(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】検査用接続装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230501BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20230501BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L21/66 X
H01L21/66 B
G01R31/26 F
G01R1/073 F
H01L21/66 C
(21)【出願番号】P 2019077724
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 実
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0037509(KR,A)
【文献】米国特許第06657446(US,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1823142(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0109015(US,A1)
【文献】特開2019-035694(JP,A)
【文献】特開2018-081948(JP,A)
【文献】特開平01-170857(JP,A)
【文献】国際公開第2004/072661(WO,A1)
【文献】特開2009-300333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26-31/3193
G01R 1/06- 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号が伝搬する電気信号端子と光信号が伝搬する光信号端子を有する半導体素子の検査に使用される検査用接続装置であって、
前記電気信号端子と電気的に先端部が接続する電気接続子と、
前記光信号端子と光学的に先端部が接続する光接続子と、
前記電気接続子及び前記光接続子をそれぞれの先端部が下面に露出した状態で保持し、上面に前記電気接続子の基端部が露出し、且つ
前記光接続子の先端部が固定されるように前記光接続子が固着されたプローブヘッドと、
接続配線が内部に配置され、前記プローブヘッドの上面に露出する前記電気接続子の基端部と電気的に接続する前記接続配線の一方の端部が下面に配置され、且つ前記光接続子が摺動自在に貫通するトランスフォーマと
を備え、
前記プローブヘッドの下面における前記電気接続子の先端部と前記光接続子の先端部の位置関係が、前記半導体素子の前記電気信号端子と前記光信号端子の位置関係に対応し、前記光接続子が、前記プローブヘッドと前記トランスフォーマを連続的に貫通している
ことを特徴とする検査用接続装置。
【請求項2】
前記プローブヘッドが、単一の前記半導体素子の前記電気信号端子と前記光信号端子のそれぞれに前記電気接続子の先端部と前記光接続子の先端部を対応させるユニットを複数配列した構成を有することを特徴とする請求項1に記載の検査用接続装置。
【請求項3】
前記プローブヘッドと前記トランスフォーマとが脱着自在に構成され、
前記トランスフォーマと前記プローブヘッドの取り付け時に、前記プローブヘッドの上面に露出した前記電気接続子の基端部と前記トランスフォーマの下面に配置された前記接続配線の一方の端部が電気的に接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査用接続装置。
【請求項4】
前記プローブヘッドが、それぞれを前記電気接続子と前記光接続子が貫通する、上下方向に沿って相互に離間して配置された複数のガイド板を有し、
前記複数のガイド板のうちの最も下方に配置されたボトムガイド板に前記光接続子が固着されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査用接続装置。
【請求項5】
前記光接続子が樹脂によって前記ボトムガイド板に形成されたガイド穴で固着されていることを特徴とする請求項4に記載の検査用接続装置。
【請求項6】
前記ボトムガイド板に前記電気接続子が貫通する第1ガイド穴が形成され、
前記第1ガイド穴が、前記電気接続子の直径より内径が大きい大径電気ガイド穴と前記電気接続子の直径と同程度の内径の小径電気ガイド穴とを前記第1ガイド穴の延伸方向に連結した構成であり、
前記大径電気ガイド穴よりも前記小径電気ガイド穴が前記プローブヘッドの下面に近く形成され、前記電気接続子の先端部が前記小径電気ガイド穴に挿入されている
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の検査用接続装置。
【請求項7】
前記ボトムガイド板に前記光接続子が貫通する第2ガイド穴が形成され、
前記第2ガイド穴が、前記光接続子の直径より内径が大きい大径光ガイド穴と前記光接続子の直径と同程度の内径の小径光ガイド穴とを前記第2ガイド穴の延伸方向に連結した構成であり、
前記大径光ガイド穴よりも前記小径光ガイド穴が前記プローブヘッドの下面に近く形成され、前記光接続子の先端部が前記小径光ガイド穴に挿入されている
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の検査用接続装置。
【請求項8】
前記光接続子が光ファイバであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検査用接続装置。
【請求項9】
前記トランスフォーマの内部に配置された前記接続配線と連結する配線ワイヤと、
前記配線ワイヤを介して前記接続配線と電気的に接続する電気端子及び前記光接続子の基端部が連結される光端子が配置されたメイン基板と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検査用接続装置。
【請求項10】
前記接続配線が前記配線ワイヤの一部であることを特徴とする請求項9に記載の検査用接続装置。
【請求項11】
前記光接続子の端面の径よりも、前記光接続子が貫通する前記プローブヘッドのガイド穴の、前記プローブヘッドの下面に形成されて前記光接続子の前記先端部が露出する開口部の径が狭いことを特徴とする請求項1に記載の検査用接続装置。
【請求項12】
前記光接続子が貫通する前記プローブヘッドのガイド穴の形状が下部を狭くした鍔付き形状であり、前記光接続子の周囲に形成されたコーティング膜が前記ガイド穴の鍔部に突き当たり、前記光接続子の前記先端部は前記プローブヘッドの下面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の検査用接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の特性の検査に使用される検査用接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンフォトニクス技術を用いて、電気信号と光信号が伝搬する半導体素子(以下において「オプトデバイス」という。)がシリコン基板などに形成される。
【0003】
オプトデバイスの特性をウェハ状態で検査するために、電気信号を伝搬させる電気接続子と光信号を伝搬させる光接続子とを有する検査用接続装置を用いて、オプトデバイスと検査装置を接続することが有効である(特許文献1、2参照)。例えば、導電性材料からなるプローブなどがオプトデバイスと検査装置とを接続する電気接続子として使用され、光ファイバなどがオプトデバイスと検査装置とを接続する光接続子として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平07-201945号公報
【文献】特開2018-81948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気接続子が配置されたユニットと光接続子が配置されたユニットとが別々に構成された検査用接続装置が、オプトデバイスの検査に使用されている。このため、それぞれのユニットについて個別にオプトデバイスと位置合わせするために、オプトデバイスと検査用接続装置の位置合わせに長時間を要している。また、上記構成の検査用接続装置では、電気信号で行う電気的測定と光信号で行う光学的測定を並行して行う試験(マルチ試験)が困難である。
【0006】
本発明は、オプトデバイスとの位置合わせが容易であり、且つ、電気的測定と光学的測定を並行して行うことができる検査用接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電気接続子及び光接続子をそれぞれの先端部が下面に露出した状態で保持し、上面に電気接続子の基端部が露出し、且つ光接続子の先端部が固定されるように光接続子が固着されたプローブヘッドと、接続配線が内部に配置され、プローブヘッドの上面に露出する電気接続子の基端部と接続する接続配線の一方の端部が下面に配置され、且つ光接続子が摺動自在に貫通するトランスフォーマとを備える検査用接続装置が提供される。プローブヘッドの下面における電気接続子の先端部と光接続子の先端部の位置関係が、半導体素子の電気信号端子と光信号端子の位置関係に対応し、光接続子がプローブヘッドとトランスフォーマを連続的に貫通している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オプトデバイスとの位置合わせが容易であり、且つ、電気的測定と光学的測定を並行して行うことができる検査用接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のプローブヘッドとトランスフォーマを取り付けた状態を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のプローブヘッドに光接続子を固着した状態の例を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のプローブヘッドとトランスフォーマが離間した状態を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の光接続子の先端部の状態を示す模式図であり、
図5(a)~
図5(d)は光接続子の先端部の状態のバリエーションを示す。
【
図6】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の光接続子の先端部の他の状態を示す模式図であり、
図6(a)~
図6(b)は光接続子の先端部の状態のバリエーションを示す。
【
図7】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の光接続子の先端部の更に他の状態を示す模式図であり、
図7(a)~
図7(b)は光接続子の先端部の状態のバリエーションを示す。
【
図8】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のプローブヘッドのトップガイド板の構成を示す模式的な平面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の検査時の操作を説明する模式図である(その1)。
【
図10】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の検査時の操作を説明する模式図である(その2)。
【
図11】本発明の実施形態に係る検査用接続装置の検査時の操作を説明する模式図である(その3)。
【
図12】検査対象のオプトデバイスの構成例を示す平面図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のプローブヘッドのボトムガイド板に形成されるガイド穴の位置の例を示す平面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る検査用接続装置のプローブヘッドのボトムガイド板を示す平面図であり、
図14(a)~
図14(e)はボトムガイド板を構成するユニットの配置のバリエーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0011】
図1に示す本発明の実施形態に係る検査用接続装置は、電気信号が伝搬する電気信号端子と光信号が伝搬する光信号端子を有するオプトデバイスの検査に使用される。オプトデバイスとしては、特に限定されるものではないが、シリコンフォトニクスデバイス、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)などの半導体素子を想定することができる。
図1で図示を省略している検査対象のオプトデバイスは、光信号端子と電気信号端子(以下、総称して「信号端子」という。)の形成された表面を、検査用接続装置に対向して配置される。
【0012】
図1に示す検査用接続装置は、電気接続子10と、光接続子20と、電気接続子10及び光接続子20をそれぞれの先端部が下面に露出した状態で保持するプローブヘッド30と、プローブヘッド30の上方に配置されたトランスフォーマ40を備える。電気接続子10の先端部はプローブヘッド30の下面から下方に向かって延伸し、基端部はプローブヘッド30の上面に露出している。光接続子20は、プローブヘッド30の上面から上方に向かって延伸している。
【0013】
電気接続子10の先端部と光接続子20の先端部の、プローブヘッド30の下面の面法線方向からみた(以下、「平面視」という)相対的な位置関係は、検査対象のオプトデバイスの電気信号端子と光信号端子の相対的な位置関係に対応している。即ち、光接続子20と電気接続子10は、検査時に検査対象のオプトデバイスの信号端子と正確に接続するように、所定の位置精度でプローブヘッド30に保持されている。ここで、「正確に接続する」とは、所定の測定精度が得られるように電気接続子10と光接続子20がオプトデバイスの信号端子と接続することである。
【0014】
電気接続子10は、検査対象のオプトデバイスの電気信号端子と電気的に先端部が接続する。光接続子20は、検査対象のオプトデバイスの光信号端子と光学的に先端部が接続する。光学的に接続することにより、オプトデバイスの光信号端子と光接続子20との間で光信号が伝搬する。光接続子20は、プローブヘッド30に固着されている。
【0015】
トランスフォーマ40には、接続配線41が内部に配置されている。トランスフォーマ40の下面に配置された接続配線41の一方の端部が、プローブヘッド30の上面に露出する電気接続子10の基端部と電気的に接続する。接続配線41の他方の端部は、トランスフォーマ40の上面に配置されている。一方、光接続子20は摺動自在にトランスフォーマ40を貫通している。光接続子20は、プローブヘッド30とトランスフォーマ40を連続的に貫通している。
【0016】
図1に示す検査用接続装置では、トランスフォーマ40に配置された接続配線41の他方の端部と連結する配線ワイヤ70と、配線ワイヤ70を介して接続配線41と電気的に接続する電気端子61が配置されたメイン基板60を更に備える。配線ワイヤ70は、例えば半田付けなどにより電気端子61に接続される。更に、メイン基板60に、光接続子20の基端部が連結される光端子62が配置されている。
【0017】
メイン基板60には、電気端子61を介して配線ワイヤ70と電気的に接続する電気回路(不図示)が形成されている。メイン基板60としてプリント基板(PCB基板)などが好適に使用される。メイン基板60を介して、図示を省略する検査装置と検査対象のオプトデバイスの電気信号端子とが電気的に接続される。
【0018】
メイン基板60に配置された光端子62を介して、検査装置と光接続子20とが接続される。例えば、光端子62に光コネクタなどを使用してすべての光接続子20をメイン基板60の一箇所で検査装置と接続してもよい。或いは、光接続子20のそれぞれの端部とそれぞれ接続する複数の光端子62をメイン基板60の主面に配置して、光接続子20を個々に検査装置と接続してもよい。このとき、検査装置の仕様に合わせて、光信号を電気信号に変換してから検査装置に入力してもよいし、光信号をそのまま検査装置に入力してもよい。例えば、メイン基板60に搭載した光電気変換ユニットを介して光接続子20と検査装置を接続し、検査装置の入出力信号を電気信号としてもよい。
【0019】
通常、光信号端子と光接続子20は、互いに近接する非接触の状態で光学的に接続される。
図1に示した検査用接続装置では、オプトデバイスの検査時において、光接続子20と電気接続子10の両方が同時にオプトデバイスと接続可能になっている。
【0020】
オプトデバイスの検査時に、電気接続子10の先端部がオプトデバイスの電気信号端子と電気的に接続し、光接続子20の先端部とオプトデバイスの光信号端子が光学的に接続する。これにより、例えば、電気接続子10の先端部から電気信号がオプトデバイスに入力されると共にオプトデバイスから出力された光信号が光接続子20の先端部に入力され、検査装置によって光信号が検知される。このように、検査用接続装置は、検査装置を検査対象のオプトデバイスと接続するプローブカードとして機能する。
【0021】
光接続子20には、光ファイバなどが好適に使用される。例えば、オプトデバイスの光信号端子から、光信号端子の近傍に配置された光ファイバの端面に光信号が入射する。ただし、光ファイバに限らず、光導波路を有する光学部品を光接続子20に使用できる。光ファイバなどの光導波路は、いずれもオプトデバイスと同等の屈折率を有して形成されることが好ましい。例えば、シリコンフォトニクスデバイスに対応させるためには、光接続子20もシリコンの屈折率に合わせた材料で形成される。
【0022】
電気接続子10には、導電性材料からなるプローブなどが好適に使用される。電気接続子10には、任意のタイプのプローブを使用できる。
【0023】
メイン基板60には、メイン基板60よりも剛性の高いスティフナ50が固定されている。スティフナ50は、メイン基板60が撓んだりしないように検査用接続装置の機械的強度を確保すると共に、検査用接続装置の構成部品のそれぞれを固定する支持体として使用されている。
【0024】
図1に示した検査用接続装置では、固定ボルト91によってメイン基板60にスティフナ50が固定されている。また、固定ボルト92によって、スティフナ50にトランスフォーマ40が固定されている。このように、トランスフォーマ40がメイン基板60に固定されており、トランスフォーマ40とメイン基板60は一体化した基板と捉えることもできる。トランスフォーマ40に、支持ボルト93によってプローブヘッド30が取り付けられている。
【0025】
位置決めピン94は、例えばプローブヘッド30の下面をオプトデバイスの主面と平行にするために、及びトランスフォーマ40に対するプローブヘッド30の取り付け角度を調整するために使用される。また、位置決めピン94は、トランスフォーマ40に配置された配線ワイヤ70の端部と電気接続子10の上部との水平方向と位置を揃えて接続するために、トランスフォーマ40対するプローブヘッド30の位置決めをするために使用される。
【0026】
上記のように、プローブヘッド30は、メイン基板60やトランスフォーマ40と支持ボルト93や位置決めピン94で取り付けられている。このため、プローブヘッド30はメイン基板60から簡単に脱着可能であり、メンテナンスが容易である。
【0027】
図2に示すように、プローブヘッド30は、上面から下面に向かう上下方向に沿って相互に離間して配置され、それぞれを電気接続子10と光接続子20が貫通する複数のガイド板を有する。
図2に示したプローブヘッド30は、電気接続子10の先端部の周囲に配置されたボトムガイド板31と、電気接続子10の基端部の周囲に配置されたトップガイド板32を有する。ボトムガイド板31の外縁領域とトップガイド板32の外縁領域との間にスペーサ33が配置されて、トップガイド板32とボトムガイド板31との間に中空領域330が構成されている。電気接続子10と光接続子20を支持するガイド板には、一定の機械的強度が必要である。このため、例えば機械的強度が高く且つ貫通孔を形成しやすいセラミック板などが、ガイド板に好適に使用される。
【0028】
更に、プローブヘッド30は、ボトムガイド板31とトップガイド板32の間に配置された第1ガイドフィルム34と第2ガイドフィルム35を有する(以下、「ガイドフィルム」と総称する。)。電気接続子10と光接続子20はガイドフィルムを貫通する。第1ガイドフィルム34はボトムガイド板31に近く配置され、第2ガイドフィルム35はボトムガイド板31とトップガイド板32の中間付近に配置されている。ガイドフィルムには、例えば、樹脂などのフィルムがガイドフィルムに使用される。
【0029】
電気接続子10と光接続子20は、ガイド板及びガイドフィルムにそれぞれ形成されたガイド穴を貫通する。
図2に示すように、平面視で、同一の電気接続子10が貫通するトップガイド板32の位置とボトムガイド板31の位置とがずれている(以下において、「オフセット配置」という。)。
【0030】
オフセット配置により、中空領域330の内部でボトムガイド板31とトップガイド板32との間で、電気接続子10は弾性変形によって湾曲している。そして、電気接続子10がオプトデバイスに接触すると、更に湾曲した形状に電気接続子10が座屈して、所定の圧力で電気接続子10がオプトデバイスに押圧される。このように、オフセット配置により、電気接続子10とオプトデバイスを安定して接触させることができる。なお、中空領域330にガイドフィルムを配置することにより、湾曲した状態の電気接続子10同士が接触することなどを防止できる。
【0031】
実施形態に係る検査用接続装置では、光接続子20が、プローブヘッド30の有する複数のガイド板のうちの最も下方に配置されたボトムガイド板31に固着されている。例えば、
図3に示すように、ボトムガイド板31のガイド穴に光接続子20を貫通させた状態で、ガイド穴と光接続子20との隙間に樹脂80を流し込む。樹脂80が硬化することにより、光接続子20がボトムガイド板31に固着される。
【0032】
図3に示すボトムガイド板31には、電気接続子10が挿入される第1ガイド穴311と、光接続子20が挿入される第2ガイド穴312が形成されている。
【0033】
第1ガイド穴311は、電気接続子10の直径より内径が大きい大径電気ガイド穴311aと、電気接続子10の直径と同程度の内径の小径電気ガイド穴311bとを、第1ガイド穴311の延伸方向に連結した構成である。大径電気ガイド穴311aよりも小径電気ガイド穴311bがプローブヘッド30の下面に近く形成され、電気接続子10の先端部が小径電気ガイド穴311bに挿入されている。
【0034】
電気接続子10は、先端部を先にして大径電気ガイド穴311aの側から挿入されるため、第1ガイド穴311に挿入し易い。その後、電気接続子10は、大径電気ガイド穴311aに連通する小径電気ガイド穴311bに挿入される。小径電気ガイド穴311bの内径と電気接続子10の直径が同程度であるため、電気接続子10の先端部の正確な位置決めがされる。つまり、大径電気ガイド穴311aと小径電気ガイド穴311bを連結した第1ガイド穴311により、電気接続子10のガイド穴への挿入のし易さと、先端部の正確な位置決めを達成できる。
【0035】
第2ガイド穴312は、光接続子20の直径より内径が大きい大径光ガイド穴312aと、光接続子20の直径と内径が同程度の小径光ガイド穴312bとを、第2ガイド穴312の延伸方向に連結した構成である。大径光ガイド穴312aよりも小径光ガイド穴312bがプローブヘッド30の下面に近く形成され、光接続子20の先端部が小径光ガイド穴312bに挿入されている。
【0036】
光接続子20は、先端部を先にして大径光ガイド穴312aの側から挿入されるため、第2ガイド穴312に挿入し易い。その後、光接続子20は、大径光ガイド穴312aに連通する小径光ガイド穴312bに挿入される。そして、樹脂80により小径光ガイド穴312bの内部で光接続子20の先端部が固定される。小径光ガイド穴312bの内径と光接続子20の直径が同程度であるため、光接続子20の先端部の正確な位置決めがされる。つまり、大径光ガイド穴312aと小径光ガイド穴312bを連結した第2ガイド穴312により、光接続子20のガイド穴への挿入のし易さと、先端部の正確な位置決めを達成できる。
【0037】
このように、第1の実施形態に係る検査用接続装置では、電気接続子10と光接続子20とは、同一のボトムガイド板31内で位置合わせが行えるため、電気接続子10と光接続子20の先端部の正確な位置合わせを短時間で行えるという利点がある。
【0038】
なお、接続配線41が配線ワイヤ70の一部であってもよい。即ち、配線ワイヤ70の一部をトランスフォーマ40に形成した貫通孔に挿入し、配線ワイヤ70の先端部をトランスフォーマ40の下面に露出させる。そして、トランスフォーマ40とプローブヘッド30の取り付け時に、配線ワイヤ70の先端部とプローブヘッド30の上面に露出する電気接続子10の基端部とを接続させる。例えば、トランスフォーマ40に形成した貫通孔と配線ワイヤ70との隙間に流し込んだ樹脂を硬化させるなどして、配線ワイヤ70をトランスフォーマ40に固着してもよい。これにより、配線ワイヤ70の先端部の位置を固定することができる。
【0039】
上記に説明した構成を有する検査用接続装置では、プローブヘッド30とトランスフォーマ40とが脱着自在である。即ち、
図4に示すように、電気接続子10や光接続子20を配置した状態のままで、プローブヘッド30とトランスフォーマ40を離間させることができる。このとき、光接続子20はトランスフォーマ40に固定されていないため、プローブヘッド30をトランスフォーマ40から離すに従って、光接続子20がトランスフォーマ40に形成された貫通孔の内部を摺動する。
【0040】
このようにプローブヘッド30とトランスフォーマ40とが脱着自在であることにより、検査用接続装置ではメンテナンスが容易であるなどの効果を得られる。例えば、トランスフォーマ40に光接続子20を貫通させた状態のまま、プローブヘッド30の修理や交換などが可能である。このため、メンテナンスに要する時間を短縮できる。プローブヘッド30における電気接続子10の交換は、一本単位で可能である。また、光接続子20の交換は、光接続子20が固着されたボトムガイド板31ごとの交換が可能である。
【0041】
そして、トランスフォーマ40とプローブヘッド30の取り付け時には、プローブヘッド30の上面に露出した電気接続子10の基端部とトランスフォーマ40の下面に配置された接続配線41の一方の端部が電気的に接続する。
【0042】
ところで、オプトデバイスに対向する光接続子20の先端部には、種々の形状を採用可能である。例えば、コア211とクラッド212により構成される光ファイバ21を光接続子20に使用した場合、光ファイバ21の先端部について
図5(a)~
図5(b)に示すようなバリエーションを採用可能である。
【0043】
図5(a)に示した形状は、光ファイバ21の端面とプローブヘッド30の下面を同一平面にしたストレート形状である。ストレート形状は、プローブヘッド30の加工が最も容易である。
【0044】
図5(b)に示した形状は、光ファイバ21の端面の径よりもプローブヘッド30の下面に形成したガイド穴の開口部の径を狭くした鍔付き形状である。鍔付き形状にすることにより、光ファイバ21の先端部がガイド穴の鍔部に突き当たり、光ファイバ21の端面の位置を安定させることができる。
【0045】
図5(c)及び
図5(d)に示した形状は、光ファイバ21の端面を曲面にした場合である。
図5(c)ではプローブヘッド30の下面に形成したガイド穴の開口部をテーパー形状にし、
図5(d)ではプローブヘッド30のガイド穴の開口部を球面状にしている。光ファイバ21の端面を曲面にすることにより、オプトデバイスから出射される光を光ファイバに集光しやすい。
【0046】
また、
図6(a)~
図6(b)に示すように、周囲にコーティング膜25を形成した光ファイバ21の先端部が、プローブヘッド30の下面よりも下方に位置するようにしてもよい。
図6(a)では、先端部がストレート形状の光ファイバ21が貫通するガイド穴の形状を、下部を狭くした鍔付き形状としている。これにより、光ファイバ21の周囲に形成したコーティング膜25がガイド穴の鍔部に突き当たり、光ファイバ21の位置を安定させられる。
図6(b)は、先端部が曲面の光ファイバ21にコーティング膜25を形成した例であり、この場合にもコーティング膜25がガイド穴の鍔部に突き当たる。このように、コーティング膜25は、光ファイバ21がガイド穴から抜けないようにストッパーとして機能している。コーティング膜25は、例えば樹脂膜などである。上記のように光ファイバ21をプローブヘッド30で留めるストッパーとしてコーティング膜25を使用することにより、光ファイバ21をプローブヘッド30に樹脂で固定しない構成も可能である。コーティング膜25により、光ファイバ21がプローブヘッド30に密着する。
【0047】
また、
図7(a)~
図7(b)に示すように、周囲にコーティング膜25を形成していない光ファイバ21の先端部が、プローブヘッド30の下面よりも下方に位置するようにしてもよい。コーティング膜25がない光ファイバ21では、光ファイバ21の外径を小さくできるため、コーティング膜25を形成した光ファイバ21よりも狭ピッチ化に対応できる。
【0048】
光ファイバ21の先端部をプローブヘッド30の下面よりも下方に突き出さない場合には、光ファイバ21の先端部をオプトデバイスに近づけていくと、プローブヘッド30がオプトデバイスに干渉する可能性がある。一方、
図6(a)~
図6(b)及び
図7(a)~
図7(b)に示すように光ファイバ21の先端部をプローブヘッド30の下方に突き出すことにより、プローブヘッド30から離間した状態で、光ファイバ21の先端部をオプトデバイスに近づけることができる。
【0049】
なお、光ファイバ21の先端部をレンズ化してもよい。光ファイバ21の先端部の仕様に応じて、樹脂80による固着方法が選択される。光ファイバ21をプローブヘッド30に固着する工程の後、電気接続子10をプローブヘッド30に挿入する前に、プローブヘッド30の下面の研磨加工を実施できる。
【0050】
なお、
図8に示すように、光接続子20がトップガイド板32を貫通するガイド穴320を、隣接する複数の光接続子20で共通にしてもよい。
図8は、トップガイド板32の主面の平面図である。
【0051】
実施形態に係る検査用接続装置は、例えば以下のようにしてオプトデバイスの検査に使用される。ここで、
図9に示すようにプローブヘッド30の下面から先端長T1だけ電気接続子10の先端部が延伸する構成の検査用接続装置について、電気接続子10とオプトデバイスとの位置合わせを行う。先端長T1は、例えば200μm程度である。
【0052】
この位置合わせは、例えば、オプトデバイスが搭載面に搭載されたステージを、搭載面と平行な方向に移動させたり、搭載面の面法線方向を中心軸として回転させたりして行われる。このとき、ステージに配置されたCCDカメラなどの撮像装置により、検査用接続装置に設けられたアライメントマークを撮影しながら行ってもよい。
【0053】
例えば、ステージに配置された撮像装置によって検査用接続装置に設けられたアライメントマークの撮影画像が得られると、撮影画像の画像処理により、オプトデバイスが搭載されたステージと検査用接続装置との相対位置情報が得られる。この相対位置情報に基づいて、電気接続子10の先端部がオプトデバイスの電気信号端子に接触可能な位置になるように、ステージの位置や方向などが調整される。
【0054】
そして、電気接続子10の先端部とオプトデバイスの電気信号端子の位置が平面視で一致している状態で、
図10に示すように、電気接続子10の先端部とオプトデバイス100の電気信号端子(図示略)を接触させる。このとき、電気接続子10の先端部と光接続子20の先端部の位置関係が、オプトデバイス100の電気信号端子と光信号端子の位置関係に対応しているため、オプトデバイス100の光信号端子に対応する位置に光接続子20が配置される。
【0055】
次いで、
図11に示すように、オプトデバイス100の電気信号端子に電気接続子10が所定の針圧で押圧されるように、オプトデバイス100と検査用接続装置とを接近させる。例えば、電気接続子10の先端部をオプトデバイス100に押し付けるようにオーバードライブを印加する。
【0056】
このとき、光接続子20の先端部とオプトデバイス100の光信号端子との間隔T2が、光接続子20が光信号端子と光学的に接続される間隔であるように、オプトデバイス100と検査用接続装置とを接近させる。光接続子20の先端部とオプトデバイス100との間隔は、電気接続子10の先端長T1の設定やオーバードライブの設定により、一定の範囲で制御できる。例えば、電気接続子10の先端長T1が160μmであり、60μmのオーバードライブを印加した場合、間隔T2は100μm程度である。
【0057】
図1に示した検査用接続装置では、電気接続子10と光接続子20のそれぞれが所定の位置精度でプローブヘッド30に配置されている。このため、上記のように、電気接続子10をオプトデバイス100の電気信号端子に対して位置合わせすることにより、光接続子20についても同時にオプトデバイス100の光信号端子に対して位置合わせされる。このため、検査用接続装置とオプトデバイスとの位置合わせが容易である。更に、電気接続子10とオプトデバイス100の電気信号端子、及び、光接続子20とオプトデバイス100の光信号端子が、同時に所定の位置精度で接続されるため、オプトデバイス100に対する電気的測定と光学的測定を並行して行うことができる。
【0058】
以下に、
図12に示すように電気信号端子101と光信号端子102が配置されたオプトデバイス100に対応する検査用接続装置について説明する。
図12に示したオプトデバイス100は、電気信号端子101が信号入力端子、光信号端子102が発光面であるVCSELの例である。
【0059】
ウェハ状態では、複数のオプトデバイス100が配列される。このため、
図13に示すように、電気信号端子101と光信号端子102の位置に対応してそれぞれ形成された電気接続子用ガイド穴301と光接続子用ガイド穴302を含むユニット310が配列されたプローブヘッド30を準備する。
図13は、ボトムガイド板31の平面図である。1つのユニット310は1つのオプトデバイス100に対応している。即ち、プローブヘッド30は、単一のオプトデバイス100の電気信号端子と光信号端子のそれぞれに電気接続子10の先端部と光接続子20の先端部を対応させるユニット310を複数配列した構成を有する。
【0060】
プローブヘッド30のガイド板及びガイドフィルムに形成されたガイド穴に、電気接続子10と光接続子20を挿入する。これにより、電気接続子10と光接続子20の先端部の位置が決定される。
【0061】
通常、オプトデバイス100は、ウェハ状態において格子状に配列されている。そのため、ユニット310の位置を格子状に配列されたオプトデバイス100の位置に合わせることが一般的である。しかし、ユニット310の配置をウェハ状態でのオプトデバイス100の配列の仕方に応じて配置することもできる。
図14(a)~
図14(e)にユニット310の配置のバリエーションを示す。
【0062】
例えば、
図14(a)に示すように、X方向とY方向にユニット310が隣接して配列される。或いは、
図14(b)に示すように、X方向には隣接し、Y方向には隙間を介在して、ユニット310が配置される。また、
図14(c)に示すように、X方向には隙間を介在し、Y方向には隣接して、ユニット310が配置される。
【0063】
または、
図14(d)に示すように、X方向及びY方向に隙間を介在してユニット310が配置されたり、
図14(e)に示すように、平面視で斜めにユニット310が配列されたりする。
【0064】
以上に説明したように、実施形態に係る検査用接続装置では、電気接続子10の先端部と光接続子20の先端部が、正確に接続するように所定の位置精度でプローブヘッド30に設置されている。電気接続子10と光接続子20の位置関係をオプトデバイスの信号端子の位置関係と正確に対応させることにより、オプトデバイスの電気信号端子と電気接続子10の位置合わせを行うことで、光接続子20をオプトデバイスの光信号端子に位置合わせできる。このように、実施形態に係る検査用接続装置によれば、オプトデバイスとの位置合わせが容易である。更に、一つのユニット310に電気接続子10と光接続子20を配置することにより、オプトデバイスの電気的測定と光学的測定を並行して行うことができる。
【0065】
また、実施形態に係る検査用接続装置では、光接続子20が、プローブヘッド30に固着され、トランスフォーマ40には固着されずに貫通する。一方、プローブヘッド30の上面に露出する電気接続子10の基端部と、トランスフォーマ40の下面に配置された接続配線41の端部とが、電気的に接続する。このような構成により、プローブヘッド30とトランスフォーマ40とが脱着自在である。したがって、検査用接続装置のメンテナンスが容易である。
【0066】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0067】
例えば、上記ではトランスフォーマ40の内部に配置される接続配線41が配線ワイヤ70の一部である構成を示した。しかし、トランスフォーマ40に、MLO(Multi-Layer Organic)やMLC(Multi-Layer Ceramic)などの多層配線基板を使用してもよい。接続配線41を導電層として形成した配線基板をトランスフォーマ40に使用することにより、電気接続子10の基端部と接続する接続配線41の一方の端部の間隔よりも、配線ワイヤ70と接続する接続配線41の他方の端部の間隔を広げることができる。これにより、配線ワイヤ70の相互の間隔を広げることが容易になる。なお、トランスフォーマ40に配線基板を使用する場合には、配線基板を光接続子20が貫通するための貫通孔を、接続配線41の配置されていない領域に形成する。
【0068】
また、電気接続子10には、プローブヘッド30の内部で屈曲するプローブの代わりにスプリングピンを使用してもよい。
【0069】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0070】
10…電気接続子
20…光接続子
30…プローブヘッド
31…ボトムガイド板
32…トップガイド板
33…スペーサ
34…第1ガイドフィルム
35…第2ガイドフィルム
40…トランスフォーマ
41…接続配線
50…スティフナ
60…メイン基板
70…配線ワイヤ
80…樹脂
100…オプトデバイス
101…電気信号端子
102…光信号端子