(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】イオン発生装置および電気機器
(51)【国際特許分類】
H01T 19/04 20060101AFI20230501BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20230501BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01T19/04
H01T23/00
A61L9/22
(21)【出願番号】P 2019090005
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大江 信之
(72)【発明者】
【氏名】江崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲之
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-129464(JP,A)
【文献】特開2018-101635(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055787(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 - 23/00
A61L 9/00 - 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次側が接地されていない高圧トランスと、
放電側配線パターンと、
誘導側配線パターンと、
前記高圧トランスの2次側の端子のうち、一方の端子に、前記放電側配線パターンを介して接続される放電電極と、
前記高圧トランスの2次側の端子のうち、他方の端子に、前記誘導側配線パターンを介して接続される誘導電極と、を備え、
前記一方の端子の幅を第1の幅とした場合、前記放電側配線パターンは、前記第1の幅よりも幅広な第2の幅に形成された放電側拡幅領域を有し、
前記他方の端子の幅を第3の幅とした場合、前記誘導側配線パターンは、前記第3の幅よりも幅広な第4の幅に形成された誘導側拡幅領域を有し、
前記放電側拡幅領域および前記誘導側拡幅領域の少なくとも一部は、平面視において互いに重畳しているイオン発生装置。
【請求項2】
前記高圧トランスと前記放電電極とは、ダイオードを介して接続され、
前記放電側拡幅領域は、前記ダイオードよりも前記高圧トランス側に形成されている請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記放電側配線パターンと、前記誘導側配線パターンとは、同一の基板の互いに異なる面に形成されている請求項1
または2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
2次側が接地されていない高圧トランスと、
放電側配線パターンと、
誘導側配線パターンと、
前記高圧トランスの2次側の端子のうち、一方の端子に、前記放電側配線パターンを介して接続される放電電極と、
前記高圧トランスの2次側の端子のうち、他方の端子に、前記誘導側配線パターンを介して接続される誘導電極と、を備え、
前記一方の端子の幅を第1の幅とした場合、前記放電側配線パターンは、前記第1の幅よりも幅広な第2の幅に形成された放電側拡幅領域を有し、
前記放電側拡幅領域および前記誘導側配線パターンの少なくとも一部は、平面視において互いに重畳しており、
前記高圧トランスの一次側に設けられた駆動回路を前記放電側配線パターンおよび前記誘導側配線パターンで生じる電磁ノイズから遮断するシールドをさらに備え
るイオン発生装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載のイオン発生装置を備える電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置、および当該イオン発生装置を備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パルス電圧を生成可能なパルス生成装置と、パルス電圧が印加される複数の電極と、複数の電極間に生じた放電によりオゾンを生成する放電反応器とを備えるオゾン生成装置が開示されている。当該オゾン生成装置は、パルス生成装置内の磁気パルス圧縮回路を覆う第1シールドと、放電反応器を覆う、第1シールドとは独立した第2シールドとを備える。
【0003】
また、特許文献2には、装置全体の制御を司る電力制御部と、電力制御部からの指令に基づき、放電部に印加する高電圧を発生する高圧発生回路とを備えるイオン発生装置が開示されている。当該イオン発生装置においては、電力制御部は、第1の基板に設けられると共に、高圧発生回路は、第1の基板とは異なる位置に配置された第2の基板に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-37650号公報
【文献】特開2013-4416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている装置は、オゾンを発生させるための構成に加えて、互いに独立した2つのシールドを備える必要がある。このため、装置の小型化が困難であるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示されている装置によれば、当該装置により発生するノイズのうち、伝導ノイズについては容易に低減できるが、放射ノイズおよび誘導ノイズを低減するためには第1の基板と第2の基板とを大きく離隔させる必要がある。このため、特許文献2に開示されている装置についても小型化が困難である。
【0007】
本発明の一態様は、小型かつノイズを低減可能なイオン発生装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るイオン発生装置は、2次側が接地されていない高圧トランスと、放電側配線パターンと、誘導側配線パターンと、前記高圧トランスの2次側の端子のうち、一方の端子に、前記放電側配線パターンを介して接続される放電電極と、前記高圧トランスの2次側の端子のうち、他方の端子に、前記誘導側配線パターンを介して接続される誘導電極と、を備え、前記一方の端子の幅を第1の幅とした場合、前記放電側配線パターンは、前記第1の幅よりも幅広な第2の幅に形成された放電側拡幅領域を有し、前記他方の端子の幅を第3の幅とした場合、前記誘導側配線パターンは、前記第3の幅よりも幅広な第4の幅に形成された誘導側拡幅領域を有し、前記放電側拡幅領域および前記誘導側拡幅領域の少なくとも一部は、平面視において互いに重畳している。
また、本発明の一態様に係るイオン発生装置は、2次側が接地されていない高圧トランスと、放電側配線パターンと、誘導側配線パターンと、前記高圧トランスの2次側の端子のうち、一方の端子に、前記放電側配線パターンを介して接続される放電電極と、前記高圧トランスの2次側の端子のうち、他方の端子に、前記誘導側配線パターンを介して接続される誘導電極と、を備え、前記一方の端子の幅を第1の幅とした場合、前記放電側配線パターンは、前記第1の幅よりも幅広な第2の幅に形成された放電側拡幅領域を有し、前記放電側拡幅領域および前記誘導側配線パターンの少なくとも一部は、平面視において互いに重畳しており、前記高圧トランスの一次側に設けられた駆動回路を前記放電側配線パターンおよび前記誘導側配線パターンで生じる電磁ノイズから遮断するシールドをさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、小型かつノイズを低減可能なイオン発生装置などを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態1に係るイオン発生装置の構成を示す図である。
【
図2】実施形態1に係るイオン発生装置の回路構成の概略を示す図である。
【
図3】(a)は、
図1のA-A線断面矢視図であり、(b)は、
図1のB-B線断面矢視図であり、(c)は、平面視における放電側パターンの拡幅領域と誘導側配線パターンの拡幅領域との位置関係を示す図である。
【
図4】実施形態2に係るイオン発生装置の構成を示す図である。
【
図5】実施形態3に係るイオン発生装置の回路構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
図2は、本実施形態に係るイオン発生装置1の回路構成の概略を示す図である。
図2に示すように、イオン発生装置1は、駆動回路11、高圧トランス12、ダイオード13aおよび13b、放電電極14aおよび14b、ならびに誘導電極15を備える。
【0013】
駆動回路11は、外部からの入力電圧により高圧トランス12を駆動するためのものである。高圧トランス12は、駆動回路11により駆動されて入力電圧を昇圧するためのものである。
【0014】
ダイオード13aおよび13bは、高圧トランス12の一方の端子12a(
図3参照)と放電電極14aおよび14bとの間に、並列に接続されるものである。すなわち、高圧トランス12と放電電極14aおよび14bとは、ダイオード13aおよび13bを介して接続されている。ダイオード13aのアノードおよびダイオード13bのカソードが、端子12aに接続される。ダイオード13aのカソードが、放電電極14aに接続される。ダイオード13bのアノードが、放電電極14bに接続される。
【0015】
放電電極14aおよび14bは、誘導電極15との間に電界を形成するための電極である。誘導電極15は、放電電極14aおよび14bとの間に電界を形成するための電極である。
【0016】
イオン発生装置1においては、高圧トランス12の2次側は接地されていない。駆動回路11から高圧トランス12へ電力が供給されることで、放電電極14aおよび14bと誘導電極15との間で放電が生じ、イオンが発生する。イオン発生装置1の回路を構成する各構成要素については特に制限されず、公知の物を用いることができる。
【0017】
図1は、本実施形態に係るイオン発生装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、イオン発生装置1は、
図2に示した各部材に加えて、放電側基板21、誘導側基板22、放電側基板21および誘導側基板22を収容するケース23、ならびに、ケース23内で放電側基板21および誘導側基板22を封止する樹脂である封止樹脂24を備える。
【0018】
放電側基板21および誘導側基板22は、一般的な回路基板の材料により形成されていればよい。ケース23の材料の例としては、PBT(Poly Butylene Terephthalate)樹脂、PPE(Poly Phenylene Ether)樹脂、またはPC(Poly Carbonate)樹脂などが挙げられる。封止樹脂24の材料の例としては、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂などが挙げられる。簡単のため、
図3の(a)~(c)(後述)においては封止樹脂24を省略している。
【0019】
放電側基板21は、表面に放電側配線パターン21aが形成されるとともに、ダイオード13aおよび13bならびに放電電極14aおよび14bが配される基板である。放電側配線パターン21aは、高圧トランス12から放電電極14aおよび14bへ電力を供給する回路パターンである。
【0020】
放電電極14aおよび14bは、例えばブラシ電極、針電極または面電極である。以下の説明では、放電側基板21に対する放電電極14aおよび14bの位置(各図面における+Z側)を上側と称し、上側とは逆の側を下側と称する場合がある。
【0021】
誘導側基板22は、表面に誘導側配線パターン22aおよび誘導電極15が形成される基板である。誘導側配線パターン22aは、高圧トランス12から誘導電極15へ電力を供給する回路パターンである。誘導側基板22は、放電側基板21よりも上側に配される。誘導側基板22は、放電電極14aおよび14bが貫通する穴22bを有する。
【0022】
誘導電極15は、放電電極14aおよび14bのそれぞれを中心とする環状の面電極である。このため、誘導電極15に含まれる各部位は、放電電極14aまたは14bに対して略一定の距離に位置する。このため、誘導電極15の全体と放電電極14aまたは14bとの間で放電が生じることとなり、安定した放電を実現できる。なお、本実施の形態では、安定した放電を実現するため、誘導電極15を環状の面電極としているが、必ずしも環状でなくもよい。また、誘導電極15は、必ずしも面電極でなくてもよい。
【0023】
図3の(a)は、
図1のA-A線断面矢視図である。なお、
図1は、
図3の(a)のC-C線における断面矢視図である。イオン発生装置1において、放電電極14aおよび14bは、高圧トランス12の2次側の、一方の端子12aに、放電側配線パターン21aを介して接続される。
図3の(a)に示すように、放電側配線パターン21aは、トランス側接続領域211、拡幅領域212(放電側拡幅領域)、およびダイオード側接続領域213を有する。トランス側接続領域211は、端子12aが放電側配線パターン21aに接続される領域である。トランス側接続領域211の幅は、端子12aの幅(第1の幅)と等しい。ダイオード側接続領域213は、ダイオード13aおよび13bが放電側配線パターン21aに接続される領域である。
【0024】
拡幅領域212は、トランス側接続領域211とダイオード側接続領域213との間の領域である。拡幅領域212の幅(第2の幅)は、高圧トランス12の端子12aの幅よりも幅広に形成されている。
【0025】
図3の(b)は、
図1のB-B線断面矢視図である。イオン発生装置1において、誘導電極15は、高圧トランス12の2次側の、他方の端子12bに、誘導側配線パターン22aを介して接続される。
図3の(b)に示すように、誘導側配線パターン22aは、トランス側接続領域221、および拡幅領域222(誘導側拡幅領域)を有する。トランス側接続領域221は、高圧トランス12の、他方の端子12bが誘導側配線パターン22aに接続される領域である。トランス側接続領域221の幅は、端子12bの幅(第3の幅)と等しい。
【0026】
拡幅領域222は、トランス側接続領域221と誘導電極15との間の領域である。拡幅領域222の幅(第4の幅)は、端子12bの幅よりも幅広に形成されている。なお、端子12aと12bとの幅は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0027】
なお、放電側配線パターン21aは、必ずしもトランス側接続領域211および/またはダイオード側接続領域213を有する必要はなく、端子12aおよび/またはダイオード13aが拡幅領域212に直接接続されていてもよい。同様に、誘導側配線パターン22aは、必ずしもトランス側接続領域221を有する必要はなく、端子12bが拡幅領域222に直接接続されていてもよい。ただし、イオン発生装置1の製造のしやすさを考慮すると、放電側配線パターン21aがトランス側接続領域211およびダイオード側接続領域213を有し、誘導側配線パターン22aがトランス側接続領域221を有することが好ましい。
【0028】
また、放電側配線パターン21aがトランス側接続領域211および/またはダイオード側接続領域213を有する場合、当該領域は必ずしも端子12aおよび/またはダイオード13aの端子の幅と等しい幅である必要はない。同様に、誘導側配線パターン22aがトランス側接続領域221を有する場合、当該領域は必ずしも端子12bの幅と等しい幅である必要はない。ただし、これについても、イオン発生装置1の製造のしやすさを考慮すると、トランス側接続領域211およびダイオード側接続領域213の幅が端子12aおよびダイオード13aの端子の幅と等しく、トランス側接続領域221の幅が端子12bの幅と等しいことが好ましい。
【0029】
また、トランス側接続領域211および/またはダイオード側接続領域213が端子12aおよび/またはダイオード13aの端子の幅と等しい幅でない場合には、拡幅領域212は、トランス側接続領域211および/またはダイオード側接続領域213よりも幅広に形成されることが好ましい。同様に、トランス側接続領域221が端子12bの幅と等しい幅でない場合には、拡幅領域222は、端子12bよりも幅広に形成されることが好ましい。
【0030】
図3の(c)は、平面視における拡幅領域212および222の位置関係を示す図である。
図3の(c)には、放電側基板21も合わせて示されている。
図3の(c)に示すとおり、拡幅領域212および222は、平面視において互いに重畳している。ここでいう平面視とは、放電側基板21および誘導側基板22に垂直な方向における上側から見ることを意味する。なお、拡幅領域212および222の少なくとも一部が平面視において互いに重畳していればよく、全体が互いに重畳している必要はない。
【0031】
本実施形態では、拡幅領域212は、ダイオード13aおよび13bよりも高圧トランス12側に形成されている。ダイオード13aおよび13bよりも高圧トランス12側の領域の方が、ダイオード13aおよび13bよりも放電電極14aおよび14b側の領域よりも、電流が流れる距離が長い。このため、ダイオード13aおよび13bよりも高圧トランス12側の領域に拡幅領域212を設けることで、拡幅領域212を広くすることができる。したがって、拡幅領域212と拡幅領域222とが互いに重畳する領域を広くできるため、よりノイズを低減できる。
【0032】
上述したとおり、イオン発生装置1において、高圧トランス12の2次側は接地されていない。このため、放電側配線パターン21aで発生するノイズと、誘導側配線パターン22aで発生するノイズとは、互いに逆位相の波形を示す。イオン発生装置1においては、放電側配線パターン21aと誘導側配線パターン22aとの少なくとも一部が平面視において互いに重畳するように配されているため、これらのパターンのそれぞれで生じたノイズの少なくとも一部が互いに打ち消しあう。したがって、イオン発生装置1の駆動回路11またはイオン発生装置1を備える電気機器の制御回路などに入るノイズが低減される。また、シールドなどの部品を追加する必要がないため、それらの部品を用いるイオン発生装置と比較して安価に構成することができる。
【0033】
なお、イオン発生装置1において、誘導側配線パターン22aは、必ずしも拡幅領域222を有する必要はない。誘導側配線パターン22aが拡幅領域222を有しない場合であっても、放電側配線パターン21aが有する拡幅領域212と誘導側配線パターン22aの少なくとも一部が、平面視において互いに重畳することにより、ノイズが低減される。
【0034】
また、上述した例においては、放電側配線パターン21aは放電側基板21の上側に形成され、誘導側配線パターン22aは誘導側基板22の上側に形成されていた。しかし、放電側配線パターン21aは放電側基板21の下側に形成されてもよく、誘導側配線パターン22aは誘導側基板22の下側に形成されてもよい。
【0035】
また、本実施形態に係る電気機器は、上述したイオン発生装置1を備える。本発明に係る電気機器の例としては、空気調和機、空気浄化装置、ヘアドライヤー、掃除機、冷蔵庫、および洗濯機などが挙げられる。これらの電気機器は、上述したイオン発生装置1を備えることで、当該電気機器の制御回路等に入るノイズが低減される。したがって、電気機器を安価かつ小型に構成し、かつノイズに起因する当該電気機器の誤作動の虞を低減できる。
【0036】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0037】
図4は、本実施形態に係るイオン発生装置2の構成を示す図である。
図4に示すように、イオン発生装置2は、放電側基板21および誘導側基板22の代わりに単一の基板25のみを備える点で、イオン発生装置1と相違する。基板25の材料は、放電側基板21および誘導側基板22の材料と同様であってよい。
【0038】
図4に示すように、イオン発生装置2においては、放電側配線パターン21aは、基板25の下側の面に形成される。一方、誘導側配線パターン22aは、基板25の上側の面に形成される。ただし、
図4に示した例とは逆に、放電側配線パターン21aが基板25の上側の面に形成され、誘導側配線パターン22aが基板25の下側の面に形成されてもよい。すなわち、イオン発生装置2において、放電側配線パターン21aと、誘導側配線パターン22aとは、同一の基板25の互いに異なる面に形成されている。このとき、
図4のA-A線における断面図は、座標軸の方向を除いて、
図1のA-A線における断面図、すなわち
図3の(a)と同様である。また、
図4のB-B線における断面図は、
図1のB-B線における断面図、すなわち
図3の(b)と同様である。
【0039】
イオン発生装置2によっても、イオン発生装置1と同様にノイズを低減することができる。さらに、イオン発生装置2によれば、イオン発生装置1と比較して、部品点数の削減、およびさらなる小型化が可能になる。
【0040】
〔実施形態3〕
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係るイオン発生装置3の回路構成の概略を示す図である。
図5に示すように、イオン発生装置3は、イオン発生装置1が有する構成に加えて、高圧トランス12の一次側に設けられた駆動回路11を放電側配線パターン21aおよび誘導側配線パターン22aで生じる電磁ノイズから遮断するシールド30をさらに備える。シールド30は、例えば
図5に示すように、駆動回路11を囲むように設けられてよい。また、シールド30は、駆動回路11と高圧トランス12との間に設けられていてもよい。また、シールド30は、高圧トランス12を囲むように設けられてもよい。
【0041】
イオン発生装置3においては、イオン発生装置1と同様の構成によりノイズが低減されるため、例えば特許文献1に開示されているオゾン生成装置と比較して、シールド30を簡易な構成とすることができる。したがって、特許文献1に開示されているような従来の装置と比較して装置を小型化しつつ、イオン発生装置1または2と比較してノイズをさらに低減できる。
【0042】
なお、本実施形態に係るイオン発生装置は、イオン発生装置1ではなく、イオン発生装置2がシールド30をさらに備える構成を有するものであってもよい。
【0043】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るイオン発生装置は、2次側が接地されていない高圧トランスと、放電側配線パターンと、誘導側配線パターンと、前記高圧トランスの2次側の端子のうち、一方の端子に、前記放電側配線パターンを介して接続される放電電極と、前記高圧トランスの2次側の端子のうち、他方の端子に、前記誘導側配線パターンを介して接続される誘導電極と、を備え、前記一方の端子の幅を第1の幅とした場合、前記放電側配線パターンは、前記第1の幅よりも幅広な第2の幅に形成された放電側拡幅領域を有し、前記放電側拡幅領域および前記誘導側配線パターンの少なくとも一部は、平面視において互いに重畳している。
【0044】
上記の構成によれば、高圧トランスの2次側が接地されていないため、放電側配線パターンで生じるノイズと、誘導側配線パターンで生じるノイズとが、互いに逆位相の波形を示す。放電側拡幅領域および誘導側配線パターンの少なくとも一部が互いに重畳することで、それらで生じるノイズの少なくとも一部が互いに打ち消し合う。したがって、ノイズを遮断するためのシールドなどを用いることなく、小型かつノイズを低減可能なイオン発生装置を実現できる。
【0045】
本発明の態様2に係るイオン発生装置は、上記態様1において、前記高圧トランスと前記放電電極とは、ダイオードを介して接続され、前記放電側拡幅領域は、前記ダイオードよりも前記高圧トランス側に形成されていてもよい。
【0046】
一般に、ダイオードよりも高圧トランス側の領域の方が、ダイオードよりも放電電極側の領域よりも、電流が流れる距離が長い。上記の構成によれば、放電側拡幅領域がダイオードよりも前記高圧トランス側に形成されることで、放電側拡幅領域および誘導側配線パターンが重複する領域を広くできるため、よりノイズを低減できる。
【0047】
本発明の態様3に係るイオン発生装置は、上記態様1または2において、前記他方の端子の幅を第3の幅とした場合、前記誘導側配線パターンは、前記第3の幅よりも幅広な第4の幅に形成された誘導側拡幅領域を有し、前記放電側拡幅領域および前記誘導側拡幅領域の少なくとも一部は、平面視において互いに重畳していてもよい。
【0048】
上記の構成によれば、放電側拡幅領域および誘導側拡幅領域が互いに重畳することで、重畳する領域の面積が増大する。したがって、ノイズをさらに低減できる。
【0049】
本発明の態様4に係るイオン発生装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記放電側配線パターンと、前記誘導側配線パターンとは、同一の基板の互いに異なる面に形成されていてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、放電側配線パターンと誘導側配線パターンとを別々の基板に形成する場合と比較し、部品点数を削減し、イオン発生装置をさらに小型化できる。
【0051】
本発明の態様5に係るイオン発生装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記高圧トランスの一次側に設けられた駆動回路を前記放電側配線パターンおよび前記誘導側配線パターンで生じる電磁ノイズから遮断するシールドをさらに備えてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、放電側拡幅領域および誘導側配線パターンの少なくとも一部が互いに重畳することで低減されたノイズが、さらにシールドにより遮断される。この場合には、低減されていないノイズを遮断する場合と比較して、シールド自体を簡易な構成とすることができる。したがって、従来のイオン発生装置と比較して装置を小型化しつつ、ノイズをさらに低減できる。
【0053】
本発明の態様6に係る電気機器は、上記態様1から5のいずれかのイオン発生装置を備える。
【0054】
上記の構成によれば、小型かつノイズを低減可能なイオン発生装置を備えることで、電気機器自体を小型化しつつ、イオン発生装置からのノイズに起因する誤作動を抑制可能な電気機器を実現できる。
【0055】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1、2、3イオン発生装置
12 高圧トランス
12a 端子(一方の端子)
12b 端子(他方の端子)
13a、13b ダイオード
14a、14b 放電電極
15 誘導電極
212 拡幅領域(放電側拡幅領域)
222 拡幅領域(誘導側拡幅領域)
25 基板
30 シールド