(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】気液分離装置とこれを用いた水処置装置
(51)【国際特許分類】
B01D 19/00 20060101AFI20230501BHJP
C02F 1/78 20230101ALI20230501BHJP
C02F 1/20 20230101ALI20230501BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20230501BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B01D19/00 Z
C02F1/78
C02F1/20 A
C02F1/50 531R
C02F1/50 540A
C02F1/50 550D
C01B13/10 D
(21)【出願番号】P 2019099862
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】304017476
【氏名又は名称】東洋バルヴ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】矢田 勝久
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭45-8306(JP,B1)
【文献】実開昭59-146006(JP,U)
【文献】特許第5802558(JP,B2)
【文献】特開2002-307053(JP,A)
【文献】実公昭29-8892(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00
C02F 1/20,1/50,1/78
C01B 13/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液分離用
の分離本体
の内部に、筒状の第1収容室と
筒状の第2収容室とを
並設し、前記第1収容室の
上部には混合流体流入口を設け、前記第2収容室には上部に気体流出口
を、前記第2収容室の下部に液体流出口をそれぞれ
形成し、かつ前記第2収容室の内部に液体で浮上する
筒形状のフロート体を上下動自在に
設け、前記フロート体の上部
と下部で前記気体流出口と前記液体流出口をそれぞれ封止可能に設け
ると共に、並設した前記第1収容室と前記第2収容室との間に隔壁を設け、前記隔壁の上部側と下部側に前記第1収容室と前記第2収容室とを連通させた上部連通穴と下部連通穴と
をそれぞれ設け
、前記混合流体流入口より噴射された気液混合流体を前記第1収容室の底部で反射させた状態で拡散させることにより、分離された気体を前記第1収容室の上方領域に移動させるようにしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
前記上部連通穴は、少なくともその一部が最も下降した状態の前記フロート体の上端面よりも上方に配置される位置に形成され、前記下部連通穴は、少なくともその一部が最も上昇した状態の前記フロート体の下端面よりも下方に配置される位置に形成される請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項3】
前記隔壁の下部側には、前記第2収容室に流入する液体によって前記液体流出口を封止した前記フロート体が浮き始める所定高さより下方位置に前記下部連通穴を設け、かつ、前記隔壁の上部側には、前記第2収容室に流入する液体によって浮上した前記フロート体が前記気体流出口を封止し始める所定高さより上方位置に上部連通穴とをそれぞれ設けた請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項4】
前記混合流体流入口より流入した気液混合流体から分離された液体が前記第2収容室の底部に蓄積し始め水位が所定高さに溜まるまでは、前記フロート体が前記液体流出口の封止を維持して、前記液体流出口から前記分離された気体の流出を防止し、水位の上昇に伴い前記フロート体が前記気体流出口を封止する状態まで前記上部連通穴の水没を防いで前記第2収容室への分離された気体を容易に移動させようにした請求項3に記載の気液分離装置。
【請求項5】
前記気体流出口及び/又は前記液体流出口と、これらに対向する前記フロート体の上下部との間には、密封シールするためのシール部材を介在させた
請求項1乃至4の何れか1項に記載の気液分離装置。
【請求項6】
前記気体流出口及び/又は前記液体流出口、或はこれらに対向する前記フロート体の上下部の何れか一方側に突出部が形成され、他方側にこの突出部が当接するシール用シートが装着されている請求項
5に記載の気液分離装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか1項に記載の気液分離装置の
前記混合流体流入口にオゾナイザ
を接続し、気液分離したオゾン水が流出する流路口に紫外線・光触媒ユニットを接続して水処理に用い
ることを特徴とする水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と液体との混合流体を分離させる気液分離装置とこれを用いた水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば温泉設備や、或は植物栽培用の栽培システム、養殖設備などにおいて、オゾナイザ(オゾン発生装置)を利用した水処理装置が知られている。この種の水処理設備では、オゾナイザからのオゾンを被処理水に混合してオゾン水を生成するものであり、通常、この水処理設備には、被処理水に混合されずに残存したオゾンガスとの混合流体を処理するための気液分離装置が設けられている。
気液分離装置は、混合流体を気体(オゾンガス)と液体(水)とに分離する機能を有し、気液分離装置によって分離されたオゾンガスは、分解処理された後に外気に排出され、水も適宜処理されるようになっている。
【0003】
この種の気液分離装置として、例えば、特許文献1の養液栽培システムにおける気液分離装置が開示されている。この分離装置1は、
図5に示すように単筒型の構造からなり、円筒状のケーシング2の上部には気液混合流体の入り口3及び気体排出用の出口4、ケーシング2の下部には液体排出用の液体出口5がそれぞれ設けられている。ケーシング2内部には一つのシリンダ状の収容室6が設けられ、この収容室6内に浮き部材7が設けられている。
流体入り口3から収容室6内にオゾンガスと水との混合流体が供給されると、オゾンガスと水との比重の違いから、混合流体中の水は収容室6の底に溜まり、オゾンガスが気体排出用出口4から排出される。収容室6内に一定量の水が溜まると、浮き部材7が浮力により上昇することで液体出口5が開口状態となり、この液体出口5から水が排出されるようになっている。
【0004】
一方、特許文献2の気液分離器は、ヒートポンプ式の冷凍サイクルに用いられ、同文献2の
図6には2つの筒体が同心上に配置された気液分離器が開示されている。この気液分離器は、略円筒状の筐体の中央に上下に貫通してパイプが配置され、このパイプに形成された上部開孔、下部開孔を通して筐体内部とパイプ内部とが連通されている。筐体の側面には混合流体供給用の管路が接続され、この供給用管路から筐体内部に混合流体が供給される。パイプの内部にはフロート部材が収納され、筐体内への液体の増量に応じてこのフロート部材が昇降動する。
供給用管路から気液混合流体が供給されると、先ず、液体が筐体内の底に溜まりつつ、気体が上部開孔から排出される。筐体内に一定量の水が溜まると、この水が下部開孔を通じてパイプ内に浸入することでフロート部材がパイプ内を上昇し、下部開孔が開口状態となる。これによって、筐体内の液体が下部開孔を通じてパイプ下部に排出しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5802558号公報
【文献】特許第3416963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者の特許文献1における気液分離装置において、使用時には、収容室6内の水が全て液体出口5から排出されたり、気液混合流体の入り口3から流入する気液混合流体中の水分量が少なくなると、収納室6に十分に水が溜まらずにその機能を発揮できなくなることがある。このような場合、液体出口5から気体であるオゾンガスが流出するおそれがある。
一方、入り口3から流入する気液混合流体中の液体量が多い場合には、液体の液体出口5からの排出が間に合わなくなり、気体排出用出口4から液体が漏れ出す可能性がある。
【0007】
後者の特許文献2の気液分離器は、ヒートポンプ式の冷凍サイクル用として使用されるものであり、高精度な気体と液体との分離処理能力が要求されるものではない。例えば、この気液分離器では、混合流体供給用管路から供給される気液混合流体を旋回させて気体と液体とに分離しているため、気液混合流体入り口からの噴射により分離している特許文献1の気液分離装置に比較して気液分離処理能力が低い。このため、分離された気体中に液体が残存したり、下部開口からの液体に気体が含まれたり、上部開口からの気体に液体が含まれる可能性があり、この気液分離器を有害なオゾンガスを含有するために使用することは適切ではない。
【0008】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、気液混合流体を気体と液体とに高精度に分離し、コンパクトで簡便な気液分離装置とこれを用いた水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、気液分離用の分離本体の内部に、筒状の第1収容室と筒状の第2収容室とを並設し、第1収容室の上部には混合流体流入口を設け、第2収容室には上部に気体流出口を、第2収容室の下部に液体流出口をそれぞれ形成し、かつ第2収容室の内部に液体で浮上する筒形状のフロート体を上下動自在に設け、フロート体の上部と下部で気体流出口と液体流出口をそれぞれ封止可能に設けると共に、並設した第1収容室と第2収容室との間に隔壁を設け、隔壁の上部側と下部側に第1収容室と第2収容室とを連通させた上部連通穴と下部連通穴とをそれぞれ設け、混合流体流入口より噴射された気液混合流体を第1収容室の底部で反射させた状態で拡散させることにより、分離された気体を第1収容室の上方領域に移動させるようにした気液分離装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、上部連通穴は、少なくともその一部が最も下降した状態のフロート体の上端面よりも上方に配置される位置に形成され、下部連通穴は、少なくともその一部が最も上昇した状態のフロート体の下端面よりも下方に配置される位置に形成される気液分離装置である。
請求項3に係る発明は、隔壁の下部側には、第2収容室に流入する液体によって液体流出口を封止したフロート体が浮き始める所定高さより下方位置に下部連通穴を設け、かつ、隔壁の上部側には、第2収容室に流入する液体によって浮上したフロート体が気体流出口を封止し始める所定高さより上方位置に上部連通穴とをそれぞれ設けた気液分離装置である。
請求項4に係る発明は、混合流体流入口より流入した気液混合流体から分離された液体が第2収容室の底部に蓄積し始め水位が所定高さに溜まるまでは、フロート体が液体流出口の封止を維持して、液体流出口から分離された気体の流出を防止し、水位の上昇に伴いフロート体が気体流出口を封止する状態まで上部連通穴の水没を防いで第2収容室への分離された気体を容易に移動させるようにした気液分離装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、気体流出口及び/又は液体流出口と、これらに対向するフロート体の上下部との間には、密封シールするためのシール部材を介在させた気液分離装置である。
【0012】
請求項6に係る発明は、気体流出口及び/又は液体流出口、或はこれらに対向するフロート体の上下部の何れか一方側に突出部が形成され、他方側にこの突出部が当接するシール用シートが装着されている気液分離装置である。
【0013】
請求項7に係る発明は、気液分離装置の混合流体流入口にオゾナイザを接続し、気液分離したオゾン水が流れる流路口に紫外線・光触媒ユニットを接続して水処理に用いる水処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によると、分離本体の内部に筒状の第1収容室と筒状の第2収容室とを並設し、第1収容室の上部に設けた混合流体流入口から供給された気液混合流体を第1収容室の底部に混合流体を反射させ、第1収容室内で拡散させて気体と液体とに分離し、主に気体を上部連通穴から、液体を下部連通穴からそれぞれ第2収容室に送ることができる。下部連通穴から流入した液体は、第2収容室の底に溜まり、この状態でフロート体の下部で液体流出口を封止することで、液体流出口からの気体の流出を確実に防止しつつ、気体流出口より気体を流出させることができる。第2収容室に液体が蓄積することでフロート体が上昇し、このフロート体の上昇により液体流出口から液体を流出させることができる。この場合、フロート体が最も上昇したときには、このフロート体の上部で気体流出口を封止して気体流出口からの液体流出を確実に防止する。これにより、気液混合流体を高精度に気液分離することができ、しかも、気液分離用の分離本体の内部に第1収容室と第2収容室とを並設することで装置が大型になるのを回避し、コンパクト化し、簡便に使用可能となる。
【0015】
また、混合気体流入口は、第1収容室の上部に設けているから、気液混合流体の噴射する強さを所定の大きさとしたときに、噴射した気液混合流体を第1収容室の底部で反射して拡散させることが可能になるため、気液混合流体中の気体が上方、液体が下方に移動しやすくなり気液分離の性能を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によると、フロート体が最も下降した位置にある場合にも、気液混合流体を分離して得られる気体を上部連通穴から通過させて気体流出口より確実に流出させることができ、一方、フロート体が最も上昇した位置にある場合にも、気液混合流体を分離して得られる液体を下部連通穴から確実に通過させて液体流出口より流出させることができる。このため、フロート体の上下動作や上下位置の状態の変化により気液分離機能が妨げられることがなく、気体流出口からは気体のみ、液体流出口からは液体のみを流出させて高精度に気液分離することができる。
請求項3又は4に係る発明によると、隔壁の下部側には、第2収容室に流入する液体によって液体流出口を封止したフロート体が浮き始める所定高さ(H1)より下方位置に下部連通穴を設け、かつ、隔壁の上部側には、第2収容室に流入する液体によって浮上したフロート体が気体流出口を封止し始める所定高さ(H3)より上方位置に上部連通穴とをそれぞれ設けたので、気液混合流体を分離して得られる気体を上部連通穴から通過させて気体流出口より確実に流出させることができ、かつ、気液混合流体を分離して得られる液体を下部連通穴から確実に通過させて液体流出口より流出させることができる。
そして、混合流体流入口より流入した気液混合流体から分離された液体が第2収容室の底部に蓄積し始め水位が所定高さに溜まるまでは、フロート体が液体流出口の封止を維持して、液体流出口から分離された気体の流出を防止し、水位の上昇に伴いフロート体が気体流出口を封止する状態まで上部連通穴の水没を防いで第2収容室への分離された気体を容易に移動させるようにしたので、気体流出口からは気体のみ、液体流出口からは液体のみを流出させて高精度に気液分離することができると共に、気体流出口から流出する気体(オゾンガス)への水の混入を防止し、気液分離装置に接続されたオゾン触媒装置内の触媒の浸潤を阻止してこのオゾンガス触媒装置によるオゾン分解機能を維持でき、かつ、液体流出口に接続されるホースなどの内部が負圧になった場合でも、液体流出口を確実に封止して気体の漏洩を防止できる。
【0017】
請求項5に係る発明によると、気体流出口、液体流出口と、これらに対向するフロート体の上下部とをシール部材で密封シールできるため、第2収容室に液体が溜まってフロート体が最上部まで上昇したときには、気体流出口をフロート体上部のシール部材で塞いでこの液体の気体流出口からの漏れを防ぐ。一方、第2収容室に気体が溜まってフロート体が最下部に下降したときには、液体流出口をフロート体下部のシール部材で塞いでこの気体の液体流出口からの漏れを防ぐことができる。
【0018】
請求項6に係る発明によると、気体流出口、液体流出口と、これらに対向するフロート体とが当接したときに、これらの当接面積を小さくしていることで、より強くこれらを圧接させて封止力を向上させ、不要な液体又は気体の漏れを確実に防止することができる。
【0019】
請求項7に係る発明によると、オゾナイザにより生成されたオゾン水に含まれる気液混合流体を、オゾンと水とに高精度に分離し、分離したオゾンに含まれる水分を抑えることが可能になる。このため、分離後のオゾンをオゾン触媒などの処理部材で処理する場合に、液体により処理部材を劣化させるおそれがなく、処理部材を用いて継続的にオゾンを高精度に分解できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】水処理装置の実施形態を示した概略模式図である。
【
図2】本発明の気液分離装置の実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】
図2のフロート体が上昇した状態を示す縦断面図である。
【
図4】
図3のフロート体が更に上昇した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明における気液分離装置とこれを用いた水処置装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1においては、除菌浄化用の水処理装置の実施形態を示しており、
図2~
図4においては、水処理装置に用いられる本発明の気液分離装置の実施形態を示している。
【0022】
図1における水処理装置は、例えば植物栽培用の栽培システム、温泉設備、養殖設備などの図示しない水処理用設備の一部として設けられ、この水処理設備を流れる新たな水や一度使用した水を除菌浄化して利用するために用いられる。本例の水処理装置は、水処理用設備の流路からバイパス状に分岐して設けられ、オゾン供給部11と、紫外線照射部12と、光触媒作用部13とを有し、水処理設備を流れる水の一部又は全部を処理可能になっている。
【0023】
水処理装置において、オゾン供給部11は内部を流れる被処理水にオゾンを供給し、紫外線照射部12は被処理水に紫外線を照射し、光触媒作用部13は被処理水に光触媒を作用させる機能を有する。オゾン供給部11はオゾナイザ20内に設けられ、紫外線照射部12及び光触媒作用部13は、紫外線・光触媒ユニット21内にそれぞれ設けられている。オゾナイザ20と紫外線・光触媒ユニット21とは別ユニットとして形成され、オゾナイザ20の下流側に紫外線・光触媒ユニット21が接続されて水処理装置が構成されている。
【0024】
上記の構成により、水処理装置は、オゾナイザ20により生成したオゾンガスを被処理水に供給してオゾン水を生成し、さらに紫外線・光触媒ユニット21により紫外線を照射し、かつ光触媒を作用させて除菌浄化することが可能になっている。
【0025】
この場合、水処理装置において気液分離装置の混合流体流入口にオゾナイザ20が設けられ、気液分離されたオゾン水が流れる流路口に紫外線・光触媒ユニット21が設けられた状態で水処理に用いられる。気液分離装置は、後述するように、オゾナイザ20からの気液混合流体を気体と液体とに分離する機能を有している。
さらに、気液分離装置とオゾナイザ20との間には、エジェクタ22、エアセパレータ23、気液分離装置にはオゾン触媒装置24がそれぞれ備えられている。
【0026】
また、水処理装置におけるオゾナイザ20の流入側には、水処理用設備の流路から分岐された入口側流路30が接続され、この入口側流路30からポンプ31によってオゾナイザ20に被処理水が供給可能に設けられる。オゾナイザ20の流出側には被処理水が流れる第1流出路32、オゾナイザにより生成されたオゾンが流れる第2流出路33が、それぞれエジェクタ22に接続されている。第2流出路33とエジェクタ22との間には、逆流防止用の逆止弁34が設けられる。
【0027】
エジェクタ22の流出側にはエアセパレータ23が接続され、このエアセパレータ23の下部位置にはオゾン水(液体)流出側である液体流路35が設けられ、この液体流路35は紫外線・光触媒ユニット21の流入側に接続される。紫外線・光触媒ユニット21の流出側には戻り流路36が設けられ、この戻り流路36は水処理設備に接続されている。水処理装置により処理されたオゾン水は、戻り流路36を介して水処理設備に戻される。
【0028】
エアセパレータ23の上部には接続流路37が設けられ、この接続流路37は、気液分離装置の入力側に図示しない雄螺子部を介して接続される。エアセパレータ23によりオゾン水から分離された気液混合流体(気体を主とする流体、液体を含む気体からなる流体、液体を主とする流体)は、接続流路37を介して気液分離装置に供給可能に設けられる。
【0029】
本発明の気液分離装置は、オゾナイザ20側(エアセパレータ23側)から送られる水を含んだオゾン、すなわち気液混合流体を処理し、この気液混合流体を成す気体(オゾン)Gと液体(水)Lとに分離可能になっている。
図2~
図4において、気液分離装置は、気液分離用の内部空間Sを有する樹脂材料からなる分離本体41を備え、この分離本体41内には、隔壁42を介して第1収容室43と第2収容室44とが配されている。
【0030】
分離本体41において、第1収容室43の底部43aよりも第2収容室44の底部44aがより低い位置になるように設けられ、この第2収容室44の内部には、円柱形状のフロート体45が上下動自在に収納されている。このように第1収容室43の底部43aよりも第2収容室44の底部44aが低いことで、第1収容室43に蓄積した液体Lを第2収容室44に速やかに送り、スムーズに流出させることが可能になっている。
【0031】
分離本体41の上部には上蓋部材50、下部には底蓋部材51がそれぞれ取付けられ、これらは樹脂材料により形成されている。上蓋部材50は、第1収容室43、第2収容室44の上部に、それぞれOリング52を介して図示しないボルト等で固定される。第1収容室43の上蓋部材50の中央位置には、雌螺子部53及び混合流体流入口55が、第1収容室43内部に連通するように設けられる。雌螺子部53には前述した接続流路37の雄螺子部が接続され、エアセパレータ23から気液混合流体が混合流体流入口55を通して第1収容室43に供給される。本例では、混合流体流入口55が第1収容室43の上部(上面側)に設けられているが、この混合流体流入口は、第1収容室43の上部側面付近、或はそれ以外の位置に設けられていてもよい。
【0032】
一方、第2収容室44に取付けられた上蓋部材50の中央位置には、雌螺子部53及び気体流出口56が第2収容室44内部に連通するように設けられる。この雌螺子部53には、図示しない雄螺子部を介して気体流路57が接続され、この気体流路57の流出側にオゾン触媒装置24が接続される。これにより、気体流出口56を介して第2収容室44から外部に流出された気体Gは、気体流路57を通してオゾン触媒装置24に送られる。
【0033】
底蓋部材51は、第2収容室44の下部にOリング52を介して図示しないボルト等で固定される。底蓋部材51の中央位置には、雌螺子部58及び液体流出用の液体流出口60が第2収容室44に連通するように設けられる。雌螺子部58には雄螺子部61を介して排出流路62が接続され、この排出流路62から分離された水が排出される。液体流出口60と前述の気体流出口56は、第2収容室44の中心と同軸上に設けられている。第2収容室44内の気体流出口56、液体流出口60には、それぞれ突出部65が形成され、一方、第1収容室43内の混合流体流入口55にも、同様にして突出部65が形成されている。
【0034】
フロート体45の内部には空気層70が設けられ、フロート体45は、この空気層70により、フロート体45が第2収容室44に蓄積した液体(処理水)Lに対して浮上(上昇)可能になっている。
フロート体45の上下面の中央位置には有底の凹部71が形成され、この凹部71にはシール用シート72がそれぞれ取付けられている。上下の各シート72はゴム材料により設けられ、気体流出口56の突出部65の先端面、液体流出口60の突出部65の先端面と対向する位置に設けられる。これらシート72がシール部となり、気体流出口56、液体流出口60をそれぞれシールするようになっている。
本例におけるシート72は、外径φ8mm、板厚3mmの略円柱形状に形成され、上下の各凹部71に対して、嵌め込み固定された状態で接着剤により固着されている。
【0035】
上記のように、気体流出口56及び液体流出口60と、これらに対向するフロート体45の上下部との間には、これらを密封シールするためのシート72がシール部材として介在されている。これにより、フロート体45が第2収容室44内を上下動するときには、その上下部で気体流出口56と液体流出口60とを封止可能になっている。この場合、フロート体45が、第2収容室44内で最も下降したときに底部44a側のシート72が液体流出口60の突出部65と密着シールし、一方、最も浮上したときに上部側のシート72が気体流出口56の突出部65と密着シールするようになっている。
【0036】
なお、フロート体45の上部側シート72の上端側、及びフロート体45の下部側シート72の下端側には、それぞれ中央に図示しない凹面が形成されていてもよい。この場合、凹面は、突出部65、65と対向する位置に配置され、その内径が突出部65の外径よりも大径で、深さが突出部65の高さよりもやや小さい寸法に設けられているとよい。これにより、前述した液体流出口60及び気体流出口56の各突出部65の先端面が、対向する凹面に当接可能となる。
【0037】
第1収容室43と第2収容室44との隔壁42において、その上部側と下部側には、第1収容室43と第2収容室44とを連通させる上部連通穴80と下部連通穴81とがそれぞれ設けられる。
【0038】
これら2つの連通穴80、81のうち、上部連通穴80は、少なくともその一部が最も下降した状態のフロート体45の上端面45aよりも、上方に配置される位置に形成される。これにより、フロート体45の最も下降した状態、すなわち第2収容室44に液体Lが溜まっていない状態では、第1収容室43と第2収容室44とが上部連通穴80を通して連通状態にある。そのため、混合流体流入口55から気液混合流体が第1収容室43に流入するときに、開口状態の上部連通穴80を通して気液混合流体中の気体Gが分離され、気体流出口56から流出される。
【0039】
下部連通穴81は、少なくともその一部が最も上昇した状態のフロート体45の下端面45bよりも、下方に配置される位置に形成される。これにより、フロート体45の最も上昇した状態、すなわち第2収容室44に液体Lが充満した状態であっても、開口状態の下部連通穴81を通して第1収容室43と第2収容室44とが連通状態にある。そのため、分離本体41に蓄積した液体Lが、開口状態の下部連通穴81を通して液体流出口60から流出される。
【0040】
混合流体流入口55は、気液混合流体を噴射可能な形状に設けられると共に、噴射した気液混合流体を第1収容室43の底部43aで反射し拡散させる位置に設けられている。
【0041】
エジェクタ22は、オゾナイザ20の流出側に接続され、このエジェクタ22により被処理水にオゾンが混合される。オゾンが混合された状態の水は、エジェクタ22の流出側に接続されたエアセパレータ23に送られる。
【0042】
エアセパレータ23は、気液分離装置の流入側に設置され、オゾン(気体)と水(液体)との混合流体を対象として、オゾン水(液体成分)から水分を含有する気体成分を分離する機能を有している。エアセパレータ23は略円筒形状を呈し、その外周面の偏心位置に設けられた混合流体の導入口82、上部に設けられた空気抜き出口83、下部に設けられた液体出口84を有している。導入口82から混合流体が流入したときには、この混合流体が内部で旋回し、旋回流により中心に溜まった気体を主とする成分が空気抜き出口83を通して気液分離装置に供給される。一方、旋回流により外周側に集まったオゾン水は、液体出口84を通って紫外線・光触媒ユニット21に供給される。
【0043】
気液分離装置に接続されたオゾン触媒装置24は、気液分離装置により分離されたオゾンを分解するために設けられる。オゾン触媒装置24の内部には図示しない分離用触媒が収納され、外部にはこの触媒により分解処理されたオゾンが外部に放出するための図示しない排気路が設けられている。
【0044】
なお、上記実施形態においては、気体流出口56、液体流出口60にそれぞれ突出部65が形成され、フロート体45にこれら突出部65が当接するシート72が装着されているが、これらは反対であってもよい。さらに、何れの場合であっても、気体流出口56又は液体流出口60の何れか一方側に突出部65又はシート72を設け、これらの他方側であるフロート体45にシート72又は突出部65を設けた構成としてもよい。
【0045】
上下の各シート72は、気体流出口56、液体流出口60を密着シールできるものであれば、各種のゴム材料により形成可能であり、また、ゴム材料以外にも、樹脂材料等の各種シール性を発揮可能な材料により形成することもできる。
【0046】
分離本体41は一体形状に設けられているが、第1収容室43側と第2収容室44側とをそれぞれ別体に形成し、これらを組合わせて一体化して分離本体を設けるようにしてもよい。この場合、それぞれの収容室側に設けた隔壁に上部連通穴、下部連通穴を形成し、これら連通穴を位置合わせしつつ各連通穴に図示しない管状のキャップ部材を装着することにより結合できる。第1収容室と第2収容室とを分離可能な構造に設けた場合には、分離本体内のフロート体等の内部部品の清掃が容易となる。
【0047】
次いで、上述した気液分離装置を用いた水処理装置で被処理水を除菌浄化する場合の動作並び作用を説明する。
入口側流路30からポンプ31により被処理水を水処理装置側に流したときには、この被処理水は、先ず、オゾナイザ20内を通過して第1流出路32からエジェクタ22側に流出すると同時に、オゾナイザ20によりオゾンが生成され、このオゾンが第2流出路33よりエジェクタ22に供給される。オゾナイザ20からの水とオゾンは、エジェクタ22により混合されて微細気泡状のオゾン水が生成される。
【0048】
このオゾン水は、エジェクタ22からエアセパレータ23に送られ、このエアセパレータ23によりオゾン水として使用可能な液体成分と、オゾン水として使用することが難しい気液混合流体とに分離される。エアセパレータ23で分離された液体成分は、液体流路35から紫外線・光触媒ユニット21に送られ、紫外線の照射及び光触媒の作用による処理がなされて除菌浄化される。除菌浄化後のオゾン水は、戻り流路36を通して水処理設備の流路に戻される。
【0049】
一方、エアセパレータ23で分離された気液混合流体は、オゾンを分離した後に処理する必要があることから、気液分離装置の分離本体41に供給される。
この場合、混合流体流入口55から気液混合流体が流入すると、水(液体)Lとオゾン(気体)Gとの比重が異なり、水LがオゾンGよりも重いことから、気液混合流体中の液体成分である水Lが第1収容室43の底付近、気体成分であるオゾンGが第1収容室43の上部付近に移動するようにして気液分離される。
【0050】
しかも、本例では、混合流体流入口55が第1収容室43の上部(上面側)に設けられていることで、気液混合流体の噴射する強さを大きくすることにより、
図2の二点鎖線に示すように、混合流体流入口55から第1収容室43の底面43a側に気液混合流体を噴射するように供給することが可能になっている。この場合、噴射された気液混合流体は、第1収容室43の底部43aで反射し拡散された状態となる。これにより、気液混合流体中のオゾンGが上方、水Lが下方により移動しやすくなり、気液分離性能が一層向上している。
【0051】
このように、気液混合流体が第1収容室43内で気体Gと液体Lとに分離され、第1収容室43の上部付近の気体Gが上部連通穴80を通して第2収容室44に移動し、気体流出口56から流出するようになっている。流出した気体(オゾン)Gは、気体流路57を通してオゾン触媒装置24に送られ、このオゾン触媒装置24により分解処理されて無害化された後に、図示しない排気路を通して外気に放出される。
【0052】
第1収容室43で分離された液体Lは底部43aに蓄積し、水位の上昇により下部連通穴81に達したときには、下部連通穴81を通して第2収容室44内に流れ込む。この場合、第2収容室44に液体Lが無い場合や、フロート体45を上昇させるほどの水位の上昇が無いときには、フロート体45が最も下降した状態を維持する。そのため、
図2に示すように、シート72と突出部65の先端面とが当接シールして液体流出口60を封止し、分離された気体G及び液体Lがこの液体流出口60から漏れ出すことの無い状態で、図の破線に示した流れにより前述の気体流出口56から確実に気体Gを流出させることができる。
【0053】
本例の場合、図において液体Lが第2収容室44の底部44aから高さH1=20~22mm程度の高さに溜まるまではフロート体45が最も下降した状態を維持し、液体Lの溜まった状態が維持される。このため、水位がこの高さH1に達するまでは、混合流体流入口55から気体Gのみが流入したとしても、液体流出口60から気体Gが流出することはなく、気体流出口56からのみ気体Gが流出する。
【0054】
分離本体41内への液体Lの蓄積が進み、液面の上昇により底部44aからの高さH1が20~22mmを超えると、
図3に示すように、蓄積した液体Lへの浮力によりフロート体45が浮いた状態となり、シート72が液体流出口60の突出部65の先端面から離れる。これにより、破線に示した気体流出口56から気体Gのみを流出可能な状態で、一点鎖線に示すように、液体流出口60から分離された液体Lのみが速やかに流出する。
【0055】
分離された液体Lが液体流出口60から流出されて液面が下がると、フロート体45もそれに伴って下降する。その際、第2収容室44から液体Lが完全に流出したり、フロート体45を上昇させる水位よりも低い液面になったときには、フロート体45は
図2の状態まで下降し、液体流出口60からの液体Lの流出が停止した状態となる。
一方、液体流出口60からの液体Lの流出量よりも分離された液体Lの蓄積量が多い場合には、液面の上昇によりフロート体45が浮上し続けるようになる。
【0056】
図4においては、フロート体45が
図3の状態からさらに上昇し、フロート体45上部のシート72が気体流出口56の突出部65に当接シールした状態を示している。このようにフロート体45が第2収容室44の最上部まで浮上したときには、気体流出口56を確実に塞いでこの気体流出口56からの液体Lの漏れを確実に防ぐことができる。
【0057】
本例においては、フロート体45が第2収容室44の最上部まで浮上した場合は、このフロート体45の下端面45bから第2収容室44の底部44aまでの高さH2が約23mmとなる。これに対して、前述したように、下部連通穴81は、少なくともその一部が最も浮上した状態のフロート体45の下端面45bよりも下方に配置され、本例では下部連通穴81の上端が浮上時のフロート体下端面45bの高さH2の23mmよりも下方になるように配置される。これにより、フロート体45の位置に影響をほぼ受けることなく、主に液体Lの移動用として機能する下部連通穴81を通して、第1収容室43から第2収容室44に液体がスムーズに移動する。
【0058】
なお、仮に、高さH2である23mmよりも上に下部連通穴81を形成した場合には、フロート体45が浮上して第1収容室43から第2収容室44に液体Lが流れ込むときに、この水の流れに影響を受けてフロート体45が回転したり傾いたりする可能性が生じる。この場合、これらによってフロート体45の浮上が妨げられて気体流出口56を確実に封止できなくなるおそれがある。
【0059】
混合流体流入口55から液体Lのみが流入するような特殊な場合を除き、フロート体45が気体流出口56を封止する状態まで浮上すると、第1収容室43の底面から水面までの高さH3が約46mmとなる。このとき、第2収容室44の水面も第1収容室43と同じ高さとなる。これに対して、本例では上部連通穴80をその上端が高さ46mmよりも高くなる位置に形成していることで、この上部連通穴80の水没を防いで分離させた気体Gをスムーズに第2収容室44に移動できるようになっている。
【0060】
液体流出口60、気体流出口56が、第2収容室44の中心と同軸上に配置されていることから、フロート体45の上下部の各シート72と、液体流出口60の突出部65、気体流出口56の突出部65とをそれぞれ平行に接触させることが可能になり封止性が向上する。合わせて、仮にフロート体45が回転したとしても、各シート72と液体流出口60の突出部65並びに気体流出口56の突出部65との位置ずれを防ぎ、これらを確実に当接シールさせることが可能になっている。
【0061】
上述したように、本発明の気液分離装置は、分離本体41内に隔壁42を介して第1収容室43と第2収容室44とを配し、第1収容室43に混合流体流入口55、第2収容室44に気体流出口56と液体流出口60をそれぞれ設け、フロート体45の上下部で気体流出口56及び液体流出口60を封止し、隔壁42には上部連通穴80と下部連通穴81とをそれぞれ設けている。これにより、全体のコンパクト化を図り水処理装置への狭いスペースにも設置可能となる。エアセパレータ23から供給される気液混合流体が、オゾンガス(気体)Gを主とする流体、水(液体)Lを含むオゾンガス(気体)Gからなる流体、水(液体)Lを主とする流体の何れの状態の場合であっても、分離本体41内でオゾンガスGと水Lとに分離し、気体流出口56から水Lの流出を確実に防ぎつつオゾンガスGのみを流出でき、液体流出口60からオゾンガスGの流出を確実に防ぎつつ、水Lのみを流出させることができる。
【0062】
しかも、気体流出口56及び液体流出口60にそれぞれ突出部65を設け、この突出部65と対向するフロート体45の上下部にシール用シート72を装着しているので、突出部65先端面がシート72に当接したときにこれらの当接部位に力が集中して封止力を向上できる。
【0063】
なお、上部側シート72の上端面、下部側シート72の下端面に凹面をそれぞれ形成したときには、これら凹面に各突出部65の先端面を当接させているので、シート72の変形量が増えてシート72の突出部65に対する反発力を増加させられるので、より一層封止力を高めることができる。
【0064】
この場合、分離本体41内に液体Lが溜まっていない状態や、液体Lが極端に少ない場合であっても、下部シート72と液体流出口60の突出部65先端面とが当接シールすることにより、液体流出口60からのオゾンガスGの流出を阻止した状態で、気体流出口56からオゾンガスGを流出できる。
【0065】
一方、例えば、エアセパレータ23の故障や不調により気液混合流体中の気体Gの量が少なくなり、混合流体流入口55から液体Lのみや液体Lの割合の高い気液混合流体が流入したとしても、上部シート72と気体流出口56の突出部65先端面とが当接シールすることにより、気体流出口56からの水Lの流出を阻止した状態で、液体流出口60から水Lを流出できる。
【0066】
これにより、気体流出口56から流出するオゾンガスGへの水Lの混入を防止し、気液分離装置に接続されたオゾン触媒装置24内の触媒の浸潤を阻止してこのオゾンガス触媒装置24によるオゾン分解機能を維持できる。
また、液体流出口60に接続される図示しないホースの内部が負圧になった場合でも、液体流出口60を確実に封止して気体Gの漏洩を防止できる。
【実施例】
【0067】
次に、上述した実施形態の気液分離装置について、水処理装置に接続した状態で混合流体流入口55から流体を供給したときの封止性能試験を実施した。試験は、次の(1)~(5)までの条件によりそれぞれおこなった。
(1)混合流体流入口55から液体Lのみを流入させ、気体流出口56からの液体Lの流出を確認した。混合流体流入口55から流入させる液体Lとして、0.02MPaに加圧したものを使用し、5分間、気体流出口56からの液体Lの漏れを測定した。
(2)(1)と同様に、混合流体流入口55から液体Lのみを流入させ、気体流出口56からの液体Lの流出を確認した。混合流体流入口55から流入させる液体Lとして、(1)よりも圧力の高い0.1MPaに加圧したものを使用し、5分間、気体流出口56からの液体Lの漏れを測定した。
(3)混合流体流入口55から気体Gのみを流入させ、液体流出口60からの気体Gの流出を確認した。混合流体流入口55から流入させる気体Gとして、0.1MPaのものを使用し、5分間、液体流出口60からの気体Gの漏れを測定した。
(4)(3)と同様に、混合流体流入口55から気体Gのみを流入させ、液体流出口60からの気体Gの流出を確認した。混合流体流入口55から流入させる気体Gとして、0.2Paのものを使用し、5分間、液体流出口60からの気体Gの漏れを測定した。
(5)水処理装置を通常運転させた状態で液体流出口60を閉塞し、気体流出口56からの液体Lの流出を確認した。
上記の条件(1)~(5)までのそれぞれの封止性能試験の測定結果を表1に示す。
【0068】
【0069】
表1の結果より、条件(1)、(2)については、エアセパレータ23の異常を想定し、水処理装置の循環配管(40A)からチューブで気液分離装置に直接液体Lを充填した結果、分離本体41内が満水状態となったときは、気体流出口56からの液体Lの漏れは無かったことが確認された。
【0070】
条件(3)、(4)については、エアセパレータ23の異常を想定し、気液分離装置の混合流体流入口55から気体(エア)Gのみを流入させた結果、液体流出口60からの気体Gの漏れの無いことが確認された。
【0071】
条件(5)については、液体流出口60が何らかの原因により閉塞された場合を想定し、液体流出口60の閉塞状態で試験をおこなった結果、気液分離装置の分離本体41内が満水になる前にエアセパレータ23側からの気液混合流体の供給が停止し、気体流出口56から気体Gのみが流出されたことが確認された。
【0072】
以上のことから、各種の異常時を想定した条件(1)~(5)までの各封止性能試験の結果、本発明の気液分離装置は、何れの条件に対しても良好な結果が得られた。
【0073】
本実施形態の気液分離装置は、高さ約115mm、幅約90mm、奥行約45mmであり、
図5と比べ、高さと奥行は同一であるからコンパクトな気液分離装置とすることができる。
【0074】
なお、混合流体流入口55側の突出部65は形成されていなくてもよいが、上蓋部材50と底蓋部材51の部品を共有することができるため、コスト低減や、交換部品の管理工数等を削減することができる。
【0075】
本例においては、第1収容室43と第2収容室44の内径は略同一であるが、第1収容室43の内径が第2収容室44の内径よりも大きい方が、気液混合流体が流入する第1収容室43の体積が大きくなるため、多量の液体が混合流体流入口55に流入した場合でも確実に気液分離をすることができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。例えば、気液分離装置として水処理装置以外の装置にも適用することができ、さらには、水以外の被処理流体に用いたり、オゾンガス以外のガスを供給する場合に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
20 オゾナイザ
41 分離本体
42 隔壁
43 第1収容室
44 第2収容室
45 フロート体
45a 上端面
45b 下端面
55 混合流体流入口
56 気体流出口
60 液体流出口
65 突出部
72 シール用シート(シール部材)
80 上部連通穴
81 下部連通穴
S 内部空間