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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】車両用ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20230501BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230501BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20230501BHJP
   F25B 5/04 20060101ALI20230501BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20230501BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20230501BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230501BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20230501BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230501BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230501BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20230501BHJP
   F01P 3/12 20060101ALI20230501BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20230501BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/22 651C
F25B1/00 399Y
F25B39/02 M
F25B5/04 B
F25B5/02 Z
F25B39/00 A
H01M10/613
H01M10/663
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
F01P3/12
F01P3/20 G
F01P3/20 E
F01P7/16 504D
B60H1/22 671
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019201484
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021031045
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0101006
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スワン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ワン-ジェ
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-229223(JP,A)
【文献】特開2019-104485(JP,A)
【文献】特開2011-255879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
F25B 1/00-7/00
F25B 31/00-31/02、39/00-41/48
H01M 10/52-10/667
F01P 1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置;
前記リザーバタンクと第2バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプと、バッテリモジュールとを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置;
冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第3バルブを通じて連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプと、ヒーターとを含む暖房装置;
前記第2バルブを通じて前記バッテリー冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結されるチラーであって、前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと前記分岐ラインを連結する連結ラインおよび前記分岐ラインを通じて選択的に流入する冷却水を、前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて、冷却水の温度を調節するチラー;を含み、
前記エアコン装置に含まれているコンデンサは、前記暖房装置を循環する冷却水が通過するように前記暖房ラインと連結されることを特徴とする、車両用ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記連結ラインの一端は前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと連結され、前記連結ラインの他端は前記第2バルブと前記チラーの間で前記分岐ラインに連結され、
前記ヒーターは前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられることを特徴とする、請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記バッテリモジュールを昇温する場合、
前記第1バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記連結ラインが開放され、
前記分岐ラインは、前記第2バルブの作動により開放され、
前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、
前記暖房装置では、前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結され、前記冷却装置で前記電装品の廃熱によって温度が上昇した冷却水が、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインを循環し、
前記暖房ラインから前記冷却水ラインに流入した高温の冷却水は、前記冷却水ラインから前記連結ラインを通じて前記分岐ラインに流入し、前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインを通じて連結された前記バッテリモジュールに供給されることを特徴とする、請求項2に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記エアコン装置は、
前記冷媒ラインを通じて連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒーターに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられたHVACモジュール;
内部に前記暖房装置を通過する冷却水が循環し、前記冷媒ラインを通じて供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサ;
前記蒸発器と前記コンデンサの間で前記冷媒ラインを通じて連結される圧縮機;
前記コンデンサと前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられる熱交換器;
前記熱交換器と前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブ;
前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブ;
前記蒸発器と前記圧縮機の間で前記冷媒ラインに備えられ、前記冷媒連結ラインと連結されるアキュムレータ;および
前記コンデンサと前記熱交換器の間で前記冷媒ラインに備えられる第3膨張バルブ;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記熱交換器は、
前記第3膨張バルブの選択的な作動により、前記コンデンサで凝縮した冷媒を外気および熱交換によりさらに凝縮または蒸発させることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記第2膨張バルブは、
冷媒で前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記冷媒連結ラインを通じて流入する冷媒を膨張させて前記チラーに流入させることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記第3膨張バルブは、
車両の暖房モードと、暖房/除湿モードで前記熱交換器に流入する冷媒を選択的に膨張させることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記冷媒連結ラインの一端は、前記熱交換器と前記第1膨張バルブの間で前記冷媒ラインに連結され、
前記冷媒連結ラインの他端は、前記アキュムレータに連結されることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記熱交換器は、
前記ラジエータの前方に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記チラーと前記コンデンサは水冷式熱交換器であり、前記熱交換器は空冷式熱交換器であることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項11】
前記HVACモジュールは、
前記ヒーターを通過した外気を選択的に加熱するように前記ヒーターを挟んで、前記蒸発器の反対側に備えられる空気加熱器をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項12】
前記空気加熱器は、
前記ヒーターに供給される冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーターを通過した外気の温度を上昇させるために作動することを特徴とする、請求項11に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項13】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記冷却装置では、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、
前記連結ラインが前記第1バルブの作動により閉鎖され、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記第2ウォータポンプの作動により前記チラーを通過した冷却水が前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って前記バッテリモジュールに供給され、
前記暖房装置では、前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結されて前記冷却装置から冷却水が供給され、
前記エアコン装置では、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放された状態で、前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒が循環し、
膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させ、
前記第3膨張バルブは、前記コンデンサから供給された冷媒を前記熱交換器に流入させることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項14】
前記暖房装置は、前記第3ウォータポンプの作動により前記冷却装置から供給された冷却水を前記コンデンサに供給し、
前記コンデンサは冷却水との熱交換により冷媒を凝縮させ、前記熱交換器は、前記コンデンサから流入した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮させることを特徴とする、請求項13に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項15】
車両の暖房モードで外気熱源と、前記電装品および前記バッテリモジュールの廃熱を回収する場合、
前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータを通過せず、開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインと前記バッテリー冷却水ラインがそれぞれ開放され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリモジュールを通過した冷却水が前記分岐ラインを通じて前記チラーに供給され、
前記冷却水ラインと前記暖房ラインは、前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、
前記暖房装置では、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記コンデンサと前記蒸発器を連結する冷媒ラインが閉鎖され、
前記冷媒連結ラインは前記第2膨張バルブの作動により開放され、
前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給し、
前記第3膨張バルブは、前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器に供給することを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項16】
車両の暖房/除湿モードで、
前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータを通過せず、開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記チラーから排出した冷却水は前記分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入し、
前記冷却水ラインと前記暖房ラインは、前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、
前記暖房装置では、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、
前記エアコン装置では、前記第1、および第2膨張バルブの作動により開放された前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒がそれぞれ循環し、
膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させることを特徴とする、請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項17】
前記第3膨張バルブは、
車室内の温度が低い場合、前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器に流入させ、
車室内の温度が高い場合、前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させない状態で、前記熱交換器に流入させることを特徴とする、請求項16に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項18】
冷却水を利用して前記電装品と前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記連結ラインと前記分岐ラインは、前記第1、および第2バルブの作動により閉鎖され、
前記ラジエータで冷却されて前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品に供給され、
前記第2バルブの作動により前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインには前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水が循環しながら、前記バッテリモジュールに供給されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項19】
車両の暖房モードで、前記エアコン装置の作動なしに前記電装品の廃熱を利用する場合、
前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータを通過せず、前記第3バルブを通じて連結された前記暖房ラインに沿って前記ヒーターに供給され、
前記ヒーターから排出した冷却水は前記暖房ライン、前記第3バルブ、および前記冷却水ライン、前記連結ライン、および前記分岐ラインに沿って前記チラーに供給され、
前記チラーから排出した冷却水は前記分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入することを特徴とする、請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項20】
前記第1バルブは、
前記電装品が過熱される場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して前記電装品を通過した冷却水中の一部の冷却水を前記連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることを特徴とする、請求項19に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヒートポンプシステムに関し、より詳しくは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を利用して暖房効率を向上させる車両用ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用空気調和システムは、自動車の室内を暖房または冷房するために冷媒を循環させるエアコン装置を含む。
【0003】
このようなエアコン装置は、外部温度の変化に関係なく自動車の室内温度を適正な温度に維持して快適な室内環境を保つためのものであって、圧縮機の駆動によって吐出される冷媒が凝縮器、レシーバードライヤー、膨張バルブおよび蒸発器を経て再び圧縮機に循環する過程で凝縮器および蒸発器による熱交換によって自動車の室内を暖房または冷房するように構成される。
【0004】
つまり、エアコン装置は、夏季の冷房モード時には圧縮機から圧縮された高温、高圧の気相冷媒が凝縮器を通して凝縮した後、レシーバードライヤーおよび膨張バルブを経て蒸発器での蒸発により室内の温度および湿度を低くする。
【0005】
一方、最近、エネルギー効率と環境汚染問題などに対する関心が日増しに高まるにつれ、内燃機関自動車を実質的に代替可能な環境に優しい自動車の開発が求められており、このような環境に優しい自動車は、通常、燃料電池や電気を動力源として駆動される電気自動車と、エンジンとバッテリーを用いて駆動されるハイブリッド自動車とに区分される。
【0006】
このような環境に優しい車両のうち、電気自動車またはハイブリッド車両には、一般車両の空気調和装置とは異なり、別途のヒーターを使わず、環境に優しい車両に適用される空気調和装置は、通常、ヒートポンプシステムという。
【0007】
また、電気自動車の場合、酸素と水素との化学的反応エネルギーを電気エネルギーに転換して駆動力を発生させるようになり、この過程で燃料電池内の化学的反応によって熱エネルギーが発生するため、発生した熱を効果的に除去することは燃料電池の性能の確保において必須である。
【0008】
そして、ハイブリッド自動車においても、一般的な燃料で作動するエンジンと共に、前記燃料電池や電気バッテリーから供給される電気を用いてモータを駆動させて駆動力を発生させるため、燃料電池やバッテリー、およびモータから発生する熱を効果的に除去しなければモータの性能を確保しにくくなる。
【0009】
これにより、従来技術によるハイブリッド車両や電気自動車においてはモータ、電装品、および燃料電池を含むバッテリーの発熱を防止するため、冷却手段およびヒートポンプシステムと共に、バッテリー冷却システムはそれぞれ別途の密閉回路で構成しなければならない。
【0010】
したがって、車両の前方に配置されるクーリングモジュールの大きさおよび重量が増加し、エンジンルームの内部でそれぞれのヒートポンプシステム、冷却手段およびバッテリー冷却システムに冷媒または冷却水を供給する連結配管のレイアウトが複雑になる短所がある。
【0011】
また、バッテリーが最適な性能を発揮できるよう、車両の状態によりバッテリーを昇温または冷却させるためのバッテリー冷却システムを別途に備えているため、各連結配管と連結するための複数のバルブが適用され、該バルブの頻繁な開閉作動による騒音および振動が車室内に伝達されて乗車感が低下する短所もある。
【0012】
この背景技術部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであり、該技術の属する分野における通常の知識を有する者に一般的に知られている従来技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させるようにする車両用ヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムは、冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置;前記リザーバタンクと第2バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプと、バッテリモジュールとを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置;冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第3バルブを通じて連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプと、ヒーターとを含む暖房装置;および前記第2バルブを通じて前記バッテリー冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結されるチラーであって、前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと前記分岐ラインを連結する連結ラインおよび前記分岐ラインにより選択的に流入する冷却水を、前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて、冷却水の温度を調節するチラー;を含むが、前記エアコン装置に含まれているコンデンサは、前記暖房装置を循環する冷却水が通過するように前記暖房ラインと連結される。
【0015】
前記連結ラインの一端は前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと連結され、前記連結ラインの他端は前記第2バルブと前記チラーとの間で前記分岐ラインに連結され、前記ヒーターは前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられる。
【0016】
前記バッテリモジュールを昇温させる場合、前記第1バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記連結ラインが開放され、前記分岐ラインは前記第2バルブの作動により開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、前記暖房装置では前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインとが連結され、前記冷却装置で前記電装品の廃熱によって温度が上昇した冷却水が前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインを循環し、前記暖房ラインから前記冷却水ラインに流入した高温の冷却水は、前記冷却水ラインから前記連結ラインを通じて前記分岐ラインに流入され、前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインを通じて連結された前記バッテリモジュールに供給される。
【0017】
前記エアコン装置は、前記冷媒ラインを通じて連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒーターに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられるHVACモジュール;内部に前記暖房装置を通過する冷却水が循環し、前記冷媒ラインを通じて供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサ;前記蒸発器と前記コンデンサの間で前記冷媒ラインを通じて連結される圧縮機;前記コンデンサと前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられる熱交換器;前記熱交換器と前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブ;前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブ;前記蒸発器と前記圧縮機の間で前記冷媒ラインに備えられ、前記冷媒連結ラインと連結されるアキュムレータ;および前記コンデンサと前記熱交換器の間で前記冷媒ラインに備えられる第3膨張バルブ;を含むことができる。
【0018】
前記熱交換器は、前記第3膨張バルブの選択的な作動により、前記コンデンサで凝縮した冷媒を外気および熱交換によりさらに凝縮または蒸発させることができる。
【0019】
前記第2膨張バルブは、冷媒で前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記冷媒連結ラインを通じて流入する冷媒を膨張させて前記チラーに流入させることができる。
【0020】
前記第3膨張バルブは、車両の暖房モードと、暖房/除湿モードで前記熱交換器に流入する冷媒を選択的に膨張させることができる。
【0021】
前記冷媒連結ラインの一端は前記熱交換器と前記第1膨張バルブの間で前記冷媒ラインに連結され、前記冷媒連結ラインの他端は前記アキュムレータに連結される。
【0022】
前記熱交換器は前記ラジエータの前方に配置される。
【0023】
前記チラーと前記コンデンサは水冷式熱交換器であり、前記熱交換器は空冷式熱交換器であり得る。
【0024】
前記HVACモジュールは、前記ヒーターを通過した外気を選択的に加熱するように前記ヒーターを挟んで、前記蒸発器の反対側に備えられる空気加熱器をさらに含むことができる。
【0025】
前記空気加熱器は前記ヒーターに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーターを通過した外気の温度を上昇させるために作動され得る。
【0026】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記冷却装置では前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記連結ラインが前記第1バルブの作動により閉鎖され、前記バッテリー冷却装置では前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記第2ウォータポンプの作動により前記チラーを通過した冷却水が前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って前記バッテリモジュールに供給され、前記暖房装置では前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結されて前記冷却装置から冷却水が供給され、前記エアコン装置では前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放された状態で、前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒が循環し、膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させ、前記第3膨張バルブは前記コンデンサから供給された冷媒を前記熱交換器に流入させることができる。
【0027】
前記暖房装置は前記第3ウォータポンプの作動により前記冷却装置から供給された冷却水を前記コンデンサに供給し、前記コンデンサは冷却水との熱交換により冷媒を凝縮させ、前記熱交換器は前記コンデンサから流入した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮させることができる。
【0028】
車両の暖房モードで外気熱源と、前記電装品および前記バッテリモジュールの廃熱を回収する場合、前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、前記冷却装置では前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータの通過なしに開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、前記バッテリー冷却装置では前記第2バルブの作動により前記分岐ラインと前記バッテリー冷却水ラインがそれぞれ開放され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリモジュールを通過した冷却水が前記分岐ラインを通じて前記チラーに供給され、前記冷却水ラインと前記暖房ラインは前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、前記暖房装置では前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、前記エアコン装置では前記第1膨張バルブの作動により前記コンデンサと前記蒸発器を連結する冷媒ラインが閉鎖され、前記冷媒連結ラインは前記第2膨張バルブの作動により開放され、前記第2膨張バルブは前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給し、前記第3膨張バルブは前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器に供給することができる。
【0029】
車両の暖房/除湿モードで、前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、前記冷却装置では前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータの通過なしに開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、前記バッテリー冷却装置では前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記チラーから排出した冷却水は前記分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入し、前記冷却水ラインと前記暖房ラインは前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、前記暖房装置では前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、前記エアコン装置では前記第1、および2膨張バルブの作動により開放された前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒がそれぞれ循環し、膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させることができる。
【0030】
前記第3膨張バルブは車室内の温度が低い場合、前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器に流入させ、車室内の温度が高い場合、前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させない状態で、前記熱交換器に流入させることができる。
【0031】
冷却水を利用して前記電装品と前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記連結ラインと前記分岐ラインは前記第1、および第2バルブの作動により閉鎖され、前記ラジエータで冷却されて前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品に供給され、前記第2バルブの作動により前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインには前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水が循環しながら、前記バッテリモジュールに供給され得る。
【0032】
車両の暖房モードで前記エアコン装置の作動なしに前記電装品の廃熱を利用する場合、前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、前記冷却装置では前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータの通過なしに前記第3バルブを通じて連結された前記暖房ラインに沿って前記ヒーターに供給され、前記ヒーターから排出した冷却水は、前記暖房ライン、前記第3バルブ、および前記冷却水ライン、前記連結ライン、および前記分岐ラインに沿って前記チラーに供給され、前記チラーから排出した冷却水は、分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入し得る。
【0033】
前記第1バルブは前記電装品が過熱される場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して前記電装品を通過した冷却水中の一部の冷却水を前記連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることができる。
【0034】
上述のように本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つのチラーを用いて車両のモードによりバッテリモジュールの温度を調節し、冷却水を利用して車室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
【0035】
また、本発明は、電装品から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる。
【0036】
また、本発明は、バッテリモジュールの温度を効率的に調節することによって、バッテリモジュールの最適な性能を発揮することができ、効率的なバッテリモジュールの管理を通して車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
【0037】
また、本発明は、暖房装置に適用される冷却水加熱器を利用してバッテリモジュールをウォームアップするかまたは室内暖房の補助として使うことで、コストおよび重量を節減できる。
【0038】
また、本発明は、車両の暖房モードで外気熱源と、電装品およびバッテリモジュールの廃熱を選択的に利用することによって、暖房効率を向上させることができる。
【0039】
また、本発明は、コンデンサと熱交換器を利用して冷媒の凝縮または蒸発性能を増大させることによって、冷房性能を向上させ、圧縮機の消耗動力を減らすことができる。
【0040】
さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製作コストの節減および重量縮小が可能で、空間活用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで冷却水を利用した電装品とバッテリモジュールの冷却時の作動状態図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モード時に冷媒を利用してバッテリモジュールを冷却させるための作動状態図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房モードによる外気熱源と、電装品およびバッテリモジュールの廃熱回収に対する作動状態図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房/除湿モードに対する作動状態図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の暖房モード時に電装品の廃熱回収および冷却に対する作動状態図である。
図7】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでバッテリモジュールの昇温に対する作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】
これに先立ち、本明細書に記載された実施形態および図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があることを理解しなければならない。
【0044】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0045】
図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図面に示されたところに限定されず、様々な部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0046】
そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を“含む”とする時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0047】
また、明細書に記載された“...ユニット”、“...手段”、“...部”、“...部材”などの用語は、少なくとも1つの機能や動作をする包括的な構成の単位を意味する。
【0048】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
【0049】
本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラー30を利用してバッテリモジュール24の温度を調節し、電装品15および前記バッテリモジュール24の廃熱を利用して暖房効率を向上させることができる。
【0050】
ここで、前記ヒートポンプシステムは、電気自動車で前記電装品15を冷却するための冷却装置10、前記バッテリモジュール24を冷却するためのバッテリー冷却装置20、冷却水を利用して室内を暖房するための暖房装置40、および室内を冷房および暖房するための空調装置であるエアコン装置50が相互連動され得る。
【0051】
つまり、図1を参照すれば、前記ヒートポンプシステムは、前記冷却装置10、前記バッテリー冷却装置20、前記チラー30、および前記暖房装置40を含む。
【0052】
図1を参照すれば、前記熱管理システムは、冷却装置10、バッテリー冷却装置20、チラー30、および暖房装置40を含むことができる。
【0053】
まず、前記冷却装置10は、冷却水ライン11に連結されるラジエータ12、第1ウォータポンプ14、第1バルブV1、およびリザーバタンク16を含む。
【0054】
前記ラジエータ12は車両の前方に配置され、後方にはクーリングファン13が備えられ、前記クーリングファン13の作動および外気との熱交換により冷却水を冷却させることになる。
【0055】
また、前記電装品15は、電力制御装置(Electric Power Control Unit、EPCU)、モータ、インバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことができる。
【0056】
このように構成される前記電装品15は前記冷却水ライン11に備えられ、水冷式で冷却され得る。
【0057】
これにより、車両の暖房モードで前記電装品15の廃熱を回収する場合は前記電力制御装置、モータ、インバータ、または充電器から発生した熱を回収することができる。
【0058】
このような冷却装置10は、前記冷却水ライン11に備えられる前記電装品15に冷却水が供給されるように前記冷却水ライン11に冷却水を循環させることができる。
【0059】
前記バッテリー冷却装置20は、前記リザーバタンク16および第2バルブV2を通じて連結されるバッテリー冷却水ライン21と、前記バッテリー冷却水ライン21に連結される第2ウォータポンプ22と、バッテリモジュール24とを含む。
【0060】
このようなバッテリー冷却装置20は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記バッテリモジュール24に選択的に冷却水を循環させることができる。
【0061】
一方、前記バッテリモジュール24は、前記電装品15に電源を供給し、前記バッテリー冷却水ライン21に沿って流動する冷却水で冷却される水冷式で形成され得る。
【0062】
ここで、前記第1、および第2ウォータポンプ14、22は電動式ウォータポンプであり得る。
【0063】
本実施形態で、前記チラー30は、前記第2バルブV2を通じて前記バッテリー冷却水ライン21と連結される分岐ライン31に備えられる。
【0064】
このようなチラー30は、エアコン装置50の冷媒ライン51と冷媒連結ライン61を通じて連結される。つまり、前記チラー30は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器であり得る。
【0065】
これにより、前記チラー30は、前記第1バルブV1を通じて前記冷却水ライン11と前記分岐ライン31を連結する連結ライン35および前記分岐ライン31に選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置50から選択的に供給された冷媒と熱交換させて、冷却水の温度を調節することができる。
【0066】
ここで、前記連結ライン35の一端は前記第1バルブV1を通じて前記冷却水ライン11に連結される。前記連結ライン35の他端は前記第2バルブV2と前記チラー30との間で前記分岐ライン31に連結される。
【0067】
このような連結ライン35は、前記第1バルブV1と前記第1ウォータポンプ14の作動により選択的に開閉され得る。また、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により前記冷却水ラインと前記分岐ライン31を連結することができる。
【0068】
そして、前記暖房装置40は、前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように前記冷却水ライン11と第3バルブV3を通じて連結される暖房ライン41、前記暖房ライン41に備えられる第3ウォータポンプ42、およびヒーター52aを含むことができる。
【0069】
前記ヒーター52aは、前記エアコン装置50に含まれているHVACモジュール52の内部に備えられる。
【0070】
ここで、前記第3ウォータポンプ42と前記ヒーター52aとの間で前記暖房ライン41には前記暖房ライン41を循環する冷却水を選択的に加熱するための冷却水加熱器43が備えられる。
【0071】
前記冷却水加熱器43は車両の暖房モードで前記ヒーター52aに供給される冷却水の温度が目標温度より低い場合、ON作動して前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することによって、温度が上昇した冷却水を前記ヒーター52aに流入させることができる。
【0072】
このような冷却水加熱器43は、電源供給により作動する電気式ヒーターであり得る。
【0073】
一方、本実施形態では、前記冷却水加熱器43が前記暖房ライン41に備えられていることを一実施形態にして説明しているが、これに限定されず、前記冷却水加熱器43の代わりに車両の室内に流入する外気の温度を上昇させるための空気加熱器45を適用することができる。
【0074】
前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気を選択的に加熱するように前記HVACモジュール52の内部で車両の室内に向かって前記ヒーター52aの後方に配置し得る。
【0075】
つまり、前記暖房装置40には前記冷却水加熱器43と前記空気加熱器45のうちのいずれか1つが適用され得る。
【0076】
このように構成される暖房装置40は、車両の暖房モードで前記冷却装置10から前記暖房ライン41に流入した高温の冷却水、または前記暖房ライン41を循環しながら温度が上昇した冷却水を前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aに供給することによって、車室内を暖房することができる。
【0077】
ここで、前記第1、第2、および第3ウォータポンプ14、26、42は、電動式ウォータポンプであり得る。
【0078】
本実施形態で、前記エアコン装置50は、前記冷媒ライン51を通じて連結される前記HVACモジュール(Heating、Ventilation、and Air Conditioning)52、コンデンサ53、熱交換器54、第1膨張バルブ55、蒸発器56、および圧縮機59を含む。
【0079】
まず、前記HVACモジュール52は、前記冷媒ライン51を通じて連結される前記蒸発器56と、車両の冷房、暖房、および暖房/除湿モードに応じて、前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aに選択的に流入するように調節する開閉ドア52bとが内部に備えられる。
【0080】
つまり、前記開閉ドア52bは、車両の暖房モードで前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aに流入するように開放される。反対に、車両の冷房モードで前記開閉ドア52bは前記蒸発器56を通過しながら冷却された外気が車両内部に直ちに流入するように前記ヒーター52a側を閉鎖することになる。
【0081】
ここで、前記暖房装置40に前記冷却水加熱器43を備えていない場合、前記HVACモジュール52に備えられる前記空気加熱器45は前記ヒーター52aを挟んで、前記蒸発器56の反対側に備えられる。
【0082】
このような空気加熱器45は、前記ヒーター52aに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーター52aを通過した外気の温度を上昇させるために作動され得る。
【0083】
一方、前記空気加熱器45は、前記暖房ライン41に前記冷却水加熱器43を備えていない場合、前記HVACモジュール52の内部に備えられる。
【0084】
つまり、本発明に係るヒートポンプシステムにおいて、前記冷却水加熱器43と前記空気加熱器45のうちの1つだけ適用され得る。
【0085】
本実施形態で、前記コンデンサ53は前記冷媒ライン51と連結されて冷媒が通過し、前記暖房装置40を循環する冷却水が通過するように前記暖房ライン41と連結される。
【0086】
このようなコンデンサ53は、前記暖房ライン41を通じて供給された冷却水と熱交換により冷媒を凝縮させることができる。つまり、前記コンデンサ53は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器であり得る。
【0087】
このように構成される前記コンデンサ53は、前記圧縮機59から供給された冷媒を前記暖房装置40で供給される冷却水と熱交換させて冷媒を凝縮させることができる。
【0088】
本実施形態で、前記熱交換器54は、前記コンデンサ53と前記蒸発器56の間で前記冷媒ライン51に備えられる。
【0089】
前記第1膨張バルブ55は、前記熱交換器54と前記蒸発器56の間で前記冷媒ライン51に備えられる。前記第1膨張バルブ55には前記熱交換器54を通過した冷媒が供給されて膨張させることになる。
【0090】
前記アキュムレータ57は、前記蒸発器56と前記圧縮機59の間で前記冷媒ライン51に備えられ、前記冷媒連結ライン61と連結される。
【0091】
このようなアキュムレータ57は、前記圧縮機59に気体状態の冷媒だけを供給することによって、前記圧縮機59の効率および耐久性を向上させる。
【0092】
本実施形態で、前記冷媒連結ライン61の一端は前記熱交換器54と前記第1膨張バルブ55の間で前記冷媒ライン51に連結される。そして、前記冷媒連結ライン61の他端は前記アキュムレータ57に連結される。
【0093】
ここで、前記アキュムレータ57は、前記冷媒連結ライン61を通じて供給された冷媒中、気体冷媒を前記圧縮機59に供給することができる。
【0094】
一方、前記冷媒連結ライン61には第2膨張バルブ63が備えられ、前記コンデンサ53と前記熱交換器54の間で前記冷媒ライン51には第3膨張バルブ65が備えられる。
【0095】
前記第2膨張バルブ63は冷媒で前記バッテリモジュール24を冷却する場合、前記冷媒連結ライン61を通じて流入する冷媒を膨張させて前記チラー30に流入させることができる。
【0096】
ここで、前記第2膨張バルブ63は、車両の暖房モード、および暖房/除湿モードで前記電装品15、または前記バッテリモジュール24の廃熱を回収する場合にも作動し得る。
【0097】
このような第2膨張バルブ63は、前記冷媒連結ライン61を通じて流入する冷媒を選択的に膨張させて前記チラー30に流入させることができる。
【0098】
つまり、前記第2膨張バルブ63は、前記熱交換器54から排出した冷媒を膨張させ、その温度を低下させた状態で前記チラー30に流入させることによって、前記チラー30の内部を通過する冷却水の水温をさらに低下させることができる。
【0099】
これにより、前記バッテリモジュール24には前記チラー30を通過しながら水温が低くなった冷却水が流入してより効率的に冷却され得る。
【0100】
前記第3膨張バルブ65は車両の暖房モードと、暖房/除湿モードで前記熱交換器54に流入する冷媒を選択的に膨張させることができる。
【0101】
ここで、前記熱交換器54は前記第3膨張バルブ65の選択的な作動により、前記コンデンサ53で凝縮した冷媒を外気および熱交換によりさらに凝縮または蒸発させることができる。
【0102】
つまり、前記熱交換器54は、前記ラジエータ12の前方に配置されて、内部に流入した冷媒を外気と相互熱交換させる。
【0103】
一方、前記熱交換器54が冷媒を凝縮する場合、前記熱交換器54は前記コンデンサ53で凝縮した冷媒をさらに凝縮させることによって、冷媒のサブクールを増大させることができ、これによって、圧縮機の所要動力対比冷房能力の係数COP(Coefficient Of Performance)を向上させることができる。
【0104】
前記圧縮機59は、前記蒸発器56と前記コンデンサ53の間で前記冷媒ライン51を通じて連結される。このような圧縮機59は気体状態の冷媒を圧縮させ、圧縮された冷媒を前記コンデンサ53に供給することができる。
【0105】
つまり、前記第1、第2、および第3膨張バルブ55、63、65は前記冷媒ライン51、または前記冷媒連結ライン61を通過する冷媒の流動流れを制御しながら、冷媒を選択的に膨張させる電子式膨張バルブであり得る。
【0106】
また、前記第1、および第2バルブV1、V2は、流量分配が可能な3-Wayバルブであり、前記第3バルブV3は、4-Wayバルブであり得る。
【0107】
以下、上記のように構成される本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムの作動および作用について、図2図7を参照して詳しく説明する。
【0108】
まず、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムにおいて、冷却水を利用した前記電装品15、および前記バッテリモジュール24の冷却時の作動について、図2を参照して説明する。
【0109】
図2は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで冷却水を利用した電装品とバッテリモジュールの冷却時の作動状態図である。
【0110】
図2を参照すれば、前記分岐ライン31と前記連結ライン35は前記第1、および第2バルブV1、V2の作動により閉鎖される。
【0111】
また、前記バッテリー冷却水ライン21は、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結される。
【0112】
このような状態で、前記冷却装置10では前記電装品15の冷却のために前記第1ウォータポンプ14が作動する。これにより、前記電装品15には前記ラジエータ12で冷却され、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水が供給される。
【0113】
前記バッテリー冷却装置20では前記バッテリモジュール24の冷却のために前記第2ウォータポンプ22が作動する。
【0114】
そうすると、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21に循環しながら、前記バッテリモジュール24に供給される。
【0115】
つまり、前記ラジエータ12で冷却され、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、前記第1、および第2ウォータポンプ14、22の作動により前記冷却水ライン11と前記バッテリー冷却水ライン21をそれぞれ循環しながら、前記電装品15と前記バッテリモジュール24をそれぞれ冷却させることによって、前記電装品15、および前記バッテリモジュール24を効率的に冷却させることができる。
【0116】
前記エアコン装置50は、車両の冷房モードが作動しないため、作動しない。
【0117】
一方、本実施形態では、冷却水で前記電装品15と前記バッテリモジュール24を全て冷却させることを説明しているが、これに限定されず、前記電装品15と前記バッテリモジュール24のうちのいずれか1つを別途に冷却する場合には前記第1、および第2ウォータポンプ14、22を選択的に作動させることができる。
【0118】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュール24を冷却する場合に対する作動を、図3を参照して説明する。
【0119】
図3は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モード時に冷媒を利用してバッテリモジュールを冷却させるための作動状態図である。
【0120】
図3を参照すれば、前記冷却装置10では前記第1ウォータポンプ14の作動により前記冷却水ライン11に冷却水が循環する。これにより、前記電装品15には前記ラジエータ12で冷却された冷却水が循環する。
【0121】
ここで、前記連結ライン35は前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0122】
前記暖房装置40では前記第3バルブV3の作動により前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41が連結され、前記冷却装置11から供給された冷却水が循環する。
【0123】
これにより、前記ラジエータ12で冷却された冷却水は、前記第1、および第3ウォータポンプ14、42の作動により前記コンデンサ53に供給される。
【0124】
前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記分岐ライン31が開放される。そして、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖される。
【0125】
このような状態で、前記チラー30を通過した冷却水は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記リザーバタンク16の通過なしに前記分岐ライン31、および前記分岐ライン31と連結された前記バッテリー冷却水ライン21に沿って循環しながら、前記バッテリモジュール24に供給される。
【0126】
つまり、前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結が閉鎖された状態で、開放された前記分岐ライン31が前記バッテリー冷却水ライン21と連結されて独立して冷却水が循環する密閉回路を形成することができる。
【0127】
前記エアコン装置50では車室内を冷房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。
【0128】
ここで、前記熱交換器54と前記蒸発器56を連結する前記冷媒ライン51は前記第1膨張バルブ55の作動により開放される。前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0129】
そうすると、前記熱交換器54を通過した冷媒は、前記冷媒ライン51と前記冷媒連結ライン61に沿って循環できる。
【0130】
ここで、前記第1、および第2膨張バルブ55、63は、膨張した冷媒が前記蒸発器56と前記チラー30にそれぞれ供給されるように冷媒を膨張させることができる。そして、前記第3膨張バルブ65は、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させず、前記熱交換器54に流入させることができる。
【0131】
一方、前記暖房装置40は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記冷却装置10から供給された冷却水を前記コンデンサ53に供給する。
【0132】
これにより、前記コンデンサ53は、前記暖房ライン41に沿って流動する冷却水を利用して前記冷媒を凝縮させる。そして、前記熱交換器54は、前記第3膨張バルブ65の作動により前記コンデンサ53から流入した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮させることができる。
【0133】
一方、前記チラー30を通過した冷却水は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記バッテリモジュール24を冷却させるように前記リザーバタンク16の通過なしに、前記バッテリー冷却水ライン21、および前記分岐ライン31を循環する。
【0134】
前記チラー30を通過する冷却水は、前記チラー30に供給される膨張した冷媒と熱交換により冷却される。前記チラー30で冷却された冷却水は、前記バッテリモジュール24に供給される。これにより、前記バッテリモジュール24は冷却された冷却水によって冷却される。
【0135】
つまり、前記第2膨張バルブ63は、膨張した冷媒を前記チラー30に供給するように前記熱交換器54を通過した冷媒中、一部の冷媒を膨張させ、前記冷媒連結ライン61を開放する。
【0136】
したがって、前記熱交換器54から排出した一部の冷媒は、前記第2膨張バルブ63の作動により膨張して低温低圧の状態となり、前記冷媒連結ライン61と連結される前記チラー30に流入する。
【0137】
その後、前記チラー30に流入した冷媒は冷却水と熱交換され、前記冷媒連結ライン61を通じて前記アキュムレータ57を通過した後、前記圧縮機59に流入する。
【0138】
つまり、前記バッテリモジュール24を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、低温低圧の冷媒と前記チラー30の内部で熱交換により冷却される。冷却された冷却水は、前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31を通じて再びバッテリモジュール24に供給される。
【0139】
つまり、冷却水は前記過程を繰り返し行いながら、前記バッテリモジュール24を効率的に冷却させることができる。
【0140】
一方、前記熱交換器54から排出した残りの冷媒は、車両の室内を冷房するように前記冷媒ライン51を通じて流動され、前記第1膨張バルブ55、前記蒸発器56、前記圧縮機59、および前記コンデンサ53を順次に通過する。
【0141】
ここで、前記HVACモジュール52に流入する外気は、前記蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって前記蒸発器56を通過しながら冷却される。
【0142】
この際、前記開閉ドア52bは、冷却された外気が前記ヒーター52aを通過しないように、前記ヒーター52aを通過する部分は閉鎖する。したがって、冷却された外気は、車両の内部に直接流入することによって、車室内を冷房することができる。
【0143】
一方、前記蒸発器56には前記コンデンサ53と前記熱交換器54を順次に通過しながら凝縮量が増加された冷媒が膨張して供給されることによって、冷媒をより低い温度で蒸発させることができる。
【0144】
つまり、本実施形態では前記コンデンサ53が冷媒を凝縮し、前記熱交換器54がさらに冷媒を凝縮させることによって、冷媒のサブクール形成が有利になる。
【0145】
そして、サブクールが形成された冷媒が、前記蒸発器56でより低い温度で蒸発することによって、前記蒸発器56を通過する外気の温度をさらに下げることができ、冷房性能および効率を向上させることができる。
【0146】
前記過程を繰り返し行いながら、冷媒は車両の冷房モードで室内を冷房すると同時に、前記チラー30を通過しながら熱交換により冷却水を冷却させることができる。
【0147】
前記チラー30で冷却された低温の冷却水は、前記バッテリモジュール24に流入する。これにより、前記バッテリモジュール24は供給された低温の冷却水によって効率的に冷却されることができる。
【0148】
本実施形態で、車両の暖房モードで外気熱源と、前記電装品15および前記バッテリモジュール24の廃熱を回収する場合に対する作動を、図4を参照して説明する。
【0149】
図4は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房モードによる外気熱源と、電装品およびバッテリモジュールの廃熱回収に対する作動状態図である。
【0150】
図4を参照すれば、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱が不足した車両のアイドル(IDLE)状態、または初期走行時に前記電装品15、および前記バッテリモジュール24の廃熱と共に外気から外気熱源を吸収することができる。
【0151】
まず、前記冷却装置10で前記第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。
【0152】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により開放される。これと同時に、前記連結ライン35を基準にして前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11は前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0153】
このような状態で、前記電装品15を通過した冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記ラジエータ12を通過せず、開放された前記連結ライン35に沿って前記チラー30に供給される。
【0154】
一方、前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記分岐ライン31と前記バッテリー冷却水ライン21がそれぞれ開放される。前記バッテリモジュール24を通過した冷却水は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記分岐ライン31に沿って前記チラー30に供給される。
【0155】
つまり、前記冷却装置10では開放された前記連結ライン35を通じて前記冷却水ライン11が前記分岐ライン31と連結される。そして、前記バッテリー冷却装置20では前記分岐ライン31を基準にして前記バッテリモジュール24と連結された前記バッテリー冷却水ライン21と、前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21が前記分岐ライン31とそれぞれ連結される。
【0156】
そうすると、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記冷却水ライン11、前記連結ライン35、および前記分岐ライン31に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0157】
また、前記バッテリモジュール24を通過した冷却水は、前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31に沿って循環し続けながら、前記バッテリモジュール24から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0158】
温度が上昇した冷却水は、前記分岐ライン31に備えられる前記チラー30に供給される。つまり、前記電装品15と前記バッテリモジュール24から発生した廃熱は、前記冷却水ライン11と前記バッテリー冷却水ライン21をそれぞれ循環する冷却水の温度を上昇させる。
【0159】
前記暖房装置40では、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記暖房ライン41に沿って冷却水が循環する。
【0160】
ここで、前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41は前記第3バルブV3の作動により、それぞれ独立した密閉回路を形成することができる。
【0161】
これにより、前記暖房ライン41を循環する冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aを通過した後、前記コンデンサ53に供給される。
【0162】
ここで、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41に沿って循環する冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することができる。
【0163】
一方、前記冷却水加熱器43の代わりに前記空気加熱器45が適用される場合、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0164】
前記エアコン装置50では車室内を暖房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。
【0165】
ここで、前記コンデンサ53と前記蒸発器56を連結する前記冷媒ライン51は、前記第1膨張バルブ55の作動により閉鎖される。
【0166】
前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0167】
ここで、前記第2膨張バルブ63は、前記熱交換器54から前記冷媒連結ライン61に供給される冷媒を膨張させて、前記チラー30に供給することができる。
【0168】
また、前記第3膨張バルブ65は、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させて、前記熱交換器54に供給することができる。
【0169】
これにより、前記熱交換器54は、膨張した冷媒を外気および熱交換により蒸発させながら外気熱源を回収する。
【0170】
そして、前記電装品15と前記バッテリモジュール24の廃熱を吸収して温度が上昇した冷却水は、前記第1、および第2ウォータポンプ14の作動により前記チラー30を通過しながら、前記チラー30に供給された冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0171】
つまり、前記チラー30は前記熱交換器54から供給され、前記第2膨張バルブ63の作動により膨張した冷媒が前記冷媒連結ライン61を通じて供給され、供給された冷媒を前記電装品15と前記バッテリモジュール24をそれぞれ通過しながら温度が上昇した冷却水との熱交換により蒸発させることによって、前記電装品15、および前記バッテリモジュール24の廃熱を回収することができる。
【0172】
その後、前記チラー30を通過した冷媒は、前記冷媒連結ライン61に沿って前記アキュムレータ57に供給される。
【0173】
前記アキュムレータ57に供給された冷媒は、気体と液体に分離される。気体と液体に分離された冷媒中、気体冷媒は前記圧縮機59に供給される。
【0174】
前記圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、前記コンデンサ53に流入する。
【0175】
ここで、前記コンデンサ53に供給された冷媒は、前記暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換しながら冷却水の温度を上昇させることができる。温度が上昇した冷却水は、前記ヒーター52aに供給される。
【0176】
一方、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入して前記蒸発器56を通過した外気が、前記ヒーター52aを通過するように開放される。
【0177】
これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない前記蒸発器56の通過の際、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、前記ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内の暖房が具現され得る。
【0178】
つまり、本実施形態によるヒートポンプシステムは車両の初期始動空回転(IDLE)状態、または初期走行状態で暖房が要求される場合、前記熱交換器54で外気熱源を吸収し、前記電装品15、および前記バッテリモジュール24の廃熱を利用して冷媒の温度を上昇させるのに利用することによって、前記圧縮機59の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させることができる。
【0179】
一方、本実施形態では前記電装品15と前記バッテリモジュール24の廃熱を共に回収することを一実施形態にして説明しているが、これに限定されず、前記バッテリモジュール24の廃熱は選択的に回収することができる。
【0180】
つまり、前記バッテリモジュール24の廃熱を回収しない場合、前記バッテリー冷却装置20では前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が閉鎖され、前記第2ウォータポンプ22は作動が停止し得る。
【0181】
本実施形態で、車両の暖房/除湿モードによる前記電装品15の廃熱を回収する場合に対する作動を、図5を参照して説明する。
【0182】
図5は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房/除湿モードに対する作動状態図である。
【0183】
図5を参照すれば、前記ヒートポンプシステムは、車両の暖房/除湿モードで前記電装品15の廃熱を回収して室内暖房に利用することができる。
【0184】
ここで、車室内の温度が低温の場合、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱と共に外気熱源を回収することができる、反面、車室内の温度が高温の場合には前記電装品15の廃熱だけを回収して車両の室内暖房に利用することができる。
【0185】
まず、前記冷却装置10で前記第1ウォータポンプ14は冷却水の循環のために作動する。
【0186】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により開放される。これと同時に、前記連結ライン35を基準にして前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11は前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0187】
このような状態で、前記電装品15を通過した冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記ラジエータ12を通過せず、開放された前記連結ライン35に沿って前記チラー30に供給される。
【0188】
一方、前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記分岐ライン31が開放され、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が閉鎖される。
【0189】
つまり、前記第2ウォータポンプ22と前記バッテリモジュール24を連結する前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、前記第2ウォータポンプ22の作動が中止される。
【0190】
このような状態で、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記冷却水ライン11、前記連結ライン35、および前記分岐ライン31に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0191】
温度が上昇した冷却水は、前記分岐ライン31に備えられる前記チラー30に供給される。
【0192】
前記チラー30から排出した冷却水は、前記分岐ライン31と、開放された前記バッテリー冷却水ライン21とを通じて前記リザーバタンク16に流入する。その後、冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記リザーバタンク16から再び前記冷却水ライン11に沿って前記電装品15を通過して前記連結ライン35に流入し得る。
【0193】
つまり、前記電装品15から発生した廃熱は、前記冷却水ライン11、前記連結ライン35、前記分岐ライン31、および開放された前記バッテリー冷却水ライン21を循環する冷却水の温度を上昇させる。
【0194】
前記暖房装置40では前記第3ウォータポンプ42の作動により前記暖房ライン41に沿って冷却水が循環する。
【0195】
ここで、前記冷却水ラインと11前記暖房ライン41は、前記第3バルブV3の作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成することができる。
【0196】
これにより、前記暖房ライン41を循環する冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aを通過した後、前記コンデンサ53に供給される。
【0197】
ここで、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41に沿って循環する冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することができる。
【0198】
一方、前記冷却水加熱器43の代わりに前記空気加熱器45が適用される場合、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0199】
本実施形態で、前記エアコン装置50では車室内を暖房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。
【0200】
ここで、前記コンデンサ53と前記蒸発器56を連結する前記冷媒ライン51は、前記第1膨張バルブ55の作動により開放される。
【0201】
前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0202】
ここで、前記第1、および第2膨張バルブ55、63は膨張した冷媒が、前記蒸発器56と前記チラー30にそれぞれ供給されるように前記熱交換器54から前記冷媒連結ライン61と前記冷媒ライン51に供給される冷媒を膨張させることができる。
【0203】
また、前記第3膨張バルブ65は車室内の温度が低い場合、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器54に流入させることができる。
【0204】
これにより、前記熱交換器54は、膨張した冷媒を外気および熱交換により蒸発させながら外気熱源を回収する。
【0205】
これとは反対に、前記第3膨張バルブ65は車室内の温度が高い場合、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させない状態で、前記熱交換器54に流入させることができる。
【0206】
これにより、前記熱交換器54は、冷媒を外気との熱交換により凝縮させることができる。
【0207】
そして、前記電装品15の廃熱を吸収して温度が上昇した冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記チラー30を通過しながら、前記チラー30に供給された冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0208】
つまり、前記チラー30は前記熱交換器54から供給され、前記第2膨張バルブ63の作動により膨張した冷媒が前記冷媒連結ライン61を通じて供給され、供給された冷媒を前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水との熱交換により蒸発させることによって、前記電装品15の廃熱を回収することができる。
【0209】
その後、前記チラー30を通過した冷媒は、前記冷媒連結ライン61に沿って前記アキュムレータ57に供給される。
【0210】
前記アキュムレータ57に供給された冷媒は、気体と液体に分離される。気体と液体に分離された冷媒中、気体冷媒は前記圧縮機59に供給される。
【0211】
前記圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、前記コンデンサ53に流入する。
【0212】
ここで、前記コンデンサ53に供給された冷媒は、前記暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換しながら冷却水の温度を上昇させることができる。温度が上昇した冷却水は、前記ヒーター52aに供給される。
【0213】
一方、前記第1膨張バルブ55の作動により前記蒸発器56に供給された膨張した冷媒は、前記蒸発器56を通過する外気と熱交換した後、前記冷媒ライン51に沿って前記アキュムレータ57を経て前記圧縮機59に供給される。
【0214】
つまり、前記蒸発器56を通過した冷媒は、前記冷媒連結ライン61を通じて前記アキュムレータ57に流入した冷媒と一緒に前記圧縮機59に供給される。
【0215】
そして、前記圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は前記コンデンサ53に流入する。
【0216】
ここで、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入して前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aを通過するように開放される。
【0217】
つまり、前記HVACモジュール52に流入する外気は、前記蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって前記蒸発器56を通過しながら除湿される。その後、前記ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内を暖房および除湿することになる。
【0218】
つまり、本実施形態によるヒートポンプシステムは、車両の暖房/除湿モードで前記電装品15で発生する廃熱と共に、車両の室内温度により外気熱源を選択的に吸収して冷媒の温度を上昇させるのに利用することによって、前記圧縮機59の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させることができる。
【0219】
本実施形態で、車両の暖房モードで前記エアコン装置50の作動なしに前記電装品15の廃熱を利用する場合に対する作動を、図6を参照して説明する。
【0220】
図6は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の暖房モード時に電装品の廃熱回収および冷却に対する作動状態図である。
【0221】
図6を参照すれば、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱を利用して車室内の暖房に使用することができる。
【0222】
まず、前記冷却装置10で前記第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。この際、前記エアコン装置50は作動が中断される。
【0223】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により開放される。
【0224】
これにより、前記冷却装置10では、前記連結ライン35を基準にして前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11が前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0225】
前記分岐ライン31は前記第2バルブV1の作動により開放され、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が閉鎖される。
【0226】
つまり、前記第2ウォータポンプ22と前記バッテリモジュール24を連結する前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、前記第2ウォータポンプ22の作動が中止される。
【0227】
このような状態で、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに前記第3バルブV3を通じて連結された前記暖房ライン41に沿って前記ヒーター52aに供給される。
【0228】
ここで、前記暖房ライン41に流入した冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aを通過する。この際、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41に沿って循環する冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することができる。
【0229】
一方、前記冷却水加熱器43の代わりに前記空気加熱器45が適用される場合、前記空気加熱器45は前記ヒーター52aを通過した外気の温度により選択的に作動し得る。
【0230】
つまり、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0231】
このような空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過しながら高温の冷却水と熱交換が完了した外気の温度が設定温度、または暖房の目標温度より低い場合に作動する。
【0232】
つまり、前記空気加熱器45が作動すると、外気は前記空気加熱器45を通過しながら加熱して温度が上昇した状態で車室内に流入することができる。
【0233】
本実施形態で、前記ヒーター52aから排出した冷却水は、前記暖房ライン41と前記第3バルブV3を経て前記冷却水ライン11に流入した後、前記連結ライン35と前記分岐ライン31に沿って前記チラー30に供給される。
【0234】
ここで、前記チラー30に供給された冷却水は、前記チラー30に冷媒が流入しないため、冷媒と熱交換なしに前記チラー30を通過できる。
【0235】
前記チラー30から排出した冷却水は、前記分岐ライン31と開放された前記バッテリー冷却水ライン21を順次に経て、再び前記リザーバタンク16に流入する。
【0236】
つまり、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記冷却水ライン11、前記暖房ライン41、連結ライン35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリー冷却水ライン21に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0237】
温度が上昇した冷却水は、前記第3バルブV3の作動により前記冷却水ライン11と連結された前記暖房ライン41に流入する。その後、前記暖房ライン41に流入した高温の冷却水は前記ヒーター52aに供給される。
【0238】
ここで、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入する外気が前記ヒーター52aを通過するように開放される。
【0239】
これにより、外部から流入した外気は冷媒が供給されない前記蒸発器56の通過の際、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、前記ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内の暖房が具現され得る。
【0240】
つまり、本発明は前記過程を繰り返し行いながら、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に利用することによって、使用電力を減らし、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0241】
一方、前記電装品15の廃熱を冷却水を利用して回収して車室内を暖房する過程で、前記電装品15が過熱されると、前記第1バルブV1の作動により前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11が開放される。
【0242】
これにより、前記ヒーター52aに供給されない残りの冷却水は、前記ラジエータ12を通過しながら冷却される。
【0243】
冷却が完了した冷却水は、前記連結ライン35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリー冷却水ライン21を通じて前記リザーバタンク16に流入した冷却水と一緒に、前記電装品15を通過しながら廃熱を回収すると同時に、前記電装品15を効率的に冷却することができる。
【0244】
つまり、前記第1バルブV1は前記電装品15が過熱される場合、前記ラジエータ12と連結される前記冷却水ライン11を開放して前記電装品15を通過した冷却水中の一部の冷却水を前記連結ライン35に流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータ12に流入させることができる。
【0245】
これにより、前記ラジエータ12で冷却された一部の冷却水が前記電装品15に供給されることによって、前記電装品15が過熱されることを防止することができる。
【0246】
したがって、本発明は、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に利用することによって、使用電力を減らし、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0247】
これと同時に、本発明は、流量分配が可能な前記第1バルブV1の作動制御により一部の冷却水を前記ラジエータ12に流入させて冷却した後、前記電装品15に供給することによって、前記電装品15の効率的な冷却が可能になると同時に、前記電装品15の冷却性能を確保できる。
【0248】
そして、前記バッテリモジュール24を昇温させる場合に対する作動を、図7を参照して説明する。
【0249】
図7は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでバッテリモジュールの昇温に対する作動状態図である。
【0250】
図7を参照すれば、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱を回収して前記バッテリモジュール24を昇温させることができる。
【0251】
まず、前記冷却装置10では、前記第1バルブV1の作動により前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11が閉鎖された状態で、前記連結ライン35が開放される。ここで、前記エアコン装置50は作動が中断される。
【0252】
前記分岐ライン31は前記第2バルブV2の作動により開放される。そして、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が開放される。
【0253】
結果的に、前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、前記バッテリモジュール24と連結された残りの前記バッテリー冷却水ライン21は開放される。
【0254】
つまり、前記バッテリー冷却装置20で、前記第2ウォータポンプ22と前記バッテリモジュール24を連結する前記バッテリー冷却水ライン21は、前記分岐ライン31と連結されるように開放される。
【0255】
これにより、前記バッテリー冷却装置20では、前記第2ウォータポンプ22の作動により開放された前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31に沿って冷却水が循環する。
【0256】
前記バッテリモジュール24を通過した冷却水中の一部の冷却水は、前記第2バルブV2を通じて連結された前記リザーバタンク16に流入し、残りの冷却水は前記分岐ライン31に流入し得る。
【0257】
一方、前記暖房装置40では、前記第3バルブV3の作動により前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41が連結される。
【0258】
このような状態で、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記第3バルブV3を通じて連結された前記暖房ライン41に流入する。
【0259】
つまり、前記冷却装置10で前記電装品15の廃熱によって温度が上昇した冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記暖房ライン41を循環することができる。
【0260】
ここで、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41を循環する冷却水の温度が設定温度より低い場合、冷却水を加熱するように作動し得る。そうすると、前記暖房ライン41で循環する冷却水は、前記冷却水加熱器43を通過しながら温度が上昇する。
【0261】
前記冷却水加熱器43を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記暖房ライン41から前記第3バルブV3を通じて前記冷却水ライン11に流入する。その後、高温の冷却水は、前記冷却水ライン11から前記連結ライン35を通じて前記分岐ライン31に流入する。
【0262】
前記分岐ライン31に流入した高温の冷却水は、前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31を通じて連結された前記バッテリモジュール24に供給される。
【0263】
これにより、高温の冷却水は、前記バッテリモジュール24の温度を上昇させることができる。
【0264】
つまり、本発明は、前記過程を繰り返し行いながら、前記バッテリモジュール24の温度を迅速に上昇させることができ、前記バッテリモジュール24の効率的な温度管理が可能になる。
【0265】
したがって、上述のように本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つの前記チラー30を利用して車両のモードに応じて前記バッテリモジュール24の温度を調節し、冷却水を利用して車室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
【0266】
また、本発明は、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる。
【0267】
また、本発明は、前記バッテリモジュール24の温度を効率的に調節することによって、前記バッテリモジュール24の最適な性能を発揮することができ、効率的な前記バッテリモジュール24の管理によって車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
【0268】
また、本発明は、前記暖房装置40に適用される前記冷却水加熱器43を利用して前記バッテリモジュール24をウォームアップするか、または室内暖房に補助として使用することができ、コストおよび重量を節減することができる。
【0269】
また、本発明は、車両の暖房モードで外気熱源と、前記電装品15およびバッテリモジュール24の廃熱を選択的に利用することによって、暖房効率を向上させることができる。
【0270】
また、本発明は、前記コンデンサ53と前記熱交換器54を利用して冷媒の凝縮または蒸発性能を増大させることによって、冷房性能を向上させ、圧縮機の消耗動力を減らすことができる。
【0271】
さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製造コストの節減および重量縮小が可能で、空間活用性を向上させることができる。
【0272】
以上、本発明は限定された実施形態および図面によって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0273】
10:冷却装置
11:冷却水ライン
12:ラジエータ
13:クーリングファン
14、22:第1、および第2ウォータポンプ
15:電装品
16:リザーバタンク
20:バッテリー冷却装置
21:バッテリー冷却水ライン
24:バッテリモジュール
31:分岐ライン
35:連結ライン
40:暖房装置
41:暖房ライン
43:冷却水加熱器
45:空気加熱器
50:エアコン装置
51:冷媒ライン
52:HVACモジュール
53:コンデンサ
54:熱交換器
55:第1膨張バルブ
56:蒸発器
59:圧縮機
61:冷媒連結ライン
63、65:第2、および第3膨張バルブ
V1、V2、V3:第1、第2、および第3バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7