる材料が、しっかりとした金属-金属接触と金属結合とを通して互いに接合されている、固体金属溶接インターフェースである。そのようにして、ルーフ構成要素110は、第1の金属を備える第1の部分112を、第2の金属を備える第2の部分114に、第1の部分112の周縁部において、UAM溶接プロセスを介して接合することによって、形成することができる。しかしながら、第2の部分114を、(周縁部だけでなく)第1の部分112の任意の部分に、UAM溶接プロセスを介して固定し、UAMインターフェース116を用いて接合することができ、それによって、第2の部分114が、多材料構成要素の形成を可能にする溶接パッド又はインサートの機能を果たすことを可能にすることに留意すべきである。このようにして、UAMインターフェース116は、力及びモーメントを、第1の部分112から第2の部分114と、第2の部分114から第1の部分112と、に伝える荷重経路の一部である。
【0013】
車体アセンブリ100の一態様によると、第2の構造構成要素104は、(図2~5で説明する)車体構成要素120である。第2の部分114は、ルーフ構成要素110のための取り付けフランジ150を形成し、以下で説明する通り、最終的には車体構成要素120(たとえば、第2の構成要素)に接合され、それによって、アルミニウム構造構成要素が、鋼構造構成要素に、鋼トランジション(鋼製移行部;たとえば、第2の部分114)を介して、車体アセンブリ100の組み立て中に取り付けられることを可能にする。別の言い方をすれば、ルーフ構成要素110の取り付けフランジ150は、ルーフ構成要素110の鋼Al継手によって形成される。UAMが固体プロセスであるため、第1の部分112又は第2の部分114の材料のうちの任意のものの劣化は発生しない。さらに、(しばしば脆く、継手として望ましくない)金属間化合物は、第1の部分112と第2の部分114との異なる金属の間では形成されず、(たとえば、取り付けフランジ150を介した)ルーフ構成要素110と車体構成要素120との接合を可能にする。このようにして、車体アセンブリ100は、(第1の材料又は金属を含む第1の構成要素としての)第1の部分112、(第2の材料又は金属を含む第2の構成要素としての)第2の構造構成要素104、及び(第2の材料又は金属を含むインサートとしての)第2の部分114を含む多材料構成要素であってよい。
【0014】
車体構成要素120は、(たとえば、鋼基板のための、車体構成要素120は、鋼又は鋼基合金で形成されたモノリシックなものである)第2の金属を含む。車体構成要素120及びルーフ構成要素110の第2の部分114が、(たとえば、互いに溶解性の)共通又は類似の金属から形成されているため、抵抗スポット溶接(RSW)を使用して、ルーフ構成要素110の取り付けフランジと車体構成要素120とを接合することができる。言い換えると、合わせ側のルーフ構成要素110は、鋼を備える第2の部分114を含み、それにより、RSWを使用して、ルーフ構成要素110の合わせ側を、車体構成要素120などの他の構成要素に接合することを可能にする。別の言い方をすれば、ルーフスキンのアルミニウムと第2の部分114(たとえば、取り付けフランジ150)の鋼との間のUAMインターフェース116が、しっかりとした金属と金属との接触を2つの互換性のある金属間に提供するために、RSWを活用することができ、それは、第1の部分112を第2の部分114に固体接合させ、比較的小さな電気抵抗を提供する。
【0015】
ルーフ構成要素110(たとえば、第1の構成要素)を、車体構成要素120(たとえば、第2の構成要素)にRSWを使用して固定されていると説明したが、リベット、構造的接着剤、他の融接及び固体溶接プロセス、ナット及びボルト、ねじなどの他の種類の固定も考えられる。
【0016】
UAMインターフェース116に比べ、ルーフ構成要素110と車体構成要素120との間の鋼鋼インターフェースは、(RSWの前に)結合されず、比較的大きな電気抵抗を有する。このように、電流をRSWプロセス中に流すと、鋼鋼溶接又はRSW継手160インターフェースが作られ、それは、鋼鋼インターフェースが、抵抗加熱及び掛けられる圧力を通して加熱されるからである。従って、組み立てラインは、ルーフ構成要素110を車体構成要素120に、組み立てライン内の溶接工場で提供されている既存の一般的な溶接機を使用して、組み立てる又は取り付けるように構成することができる。
【0017】
第2の部分114は、いくつかの実施形態では、熱影響部(HAZ)162内でRSWから作られる熱が、第1の部分112と第2の部分114との間のUAMインターフェース116に大きな影響を与えないような厚さを有する。たとえば、第2の部分114の厚さは、UAMインターフェース116の余剰な加熱を軽減するために、0.15mmから2-3mmの範囲であってよい。別の例として、第2の部分114の厚さは、金属間化合物を第1の金属と第2の金属との間に作り得るUAMインターフェース116の余剰加熱に関連する閾値厚さよりも大きくてよい。言い換えると、第2の部分114の厚さは、UAMインターフェース116の加熱を軽減する、又は大きな熱が第1の部分112に到達することを軽減するのに十分な厚さを有する。別の実施形態では、第2の部分114は、閾値厚さ未満の厚さを有し、(図1に示さない)UAMインターフェース116の部分を、UAMインターフェース116及び/又は第1の部分112の微細構造を熱機械的に変更する目的のために含む、RSW継手又はHAZ162をもたらす。別の実施形態では、RSW継手は、UAMインターフェース116の一部を含む162のエリアを占める。
【0018】
1つ又は複数の実施形態では、第2の部分114は、第1の部分112及び第2の部分114の両方の長さ(たとえば、車体の前後方向又は縦方向)に沿って伸びる継続的なUAMインターフェース116に沿って、第1の部分112に接合される。さらに、別の実施形態では、ルーフ構成要素110は、第1の部分112に(UAMインターフェース116を使用して)RSWによって溶接される領域のみにおいて接合される第2の部分114を含むように構成され得、それによって、余分な材料をなくし、ルーフ構成要素110の重量を減らす。
【0019】
従って、ルーフ構成要素110が(車体構成要素120の金属で共通の)第2の金属から形成される第2の部分114を接合するUAMインターフェース116を含む時、既存のRSW設備を使用して、ルーフ構成要素110を車体構成要素120に接合することができる。このようにして、UAM、その後RSWを使用して、多材料構造構成要素を、反対側の同種の材料構造に作る又は接合することができる。このように、(ルーフ構成要素110及び車体構成要素120を含む)車体アセンブリ100は、知られている車両組み立てラインを通して、再ツーリング又は追加の設備投資の必要なしに、組み立てることができる。車体アセンブリ100を、電着塗装し、車体アセンブリ100に適用される硬化又は焼き付け塗装を含む(図示しない)塗装処理をすることができる。
【0020】
図2は、車体構成要素120(つまり、第2の構造構成要素104)に固定されたルーフ構成要素110(つまり、第1の構造構成要素102を含む車体アセンブリ100の斜視図である。ルーフ構成要素110及び車体構成要素120を、ここでより詳細に説明する。車体構成要素120は、横方向に間隔を開けたボディメンバ又はサイドパネル202、204のペア、及びフロアパネル206から形成することがきで、それらは一緒に、客室208を形成する。サイドパネル202、204は、同じように作ることができるが、それらは車体アセンブリ100の両側に配置され、各サイドパネル202、204は、それぞれ長手方向に伸びるサイドルーフレール210、212を形成することができる。フロントルーフレール213及びリアルーフレール214は、サイドパネル202、204の間に横方向に伸びる。少なくとも1つのクロスメンバ又はルーフボーを、フロント及びリアルーフレール213、214の間に置くことができ、サイドパネル202、204の間に伸ばすことができる。サイドパネル202、204は、フロント及びリアルーフレール213、214と一緒に、客室208の上のルーフ構成要素110をサポートする。
【0021】
先に説明した通り、ルーフ構成要素110は、第1の金属から形成された第1の部分112、及び第1の金属とは異なる第2の金属から形成された第2の部分114を含む。一態様によると、第1の部分112は、客室208の上にのる、アルミニウム又はアルミニウム基合金のルーフパネル216である。先に説明した通り、第2の部分114は、第1の部分112(つまり、本実施例では、図3~5で説明するルーフパネル216)にUAM溶接された鋼鋼トランジションであってよい。ルーフパネル216は、一般的に、平面図では長方形であるが、個々の車両ルーフ構成要素は車両スタイリングに従う必要があるため、ルーフパネル216は、代替的な形状を有することができる。ルーフパネル216は、前方端部218、後方端部220、前方端部と後方端部との間に長手方向に伸びる両側部222、224を含む。ルーフ構成要素110は、さらに、少なくとも1つのルーフ補強材226を含む。例示の態様では、ルーフ補強材226は、ルーフパネル216を横断して、横側部分222、224の間に伸びることができる。
【0022】
フロント及びリアサポートブラケット228、230及びサイドブラケット232、234は、ルーフ構成要素110に固定することができる。フロント及びリアサポートブラケット228、230は、また、ルーフパネル216を横切って横方向に、横側部分222、224の間に伸びる。サイドブラケット232、234は、ルーフパネル216を長手方向に、フロントサポートブラケット228とルーフ補強材226とリアサポートブラケット230との間に伸びる。図示した通り、各サポートブラケットは、ルーフ構成要素110の第2の部分114とは別であり、ルーフ構成要素110と車体構成要素120との取り付けを容易にするためにそこに溶接付けされている。ルーフ構成要素110のサポートブラケットは、また、アルミニウム又はアルミニウム基合金から形成されてよい。
【0023】
図3は、図2の線A-Aに沿って見た断面図である。ルーフ構成要素110は、鋼インターフェースである第2の部分114にUAMインターフェース116を介して接合されたルーフパネル216を(第1の部分112として)含み、フロントルーフレール213は、ルーフ構成要素110の前方端部218に、RSW継手160を介して接続されている。フロントルーフレール213は、アウターパネル240と、見た通り244においてアウターパネル240に固定的に付けられた(たとえば、溶接された)インナーパネル242を含む。フロントガラス246は、フロントルーフレール213のフランジ構造に接着又は結合されている。(図示しない)補強を、アウター及びインナーパネル240、242の間に置くことができる。
【0024】
図4は、図2の線B-Bに沿って見た断面図である。図4では、サイドパネル202のサイドルーフレール210は、ルーフ構成要素110の横部222にRSW継手160を介して接続されている。本開示の説明を簡単にするために、サイドパネル202の構造及びそのルーフ構成要素110への接続のみを説明するが、他のサイドパネル204が、同じ構造を、ルーフ構成要素110への類似の接続と共に有することができる、ということを理解すべきである。
【0025】
サイドルーフレール210は、アウターパネル250、及びアウターパネルに固定的に付けられた(たとえば、溶接された)インナーパネル252を含む。補強254は、いくつかの実施形態では、アウター及びインナーパネル250、252の間に置くことができる。サイドルーフレール210は、アウターパネル250によって形成された取り付けフランジ255を含む。図示の態様では、サイドルーフレール210の取り付けフランジ255は、横部256を形成する。ルーフパネル216の横部222は、取り付けフランジ150を有する部分264に接合された壁262を含む。ルーフパネル216の取り付けフランジ150は、サイドルーフレール210の取り付けフランジ255の上にのり、従って、互いに抵抗スポット溶接され得る。図4で図示した通り、RSW継手160は、取り付けフランジ150の一部、アウターパネル250、インナーパネル252、及び補強254を1つの溶接内に含むことができる。しかしながら、任意の数(たとえば、2以上)の構成要素を1つの溶接で接合できる、ということが理解される。言い換えると、多シート溶接を行って、構成要素を含むようにRSW継手160を形成することができ、それには、ルーフパネル216、UAMインターフェース116、取り付けフランジ150、アウターパネル250、補強部254、インナーパネル252などを含むが、これらに限定されない。
【0026】
別の言い方をすれば、図示の実施形態では、ルーフ構成要素110は、第2の部分114を部分264として含むことができ、それは、車体構成要素120のサイドパネル202のアウターパネル250に接合されている。部分264は、ルーフ構成要素110のルーフパネル216の水平方向の壁262の、少なくとも部分的に下に伸びる。ルーフ構成要素110の取り付けフランジ150は、サイドパネル202の取り付けフランジ255に揃っており、そこに、RSW継手160を介して、車体の組み立て中に接合又は溶接される。先に説明した通り、ルーフ構成要素110は、たとえば、アルミニウムのルーフパネル216及び部分264の鋼である2つの異なる金属を接合するUAMインターフェース116を含み、それによって、抵抗スポット溶接を活用してRSW継手160を形成することを可能にし、それによって、鋼アウターパネル250と鋼部分264とを接合する。
【0027】
図5A~5Bは、図2の線C-Cに沿って見た断面図であり、リアサポートブラケット230の態様を図示している。ルーフ構成要素110は、車体構成要素120のリアルーフレール214に、RSW継手160を介して接合されている。リアルーフレール214は、アウターパネル302、及びそれに固定的に付けられた(たとえば、溶接された)インナーパネル304を含む。アウターパネル302のランディング306は、RSW継手160によって接合されるエリアを形成する。アウターパネル302は、ステップ部308を含む。ルーフパネル216は、垂直方向の壁310及び水平方向の壁312を含む。ルーフパネル216は、さらに、高くなった部分314を含む。本実施例では、ルーフパネル216は、ルーフ構成要素110の第1の部分112であり、リアサポートブラケット230の鋼トランジションは、第2の部分114であり、それにUAM溶接を介してUAMインターフェース116において固定的に取り付けられている。
【0028】
リアサポートブラケット230の後方端部316は、ルーフ構成要素110の後部に一致するような形状であり、ルーフパネル216の垂直方向壁310に固定的に付けられている。後方端部316は、水平方向壁312の下にあり、接しており、アウターパネル302にRSW継手160を介して溶接されている。図5は、さらに、リアルーフレール214とテールゲート構造320とによって形成されたリアガター318を図示している。
【0029】
結果的に、本開示は、アルミニウム又はアルミニウム基合金の第1の部分112から形成されたルーフ構成要素110と、鋼又は鋼基合金から形成された車体構成要素120への鋼トランジションの第2の部分114と、を固定する方法を提供する。例示的な方法は、一般的に、第1の部分112を、第2の部分114に、第1の部分の周縁部において、超音波積層造形(UAM)インターフェース116を介して接合することと、第2の部分114を取り付けフランジ150として含むルーフ構成要素110を提供することと、車体構成要素120を提供することと、ルーフ構成要素110と車体構成要素120とを電着塗装することと、ルーフ構成要素110と車体構成要素120とを塗装することと、ルーフ構成要素110と車体構成要素120とを抵抗スポット溶接すること、又は第2の部分114を第2の金属から形成された車体構成要素120にRSWを介して接合することと、を備える。
【0030】
図6は、別の態様による、車体アセンブリの例示的概略図である。たとえば、図6では、第2の部分114又はインサートは、UAMプロセス中に適用される複数層のUAMホイルテープ114’を含むUAMブロックビルド構成を有する。たとえば、図6では、第1のUAM層114A、第2のUAM層114B、及び第3のUAM層114Cは、第2の部分114又はインサート内に含まれる。しかしながら、より多く又はより少ないUAM層を活用して、インサートを所望の厚さに作ることができる。加えて、UAMインターフェース116は、第1の位置に置かれており、RSW継手160は、第1の位置から前後方向又は横方向にずれた第2の位置に置かれている。このずれのために、RSW継手160の作成及びHAZ162からの熱は、図1とは異なり、UAMインターフェース116に影響を与えず、RSW継手160からの熱が、162のエリアをカバーするために拡大された場合、UAMインターフェース116の部分を含むことができる。言い換えると、いくつかの態様によると、162のエリアは、160のエリアではなく、RSW継手であってよい。
【0031】
図7は、一態様による、多材料構成要素400の例示的概略図である。多材料構成要素400は、UAMインターフェース416において接合された第1の部分412及び第2の部分414を含む、2材料構造410を含むことができる。たとえば、第1の部分412は、第1の材料を含み、第2の部分414は、第1の材料とUAM溶接互換のある第2の材料を含む。2材料構造410は、第1の材料を含む第1の構造422に、RSW継手426を介して接合されている。2材料構造410は、また、第2の材料を含む第2の構造432に、RSW継手436を介して接合されている。先に説明した通り、第1の材料及び第2の材料は、鋼、鋼合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金などを含むことができる。これに関して、1つの材料が、別の材料よりも、溶接するためにより多くの電力を必要とする時、対応するRSWを、まず、そのインターフェースのために行うことができる。たとえば、412及び422が鋼であり、414及び432がAlである場合、RSW426を、RSW436の前に形成することができる。
【0032】
多材料構成要素500の別の実施例では、(第1の材料を含む)第1の構造522、(UAMインターフェース516において接合された、第1の材料を含む第1の部分512及び第2の材料を含む第2の部分514を含む)2材料構造510、及び(第2の材料を含む)第2の構造532は、1つの溶接動作で接合することができ、図8に図示した通り、RSW継手526及び536が、共通の垂直軸550上に配置されることになる。
【0033】
上記で開示した特徴及び機能、ならびに他の特徴及び機能のさまざまなもの、又はそれらの代替物もしくは変形物を、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに望ましく組み合わせることができることが理解される。また、さまざまな現在予見できないもしくは予測できない代替物、変更物、変形物、又は改良物が、当業者によって後から作られ得、それらは、また、以下の特許請求の範囲において包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0034】
100 車体アセンブリ
102 第1の構造構成要素
104 第2の構造構成要素
110 ルーフ構成要素
112 第1の部分
114 第2の部分
116 UAMインターフェース
120 車体構成要素
150 取り付けフランジ
160 RSW継手
162 熱影響部(HAZ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8