(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】NK1拮抗薬組み合わせおよびシヌクレイノパチーを治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230501BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230501BHJP
A61K 31/438 20060101ALI20230501BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230501BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230501BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/428
A61K31/5377
A61K31/438
A61P43/00 121
A61P25/28
A61P25/16
(21)【出願番号】P 2019555469
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018026699
(87)【国際公開番号】W WO2018191160
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519348587
【氏名又は名称】チェイス セラピューティクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】チェイス,トーマス エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】クラレンス-スミス,キャスリーン イー.
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-507678(JP,A)
【文献】特表平08-504201(JP,A)
【文献】特表2002-520273(JP,A)
【文献】米国特許第06667329(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のシヌクレイノパチーを治療するための、有効1日用量のNK1拮抗薬を含む医薬組成物であって、有効1日用量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて投与され、
前記NK1拮抗薬が、アプレピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項2】
患者のシヌクレイノパチーを治療するための、有効1日用量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む医薬組成物であって、有効1日用量のNK1拮抗薬と組合せて投与され、
前記NK1拮抗薬が、アプレピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、前記医薬組成物。
【請求項3】
患者のシヌクレイノパチーを治療するための、有効1日用量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと、有効1日用量のNK1
拮抗薬とを組合せて含む医薬組成物であって、
前記NK1拮抗薬が、アプレピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項4】
前記NK1拮抗薬の有効1日用量が、1μg~600mgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記NK1拮抗薬の有効1日用量が、1mg~600mgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記NK1拮抗薬が、10mg~250mgの有効1日用量のアプレピタントであり、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、1.5mg~45mgの有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、それぞれ薬学的担体またはビヒクルと混合して、前記NK1拮抗薬と、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとをそれぞれ含む投与単位形態で、医薬組成物にそれぞれ製剤化されている、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、
それぞれ薬学的担体またはビヒクルと混合して、
1μg~600mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬と;
0.125mg~3000mgの単位当たりの量の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと
をそれぞれ含む投与単位形態で、医薬組成物にそれぞれ製剤化されている、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、それぞれ、1mg~600mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬、および4.5mg超~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む投与単位形態で、医薬組成物にそれぞれ製剤化されている、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、6mg超~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、6.5mg~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、薬学的担体またはビヒクルと混合して、1μg~600mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬と、0.125mg~3000mgの単位形態当たりの量の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとを含む投与単位形態で、医薬組成物に共製剤化されている、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが
、薬学的担体またはビヒクルと混合して、投与単位形態で医薬組成物に共製剤化されており、
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、プラミペキソールならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物からなる群から選択され、
前記投与単位形態が、1μg~600mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬と、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する単位形態当たりの量の
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物において、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、4.5mg超~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物において、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、6mg超~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物において、前記NK1拮抗薬が、10mg~250mgの単位形態当たりの量のアプレピタントであり、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、0.125mg~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、レビー小体型認知症、グルコセレブロシダーゼ遺伝子の変異、アルツハイマー病、アルツハイマー病のレビー小体変種、多系統萎縮症、脳内鉄蓄積を伴う神経変性、およびグルコセレブロシダーゼ(GBA)変異に関連するパーキンソン病からなる群から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
薬学的担体またはビヒクルと混合した、
(a)1μg~600mgの単位形態当たりの量のNK1拮抗薬と;
(b)
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.25mg~90mgに相当する単位形態当たりの量の、ラセミ体またはその薬学的に許容される塩;
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量の、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩;
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する単位形態当たりの(S)鏡像異性体の量を含む、50mg~3000mgの単位形態当たりの量の、(R)/(S)混合物
からなる群から選択される6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと
を含み、
前記NK1拮抗薬が、アプレピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、投与単位形態のシヌクレイノパチーを治療するための医薬組成物。
【請求項20】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mg超~45mgに相当する単位形態当たりの量の、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、プラミペキソール二塩酸塩一水和物6mg超~45mgに相当する単位形態当たりの量の、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩である、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、プラミペキソール二塩酸塩一水和物6.5mg~45mgに相当する単位形態当たりの量の、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩である、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
前記NK1拮抗薬が、10mg~250mgの単位当たりの量のアプレピタントであり、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、0.125mg~45mgの単位形態当たりの量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年4月10日に出願された米国仮特許出願第62/483,555号の利益を主張し、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、シヌクレイノパチー、すなわち、ヒト中枢神経系の神経変性障害の治療、特にα-シヌクレインのオリゴマー化および凝集による神経毒性プロセスの治療の分野に関する。
【0003】
発明の目的
本発明は、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、ニューロキニン受容体サブタイプ-1の拮抗薬(「NK1拮抗薬」)と、を含む組み合わせ医薬(pharmaceutical combination)(固定用量配合薬(fixed dose combination)を含む)、およびシヌクレイノパチー、特に、血中の異常な血漿エキソソーム/総α-シヌクレイン比を示すヒト被験体におけるα-シヌクレインのCNS神経毒性効果を治療するための、その使用に関する。
【0004】
定義
- 「CNS」:中枢神経系
- 「IR」:組成物からの有効成分の即時的放出
- 「ER」:組成物からの有効成分の持続的放出
- 「GI」:胃腸
- 「AE」:有害作用
- 「SNCA遺伝子」:シヌクレイン-αまたはα-シヌクレイン遺伝子
- 「MSA」:多系統萎縮症
- 「PD」:パーキンソン病
- 「LBD」:レビー小体認知症
- 「AD」:アルツハイマー病
- 「シヌクレイン症」:脳内でのアルファ-シヌクレイン(a-シヌクレイン)の異常な蓄積、処理、および拡散を特徴とする疾患。すなわち、α-シヌクレインは、中枢、末梢、自律神経系に沈着する。シヌクレイノパチー(α-シヌクレイノパチーとも呼ばれる)は、限定されないが、パーキンソン病、レビー小体認知症またはレビー小体型認知症(LBDまたはDLB)、アルツハイマー病、ADのレビー小体変種、多系統萎縮症、脳内鉄蓄積を伴う神経変性、およびグルコセレブロシダーゼ(GBA)変異に関連するパーキンソン病を含む、神経変性疾患である。
「TTS」:経皮治療システム。
- 「NK1拮抗薬の有効1日用量」:この表現は、本明細書で使用されるとき、当該NK1拮抗薬の用量であって、当該治療のための現在のプロトコールに従って、癌化学療法中の小児または成人患者の吐き気および嘔吐を予防または治療するための用量と少なくとも同程度になる用量を指す。前記1日用量は通常、1mg~600mgである。
- 「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン」:ラセミ化合物として入手可能なキラル化学化合物、化学上(R,S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン、(R)-立体異性体としては、化学上(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(「デクスプラミペキソール」、INN)、および(S)-立体異性体としては、化学上(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(「プラミペキソール」、INN)。これらの3種の化学物質は、それぞれ酸付加塩およびその溶媒和物として分離することができる塩基性物質である。プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、そのUSAN「プラミペキソール塩酸塩」でも知られている。本明細書で使用する「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン」は、特に明記しない限り、プラミペキソール、ラセミ体、およびプラミペキソール/デクスプラミペキソール混合物からなる群から選択されるメンバーを示す一般用語である。
- 「(R)/(S)-混合物」:この用語は、本発明による有効成分として使用されるデクスプラミペキソール/プラミペキソール物理的混合物を表す。
- 「(S)-鏡像異性体」:この用語は、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン用量(1日または単位形態ごと)に関連して本明細書で使用されるとき、NK1拮抗薬によって抑制されるドーパミン作動性作用の主な原因となる、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンにおいて、前記用量に含まれる、(S)-立体異性体を表す。より具体的には、S-鏡像異性体は、ラセミ体またはその薬学的に許容される塩中に存在するS-立体異性体を表すために使用され、同様に、単独で使用されるプラミペキソールと区別するために、(R)/(S)混合物中で(S)-構成成分として存在するプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を表すために本明細書で使用される。
- 用語「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン」、「(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン」、「デクスプラミペキソール」、「プラミペキソール」、「(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン」、「(S)-鏡像異性体」、「ラセミ体」および「(R)/(S)-混合物」には、(特に明記しない限り)その遊離塩基およびその薬学的に許容される塩が含まれ、相対用量(1日または単位形態あたり)は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物の同等量で与えられる。
- 「プラミペキソールの有効1日用量」または「(S)-鏡像異性体の有効1日用量」:有効な小児または成人1日分のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物の用量であって、少なくとも、PD治療のために承認されたプラミペキソール二塩酸塩一水和物の用量と同等の用量。
- 「単位形態当たりの有効プラミペキソール量」または「(S)-鏡像異性体の単位形態当たりの有効量」:PD治療のために承認された、少なくともプラミペキソール二塩酸塩一水和物の単位形態当たりの量に等しい、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の単位形態当たりの量。より具体的には、前記単位形態量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する。上記および本明細書で使用される「プラミペキソール」および「(S)-鏡像異性体」は同じ化学的実体を指すが、用語「(S)-鏡像異性体」は、一般に、ラセミ化合物および(R)/(S)-混合物の組成物を表す際に使用される。
【背景技術】
【0005】
SNCA遺伝子によってコードされる140個のアミノ酸で構成されるタンパク質であるα-シヌクレインは、ヒト脳で豊富に発現し、主に神経末端、特に皮質、海馬、黒質および小脳で見られ、これらの場所で神経伝達物質放出の調節に寄与し、血液中に排出され(MarquesおよびOuteiro、2012)、CNS由来のエキソソームに包摂される(Shiら、2014)。
【0006】
通常の状況では、この可溶性タンパク質は、凝集に抵抗する安定的に折りたたまれた四量体を形成する。しかし、特定の病的状態では、未知の理由により、α-シヌクレインは、オリゴマー化して(原線維の形成または「原線維化」により)凝集し、そのようにして、その立体構造を、血液中に排出される三次毒性立体構造に異常な態様で変化させる。
【0007】
α-シヌクレインのオリゴマー化および凝集は、シヌクレイノパチー、特にPD、LBD、グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)変異に関連するパーキンソン病障害、MSA、アルツハイマー病のいくつかの形態、および「シヌクレイノパチー」と総称される他の複数の障害の原因であると考えられている。α-シヌクレインは、特に脳に豊富に存在する偏在タンパク質であり、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病、および他の神経変性障害の病因に中心的役割を果たすと仮定されている(Kimら、2004)。
【0008】
患者の血液中の異常な血漿エキソソーム/総α-シヌクレイン比は、シヌクレイノパチーの診断的特徴である。
【0009】
PDは、1817年にJames Parkinsonによって最初に記述された、ヒトCNSの一般的な神経変性障害である。PDには、安静時振せん、運動緩慢、および筋肉硬直という3つの主要な臨床徴候がある。さらに、姿勢の不安定および各種の神経行動学的障害が発生することがある。米国だけでも、この進行を抑制できない障害に100万人を超える個人が苦しんでいると推定されている。さらに、PDの有病率は、アメリカの人口の一般的な高齢化とともに増加し続けている。現在、パーキンソン病の徴候は、黒質線条体系内のドーパミン作動性ニューロンの進行性喪失を主に反映していると考えられている。この変性プロセスの原因は完全には理解されていないが、現在のところ、α-シヌクレインの誤った処理による異常な神経毒性種の生成が関与しているように見える。
【0010】
レビー小体型認知症(レビー小体認知症、LBD)は、進行性認知症の最も一般的なタイプの1つである。LBDの中心的な特徴としては、進行性の認知機能低下、幻覚、ならびにパーキンソン病運動症状、例えば、運動の遅さ、歩行困難、および筋肉硬直が挙げられる。うつ病に苦しむ人もいる。LBDの症状は、おそらくシヌクレインの誤った処理の結果でありレビー小体の蓄積(変性ニューロンの球状のシヌクレイン蓄積)に関連する、神経細胞の選択的損失によって引き起こされる。研究者は、なぜα-シヌクレインがレビー小体として蓄積するのか、またはシヌクレイン種がLBDの症状をどのように引き起こし得るのかを解明していない。LBDの形成はPDのマーカーであると考えられている。しかし、LBDは、アルツハイマー病(AD)の散発性および家族性症例の最大60%でも観察されている(Al-Mansoorら、2013)。したがって、α-シヌクレインの凝集は、神経変性疾患の発症における重要なステップであることが強く示唆されている(Al-Mansoorら、2013)。
【0011】
散発性PDまたは脳幹優位型LBD、およびレビー小体型認知症(DLB)は、2つの最も頻繁に見られるaシヌクレイノパチーであり、中枢、末梢、および自律神経系におけるα-シヌクレイン沈着の広範な発生を伴う進行性多系統神経変性障害である(Jellinger KA 2008a)。報告によると、PD(認知症の有無を問わない)とDLB(またはLBD)との間にはかなりの臨床的および病理学的重複があり、共に可変アルツハイマー型病理にしばしば関連するBraak LBステージ5および6に対応する(Jellinger KA 2008a)。認知症はしばしばLB病状の進行段階と相関しないが、付随的アルツハイマー病変または混合病状にも関係している可能性がある(Jellinger KA、2008a)。
【0012】
アルツハイマー病(AD)は、β-アミロイドペプチド、リン酸化タウタンパク質(3-および4-反復タウ)およびα-シヌクレイン(aSyn)沈着によって特徴づけられることが報告されている(Jellinger KA、2008b)。散発性パーキンソン病(PD)およびレビー小体型認知症(DLB)などのレビー小体疾患(LBD)は、ニューロン、神経突起、グリア、およびシナプス前部末端にaSyn陽性の沈着物を示すが、前頭側頭型認知症は、タウ陽性およびタウ陰性、ユビキチンおよびTDP-43陽性の神経およびグリア封入体を示す(Jellinger KA、2008b)。各種分布パターンで同じ脳内で発生し得る主要タンパク質間の分子相互作用は、各種表現型および混合病変、例えば、脳幹および扁桃体のaSyn病理を伴うAD、AD病変を伴うPDおよびDLB、ならびに各種沈着物の混合を伴う前頭側頭型認知症、に関連しており、一方、他の分子相互作用は、他の病変を伴わない1つの主要な病理によって特徴づけられる(例えば、神経原線維変化型(tangle-predominant)認知症、純粋なPD、脳幹優位LBD)(Jellinger KA、2008b)。
【0013】
起立性低血圧を伴うMSAは、かつてシャイ-ドレーガー症候群と呼ばれていた神経疾患の現在の用語である。MSAは、中枢および自律神経系の進行性障害であり、起立性低血圧(起立時の血圧の過度の低下)を特徴とし、めまいや失神を引き起こす。多系統萎縮症は、起立性低血圧なしで発生し得るが、代わりに尿路の関与(切迫感/失禁)がある。神経科医は、この障害を、以下の3つのタイプ:遅い動き、硬直した筋肉、および振せんなどのパーキンソン病の症状を含むパーキンソン病型;協調と発話に問題を引き起こす小脳型;パーキンソン症候群と小脳不全の両方の症状を含む複合型に分類している。尿失禁、便秘、および男性の性的不能の問題は、この疾患の初期段階で起こる。その他の症状には、全身性虚弱、複視または他の視覚障害、呼吸困難および嚥下困難、睡眠障害、発汗減少が含まれる。この疾患は他の疾患に似ているため、正しい診断には数年かかる場合がある。
【0014】
グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の変異は、常染色体劣性障害ゴーシェ病を引き起こし得る。異なる系統の証拠から、変異型GBAはパーキンソン病の危険因子である可能性が示唆されている。GBA変異は、現在、特発性PD発症に対する単一の最大の危険因子であると考えられている。臨床的に、画像的および薬理学的に、GBA PDは特発性PDとほぼ同一である(O’Reganら、2017)。このGBA変異キャリアのPDリスクの増加につながる分子メカニズムは完全には解明されていないが、シヌクレインの蓄積に関連していることが示されている(Soriaら、2017)。
【0015】
それほど頻繁ではないが、いくつかの他の障害もシヌクレイノパチーと考えられている。これらの障害には、ハラーフォルデン-シュパッツ症候群、神経軸索ジストロフィー、および外傷性脳損傷のいくつかの症例が含まれる。ハラーフォルデン-シュパッツ症候群の症例では、パーキンソニズム、ジストニア、嚥下障害/構音障害、手足の硬直/こわばり、認知症、および痙縮が症状に含まれる。
【0016】
現在、多くの人々は、シヌクレイン凝集につながるプロセスが、これらの障害において発生する神経損傷および破壊の中心であると考えている。
【0017】
これらのシヌクレイノパチーにおける凝集のメカニズムは不明のままである。現在の証拠は、αヘリックス構造のβシート立体構造(beta pleated conformation)への変換とその後のオリゴマー化が、シヌクレインの線維化と凝集の病原性の前兆である可能性を示唆している。これらの特性は、同様に強い神経毒性を有し得る、プリオンタンパク質の異常なプロセシングに似ている。セリン129残基でのα-シヌクレインのリン酸化が、寄与因子として関与している(Chenら、2016)。本著者によると、αシヌクレインのプリオン形態は、特に多系統萎縮症の起因物質である可能性がある。プリオンは、ミスフォールディング、オリゴマー化、凝集、および他の細胞に伝播の可能性がある、小さなタンパク質である。脳における結果は、深在性で拡散性の神経毒性プロセスである。
【0018】
したがって、シヌクレインのミスフォールディング、オリゴマー化および凝集を阻害することは、シヌクレイノパチー障害の進行を遅らせるか、さらには停止させるうえで有益である。
【0019】
上記のように、α-シヌクレインは細胞外空間に容易に排出され、脳脊髄液、血液、および唾液中で同定されてきた(MarquesおよびOuteiro、2012)。α-シヌクレイン分泌のメカニズムは完全には理解されていないが、試験では、α-シヌクレインの少なくとも一部分は、エンドサイトーシス起源の40~100nmの膜小胞である、エキソソームに関連して分泌されることが実証されている(Shiら、2014)。血漿エキソソームα-シヌクレインは疾患の重症度と有意な相関を示すことが示されており(Shiら、2014)、血漿エキソソームα-シヌクレインは疾患の進行を監視するのに役立ち得る。同様に、エキソソームα-シヌクレインのレベルは、LBD患者から得た断面試料の損傷の程度と相関していた(Stuendlら、2016)。
【0020】
上記に基づいて、血漿エキソソーム/総α-シヌクレインを減少させる薬物は、シヌクレイノパチーに関連する神経変性プロセスを遅らせるか、さらには停止させるはずである。
【0021】
シヌクレイン凝集経路を標的とするPD関連シヌクレイノパチーおよび関連障害の治療のための各種組成物が提案されてきた。発見プロセスには、主に、プリオンおよびシヌクレイン誘発神経変性の細胞モデルおよび動物モデルが含まれる(Prusinerら、2015)。残念ながら、これらのモデルはいずれも検証されておらず、すべてヒトにおける効果に対する比較的不確実な予測因子と考えられている。それにもかかわらず、これらのモデルは、より信頼性の高い発見技術がない中で広く使用され続けている。
【0022】
現在、検討のために提案されている医薬品には、例えば、単独でまたは各種薬物と組み合わせて用いられる、(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(プラミペキソール)およびその類似体などの小分子が含まれる。
【0023】
プラミペキソールは、参照により内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,886,812号に記載の合成アミノチアゾール誘導体である。プラミペキソールは、非エルゴリンクラスのドーパミン自己受容体拮抗薬(シュナイダーら1987)であり、1990年代後半以降にパーキンソン病(PD)の対症療法として承認され、0.375mg/日~4.5mg/日の用量により、3回の均等な分割用量で投与される(Mirapex添付文書、2016年7月)。プラミペキソールは、0.125mg、0.25mg、0.5mg、1mg、および1.5mgのプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含有する即時放出用錠剤;および4.5mgのプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含有する持続放出用錠剤で提供される。
【0024】
プラミペキソールはパーキンソン病の症状の緩和のために広く使用されているが、疾患修飾薬剤としての可能性があるため、大規模な調査の対象となっている。
【0025】
プラミペキソールは、in vitroでシヌクレインオリゴマー形成を減少させると報告されている(小野(Ono)ら、2013)。関連試験は、プラミペキソールが、マウスPDモデルのドーパミン作動性ニューロンに対するロテノンの毒性作用を阻害する一方で、α-シヌクレインの免疫反応性を低下させることを示唆している。さらに、プラミペキソールは、H2O2とシトクロムcによるヒト野生型α-シヌクレインのin vitroでのオリゴマー化を減少させる(Indenら、2009)。プラミペキソールはまた、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞のα-シヌクレインの凝集を阻害することも観察されている(Kakimuraら、2001)。重要なことに、血清エキソソームにおけるα-シヌクレインの相対的発現は、PD型患者のプラミペキソール治療中に低下することがわかっている(Luoら、2016)。
【0026】
残念ながら、シヌクレイノパチー患者へのプラミペキソールの投与に伴う制限により、いくつかの動物モデルで予測されている潜在的に高い神経保護用量での使用は複雑なものになる。第一に、シヌクレイン関連神経毒性に対するプラミペキソールの推定上の有益な効果を説明するメカニズムは、完全な解明に至っていない。第二に、動物モデル試験における効果の規模は小さい傾向があり、比較的高用量でのみ発生するものである。両方の状況は、PD患者におけるエキソソームシヌクレインのプラミペキソール誘発変化の上記報告でも観察され、プラミペキソールの最大(4.5mg/日)の推奨/承認用量の投与に伴うものであった(Mirapex添付文書;2016年7月改訂)。
【0027】
Luoら(2016)による報告書によれば、パーキンソン病患者のプラミペキソールによる治療は、PDの運動症状の治療について承認された治療用量で、α-シヌクレインの相対的発現を(治療前の値と比較して)有意に低下させたが、効果の規模は小さかった。より高用量のプラミペキソールはより効果的であった可能性があるが、嘔吐および重度の吐き気などの副作用があるため、より高用量の使用は妨げられる。例えば、Corriganら(2000)は、プラミペキソールの5mg/日という用量は、最大推奨用量4.5mg/日(プラミペキソールFDA承認添付文書)よりわずかに高いだけであるが、患者の76%で吐き気を引き起こし、患者の39%で嘔吐を引き起こしたことを報告している。さらに、おそらく不耐GI有害事象のために、患者の36%が試験を完了できなかった。
【0028】
最近、プラミペキソールがPDの各種in vitro細胞モデルおよびin vivo動物モデルにおいて神経保護効果を発揮できることが報告され始めた。これらの保護効果が発生するメカニズムは不明のままである。残念ながら、動物モデルにおけるプラミペキソールの保護効果は一般に小さく、ヒトへの投与の場合に安全かつ忍容可能であると考えられる用量よりも高い用量を必要とする。したがって、PDの運動症状の治療について承認された用量のプラミペキソールが、535人のPD患者を対象とした無作為対照臨床試験において神経保護(すなわち疾患修飾)活性を証明できなかった(Schapiraら、2013)ことは驚くべきことではない。
【0029】
PDの治療に有用な、治療有効量のデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物と、治療有効量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物とを含む医薬組成物からなる、(R)/(S)-混合物が、米国特許出願公開第2008/0014259号に開示されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
米国特許出願公開第2008/0014259号によると、両方の鏡像異性体は、脳細胞、脊髄、およびミトコンドリアに蓄積し、それらの場所で、プラミペキソールのドーパミン作動薬活性に依存しない神経学的機能に良好な効果を発揮する能力により、神経保護効果を付与することができる。特に、前記文書は、神経保護剤および最大5000mgのデクスプラミペキソールと組み合わせた約0.0625mg~約6mgの治療有効量のプラミペキソールとしての前記組成物を提案している。しかし、この文書は、ドーパミン作動性作用によるプラミペキソールの有害作用を強調し、参照により内容全体が本明細書に組み込まれる、ほぼ同時期のWO2008/113003において、同じ出願人によっても確認されているように、プラミペキソール低用量を支持する傾向がある。
【0031】
参照により内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0116292号によれば、デクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩および溶媒和物は、神経細胞の変性の進行を遅らせることにより、および/または神経細胞の細胞死を防ぐことにより、作用する。しかし、デクスプラミペキソールのこの注目に値する可能性のある作用についてのさらなる言及は文献に示されていない。
【0032】
デクスプラミペキソールの合成、およびその薬学的に許容される塩、特にデクスプラミペキソール二塩酸塩一水和物の合成は、参照により内容全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0253047号に記載されている。
【0033】
膨大な既存文献にもかかわらず、プラミペキソールは、パーキンソン病の治療において、依然としてわずかな作用しか与えていない。
【0034】
したがって、プラミペキソールにより、シヌクレイノパチーを罹患している患者に対する安全で長期的な効果的な治療を実現するという問題は、未解決のままである。
【発明の概要】
【0035】
本発明は、神経保護の意図も与えられたとき、プラミペキソールの治療ウィンドウを拡張することにより、プラミペキソールの十分な有効性を安全に実現し、PD様障害を有する患者において、発症を遅らせ、および/または臨床的に有意な程度に症状の進行を遅らせることができるという考えに由来する。
【0036】
本発明は、プラミペキソールの忍容可能投薬量を予想外のレベルまで増加させることにより、プラミペキソールの十分な有効性を安全に実現し、PD様障害を有する患者において、発症を遅らせ、および/または臨床的に有意な程度に症状の進行を遅らせることができることを示す。
【0037】
現在、アプレピタント、ネツピタント、およびロラピタントなどの調合薬は、高用量のプラミペキソールのGI副作用、特に吐き気および嘔吐を軽減または抑制することにより、プラミペキソールのシヌクレイノパチー修飾能を実現することがわかっている。
【0038】
NK1受容体拮抗薬(NK1受容体阻害剤または単にNK1拮抗薬とも呼ばれる)を、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組み合わせて使用して、治療上有効なプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量を最小限の有害作用で維持することにより、シヌクレイノパチーに罹患している患者を治療することが可能であることもわかっている。
【0039】
さらに、前記NK1拮抗薬は、パーキンソン病の運動症状の緩和のために推奨されるプラミペキソールの最大1日用量よりも多くてもよい(S)-鏡像異性用量、それよりさらに多くてもよい(S)-鏡像異性用量を含む1日用量による、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの安全な投与を可能にすることがわかっている。その結果、シヌクレイノパチー、特にPD、レビー小体病、グルコセレブロシダーゼ(GBA)変異に伴うパーキンソン病、およびMSAに罹患している患者の病状の改善が達成される。
【0040】
成分(a)としてのNK1-拮抗薬、例えば、アプレピタント、ロラピタント、またはネツピタントと、成分(b)としての6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとの組み合わせは、シヌクレイノパチーに罹患している患者のCNSに由来する血漿エキソソームにおける、モノマーとオリゴマーのシヌクレイン種の異常な比率を正常化するように作用する。
【0041】
したがって、本発明は、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて、当該治療を必要とする患者のシヌクレイノパチーの治療に使用するための、NK1拮抗薬を提供する。前記組み合わせは、CNS由来の血漿エキソソーム中のモノマー状シヌクレイン種とオリゴマー状シヌクレイン種の異常な比率を正常化する傾向があるように作用する。
【0042】
本発明はまた、シヌクレイノパチーに罹患している患者を治療する方法であって、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせた有効量のNK1拮抗薬により、前記患者を治療することを含む方法も提供する。
【0043】
一実施形態によれば、前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンはそれぞれ、薬学的担体と混合して医薬組成物に製剤化され、前記組み合わせによる治療を必要とする患者に別々に投与される。
【0044】
別の実施形態によれば、前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、一緒に混合され、薬学的担体と混合して医薬組成物(固定用量配合薬)に製剤化され、前記治療を必要とする患者に投与される。
【0045】
吐き気および嘔吐の予防に有効なNK1拮抗薬はどれも、現在PDの治療に一般的に使用されている(S)-鏡像異性体用量を含む、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの用量、またはより高い用量、さらにははるかに高い用量と組み合わせて、使用することができる。多数の適切なNK1拮抗薬が文献に開示されている。この組み合わせの長期的使用は、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン単独で誘発される有害作用を同時に軽減あるいは排除することにより、シヌクレイノパチーの症状を改善する。
【0046】
定義に述べたように、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、活性成分自体を表し、前記活性成分の塩または溶媒和物から独立したものである。同様に、「その塩または溶媒和物」および「その塩および溶媒和物」という表現は、引用されたNK1拮抗薬のいずれか、または6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンに関して、前記引用されたNK1拮抗薬のいずれかの塩または前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの塩が、溶媒、通常は水で溶媒和され得ることを示す。
【0047】
本発明によれば、好ましくは、使用されるNK1拮抗薬は、癌化学療法後の吐き気および嘔吐を予防するために承認されているものである。実際、驚くべきことに、化学療法薬によって誘発される吐き気、嘔吐、および下痢をブロックすることが知られているNK1受容体阻害剤は、前記シヌクレイノパチーの治療におけるその効力に影響を及ぼすことなく、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンに含有される(S)-鏡像異性体の胃腸副作用もブロックすることが示されている。
【0048】
NK1拮抗薬と6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは両方とも、それぞれ固有の効能のために、10年を超える期間にわたって使用されてきた2つの製品ファミリーであるが、シヌクレイノパチーの治療のためにそれらを組み合わせることは誰も考えていなかったこともあり、この発見は驚くべきことである。特に、これまでのところ、NK1拮抗薬の有効量と6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの抗シヌクレイノパチー有効量を組み合わせることにより、シヌクレイノパチーに罹患している患者の病状を安全に改善することが可能になり得ることを示唆している者はいない。さらに、プラミペキソールの場合、そのような組み合わせが、一般に、前記プラミペキソールの最大推奨1日用量の投与を可能にし、場合によってはプラミペキソール二塩酸塩一水和物の用量の増加さえ可能にするのではないかと考える者はいなかった。
【0049】
より具体的には、プラミペキソール二塩酸塩一水和物の場合、NK1拮抗薬との組み合わせは、多くの患者において、PDの運動症状を治療するためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大推奨用量(4.5mg/日)を大きく超える、抗シヌクレイノパチー治療有効用量の投与を可能にし、したがって、予想外に実質的に疾患の進行を遅らせることを含めて、PDなどのシヌクレイノパチーに罹患している患者の治療におけるその有効性を増加させることがわかっている。
【0050】
したがって、本発明は、シヌクレイノパチーを治療する方法であって、前記治療を必要とする患者に、有効1日用量のNK1拮抗薬を、有効1日用量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
【0051】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩も本発明に含まれる。
【0052】
一実施形態によれば、本発明は、通常、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されている用量と少なくとも同程度の1日用量、ならびに6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの有効1日用量の、NK1拮抗薬を含む組み合わせ医薬を提供する。
【0053】
より具体的には、この実施形態によれば、前記治療を必要とする患者におけるシヌクレイノパチーの治療に使用するための、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mgに相当する1日用量で投与される。
【0054】
別の実施形態によれば、本発明は、薬学的担体またはビヒクルと混合した、医薬組成物成分(b)における6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて投与される、薬学的担体またはビヒクルと混合したNK1拮抗薬を有効成分として含む医薬組成物成分(a)におけるNK1拮抗薬を提供する。
【0055】
前記組成物中のNK1拮抗薬/単位形態の量は、1μg~600mg、通常1mg~600mgであり、前記組成物中の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン/単位形態の量は、0.125mg~3000mgである。
【0056】
この実施形態によれば、前記NK1拮抗薬は、好ましくは、プラミペキソールの有害作用の予防または治癒に使用するために、薬学的担体と混合して、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されている単位形態当たりの用量と少なくとも同程度の単位形態当たりの量で、前記組成物中に存在し、シヌクレイノパチーの治療において、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの量で、前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物において投与される。
【0057】
この実施形態の別の態様によれば、本発明は、
(a)薬学的担体またはビヒクルと混合して、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されている用量/単位形態と少なくとも同程度の量で、有効成分として当該NK1拮抗薬を含む、医薬組成物における、NK1拮抗薬と;
(b)薬学的担体またはビヒクルと混合して、パーキンソン病の治療のために承認されている用量/単位形態と少なくとも同じ単位形態当たりの量の、有効成分として当該プラミペキソール二塩酸塩一水和物を含む、医薬組成物における、プラミペキソール二塩酸塩一水和物と
を含む組み合わせ医薬を提供する。
【0058】
前記組み合わせにおいて、成分(a)は、前記組成物中に1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの量で存在し、成分(b)は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mg、通常0.125mg~20-21mgの量で存在する。
【0059】
さらなる実施形態によれば、本発明は、シヌクレイノパチーの治療において6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物の有害作用を予防または治癒するために、薬学的担体と混合して、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されている用量と少なくとも同じ単位形態当たりの量の、有効成分として、前記NK1拮抗薬を含む、医薬組成物からなる医薬を調製するための、NK1拮抗薬の使用を提供する。
【0060】
上記のように、NK1拮抗薬の投与単位形態当たりの量は、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されている用量と少なくとも同程度であり、前記用量の最大6倍またはそれ以上であってよく、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの量/単位形態は0.125mg~3000mgである。
【0061】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、薬学的担体またはビヒクルと混合して、成分(a)としての、単位形態当たり有効量のNK1拮抗薬を含む医薬組成物、および成分(b)としての、単位形態当たり有効量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンからなる固定用量配合薬(pharmaceutical fixed-dose combination)を提供する。
【0062】
IR単位形態当たりの6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの量は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じてプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~1500mgに相当する範囲となる。
【0063】
通常、IR製剤中の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、用量範囲は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、単位形態当たり、0.125mg~30mg、好ましくは0.125mg~22.5mg、通常0.125mg~20mgまたは0.125mg~10mgである。
【0064】
緩効性組成物および経皮治療システム、例えば経皮パッチを含む、ER製剤中の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの用量/単位形態は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、1.5mg~3000mgの範囲となる。通常、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、用量範囲/単位形態は、1.5mg~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mg、または3mg~40-42mg、通常3mg~20-21mgとなる。
【0065】
(R)/(S)-混合物としての6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの用量は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、IR単位形態当たり、50mg~1500mgの範囲となる。上記の範囲は、IR単位形態当たり0.125mg~10mgの(S)-鏡像異性体量を含んでいる。プラミペキソールをより高用量で投与する場合、上記の範囲は、IR単位形態当たり、0.125mg~22.5mg、通常0.125mg~20mg、有利には6.5mg~20mgとなる。
【0066】
通常、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、用量範囲は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、IR単位形態当たり、0.125mg~10mg、有利には1.5mg~10mgまたは6.5mg~10mgである。プラミペキソールをより高用量で投与する場合、前記用量範囲は、0.125mg~20mg、通常6.5mg~20mgとなる。
【0067】
緩効性組成物および経皮治療システム、例えば経皮パッチを含む、ER製剤中の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの用量/単位形態は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、3mg~3000mgの範囲となる。
【0068】
緩効性組成物および経皮治療システム、例えば経皮パッチを含む、ER製剤中の、(R)/(S)-混合物としての6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの用量/単位形態は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物150mg~3000mg、通常300mg~3000mgの範囲となり、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、通常0.375mg~40-42mg、または6mg超~40-42mg、好ましくは、0.375mg~40-42mg、または6mg超~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体用量/単位形態を含む。
【0069】
通常、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、用量範囲/ER単位形態は、3mg~45mgとなる。有利には、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩である場合、前記用量範囲/ER単位形態は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mg超~45mgまたは6mg超~45mg、好ましくは4.5mg超~40-42mgまたは6mg超~40-42mg、場合によっては、4.5mg超~22.5mg、好ましくは6mg超~20mgまたは6.5mg~20mgに相当するものとなる。好ましくは、前記用量範囲/ER単位形態は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mg超~40-42mgまたは6mg超~40-42mg、場合によっては、4.5mg超~20mg、好ましくは6mg超~20mgまたは6.5mg~20mgに相当するものとなる。
【0070】
NK1拮抗薬がアプレピタントである場合、前記アプレピタントは、10mg~250mg、またはいくつかの実施形態では10mg~125mgの範囲のIR用量となる。
【0071】
NK1拮抗薬がホスアプレピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である場合、前記NK1拮抗薬は、10mg~250mgのアプレピタントに相当するIR用量となる。
【0072】
NK1拮抗薬がロラピタントである場合、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせた単位形態当たりの用量は、上記用量/単位形態において、IR製剤中で15mg~270mgの範囲となる。
【0073】
通常、(NK1拮抗薬と組み合わせた)本発明によるシヌクレイノパチー治療のための方法(または使用)において、通常、薬学的担体またはビヒクルと混合した医薬組成物中に含まれる、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、1.5mg~3000mgの1日用量で、前記治療を必要とする患者に投与される。実際には、前記1日用量は、
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mgに相当する1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩;
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物3mg~90mgの1日用量における、ラセミ化合物またはその薬学的に許容される塩(したがって、明らかに、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mgに相当する、(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの1日用量、およびプラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mgに相当する、(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの1日用量を含む);ならびに
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体1日用量を含む、150mg~3000mgの1日用量における、(R)/(S)-混合物(したがって、明らかに、前記1日用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体の用量、およびプラミペキソール二塩酸塩一水和物150mg~3000mg(1.5mg~45mg、好ましくは1.5~40-42mgを減算)に相当する(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン用量により構成される)
からなる群から選択される。
【0074】
本発明によるシヌクレイノパチーの治療のための方法(または使用)において、通常、薬学的担体またはビヒクルと混合した医薬組成物中に含まれる、(R)/(S)-混合物としての6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、0.375mg~45mgに相当する(S)-鏡像異性体1日用量を含め、好ましくはプラミペキソール二塩酸塩一水和物6mg~45mgまたは6.5mg~45mgの(S)-鏡像異性体1日用量を含め、より好ましくは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~40-42mg、6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体1日用量を含め、1.5mg~3000mgまたは3.0mg~3000mgの1日用量で、前記治療を必要とする患者に投与される。
【0075】
特定の実施形態によれば、前記方法(または使用)において、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、1.5mg~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mg、通常1.5mg~20mgの1日用量で前記患者に投与されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物である。この実施形態によれば、前記方法(または使用)において、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、NK1拮抗薬と組み合わせて前記患者に投与される。
【0076】
NK1拮抗薬がアプレピタントまたはホスアプレピタントである場合、NK1拮抗薬は、アプレピタントでは10mg~250mg、またはいくつかの実施形態では10mg~125mgの1日用量で、前記患者に投与される。
【0077】
NK1拮抗薬がロラピタントである場合、前記ロラピタントは、15mg~270mgの1日用量で、前記患者に投与される。
【発明を実施するための形態】
【0078】
上記で要約したように、本発明は、固定用量配合薬を含む、NK1拮抗薬成分(a)と6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)の組み合わせ、および患者におけるシヌクレイノパチーを治療するためのその使用を提供する。特に、本発明は以下を提供する。
- シヌクレイノパチーに罹患している患者を治療する方法であって、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)と組み合わせた有効量のNK1拮抗薬により前記患者を治療することを含む方法;
- シヌクレイノパチーに罹患している患者の治療において、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)と組み合わせて使用するための、NK1拮抗薬成分(a);
- 6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて、当該治療を必要とする患者におけるシヌクレイノパチーを治療するための医薬を調製するためのNK1拮抗薬の使用;および
- 薬学的担体またはビヒクルと混合した、NK1拮抗薬成分(a)および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)を含む投与単位形態の医薬組成物を含む、固定用量配合薬、および患者におけるシヌクレイノパチーを治療するためのその使用。
【0079】
NK1拮抗薬成分(a)
上述のように、制吐剤としての使用が知られている任意のNK1拮抗薬は、シヌクレイノパチー治療のための6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとの組み合わせに潜在的に有用である。
【0080】
この組み合わせの長期使用は、プラミペキソール自体またはラセミ体もしくは(R)/(S)-混合物中の(S)-鏡像異性体としてのプラミペキソールによって誘発される有害作用を軽減または排除し、それにより高用量のプラミペキソールの使用を可能にし、したがってより高い神経保護用量のプラミペキソールの使用を可能にすることによって、シヌクレイノパチー障害の進行を遅らせる。
【0081】
有利には、前記NK1拮抗薬は、
- 液体経口製剤(米国特許出願公開第2017/0035774号に記載)および18mlのエマルジョン中に130mgのアプレピタントを含有する静脈内使用向け単回投与バイアル中の注射可能エマルジョン(Cinvanti(登録商標))(米国特許第9,808,465号に記載)中の、5-[[(2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]-3-(4-フルオロフェニル)-4-モルホリニル]メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オン(アプレピタント)(米国特許第5,719,147号に記載)(それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- [3-{[(2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]-3-(4-フルオロフェニル)モルホリン-4-イル]メチル}-5-オキソ-2H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]ホスホン酸(ホスアプレピタント)(例えば、メグルミン塩として米国特許第5,691,336号に記載され、ジ(シクロヘキシルアミン)塩として米国特許出願公開第2016/0355533号に記載されており、それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- (2S,4S)-4-(4-アセチル-1-ピペラジニル)-N-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]-2-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-N-メチル-1-ピペリジンカルボキサミド(カソピタント)(米国特許第7,294,630号に記載されており、参照により内容全体が本明細書に組み込まれる);
- (2S)-1-[(3aS,4S,7aS)-4-ヒドロキシ-4-(2-メトキシフェニル)-7,7-ジフェニル-1,3,3a,5,6,7a-ヘキサヒドロイソインドール-2-イル]-2-(2-メトキシフェニル)プロパン-1-オン(INN:ダピタント);
- (2S,3S)-N-(5-tert-ブチル-2-メトキシベンジル)-2-(ジフェニルメチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-アミン(マロピタント)(米国特許第5,807,867号、WO2005/082416およびEP3173071に開示されており、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- (2S,3S)-2-ジフェニルメチル-3-[(5-イソプロピル-2-メトキシベンジル)アミノ]キヌクリジン(INN:エズロピタント)(Evangelista S(2001).”Ezlopitant.Pfizer”;Current Opinion in Investigational Drugs:2巻(10号):1441~3頁により開示され、Drugs:the Investigational Drugs Journal 6巻(8号):758~72頁において審査されており、それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- (2S)-N-{2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}-2-[4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-イル]-N-メチル-2-フェニルアセトアミド(INN:フィポピタント);
- N-[(2R)-1-[アセチル-[(2-メトキシフェニル)メチル]アミノ]-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-2-(4-ピペリジン-1-イルピペリジン-1-イル)アセトアミド(INN:ラネピタント(lanepitant));
- 2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N,2-ジメチル-N-[4-(2-メチルフェニル)-6-(4-メチル-1-ピペラジニル)-3-ピリジニル]プロパンアミド(ネツピタント)(米国特許第6,297,375号、米国特許第6,593,472号、米国特許第6,719,996号に記載されており、米国特許第8,951,969号の記載では、経口組成物中で、0.5mgのパロノセトロン塩基に相当する量の300mgのネツピタントおよびパロノセトロン塩酸塩を含み、本明細書において以下で「ネツピタント-300/パロノセトロン-0.5」と称され、それぞれの記載は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- (2R,4S)-4-[(8aS)-6-オキソ-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-N-[(1R)-1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]-2-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-N-メチルピペリジン-1-カルボキサミド(INN:オルベピタント)(米国特許出願公開第2005/0176715号に記載され、米国特許出願公開第2011/0166150号では、結晶性マレイン酸塩として記載されており、それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- (5S,8S)-8-({(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}メチル)-8-フェニル-1,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-オン(ロラピタント)(米国特許第7,049,320号に記載され、その注射可能な形態については、米国特許第9,101,615号に記載されており、それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- 3-((3aR,4R,5S,7aS)-5-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチルフェニル]エトキシ]-4-(4-フルオロフェニル)-1,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロイソインドール-2-イルシクロペンタ-2-エン-1-オン(セルロピタント)(米国特許第7,544,815号および米国特許第7,217,731号に記載されており、それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる);
- 2-(S)-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-ピペラジン-1-カルボン酸[1-(R)-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-メチル-アミド(INN:ベスチピタント(vestipitant))(WO2001/25219に記載され、WO2012/175434では溶血を引き起こす傾向が少ない静脈内製剤中のものとして記載されており、それぞれその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる);
- (2S,3S)-N-[(2-メトキシ-5-[5-(トリフルオロメチル)テトラゾール-1-イル]フェニルメチル]-2-フェニルピペリジン-3-アミン(INN:ヴォフォピタント)(Gardner CJら、Regul Pept.1996 Aug 27;65巻(l号):45~53頁に開示されており、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる)
からなる群から選択される。
【0082】
基本的に有利なNK1拮抗薬の薬学的に許容される塩の実例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、リン酸等の鉱酸との酸付加塩、およびギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。
【0083】
ホスアプレピタントなどの酸性NK1拮抗薬の薬学的に許容される塩の実例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩などの無機塩基との塩、ならびに、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,691,336号に記載されている、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチル-D-グルカミン(メグルミン)塩、およびアミノ酸との塩などの有機塩基との塩が挙げられる。
【0084】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて使用される有利なNK1拮抗薬は、
- アプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- カソピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- マロピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- エジオピタント(eziopitant)ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ラネピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- オルベピタント(orvapitant)ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- セルロピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ベスチピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ヴォフォピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、
- ネツピタント-300/パロノセトロン-0.5
からなる群から選択される。
【0085】
アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミン、ホスアプレピタントジ(シクロヘキシルアミン)、ロラピタント、ロラピタント塩酸塩、およびネツピタント-300/パロノセトロン-0.5は、特に有利なNK1拮抗薬である。
【0086】
本発明によれば、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されているNK1受容体の拮抗薬が、特に有用である。40mg、80mg、または125mgのアプレピタントを含有するカプセルに入った市販アプレピタント(Emend(登録商標));115mgまたは150mgのホスアプレピタントを含有するバイアルに入った、市販のホスアプレピタントメグルミン(Emend(登録商標)Injection);90mgの錠剤で提供されるロラピタント(Varubi(登録商標));300mgのネツピタントと0.5mgの(塩酸塩としての)NK1拮抗薬パロノセトロンを含有するカプセルとの固定用量配合薬で提供されるネツピタント-300/パロノセトロン-0.5(Akynzeo(登録商標))が、好ましいNK1拮抗薬である。
【0087】
上記の方法、使用、および固定用量配合薬を含む組み合わせにおいて、前記NK1拮抗薬は単位形態当たりの量で存在し、1μg~600mg、通常1mg~600mg、または1mg~300mgの1日用量で投与される。
【0088】
より具体的には、前記組み合わせにおいて、前記NK1拮抗薬は、アプレピタント10mg~250mgに相当する1日用量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;アプレピタント10mg~250mgに相当する1日用量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ロラピタント15mg~270mgに相当する1日用量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、300mg~600mgに相当する1日用量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0089】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて、シヌクレイノパチーに罹患している患者に投与する場合、上記のNK1拮抗薬のそれぞれは、有効成分として、薬学的担体またはビヒクルと混合した前記NK1拮抗薬を含む投与単位形態で、医薬組成物に製剤化される。
【0090】
特に、前記医薬組成物の前記NK1拮抗薬有効成分は、アプレピタント10mg~250mgに相当する単位形態当たりの量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;アプレピタント10mg~250mgに相当する単位形態当たりの量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ロラピタント15mg~270mgに相当する単位形態当たりの量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;300mg~600mgに相当する単位形態当たりの量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0091】
有利には、前記NK1拮抗薬は、10mg~250mgの単位形態当たりの量のアプレピタント;アプレピタント10mg~250mgに相当する単位形態あたりの量のホスアプレピタントメグルミン;または15mg~270mgまたは30mg~270mgの単位形態当たりの量のロラピタントである。
【0092】
上記のように、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組み合わせてNK1拮抗薬を使用し、有害作用を最小限に抑えながら治療上有効なプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量を維持することにより、シヌクレイノパチーに罹患している患者を治療することが可能である。
【0093】
したがって、前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの確実で安全な同時投与を保証するために、本発明は、前記NK1-拮抗薬の単位形態当たりの有効量を含む投与単位形態の医薬組成物、および薬学的担体またはビヒクルと混合した単位形態当たり有効量の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンからなる固定用量配合薬を提供する。
【0094】
これらのNK1拮抗薬/6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの固定用量配合薬は、以下の「医薬組成物」の節に示されている。
【0095】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)
上記の定義に記載されているように、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、
- プラミペキソール、すなわち(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ラセミ化合物、すなわち(R,S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびに
- 通常、薬学的担体またはビヒクルと混合した、治療有効量の(S)-鏡像異性体を含有する医薬組成物(例えば、参照により内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0014259号に記載の医薬組成物)中の(S)/(R)-混合物、すなわち(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの混合物
からなる群から選択される。
【0096】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩または溶媒和物の実例は、無機または有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、グリコール酸、シュウ酸、コハク酸、乳酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、2-アセトキシ安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン(イセチオン)酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン(スルファニル)酸、2,6-ナフタレンジスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、およびパモ(エンボン)酸から誘導される。溶媒和溶媒は通常、水である。
【0097】
プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の場合、市販されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物は、好ましい6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンである。例えば、それぞれ参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれるWO2012/0140604およびWO2008/122638に開示されている、プラミペキソール二塩酸塩一水和物を含む安定な医薬組成物、および参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,399,016号に開示されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含む徐放性組成物は、シヌクレイノパチーの治療のためにNK1拮抗薬と組み合わせて使用するのに有用であり得る。
【0098】
参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,886,812号に記載されている、ラセミ体およびプラミペキソールは、それぞれ、NK1拮抗薬と組み合わせたシヌクレイノパチーの治療にとって有用な6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンである。
【0099】
(S)/(R)-混合物、すなわち、米国特許出願公開第2008/0014259号に記載されている、治療有効量の(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物と治療有効量の(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物を含む医薬組成物も、NK1拮抗薬と組み合わせたシヌクレイノパチーの治療にとって有用な6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンである。
【0100】
シヌクレイノパチーの治療では、上記の「NK1拮抗薬成分(a)」の節で説明したNK1拮抗薬と組み合わせにおいて、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンが、薬学的担体またはビヒクルと混合して、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~3000mgに相当する量で、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む医薬組成物に製剤化される。前記組成物は、1μg~600mg、通常1mg~600mgの1日用量のNK1拮抗薬と組み合わせて、0.375mg~3000mgの1日用量で、前記治療を必要とする患者に投与される。
【0101】
本発明によれば、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、好ましくは、
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの用量の、(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(INN:プラミペキソール)ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、特にその二塩酸塩一水和物(USAN:プラミペキソール塩酸塩);
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.25mg~90mgに相当する単位形態当たりの用量の、(R,S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(ラセミ体)ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物(したがって、明らかに、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgまで、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの用量の(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40mgに相当する単位形態当たりの用量の(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとを含む)、および好ましくは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.25mg~90mg、好ましくは0.25mg~80-84mg(したがって、明らかに、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの用量の(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの用量の(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとを含む);ならびに
- (R)/(S)-混合物、すなわち、プラミペキソール二塩酸塩一水和物50mg~3000mg、好ましくは150mg~3000mgに相当する単位形態当たりの用量で、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む投与単位形態の医薬組成物であって、前記単位形態当たりの量は、プラミペキソール二水和物一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~45mgに相当する(S)-鏡像異性体量を含む(したがって、明らかに、前記単位形態当たりの量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する量の(S)-鏡像異性体、およびプラミペキソール二塩酸塩一水和物50mg、好ましくは150mg~3000mg(0.125mg~45mg、通常0.125~40-42mgを減算)に相当する単位形態当たりの量の(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンによって構成される)、ならびに好ましくはプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体量を含む(したがって、明らかに、前記単位形態当たりの量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する量の(S)-鏡像異性体、およびプラミペキソール二塩酸塩一水和物50mg、好ましくは150mg~3000mg(0.125mg~45mg、好ましくは0.125~40-42mgを減算)に相当する単位形態当たりの量の(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンによって構成される)、組成物
からなる群から選択される。
【0102】
定義に示されているように、プラミペキソールまたは(S)-鏡像異性体の有効1日用量は、少なくともPD治療のために承認されたプラミペキソール二塩酸塩一水和物1日用量に相当する用量である。上記の1日当たりの承認用量は0.375mg~4.5mgである。しかし、本発明によれば、NK1拮抗薬と前記プラミペキソールまたは(S)鏡像異性体との組み合わせにより、パーキンソン病の治療のための承認されたプラミペキソール二塩酸塩一水和物1日用量の投与が有害作用なしに可能になるが、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1日用量であって、前記承認用量よりも高い用量、およびはるかに高い用量の投与も可能にすることが本明細書に明記されている。
【0103】
特に、NK1拮抗薬との上記の組み合わせにおいて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、0.375mg~45mg、好ましくは0.375mg~40-42mgの1日用量で、シヌクレイノパチーに罹患している、小児患者を含む患者に投与されてよい。本発明によれば、0.375mg~45mg、好ましくは0.375mg~40-42mgの1日用量範囲には、漸増期間中に投与される低用量が含まれる。より詳細には、前記1日用量範囲は、1.5mg~45mg、1.6mg~45mg、1.625mg~45mg、3mg~45mg、4.5mg超~45mg、4.8~45mg、6mg超~45mg、および6.5mg~45mgからなる群から選択することができる。好ましくは、前記1日用量範囲は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、1.5mg~40-42mg、1.6mg~40-42mg、1.625mg~40-42mg、3mg~40-42mg、4.5mg超~40-42mg、4.8mg~40-42mg、6mg超~40-42mgまで、10mg超~40-42mg、13.5mg~40-42mg、13.5mg~30mg、および13.5mg~20-21mgからなる群から選択されてよい。
【0104】
上記の「NK1拮抗薬成分(a)」の節で説明したNK1拮抗薬と組み合わせて、シヌクレイノパチーに罹患している患者に投与する場合、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、薬学的担体またはビヒクルと混合して、活性成分として上記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0105】
本発明によれば、前記医薬組成物成分(b)は、有効成分として、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を、IR製剤中のプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~30mgまたは20-21mg、通常1.5mg~10mgに相当する単位形態当たりの量で、またはER製剤中のプラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの量で含む。
【0106】
より具体的には、前記プラミペキソールは、0.125~45mg、好ましくは1.5mg~45mg、1.625mg~45mg、3mg~45mg、4.5mg超~45mg、4.8mg~45mg、6mg超~45mg、および10mg超~45mgからなる群から選択される、プラミペキソール二塩酸塩一水和物の単位形態当たりの量の範囲に相当する単位形態当たりの量の範囲で、前記組成物中に存在する。特に、前記プラミペキソールは、0.125mg~40-42mg、0.125mg~30mg、0.125から20-21mg、1.5mg~40-42mg、1.625mg~40-42mg、3mg~40-42mg、4.5mg超~40-42mg、4.8mg~40-42mg、6mg超~40-42mg、および10mg超~40-42mgからなる群から選択される、プラミペキソール二塩酸塩一水和物の単位形態当たりの量の範囲に相当する単位形態当たりの量の範囲で、前記組成物中に存在する。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明は、薬学的担体またはビヒクルと混合した、プラミペキソール二塩酸塩一水和物13.5mg~45mg、13.5mg~40-42mg、13.5mg~30mg、または13.5mg~20-21mgに相当する単位形態当たりの量の、プラミペキソールならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物を有効成分として含む投与単位形態の医薬組成物を提供する。
【0108】
上記のように、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組み合わせてNK1拮抗薬を使用し、有害作用を最小限に抑えながら治療上有効なプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量を維持することにより、シヌクレイノパチーに罹患している患者を治療することが可能である。
【0109】
前記NK1拮抗薬と前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の同時投与を提供するために、本発明は、薬学的担体またはビヒクルと混合して、有効成分としてNK1拮抗薬を含む投与単位形態の医薬組成物;ならびにプラミペキソールならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物からなる固定用量配合薬を提供する。
【0110】
NK1-拮抗薬/6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの固定用量配合薬は、以下の「医薬組成物」の節に示されている。
【0111】
本発明の特定の態様
第1の態様によれば、本発明は、NK1拮抗薬を当該患者に同時にかつ長期的に投与することにより、シヌクレイノパチーに罹患し6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンにより治療された患者の疾患進行を安全に遅らせるか、あるいは反転させる方法を含む。
【0112】
より具体的には、本発明は、患者のシヌクレイノパチーを治療する方法であって、前記治療を必要とする前記患者に、有効1日用量のNK1拮抗薬を、有効1日用量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
【0113】
「NK1拮抗剤成分(a)」の節に記載されているNK1拮抗剤のいずれも、本発明のこの態様の方法に従って使用することができる。
【0114】
本発明の方法の実施において、これらのNK1拮抗薬の1日用量は、当該治療または予防の現在のプロトコールに従って、外科手術または癌化学療法を受けている患者の吐き気および嘔吐を予防または治療するための1日用量と少なくとも同程度である。前記1日用量は、1μg~600mg、通常は1mg~600mg、または1mg~300mgである。
【0115】
アプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ならびにロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物からなる群から選択されるNK1拮抗薬が、特に有利なNK1拮抗薬である。
【0116】
上記のように、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、ラセミ体、プラミペキソール、および(R)/(S)-混合物ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物からなる群から選択される。
【0117】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの投与単位形態当たりの用量および1日用量は、上記の「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン」の節に記載されている。前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの単位形態当たりの用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは6mg超~45mg、通常0.125mg~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgに相当する、(S)異性体の単位形態当たりの量からなるか、またはそれらを含む。
【0118】
一実施形態によれば、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、好ましくは6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、通常0.375mg~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgに相当する1日用量で投与される、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する用量/単位形態での、(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(INN:プラミペキソール)およびその薬学的に許容される塩、特にその二塩酸塩一水和物(USAN:プラミペキソール塩酸塩);
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、好ましくは12mg超~45mgまたは13mg~45mg、通常0.375mg~40-42mg、好ましくは12mg超~40-42mgまたは13mg~40-42mgに相当する1日用量で投与される、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは12mg超~45mgまたは13mg~45mg、通常0.125mg~40-42mg、好ましくは12mg超~40-42mgまたは13mg~40-42mgに相当するS-鏡像異性体の単位形態当たりの量を含む、0.25mg~90mg、好ましくは12mg超~90mg、通常0.25mg~80mgの用量/単位形態での、(R,S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(ラセミ体)およびその薬学的に許容される塩;ならびに
- プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375~45mg、好ましくは6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、通常0.375mg~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体の1日用量を含めて、150mg~300mg、好ましくは300mg~3000mgまたは450mg~3000mgの1日用量で投与される、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125~45mg、好ましくは6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、通常0.125~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mg、または6.5mg~40-42mgに相当するS鏡像異性体の単位形態当たりの量を含めた、50mg~3000mg、好ましくは150mg~3000mgの単位形態当たりの用量の、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む投与単位形態の医薬組成物である(R)/(S)-混合物
からなる群から選択される。
【0119】
本発明によるシヌクレイノパチーの治療方法において、上述の有効1日用量のNK1拮抗薬は、通常、プラミペキソール二塩酸塩一水和物と組み合わせて、前記治療を必要とする患者に投与される。薬学的担体またはビヒクルと混合した医薬組成物中の前記プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、0.375mg~45mg、好ましくは0.375mg~40-42mgの1日用量で前記患者に投与される。
【0120】
一実施形態によれば、
前記NK1拮抗薬は、アプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物(それぞれ「NK1拮抗薬」の節に記載されている1日用量)、ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5(1日1回または2~4日ごとに1回)からなる群から選択され;
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)」の節に記載されている1日用量の、プラミペキソールならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物からなる群から選択される。
【0121】
有利な実施形態によれば、本発明の方法において、NK1拮抗薬は、アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミン、またはロラピタントであり、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、それぞれの節に記載されている1日用量の、プラミペキソール二塩酸塩一水和物である。
【0122】
特定の実施形態によれば、前記方法(または使用)において、前述の有効1日用量の、前記NK1拮抗薬は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物と組み合わせて、前記患者に投与され、1.5mg~45mg、通常1.5mg~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mg、通常1.5mg~20-21mgの1日用量で前記患者に投与される。
【0123】
好ましくは、本発明により患者のシヌクレイノパチーを治療する方法において、
前記NK1拮抗薬は、10mg~250mgの1日経口用量のアプレピタント;アプレピタント10mg~250mgに相当する1日注射可能用量のホスアプレピタントメグルミン;もしくは15mg~270mgまたは30mg~270mgに相当する1日経口用量のロラピタント;またはネツピタント-300/パロノセトロン-0.5であり;
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、1.5mg~45mg、通常1.5mg~22.5mg、好ましくは1.5mg~40-42mg、通常1.5mg~20-21mgの有効1日経口用量の、プラミペキソール二塩酸塩一水和物である。
【0124】
前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、以下に説明されているように、薬学的担体またはビヒクルと混合して、医薬組成物に共製剤化されてもよい。
【0125】
本発明の方法により、パーキンソン病、レビー小体型認知症、グルコセレブロシダーゼ遺伝子の変異、多系統萎縮性症、アルツハイマー病、アルツハイマー病のレビー小体変種、脳内鉄蓄積を伴う神経変性、およびグルコセレブロシダーゼ(GBA)変異に関連するパーキンソン病などの、シヌクレイノパチーの安全な治療が可能になる。
【0126】
第2の態様によれば、本発明は、当該治療を必要とする患者のシヌクレイノパチーの治療において、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて使用するためのNK1拮抗薬を提供する。
【0127】
「NK1拮抗剤成分(a)」の節に記載されているNK1拮抗剤のいずれも、通常、本発明のこの第2の態様に従う投与単位形態で使用することができる。
【0128】
特に、本発明のこの第2の態様は、当該治療を必要とする患者におけるシヌクレイノパチーの治療のために、0.375mg~3000mgの前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの1日用量と組み合わせて使用するための、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの単位形態当たりの量のNK1拮抗薬を提供する。
【0129】
本発明による使用に関して、これらのNK1拮抗薬の1日用量は、当該治療または予防の現在のプロトコールに従って外科手術または癌化学療法を受けている患者の吐き気および嘔吐を予防または治療するための1日用量と少なくとも同程度の量である。前記1日用量は、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの範囲である。
【0130】
本発明によるシヌクレイノパチーの治療のためのその使用のために、「NK1拮抗薬成分(a)」の節に例示されている、前述の有効1日用量のNK1拮抗薬は、「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)」の節に例示されているとおり、前述の有効1日用量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて、当該治療を必要とする患者に投与される。
【0131】
一実施形態によれば、通常、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの単位形態当たりの量の、前記NK1拮抗薬は、50~3000mg、150mg~3000mgまたは300mg~3000mgの1日用量で、(R)/(S)-混合物として、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて使用するためのものであり、前記1日用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、好ましくは6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、通常0.375mg~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体の用量を含む。
【0132】
前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.75mg~90mg、好ましくは12mg超~90mgまたは13mg~90mg、通常0.75mg~80mg、好ましくは12mg超~80mgまたは13mg~80mgに相当する1日用量のラセミ体であってよく、したがって、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.75mg~40-42mg、好ましくは12mg超~40-42mgまたは13mg~40-42mg、0.75mg~40-42mg、好ましくは12mg超~40-42mgまたは13mg~40-42mgに相当する(S)-鏡像異性体の1日用量を送達するものであってよい。
【0133】
好ましくは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mg、有利には4.5mg超~45mg、より有利には4.8mg~45mgまで、好ましくは6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、通常1.5mg~40-42mg、有利には4.5mg超~40-42mg、より有利には4.8mg~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgに相当する1日用量の、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、プラミペキソールまたは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物である。
【0134】
シヌクレイノパチーの治療に関して、NK1拮抗薬および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、それぞれ、薬学的担体またはビヒクルと混合して、前記NK1拮抗薬と前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンをそれぞれ含む投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0135】
一般に、前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、
それぞれ薬学的担体またはビヒクルと混合して、
1μg~600mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬と;
それぞれ、0.125mg~3000mgの単位当たりの量の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと
を含む投与単位形態で、医薬組成物にそれぞれ製剤化される。
【0136】
特に、この第2の態様によれば、本発明は、以下を含む組み合わせ医薬を提供する:
成分(a):医薬用担体またはビヒクルと混合した、活性成分として、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬を含む投与単位形態の医薬組成物中のNK1拮抗薬;および
成分(b):当該治療を必要とする患者におけるシヌクレイノパチーの治療に使用するための、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、好ましくは0.375mg~40-42mgに相当する1日用量の、プラミペキソールおよびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン。
【0137】
好ましくは、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、同様に、4.5mg超~45mg、6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、好ましくは4.5mg超~40-42mg、6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgの単位形態当たりの量の投与単位形態の医薬組成物中のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である。
【0138】
有利には、前記NK1拮抗薬成分(a)は、アプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物(それぞれ「NK1拮抗剤成分(a)」の節に示されている単位形態当たりの量)、ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0139】
好ましくは、NK1拮抗薬は、10mg~250mgの1日経口用量のアプレピタント;アプレピタント10mg~250mgに相当する有効1日注射可能用量のホスアプレピタントメグルミン;15mg~270mgまたは30mg~270mgに相当する有効1日経口用量のロラピタント;またはネツピタント-300/パロノセトロン-0.5である。
【0140】
本発明による使用は、治療方法の実施について本明細書中で上記に示した条件下で行われる。
【0141】
この第2の態様によれば、本発明はまた、
(a)NK1拮抗薬;および
(b)シヌクレイノパチーの治療に有用な6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン
を含む組み合わせ医薬も提供する。
【0142】
この目的のために、本発明のこの態様の方法に従って、「NK1拮抗剤成分(a)」の節に示されているNK1拮抗剤のいずれかを使用することができる。
【0143】
通常、NK1拮抗薬成分(a)は、術後の吐き気と嘔吐の予防または治療、または化学療法誘発性の吐き気と嘔吐の予防のために承認された用量と少なくとも同程度の投与量で使用され、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)は、PDなどのシヌクレイノパチーの治療のための従来のプロトコールに従って使用される。
【0144】
NK1拮抗薬および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの単位形態当たりの量および1日用量は、本発明の第1の態様および本明細書のこの第2の態様において上記で説明したものである。
【0145】
第3の態様によれば、本発明は、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの有効1日用量と組み合わせた、当該治療を必要とする患者のシヌクレイノパチーを治療するための薬剤の調製のためのNK1拮抗薬の使用を提供する。
【0146】
この使用のために、前記NK1拮抗薬は、薬学的担体またはビヒクルと混合して、有効成分として前記NK1拮抗薬を含む医薬組成物に製剤化され、当該治療を必要とする患者におけるシヌクレイノパチーの治療のために、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせて、同時にまたは連続して投与される。
【0147】
前記医薬組成物において、前記NK1拮抗薬は、薬学的担体と混合し、以下に記載されるように、経口投与、静脈内投与、経皮投与、および/または経皮投与のための単位形態で製剤化される。
【0148】
「NK1拮抗薬成分(a)」の節に記載されたNK1拮抗薬のいずれも、本発明のこの第3の態様に従い、「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)」の節に記載された6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせた、シヌクレイノパチーの治療のための薬剤として示される医薬組成物の有効成分として使用できる。
【0149】
この第3の態様の実施形態によれば、前記薬剤は、医薬用担体またはビヒクルと混合した、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの単位形態当たりの量の前記NK1拮抗薬を有効成分として含む、投与単位形態の医薬組成物である。この薬剤は、シヌクレイノパチーに罹患している患者に、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの1日用量と組み合わせて、0.375mg~45mg、好ましくは0.375mg~40-42mgの(S)-鏡像異性体量を含む0.375mg~3000mgの1日用量で、投与するために用意される。
【0150】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンのこれらの1日用量には、漸増期間中の投与に有用な低プラミペキソール1日用量が含まれる。前記漸増期間の最後に、このように製造された薬剤は、成分(b)の節に示されるように、(NK1拮抗薬との組み合わせなしに)これまでに達成されなかったプラミペキソール1日用量の安全な摂取を可能にする。
【0151】
特に、前記NK1拮抗薬有効成分は、アプレピタント10mg~250mgに相当する単位形態当たりの量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;アプレピタント10mg~250に相当する単位形態当たりの量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ロラピタント15mg~270mgに相当する単位形態当たりの量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;300mg~600mgに相当する単位形態当たりの量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0152】
有利には、前記NK1拮抗薬は、10mg~250mgの単位形態当たりの量のアプレピタント;アプレピタント10mg~250mgに相当する単位形態あたりの量のホスアプレピタントメグルミン;または15mg~270mgまたは30mg~270mgに相当する単位形態当たりの量のロラピタントである。
【0153】
前記医薬組成物中の前記有利なNK1拮抗薬との組み合わせにおいて、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩であってよく、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、有利には4.5mg超~45mg、好ましくは6mg超~45mg、または6.5mg~45mg、または場合によっては、1.5mg~22.5mg、1.6mg~22.5mg、1.625mg~22.5mg、3mg~22.5mg、4.5mg超~22.5mg、4.8mg~22.5mg、6mg超~22.5mgまたは6.5mg~22.5mgに相当する1日用量で、シヌクレイノパチーに罹患している患者に安全に投与され得る。通常、前記1日用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~40-42mg、有利には4.5mg超~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mg、または場合によっては、1.5mg~20-21mg、1.6mg~20-21mg、1.625mg~20-21mg、3mg~20-21mg、4.5mg超~20-21mg、4.8mg~20-21mg、6mg超~20-21mgまたは6.5mg~20-21mgに相当するものである。
【0154】
前記医薬組成物中の前記有利なNK1拮抗薬は、150mg~3000mg、通常300mg~3000mgに相当する1日用量の、(R)/(S)-混合物としての6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンによるシヌクレイノパチーの治療を目的とすることもでき、前記1日用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、好ましくは6mg超~45mgまたは6.5mg~45mg、通常0.375mg~40-42mg、好ましくは6mg超~40-42mgまたは6.5mg~40-42mgに相当する(S)鏡像異性体の1日用量を含み、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンも、薬学的担体またはビヒクルと混合して、投薬単位形態の医薬に含まれる。
【0155】
前記医薬組成物中の前記有利なNK1拮抗薬は、さらに、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.75mg~90mg、好ましくは12mg超~90mgまたは13mg~90mg、通常0.75mg~80mg、好ましくは12mg超~80mgまたは13mg~80mgに相当する1日用量の、ラセミ体としての6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンによるシヌクレイノパチーの治療を目的とすることができ、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンも、薬学的担体またはビヒクルと混合して、投与単位形態の医薬に含まれる。
【0156】
シヌクレイノパチーの治療のために投与するために、NK1拮抗薬および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、薬学的担体またはビヒクルと混合して、医薬組成物にそれぞれ製剤化される。
【0157】
シヌクレイノパチーの治療において、NK1拮抗薬および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは組み合わせて使用され、薬学的に許容される担体またはビヒクルと混合して、2つの有効成分が、同時にまたは連続的に併用投与されるか、またはNK1拮抗薬および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む医薬組成物を含む固定用量配合薬で併用投与されてよい。
【0158】
NK1拮抗薬成分(a)および6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)は、カプセル、錠剤、粉末、カシェ、懸濁液、溶液、または経皮デバイスなどの、任意の従来的な経口または非経口投与単位形態で別々にまたは一緒に投与することができる。
【0159】
単位形態当たりの有効量の前記NK1拮抗薬、および単位形態当たりの有効量の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを別個に(同時にまたは連続的に)投与する場合、それらの成分をそれぞれ、1つの容器内で、薬学的担体またはビヒクルと混合して、前記NK1拮抗薬を含むキットに包装し、別の容器内で、薬学的担体またはビヒクルと混合して、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン、好ましくはプラミペキソールを包装することができる。
【0160】
シヌクレイノパチーの治療のために同時投与するために、前記NK1拮抗薬および前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、薬学的担体またはビヒクルと混合して、前記NK1拮抗薬と前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンとを含む医薬組成物からなる固定用量配合薬で、一緒に製剤化されてもよい。
【0161】
固定用量配合薬により、NK1拮抗薬と6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの安全な同時投与が保証される。
【0162】
上記のように、NK1拮抗薬の投与単位形態態当たりの量は、術後の吐き気および嘔吐の予防または治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認されている用量と少なくとも同程度であり、前記用量の最大6倍であってよい。
【0163】
第4の態様によれば、本発明は、有効成分としての、上記に示した有効量のNK1拮抗薬、またはその薬学的に許容される塩および溶媒和物のいずれか(成分(a));ならびに、医薬担体またはビヒクルと混合した、第2の有効成分としての、単位形態当たりの有効量の6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(成分(b))を含む投与単位形態の医薬組成物からなる固定用量配合薬を提供する。
【0164】
有利には、前記NK1拮抗薬成分(a)は、術後の吐き気および嘔吐の予防および治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防のために承認された用量と少なくとも同程度の単位形態当たりの量である。
【0165】
NK1拮抗薬成分(a)は、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの単位形態当たりの量で前記固定用量配合薬中に存在し、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)は、0.125mg~3000mg単位形態当たりの量で前記固定用量配合薬中に存在する。
【0166】
特に、この第4の態様によれば、本発明は、
薬学的担体またはビヒクルと混合した、
(a)1μg~600mgの単位形態当たりの量のNK1拮抗薬と;
(b)プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42-42mgに相当する量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩からなる群より選択される6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン;プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.25mg~90mg、好ましくは0.25mg~80mgに相当する単位形態当たりの量の、ラセミ体またはその薬学的に許容される塩;ならびにプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの(S)鏡像異性体の量を含む、50mg~3000mgの単位形態当たりの量の、(R)/(S)混合物と
を含む投与単位形態の医薬組成物を提供する。
【0167】
好ましくは、NK1拮抗薬の量/単位形態は、術後の吐き気および嘔吐の予防もしくは治療または化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防について有効性が示されているか、または承認されている、小児または成人用量と少なくとも同程度であり、最大6倍の用量であってよい。
【0168】
第1の実施形態によれば、NK1拮抗薬成分(a)は、10mg~125mgのIR単位形態当たりの量のアプレピタントまたは15mg~270mgの単位形態当たりの用量のロラピタントであり、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、(NKl拮抗薬との前記固定用量配合薬において)0.125mg~1500mgのIR単位形態当たりの量で前記組成物中に存在する。
【0169】
好ましくは、前記医薬組成物において、前記NK1拮抗薬成分(a)は、IR製剤中10mg~125mgの範囲のIR用量のアプレピタントである。
【0170】
IR単位形態当たりの6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)の用量は、(NK1拮抗薬成分(a)と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、通常、0.125mg~1500mg、有利には1.6mg~1500mg、好ましくは1.625mg~1500mgである。
【0171】
IR単位形態当たりの6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの前記用量は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、通常、1.5mg~1500mgの範囲となる。
【0172】
この第1の実施形態によれば、固定用量配合薬の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)が、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である場合、IR単位形態当たりの用量範囲は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~30mg、通常0.125mg~22.5mg、0.125mg~11.25mg、好ましくは0.125mg~30mgまたは0.125mg~20-21mg、通常0.125mg~10mgに相当するであろう。通常、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがIR製剤中のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、用量範囲は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、IR単位形態当たり0.125mg~30mgまたは0.125mg~20-21mg、通常0.125mg~10mgである。NK1拮抗薬がアプレピタントである場合、プラミペキソール二塩酸塩一水和物と組み合わせた、IR単位形態当たりのアプレピタント用量は、アプレピタント10mg~125mgになる。
【0173】
固定用量配合薬の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)が、ラセミ化合物である場合、IR単位形態当たりの前記用量範囲は、0.25mg~45mg、好ましくは0.25mg~40-42mgとなり、したがって、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~22.5mg、好ましくは0.125mg~20-21mgに相当する単位形態当たりの量で(S)-鏡像異性体を含み、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~20-21mgに相当する単位形態当たりの量で(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む。
【0174】
固定用量配合薬の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)が、IR製剤中の(R)/(S)-混合物である場合、IR単位当たりの前記用量範囲は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~22.5mg、好ましくは0.125mg~20-21mgに相当する単位形態当たりの(S)-鏡像異性体量を含めて、50mg~1500mgとなり、したがって、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~22.5mg、好ましくは0.125mg~20-21mgに相当する単位形態当たりの量で前記(S)-鏡像異性体を含み、プラミペキソール二塩酸塩一水和物50mg~1500mg(0.125mg~22.5mg、好ましくは0.125mg~20-21mgを除算)に相当する単位形態当たりの量で(R)-6-プロピルアミノ-4、5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む。
【0175】
ERIR単位形態当たりの6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)の用量は、(NK1拮抗薬成分(a)と組み合わせたときの)安全性および忍容性に応じて、通常0.375mg~3000mg、有利には4.5mg超~3000mg、好ましくは6.5mg~3000mgである。
【0176】
固定用量配合薬の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)が、緩効性組成物および経皮治療システム、例えば経皮パッチを含む、ER製剤中の、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である場合、単位形態当たりのその量は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.5mg~45mg、3mg~45mg、または3mg~22.5mg、好ましくは1.5mg~40-42mg、3mg~40-42mg、または3mg~20-21mgの範囲に相当するものになる。特に、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、用量範囲/単位形態は、1.5mg~45mg、通常3mg~45mg、または3mg~22.5mg、好ましくは1.5mg~40-42mg、通常3mg~40-42mgまたは3mg~20-21mgとなる。
【0177】
固定用量配合薬の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)が、緩効性組成物および経皮治療システム、例えば経皮パッチを含む、ER製剤中の(R)/(S)-混合物である場合、前記用量範囲/ER単位は、(NK1拮抗薬と組み合わせたときの)忍容性に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物3mg~45mg、好ましくは4.5mg超~45mg、6mg超~45または6.5mg~45mg、通常3mg~40-42mg、好ましくは4.5mg超~40-42mg、6mg超~40-42または6.5mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの(S)-鏡像異性体量を含めて、150mg~3000mgまたは300mg~3000mgとなり、したがって、例えば3~40-42mgの用量範囲の場合、プラミペキソール二塩酸塩一水和物3mg~45mg、好ましくは3mg~40-42mgの単位形態当たりの量に相当する前記(S)-鏡像異性体、およびプラミペキソール二塩酸塩一水和物150mg~3000mgまたは300mg~3000mg(3mg~45mg、好ましくは3mg~40-42mgを減算)に相当する単位形態当たりの量の、(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む。
【0178】
固定用量配合薬の前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)が、ラセミ化合物である場合、ER単位型当たりの前記用量範囲は、NK1拮抗薬と組み合わせたときの忍容性に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物6mg~90mg、好ましくは9mg超~90mg、12mg超~90mgまたは13mg~90mg、通常6mg~80mg、好ましくは9mg超~80mg、12mg超~80または13mg~80mgからなる群から選択される範囲に相当するものになり、したがって、例えば、6~80mgの用量範囲の場合、例えば、プラミペキソール二塩酸塩一水和物3mg~45mg、好ましくは3mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの(S)鏡像異性体の量を含み、プラミペキソール二塩酸塩一水和物3mg~45mg、好ましくは3mg~40-42mgに相当する単位形態当たりの量の、(R)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む。
【0179】
NK1拮抗薬およびそれぞれ6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン有効成分の単位形態当たりの特定の量、特に前記成分(a)および前記成分(b)の単位形態部分範囲当たりの量は、「NK1拮抗薬成分(a)」および「6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン成分(b)」の節に示されている。
【0180】
NK1拮抗薬がアプレピタントである場合、用量/単位形態は10mg~250mgの範囲になる。
【0181】
NK1拮抗薬がロラピタントである場合、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせた単位形態当たりの用量は、上記用量/単位形態において、30mg~270mgの範囲となる。
【0182】
製剤
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組み合わせたシヌクレイノパチーの治療における意図された使用のために、NK1拮抗薬は医薬組成物に製剤化され、前記NK1-拮抗薬は、薬学的担体またはビヒクルと混合されている。前記治療のために、同様に6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、医薬組成物に製剤化され、前記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、薬学的担体またはビヒクルと混合されている。
【0183】
経口、皮下、静脈内、経皮または局所投与用の本発明の医薬組成物において、有効成分は、好ましくは、上記のような古典的な薬学的担体またはビヒクルと混合した投薬単位の形態で投与される。
【0184】
投与量、すなわち、患者に投与される単回投与における有効成分の量(投与単位形態態当たりの量)は、患者の年齢、体重、および健康状態に応じて大きく異なる。この投薬は、各NK1拮抗薬の効力および患者の年齢に応じて、1μg~600mg、通常1mg~600mgまたは1mg~300mgの用量の投与、および患者の年齢に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgに相当する6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの量の、各有効成分のそれぞれの用量の強さに応じて、静脈内、皮下、経口、または経皮投与により1日1~3回の投与を含む。
【0185】
NK1拮抗薬がアプレピタントである場合、前記投与量は10mg~250mgの範囲であり、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、前記投与量は0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgの範囲である。
【0186】
NK1拮抗薬がロラピタントである場合、前記投与量は15mg~270mgの範囲であり、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンがプラミペキソール二塩酸塩一水和物である場合、前記投与量は0.125mg~45mg、好ましくは0.125mg~40-42mgの範囲である。
【0187】
本発明の医薬組成物は、上記のように、異なる投与方法に適した古典的な賦形剤と共に製剤化された単位形態をとる。前記単位形態は、例えば、IR形態のNK1拮抗薬および同じ単位形態のER形態のプラミペキソール二塩酸塩一水和物の製剤化を可能にする従来技術に従って製造される。特に有利であるものは、錠剤、多心(multi-score)錠剤、多層錠剤、被覆錠剤)、経口崩壊錠剤、持続放出錠剤、ハードまたはソフトカプセル、マルチコンパートメントカプセル、持続放出カプセル、経皮投与用パッチ、液体経口溶液、既定単位形態のシロップまたは懸濁液、および静脈内または皮下投与用のバイアルの形態の製剤である。
【0188】
医薬組成物は、錠剤またはゼラチンカプセルなどの経口単位形態で製剤化されてよく、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはNK1拮抗薬または両方の有効物質は、例えば、セルロース、デキストロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトールまたはスクロースなどの希釈剤;酸、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ、またはタルクなどの潤滑剤;および必要に応じて、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドンなどのバインダーを含み得る、担体またはビヒクルと混合されている。
【0189】
前記経口単位形態は、スクロースまたは即時放出のための各種ポリマーで被覆された錠剤であってよく、あるいは、錠剤は、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマーなどの担体;ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのセルロース誘導体;または、所定量のNK1拮抗薬もしくは6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンもしくはその両方の有効成分を徐々に放出することにより、活性を延長または遅延させるその他の適切な材料を使用して製造することができる。経口製剤は、NK1拮抗薬または6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその両方の有効成分の持続放出を可能にするカプセルの形態をとってもよい。
【0190】
前記経口単位形態は、有効成分の一方がIR製剤であり他方がER製剤である、錠剤またはカプセルであってもよい。例えば、前記単位形態は、それぞれ上記の単位形態当たりの量の、IR製剤中のアプレピタントまたはロラピタントおよびER製剤中のプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含む。
【0191】
医薬組成物は、パッチ製剤などのTTSで製剤化することもでき、ここで、有効成分または有効成分の混合物は、D-ソルビトール、ゼラチン、カオリン、メチルパラベン、ポリソルベート80、プロピレングリコール、プロピルパラベン、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、酒石酸、二酸化チタン、および精製水などのアジュバントを含む。パッチ製剤はまた、乳酸エステル(例えば、乳酸ラウリル)、トリアセチンまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの皮膚透過性促進剤を含有してもよい。
【0192】
上記の医薬組成物において、好ましいNK1拮抗薬有効成分は、アプレピタント、ホスアプレピタント、ロラピタントまたはネツピタント-300/パロノセトロン(pslonosetron)-0.5であり、好ましい6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン有効成分は、プラミペキソール塩基またはその二塩酸塩一水和物である。
【0193】
したがって、例えば、IR製剤中0.125mg~30mgまたは1.5mg~22.5mg、通常1.5mg~11.25mg、好ましくは0.125mg~20mg、通常1.5mg~10mgの単位形態当たりの量で、または1.5mg~45mg、通常は3mg~22.5mg、1.5mg~40-42mg、通常3mg~20-21mgの1日用量で投与されるER製剤中1.5mg~45mg、好ましくは1.5mg~40-42mgの投与単位形態当たりの量で、6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン、好ましくはプラミペキソール二塩酸塩一水和物と組み合わせて長期的に投与される、本発明による医薬組成物は、好ましくは、1日1回投与される製剤中10mg~250mgの単位形態当たりの量のアプレピタント;または1日1回投与される製剤中15mg~270mgの単位形態当たりの量のロラピタントを含む。
【0194】
小児または肥満患者の場合、NK1拮抗薬の1日用量は体重に基づいて決定される。したがって、例えば、アプレピタントは0.16mg/kg~4.2mg/kgの1日用量で投与されてよく、ロラピタントは0.25mg/kg~4.5mg/kgの1日用量で投与されてよい。
【実施例】
【0195】
[実施例1]
ヒトにおける6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンの有害作用を防止するためのNK1拮抗薬の能力を試験した。
【0196】
アプレピタントの有無にかかわらず、プラミペキソール二塩酸塩一水和物(「プラミペキソール」)の経口投与を受けている被験者において、フェーズI試験を実施した。本試験は、単一施設一重盲検プラセボ対照試験であった。
【0197】
本試験の目的は、治療用量で投与され、さらには治療用量を超える用量で投与される、プラミペキソールの胃腸副作用を、アプレピタントが安全に減衰させ得ることを実証することであった。
【0198】
試験に登録するには、参加者(18~60歳)は、健康であり、キサンチン、キニーネおよびカフェインを含有する飲料の摂取を控え、試験実施中の長時間の集中的身体運動を控えることが必要であった。すべての被験者は、試験に必要な目的と手順を理解したこと、および試験に参加し試験の手順と制限を遵守する意思があることを示すインフォームドコンセント用紙に署名した。試験への登録から被験者を除外するための重要な基準は以下のとおりであった。
1.治験中に被験者の安全を妨げたり、過度のリスクにさらしたり、試験の目的を妨げたりするおそれのある、臨床的に関連のある急性または慢性疾患。
2.薬物の吸収、分布、代謝または排泄を妨げることが知られている胃腸、肝臓、または腎疾患またはその他の状態の病歴または存在。
3.薬物乱用の病歴、既知の薬物依存、または薬物乱用またはアルコールの陽性検査。
4.薬物またはその他の重大なアレルギーの病歴。
5.QT間隔延長および先天性QT延長症候群を含むECG変化。電解質異常(例えば、低カリウム血症や低マグネシウム血症)、うっ血性心不全、徐脈性不整脈、またはQT延長につながるその他の状態。
6.中枢活性薬物による治療、または治験登録から3ヶ月以内の末梢コリン作動性伝達に影響する薬物による治療。
7.喫煙者(試験への登録の1年以上前に喫煙を止めた被験者を除く)。
8.キサンチン含有飲料の毎日の過度な消費(つまり、500mg/日を超えるカフェイン)。
9.研究登録後30日以内の治験薬物の摂取。
【0199】
試験への登録後、参加者に対して、プラミペキソール(1.25mg~20mgの範囲)とプラセボを、毎日朝1回、用量を増やしながら、経口投与した。被験者が第1の不耐用量(FID-1)に達したら、用量漸増を中止した。第1の不耐用量(FID)を以下のように定義した。
- 嘔吐の1回の発現;または
- むかつきの2回の発現;または
- 重度の吐き気の1回の発現。
【0200】
ウォッシュアウト期間後、参加者にアプレピタントとともにプラミペキソールを投与し(10mg~250mgのアプレピタントの用量で、10mgから開始し、不耐の発現を遅らせるために必要に応じて250mgまで増加させた)、被験者が第2の不耐用量(FID-2)に達するまで、プラミペキソールの用量を増やしながら、被験者に対するアプレピタントの投与を続けた。各試験日に、忍容性および安全性について被験者を最大8時間追跡した。
【0201】
結果は、アプレピタントとプラミペキソールの併用投与により、プラミペキソール用量の忍容可能な増加が可能となり、プラミペキソールを単独で投与した場合よりも高いプラミペキソール用量への忍容性が得られることを示した。
【0202】
[実施例2]
アプレピタントの単回経口用量の有無にかかわらず、プラミペキソール二塩酸塩一水和物(「プラミペキソール」)の単回経口投与を受けている被験者において、フェーズI試験を実施した。本試験は、単一施設一重盲検試験であった。
【0203】
本試験の目的は、アプレピタントが、パーキンソン病の治療について承認された用量または臨床試験でうつ病の治療に有効であることが示された用量に相当する用量またはそれ以上の用量で投与したプラミペキソールの胃腸副作用を安全に減衰させ得ることを実証することであった。
【0204】
試験に登録するために、参加者は以下の参加/除外の主要基準に従った。
【0205】
主要な参加基準
1.年齢20~45歳の男性および女性両方の被験者。
2.出産可能性のある女性は、禁欲に同意するか、あるいは、スクリーニング期間から試験終了後14日まで以下の医学的に許容される形態の避妊方法:殺精子剤ゼリーを備えたコンドーム、殺精子剤ゼリーを備えたダイアフラムまたはサービカルキャップ、または子宮内避妊用具(IUD)のうち2つを使用することに同意する必要がある。男性配偶者が精管切除を受けた女性は、もう1つの形態の医学的に許容される避妊方法を使用することに同意する必要がある。被験者は、安全上の予防措置として、最終来院後14日間、上記の産児制限方法を実践することに同意する必要がある。
3.外科的に不妊である(子宮摘出後、両側卵巣摘出、または両側卵管結紮の状態である)か、または閉経後少なくとも12ヶ月経過しているとして規定された、出産可能性のない女性は、試験中に避妊を必要としない。この理由は原始文書に記載する必要がある。
4.出産可能性がある女性配偶者を持つ男性は、スクリーニング期間から試験終了来院後14日まで、非常に効果的で医学的に許容される形態の避妊法を使用することに同意する必要がある。出産可能性がある女性配偶者を持つ男性は、同じ期間にわたって、殺精子剤を備えたコンドームを使用することに同意する必要がある。男性被験者は、安全上の予防措置として、最終来院後14日間、上記の産児制限方法を実践することに同意する必要がある。
5.被験者は、個人および家族の精神病歴、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、および臨床検査の結果を含む病歴によって判断されるとおり健康である必要がある。医学的異常のある被験者は、異常が被験者の健康に重大な追加的リスクをもたらさない、または試験の目的を妨げないと検査者または被指名者が考える場合にのみ含まれてよい。
6.被験者は、自身の病状の変化を明確かつ確実に伝えることができなければならない。
7.体格指数(BMI)が19.0~32.0kg/m2の被験者(両性を含む)。
8.複数の錠剤またはカプセルを同時に飲み込むことができる被験者。
9.被験者は、試験に必要な目的と手順を理解したこと、および試験に参加し試験の手順と制限を遵守する意思があることを示すインフォームドコンセント用紙に署名している必要がある。
【0206】
主要な除外基準:
試験への登録から被験者を除外するための基準は以下のとおりであった。
1.治験中に被験者の安全を妨げたり、過度のリスクにさらしたり、試験の目的を妨げたりするおそれのある、臨床的に関連のある急性または慢性疾患。
2.試験薬物の吸収、分布、代謝または排泄を妨げることが知られている胃腸、肝臓、または腎疾患またはその他の状態の病歴または存在。
3.薬物乱用の病歴、既知の薬物依存、または薬物乱用またはアルコールの陽性検査。
4.薬物またはその他の重大なアレルギーの病歴。
5.プラミペキソール、またはオンダンセトロンもしくは類似のセロトニン受容体拮抗薬、またはアプレピタントもしくは類似のサブスタンスP/NK1受容体拮抗薬に対する、既知の過敏症。
5.QT間隔延長、先天性QT延長症候群、電解質異常(例えば、低カリウム血症または低マグネシウム血症)、うっ血性心不全、徐脈性不整脈、または、スクリーニング第1日目または投薬前に、男性では450QTcF以上、女性では470QTcF以上のQT延長または第1度房室ブロックを引き起こす他の医薬品に関する病歴および/または現在の状態。
7.試験登録から1ヶ月以内での、中枢作用薬または制吐薬による治療。
8.タバコまたはニコチン使用者(試験登録の1年以上前にタバコまたはニコチンの使用を中止した被験者を除く)。
9.キサンチン含有飲料の毎日の過度な消費(つまり、500mg/日を超えるカフェイン)。
10.(スクリーニング来院から試験薬の最終投薬までの)試験実施中に長時間の集中的身体運動を削減したくない被験者。
11.B型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体の陽性検査結果。
12.HIV1または2血清検査の陽性検査結果。
13.試験期間中に内科的または歯科的治療を必要とする見込みがあること。
14.入院1日目の前14日以内での処方薬または市販薬の使用。さらに、当該期間が14日より長い場合、入院(1日目)前の薬物半減期の5倍に等しい期間にわたり、中枢作用のある医薬は禁止される。
15.被験者が試験中に協力する見込みがなく、および/または調査者の意見を遵守するか疑わしい。
16.緊急の場合に被験者との連絡が取れない。
17.試験登録後30日以内の治験薬物の摂取。
18.スクリーニング時にC-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度)によって評価された、過去6か月以内の自殺念慮の証拠を示す。
【0207】
試験への登録後、参加者に対して、プラミペキソールを、毎日朝1回、用量を増やしながら、経口投与した(試験期間1)。プラミペキソールの開始用量は0.5mgであり、用量を毎日0.5mgずつ増加した。被験者が第1の不耐用量(FID-1)に達したら、用量漸増を中止した。第1の不耐用量(FID)を以下のように定義した。
- 嘔吐の1回の発現;または
- むかつきの2回の発現;または
- 1時間以上続く、重度の吐き気の1回の発現(グレード3;日常生活または不十分な経口カロリーまたは水分摂取の活動を妨げる吐き気として定義される;経管摂食、完全な非経口栄養摂取または入院が必要とされる)、または
- 4時間ごとの評価で中等度の吐き気の3回連続した発現(グレード2;主観的に症候性であると定義されるが、日常生活の活動を妨げない)、または
- 中程度の下痢の1回の発現(グレード2;基準時よりも便通が4~6回多いと定義される)。
【0208】
被験者がプラミペキソール単独でFID-1に達したとき、被験者は少なくとも5日間ウォッシュアウトされ、次いで、試験期間2に入り、この期間において、被験者は、0.5mgから開始してプラミペキソールの1日1回経口投与を受け、経口アプレピタント(80mg)とともに、被験者が上記のように定義された不耐用量に再び達するまで、0.5mgずつ増加させる用量漸増を受けた。経口プラミペキソールと経口アプレピタントに対するFIDをFID-2と称した。
【0209】
被験者が期間2においてFID-1と同じかそれより低い用量でFID-2に達した場合、調査者が安全性の問題がないと判断し被験者が同意することを条件として、被験者は、翌日に、より高用量の経口アプレピタント(120mg)とともに、FID-2と同じ用量のプラミペキソールの投与を受け、プロトコールにおいて、前記被験者が、不耐用量(FID2+)に達するまで、より高用量の経口アプレピタント(120mg)により、残りの用量漸増を継続することを規定した。プロトコールの他のすべての規定は変更していない。評価は、用量漸増日について計画されたものと同じであった。
【0210】
各試験日に、AE、バイタルサイン、ECGについて、被験者を薬物投与から最大8時間追跡した。さらに、スクリーニング時および試験終了時に実験室パネル(laboratory panel)を得た。
【0211】
4人の被験者を試験に登録した。以下の表1は、被験者の人口学的特性をまとめたものである。
【0212】
【0213】
すべての被験者は、試験中にFID-1(プラミペキソール単独)に達した。用量制限毒性は、4人すべての被験者において胃腸有害事象であった。試験の期間2で、4人の被験者全員が、6mgのプロトコールで許可された最大プラミペキソール用量を忍容し、したがって、被験者のいずれもFID-2(プラミペキソールとアプレピタントを併用)には到達しなかった。言い換えれば、プラミペキソールとアプレピタントの併用投与は、高用量のプラミペキソールに関連する用量制限胃腸有害事象の発生を防止した。表2に、各被験者について、FID-1(プラミペキソール単独)およびFID-2(プラミペキソールとアプレピタントの併用)の値を示す。
【0214】
【0215】
以下の表3に示すように、期間2における最大忍容用量(MTD)はすべての被験者で期間1におけるMTDよりも高く、3人の被験者ではMTD-2が3倍超増加した。
【0216】
【0217】
まとめると、結果は、アプレピタントとプラミペキソールの同時投与が、プラミペキソール単独で報告される用量制限胃腸有害作用を軽減することを示し、したがって、NK1拮抗薬は、プラミペキソール単独で投与する場合には忍容されない用量で、プラミペキソールをヒトに投与することを可能にすることを示した。
【0218】
結論として、アプレピタントとプラミペキソールの同時投与は、プラミペキソール単独投与に伴う胃腸AEの発生を抑制し、したがって、プラミペキソールの用量を安全かつ忍容可能な態様で2倍超増加させることを可能にし、それにより、この薬物の有効性を高めることができる。特に、これらの結果は、NK1拮抗薬の保護作用により、プラミペキソールの承認された用量範囲内だけでなく、最大推奨用量よりも高い用量でも、プラミペキソールによるヒトの安全な治療が可能になることを示している。
【0219】
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