(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】データ収集装置、車載装置、データ収集システム、データ収集方法およびデータ提供方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/13 20060101AFI20230501BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
G08G1/13
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2019044161
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名嘉 あづさ
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111819(JP,A)
【文献】特開2018-206036(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180097(WO,A1)
【文献】特表2022-523319(JP,A)
【文献】特開2018-055191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置から
車両データを収集する
データ収集装置であって、
前記車載装置に、自動運転状態をトリガとする自動運転状態を含む前記車両データの収集条件を送信し、
前記収集条件を満たした前記車両データのメタ情報化されたタグデータを、前記車載装置から受信し、
前記タグデータに基づく収集対象の前記車両データの提供要求を前記車載装置に送信し、
前記提供要求に対する前記車両データを前記車載装置から受信するコントローラ
を備え
たデータ収集装置。
【請求項2】
前記トリガは、
自動運転の実行と解除間の変化である、
請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記トリガは、
自動運転モードの変化である、
請求項1または2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記自動運転状態のデータは、
自動運転の実行状態と解除状態である、
請求項1~3のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記自動運転状態のデータは、
自動運転モードである、
請求項1~4のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項6】
データ収集装置に車両データを提供する車載装置であって、
前記データ収集装置から、自動運転状態をトリガとする自動運転状態を含む前記車両データの収集条件を受信し、
前記収集条件を満たした前記車両データを記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された前記車両データに基づいてメタ情報化されたタグデータを生成し、
前記タグデータを前記データ収集装置へ送信し、
前記データ収集装置からの前記タグデータに基づく前記車両データの提供要求に対して、前記記憶部より対応する前記車両データを
抽出して前記データ収集装置へ送信する
コントローラ
を備え
た車載装置。
【請求項7】
車載装置と、前記車載装置から車両データを収集するデータ収集装置と
を備えるデータ収集システムであって、
前記データ収集装置は、
前記車載装置に、自動運転状態をトリガとする自動運転状態を含む前記車両データの収集条件を送信し、
前記収集条件を満たした前記車両データのメタ情報化されたタグデータを、前記車載装置から受信し、
前記タグデータに基づく収集対象の前記車両データの提供要求を前記車載装置に送信し、
前記提供要求に対する前記車両データを前記車載装置から受信し、
前記車載装置は、
前記データ収集装置から前記車両データの前記収集条件を受信し、
前記収集条件を満たした前記車両データを、前記車載装置の記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された前記車両データに基づいてメタ情報化された前記タグデータを生成して、当該タグデータを前記データ収集装置へ送信し、
前記データ収集装置からの前記提供要求に対して、前記記憶部より対応する前記車両データを抽出して前記データ収集装置へ送信する、
データ収集システム。
【請求項8】
車両に搭載された車載装置から
車両データを収集する
データ収集方法であって、
前記車載装置に、自動運転状態をトリガとする自動運転状態を含む前記車両データの収集条件を送信する工程と、
前記収集条件を満たした前記車両データのメタ情報化されたタグデータを、前記車載装置から受信する工程と、
前記タグデータに基づく収集対象の前記車両データの提供要求を前記車載装置に送信する工程と、
前記提供要求に対する前記車両データを前記車載装置から受信するする工程と
をコントローラが実行する、データ収集方法。
【請求項9】
データ収集装置に車両データを提供するデータ提供方法であって、
前記データ収集装置から、自動運転状態をトリガとする自動運転状態を含む前記車両データの収集条件を受信する工程と、
前記収集条件を満たした前記車両データを記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部に記憶された前記車両データに基づいてメタ情報化されたタグデータを生成する工程と、
前記タグデータを前記データ収集装置へ送信する工程と、
前記データ収集装置からの前記タグデータに基づく前記車両データの提供要求に対して、前記記憶部より対応する前記車両データを抽出して前記データ収集装置へ送信する工程と
をコントローラが実行する、データ提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集装置、車載装置、データ収集システム、データ収集方法およびデータ提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各車両に搭載された車載装置から道路情報を収集するデータ収集装置が知られている。かかるデータ収集装置では、各車両の位置情報に基づき、道路情報の収集対象となる車両を選別することで、所望する位置の道路情報を収集する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両を自動運転制御する技術が急速に広がっている。自動運転制御には、例えば、車両を自動運転制御する車両制御モデルを用いる手法がある。かかる車両制御モデルを適切に生成または更新するため、例えば、実際に道路を走行する車両から生成等に必要なデータを収集することが望まれる。
【0005】
しかしながら、上記した従来技術には、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集するという点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集することができるデータ収集装置、車載装置、データ収集システム、データ収集方法およびデータ提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、データ収集装置において、収集部を備える。収集部は、各車両に搭載された車載装置から、車両の自動運転の状態を含む自動運転データを収集する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1D】
図1Dは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータ収集システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、収集のトリガ条件の設定画面が表示された利用者端末の画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、収集する運転データの種類の設定画面が表示された利用者端末の画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るデータ収集装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するデータ収集装置、データ収集システム、データ収集方法および車載装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、実施形態に係るデータ収集システムの概要について、
図1A~
図1Dを用いて説明する。
図1A~
図1Dは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【0012】
図1Aに示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車両V-1,V-2,V-3…にそれぞれ搭載された車載装置100-1,100-2,100-3…と、利用者端末200とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置100」と、それぞれ記載する。
【0013】
また、以下では、車両Vが自動運転車両であり、各車両Vにそれぞれ搭載された車両制御モデルによって自動運転制御されるものとする。
【0014】
データ収集装置10は、例えばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、データ利用者から車両Vに関するデータ(以下、車両データと記載する)の収集要求を受け付けるとともに、受け付けた収集要求に基づき、各車載装置100から車両データを収集する。そして、データ収集装置10は、収集された車両データを利用者へ提供する。なお、車両データが提供された利用者端末200では、自動運転の車両制御モデルを生成する処理などが行われるが、これについては後述する。
【0015】
車載装置100は、例えばカメラ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置であって、データ収集装置10が受け付けた収集要求を取得し、かかる収集要求に応じた車両データを車両Vから取得する。
【0016】
上記したカメラは、例えば車両Vの周囲を撮像する。また、加速度センサは車両Vに作用する加速度を検出し、GPSセンサは、車両Vの位置を検出する。なお、車載装置100としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。
【0017】
また、車載装置100は、取得した車両データをデータ収集装置10へ適宜アップロードする。このようにドライブレコーダを車載装置100として兼用することによって、車両Vへ搭載する車載部品を効率化することができる。なお、兼用することなく、車載装置100とドライブレコーダとを別体で構成してもよい。
【0018】
利用者端末200は、データ利用者が利用する端末であり、例えばノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップ型PC、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(wearable device)などである。なお、利用者端末200は、端末装置の一例である。
【0019】
実施形態に係るデータ収集システム1では、利用者端末200を介して指定された収集条件を元に、データ収集装置10が車載装置100から車両データを収集し、利用者端末200へ提供することができる。以下、
図1A~
図1Dを用いて、データ収集システム1においてデータ利用者へ車両データが提供されるまでの一連の流れについて説明する。
【0020】
ここで、車両データの流れを説明する前に、自動運転制御について説明しておく。車両Vにおいて自動運転が実行されている状態で、例えば、他車両が車両Vの前方に割り込みして車間距離が急に短くなったときなど車両Vの走行環境が変わると、自動運転制御において自動運転を継続できないと判定されて解除されることがある。
【0021】
自動運転制御にあっては、可能な限り自動運転を継続することが好ましく、上記のように継続できないと判定されたのは、例えば、車両制御モデルを生成するときのデータの不足が原因であることがある。
【0022】
そこで、本実施形態に係るデータ収集システム1にあっては、上記したデータの不足を補うため、またはデータの不足が生じないように、自動運転の車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集できる構成とした。以下、その構成について詳しく説明する。
【0023】
図1Aに示すように、まずデータ利用者は、データ収集装置10と接続された利用者端末200により収集条件を指定する。
【0024】
ここで、上記した収集条件には、収集のトリガとなる条件など各種パラメータが含まれ、かかる収集のトリガとなる条件として、例えば自動運転が変化した場合が指定されているものとする。かかる自動運転の変化には、例えば車両において自動運転が実行されている状態から自動運転が解除された状態への変化などが含まれてもよい。
【0025】
また、収集条件が指定される際に、データ収集装置10は、収集することとなる実データR(車両データの一例)に付加され、かかる実データRの検索や概要把握に用いられるインデックスデータとしての特性を有するタグデータTの生成用データを生成する。すなわち、タグデータTとは、実データRがメタ情報化されたメタデータである。なお、かかるタグデータTの生成用データは、利用者端末200あるいはデータ収集装置10に記憶されたプログラムや生成用データを用いつつ、データ利用者の操作に基づいて生成される。
【0026】
そして、指定された収集条件や、生成されたタグデータTの生成用データは、データ収集装置10に記憶されるとともに、データ収集の対象となる車両Vへ配信されて、車載装置100にも記憶される。
【0027】
次に、各車載装置100は、各種センサの出力データを監視し、記憶している収集条件を満たすイベント(ここでは、例えば自動運転の解除)が発生した場合に、出力データや映像データ等の実データRを記憶デバイスに記憶する。また、各車載装置100は、記憶しているタグデータTの生成用データと実データRとに基づき、当該実データRに対応するタグデータTを生成して記憶する。そして、各車載装置100は、タグデータTをデータ収集装置10にアップロードし、データ収集装置10はそのタグデータTを記憶する。なお、このとき、実データRは、データ収集装置10へはアップロードされない。つまり、
図1Aに示すように、データ収集装置10は、タグデータTのみを保有した状態となる。
【0028】
そして、データ利用者が、利用者端末200により、収集状況の確認や実データRの収集のためにデータ収集装置10と接続すると、データ収集装置10により収集されたタグデータTに基づくメタ情報が利用者端末200に表示される。
【0029】
そして、
図1Bに示すように、データ利用者が、利用者端末200により、収集する実データRに対応するタグデータTを指定すると、データ収集装置10を介して該当の車載装置100へ実データRを指定する指示データが送信される。なお、ここでは、自動運転の車両制御モデルの生成等に必要な実データRに対応するタグデータTが指定されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0030】
その後、
図1Cに示すように、指定された実データRが、各車載装置100からデータ収集装置10へアップロードされ、データ収集装置10に収集されて記憶される。ここで、上記した収集のトリガとなる条件として、自動運転が変化した場合が指定されていることから、データ収集装置10は、車両Vの自動運転の状態を含む実データR(自動運転データの一例)を収集することとなる。
【0031】
そして、データ利用者が、利用者端末200により、データ収集装置10に記憶された実データRにアクセスして、かかる実データRの閲覧やダウンロードなどを行う。
【0032】
なお、車載装置100のデータ容量の観点からは、データ収集装置10にアップロードされた実データRおよびこれに対応するタグデータTは、データ収集装置10へのアップロード後に車載装置100から削除されることが好ましい。
【0033】
また、タグデータTは、実データRの一部を単純に抜粋したようなデータではなく、データ利用者が参照したときに実データRの概要を把握し、実データRの要否を判断できる程度にメタ情報化されていることが好ましい。
【0034】
そして、
図1Dに示すように、利用者端末200は、データ収集装置10によって収集された、車両Vの自動運転の状態を含む実データR(以下、「自動運転データ」と記載する場合がある)に基づいて、車両制御モデルの生成または更新処理を実行する。
【0035】
このように、本実施形態に係るデータ収集装置10にあっては、車両Vの自動運転の状態を含む自動運転データを収集するようにしたことから、車両制御モデルの生成の際のデータ不足を効果的に補うことが可能となる、言い換えると、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集することができる。
【0036】
そして、利用者端末200は、提供部201を備え、自動運転データに基づいて生成または更新される車両制御モデルを車両Vに提供する。これにより、車両Vにあっては、適切に生成または更新された車両制御モデルを用いた自動運転制御を実行することができる。
【0037】
なお、利用者端末200による車両制御モデルの提供のタイミングや、提供される車両制御モデルの種類などは、適宜に設定することができる。例えば、車両Vが走行する位置に応じて、走行する位置に適した車両制御モデルが提供されるようにしてもよい。また、車両Vが走行する予定の経路に応じ、かかる経路に適した車両制御モデルが提供されるようにしてもよい。なお、上記以外にも、車両Vの車種、天候、路面状態、地域など種々の走行環境に適した車両制御モデルが提供されるようにしてもよい。
【0038】
以下、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0039】
図2は、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0040】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0041】
また、
図2を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0042】
図2に示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車載装置100と、利用者端末200とを含む。
【0043】
まず、データ収集装置10から説明する。データ収集装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0044】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置100や、利用者端末200との間で情報の送受信を行う。
【0045】
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、収集条件情報DB12aと、収集データDB12bとを記憶する。
【0046】
収集条件情報DB12aは、利用者端末200から指定され、後述する受付部13aによって受け付けられた収集条件が蓄積される。すなわち、収集条件情報DB12aは、収集条件に関する過去の実績を含む。
【0047】
収集条件には、車両データの収集に関する各種パラメータが含まれる。例えば、各種パラメータは、対象となる車両Vの識別子や、収集対象となるデータの種別、収集のトリガとなる条件、収集する期間などである。収集のトリガとなる条件の一例として、自動運転が変化した場合、詳しくは自動運転が実行されている状態から自動運転が解除された状態への変化した場合などがある。
【0048】
収集データDB12bは、後述する収集部13cによって各車載装置100から収集された収集データが蓄積される。すなわち、収集データDB12bは、収集データの過去の実績を含む。なお、収集データは、前述のタグデータTおよび実データRを含む。
【0049】
ここで、
図3を用いて、収集データDB12bに格納される収集データについて説明する。
図3は、収集データの一例を示す図である。
図3に示すように、収集データには、「タグID」、「車両ID」、「車種」、「位置」、「日時」、「天候」、「道路状況」、「自動運転モード」および「運転イベント」等の項目が含まれる。
【0050】
「タグID」は、タグデータTを識別する識別情報である。「車両ID」は、車両Vを識別する識別情報である。「車種」は、車両Vの車種を示す情報である。なお、
図3に示す例では、便宜上、「車種」を「車種B1」といったように抽象的な記載とするが、「車種B1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0051】
「位置」は、収集条件が成立して自動運転データが収集された位置を示す情報である。「日時」は、自動運転データが収集された時間を示す情報である。「天候」は、自動運転データが収集されたときの天気を示す情報である。「道路状態」は、自動運転データが収集されたときの道路の状態であり、例えば、舗装種別や車線数、カーブの曲り、幅員など道路に関する状態を示す情報である。
【0052】
「自動運転モード」は、自動運転の状態を示す情報である。例えば、自動運転モードは、自動運転が実行されているか解除されているかを示す情報であり、自動運転が実行されている場合は自動運転のモード(以下、「自動運転モード」または、単に「モード」と記載する場合がある)を示す情報である。
【0053】
ここで、自動運転には、自動運転の内容に応じてレベルが規定される。例えば、レベル0は、ドライバがステアリング操作や加減速を全て行う「自動運転化なし(完全手動運転)」であり、レベル1は、ステアリング操作および加減速のいずれかのサポートを行う「運転支援」である。また、例えば、レベル2は、ステアリング操作および加減速の両方をサポートする「部分的自動運転」であり、レベル3は、特定の場所等でステアリング操作を含む全ての操作が自動化され緊急時等にドライバへ操作を戻す「条件付き自動運転」である。また、例えば、レベル4は、特定の場所等でステアリング操作を含む全ての操作が自動化される「高度自動運転」であり、レベル5は、種々の条件下でもステアリング操作を含む全ての操作が自動化される「完全自動運転」である。また、自動運転には、運転操作のうちどの操作を自動運転化するか(例えば、部分的自動運転においてどの操作・動作を自動にするか)などの種類もある。
【0054】
図3に示す収集データの「自動運転モード」おけるモードAやモードCには、これら自動運転のレベルや種類に関する情報などが含まれている。そして、例えば、かかる自動運転モードが変化した場合などが、収集条件に含まれるトリガとして設定されてもよく、これについては後述する。
【0055】
「運転イベント」は、車両Vにおいて生じた事象を示す情報であり、例えば、割り込みや渋滞などの情報であるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
なお、収集データDB12bのうち、「天候」や「道路状態」など一部の情報は、外部サーバから収集される情報であってもよい。
【0057】
図3に示す例において、タグID「T1」で識別されるデータは、車両IDが「A01」、車種が「車種B1」、位置が「位置C1」、日時が「日時D1」、天候が「天候E1」、道路状態が「道路状態F1」、自動運転モードが「解除」、運転イベントが「イベントG1」であることを示している。また、
図3に示す例において、タグID「T2」で識別されるデータは、車両IDが「A02」、車種が「車種B2」、位置が「位置C2」、日時が「日時D2」、天候が「天候E2」、道路状態が「道路状態F2」、自動運転モードが「モードA」、運転イベントが「イベントG2」であることを示している。
【0058】
図2の説明に戻ると、制御部13は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、データ収集装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0059】
制御部13は、受付部13aと、配信部13bと、収集部13cと、送信部13dとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0060】
受付部13aは、データ利用者により、利用者端末200から指定された収集条件を通信部11を介して受け付け、配信部13bへ通知する。また、受付部13aは、データ利用者により指定された収集条件を収集条件情報DB12aへ格納する。
【0061】
また、受付部13aによって受け付ける収集条件に含まれる収集のトリガ(イベント)としては、例えば、上記した自動運転の解除や自動運転モードの変化などであり、データ利用者によって適宜に設定される。なお、急加速や急減速、急操舵といった運転操作状態によるトリガ、振動、衝撃といった路面状態によるトリガ等、収集したいデータ種別、条件に応じて各種状況をトリガとすることができる。
【0062】
ここで、
図4を用いて、収集のトリガ条件の設定について説明する。
図4は、収集のトリガ条件の設定画面が表示された利用者端末200の画面210の一例を示す図である。
【0063】
図4に示すように、トリガ条件の設定画面には、変化種別設定欄211と、対象モード設定欄212とが含まれる。変化種別設定欄211は、自動運転モードの変化の種別を設定する表示欄である。対象モード設定欄212は、収集対象となる自動運転モードを設定する表示欄である。
【0064】
図4に示す例では、変化種別設定欄211において、「(自動運転トリガ)無し」、「自動運転解除時」、「自動運転開始時」および「自動運転モードレベルダウン時」などがドロップダウンリストにより選択可能とされ、データ利用者によって「自動運転解除時」が選択されて設定される例を示している。なお、
図4に示す変化種別設定欄211の種別は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0065】
また、
図4に示す例では、対象モード設定欄212において、「モードA」、「モードB」および「モードC」などがチェックボックスにより選択可能とされ、データ利用者によって「モードA」が選択されて設定される例を示している。かかる対象モード設定欄212では、選択されたモードからの変化、または、選択されたモードへの変化がトリガ条件として設定されるものとする。なお、上記では、対象モード設定欄212において1つのモードが選択されるようにしたが、これに限られず、複数のモードが選択されてもよい。
【0066】
そして、例えば、変化種別設定欄211および対象モード設定欄212で設定された2つの条件が成立した場合に(AND条件成立の場合に)、収集のトリガがかかるものとする。従って、
図4の例では、自動運転モードの「モードA」から自動運転が解除されるように自動運転モードが変化したときに、収集のトリガがかかることを示している。なお、上記したトリガ条件の設定は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0067】
図2の説明に戻ると、受付部13aによって受け付ける収集条件には、収集する運転データの種類が含まれ、かかる種類は、データ利用者によって適宜に設定されてもよい。ここで、
図5を用いて、収集する運転データの種類の設定について説明する。
図5は、収集する運転データの種類の設定画面が表示された利用者端末200の画面210の一例を示す図である。
【0068】
図5に示すように、収集する運転データの種類の設定画面には、運転データ設定欄213が含まれる。運転データ設定欄213は、収集する運転データの種類を設定する表示欄である。
【0069】
図5に示す例では、運転データ設定欄213において、「動画」、「自動運転モード種別」、「天候」および「道路状態」などがチェックボックスにより選択可能とされ、データ利用者によって「動画」、「自動運転モード種別」および「道路状態」が選択されて設定される例を示している。そして、運転データ設定欄213において設定された運転データが、後述する収集部13cによって収集されるものとする。なお、
図5において、運転データ設定欄213に示す運転データの種類は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0070】
このように、本実施形態にあっては、収集する運転データの種類を選択できるようにしたことから、データ利用者によって所望される運転データを容易に選択して収集することが可能になるとともに、また、データ利用者にとって不要な運転データを収集することを抑制することができる。
【0071】
配信部13bは、収集条件情報DB12aへ格納され、データ利用者によって指定された収集条件を、対象車両となる車両Vへ、例えばファイル形式で通信部11を介して配信する。
【0072】
収集部13cは、配信部13bによって配信された収集条件に基づいて取得された車両データであって、車載装置100からアップロードされるタグデータTや実データRを、通信部11を介して収集し、収集データとして収集データDB12bへ蓄積する。
【0073】
例えば、収集部13cは、車両Vの自動運転の状態を含む自動運転データを収集する、詳しくは、車両Vの自動運転の状態の変化を含む自動運転データを収集する。これにより、例えば、利用者端末200による車両制御モデルの生成の際のデータ不足を効果的に補うことが可能となる、言い換えると、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集することができる。
【0074】
また、収集部13cは、車両Vにおいて自動運転が実行されている状態から自動運転が解除された状態への変化を含む自動運転データを収集してもよい。これにより、自動運転の解除時におけるデータ不足をより効果的に補うことが可能となる、言い換えると、車両制御モデルの生成等に必要なデータをより効率良く収集することができる。
【0075】
また、収集部13cは、車両Vの自動運転における車両制御モデルの生成に用いられる自動運転データを収集する。このように、自動運転データを車両制御モデルの生成に用いることで、例えば、可能な限り自動運転を継続できる車両制御モデルなど、適切な車両制御モデルを生成することが可能になる。
【0076】
また、収集部13cは、自動運転データの収集を実行する収集条件が成立した場合、かかる収集条件が成立した位置に対応する車両Vの車載装置100から自動運転データを収集してもよい。すなわち、収集部13cは、例えば、所定の車両Vにおいて自動運転が解除されて収集条件が成立した場合、所定の車両Vの自動運転データの収集に加え、収集条件が成立した位置に対応する車両V(換言すれば、所定の車両Vとは異なる他の車両Vであって、自動運転が解除されておらず収集条件が成立していない他の車両V)の車載装置100から自動運転データを収集してもよい。
【0077】
これにより、例えば所定の車両Vと他の車両Vとは、互いに類似した走行環境でありながら、所定の車両Vにおいて自動運転が解除された原因を特定して車両制御モデルの生成に利用することが可能となり、結果として適切な車両制御モデルを生成することができる。
【0078】
また、収集部13cは、車両Vの車載装置100から、車両Vの自動運転モードが変化した際の自動運転データを収集してもよい。このような車両Vの自動運転モードの変化は、例えば、車両制御モデルの生成の際のデータ不足が原因である可能性があることから、上記のように構成することで、車両制御モデルの生成の際のデータ不足を効果的に補うことが可能となる、言い換えると、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集することができる。
【0079】
送信部13dは、収集データDB12bに蓄積された収集データを、例えば利用者端末200に対して送信する。
【0080】
次に、車載装置100について説明する。車載装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。また、車載装置100は、上述したように、カメラ、加速度センサ、GPSセンサなどの各種センサ150が接続される。
【0081】
通信部101は、通信部11と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部101は、ネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、データ収集装置10との間で情報の送受信を行う。また、通信部101は、各種センサ150の出力データを受信する。
【0082】
記憶部102は、記憶部12と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、収集条件情報102aと、車両データ情報102bと、車両制御モデル102cとを記憶する。
【0083】
収集条件情報102aは、データ収集装置10から配信された収集条件を含む情報である。車両データ情報102bは、後述する採取部103cによって採取された車両データを含む情報である。なお、車両データは、前述のタグデータTおよび実データRを含む。また、実データRは、自動運転データなどを含む。
【0084】
車両制御モデル102cは、車両Vを自動運転制御する学習モデルであるが、これに限定されるものではない。
【0085】
制御部103は、制御部13と同様に、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、車載装置100内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0086】
制御部103は、取得部103aと、検出部103bと、採取部103cと、アップロード部103dとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0087】
取得部103aは、データ収集装置10から配信された収集条件を取得し、収集条件情報102aへ格納する。
【0088】
また、取得部103aは、利用者端末200から提供された車両制御モデル102cを取得し、記憶部102に格納する。なお、車両Vにおいては、車両制御モデル102cを用いた自動運転制御を実行できることは、既に述べた通りである。
【0089】
検出部103bは、各種センサ150からの出力データを監視し、収集条件においてトリガとなる事象の発生を検出する。例えば、検出部103bは、収集条件において車両データを採取するトリガとなる事象の発生を検出した場合に(ここでは自動運転の解除が行われた場合に)、採取部103cに車両データを採取させる。また、例えば検出部103bは、収集条件において車両データをデータ収集装置10へアップロードさせるトリガとなる事象の発生を検出した場合に、アップロード部103dに車両データをアップロードさせる。
【0090】
採取部103cは、検出部103bによって車両データを採取するトリガの発生が検出された場合に、各種センサ150の出力データに基づく車両データ(例えば自動運転データ)を採取して車両データ情報102bへ格納する。また、採取部103cは、検出部103bによって車両データの採取を停止するトリガの発生が検出された場合に、車両データの採取を停止する。
【0091】
また、採取部103cは、車両Vの自動運転モードが変化した際に、自動運転モードが変化した時点付近の自動運転データを採取してもよい。なお、自動運転モードが変化した時点付近とは、例えば、自動運転モードが変化した時点を含む所定期間であるが、これに限られない。また、自動運転モードが変化した時点を含む所定期間は、変化時点前であっても、変化時点後であってもよいが、好ましくは、自動運転モードが変化した時点の前後両方を含む所定期間とされる。
【0092】
アップロード部103dは、検出部103bによって車両データをアップロードするトリガの発生が検出された場合に、車両データ情報102bに格納された車両データ(例えば自動運転データなど)をデータ収集装置10へアップロードする。なお、アップロード部103dは、送信部の一例である。
【0093】
次に、
図6を用いて、実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理の処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理の処理手順を示すフローチャートであり、詳しくはデータ収集装置10が実行するデータの収集処理などの手順を示すフローチャートである。
【0094】
図6に示すように、まず、データ収集装置10の制御部13は、利用者端末200から指定された収集条件を受け付ける(ステップS10)。次いで、制御部13は、収集条件に従ったデータを車載装置100から収集する(ステップS11)。なお、ステップS11の処理において、制御部13は、例えば、収集条件に含まれるデータの種類に自動運転データが設定されている場合に、自動運転データを車載装置100から収集する。
【0095】
続いて、制御部13は、収集されたデータを利用者端末200に対して送信する(ステップS12)。なお、ステップS12の処理において、制御部13は、例えば、収集条件に含まれるデータの種類に自動運転データが設定されている場合に、収集された自動運転データを利用者端末200に対して送信する。なお、利用者端末200では、上記したように、自動運転データに基づいて車両制御モデルが生成される。
【0096】
上述してきたように、実施形態に係るデータ収集装置10は、収集部13cを備える。収集部13cは、各車両Vに搭載された車載装置100から、車両Vの自動運転の状態を含む自動運転データを収集する。これにより、自動運転における車両制御モデルの生成等に必要なデータを効率良く収集することができる。
【0097】
なお、上記では、自動運転が自動運転制御により解除される場合に自動運転データを収集する例に挙げたが、これに限られない。すなわち、例えば、車両Vのドライバによるブレーキ操作がなされたときなど、ドライバにより自動運転が解除される場合に自動運転データを収集してもよい。
【0098】
また、上記では、収集条件を、自動運転が解除されるなど自動運転が変化した場合としたが、これに限定されるものではなく、その他の条件であってもよい。
【0099】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 データ収集システム
10 データ収集装置
13c 収集部
100 車載装置
200 利用者端末