(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】カテーテル挿入トレーシステムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
A61B 50/33 20160101AFI20230501BHJP
【FI】
A61B50/33
(21)【出願番号】P 2019553181
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 US2018025260
(87)【国際公開番号】W WO2018183752
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ゴーデ,ジョン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538018(JP,A)
【文献】米国特許第05163557(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0145589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056125(US,A1)
【文献】特開昭61-092677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/33
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル導入パッケージであって、
陰部洗浄キットと、
2対以上の手袋と、
カテーテルを含むドレナージシステムと、
を含む、
カテーテル導入手順のための
滅菌内容物と、
滅菌カテーテル導入トレーであって、前記カテーテル導入手順全体にわたって前記トレーの少なくとも一部分を含む滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含み、前記トレーの前記構造的構成は、
前記滅菌フィールドにおいて前記カテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために
前記トレーの滅菌側として指定され、前記ドレナージシステムを含むように構成された前記トレーの
第1の側と、
前記滅菌フィールドの外側で前記カテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う前記第1の人物または第2の人物のために
前記トレーの非滅菌側として指定された前記トレーの
第2の側と、
を含
み、前記滅菌内容物は、前記カテーテル導入手順の間に、前記トレーの前記第1の側及び前記第2の側をそれぞれ横切る滅菌作業経路及び非滅菌作業経路に従って前記第1の人物または前記第1の人物及び前記第2の人物によって前記トレーから取り出されるように、前記トレーに配置されている、滅菌カテーテル導入トレーと、
を備える、カテーテル導入パッケージ。
【請求項2】
前記構造的構成は、前記トレーの中央部分において前記トレーの長さに沿って前記トレーの前記
第1の側と前記
第2の側とを分離する少なくとも一つの仕切りを含
み、前記トレーの前記長さは、前記トレーの幅より大きい、請求項1に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項3】
滅菌ラップと、前記カテーテル導入トレーの周りに前記滅菌ラップを保持するように構成された腹帯とを更に備え、前記陰部洗浄キットは、手指殺菌剤のパッケージと共に前記滅菌ラップの外側に位置する、請求項1または2に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項4】
前記2対以上の手袋のうちの少なくとも第1の対の手袋は、前記滅菌ラップの外側に位置する、請求項3に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項5】
前記2対以上の手袋のうちの少なくとも第1の対の手袋は、前記滅菌ラップの内側に位置する、請求項3に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項6】
前記カテーテル導入手順のための前記
滅菌内容物は、
滅菌生理食塩水の注射器と、
潤滑剤を収容する容器と、
試料容器とをさらに含み、前記トレーの前記
第1の側は、前記滅菌生理食塩水の注射器と、前記潤滑剤を収容する容器と、前記試料容器とを含むように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項7】
前記カテーテル導入手順のための前記
滅菌内容物は、
アンダーパッドと、
有窓ドレープとを更に含み、前記トレーの前記
第2の側は、前記アンダーパッドおよび前記有窓ドレープを含むように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項8】
カテーテル導入パッケージであって、
患者の尿道周囲エリアを洗浄するように構成された陰部洗浄キットと、
2対以上の滅菌手袋と、
尿道カテーテル、ドレナージ管およびドレナージバッグを含む、患者の膀胱から尿を排出するように構成されたドレナージシステムと、
を含む、
カテーテル導入手順のための
滅菌内容物と
滅菌カテーテル導入トレーであって、
前記カテーテル導入手順全体にわたって前記トレーの少なくとも一部分を含む滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含み、前記トレーの前記構造的構成は、
前記滅菌フィールドにおいて前記カテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために
前記トレーの滅菌側として指定され、前記ドレナージシステムを含むように構成された前記トレーの
第1の側と、
前記滅菌フィールドの外側で前記カテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う前記第1の人物または第2の人物のために
前記トレーの非滅菌側として指定された前記トレーの
第2の側と、
前記トレーの中央部分において
、前記トレーの幅より大きい前記トレーの長さに沿って前記トレーの前記
第1の側と前記
第2の側とを分離する少なくとも一つの仕切りと
を含
み、前記滅菌内容物は、前記カテーテル導入手順の間に、前記トレーの前記第1の側及び前記第2の側をそれぞれ横切る滅菌作業経路及び非滅菌作業経路に従って前記第1の人物または前記第1の人物及び前記第2の人物によって前記トレーから取り出されるように、前記トレーに配置されている、滅菌カテーテル導入トレーと、
を備える、カテーテル導入パッケージ。
【請求項9】
前記カテーテル導入手順のための前記
滅菌内容物は、
前記尿道カテーテルのバルーンを膨張させるように構成された滅菌生理食塩水の注射器と、
前記尿道カテーテルを潤滑化するように構成された潤滑剤を収容する容器と、
患者の尿試料を保持するように構成された滅菌試料容器とを含み、前記トレーの前記
第1の側は、前記滅菌生理食塩水の注射器と、前記潤滑剤を収容する容器と、前記試料容器とを含むように構成される、請求項8に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項10】
前記カテーテル導入手順のための前記
滅菌内容物は、
患者の下に配置するように構成された防水アンダーパッドと、
患者の上に配置するように構成された有窓ドレープとを更に含み、前記トレーの前記
第2の側は、前記アンダーパッドおよび前記有窓ドレープを含むように構成される、請求項8または9に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項11】
前記カテーテル導入手順のための前記
滅菌内容物は、殺菌剤のパッケージと、前記尿道カテーテルを挿入するために患者を準備するように構成された1つまたは複数のスワブとを含む皮膚処置キットを更に含み、前記トレーの前記
第2の側は、前記皮膚処置キットを含むように構成される、請求項8~10のいずれか一項に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項12】
前記トレーは、前記トレー上に直接刻まれた前記カテーテル導入手順のための指示を含み、それらの指示のうちの少なくとも一部は、前記トレー内の前記
滅菌内容物が取り除かれるときに、前記カテーテル導入手順の前記滅菌ステップおよび前記非滅菌ステップに合わせて露出される、請求項8~11のいずれか一項に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項13】
滅菌ラップと、前記カテーテル導入トレーの周りに前記滅菌ラップを保持するように構成された腹帯とを更に備え、前記陰部洗浄キットは、手指殺菌剤のパッケージと共に前記滅菌ラップの外側に位置する、請求項8~12のいずれか一項に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項14】
前記2対以上の手袋のうちの少なくとも第1の対の手袋は、前記滅菌ラップの外側に位置する、請求項13に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項15】
前記2対以上の手袋のうちの少なくとも第1の対の手袋は、前記滅菌ラップの内側に位置する、請求項13に記載のカテーテル導入パッケージ。
【請求項16】
カテーテル導入パッケージを
開ける方法であって、
滅菌カテーテル導入トレーが露出されるように前記カテーテル導入パッケージのラップを開封するステップであって、前記
滅菌カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体にわたって前記トレーの少なくとも一部分を含む患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含み、前記トレーの前記構造的構成は、
前記滅菌フィールドにおいて前記カテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために
前記トレーの滅菌側として指定されたトレーの
第1の側と、
前記滅菌フィールドの外側で前記カテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う前記第1の人物または第2の人物のために
前記トレーの非滅菌側として指定されたトレーの
第2の側と、
を含み、前記トレーの中央部分において
、前記トレーの幅より大きい前記トレーの長さに沿って、仕切りが、前記トレーの前記
第1の側と前記
第2の側を分離して
おり、前記カテーテル導入手順のための滅菌内容物が、前記カテーテル導入手順の間に、前記トレーの前記第1の側及び前記第2の側をそれぞれ横切る滅菌作業経路及び非滅菌作業経路に従って前記第1の人物または前記第1の人物及び前記第2の人物によって前記トレーから取り出されるように、前記トレーに配置されている、
ステップと、
前記カテーテル導入トレーの前記
第2の側からアンダーパッドおよび有窓ドレープを取り除くステップと、
前記カテーテル導入トレーの前記
第1の側から、尿道カテーテル、ドレナージ管およびドレナージバッグを含むドレナージシステムを取り除くステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記カテーテル導入パッケージの滅菌ラップの外側から、陰部洗浄キットと、手指殺菌剤のパッケージとを除去するステップ
を更に含む、請求項16に記載のカテーテル導入パッケージを
開ける方法。
【請求項18】
カテーテル導入パッケージを製造する方法であって、
カテーテル導入パッケージのためのカテーテル導入トレーを成形するステップを含み、前記カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体を通じて、前記トレーの少なくとも一部分を含む患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含み、前記トレーの前記構造的構成は、
前記滅菌フィールドにおいて前記カテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために
前記トレーの滅菌側として指定された前記トレーの
第1の側と、
前記滅菌フィールドの外側で前記カテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う前記第1の人物または第2の人物のために
前記トレーの非滅菌側として指定された前記トレーの
第2の側と、
を含み、前記トレーの中央部分において前記トレーの長さに沿って、仕切りが、前記トレーの前記
第1の側と前記
第2の側を分離しており、
前記トレーの前記長さは前記トレーの幅より大きく、
前記方法は、
前記カテーテル導入トレーに前記カテーテル導入手順のための内容物を配置するステップであって、前記内容物は、前記カテーテル導入トレーの前記
第1の側に
配置される、尿道カテーテルと、ドレナージ管と、ドレナージバッグとを含むドレナージシステムを
含み、前記内容物は、前記カテーテル導入手順の間に、前記トレーの前記第1の側及び前記第2の側をそれぞれ横切る滅菌作業経路及び非滅菌作業経路に従って、前記第1の人物または前記第1の人物及び前記第2の人物によって前記トレーから取り出される、前記カテーテル導入手順のための内容物を配置するステップ
と、
前記カテーテル導入パッケージを滅菌するステップと、を更に含む、方法。
【請求項19】
前記カテーテル導入トレーの前記
第2の側にアンダーパッドおよび有窓ドレープを配置するステップを更に含む、請求項18に記載の前記カテーテル導入パッケージを製造する方法。
【請求項20】
前記トレーの周りに滅菌ラップを巻きつけるステップを更に含む、請求項18または19に記載の前記カテーテル導入パッケージを製造する方法。
【請求項21】
前記カテーテル導入パッケージの前記滅菌ラップの外側に、陰部洗浄キットと手指殺菌剤のパッケージとを配置するステップを更に含む、請求項20に記載の前記カテーテル導入パッケージを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
[0001]本出願は、2017年3月31日に出願された米国仮特許出願第62/479,687号の優先権の利益を主張するものである。この仮特許出願は、その全体が、参照によって本出願に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002]カテーテル挿入トレーを含むカテーテル導入パッケージは、一般に、看護師等の1人の人物によるカテーテル挿入工程のために設計および最適化される。看護師は、患者のベッドの一方の側に立ち、カテーテル挿入トレーの一方の側から、カテーテル挿入工程の全ての準備および挿入ステップを行う。1人の人物によるカテーテル挿入工程のまさにその性質上、看護師は、カテーテル挿入トレーの滅菌部分に望ましくない汚染を持ち込む可能性があり、カテーテル挿入工程の後に意図しない合併症を引き起こす可能性がある。したがって、カテーテル挿入工程は、滅菌技法を確実にするための特定の手段から利益を得ることができる。本明細書では、いくつかの実施形態において、上記に対処するシステムおよび方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本明細書では、いくつかの実施形態において、カテーテル導入トレーと、カテーテル導入手順のための内容物とを含むカテーテル導入パッケージが提供される。カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体にわたって患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができ、滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいてカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側も提供することができる。カテーテル導入手順のための内容物は、陰部洗浄キットと、2対以上の手袋と、カテーテルを含むドレナージシステムとを含むことができる。
【0004】
[0004]また、本明細書では、いくつかの実施形態において、カテーテル導入トレーと、カテーテル導入手順のための内容物とを含むカテーテル導入パッケージが提供される。カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体にわたって患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができ、滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいてカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側も提供することができる。構造的構成は、トレーの中央部分におけるトレーの長さに沿って、トレーの滅菌側と非滅菌側とを分離する少なくとも一つの仕切りを含むことができる。カテーテル導入手順の内容物は、患者の尿道周囲エリアを洗浄するように構成された陰部洗浄キットと、2対以上の滅菌手袋と、ドレナージシステムとを含むことができる。ドレナージシステムは、尿等の物質を患者から排出するように構成された、尿道カテーテル、例えばフォーリーカテーテル等のドレナージシステムカテーテルを含むカテーテルと、ドレナージ管と、ドレナージバッグとを含むことができる。
【0005】
[0005]また、本明細書では、いくつかの実施形態において、カテーテル導入パッケージのためのカテーテル導入トレーを成形することを含む、カテーテル導入パッケージのための方法が提供される。カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体を通じて、患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができ、滅菌フィールドはトレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいて前記カテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。また、トレーの構造的構成は、前記滅菌フィールドの外側で前記カテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う前記第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側を提供することができる。
【0006】
[0006]また、本明細書では、いくつかの実施形態において、カテーテル導入パッケージのラップを開封してカテーテル導入トレーが現れるようにし、トレーの非滅菌側からカテーテル導入手順のための内容物の第1のセットを取り除き、トレーの滅菌側からカテーテル導入手順のための内容物の第2のセットを取り除くことを含むカテーテル導入パッケージの方法が提供される。カテーテル導入パッケージのラップを開封してカテーテル導入トレーが現れるようにすることは、カテーテル導入手順全体を通じて患者の周りに滅菌フィールドを維持するためのトレーの構造的構成が現れるようにすることを含むことができ、滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールド内でカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を含むことができる。また、トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側を提供することができる。トレーの非滅菌側からカテーテル導入手順のための内容物の第1のセットを取り除くことは、カテーテル導入トレーの非滅菌側からアンダーパッドおよび有窓ドレープを取り除くことを含むことができる。カテーテル導入手順のための内容物の第2のセットをトレーの滅菌側から取り除くことは、尿道カテーテル、ドレナージ管およびドレナージバッグを含むドレナージシステムを、カテーテル導入トレーの滅菌側から取り除くことを含むことができる。
【0007】
[0007]本明細書に提供される概念のこれらの特徴および他の特徴は、図面、説明および添付の特許請求の範囲を参照してより良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]いくつかの実施形態による、1人または複数人の人物によって用いるためのカテーテル導入パッケージの第1の層を示す概略図を提供する。
【
図2】[0009]いくつかの実施形態による、
図1のカテーテル導入パッケージの第2の層を示す概略図を提供する。
【
図3】[0010]いくつかの実施形態による、
図1のカテーテル導入パッケージの第3の層を示す概略図を提供する。
【
図4】[0011]1人用カテーテル導入パッケージの第1の層を示す概略図を提供する。
【
図5】[0012]
図4の1人用カテーテル導入パッケージの第2の層を示す概略図を提供する。
【
図6】[0013]
図4の1人用カテーテル導入パッケージの第3の層を示す概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014]いくつかの特定の実施形態をより詳しく記載する前に、本明細書において提供される特定の実施形態は、本明細書において提供される概念の範囲に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書において提供される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離され得ると共に、本明細書において提供されるいくつかの他の実施形態のいずれかと任意選択で組み合わせられるかまたは代用され得る特徴を有することができることが理解されるべきである。
【0010】
[0015]また、本明細書において用いられる用語に関して、当該用語はいくつかの特定の実施形態を記載するためのものであり、当該用語は本明細書において提供される概念の範囲を限定しないことが理解されるべきである。別途示されなければ、序数(例えば、第1、第2、第3等)は、特徴またはステップ(換言すれば、工程)の群における異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数的な限定を与えるものではない。例えば、「第1」、「第2」および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順で現われる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。また、別途示されなければ、「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「前方」、「逆」、「時計回り」、「反時計回り」、「上方」、「下方」といった任意の分類、または、「上側」、「下側」、「後側」、「前側」、「垂直」、「水平」、「近位」、「遠位」等といった他の同様の用語は、簡便さのために使用されており、例えば任意の特定の固定された位置、方位または方向を示唆するよう意図されないということが理解されるべきである。代わりに、このような分類は例えば、相対的な位置、方位または方向を反映するために使用される。また、「ある」および「その」といった単数形は、文脈が明白に他の態様を示していなければ、複数の参照を含むということが理解されるべきである。
【0011】
[0016]別途規定されていなければ、本明細書において使用される技術用語および科学用語は全て、当該技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
[0017]カテーテル挿入トレーを含むカテーテル導入パッケージは、一般に、看護師等の1人の人物によるカテーテル挿入工程のために設計および最適化される。看護師は、患者のベッドの一方の側に立ち、カテーテル挿入トレーの一方の側から、カテーテル挿入工程の全ての準備および挿入ステップを行う。1人の人物によるカテーテル挿入工程のまさにその性質上、看護師は、カテーテル挿入トレーの滅菌部分に望ましくない汚染を持ち込む可能性があり、カテーテル挿入工程の後に意図しない合併症を引き起こす可能性がある。
【0012】
[0018]カテーテル挿入工程における滅菌技法は、以前に滅菌処置を済ませた(previously sterile)手袋をはめた手が非滅菌患者に触れ、滅菌面の上を横切って滅菌フィールドに入るか、または滅菌カテーテル等の滅菌構成要素に触れるときに損なわれ得る。例えば、滅菌技法は、滅菌手袋をはめた手が、陰部洗浄(「ペリケア」)、ドレーピングまたは洗浄中に患者に近づくかまたは触れるときに損なわれ得る。これらは各々、患者の退避または位置決め(例えば、カテーテル挿入が可能になるように、皮膚、性器等を適切な位置に動かす)を必要とし得る。そのような滅菌技法を損なう行動をなくすことは困難であり得る。なぜなら、これらの行動は、多くの場合、既存の1人用カテーテル導入パッケージを用いた1人用カテーテル挿入プロセスに必要であるためである。言うまでもなく、滅菌技法がそのように損なわれることは、多くの場合気づかれない。
【0013】
[0019]
図4は、1人用カテーテル導入パッケージ400の第1の層410を示す概略図を提供する。
[0020]示すように、カテーテル導入パッケージ400は、ラップ412と、ラップ412の周りの腹帯414と、陰部洗浄キット416とを含む第1の層410を備える。1人用カテーテル導入パッケージ400は、1人の看護師が、カテーテル導入パッケージ400またはそのカテーテル導入トレーの一方の側から患者に対するカテーテル導入手順を開始するように設計され、これは通常、右利きの看護師向けに偏っている。カテーテル導入手順のために壁または部屋内の他の場所からの清浄な手袋が着用され、その後、患者の陰部尿道の洗浄が行われる。洗浄後、手袋が取り外され、看護師は、カテーテル導入パッケージ400のラップを開封する前に手指殺菌剤を用いて自身の手を洗浄する。
【0014】
[0021]
図5は、
図4の1人用カテーテル導入パッケージ400の第2の層420を示す概略図を提供する。
[0022]示すように、カテーテル導入パッケージ400は、カテーテル導入パッケージ400のラップを開封する際の、1対の手袋421、アンダーパッド422および有窓ドレープ424を含む第2の層420を備える。ラップを開封すると、カテーテル導入パッケージ400の滅菌部分が露出され、したがって、滅菌手袋が着用される。カテーテル導入手順を継続して、看護師は、患者の下にアンダーパッド422を配置し、これに続いて有窓ドレープ424を患者の上に配置する。これらは各々、患者を扱うことによる汚染のリスクを伴う。
【0015】
[0023]
図6は、
図4の1人用カテーテル導入パッケージ400の第3の層430を示す概略図を提供する。
[0024]示すように、カテーテル導入パッケージ400は、第2の層420の内容物を取り除いた後の、カテーテル組立体452、注射器454、試料容器456および準備溶液458を含む第3の層430を備える。カテーテル導入手順を継続して、看護師は、準備溶液458を用いて患者を洗浄するが、これは更に、患者を扱うことによる汚染のリスクを伴う。その後、看護師は潤滑剤および水を用いてカテーテル組立体のカテーテルを準備する。これには、看護師が潜在的に汚染した手をカテーテル組立体の上の滅菌フィールドを横切って動かし、更には汚染した手でカテーテルに触れることを必要とすることに留意されたい。準備溶液458を含むトレーの区間を始点として、試料容器456を含むトレーの区間に向かう矢印によって、看護師の潜在的に汚染した作業経路が
図6に示される。
【0016】
[0025]上記を鑑みて、カテーテル挿入プロセスは、カテーテル挿入工程における滅菌技法を確実にする特定の手段から利益を得ることができる。例えば、カテーテル挿入工程は、カテーテル挿入工程における滅菌技法を確実にするために2人以上の人物または医療従事者にすることから利益を得ることができる。本明細書では、いくつかの実施形態において、カテーテル挿入工程における滅菌技法を確実にするように設計されたカテーテル導入パッケージおよびそのカテーテル導入手順が提供される。いくつかの実施形態では、カテーテル導入パッケージおよびそのカテーテル導入手順は、2人以上の人物または医療従事者によるカテーテル挿入のために設計される。しかしながら、本開示は、看護師等の単一の医療従事者によるカテーテル挿入にも適用可能である。
【0017】
[0026]例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル導入トレーと、カテーテル導入手順のための内容物とを含むカテーテル導入パッケージが提供される。カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体にわたって患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができる。滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいてカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側も提供することができる。カテーテル導入手順のための内容物は、陰部洗浄キットと、2対以上の手袋と、カテーテルを含むドレナージシステムとを含むことができる。
【0018】
[0027]そのようなカテーテル導入パッケージおよびカテーテル導入トレーは、カテーテル導入パッケージの滅菌内容物およびカテーテル導入手順のステップを、カテーテル導入パッケージの以前に滅菌処置を済ませた内容物およびカテーテル導入手順の非滅菌ステップから分離することによって滅菌カテーテル導入手順を容易にし、それによって滅菌技法を損なうことを減らすかまたはなくすことができる。
【0019】
[0028]
図1は、いくつかの実施形態による、1人または複数人の人物によって用いるためのカテーテル導入パッケージ100の第1の層110を示す概略図である。
[0029]示すように、カテーテル導入パッケージ100は、滅菌ラップ112と、滅菌ラップを保持するように構成された腹帯114と、手指殺菌剤、および任意選択で2対以上の手袋を含む陰部洗浄キット116とを含む第1の層110を備えることができる。
【0020】
[0030]滅菌ラップは、中央材料室(「CSR」)ラップとすることができ、腹帯114は、滅菌ラップをカテーテル導入トレーの周りに保持するように構成することができる。陰部洗浄キット116は、任意選択で手指殺菌剤の少なくとも1つのパッケージと共に滅菌ラップの外側に位置することができる。2対以上の手袋のうちの第1の対の手袋は、滅菌ラップの外側に位置することができるか、または2対以上の手袋のうちの第1の対の手袋は、滅菌ラップの内側に位置することができる。代替的に、2対以上の手袋のうちの第1の対の手袋は滅菌ラップの外側に位置することができ、2対以上の手袋のうちの第2の対の手袋が滅菌ラップの内側に位置することができる。
【0021】
[0031]
図2は、いくつかの実施形態による、
図1のカテーテル導入パッケージ100の第2の層120を示す概略図を提供する。
[0032]示すように、カテーテル導入パッケージ100は、カテーテル導入トレーと、任意選択で、第1の層110の一部でない場合、またはそれに加えて、2対以上の手袋121と、トレーの清浄な側または非滅菌側140と、トレーの滅菌側150とを含む第2の層120を含むことができる。
【0022】
[0033]トレーの非滅菌側140は、本明細書において、「非滅菌」と呼ばれるが、「非滅菌」は、滅菌を保つ必要がないか、またはそうでない場合カテーテル導入工程中に滅菌フィールドの外側にあるトレーの特定の側を指すことを意図されることが理解されるべきである。非滅菌側140におけるカテーテル導入パッケージ100の内容物は、カテーテル導入パッケージ100内にパッケージングされて滅菌であり得る。
【0023】
[0034]トレーは、トレーの中央部分におけるトレーの長さに沿って、トレーの滅菌側と非滅菌側とを分離する少なくとも一つの仕切り125を含む構造的構成を有することができるが、トレーの滅菌側と非滅菌側とを分離するためのトレーの構造的構成はこれに限定されない。トレーの構造的構成は、トレー内の内容物が、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップと一致するようにトレーにおいて層形成することができるようにすることもできる。
【0024】
[0035]トレーは、トレー上に直接刻まれたカテーテル導入手順のための指示も含むことができ、そのうちの少なくともいくつかは、トレー内の内容物が取り除かれるときに、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップに合わせて現れる(換言すれば、露出される)。トレーの構造的構成はカテーテル導入手順の層状の内容物に対応しているため、トレーも、トレーから内容物を取り除くことにより、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップに合った、指示(例えば、トレー上に刻まれた指示)、カテーテル導入手順のための追加の内容物、または指示および追加の内容物の組み合わせが現れることができるように構成される。
【0025】
[0036]トレーは、トレーの非滅菌側140およびトレーの滅菌側150を交換することによって、右利き用または左利き用カテーテル挿入への偏りを有して構成することができる。例えば、
図2のトレーは、左利き用のカテーテル挿入に対応することができるが、トレーの非滅菌側140およびトレーの滅菌側150を交換することによって、トレーは右利き用のカテーテル挿入に対応することができる。
【0026】
[0037]トレーは、複数のドレープ、または更にはウォレット型(walleted)ドレープを要するものを含む、カテーテル導入手順のために必要な任意のサイズとすることができる。
【0027】
[0038]
図3は、いくつかの実施形態による、
図1のカテーテル導入パッケージ100の第3の層を示す概略図を提供する。
[0039]示すように、カテーテル導入パッケージ100は、アンダーパッド142および有窓ドレープ144を有するトレーの非滅菌側140を含む第3の層130を含むことができる。カテーテル導入パッケージ100の第3の層130は、カテーテル組立体またはドレナージシステム152、注射器154および試料容器156を有するトレーの滅菌側150を更に含むことができる。看護師1のための矢印、および看護師2のための矢印は、滅菌技法と、トレーの滅菌側150がその一部である滅菌フィールドとを損なうことなく、カテーテル導入パッケージ100の内容物をどのように取り除くことができるかの作業経路を示す。看護師1および2のための矢印は、単に、カテーテル導入パッケージ100を横切る作業経路を示すことが理解されるべきである。看護師1および看護師2は異なる看護師を反映する必要がない。看護師1および看護師2は、異なる時点の同じ看護師であってもよく、または同じ時点もしくは異なる時点の異なる看護師であってもよい。
【0028】
[0040]トレーの非滅菌側140に関して、トレーは、殺菌剤(例えば、ポピドンヨード等のヨードフォア、ヨードチンキ、水溶性ヨード等)のパッケージと、カテーテル組立体のカテーテルを挿入するために患者を準備するように構成された1つまたは複数のスワブ(換言すれば、綿棒)とを含む皮膚処置キットを更に含むことができる。
【0029】
[0041]トレーの滅菌側150に関して、そのドレナージシステム152は、尿等の物質を患者から排出するように構成された、尿道カテーテル、例えばフォーリーカテーテル等のドレナージカテーテルを含むカテーテルと、ドレナージ管と、ドレナージバッグとを含むことができる。例えば、ドレナージシステム152は、患者の膀胱から尿を排出するように構成することができ、フォーリーカテーテル、ドレナージ管およびドレナージバッグを含むことができる。注射器154のうちの少なくとも1つの注射器は、フォーリーカテーテルのバルーンを膨張させるための滅菌生理食塩水の注射器を含むことができ、注射器154のうちの少なくとも1つの他の注射器は、カテーテル導入手順に従ってフォーリーカテーテルを潤滑化するための潤滑剤を収容する注射器(または別の分注容器)を含むことができる。
【0030】
[0042]
図1~
図3によれば、カテーテル導入パッケージは、いくつかの実施形態では、カテーテル導入トレーと、カテーテル導入手順のための内容物とを含むことができる。カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体にわたって患者の周りに滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができ、滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいてカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側も提供することができる。カテーテル導入手順のための内容物は、陰部洗浄キットと、2対以上の手袋と、カテーテルを含むドレナージシステムとを含むことができる。
【0031】
[0043]カテーテル導入パッケージのそのような実施形態において、トレーの構造的構成は、トレーの中央部分におけるトレーの長さに沿ってトレーの滅菌側と非滅菌側とを分離する少なくとも一つの仕切り(例えば、トレー自体の中に成形された仕切り)を含むことができるが、トレーの滅菌側と非滅菌側とを分離するためのトレーの構造的構成はこれに限定されない。トレーの構造的構成は、カテーテル導入手順のためのトレー内の内容物が、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップに合った、指示、カテーテル導入手順のための追加の内容物、または指示および追加の内容物の組み合わせが現れるように層状にされ得るようにすることもできる。トレーは、トレー上に直接刻まれたカテーテル導入手順のための指示も含むことができ、それらの指示のうちの少なくともいくつかは、トレー内の内容物が取り除かれるときに、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップに合わせて現れる。
【0032】
[0044]更に、
図1~
図3によれば、カテーテル導入パッケージは、いくつかの実施形態では、カテーテル導入トレーと、カテーテル導入手順のための内容物とを含むことができる。カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体にわたって患者の周りに滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができ、滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいてカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側も提供することができる。構造的構成は、トレーの中央部分におけるトレーの長さに沿ってトレーの滅菌側と非滅菌側とを分離する少なくとも一つの仕切り(例えば、トレー自体の中に成形された仕切り)を含むことができる。カテーテル導入手順のための内容物は、患者の尿道周囲エリアを洗浄するように構成された陰部洗浄キットと、2対以上の滅菌手袋と、ドレナージシステムとを含むことができる。本明細書において提供されるとき、ドレナージシステムは、患者の膀胱から尿を排出するように構成された、フォーリーカテーテルと、ドレナージ管と、ドレナージバッグとを含むことができる。
【0033】
[0045]カテーテル導入パッケージのそのような実施形態において、カテーテル導入手順の内容物は、フォーリーカテーテルのバルーンを膨張させるように構成された滅菌生理食塩水の注射器と、フォーリーカテーテルを潤滑化するために構成された潤滑剤を含有する容器(例えば、注射器)と、患者の尿試料を保持するように構成された滅菌試料容器とを更に含むことができる。トレーの滅菌側は、ドレナージシステムと、滅菌生理食塩水の注射器と、潤滑剤を含有する容器と、試料容器とを含むように構成することができる。
【0034】
[0046]カテーテル導入パッケージのそのような実施形態において、カテーテル導入手順のための内容物は、患者の下に配置するように構成された防水アンダーパッドと、患者の上に配置するように構成された有窓ドレープとを更に含むことができる。トレーの非滅菌側は、アンダーパッドおよび有窓ドレープを含むように構成することができる。
【0035】
[0047]カテーテル導入パッケージのそのような実施形態において、カテーテル導入手順のための内容物は、殺菌剤(例えば、ポピドンヨード等のヨードフォア、ヨードチンキ、水溶性ヨード等)のパッケージと、フォーリーカテーテルを挿入するために患者を準備するように構成された1つまたは複数のスワブとを含む皮膚処置キットを更に含むことができる。トレーの非滅菌側は、皮膚処置キットを含むように構成される。
【0036】
[0048]カテーテル導入パッケージのそのような実施形態において、トレーは、トレー上に直接刻まれたカテーテル導入手順のための指示も含むことができ、それらの指示のうちの少なくともいくつかは、トレー内の内容物が取り除かれるときに、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップに合わせて現れる。トレーの構造的構成は、トレー内の内容物が、カテーテル導入手順の滅菌ステップおよび非滅菌ステップに合った、指示、追加の内容物、または指示および追加の内容物の組み合わせが現れるように層状にされ得るようにすることもできる。
【0037】
[0049]カテーテル導入パッケージのそのような実施形態において、カテーテル導入パッケージは、滅菌ラップと、カテーテル導入トレーの周りに滅菌ラップを保持するように構成された腹帯とを更に含むことができる。陰部洗浄キットは、手指殺菌剤のパッケージと共に滅菌ラップの外側に位置することができる。更に、2対以上の手袋のうちの第1の対の手袋は、滅菌ラップの外側に位置することができる。更にまたは代替的に、2対以上の手袋のうちの第2の対の手袋は、滅菌ラップの内側に位置することができる。
製造
[0050]
図1~
図3のカテーテル導入パッケージ100等のカテーテル導入パッケージは、カテーテル導入パッケージのためのカテーテル導入トレーを最初に作製し、その後、カテーテル導入手順のための内容物でトレーを充填することによって製造することができる。
【0038】
[0051]トレーの作製に関して、トレーは、いくつかの成形可能な材料のうちの任意のものをトレーの形状に成形することによって作製することができる。ここでもまた、カテーテル導入トレーは、カテーテル導入手順全体を通じて患者の周りの滅菌フィールドを維持するための構造的構成を含むことができる。滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドにおいてカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定されたトレーの滅菌側を提供することができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定されたトレーの非滅菌側も提供することができる。例えば、トレーの構造的構成は、トレーの中央部分におけるトレーの長さに沿ってトレーの滅菌側と非滅菌側とを分離する少なくとも一つの仕切りを含むことができる。そのような構造的構成を有するトレーは、限定ではないが、圧縮成形、射出成形、熱成形およびこれらの組み合わせから選択された成形工程において、いくつかの成形可能な材料のうちの任意のものを成形することによって作製することができる。
【0039】
[0052]カテーテル導入手順のための内容物でトレーを充填することに関して、トレーは、アンダーパッドおよび有窓ドレープをカテーテル導入トレーの非滅菌側に配置することによって充填することができる。トレーは、ドレナージシステムをカテーテル導入トレーの滅菌側に配置することによって更に充填することができる。ドレナージシステムは、例えば、フォーリーカテーテルと、ドレナージ管と、ドレナージバッグとを含む。
【0040】
[0053]トレーを作製し、カテーテル導入手順のための内容物でトレーを充填することに続いて、トレーを滅菌ラップに包むことができる。カテーテル導入トレーの周りに滅菌ラップを保持するための腹帯を追加することができる。最後に、陰部洗浄キットおよび手指殺菌剤のパッケージを、滅菌ラップの外側に追加し、結果としてカテーテル導入パッケージを得ることができる。
使用法
[0054]
図1~
図3のカテーテル導入パッケージ100等のカテーテル導入パッケージは、カテーテル導入手順の1つまたは複数のステップのために1人または複数人の看護師(例えば、2人の看護師)等の1人または複数人の人物によって用いることができる。
【0041】
[0055]
図1~
図3のカテーテル導入パッケージ100を用いたカテーテル導入手順は、カテーテル導入パッケージのラップを開封してカテーテル導入トレーが現れるようにし、トレーの非滅菌側からカテーテル導入手順のための内容物の第1のセットを取り除き、トレーの滅菌側からカテーテル導入手順のための内容物の第2のセットを取り除くことを含むことができる。カテーテル導入パッケージのラップを開封してカテーテル導入トレーが現れるようにすることは、カテーテル導入手順全体を通じて患者の周りに滅菌フィールドを維持するためのトレーの構造的構成が現れるようにすることを含むことができ、滅菌フィールドは、トレーの少なくとも一部分を含む。ここでもまた、トレーの構造的構成は、トレーの滅菌側と、トレーの非滅菌側とを含むことができ、トレーの滅菌側は、滅菌フィールド内でカテーテル導入手順の滅菌ステップを行う第1の人物のために指定され、トレーの非滅菌側は、滅菌フィールドの外側でカテーテル導入手順の非滅菌ステップを行う第1の人物または第2の人物のために指定される。トレーの非滅菌側からカテーテル導入手順のための内容物の第1のセットを取り除くことは、カテーテル導入トレーの非滅菌側からアンダーパッドおよび有窓ドレープを取り除くことを含むことができる。(
図3における看護師2の作業経路を参照されたい。看護師2は内容物の第1のセットをトレーから取り除く。)カテーテル導入手順のための内容物の第2のセットをトレーの滅菌側から取り除くことは、例えば、フォーリーカテーテル、ドレナージ管およびドレナージバッグを含むドレナージシステムを、カテーテル導入トレーの滅菌側から取り除くことを含むことができる。(
図3における看護師1の作業経路を参照されたい。看護師1は内容物の第2のセットをトレーから取り除く。)
[0056]カテーテル導入手順は、カテーテル導入パッケージのラップを開封する前に、カテーテル導入手順のための内容物の第3のセットをカテーテル導入パッケージの外側から取り除くことを更に含むことができる。カテーテル導入手順のための内容物の第3のセットをカテーテル導入パッケージから取り除くことは、カテーテル導入パッケージのラップを開封する前に、カテーテル導入パッケージを包む滅菌ラップの外側から、陰部洗浄キットと、手指殺菌剤のパッケージとを取り除くことを含むことができる。カテーテル導入パッケージの構成は、滅菌フィールドを維持しながら、陰部洗浄キットおよび手指殺菌剤をカテーテル導入パッケージから取り除く非滅菌ステップを行うことを可能にする。
【0042】
[0057]カテーテル導入手順は、患者の下にアンダーパッドを配置し、陰部洗浄キットで患者の尿道周囲エリアを洗浄し、有窓ドレープを患者の上に配置することを更に含むことができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドを維持しながら、第2の人物によって、患者の下にアンダーパッドを配置し、陰部洗浄キットで患者の尿道周囲エリアを洗浄し、有窓ドレープを患者の上に配置する非滅菌ステップを行うことを可能にする。本開示に従って用いることができる適切な陰部洗浄キットの1つの例は、PCT公開WO2016/126555号に記載されている。このPCT公開の開示は、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
[0058]カテーテル導入手順は、カテーテル導入のために患者およびカテーテルを準備し、その後、患者にカテーテル導入することを更に含むことができる。カテーテル導入のために患者を準備することは、カテーテル導入パッケージの皮膚処置キットを用いて患者を準備することを含むことができ、皮膚処置キットは、殺菌剤(例えば、ポピドンヨード等のヨードフォア、ヨードチンキ、水溶性ヨード等)を含む皮膚処置キットと、1つまたは複数のスワブとを含む。カテーテル導入のためにカテーテルを準備することは、カテーテル導入パッケージからの潤滑剤を含有する容器からの潤滑剤を用いてカテーテルを潤滑化することを含むことができる。トレーの構造的構成は、滅菌フィールドを維持しながら、第1の人物によって、カテーテルを含むドレナージシステムをカテーテル導入トレーから取り除き、カテーテル導入のために患者およびカテーテルを準備し、患者にカテーテル導入する滅菌ステップを行うことを可能にする。
【0044】
[0059]上記を鑑みて、
図1~
図3のカテーテル導入パッケージ100およびそのカテーテル導入トレーは、1つの滅菌フィールドおよび1つの非滅菌フィールドを含む2つのフィールドを設け、それによって、滅菌看護師として指定された少なくとも1つの人物と、非滅菌看護師(任意選択で、異なる時点における滅菌看護師)として指定された少なくとも1人の他の人物が、それぞれ、カテーテル挿入工程における滅菌技法を損なわないことを確実にすることができる。滅菌看護師の役割は、カテーテル導入パッケージの滅菌部分およびカテーテルの挿入を管理することである。非滅菌看護師の役割は、カテーテル挿入工程の非滅菌構成要素(例えば、滅菌を保つ必要がない、以前に滅菌処置を済ませた構成要素)、およびいくらかの患者の準備(例えば、陰部洗浄キットでの患者の尿道周囲エリアの洗浄)およびドレーピングを管理することである。したがって、非滅菌看護師は、滅菌看護師が滅菌フィールドを維持し、損なわれていない滅菌手袋をはめた手でカテーテルを挿入している間に、患者を洗浄し、患者に触れ、患者を位置決めする。
【0045】
[0060]カテーテル導入パッケージの構成およびカテーテル導入トレーの構造的構成は、滅菌看護師および非滅菌看護師の役割を容易にする。
図1~
図3に示すように、トレーは、2つの別個の側から用いられるように設計され、適切な人物(例えば、滅菌看護師および非滅菌看護師、または異なる時点において滅菌看護師および非滅菌看護師の双方として機能する1人の看護師)によってアクセスされるこれらの2つの別個の側の各側には、カテーテル導入手順のための適切な内容物がある。例えば、陰部洗浄キット(カテーテル導入パッケージの外側でパッケージングされていない場合)、1対以上の手袋、および皮膚処置キット(例えば、殺菌剤およびスワブ)は、トレーの非滅菌側に位置することができる一方で、他の1対以上の手袋、およびカテーテルを含むドレナージシステムは、トレーの滅菌側に位置することができる。
図1のカテーテル導入パッケージ100の右側の非滅菌看護師は、手袋(例えば、第1の層110または第2の層120からの手袋)を用いて患者の尿道周囲エリアを洗浄するように指定される。2人の看護師の場合、その後、双方の看護師が自身の手袋を取り外し、任意選択で手指殺菌剤の個別パッケージにパッケージングされた手指殺菌剤を用いて自身の手を洗浄する。
図3によれば、滅菌看護師は、トレーの滅菌側からドレナージシステムを取り除き、滅菌手袋をはめた手で潤滑剤および水を用いてカテーテルを準備する。一方、非滅菌看護師は、アンダーパッドを配置し、有窓ドレープを配置し、スワブを用いて殺菌剤(例えば、ポピドンヨード)を塗布して患者を洗浄することに進む。次に、非滅菌看護師は、カテーテル挿入に必要とされるように患者を操ることができ、その後、滅菌看護師がカテーテルを挿入することができる。これは、潜在的に汚染した手が滅菌フィールドに侵入することも、滅菌フィールド内に位置するカテーテル導入手段のための滅菌内容物に触れることも必要としないことに留意されたい。
【0046】
[0061]本明細書においていくつかの特定の実施形態が提供され、特定の実施形態が幾分詳細に提供されたが、これらの特定の実施形態は、本明細書に提示される概念の範囲を限定することを意図したものではない。追加の適応および/または変更は、当業者には明らかであり、より広い態様では、これらの適応および/または変更も包含される。したがって、本明細書に提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書に提供される特定の実施形態からの逸脱がなされ得る。