(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】計測装置および表面実装機
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2019054058
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敬介
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-256151(JP,A)
【文献】特開2001-124530(JP,A)
【文献】特開2009-008578(JP,A)
【文献】特開2012-032252(JP,A)
【文献】特開2001-060800(JP,A)
【文献】特開2002-310625(JP,A)
【文献】特開平06-050729(JP,A)
【文献】特開昭62-063842(JP,A)
【文献】特開昭61-264204(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132865(WO,A1)
【文献】特開2011-227006(JP,A)
【文献】特開平05-107032(JP,A)
【文献】特開2012-233782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0001117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光切断法に基づいて計測対象の高さ寸法を計測する計測装置であって、
前記計測対象を撮像する撮像部と、
前記計測対象を相対的に移動させながら前記撮像部の光軸に対して傾斜した線状の投影光を前記計測対象に投影する投影部と、
前記計測対象の高さ方向の分解能に応じて前記投影光の傾斜角度を変更し前記計測対象の高さ寸法を計測する制御部と、を備え、
前記計測対象は、電子部品であり、
前記制御部は、所定の傾斜角度の前記投影光によって前記
電子部品の電極の高さ寸法を計測し、前記
電極の高さ寸法が、
電極の最大高さ寸法を超えた場合には、前記撮像部の光軸に対する前記投影光の傾斜角度が大きくなるように変更して
前記電子部品の電極の高さ寸法を
高分解能で再計測する、計測装置。
【請求項2】
前記
電子部品を低分解能で計測する場合の前記投影光の傾斜角度は、高分解能で計測する場合の前記投影光の傾斜角度に比べて、小さい、請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記
電子部品の電極の高さ寸法の分解能および計測時間の優先度に基づいて前記投影光の傾斜角度を変更する請求項1又は請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記投影部は、前記撮像部の光軸に対して傾斜角度がそれぞれ異なる投影光を前記計測対象に投影する複数の光源部を有しており、
前記制御部は、前記
電子部品の状態に基づいて前記光源部を切り換えて前記投影光の傾斜角度を変更する請求項1又は請求項2に記載の計測装置。
【請求項5】
前記投影部は、前記投影光を出力する光源部と、前記光源部から出力される前記投影光の光路を前記計測対象に向けて変更する光学部材と、前記光学部材の配置を変更する駆動部とを有しており、
前記制御部は、前記駆動部を駆動させて前記光学部材の配置を変更することにより、前記撮像部の光軸に対する前記投影光の傾斜角度を変更する請求項1又は請求項2に記載の計測装置。
【請求項6】
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の計測装置と、
前記
電子部品を保持して基板に実装する部品実装装置と、を備えた表面実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、高さ計測装置および表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、計測対象の高さを計測する高さ計測装置として、特開2001-60800号公報が知られている。この高さ計測装置は、計測対象を撮像するCCDカメラと、CCDカメラの光軸に対して傾斜する線状のライン光を計測対象に投影する投光ユニットとを有している。計測装置は、計測対象に対してライン光の投光位置を相対的に移動させつつ、計測対象へ投影したライン光をCCDカメラによって撮像し、ライン光による光切断線から計測対象の高さデータを取得する、いわゆる光切断法によって計測を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の計測装置における光切断法では、CCDカメラなどの撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度が小さい場合と、撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度が大きい場合とでは、撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度が大きいほど撮像部における撮像範囲が広がることになる。
【0005】
したがって、撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度が大きい投光ユニットは、撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度が小さい投光ユニットに比べて、計測対象の高さ方向の分解能は向上するものの、撮像部における撮像データが増加することによってフレームレートが低下し、計測対象を撮像する撮像速度が低下してしまう。
【0006】
一方、撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度θ1が小さい投光ユニットは、撮像部の光軸に対するライン光の傾斜角度が大きい投光ユニットに比べて、撮像速度は速くなるものの、計測対象の高さ方向の分解能は低下してしまう。
【0007】
本明細書では、計測対象の状態に応じた高さ計測を行う技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書によって開示される技術は、光切断法に基づいて計測対象の高さ寸法を計測する計測装置であって、前記計測対象を撮像する撮像部と、前記計測対象を相対的に移動させながら前記撮像部の光軸に対して傾斜した線状の投影光を前記計測対象に投影する投影部と、前記計測対象の状態に基づいて前記投影光の傾斜角度を変更して前記計測対象の高さ寸法を計測する制御部と、を備えている構成とした。
【0009】
また、本明細書によって開示される技術は、表面実装機であって、前記計測装置と、前記計測対象を保持して基板に実装する部品実装装置と、を備えている。
本発明者は、撮像部の光軸に対する投影光の傾斜角度が小さいほど撮像の範囲が狭くなって計測時間が短縮し、撮像部の光軸に対する投影光の傾斜角度が大きいほど撮像の範囲が広くなって高さ方向の分解能を向上することに着目した。
【0010】
すなわち、このような構成の計測装置によると、計測対象の形状、計測対象と他の部材との距離、計測対象の計測高さなど計測対象の状態に基づいて投影光の傾斜角度を変更して大きくしたり、小さくしたりすることにより、計測対象の状態に応じた適切な傾斜角度の投影光によって高さ計測を行うことができる。
【0011】
本明細書によって開示される計測装置は、以下の構成としてもよい。
前記制御部は、前記計測対象の計測精度および計測時間の優先度に基づいて前記投影光の傾斜角度を変更する構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、計測対象を高精度に計測する必要がある場合には、投影光の傾斜角度を大きくして計測を行い、計測対象の計測時間を短縮する必要がある場合には、投影光の傾斜角度を小さくして計測を行って、計測対象の状態に適した高さ計測を行うことができる。
【0013】
前記投影部は、前記撮像部の光軸に対して傾斜角度がそれぞれ異なる投影光を前記計測対象に投影する複数の光源部を有しており、前記制御部は、前記計測対象の状態に基づいて前記光源部を切り換えて前記投影光の傾斜角度を変更する構成としてもよい。
【0014】
このような構成によると、計測対象の状態に応じて最適な角度の投影光を計測対象に投影する光源部を用いて計測対象を計測することができる。これにより、計測対象の状態に適した高さ計測を行うことができる。また、駆動機構を設けずに複数の光源部を設けるだけで投影光の傾斜角度を変更できるから、例えば、駆動機構を有する投影部に比べて、投影部の構成が複雑になることを抑制できると共に、投影部の製造コストの増加を抑制することができる。また、駆動機構を有する投影部に比べて、駆動機構ないことにより投影部の耐久性が向上し、投影部の長寿命化を図ることができる。
【0015】
前記投影部は、前記投影光を出力する光源部と、前記光源部から出力される前記投影光の光路を前記計測対象に向けて変更する光学部材と、前記光学部材の配置を変更する駆動部とを有しており、前記制御部は、前記駆動部を駆動させて前記光学部材の配置を変更することにより、前記撮像部の光軸に対する前記投影光の傾斜角度を変更する構成としてもよい。
【0016】
このような構成によると、計測対象の状態に応じて投影光の傾斜角度を細やかに調整して投影光の傾斜角度を任意の角度に変更することができる。これにより、計測対象の状態に応じた最適な傾斜角度の投影光によって計測対象を計測することができ、計測対象の状態に適した高さ計測を行うことができる。
【0017】
前記制御部は、所定の傾斜角度の前記投影光によって前記計測対象の高さ寸法を計測し、前記計測対象の高さ寸法が閾値を超えた場合には、前記撮像部の光軸に対する前記投影光の傾斜角度を大きくなるように変更して前記計測対象の高さ寸法を再計測する構成としてもよい。
【0018】
このような構成によると、例えば、計測対象の最大高さ寸法を閾値として設定し、計測した高さ寸法が閾値を超える場合には、計測エラーが生じているとして、投影光の傾斜角度を変更して計測対象を再計測する。つまり、本来なら良品である計測対象が不良品として過判定されてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書によって開示される技術によれば、計測対象の状態に応じた高さ計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】ヘッドユニットを含む表面実装機の上部の正面図
【
図6】電極に傾斜角度を変更した投影光を投影した状態を示す模式図
【
図7A】
図6の傾斜角度が小さい投影光に対応する撮像画像の模式図
【
図7B】
図6の傾斜角度が大きい投影光に対応する撮像画像の模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術における実施形態1について
図1から
図8を参照して説明する。
【0022】
本実施形態は、電子部品(「計測対象」の一例)Eをプリント基板PR上に実装する表面実装機10を例示している。表面実装機10は、
図1に示すように、平面視略矩形状の基台11と、基台11上にプリント基板PRを搬送する搬送コンベア12と、プリント基板PR上に電子部品Eを実装する部品実装装置13と、部品実装装置13に電子部品Eを供給する部品供給装置14と、電子部品Eを計測する部品計測部20と、を備えて構成されている。なお、以下の説明において、
図1におけるR方向を右方、L方向を左方、F方向を前方、B方向を後方とし、
図2におけるU方向を上方、D方向を下方として説明する。
【0023】
基台11は、
図1に示すように、搬送コンベア12、部品実装装置13、部品計測部20などが配置可能とされている。
【0024】
搬送コンベア12は、
図1に示すように、基台11の前後方向の略中央部に配されており、プリント基板PRを上流である右方から下流である左方に向かって搬送する。搬送コンベア12には、プリント基板PRが架設するようにセットされる。プリント基板PRは、搬送コンベア12によって上流(右方)から基台11の左右方向略中央部の部品実装位置に搬入され、電子部品Eが実装された後、下流(左方)に搬出される。
【0025】
部品供給装置14は、
図1に示すように、フィーダ型であって、搬送コンベア12の上下方向両側に左右方向に2つずつ、合計4箇所に配置されている。各部品供給装置14は、搬送コンベア12側の端部から電子部品Eを供給する。
【0026】
部品実装装置13は、
図1および
図2に示すように、基台11上に配置された複数のフレーム16に支持されたヘッドユニット17と、ヘッドユニット17を移動させる複数の駆動装置18とを備えて構成されている。
【0027】
複数の駆動装置18は、前後方向に延びるフレーム16や左右方向に延びるフレーム16などに取り付けられており、複数の駆動装置18が通電制御されることにより、ヘッドユニット17が基台11上を前後左右方向に移動するようになっている。
【0028】
ヘッドユニット17には、
図1および
図2に示すように、電子部品Eの保持および実装を行う実装ヘッド19が左右方向に複数並んで搭載されている。各実装ヘッド19は、部品供給装置14から供給される電子部品Eを吸着して保持し、プリント基板PR上に実装する。
【0029】
部品計測部20は、
図1に示すように、基台11の前後方向の両側にそれぞれ配置されている。それぞれの部品計測部20は、
図3に示すように、実装ヘッド19の先端に吸着保持された電子部品Eを撮像する部品認識カメラ(「撮像部」の一例)22と、電子部品Eに線状の光を投影する投影部30とを備えている。
【0030】
また、それぞれの部品計測部20は、後述する制御部110によって制御される。部品認識カメラ22は、実装ヘッド19に吸着保持されている電子部品Eを下方から撮像し、制御部110は、部品認識カメラ22が撮像して得た画像に基づいて、電子部品Eの形状、実装ヘッド19に対する電子部品Eの位置などを計測する。また、本実施形態では、制御部110は、電子部品Eに設けられた複数の電極E2の高さ寸法を計測し、複数の電極E2の高さ寸法に基づいて電子部品Eにおける電極E2の平坦度を計測する。部品計測部20と、制御部110とが計測装置に相当する。
なお、部品認識カメラ22に、電子部品Eに設けられた複数の電極E2の高さ寸法を計測する機能を持たせてもよい。
【0031】
部品認識カメラ22は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの複数の受光素子を有するカメラである。部品認識カメラ22は、撮像面を上に向けた姿勢で配されている。部品認識カメラ22の光軸A1は、
図3に示すように、部品認識カメラ22から電子部品Eに対して上下方向に延びる配置とされている。
【0032】
部品認識カメラ22は、
図3に示すように光軸A1に沿って予め定められた撮像領域Pを持っている。実装ヘッド19に吸着保持された電子部品Eが撮像領域Pに存在することにより、部品認識カメラ22によって電子部品Eが撮像される。
【0033】
投影部30は、
図3に示すように、部品認識カメラ22の光軸A1に対して傾斜した線状の投影光Lを撮像領域Pに投影する複数の光源部32を有している。本実施形態は、光源部32が撮像領域Pを基準に左右方向両側に1つずつ配置されている。
【0034】
光源部32の投影する投影光Lは、部品認識カメラ22の光軸A1に対して傾斜角度θが任意の角度に設定されるようになっており、好ましくは、傾斜角度θは30度から70度の範囲とされている。
【0035】
本実施形態の光源部32のうちの一方の光源部(
図3の図示左側の光源部32)32Lは、光軸A1に対する投影光Lの傾斜角度θ1が30度とされており、他方の光源部(
図3の図示右側の光源部32)32Rは、光軸A1に対する投影光Lの傾斜角度θ2が55度とされている。
【0036】
つまり、本実施形態では、撮像領域Pに電子部品Eが存在すると、それぞれの光源部32によって電子部品Eに投影光Lが投影され、電子部品Eに投影された投影光Lが部品認識カメラ22に入射するようになっている。
【0037】
次に、表面実装機10の電気的構成について、
図4を参照して説明する。
【0038】
表面実装機10は、制御部110によってその全体が制御統括されている。制御部110は、CPUなどによって構成される演算処理部111、記憶部112、駆動制御部113、計測処理部114、部品供給制御部115、外部入出力端末116などを有している。
【0039】
記憶部112は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などから構成される。記憶部112には、演算処理部111が実行する各種プログラムや各種データなどが記憶されている。具体的には、実装プログラムとしては、部品実装装置13、搬送コンベア12、部品供給装置14を制御して電子部品Eをプリント基板PRに配置する実装プログラムや、実装ヘッド19に吸着保持された電子部品Eにおける電極E2の平坦度を計測するコプラナリティ計測プログラムなどが記憶されている。また、各種データとして、部品種毎の投影光の角度(例えば計測に最適な角度)、各種電子部品における電極の最大高さ寸法などが記憶されている。
【0040】
駆動制御部113は、演算処理部111の指令により、搬送コンベア12や駆動装置18などを駆動させる。
計測処理部114は、演算処理部111の指令により、部品計測部20における光源部32によって投影光Lを照射し、部品認識カメラ22から出力された電気信号を変換することによって画像データを生成する。
【0041】
部品供給制御部115は、演算処理部111の指令により、部品供給装置14を制御する。
外部入出力端末116は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置と、ディスプレイなどの出力装置とを備えており、作業者は、例えば、作業を開始する時に、プリント基板PRの種類、電子部品の種類など各種情報の入力や各種設定を、外部入出力端末116を操作して実施することができる。
【0042】
演算処理部111は、記憶部112の各種制御プログラムを実行することによって表面実装機10の各部を制御する。演算処理部111は、例えば、記憶部112の実装プログラムに基づいて、駆動制御部113を介して搬送コンベア12および部品実装装置13を駆動させる。また、部品供給制御部115を介して部品供給装置14を制御する。これにより、プリント基板PRに電子部品Eを実装する。
【0043】
また、演算処理部111は、記憶部112に記憶されたコプラナリティ計測プログラムに従って、電子部品Eにおける複数の電極E2の下端の位置から構成される面のコプラナリティの判定を行う。
【0044】
コプラナリティの判定を行う電子部品Eは、例えば、DIP(Dual inline Package)のような、パッケージ部分の下面から多数の電極が下方に突出している電子部品、QFP(Quad Flat Package)のような、パッケージ部分から多数の電極がパッケージ部分の側方に延びた後下方に曲げられた電子部品、BGA(Ball Grid Allay)のような、パッケージ部分の底面から球状あるいは半球状の電極が下方に突出している電子部品などがある。
【0045】
本実施形態では、
図3に示すように、直方体の形状を有する部品本体E1と、部品本体E1の底面から半球状に下方に突出する複数の電極E2とを備える電子部品Eを例示している。
【0046】
コプラナリティの判定では、演算処理部111は、
図3に示すように、まず、駆動制御部113を介して電子部品Eを吸着保持した実装ヘッド19を撮像領域Pに移動させる。次に、
図5に示すように、計測処理部114を介して電子部品Eの電極E2に光源部32の投影光Lを投影し、電極E2に光切断線を形成する。
【0047】
ここで、電子部品Eが撮像領域P内に進入する前の状1態では、投影光Lは撮像領域Pに投影される。撮像領域Pに投影される投影光L1の位置は基準位置Sとされる。電子部品Eが撮像領域P内に進入すると、
図5に示すように、投影光L2が電子部品Eに投影され、電子部品Eの高さ寸法に応じて電子部品Eに投影される投影光L2が基準位置Sからhの距離だけずれて投影される。
【0048】
そこで、部品認識カメラ22によって電子部品Eに投影された投影光Lを撮像する。なお、
図5は、電極E2に対する投影状態を分かりやすくするために、電極E2の形状を直方体として示している。
そして、撮像データに基づいて、電子部品Eにおける電極E2の高さ寸法を計測し、コプラナリティ(平坦度)を判定する。
【0049】
コプラナリティの判定の結果、各電極E2の最下端の高さにばらつきがあると判定された電子部品Eは、電子部品Eをプリント基板PRに搭載したときに一部の電極E2がプリント基板PRに接触せず実装不良となるおそれがあるとして廃棄される。
【0050】
詳細には、制御部110における演算処理部111は、
図3に示すように、電子部品Eに光源部32の投影光Lを投影しながら電子部品Eを部品認識カメラ22に対してX軸方向に移動させ、電子部品Eを複数回連続的に撮像する光切断法によって各電極E2の最下端の高さ寸法を計測する。
【0051】
光切断法による電子部品Eにおける電極E2の高さ寸法の計測は、演算処理部111が、光源部32によって実装ヘッド19に吸着保持された電子部品Eの電極E2に線状の光を投影し、
図5に示すように、電極E2に光切断線を形成する。そして、演算処理部111は、電子部品Eを実装ヘッド19によってX方向に移動させ、電極E2に対して投影された投影光Lを部品認識カメラ22によって複数回連続的に撮像する。
【0052】
電子部品Eの撮像が完了したところで、演算処理部111は、それぞれの撮像画像における電子部品Eの断面形状をX方向に繋ぎ、電子部品Eの3次元データを作成する。
【0053】
以上のようにして電子部品Eの各電極E2の高さ寸法を計測し、各電極E2の最下端の高さ寸法に基づいてコプラナリティを判定する。
コプラナリティの判定では、例えば、電子部品の電極の構造が単純であったり、電子部品の電極の数が多かったりする場合など、電極の高さ方向の分解能を低くして計測精度よりも計測時間を短縮することを優先することが好ましい場合がある。
【0054】
一方、例えば、DIP電子部品やQFA電子部品などの電極のように電極の形状が複雑な場合には、電極の高さ方向の分解能を高くすることにより、計測時間よりも計測精度の優先度を高くして、良品を不良品と判定する過判定や不良品を良品と判定する見逃し判定が生じることを防ぐことが好ましい場合がある。
【0055】
そこで、本発明者は、光切断法において、
図6に示すように、部品認識カメラ22の光軸A1に対する光源部32の投影光L1の傾斜角度θ1が小さい場合には撮像範囲R1が狭くなり、投影光L2の傾斜角度θ2が大きい場合には撮像範囲R2が広くなることに着目した。
【0056】
また、本発明者は、
図6に示すように、部品認識カメラ22の光軸A1に対する投影光L1の傾斜角度θ1が小さい場合、部品認識カメラ22の光軸A1に対する投影光L2の傾斜角度θ2が大きい場合に比べて、
図7Aに示すように、電極E2の高さ方向の分解能は低下するものの、撮像範囲R1が小さくなることにより計測速度を短縮することができることに着目した。
【0057】
一方、
図6に示すように、部品認識カメラ22の光軸A1に対する投影光L2の傾斜角度θ2が大きい場合、部品認識カメラ22の光軸A1に対する投影光L1の傾斜角度θ1が小さい場合に比べて、計測速度は低下するものの、
図7Bに示すように、電極E2の高さ方向の分解能を向上させることができることに着目した。
そして、部品計測部20の投影部30における複数の光源部32を用いてコプラナリティの判定を行うという着想に至った。
【0058】
以下に、コプラナリティの判定を行う本実施形態の平坦度計測処理について、
図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0059】
平坦時計側処理では、まず、制御部110の演算処理部111が、いずれの光源部32によって電子部品Eの電極E2に投影光Lを投影するか選択する(S11)。
【0060】
具体的には、光源部32の選択は、例えば、外部入出力端末116から入力された部品種や計測時間などに基づいて実行される。
【0061】
演算処理部111は、入力された部品種に基づいて記憶部112の部品種毎の投影光Lの最適角度を参照し、光源部32を選択する。または、演算処理部111は、入力された計測時間に基づいて光源部32を選択する。
【0062】
ここで、光源部32の選択は、電極E2の計測時間を優先させる場合には、一方の光源部(
図3の図示左側の光源部32)32Lを選択し、電極E2の高さ方向の分解能を向上させる場合には、他方の光源部(
図3の図示右側の光源部32)32Rを選択を選択する。
【0063】
そして、選択された光源部32によって、
図3に示すように、計測対象の電極E2に対して線状の投影光Lを投影する(S12)。そして、光切断法によって計測対象である電極E2の3次元データを作成し、電子部品Eにおける電極E2の高さ寸法を計測する(S13)。
【0064】
ところで、電極E2の3次元データを作成し、各電極E2の高さ寸法を求める時に、電極E2の高さ寸法が、電極E2の最大高さ寸法よりも高く計測される場合がある。このような場合は、例えば、計測対象の電極E2以外からの光が部品認識カメラ22に入射することが原因の一つと考えられる。したがって、電極E2の高さ寸法が、電極E2の最大高さ寸法よりも高く計測された場合には、コプラナリティの判定において各電極E2の最下端の高さにばらつきがあると判定され、本来なら良品である電子部品Eが不良品として判定(過判定)されてしまうことが懸念される。
【0065】
そこで、本実施形態の平坦度計測処理では、演算処理部111は、まず、記憶部112に記憶されている各種部品における電極E2の最大高さ寸法を閾値として設定する(S14)。
【0066】
そして、演算処理部111は、S13における電極E2の高さ寸法の計測において、計測された電極E2の高さ寸法が、閾値を超える場合には、部品認識カメラ22の光軸A1に対する光源部32の投影光Lの傾斜角度θが大きい光源部32を用いて電極E2の高さ寸法を再計測する。
【0067】
詳細には、S13における電極E2の高さ寸法の計測において、計測された電極E2の高さ寸法が、閾値を超えているか判定する(S15)。
計測された電極E2の高さ寸法が、閾値を超えていない場合(S15:YES)には、過判定がないものとして、次の電極E2の高さ寸法を計測する。
【0068】
計測された電極E2の高さ寸法が、閾値を超えている場合(S15:NO)には、演算処理部111は、先に選択された光源部32よりも、部品認識カメラ22の光軸A1に対する光源部32の投影光Lの傾斜角度θが大きい光源部32が存在するか確認する(S16)。
【0069】
先に選択された光源部32よりも、投影光Lの傾斜角度θが大きい光源部32が存在しない場合(S16:NO)、電極E2の高さ寸法の再計測ができないとして外部入出力端末116に計測エラーであることを表示する(S17)。
【0070】
先に選択された光源部32よりも、投影光Lの傾斜角度θが大きい光源部32が存在する場合(S16:YES)、投影光Lの傾斜角度θが大きい光源部32に光源部32を変更し(S18)、電極E2の高さ寸法の再計測を行う(S12,S13)。
【0071】
このようにして、電子部品Eにおける各電極E2の高さ寸法を計測し(S19)、電子部品Eにおけるコプラナリティを判定する(S18)。
【0072】
つまり、本実施形態によると、外部入出力端末116から入力された電子部品Eの部品種や電子部品Eの計測時間を基準に、電子部品Eの計測精度および計測時間の優先度を決定する。そして、この優先度に基づいて光源部32を選択して投影光Lの傾斜角度θを最適な角度に変更することにより、3次元データを作成する。
【0073】
これにより、電子部品Eの状態に応じた適切な傾斜角度θの投影光Lによって高さ計測を行うことができ、電子部品Eの状態に応じた電子部品Eのコプラナリティの判定を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態によると、計測された電極E2の高さ寸法が、電極E2の最大高さ寸法(閾値)を超える場合には、電極E2への投影光Lの傾斜角度θを変更して電極E2を再計測する。つまり、投影光Lの傾斜角度θを変更して電極E2を再計測することにより、本来なら良品である電子部品Eが不良品として過判定されてしまうことを抑制することができる。
【0075】
以上のように、本実施形態の表面実装機は、光切断法に基づいて電子部品Eの電極E2(計測対象)の高さ寸法を計測する部品計測部(計測装置)20であって、電子部品Eの電極E2を撮像する部品認識カメラ(撮像部)22と、電極E2を相対的に移動させながら部品認識カメラ22の光軸A1に対して傾斜した線状の投影光Lを電極E2に投影する投影部30と、電極E2の状態に基づいて投影光Lの傾斜角度θを変更して電極E2の高さ寸法を計測する制御部110と、を備えている。
【0076】
したがって、本実施形態によると、電子部品Eの電極E2の形状、電子部品Eにおける電極E2間の距離、電極E2の計測高さなど計測対象の種類毎の状態に基づいて投影光Lの傾斜角度θを変更することができる。つまり、投影光Lの傾斜角度θを大きくしたり、小さくしたりして、電極E2の状態に応じた適切な傾斜角度θの投影光Lによって高さ計測を行うことができる。
【0077】
また、本実施形態によると、制御部110の演算処理部111は、電極E2の計測精度および計測時間の優先度に基づいて投影光Lの傾斜角度θを変更する。
【0078】
すなわち、電子部品Eの電極E2を高精度に計測する必要がある場合には、投影光Lの傾斜角度θを大きくして計測を行い、電極E2の計測時間を短縮する必要がある場合には、投影光Lの傾斜角度θを小さくして計測を行うことにより、電極E2の状態に適した高さ計測を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の投影部30は、部品認識カメラ22の光軸A1に対して傾斜角度θがそれぞれ異なる投影光Lを電極E2に投影する複数の光源部32を有している。そして、演算処理部111は、電極E2の状態に基づいて光源部32を切り換えて投影光Lの傾斜角度θを変更する。したがって、本実施形態によると、電極E2に対して最適な傾斜角度θの投影光Lによって電極E2を計測することができる。これにより、電極E2の状態に適した高さ計測を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態によると、光源部32を複数設けるだけで、部品認識カメラ22の光軸A1に対して傾斜角度θが異なる投影光Lを電極E2に対して設定できる。つまり、例えば、駆動部などによって光源部の投影光の傾斜角度を変更する場合に比べて、投影部30の構成を簡素化すると共に、投影部30の製造コストを削減することができる。また、投影部30において駆動する部分を削減することができるから、投影部30の耐久性を向上させることができる。これにより、投影部30の長寿命化を図ることができる。
【0081】
さらに、本実施形態の制御部110は、一方の光源部32における投影光L(所定の傾斜角度の投影光)によって電極E2の高さ寸法を計測し、電極E2の高さ寸法が閾値を超えた場合には、部品認識カメラ22の光軸A1に対する投影光Lの傾斜角度θが大きくなるように変更して電極E2の高さ寸法を再計測する。
【0082】
つまり、電極E2に対する投影光Lの傾斜角度θを変更して電極E2を再計測することにより、本来なら良品である電子部品Eが不良品として過判定されてしまうことを抑制することができる。
【0083】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図9を参照して説明する。
実施形態2における部品計測部120の投影部130は、実施形態1における光源部32の数を変更すると共に、投影光Lの傾斜角度θを変更する反射体(「光学部材」の一例)133を設けたものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0084】
実施形態2の投影部130は、線状の投影光Lを出力する光源部132と、光源部132から出力される投影光Lの光路Cを電子部品Eの電極E2に向けて反射する反射体(「光学部材」の一例)133と、反射体133の配置を変更する駆動部134とを備えている。
【0085】
光源部132は、
図9に示すように、部品認識カメラ22の側方(図示左側)に配置されている。光源部132は、部品認識カメラ22の光軸A1に対して直交する方向に投影光Lを出力可能に配置されている。
【0086】
反射体133は、ミラーであって、反射体133は、光源部132から出力される投影光Lを撮像領域Pに存在する電子部品Eの電極E2に向けて反射する。
駆動部134は、反射体133に固定された回転式のサーボモータであって、駆動部134は通電制御されることにより、反射体133を回転させる。
【0087】
つまり、本実施形態は、駆動部134によって反射体133を回転させて反射体133の配置を変更することにより、
図9に示すように、光源部132から撮像領域Pへ反射させる角度を変更する。これにより、部品認識カメラ22の光軸A1に対する投影光Lの傾斜角度θを任意の角度に変更することができるようになっている。
【0088】
すなわち、本実施形態によると、計測精度および計測時間の優先度に基づいて投影光Lの傾斜角度θを微調整することができる。これにより、電子部品Eの部品種に応じて、計測精度と計測時間とが最適となる投影光Lの傾斜角度θを決定し、電極E2を計測することができる。
【0089】
<実施形態3>
次に、実施形態3について
図10を参照して説明する。
実施形態3における部品計測部120の投影部230は、実施形態1の投影部30と実施形態2の投影部130を組み合わせた構成とされており、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0090】
実施形態3の投影部230は、線状の投影光Lを出力する複数の光源部132と、光源部132から出力される投影光Lの光路Cを電子部品Eの電極E2に向けて反射する複数の反射体(「光学部材」の一例)133と、それぞれの反射体133の配置を変更する複数の駆動部134とを備えている。
【0091】
光源部132と反射体133と駆動部134とは、3つで1セットの投影ユニット140とされている。本実施形態は、投影ユニット140が、部品認識カメラ22の光軸A1を基準にX方向の両側に1つずつ配置されている。2つの投影ユニット140は、反射体133のX方向における距離が異なった配置とされている。2つの投影ユニット140のうち、
図10に示すように、図示左側の第1投影ユニット140Aの反射体133は、図示右側の第2投影ユニット140Bの反射体133よりも光軸A1から離れた配置となっている。
【0092】
つまり、光軸A1に対する第1投影ユニット140Aの投影光Lの傾斜角度は、光軸A1に対する第2投影ユニット140Bの投影光Lの傾斜角度よりも小さくなっている。
したがって、本実施形態では、投影光Lの傾斜角度θを小さくして計測時間を短縮する場合は、第1投影ユニット140Aを使用し、投影光Lの傾斜角度θを大きくして計測の際の高さ方向の分解能を高くする場合には、第2投影ユニット140Bを使用する。
【0093】
また、各投影ユニット140は、それぞれが駆動部134によって反射体133を回転させ、光軸A1に対する投影光Lの傾斜角度θを任意の角度に変更することにより、投影光Lの傾斜角度θを微調整することができるようになっている。
【0094】
すなわち、本実施形態によると、計測精度および計測時間の優先度に基づいて、投影光Lの傾斜角度θを微調整することにより最適な傾斜角度θの投影光Lによって電極E2を計測できる。また、各投影ユニット140の負荷を分散して各投影ユニット140の長寿命化を図ることができる。
【0095】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0096】
(1)上記実施形態では、部品計測部20を備えた表面実装機10を一例として示した。しかしながら、これに限らず、検査装置などに本明細書で開示した部品計測部を適用してもよい。
【0097】
(2)上記実施形態2および実施形態3では、投影光Lを反射体133によって反射して光源部132の光路Cを変更する構成にした。しかしながら、これに限らず、投影光をプリズムによって変更する構成にしてもよい。
【0098】
(3)上記実施形態では、部品認識カメラ22や光源部32,132に対して電子部品Eを移動させる構成にした。しかしながら、これに限らず、実施形態1のような構成では、電子部品Eに対して光源部を移動させる構成にしてもよい。また、実施形態2および実施形態3のような構成にでは、電子部品に対して反射体および駆動部を移動させる構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10:表面実装機
13:部品実装装置
20:部品計測部(「計測装置」の一例)
22:部品認識カメラ(「撮像部」の一例)
30:投影部
32,132:光源部
110:制御部
111:演算処理部(「制御部」の一例)
133:反射体(「光学部材」の一例)
134:駆動部
A1:光軸
C:光路
E:電子部品(「計測対象」の一例)
E2:電極(「計測対象」の一例)
L:投影光
θ:傾斜角度