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特許7271279シート折り処理装置及びこれを備える画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】シート折り処理装置及びこれを備える画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/20 20060101AFI20230501BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20230501BHJP
   B65H 45/30 20060101ALI20230501BHJP
   B65H 45/16 20060101ALI20230501BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B65H45/20
B65H37/06
B65H45/30
B65H45/16
G03G15/00 460
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019075417
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020172371
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】渥美 慶一
(72)【発明者】
【氏名】坂野 昭仁
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-068583(JP,A)
【文献】特開2005-067741(JP,A)
【文献】特開2017-100883(JP,A)
【文献】特開2010-095325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/20
B65H 37/06
B65H 45/30
B65H 45/16
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側に設けられる装置から受け取ったシートに対して折り処理を施すシート折り処理装置であって、
シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラ対によって搬送されるシートの搬送方向において前記搬送ローラ対よりも下流側に設けられ、所定方向へ回転することでシートを搬送し、シートをニップすることでシート対して折り目を形成する折りローラ対と、
前記搬送ローラ対によって搬送されるシートを前記折りローラ対へ向けてガイドする第1位置と、前記第1位置よりも前記搬送方向上流側の位置であって前記折りローラ対がシートをニップして前記所定方向への回転を停止した状態で前記搬送ローラ対が搬送を継続することによってシートに垂れさがるループが形成されることを許容する第2位置と、前記第1位置よりも前記搬送方向下流側の位置である第3位置とに移動可能であって、前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向に移動することでシートの一部を前記折りローラ対へ向けて突き出す突き部材と、
前記搬送方向において前記折りローラ対よりも下流側に設けられ、前記搬送方向に沿って延びる回転軸線を中心に回転して前記折りローラ対によって搬送されたシートを押圧する押圧部材と、
前記押圧部材に対向するように設けられた対向部材と、
前記押圧部材と前記対向部材との間で前記シートを押圧する押圧位置と、前記押圧位置に対して前記押圧部材を前記対向部材から離れた方向に移動させた退避位置とに前記押圧部材を移動可能であって、前記押圧位置に位置した状態の前記押圧部材を前記搬送方向と交差するシートの幅方向に沿って移動させる移動機構と、を備え、
前記突き部材による前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向への移動及び前記折りローラ対による前記所定方向への回転によって折り目形成され状態のシートであって前記折りローラ対の前記所定方向への回転且つ前記搬送ローラ対の前記折りローラ対と同じ方向への回転によって前記搬送方向へ搬送された後に前記折りローラ対が前記所定方向と逆方向に回転することによって前記折りローラ対と前記搬送ローラ対との間にループが形成された状態且つ前記搬送方向におけるシートの上流端部が前記シート折り処理装置内に位置する状態のシートに対して、前記移動機構は前記押圧位置に位置した状態の前記押圧部材を前記幅方向に移動させることで該シートに形成された折り目を押圧する、
ことを特徴とするシート折り処理装置。
【請求項2】
前記搬送ローラ対は、前記移動機構によって前記押圧部材が前記幅方向に沿って移動される場合に、前記折りローラ対と同じ方向への回転を停止している、ことを特徴とする請求項1に記載のシート折り処理装置。
【請求項3】
前記搬送ローラ対は、前記折りローラ対が前記逆方向へ回転して停止した状態において前記折りローラ対の前記所定方向と同じ方向へ回転することで、前記折りローラ対と前記搬送ローラ対との間にループを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のシート折り処理装置。
【請求項4】
前記折りローラ対は、前記搬送方向においてシートに形成された折り目が前記押圧部材よりも下流側に位置するようにシートを搬送した後に前記逆方向への回転をする、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート折り処理装置。
【請求項5】
前記折りローラ対は、前記突き部材が前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向に移動した後に前記所定方向へ回転してシートを搬送することで、該シートに対して第1の折り目および該第1の折り目よりも前記搬送方向上流側に位置するように第2の折り目を形成し、
前記折りローラ対は、前記第1の折り目を形成したシートに対して前記第2の折り目を形成する前に前記逆方向へ回転し、
前記移動機構は、シートに形成された前記第1の折り目を押圧するように前記押圧部材を前記幅方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート折り処理装置。
【請求項6】
上流側に設けられる装置から受け取ったシートに対して折り処理を施すシート折り処理装置であって、
シートを搬送する搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対によって搬送されるシートの搬送方向において前記搬送ローラ対よりも下流側に設けられ、所定方向へ回転することでシートを搬送し、シートをニップすることでシートに対して折り目を形成する折りローラ対と、
前記搬送ローラ対によって搬送されるシートを前記折りローラ対へ向けてガイドする第1位置と、前記第1位置よりも前記搬送方向上流側の位置あって前記折りローラ対がシートをニップして前記所定方向への回転を停止した状態で前記搬送ローラ対が搬送を継続することによってシート垂れさがるループが形成されることを許容する第2位置と、前記第1位置よりも前記搬送方向下流側の位置である第3位置とに移動可能であって、前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向に移動することでシートの一部を前記折りローラ対へ向けて突き出す突き部材と、
前記搬送方向において前記折りローラ対よりも下流側に設けられ、前記搬送方向に沿って延びる回転軸線を中心に回転して前記折りローラ対によって搬送されたシートを押圧する押圧部材と、
前記押圧部材に対向するように設けられた対向部材と、
前記押圧部材と前記対向部材との間で前記シートを押圧する押圧位置と、前記押圧位置に対して前記押圧部材を前記対向部材から離れた方向に移動させた退避位置とに前記押圧部材を移動可能であって、前記押圧位置に位置した状態の前記押圧部材を前記搬送方向と交差するシートの幅方向に沿って移動させる移動機構と、を備え、
前記突き部材による前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向への移動及び前記折りローラ対の前記所定方向への回転によって折り目が形成された状態のシートであって、前記搬送ローラ対が前記所定方向と同じ方向へ回転することによって該シートの搬送方向における上流端部が前記シート折り処理装置内に位置し且つ前記折りローラ対と前記搬送ローラ対との間にループが形成された状態のシートに対して、前記移動機構は前記押圧位置に位置した状態の前記押圧部材を前記幅方向に移動させることで該シートに形成された折り目を押圧する、
ことを特徴とするシート折り処理装置。
【請求項7】
シートに対して折り処理を施す請求項1から請求項6の何れか1項に記載のシート折り処理装置と、
前記シート折り処理装置の上流側に設けられ、前記シート折り処理装置に搬送するシートに対して画像を形成する画像形成装置と、
備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに対して折り処理を行うシート折り処理装置、及びこれを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成システムに設置され、画像形成されたシートに折り処理を行うシート折り処理装置(後処理装置)が広く知られている。折り処理には、シートの中央位置での二つ折り、シートを2カ所で内折りする三つ折り、シートを交互に内折り外折りして三つ折りする所謂Z折り等がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、水平な上ガイド板の上流側に送りローラ対を、下流側に紙折りローラ対を備え、紙折りローラ対の上流側に紙片案内偏向部材(即ち、突き部材)を配設した紙片折り畳み装置が開示されている。この装置は、紙片案内偏向部材が、紙折りローラ対の上流側斜め下方に退避した第2の位置から、先端を紙折りローラ対の紙片引込み口に近接させる第1の位置に移動し、紙折りローラ対手前の空間部に垂れ下がった紙片の所定位置を紙片引込み口に引き込ませて、該紙片を二つ折り又はZ折りに折り畳む。
【0004】
特許文献1の紙片折り畳み装置では、シートの折り処理が一対の折りローラのみで施されるため、その折り効果が小さいと、シートに形成される折り目部の厚さ(折り高さ)が厚くなる虞がある。そこで、このような問題を防止することを目的として、シートに対して折り処理部で折り処理を一度行って折り目を形成した後に、その折り目を別の押圧部材によってさらに押圧(増し折り処理)するものが知られている。
【0005】
例えば、特許文献2には、連続的に搬送されるシート(用紙)に対してそれぞれ折り処理を行うときに、折り処理が行われた先行のシートを別の搬送経路に一時的にスタックさせて、後続のシートの折り処理が終了した後に、スタックされた先行のシートと後続のシートとを用紙増し折り部に搬送して、先行のシートと後続のシートとを重ねた状態でシートの折り目上でシートの搬送方向と交差する方向に再加圧ローラを折り目に沿って移動させ、双方の折り部(折り目)を再加圧するシート折り装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-68583号公報
【文献】特開2012-171727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献2に開示されるシート折り装置では、増し折り処理の際に再加圧ローラをシートの折り目に沿ってシートの端から端まで移動させるので、増し折り処理の時間が長くなるという問題がある。更に、先行するシートをスタックするための搬送経路やスペースを設ける必要があるため、装置が大型化すると共にコストが増加するという問題が発生する。
【0008】
よって、本発明は、上述した従来技術に存する課題を解決するためになされたものであり、その目的は、装置の大型化・高コスト化を抑えつつ、連続的に搬送されるシートに対して、生産性を低下させることなく折り処理を行うことを可能にするシート折り処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に鑑み、本発明は、上流側に設けられる装置から受け取ったシートに対して折り処理を施すシート折り処理装置であって、シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラ対によって搬送されるシートの搬送方向において前記搬送ローラ対よりも下流側に設けられ、所定方向へ回転することでシートを搬送し、シートをニップすることでシート対して折り目を形成する折りローラ対と、前記搬送ローラ対によって搬送されるシートを前記折りローラ対へ向けてガイドする第1位置と、前記第1位置よりも前記搬送方向上流側の位置であって前記折りローラ対がシートをニップして前記所定方向への回転を停止した状態で前記搬送ローラ対が搬送を継続することによってシートに垂れさがるループが形成されることを許容する第2位置と、前記第1位置よりも前記搬送方向下流側の位置である第3位置とに移動可能であって、前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向に移動することでシートの一部を前記折りローラ対へ向けて突き出す突き部材と、前記搬送方向において前記折りローラ対よりも下流側に設けられ、前記搬送方向に沿って延びる回転軸線を中心に回転して前記折りローラ対によって搬送されたシートを押圧する押圧部材と、前記押圧部材に対向するように設けられた対向部材と、前記押圧部材と前記対向部材との間で前記シートを押圧する押圧位置と、前記押圧位置に対して前記押圧部材を前記対向部材から離れた方向に移動させた退避位置とに前記押圧部材を移動可能であって、前記押圧位置に位置した状態の前記押圧部材を前記搬送方向と交差するシートの幅方向に沿って移動させる移動機構と、を備え、前記突き部材による前記第2位置から前記第3位置へ向かう方向への移動及び前記折りローラ対による前記所定方向への回転によって折り目形成され状態のシートであって前記折りローラ対の前記所定方向への回転且つ前記搬送ローラ対の前記折りローラ対と同じ方向への回転によって前記搬送方向へ搬送された後に前記折りローラ対が前記所定方向と逆方向に回転することによって前記折りローラ対と前記搬送ローラ対との間にループが形成された状態且つ前記搬送方向におけるシートの上流端部が前記シート折り処理装置内に位置する状態のシートに対して、前記移動機構は前記押圧位置に位置した状態の前記押圧部材を前記幅方向に移動させることで該シートに形成された折り目を押圧するシート折り処理装置を提供する。
【0010】
更に本発明は、シート上に画像を形成し、画像形成されたシートを搬出する画像形成装置と、前記画像形成装置から搬出されるシートに折り処理を施す上記シート折り処理装置とを備える画像形成システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シートに形成された折り目を増し折りする際のシートの後端即ち搬送方向上流端をシート折り処理装置内に位置させることができる。これにより、本発明は、例えばシート折り処理装置にシートを供給する上流側の装置において、不必要に処理を遅らせる虞が解消され、シート折り処理装置を含むシステム全体として、シート折り処理の生産性の低下を抑制することを可能にした
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の折り処理装置を備えた画像形成システムの全体構成図である。
図2図1に示す折り処理装置の折り処理機構及び増し折りユニットの主要部を示す説明図である。
図3図1に示す折り処理装置の増し折りユニットを排出口側から見た図である。
図4】(a)、(b)は図3の増し折りユニットの動作を示す説明図である。
図5】折り処理装置の制御構成を示すブロック図である。
図6】(a)~(c)は折り処理装置による第1の実施形態の折り処理を工程順に示す説明図である。
図7】(d)~(f)は図6に続く折り処理を工程順に示す説明図である。
図8】(g)~(i)は図7に続く増し折り処理を工程順に示す説明図である。
図9図6図8の動作を説明するフローチャートである。
図10】(a)~(c)は折り処理装置による第2の実施形態の折り処理を工程順に示す説明図である。
図11】(d)~(f)は図10に続く折り処理を工程順に示す説明図である。
図12】(g)~(i)は図11に続く増し折り処理を工程順に示す説明図である。
図13図10図12の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0014】
最初に、図1を参照して、本発明によるシート折り処理装置を備える画像形成システムの全体構成を説明する。画像形成システムは、画像形成装置Aと、シート折り処理装置Bと、後処理装置Cとを含んで構成され、画像形成装置Aによって画像形成されたシートSにシート折り処理装置Bによって折り処理を施した後、さらに下流側の後処理装置Cで、必要に応じて、ステープル処理や整合処理などを施し、下流側の収納トレイ27に排出する。画像形成システムには、例えば、複写機、プリンタ、印刷機など種々の構造のものが含まれる。以下、画像形成装置A、シート折り処理装置B及び後処理装置Cについて詳細に説明する。
【0015】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、図1に示されているように、画像形成ユニットA1と、画像読取ユニットA2と、原稿給送ユニットA3とを含んでいる。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1内に、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5とを備えている。
【0016】
給紙部2は、複数のカセット2a,2b,2c、2dを含んでおり、各カセット2a,2b,2c、2dには、予め選定された異なる規格サイズのシートSを収納可能になっている。各カセット2a,2b,2c、2dには、内部のシートSを一枚ずつ分離する分離機構と、シートSを繰り出す給紙機構が内蔵されている。このような構成の給紙部2に収納されたシートSは、画像形成装置Aの本体制御部(図示せず)から指定されたサイズのシートSを給紙経路6に繰り出す。給紙経路6には、中間部に配置され複数のカセット2a,2b,2c,2dから供給されるシートSを下流側に搬送する搬送ローラ7と、経路端部に配置され各シートSを先端揃えするレジストローラ8とが設けられており、レジストローラ8によって先端揃えされたシートSが所定のタイミングで下流側の画像形成部3に給送される。
【0017】
画像形成部3は、給紙部2から送られたシートSに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。図示されている実施形態では、画像形成部3として、静電式画像形成機構が示されている。しかしながら、画像形成部3は、図示されている静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
【0018】
図1に示されている画像形成部3では、感光体9(ドラム、ベルト)と、感光体9に光学ビームを発光する発光器10とが設けられており、現像器11(ディベロッパー)とクリーナ(図示せず)とが回転する感光体9の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、感光体9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。感光体9に付着されたインク画像(インクトナー)は、給紙部2から送られたシートSに転写チャージャ12で画像転写され、画像転写されたシートSが定着ローラ13で定着された後に、排紙経路14へ送られる。また、画像形成部3には、循環経路17が設けられており、排紙経路14からのシートSをスイッチバック経路で裏表反転した後に、再びレジストローラ8に送り、シートSの裏面に画像形成がされ、排紙経路14へ送られる。排紙経路14には、排紙ローラ15が配置されていると共に、その末端に排紙口16が形成されており、排紙ローラ15によって排紙口16からシート折り処理装置BへシートSを搬送する。
【0019】
このように構成された画像形成ユニットA1の上部には、画像形成部3で画像形成する原稿画像を光学的に読み取る原稿読取ユニットA2が設けられており、原稿読取ユニットA2のさらに上部に、原稿給送ユニットA3が搭載されている。
【0020】
画像読取ユニットA2は、透明ガラスで形成された第1のプラテン18及び第2のプラテン19と、読取キャリッジ20と、読取キャリッジ20に搭載された光源と、光電変換素子21と、ミラーやレンズを組み合わせて構成された縮小光学系22とを備え、第1のプラテン18に沿って読取キャリッジ20を走査して第1のプラテン18上に載置された原稿シートSの画像に光源からの光を照射し、原稿シートSの画像からの反射光を縮小光学系22で光電変換素子21に案内して、画像の読み取りを行う。光電変換素子21は画像データを電気信号に変換して画像形成部3に転送する。
【0021】
原稿給送ユニットA3は、給紙トレイ23と、給紙経路24と、排紙トレイ25とを備え、給紙トレイ23上に載置された原稿を給紙経路24に沿って一枚ずつ搬送して、第2のプラテン19上を通過させ、排紙トレイ25に排出する。なお、原稿給送ユニットA3から給送されて第2のプラテン19上を通過する原稿を読み取るときには、読取キャリッジ20を第2のプラテン19の下方で予め停止させておき、第2のプラテン19上を通過する画像から画像データを生成させる。
【0022】
[後処理装置]
後処理装置Cは、画像形成装置Aに連結されたシート折り処理装置Bのさらに下流側に連結されており、シート折り処理装置Bによって折り処理を施されて又は折り処理を施されずに排出されたシートSを受け取って、必要に応じて、ステープル処理や整合処理などを施す。
【0023】
後処理装置Cの内部には、後処理経路26が設けられており、後処理経路26に沿ってステープルユニットや整合ユニットなどの後処理機器(図示せず)が配置されている。後処理装置Cは、画像形成装置Aから排出されたシートSをシート折り処理装置Bを介して受け取り、必要に応じて、ステープルユニットや整合ユニットなどの後処理装置によって、受け取ったシートSにステープル処理や整合処理などを施した後に、シートSを収納トレイ27に排出して収納する。
【0024】
[シート折り処理装置]
画像形成装置Aに連結されたシート折り処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16から排出された画像形成済みのシートSを受け取り、折り処理を施す装置である。
【0025】
図2にシート折り処理装置Bの内部構成が示されている。シート折り処理装置Bの内部には、略水平方向に延びる搬送経路101が設けられている。搬送経路101上には、一つ又は複数の搬送ローラ対102と、搬送ローラ対102の下流側に配置される折り処理機構103すなわち折り処理部とが設けられていると共に、折り処理機構103の下流側の搬送経路101の末端部には、さらに、増し折りユニット104が設けられている。シート折り処理装置Bは、搬送経路101に沿って搬送されるシートSに折り処理機構103によって折り処理を施した後に、増し折りユニット104によって増し折り処理を施し、折り処理及び増し折り処理を施したシートSを後処理装置Cに引き渡すことができるようになっている。以下の説明において、搬送経路101を搬送ローラ対102から折り処理機構103に向けてシートSが搬送される方向をシート搬送方向とする。
【0026】
なお、搬送経路101は、図1に示されているように、画像形成装置Aの排紙口16に連なるように配置され、排紙口16から排出されたシートSを搬送経路101を介してシート折り処理装置B内に搬入できるようになっている。また、増し折りユニット104の排出口も後処理装置Cの後処理経路26と連なるように配置され、増し折りユニット104から排出されるシートSが後処理経路26を介して後処理装置C内に搬入できるようになっている。
【0027】
搬送ローラ対102は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側搬送ローラ102aと、上側搬送ローラ102aと対向して下側に配置される下側搬送ローラ102bとを含んでいる。本実施形態では、上側搬送ローラ102aは、図示されていない搬送ローラ駆動モータに連結されており、搬送ローラ駆動モータの回転に伴って回転するようになっている一方、下側ローラ102bは、図示されていないバネの付勢力によって上側搬送ローラ102aに圧接されており、従動的に回転するようになっている。しかしながら、搬送ローラ対102は、シートSを搬送することができれば、上述の構成に限定されるものではなく、適宜の構成を採用することが可能である。
【0028】
折り処理機構103は、折りローラ対105と、突き板107とによって構成されている。折りローラ対105は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側折りローラ105aと、上側折りローラ105aと対向して下側に配置される下側折りローラ105bとを含んでいる。下側折りローラ105bは、図示されていないバネの付勢力によって上側折りローラ105aに圧接されており、上側折りローラ105aと下側折りローラ105bとは、図示されていない共通の折りローラ駆動モータに連結されており、折りローラ駆動モータの回転に伴って互いと逆向きに回転するようになっている。突き板107は、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間に配置され、図示されていない突き板駆動モータに連結されており、該突き板駆動モータの駆動に伴って折りローラ対105の上流側で搬送経路101と平行にシート搬送方向に直線状に移動するようになっている。
【0029】
搬送ローラ対102と折りローラ対105との間の搬送経路101には、上側搬送ガイド108と、下側搬送ガイド109と、上側折りガイド110と、下側折りガイド111とが設けられている。
【0030】
上側搬送ガイド108は、シートSの先端を搬送ローラ対102から突き板107まで導くように搬送ローラ対102の直後から突き板107の上方まで形成されている。上側搬送ガイド108は、搬送経路101を搬送されるシートSの流れを規制するためのもので、搬送経路101の上側に配置されており、下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。また、上側折りガイド110は、上側搬送ガイド108と折りローラ対105との間に配置され、折りローラ対105にシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を導くように折りローラ対105の直前まで延びている。上側折りガイド110は、折り処理機構103におけるシートSの流れを規制するためのものであり、上側搬送ガイド108の下流側で搬送経路101の上側に設けられている。
【0031】
下側搬送ガイド109は、搬送経路101を搬送されるシートSの流れを規制するためのもので、搬送経路101の下側に配置されており、上側搬送ガイド108と同様に下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。下側搬送ガイド109は、突き板107の手前で途切れており、下側搬送ガイド109の下流側には、開いたループ形成空間50が形成されている。下側折りガイド111は、突き板107の下流側に配置され、折りローラ対105の上流側と下流側とにまたがって延びており、下側折りガイド111における折りローラ対105よりも上流側の部分は、搬送されるシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を折りローラ対105のニップ部へ導くための水平面と水平面へ導きやすくするための傾斜面とを有している。
【0032】
突き板107は、前記突き板駆動モータからなる図示されていない突き板駆動装置と制御部とによってシート搬送方向に水平移動されるようになっている。前記突き板駆動モータ及び前記制御部については、シート折り処理装置Bの制御構成に関連して詳細に後述する。また、突き板107は、搬送経路101に沿ってシートSを搬送ローラ対102によって折りローラ対105まで搬送するとき、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間のループ形成空間50を埋めるように配置されており、搬送されるシートSの先端を下側折りガイド111まで導くようになっている。
【0033】
前記制御部は、搬送されているシートSの先端が折りローラ対105にニップされたことを認識すると、該シートSに折り曲げ部を形成するために、突き板107を水平方向に下側搬送ガイド109の下方の退避位置へ移動させて、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間にループ形成空間50を開放させる。その後、シートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態で、搬送ローラ対102によりシートSを所定量だけ搬送すると、シートSの中間部がループ形成空間50で搬送経路101から下方に撓んでループ部を作成する。この状態で、突き板107を退避位置から折りローラ対105へ向かって水平方向に移動させて折り曲げ部を形成し、突き板107が折りローラ対105の手前まで到達した後に、折りローラ対105を駆動させてシートSを搬送させることによって、第1の折り目132が形成され、さらに、突き板107を退避位置へ移動させた後に折りローラ対105によってシートSを搬送させてループ部をニップすることによって第2の折り目133が形成されて、Z折りが施されたシートSが下流側に搬送される。
【0034】
次に、図3を参照して増し折りユニット104の構成を説明する。増し折りユニット104は、折りローラ対105のシート搬送方向下流側において下側折りガイド111の上方に配置されている。増し折りユニット104は、移動可能な支持部材112と、支持部材112に支持されている複数の増し折りコロ114と、支持部材112に取り付けられた規制部材115と、支持部材112を下側折りガイド111に対して接近離反する方向に移動させる第1の移動機構116と、支持部材112を水平方向にシートSの折り目に沿って移動させる第2の移動機構117とを備える。上下に対向して配置される上側折りガイド110と下側折りガイド111における折りローラ対105よりも下流側の部分は、シートSを増し折りユニット104内に案内する一対の搬入ガイド118として機能し、一対の搬入ガイド118の上流側端部が増し折りユニット104の搬入口119をなしている。また、上述のような支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって増し折り部が構成される。
【0035】
複数の増し折りコロ114は、各々がシート搬送方向(下側折りガイド111の上面と平行で且つシートSの折り目と垂直な方向)に延びる回転軸線周りに回転可能となるように、押圧部材配置領域にシートSの折り目の方向に一列に互いに一定の間隔で離間して配置されて支持部材112に支持されている。このように、各増し折りコロ114の回転軸線がシートSのシート搬送方向に延びるように、各増し折りコロ114が支持部材112に支持されていることで、各増し折りコロ114の幅はシート搬送方向に折り目をまたぐ大きさであればよくなり、増し折りコロ114の直径にかかわらず、シートSのシート搬送方向の幅を狭くすることができる。したがって、折りローラ対105に近接して配置することができ、折り処理装置Bの小型化が可能となる。
【0036】
また、第1の移動機構116は、複数の増し折りコロ114を支持する支持部材112を下側折りガイド111に対して接近離反する方向に移動させる。これにより、複数の増し折りコロ114を下側折りガイド111に対して接近離反させ、各増し折りコロ114と下側折りガイド111との間に配置されたシートSの折り目を各増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって押圧する押圧位置とシートSから離れる方向に押圧位置から複数の増し折りコロ114を移動させた退避位置との間で移動できるようになっている。また、第2の移動機構117は、押圧位置で支持部材112を水平方向(図3における左右方向)に移動させることによって複数の増し折りコロ114をシートSの折り目に沿って移動できるようになっている。
【0037】
なお、複数の増し折りコロ114と下側折りガイド111とは、押圧位置においてシートSがそれらの間に介在していなければ、直接接触するようになっている。押圧部材配置領域の長さ(すなわち押圧部材配置領域の両極端位置に配置された増し折りコロ114の間の距離)は、退避位置から押圧位置に移動されたときに一方の極端位置に隣り合って配置される二つの増し折りコロ114の間にシートSの折り目の一方の端部(増し折りコロ114の移動方向上流側の端部)が配置され且つ他方の極端位置に配置される増し折りコロ114が折り目上に配置されるように定められている。好ましくは、図示されている実施形態のように、押圧部材配置領域の長さすなわち押圧部材配置領域の両極端位置に配置された増し折りコロ114の間の長さが、増し折りユニット104に搬入されるシートSの折り目の長さよりも複数の増し折りコロ114の配列の1ピッチ分(隣り合って配置される二つの増し折りコロの1間隔分)だけ短くなっている。この場合、必要となる増し折りコロ114の数を減らすことができ、増し折りコロ114のコストを減少させることができる。また、支持部材112に支持される増し折りコロ114の数が減少するので、同じ力を支持部材112に付与するときにシートSに対する一つの増し折りコロ114当たりの押圧力が大きくなって、増し折りの効果が高くなり、より小さい力で効率的な増し折りが可能となる。
【0038】
増し折りユニット104では、複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111に対して退避位置又は押圧位置よりも退避位置側へ離れた受け入れ位置に配置された状態で、増し折りユニット104内にシートSを受け入れた後、折りローラ対105の上流側に設けられたシート位置検出手段(図示せず)によってシートSの位置を検出してシートSの折り目が増し折りコロ114の下方に到達したときにシートSを停止させ、第1の移動機構116によって下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114を押圧位置に移動させる。シートSは、押圧位置に複数の増し折りコロ114が移動したときに、折り目の一方の端部(折り目に沿った移動の方向の上流側の端部)が押圧部材配置領域における一方の極端位置の二つの増し折りコロ114の間に配置される一方、折り目の他方の端部(折り目に沿った移動の方向の下流側の端部)が押圧部材配置領域の外側(すなわち、押圧部材配置領域における他方の極端位置の増し折りコロ114の外側)に配置されるように、増し折りユニット104内に搬入される。さらに、第2の移動機構117によって押圧位置で下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114をシートSの折り目に沿って移動させることによって、複数の増し折りコロ114でシートSの折り目を折り目の全域にわたって押圧して増し折りを行い、折り目を強化する。このように、各増し折りコロ114と下側折りガイド111とは押圧部材として機能する。
【0039】
また、両極端位置の増し折りコロ114の外側及び離間して隣り合う増し折りコロ114の間には、支持部材112に取り付けられた概略L字形状断面を有する規制部材115が配置されている。規制部材115は、増し折りコロ114を下側折りガイド111に対して押圧位置でシートSの折り目に沿って移動して増し折りを行う増し折り処理の際に、規制部材115の底面(すなわち、下側折りガイド111と対向する面)と下側折りガイド111の上面との間の距離d1が、通常の搬送経路の高さ、例えば増し折りユニット104の搬入口119に続く搬入経路を形成する一対の搬入ガイド118(上側搬入ガイド118aと下側搬入ガイド118b)の間の距離d2よりも短くなる規制位置に配置され、距離d1を保ちながら支持部材112と共にシートSの折り目に沿って移動する。ここでの規制部材115の底面と下側折りガイド111の上面との間の距離d1は、これらの部材が直接接触することがないように定められている。これによって、増し折りコロ114による押圧に先だって、規制部材115が折り目の高さを上側搬入ガイド118aと下側搬入ガイド118bとの間よりも低く押し下げた状態で、増し折りコロ114によってシートSの折り目を押圧して増し折りを行うことができる。
【0040】
なお、複数の増し折りコロ114と下側折りガイド111との隙間、および、規制部材115と下側折りガイド111との隙間は、それぞれ、シートSの折り目に沿った方向に全域にわたって一定に保たれている。
【0041】
複数の増し折りコロ114は、それぞれ、支持部材112に対して移動可能に支持された補助部材(図示せず)に回動可能に取り付けられ、支持部材112に形成されたバネ受け部(図示せず)と各前記補助部材の上端部との間にそれぞれバネ(図示せず)を配置し、増し折りコロ114を下側折りガイド111へ向けて付勢するようになっていることが好ましい。このような構成にすることによって、増し折りユニット104の支持部材112及びこれに取り付けられた規制部材115が下側折りガイド111へ向かって下方へ移動する際に、増し折りコロ114はシートを介して下側折りガイド111に接したところで下方への移動を停止する一方、前記バネの収縮により支持部材112及び規制部材115はさらに下方への移動を続けることができ、規制部材115の底面と下側折りガイド111の上面との距離が所望の値になって規制部材115が規制位置に到達した時点で停止させることが可能となる。また、前記各補助部材が個別の前記バネで付勢されていれば、支持部材112が少し傾いてシートSの折り目に沿って移動した場合でも、各増し折りコロ114がシートSの折り目に対して一定の押圧力を付与することができ、折り目の部分によって押圧力が変化し不均一な増し折りを行うことを抑制することができる。
【0042】
次に、図示されている実施形態における第1の移動機構116と第2の移動機構117の詳細な構成について説明する。
【0043】
増し折りユニット104の支持部材112は、シート折り処理装置Bの筐体122などに固定されたガイドレール123に沿って移動可能なスライダ124に、ブラケット125を介して上下動可能に取り付けられており、水平方向にスライダ124と連動して移動するようになっている。スライダ124上には、プーリ126と一体的に回転するピニオン(図示せず)と噛合するラック127が設けられており、増し折り駆動モータ128を駆動して、その回転をベルト129を介してプーリ126に伝達してプーリ126を回転させることによって、スライダ124を水平方向にガイドレール123に沿って移動させることができるようになっている。
【0044】
また、支持部材112には、シート折り処理装置Bの筐体122などに固定された接触子130と係合するカム溝131が形成されている。支持部材112の水平移動に伴ってカム溝131が接触子130と係合しながら移動し、カム溝131の形状に従って支持部材112が案内されながら移動する。カム溝131は、略水平方向に延びる第1の底部水平部分と、第1の底部水平部分の終端から上方に傾斜して延びる第1の傾斜部分と、第1の傾斜部分の終端から概略水平方向に延びる頂部水平部分と、頂部水平部分の終端から下方に傾斜して延びる第2の傾斜部分と、第2の傾斜部分の終端から略水平に延びる第2の底部水平部分とを含んでいる。
【0045】
カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分を接触子130に係合させながらスライダ124によって筐体122に対して支持部材112を図3中の水平方向に移動させることによって、支持部材112が下側折りガイド111に対して接近離反する方向すなわち図3中の上下方向に移動する。このように、ガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分が第1の移動機構116を構成している。
【0046】
また、カム溝131の頂部水平部分を接触子130に係合させながらスライダ124によって筐体122に対して支持部材112を図中の水平方向に移動させることによって、支持部材112及びこれに支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111に対して図3中の水平方向にシートSの折り目に沿って移動する。このように、ガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の頂部水平部分が第2の移動機構117を構成している。図示されている実施形態では、接触子130が筐体122などに固定され、カム溝131が支持部材112に形成されているが、接触子130を支持部材112に固定し、カム溝131を筐体122に形成するようにしてもよい。
【0047】
なお、図示されている実施形態のように、複数の増し折りコロ114が一定の間隔で離間して配置されている場合、隣り合う増し折りコロ114の間に位置する折り目の全てを増し折りコロ114と下側折りガイド111との間で押圧するためには、隣り合う増し折りコロ114の間隔分(すなわち1ピッチ分の距離)以上、押圧位置で下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114を折り目に沿って移動させる必要がある。上述した第1の移動機構116の構成では、接触子130とカム溝131の第1の傾斜部分とを係合させながらスライダ124を水平方向に移動させることによって支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111に対して接近して押圧位置に移動される。また、上述した第2の移動機構117の構成では、接触子130とカム溝131の頂部水平部分とを係合させながらスライダ124を水平方向に移動させることによって支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で折り目に沿って移動することになる。よって、カム溝131の頂部水平部分の水平方向(折り目に沿った方向)の長さは、隣り合う増し折りコロ114の1ピッチ分以上になっている。
【0048】
次に、図4(a)、(b)を参照して、図示されている実施形態の増し折りユニット104の動作を簡単に説明する。ここでは、折りローラ対105によって先端に折り目132が形成されているシートSが増し折りユニット104に搬入されるものとして説明を行う。
【0049】
折り処理機構103からのシートSを搬入口119及び上側搬入ガイド118aと下側搬入ガイド118bとによって構成される搬入経路を通して増し折りユニット104内に受け入れるとき、図4(a)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114はホーム位置である受け入れ位置に配置されている。折りローラ対105の上流側に設けられたシート位置検出手段(図示せず)によってシートSの位置を検出して、図4(a)に示されているように、折りローラ対105から搬入口119に搬入されたシートSのシート搬送方向先端側の第1の折り目132が増し折りコロ114の下方に到達したことを認識すると、シートSの搬送を停止させ、増し折り駆動モータ128を駆動することによって、スライダ124と共に支持部材112を水平方向に移動させる。これによって、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第1の底部水平部分から第1の傾斜部分へ移動し、これに伴って支持部材112が下側折りガイド111へ向けて下降して、図4(b)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111との間にシートSの第1の折り目132を挟み込んで押圧する押圧位置へ移動する。
【0050】
図4(b)に示されている状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112を更に水平方向に移動させると、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第1の傾斜部分から頂部水平部分に移動する。すると、支持部材112に取り付けられている規制部材115がシートSの第1の折り目132の厚さを予め定められた厚さ(距離d1に相当)以下に規制しつつ、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で下側折りガイド111に対してシートSの折り目132に沿って複数の増し折りコロ114の1ピッチ分以上の距離だけ移動して、移動方向の先頭の増し折りコロ114がシートSの第1の折り目132の他方の端部(往路における増し折りコロ114の移動方向の下流側端部)を越えるまで移動する。こうして、増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって折り目132を全域にわたって押圧して折り目132の強化すなわち増し折りが行われる。
【0051】
この状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112をさらに水平方向に移動させると、接触子130がカム溝131と係合する箇所が頂部水平部分から第2の傾斜部分を経て第2の底部水平部分に移動する。これによって、支持部材112が規制部材115と共に下側折りガイド111から離れる方向に上昇し、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧を終了した位置に近接して上方に位置する第1の退避位置へ移動して、増し折り処理が完了する。尚、第1の退避位置は、ホーム位置である受け入れ位置と異なる位置となっている。
【0052】
[シート折り処理装置の制御構成]
図5は、シート折り処理装置Bの制御構成を概念的に示している。シート折り処理装置Bは、CPUを含む制御基板からなる制御部301を備えている。制御部301は、押圧位置調整部311、搬送制御部312、及び搬入速度調整部313を備える。
【0053】
制御部301には、同図に示すように、搬送経路32に沿って設けられたセンサ304が接続されている。センサ304には、搬送されるシートの先端及び後端を検出するシート位置検知センサ(図示せず)、及び突き板107の位置を検出するセンサ(図示せず)が含まれ、それらの検出結果は、リアルタイムで制御部301に出力される。
【0054】
更に制御部301には、画像形成装置Aの設定パネルに設けられた入力部305及び表示部(図示せず)が、画像形成装置Aの前記本体制御部(図示せず)を介して接続されている。入力部305は、例えば制御部301に対する操作を可能とするために、スイッチなどの入力インターフェースを備える。また、ユーザーが前記設定パネル上で設定するシートの種類や、シート折り処理装置Bで実行される折り処理モード等の情報は、画像形成装置Aから前記本体制御部を介して制御部301に送信される。
【0055】
制御部301は、搬送ローラ駆動モータ306、折りローラ駆動モータ307、突き板駆動モータ308、及び増し折り駆動モーター128に接続されている。センサ304から入力する検出結果、及び画像形成装置Aから受信する上記各種情報に基づいて、前記各駆動モータの駆動を制御し、搬送ローラ対102、折りローラ対105、突き板107、スライダ124及び支持部材112をそれぞれ駆動して、シート折り処理装置Bにおけるシートの搬送、折り処理及び増し折り処理を制御実行する。
【0056】
更に制御部301には、折り制御プログラムを記憶させたROM302、及びRAMからなる記憶部303が接続されている。折り制御プログラムは、ROM302から呼び出されて、必要に応じて一時的な情報を記憶部303に格納しながら、上記各処理を実行する。
【0057】
シート折り処理装置Bの折り処理及び増し折り処理について、図6図8を用いて、以下に具体的に説明する。図6(a)~(c)、図7(d)~(f)及び図8(g)~(f)は、シート折り処理装置Bが画像形成装置Aからシートを受け入れ、搬送して折り処理及び増し折り処理を行う過程を工程順に示している。折り処理及び増し折り処理は、例えば図9のフローチャートに示す手順に従って実行する。
【0058】
制御部301は、搬送ローラ対102が回転を停止した状態で、画像形成装置Aから搬入されたシートSの先端を検出して所定時間が経過すると、搬送ローラ駆動モータ306を駆動して搬送ローラ対102を回転させ、図6(a)に示すように前記シートを受け取り、搬送を開始する(ステップSt71)。ステップSt71の前記所定時間は、シートの先端が搬送ローラ対102のニップ部に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な時間である。
【0059】
突き板107が搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で、ループ形成空間50を閉じる位置に配置された状態で、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを搬送経路101に沿って搬送し、図6(b)に示すように、シートSの先端が折りローラ対105を所定の距離通過した後、折りローラ対105を停止する(ステップSt72)。これにより、シートSは、先端が折りローラ対105にニップされた状態で保持される。
【0060】
次に、制御部301は、突き板駆動モータ308を駆動して、突き板107を下側搬送ガイド109の下側の退避位置に移動させ、ループ形成空間50を搬送経路101に開放する(ステップSt73)。この後も、搬送ローラ対102は回転し続けるので、シートSは、図6(c)に示すように、折りローラ対105より上流側の部分が搬送経路101からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、ループFLは、搬送ローラ対102によるシートSの送出量に応じて大きくなる。
【0061】
制御部301は、次のステップSt74において突き板107の突き処理を開始する。このとき、ループ形成空間50には、搬送ローラ対102の継続的なシートの送り出しによって、図7(d)に示すように、シートSに所定の折り位置で折り目を形成するのに適した大きさの折りループFLが形成されている。
【0062】
前記突き処理において、突き板107を折りローラ対105側へ水平に移動させ、その先端を折りループFLに突き当てる。更に突き板107は、その先端で前記シートの所定位置を突き押しながら、図7(e)に示すように、折りローラ対105のニップ部の直前まで移動する。このとき、突き板107の先端で突き押しされたシートSの先端部分は、シートSの第1の折り目となる折り位置が仮折りされる。
【0063】
次に、折りローラ対105を回転させると、シートSの1つ目の折り目となる折り位置が、折りローラ対105のニップ部に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラ105a,105b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートSには、図7(f)に示すように、1つ目即ち第1の折り目132が所定の折り位置に形成される(ステップSt75)。突き板107は、折りローラ対105のニップ部へのシートSの巻き込みを妨げないように、下側搬送ガイド109下側の退避位置に移動させる。これにより、搬送経路101の下方にループ形成空間50が再び開放される。
【0064】
折りローラ対105は、突き板107を退避させた後も引き続き回転駆動される。従って、シートSは、図7(f)に示すように、そのシート搬送方向の先端及び折りローラ対105により形成された第1の折り目132を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、折りローラ対105にニップされ、下流側へ搬送される。
【0065】
シートSのシート搬送方向の後端が、上流ユニットである画像形成装置Aの搬出口を抜けて、シート折り処理装置Bに完全に搬入されると(ステップSt76)、図8(g)に示すように、第1の折り目132が、増し折り処理位置を通過して下流側へ所定の搬送量送り出されたところで、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させる(ステップSt77)。ここで、前記増し折り処理位置は、増し折りコロ114と下側折りガイド111との間で、増し折り処理を行うためにシートSの折り目が配置されるシート搬送方向の位置である。
【0066】
シートSの1つ目の折り目が前記増し折り処理位置から停止するまでにシート搬送方向下流側に送り出される前記所定の搬送量は、シートSのシート搬送方向のシート長によって決定され、その短長に応じて変更することができる。本実施形態では、上述したように、ステップSt77で折りローラ対105及び搬送ローラ対102の停止時に、シートSのシート搬送方向の後端が上流ユニットを抜けてシート折り処理装置Bに完全に搬入されている状態であるように、シートSのシート搬送方向長さに応じて決定される。制御部301は、シートSのシート搬送方向の長さ情報を画像形成装置Aの前記本体制御部から事前に受け取ることができ、また上述したセンサ304に含まれる前記シート位置検出センサによって、搬送されるシートSの先端及び後端をそれぞれ検出し、その時間差から算出することもできる。
【0067】
次に、図8(h)に示すように、搬送ローラ対102を停止させた状態で折りローラ対105を逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側へ移動させる(ステップSt78)。シートSの第1の折り目132が前記増し折り位置に戻されると(ステップSt79)、折りローラ対105を停止させて(ステップSt80)、第1の折り目132を前記増し折り位置に配置する。
【0068】
このとき、搬送ローラ対102が停止していることによって、シートSには、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で弛みが生じ、搬送経路101からループ形成空間50に垂れ下がって、第2のループFL2を先のループFLの上側に形成する。このように2つのループFL,FL2が1つのループ形成空間50に形成されるので、装置が不必要に大型化せず、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0069】
この状態で、制御部301は、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と下側折りガイド111とにより、第1の折り目132の増し折り処理を行う(ステップSt81)。増し折り処理が終了すると、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送する(ステップSt82)。
【0070】
ここで、シートSの下流側への搬送を開始する際、搬送ローラ対102と折りローラ対105の各起動を時間差を設けて開始してもよい。具体的には、例えば、折りローラ対105を先に起動し、それから所定時間経過後に搬送ローラ対102を起動する。このように搬送ローラ対102及び折りローラ対105の起動開始に適当な時間差を設定することによって、ループ形成空間50内に形成された第2のループFL2を解消し又は縮小することができる。また、先のループFLが折りローラ対105に巻き込まれた後に、第2のループFL2が形成されるようにすることもできる。尚、前記時間差は、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の回転量、それらを駆動する前記モータの回転量、シート搬送量等に置き換えて設定することもできる。
【0071】
シートSが下流側へ搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなり、第2の折り目133が形成される所望の折り位置で上下から二つ折りに屈曲される。この第2の折り目133となるシートSの折り位置は、このように屈曲された形態で搬送され、折りローラ対105のニップ部で加圧折曲され、第2の折り目133が所望の位置に形成される。
【0072】
本実施形態では、ステップSt77及びSt78によって、シートSのシート搬送方向の後端位置を、第1の折り目132が前記増し折り位置を越えてシートSを下流側に搬送して折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止した時点で、完全に画像形成装置Aを抜けている状態に調整した。しかしながら、本発明において、ステップSt77及びSt78における折りローラ対105の逆転及び増し折り処理に関連する搬送ローラ対102の回転制御は、これに限定されるものではない。
【0073】
別の実施形態では、図8(g)に関連して説明したステップSt77において、制御部301は、折りローラ対105を停止させる一方、その後も搬送ローラ対102を回転させてシートSの後端側をシート搬送方向下流側へ送り出すことができる。この搬送ローラ対102によるシートS後端側の搬送は、ステップSt78で折りローラ対105が一旦停止後に逆転しかつ第1の折り目132を前記増し折り位置に戻して停止するまでの間、更に増し折り処理が行われて次のステップSt82に進むまでの間、それら期間の全部で又は部分的に選択して行うことができる。
【0074】
これにより、第1の折り目132の増し折り処理が終了してシートSの下流側への搬送が開始する(ステップSt82)際におけるシートSの後端位置を、シート搬送方向に沿って調整することができる。例えば、シートSのシート搬送方向の後端が、そのシート搬送方向長さによっては、ステップSt77における折りローラ対105の停止時に、未だシート折り処理装置Bに完全に搬入されておらず、上流ユニットの画像形成装置A内に位置する状態があり得る。この場合であっても、上述したように搬送ローラ対102を回転制御することにより、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、シートSのシート搬送方向の後端が完全に画像形成装置Aを抜けている状態にすることができる。それにより、上述したように、折り処理を含む画像形成システム全体として、生産性の維持・向上を図ることができる。
【0075】
また別の実施形態では、制御部301は、ステップSt77及びSt78において、折りローラ対105を停止して逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側に搬送する際に、搬送ローラ対102も一旦停止して逆転させ、シートSの後端側をシート搬送方向上流側へ搬送することができる。この場合、搬送ローラ対102の逆転によるシート搬送量は、折りローラ対105の逆転によるシート搬送量よりも少なくなるように、前記搬送ローラ対及び折りローラ対を制御する。
【0076】
これにより、ループ形成空間50内における第2のループFL2の形成を解消し又はその大きさを縮小することができる。この場合、シートSのシート搬送方向後端は、上流側ユニットの画像形成装置Aに向けて移動するが、この実施形態においても、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、完全に画像形成装置Aを抜けている状態であることが、上述したシステム全体の生産性の観点から好ましい。
【0077】
ここで、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転によるシート搬送量は、シートSのシート搬送方向の搬送距離、搬送時間、前記搬送ローラ対及び折りローラ対の回転量(回転速度、回転時間)等に基づいて設定することができる。また、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転開始及び/又は逆転停止は、必ずしも同時に行う必要は無い。例えば、搬送ローラ対102の逆転開始を折りローラ対105の逆転開始よりも遅らせたり、搬送ローラ対102の逆転停止を折りローラ対105の逆転停止よりも早くすることができる。
【0078】
次に図8(i)に示すように,シートSの2つ目即ち第2の折り目133が前記増し折り処理位置に到達すると(ステップSt83)、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させて(ステップSt84)、第2の折り目133を前記増し折り処理位置に配置させる。この状態で、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と下側折りガイド111とにより第2の折り目133の増し折り処理を行う(ステップSt85)。増し折り処理が終了すると、折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送し(ステップSt86)、下流側の後処理装置Cへ搬出する。
【0079】
これにより、シート折り処理装置Bにおける一連の折り処理及び増し折り処理が終了する。このとき、ステップSt76,St77において、シートSの後端は、シート折り処理装置B側に完全に抜けているので、上流側の画像形成装置Aでは、次のシートをシート折り処理装置Bへ送り出す準備ができており、システム全体として生産性の向上維持が図られる。
【0080】
更に、シート搬送方向のシート長が短い場合、第1の折り目132が前記増し折り処理位置を通過する前に、シートSの後端が画像形成装置Aを抜けてしまうことがあり得る。この場合、制御部301は、第1の折り目132が前記増し折り処理位置を通過しないように、前記増し折り処理位置にシートSの第1の折り目132の位置を合わせて折りローラ対111を停止させ、増し折り処理を行う。制御部301は、シートSのシート搬送方向長さが短いことを、上述したように搬送経路101を搬送されるシートSの先端及び後端を前記シート位置検出センサによりそれぞれ検出し、その時間差から算出することによって、また画像形成装置Aの前記本体制御部から受け取るシートSのシート搬送方向の長さ情報に基づいて、事前に知ることができる。
【0081】
図10図12は、シート折り処理装置Bによる折り処理及び増し折り処理の第2の実施形態を示している。この処理は、例えば図13のフローチャートの手順に従って行うことができる。
【0082】
ここで、図10(a)~(c)及び図11(d)~(f)の折り処理は、第1の実施形態における図6(a)~(c)及び図7(d)~(f)の折り処理と同一であるので、説明を省略する。同様に、図13のステップSt51~St55の処理も、第1の実施形態における図9のステップSt71~St75と同一であるので、説明を省略する。
【0083】
図11(f)に示すように、ステップSt55で1つ目即ち第1の折り目132を形成した後、図12(g)に示すように、第1の折り目132が前記増し折り処理位置に到達すると(ステップSt56)、折りローラ対105を停止させて(ステップSt57)、第1の折り目132を前記増し折り処理位置に配置する。このとき、搬送ローラ対102はそのまま回転し続け、シートSを下流側へ搬送している。シートSの後端が画像形成装置Aを抜けると(ステップSt58)、搬送ローラ対102を停止させる(ステップSt59)。これにより、シートSには、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で弛みが生じ、搬送経路101からループ形成空間50に垂れ下がって、第2のループFL2を先のループFLの上側に形成する。
【0084】
この状態で、制御部301は、増し折り駆動モータ128を駆動して、図12(h)に示すように、増し折りコロ114と下側折りガイド111とにより、第1の折り目132の増し折り処理を行う(ステップSt60)。増し折り処理が終了すると、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送する(ステップSt61)。
【0085】
ステップSt82の場合と同様に、シートSの下流側への搬送を開始する際、搬送ローラ対102と折りローラ対105の各起動開始時刻に時間差を設けてもよい。具体的には、例えば、折りローラ対105を先に起動し、それから所定時間経過後に搬送ローラ対102を起動する。この時間差を適当に設定することによって、ループ形成空間50内に形成された第2のループFL2を解消し又は縮小することができる。また、先のループFLが折りローラ対105に巻き込まれた後に、第2のループFL2が形成されるようにすることもできる。この後、図12(i)に示す2つ目即ち第2の折り目133の増し折り処理は、第1の実施形態に折れる図8(i)の増し折り処理と同一であるので、説明を省略する。
【0086】
図1に示す本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置Aから搬出されるシートを受け入れて折りローラ対105側へ搬送するための搬送ローラ対102と搬送経路101とが、シート折り処理装置B内に装備されている。しかしながら、本発明は、このような構成のシート折り処理装置及び画像形成システムに限定されるものではない。
【0087】
例えば、画像形成装置の排紙口に直接連結されるシート後処理装置において、画像形成したシートを排紙口から搬出する画像形成装置の排紙ローラを利用して、画像形成装置からのシートを受け入れて搬送するようにし、本実施形態の搬送ローラ対102に対応する上流側の搬送ローラを省略した構成が従来から知られ、実用化されている。ここで、画像形成装置において排紙ローラから排紙口に至る排紙経路は、画像形成装置からのシートを受け入れて搬送するシート後処理装置の搬送経路の一部を構成するということができる。
【0088】
本発明の技術的範囲には、このような構成の画像形成システムも含まれる。その場合、本発明のシート折り処理装置は、その機能において、上流側ユニットであるシート折り処理装置Bの構成の一部を含むものである。具体的には、上述した本実施形態の説明において、シート折り処理装置Bの搬送ローラ対102は、画像形成装置Aの排紙ローラ15に置き換えて読むことができ、搬送経路101は、そのシート搬送方向上流側の一部が、画像形成装置Aの排紙口16から上流側へ排紙ローラ15を少し越えた位置までの部分により構成される、と理解すれば良い。
【0089】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0090】
A 画像形成装置
B シート折り処理装置
C 後処理装置
50 ループ形成空間
102 搬送ローラ対
104 増し折りユニット
105 折りローラ対
107 突き板
110 上側折りガイド
111 下側折りガイド
112 支持部材
114 増し折りコロ
116 第1の移動機構
117 第2の移動機構
118 搬入ガイド
118a 上側搬入ガイド
118b 下側搬入ガイド
119 搬入口
130 接触子
131 カム溝
132 第1の折り目
133 第2の折り目
301 制御部
図1
図2
図3
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図6
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