(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】泡吐出具及び泡吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20230501BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B1/02 101
(21)【出願番号】P 2019089275
(22)【出願日】2019-05-09
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】竹内 将城
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052601(JP,A)
【文献】実開昭55-156812(JP,U)
【文献】実開昭62-114811(JP,U)
【文献】特開2012-210603(JP,A)
【文献】特開2011-031889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 1/02
B65D 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着される装着キャップと、ノズルを備えた押下げヘッドと、前記装着キャップに支持され前記押下げヘッドの押下げ操作により作動するポンプと、前記ポンプに接続された吸引用パイプと、前記ノズルの内部に配置されたメッシュ部材とを備え、前記吸引用パイプから吸引した内容液を空気と混合しつつ前記メッシュ部材を通して前記ノズルから泡状に吐出する泡吐出具であって、
前記ノズルの内部に内容液が流通する流通孔を備えた保護部が設けられ、
前記メッシュ部材が前記保護部に重ねて配置され
、
前記ノズルが前記吸引用パイプを挿通可能な形状に形成され、
前記流通孔が前記吸引用パイプを挿通不能な形状に形成されていることを特徴とする泡吐出具。
【請求項2】
前記保護部が複数の前記流通孔を備えた格子状に形成されている、請求項
1に記載の泡吐出具。
【請求項3】
容器本体の口部に装着される装着キャップと、ノズルを備えた押下げヘッドと、前記装着キャップに支持され前記押下げヘッドの押下げ操作により作動するポンプと、前記ポンプに接続された吸引用パイプと、前記ノズルの内部に配置されたメッシュ部材とを備え、前記吸引用パイプから吸引した内容液を空気と混合しつつ前記メッシュ部材を通して前記ノズルから泡状に吐出する泡吐出具であって、
前記ノズルの内部に内容液が流通する流通孔を備えた保護部が設けられ、
前記メッシュ部材が前記保護部に重ねて配置され、
前記保護部が、それぞれ前記ノズルの内周面から突出して互いに端面を対向させて配置された一対の仕切り壁と、
それぞれの前記仕切り壁の端面に一体に設けられ、該端面から前記ノズルの軸心に向けて突出する一対の突起と、を有する
ことを特徴とする泡吐出具。
【請求項4】
内容液を収容する前記容器本体と、
請求項1~
3の何れか1項に記載の前記泡吐出具と、有することを特徴とする泡吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に収容された内容液を泡状に吐出する泡吐出具及び泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、洗顔料等の液体を内容液として収容する容器として、内容液を収容する容器本体に、容器本体の口部に装着される装着キャップと、ノズルを備えた押下げヘッドと、装着キャップに支持されて押下げヘッドの押下げ操作により作動するポンプと、ポンプに接続された吸引用パイプと、ノズルの内部に配置されたメッシュ部材とを備えた泡吐出具を装着した構成を有し、押下げヘッドを押下げ操作してポンプを作動させることで、吸引用パイプから吸引した内容液を空気と混合しつつメッシュ部材を通してノズルから泡状に吐出するようにした泡吐出容器が知られている(例えば特許文献1参照)。このようなポンプ式の泡吐出具ないし泡吐出容器によれば、ノズルの内部に配置したメッシュ部材により、空気と混合された内容液をより肌理の細かい泡状としてノズルから吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の泡吐出具ないし泡吐出容器のように、ノズルの内部にメッシュ部材を配置した構成では、ノズルの内部に不意に細長い部材が侵入してメッシュ部材が破損する虞があるという問題があった。
【0005】
例えば、ノズルが吸引用パイプを挿通可能な形状に形成されている場合には、容器本体に装着される前の多量の泡吐出具を運搬等する際に、泡吐出具のノズルの内部に他の泡吐出具の吸引用パイプが不意に侵入し、メッシュ部材を破損させる虞がある。また、容器本体に泡吐出具を装着した後の使用状態においても、ノズルの内部に細長い部材が不意に侵入してメッシュ部材を破損させる虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、ノズルの内部に配置されたメッシュ部材の破損を抑制することができる泡吐出具及び泡吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の泡吐出具は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、ノズルを備えた押下げヘッドと、前記装着キャップに支持され前記押下げヘッドの押下げ操作により作動するポンプと、前記ポンプに接続された吸引用パイプと、前記ノズルの内部に配置されたメッシュ部材とを備え、前記吸引用パイプから吸引した内容液を空気と混合しつつ前記メッシュ部材を通して前記ノズルから泡状に吐出する泡吐出具であって、前記ノズルの内部に内容液が流通する流通孔を備えた保護部が設けられ、前記メッシュ部材が前記保護部に重ねて配置され、前記ノズルが前記吸引用パイプを挿通可能な形状に形成され、前記流通孔が前記吸引用パイプを挿通不能な形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の泡吐出具は、上記構成において、前記保護部が複数の前記流通孔を備えた格子状に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明の泡吐出具は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、ノズルを備えた押下げヘッドと、前記装着キャップに支持され前記押下げヘッドの押下げ操作により作動するポンプと、前記ポンプに接続された吸引用パイプと、前記ノズルの内部に配置されたメッシュ部材とを備え、前記吸引用パイプから吸引した内容液を空気と混合しつつ前記メッシュ部材を通して前記ノズルから泡状に吐出する泡吐出具であって、前記ノズルの内部に内容液が流通する流通孔を備えた保護部が設けられ、前記メッシュ部材が前記保護部に重ねて配置され、前記保護部が、それぞれ前記ノズルの内周面から突出して互いに端面を対向させて配置された一対の仕切り壁と、それぞれの前記仕切り壁の端面に一体に設けられ、該端面から前記ノズルの軸心に向けて突出する一対の突起と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の泡吐出容器は、内容液を収容する前記容器本体と、上記泡吐出具と、有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ノズルの内部に配置されたメッシュ部材の破損を抑制することができる泡吐出具及び泡吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態である泡吐出具を備えた泡吐出容器を、ノズルと容器本体の一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図2】ノズルを
図1に示す矢視Aから見た図である。
【
図5】変形例の泡吐出具のノズルの要部を拡大して示す拡大図である。
【
図6】変形例の泡吐出具のノズルを
図5に示す矢視Cから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る泡吐出具及び泡吐出容器について詳細に例示説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施の形態である泡吐出容器1は、容器本体10と泡吐出具20とを有している。
【0016】
容器本体10は、合成樹脂製のブロー成形品であり、円筒状の口部11と口部11に連なる胴部12とを備えたボトル形状となっている。容器本体10は、その内部に、例えばハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、洗顔料等の発泡性を有する液体を内容液として収納することができる。
【0017】
なお、容器本体10は、口部11を備えるとともに内部に内容液を収納可能な構成であれば、その形状や材質、製造方法等は種々変更可能である。
【0018】
泡吐出具20は、容器本体10に装着して用いられるものであり、装着キャップ30、ポンプ40、吸引用パイプ50及び押下げヘッド60を備えている。
【0019】
装着キャップ30は、例えば合成樹脂材料により周壁31と天壁32とを有する有頂筒状に形成される。周壁31の内周面には雌ねじ部(不図示)が設けられており、この雌ねじ部が容器本体10の口部11の外周面に設けられた雄ねじ部(不図示)にねじ結合して、装着キャップ30つまり泡吐出具20は容器本体10の口部11に装着されている。
【0020】
なお、装着キャップ30は、容器本体10の口部11にねじ結合により装着される構成に限らず、例えば、アンダーカット係合を用いた打栓など、他の構成により容器本体10の口部11に固定することもできる。また、装着キャップ30は、容器本体10の口部11に装着されてポンプ40を支持することができるものであれば、その形状も種々変更可能である。
【0021】
ポンプ40は、装着キャップ30の軸心に沿った円筒状に形成された空気供給部41と空気供給部41よりも小径の円筒状に形成されて空気供給部41に連なる液体供給部42とを備えている。空気供給部41と液体供給部42は装着キャップ30と同軸に縦向きの姿勢で配置されている。ポンプ40は、空気供給部41の上端側部分において装着キャップ30に支持されて容器本体10の内部に吊り下げ保持されている。
【0022】
吸引用パイプ50はポンプ40の下端に接続され、ポンプ40の液体供給部42に連通している。吸引用パイプ50の下端の吸引口51は、容器本体10の底部分に開口している。吸引用パイプ50は、例えば柔軟な合成樹脂製とすることができるが、硬質の合成樹脂製とするなど、その材質等は種々変更可能である。
【0023】
押下げヘッド60は、例えば略円形に形成される操作面61aを上面に有するヘッド部61と、ヘッド部61の側部に一体に連なるノズル62とを備えている。ノズル62は、ヘッド部61から斜め下方に向けて延びており、その内部は内容液の流路62aとなっている。
図2、
図3に示すように、本実施の形態においては、ノズル62は、軸線方向に垂直な断面が横長の略長方形状となる角筒状であるとともに、基端側(流路62aの上流側)から先端側(流路62aの下流側)に向けて徐々に軸線方向に垂直な断面積(流路62aの断面積)が拡大する形状となっている。
【0024】
詳細は図示しないが、ポンプ40は押下げヘッド60に向けて上方に突出するステムを備えており、押下げヘッド60はステムの上端に固定されている。ノズル62の内部の流路62aはステムを介して液体供給部42の内部に連通している。
【0025】
押下げヘッド60はステムとともに押下げ操作可能となっている。操作面61aを下方(ポンプ40の側)に向けて押して押下げヘッド60を装着キャップ30に対して
図1に示す初期位置から下方に向けて押下げ操作することで、ポンプ40を作動(吐出動作)させることができる。ポンプ40が作動(吐出動作)すると、空気供給部41の内部の空気と液体供給部42の内部の液体とが互いに混合されつつステムからノズル62に向けて圧送され、流路62aを通ってノズル62の開口端から外部に吐出される。
【0026】
押下げヘッド60の押下げ操作が解除されると、押下げヘッド60は図示しない復帰バネにより初期位置にまで上昇する。押下げヘッド60が初期位置まで上昇すると、ポンプ40の吸引動作が行われる。吸引動作においては、容器本体10の内部の空気が所定量だけ吸引されて空気供給部41に充填されるとともに、容器本体10の内部に収容されている内容液が所定量だけ吸引用パイプ50の吸引口51から吸引されて液体供給部42の内部に充填される。
【0027】
ヘッド部61の下部には円筒状の筒体63が一体に設けられている。一方、装着キャップ30の天壁32には上方に向けて突出する支持筒33が一体に設けられており、押下げヘッド60を押下げ操作する際に筒体63が支持筒33に案内される。
【0028】
ノズル62の内部にはメッシュ部材70と保護部80とが設けられている。本実施の形態では、ノズル62の先端にアダプタ71が装着され、このアダプタ71に保護部80が一体に設けられるとともにメッシュ部材70が固定されている。
【0029】
より具体的には、
図2、
図3に示すように、アダプタ71は、ノズル62の開口端側の部分における内周面に対応した形状の外周面を有する角筒状に形成された嵌合筒部71aを備えている。アダプタ71は、嵌合筒部71aがノズル62の内面に嵌合するとともにアンダーカット係合することでノズル62に固定されている。アダプタ71がノズル62に固定された状態において、嵌合筒部71aの内側はノズル62の流路62aの一部を構成している。嵌合筒部71aのノズル62の開口端の側となる先端には外向きに延びる鍔部71bが全周に亘って一体に設けられている。鍔部71bがノズル62の開口端に当接することで、アダプタ71は方向位置が規定されている。
【0030】
保護部80は、内容液が流通する複数の流通孔81を備えた格子状に形成されている。より具体的には、保護部80は、嵌合筒部71aの後端側の部分における内周面に一体に連なる1本の横リブ80aと3本の縦リブ80bとを有している。横リブ80aは嵌合筒部71aの内面の横方向の一方側からノズル62の軸心を通過して他方側に達するように横方向に延び、横長の角筒状に形成されたノズル62の内部の流路62aを横方向に横断している。一方、3本の縦リブ80bは、それぞれ横リブ80a及びノズル62の軸方向のそれぞれに対して垂直な方向に延び、それぞれ横長の角筒状に形成されたノズル62の内部の流路62aを縦方向に横断している。嵌合筒部71a、横リブ80a及び縦リブ80bで区画された部分がそれぞれ流通孔81となっており、すなわち保護部80には合計8つの流通孔81が設けられている。
【0031】
メッシュ部材70は、例えば合成樹脂等により網状に形成された部材であり、嵌合筒部71aの後端面(ノズル62の開口端とは反対側を向く端面)に、例えば接着、溶着等の手段によって固定されている。メッシュ部材70はノズル62の軸方向に垂直な姿勢で、保護部80よりも流路62aの上流側において当該保護部80に重ねて配置されている。保護部80に重ねて配置されたメッシュ部材70は、保護部80の8つの流通孔81の全体を覆っている。なお、嵌合筒部71aのメッシュ部材70が固定される後端側の部分における外周面とノズル62の内周面との間には若干の隙間が設けられている。
【0032】
なお、メッシュ部材70は、嵌合筒部71aの後端面に加えて横リブ80a及び縦リブ80bの後端面にも接着等の手段により固定された構成としてもよい。
【0033】
上記構成を有する泡吐出容器1では、押下げヘッド60が押下げ操作されると、ポンプ40が作動し、吸引用パイプ50から吸引された内容液が空気と混合されつつノズル62にまで圧送される。ノズル62にまで圧送されてきた内容液は、ノズル62の内部の流路62aに配置されたメッシュ部材70を通過することで肌理の細かい泡状となる。メッシュ部材70を通過して肌理の細かい泡状となった内容液は、保護部80の8つの流通孔81を通過してノズル62の開口端から外部に吐出される。
【0034】
このように、本実施の形態の泡吐出具20ないし泡吐出容器1によれば、ノズル62の内部にメッシュ部材70を配置した構成としたことにより、空気と混合されつつノズル62にまで圧送されてきた内容液をノズル62の内部において、より肌理の細かい泡状としてノズル62から外部に吐出させることができる。
【0035】
また、本実施の形態の泡吐出具20ないし泡吐出容器1によれば、ノズル62の内部に保護部80を設けたことにより、ノズル62の内部に細長い部材が不意に侵入した場合に、当該部材を保護部80に当接させてメッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することを抑制することができる。これにより、ノズル62の内部にメッシュ部材70を配置した構成として内容液をより肌理の細かい泡状としてノズル62から外部に吐出させることを可能としつつ、メッシュ部材70の破損を抑制することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態の泡吐出具20ないし泡吐出容器1では、ノズル62を、その基端側から先端側に向けて徐々に軸線方向に垂直な断面積が拡大する形状とし、当該断面積が拡大した部分にメッシュ部材70を配置するようにしているので、メッシュ部材70としてより大きなものを用いることができる。これにより、内容液がメッシュ部材70を通過する際の抵抗を低減させることができるので、内容液を吐出させるために必要な押下げヘッド60の押下げ力を低減させて、より容易な操作で内容液をノズル62から泡状に吐出することが可能となる。
【0037】
さらに、本実施の形態の泡吐出具20ないし泡吐出容器1によれば、保護部80を複数の流通孔81を備えた格子状に形成するようにしたので、内容液を流通させるための流通孔81の面積を確保しつつ、ノズル62の内部に侵入した部材がメッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することを効果的に抑制することができる。よって、内容液を吐出させるために必要な押下げヘッド60の押下げ力を低減させつつ、メッシュ部材70の破損を抑制することができる。
【0038】
さらに、本実施の形態の泡吐出具20ないし泡吐出容器1では、メッシュ部材70を格子状に形成された保護部80に重ねて配置するようにしたので、断面積を大きくしたノズル62の流路62aに対応して、より大きなメッシュ部材70を用いた場合であっても、メッシュ部材70の各部を格子状の保護部80により支持して、内容液を吐出する際の抵抗によってメッシュ部材70に撓みが生じることを抑制することができる。これにより、内容液を、より安定して良質の泡状に吐出させることができる。
【0039】
本実施の形態の泡吐出具20ないし泡吐出容器1では、ノズル62は、吸引用パイプ50を挿通可能な形状に形成されている。すなわち、
図2に示すように、ノズル62の開口端における流路62aの横寸法及び縦寸法は、何れも、吸引用パイプ50の外径寸法(
図2中に二点鎖線で示す)よりも大きくなっている。このような構成の泡吐出具20では、容器本体10に装着される前に、多量の泡吐出具20が運搬等される際、泡吐出具20のノズル62の内部に他の泡吐出具20の吸引用パイプ50が不意に侵入する虞がある。
【0040】
これに対し、本実施の形態の泡吐出具20では、保護部80は、流通孔81が吸引用パイプ50を挿通不能な形状に形成されている。より具体的には、それぞれの流通孔81は、その縦寸法及び横寸法の少なくとも何れか一方が、吸引用パイプ50の外径寸法(
図2中に二点鎖線で示す)よりも小さい形状に形成されている。したがって、泡吐出具20のノズル62の内部に他の泡吐出具20の吸引用パイプ50が不意に侵入しても、吸引用パイプ50は流通孔81を通過することができず、保護部80すなわち横リブ80aまたは縦リブ80bの少なくとも何れかに当接して、メッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することが抑制される。これにより、ノズル62が吸引用パイプ50を挿通可能な形状に形成されている場合であっても、ノズル62の内部に不意に侵入した他の泡吐出具20の吸引用パイプ50によりメッシュ部材70が破損されることを抑制することができる。
【0041】
図4は変形例の泡吐出具20の側面図であり、
図5は変形例の泡吐出具20のノズル62の要部を拡大して示す拡大図であり、
図6は変形例の泡吐出具20のノズル62を
図5に示す矢視Cから見た図である。なお、
図4~
図6において、前述した部材に対応する部材には、同一の符号を付してある。
【0042】
図4~
図6に示す変形例の泡吐出具20では、ノズル62の先端に装着されたアダプタ71は、
図3に示すアダプタ71の嵌合筒部71aと同様の嵌合筒部(
図4~
図6には不図示)と嵌合筒部に連なる鍔部71bを備えるとともに、鍔部71bのノズル62とは反対側を向く軸方向外側面に円筒状の突出筒71cが一体に設けられた構成となっている。突出筒71cは、ノズル62の一部を構成し、その内側は内容液の流路62aとなっている。
【0043】
突出筒71cの鍔部71bとは反対側を向く軸方向外側面には6本の爪部71dが一体に設けられている。6本の爪部71dは、それぞれ突出筒71cの軸心に平行に延びるとともに先端において厚みが徐々に薄くなる形状を有し、突出筒71cの軸心を中心として周方向に等間隔に並べて配置されている。
【0044】
図4~
図6に示す変形例の泡吐出具20では、保護部80は嵌合筒部と鍔部71bの内側に設けられている。より具体的には、
図6に示すように、保護部80は、それぞれノズル62の一部を構成する嵌合筒部と鍔部71bの内周面から突出して互いに端面を対向させて配置された一対の仕切り壁80cを有している。それぞれの仕切り壁80cは、鍔部71bから嵌合筒部の後端部(ノズル62の開口端とは反対側を向く端部)まで延びており、鍔部71bと嵌合筒部の内側は一対の仕切り壁80cにより区画された横長で略矩形の流通孔81となっている。流通孔81は流路62aの一部を構成しており、ノズル62の流路62aに圧送されてきた内容液は、流通孔81を通って外部に吐出される。
【0045】
メッシュ部材70は、嵌合筒部の後端面(ノズル62の開口端とは反対側を向く端面)に例えば接着、溶着等の手段によって固定されて、ノズル62の軸方向に垂直な姿勢で保護部80よりも上流側において保護部80に重ねて配置されている。なお、メッシュ部材70を嵌合筒部の後端面に加えて一対の仕切り壁80cの後端面(流路62aの上流側を向く面)にも例えば接着、溶着等の手段によって固定する構成としてもよい。
【0046】
また、保護部80は、それぞれの仕切り壁80cの後端部に一体に設けられ、仕切り壁80cの内面からノズル62ないし突出筒71cの軸心に向けて突出する一対の突起80dを有している。一対の突起80dは、それぞれ仕切り壁80cの後端部の幅方向の中心位置に設けられている。
【0047】
なお、符号90は、流通時や不使用時に支持筒33に装着されて押下げヘッド60の押下げ操作を規制するストッパー部材である。
【0048】
上記構成を有する変形例の泡吐出具20を用いた泡吐出容器1においても、ノズル62にまで圧送されてきた内容液は、嵌合筒部ないし保護部80の後端面において流路62aに配置されたメッシュ部材70を通過することで肌理の細かい泡状となる。また、メッシュ部材70を通過して肌理の細かい泡状となった内容液は、その一部が6本の爪部71dの隣り合う爪部71dの間に入り込みつつこれらの爪部71dの先端側から吐出されることにより、外周面に爪部71dの間に対応した筋状の凹凸を有する形状で外部に吐出される。なお、6本の爪部71dの先端を手のひら等の被吐出物に押し当てた状態で泡状の内容液を吐出させた場合には、隣り合う爪部71dの間から泡状の内容液を放射状に吐出させることができる。
【0049】
また、変形例の泡吐出具20を用いた泡吐出容器1においても、嵌合筒部及び鍔部71bの内側に保護部80を設けたことにより、6本の爪部71dの内側を通してノズル62の内部に細長い部材が不意に侵入した場合に、当該部材を、保護部80を構成する一対の仕切り壁80cの何れか一方または両方に当接させて、当該部材がメッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することを抑制することができる。これにより、ノズル62の内部にメッシュ部材70を配置した構成として内容液をより肌理の細かい泡状としてノズル62から外部に吐出させることを可能としつつ、メッシュ部材70の破損を抑制することができる。また、それぞれの仕切り壁80cの後端部に一対の突起80dを設けたことにより、たとえ一対の仕切り壁80cの間の流通孔81に細長い部材が侵入したとしても、当該部材を突起80dに当接させて、細長い部材がメッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することを抑制することができる。したがって、流通孔81の断面積を確保しつつ、突出筒71cの内部に侵入した細長い部材がメッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することを、さらに効果的に抑制することができる。
【0050】
変形例の泡吐出具20を用いた泡吐出容器1においても、保護部80は、流通孔81が吸引用パイプ50を挿通不能な形状に形成されている。より具体的には、流通孔81は、その縦寸法が吸引用パイプ50の外径寸法(
図6中に二点鎖線で示す)よりも小さい形状に形成されている。また、一対の突起80dの間隔も吸引用パイプ50の外径寸法よりも小さくなっている。したがって、ノズル62の内部に他の泡吐出具20の吸引用パイプ50が不意に侵入しても、吸引用パイプ50は一対の仕切り壁80cの何れかに当接して流通孔81を通過することができず、メッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することが抑制される。また、吸引用パイプ50が、その断面が楕円形となるように変形して一対の仕切り壁80cの流通孔81に侵入した場合であっても、一対の仕切り壁80cの後端部に設けられた突起80dに吸引用パイプ50が当接することで、吸引用パイプ50がメッシュ部材70に当接する位置にまで侵入することが抑制される。これにより、ノズル62が吸引用パイプ50を挿通可能な形状に形成されている場合であっても、突出筒71cの内側に不意に侵入した他の泡吐出具20の吸引用パイプ50によりメッシュ部材70が破損されることを抑制することができる。
【0051】
また、変形例の泡吐出具20を用いた泡吐出容器1では、一対の仕切り壁80cの後端部の幅方向の中心位置に、嵌合筒部の後端面に連なるとともにノズル62ないし流通孔81の軸心に向けて突出する一対の突起80dを設けているので、嵌合筒部の後端面に固定されたメッシュ部材70の幅方向の中心位置の上下部分をそれぞれ突起80dにより支持して、内容液を吐出する際の抵抗によってメッシュ部材70に撓みが生じることを抑制することができる。これにより、内容液を、より安定して良質の泡状に吐出させることができる。
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0053】
例えば、前記実施の形態においては、保護部80を、格子状に形成された構成または対の仕切り壁80cと一対の突起80dを有する構成としたが、これに限らず、内容液が流通する流通孔81を備えてノズル62の内部に設けられたものであれば、例えば保護部80をリブ状に形成するなど、その形状は種々変更可能である。
【0054】
さらに、メッシュ部材70及び保護部80は、ノズル62の内部に設けられていれば、その位置は任意に変更可能である。
【0055】
さらに、前記実施の形態においては、ノズル62は、吸引用パイプ50を挿通可能な形状に形成されたものとなっているが、これに限らず、吸引用パイプ50を挿通不能な形状に形成されたものとすることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 泡吐出容器
10 容器本体
11 口部
12 胴部
20 泡吐出具
30 装着キャップ
31 周壁
32 天壁
33 支持筒
40 ポンプ
41 空気供給部
42 液体供給部
50 吸引用パイプ
51 吸引口
60 押下げヘッド
61 ヘッド部
61a 操作面
62 ノズル
62a 流路
63 筒体
70 メッシュ部材
71 アダプタ
71a 嵌合筒部
71b 鍔部
71c 突出筒
71d 爪部
80 保護部
80a 横リブ
80b 縦リブ
80c 仕切り壁
80d 突起
81 流通孔
90 ストッパー部材