(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】ねじ切り締結具を締め付ける装置
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
B25B21/00 H
(21)【出願番号】P 2019569796
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 US2018037462
(87)【国際公開番号】W WO2018232067
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-11
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511253276
【氏名又は名称】ハイトーク ディビジョン ユネックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】カルビン エー.ボナス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター コッペンヘーファー
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-144567(JP,A)
【文献】特開平07-088777(JP,A)
【文献】特開2015-168020(JP,A)
【文献】特開2015-208833(JP,A)
【文献】特開2004-237420(JP,A)
【文献】登録実用新案第3144253(JP,U)
【文献】特開2013-121653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0288523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B21/00
B23P19/06
B25B23/00-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ切りアセンブリ締結具を、締め付けたり、緩めたりしたり、又は、締め付けと緩めることの両方を行う、電気的、油圧的、及び/又は、空気圧的に駆動されるトルク工具と共に使用される装置であって、
駆動延長部アセンブリと、
リアクションアセンブリと、
ソケット・アセンブリと、
を含
み、
前記駆動延長部アセンブリは、駆動コネクタと駆動延長部六角球体との間に形成された駆動延長部を有し、
前記リアクションアセンブリは、リアクション管体及びリアクションプレートを有し、
前記ソケット・アセンブリは、前記ねじ切りアセンブリ締結具及び前記駆動延長部六角球体を受け入れる駆動ソケットを有し、
前記駆動延長部アセンブリは、前記駆動コネクタ及び前記駆動延長部を前記リアクション管体内に支持かつ維持する駆動案内ブッシュ及びカバー支持スリーブを有し、
前記リアクションプレートは複数の隣接締結具に対する複数のリアクション係合部を有し、
前記ソケット・アセンブリは、締結具係合手段、球体撓曲手段、及び、球体係合手段を有する、装置。
【請求項2】
前記リアクションアセンブリは、拘束リングと、前記複数の隣接締結具に対する複数の保護スリーブと、ダート・シールドとを有し、且つ、
前記ソケット・アセンブリは、複数の拘束リングを有する、請求項
1記載の装置。
【請求項3】
2つの隣接締結具に対する2つのリアクション係合部を含む、請求項
1記載の装置。
【請求項4】
4つの隣接締結具に対する4つのリアクション係合部を含む、請求項
1記載の装置。
【請求項5】
前記リアクション管体及び前記リアクションプレートはスプライン接続手段を介して結合される、請求項
1記載の装置。
【請求項6】
前記駆動延長部六角球体と球体係合手段との結合によれば、複数の角度における各締結具の係合が許容される、請求項
1記載の装置。
【請求項7】
前記駆動延長部アセンブリは、実質的に前記リアクションアセンブリの内部に配設され、且つ、
前記駆動延長部アセンブリ及び前記リアクションアセンブリは、これらのアセンブリが動作している間に逆方向において協働的に且つ相対的に回転されることを許容する機構により相互に結合される、請求項1記載の装置。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか一項に記載の装置を含む、ねじ切り締結具を、締め付けたり、緩めたりしたり、又は、締め付けと緩めることの両方を行う、電気的、油圧的、及び/又は、空気圧的に駆動されるトルク工具。
【請求項9】
ねじ切り締結具と、
請求項
8記載の
トルク工具とを含む、
対象物を締結するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願および特許に対する相互参照)
本出願は、本出願と同様に本出願人が所有する及び/又は同時係属中の以下の特許出願の優先権を主張し、及び/又は、それの継続特許出願もしくは一部継続出願である。「ねじ切り締結具を締め付ける装置」と称する2017年6月14日の出願日を有する米国出願第62/519,231号明細書の全体的内容は、参照により本出願中に援用される。
【背景技術】
【0002】
産業用のボルト締結の適用においては、接近して作業を行うことのできない締結具を含む場合がしばしばある。ひとつの斯かる用途は、サイズが1118mm×1600mm×140mm(44inch×63inch×5.5inch))である5ピース式のフランジリム・アセンブリ10上に取付けられて59/80 R63の標準サイズを有する岩石運搬用のチューブレスのラジアル・タイヤ2を含むコマツ980マイニングトラック1において見出される。各タイヤ2は、758kPa(110psi)の冷間タイヤ空気圧にて定格設定される。典型的なタイヤ総重量は32585kg(71,838ポンド)にも達する。各リム・アセンブリ10は、外側の相対的に高寸である円周方向配列の締結具12により囲繞されて、各々が2440~2576N・m(1800~1900ft・lbs)のトルクを必要とする内側の相対的に低寸である円周方向配列の接近困難な締結具11を含むことを理解されたい。
図1~
図3を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の工具では締結具11に接近することはできない。公知の締め付け用解決手段50は、駆動シャフト延長部52を備えて十字形の様に形状化されたリアクション固定具51を必要とする。公知の解決手段50では、リアクション固定具51の各側が、締結具11から相当に離間した第3の円周方向配列の締結具13のボルト頭部から反対の作用を受ける。この欠陥的な解決手段は、ソケット53、リアクション固定具51及び駆動延長部52の位置及び角度50の故に、システムに対して過剰な応力及び側方負荷を加える。反対の作用を受ける点55及び56は、締結具11から距離H50だけ離間される。駆動シャフト延長部52、工具40、及び、内部の工具用歯車機構の破損、及び、リアクション固定具51の滑動に関する相当なリスクは、公知の解決手段50の特性である。
図4~
図5を参照されたい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、接近することが困難なねじ切り締結具を、締め付けたり、緩めたり、又は、締め付けと緩めることの両方を行う、電気的、油圧的、及び/又は、空気圧的に駆動されるトルク工具と共に使用されると共に、駆動延長部アセンブリ110、リアクションアセンブリ120及びソケット・アセンブリ130を含む装置100を開示する。好適には、本発明は、延長された駆動球体及びソケットによる継手接続構造により締結具を回転させる間、2本又は4本の近傍スタッド上に保持される外側リアクション部材を使用する。それは、反対の作用を受ける点を、回転されつつある締結具に対して相当に接近させることにより、各ボルト上の反力からの側面荷重及びシステム応力を更に効率的に分散/減少する。それは、締結具に対する複数の接近角度を許容すると共に、締結具に対する複数の障害物に対して適合可能である。それは、比較的に軽量であり、締結具毎の操作が容易であり、且つ、全体的にユーザー・フレンドリーである。公知の締め付け用解決手段50と比較して、装置100は、反対の作用を受ける点から離間したところでの捻れが無く、又は、漸動(creep)もしくは這動(crawl)の傾向が無い、安定的で信頼でき、頑丈でコンパクトなシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】コマツ980マイニングトラック1の側部斜視図である
【
図2】5ピース式のフランジリム・アセンブリ10の斜視図である。
【
図3】内側の相対的に低寸である円周方向配列の接近困難な締結具11の一部の斜視図である。
【
図4】公知の締め付け用解決手段50の斜視図である。
【
図5】公知の締め付け用解決手段50の他の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図6A、
図6B及び
図6Cを参照すると、例示的にのみ、装置100は、駆動延長部アセンブリ110、リアクションアセンブリ120、及び、ソケット・アセンブリ130を含んでいる。駆動延長部アセンブリ110は、駆動延長部111、駆動コネクタ112、駆動延長部六角球体113、駆動案内ブッシュ114、及び、カバー/支持スリーブ115を含み得る。リアクションアセンブリ120は、リアクション管体121、リアクションプレート122、外側拘束リング123、挿通プロテクタ・スリーブ124、SHCS125、ダート・シールド126、SHCS128、及び、複数のSHCS129を含み得る。ソケット・アセンブリ130は、側面駆動ソケット131、締結具係合手段132、球体撓曲手段133、球体係合手段134、内側ソケット拘束リング135、及び、外側ソケット拘束リング136を含み得る。
【0007】
操作の間において、装置100は、組立てられると共に、たとえば、(不図示の)HYTORC空気圧式トルク・マルチプライヤに対して結合される。駆動延長部アセンブリ110の各構成要素は、リアクション管体121内へと挿入される。詳細には、駆動延長部111は、一端にて、駆動コネクタ112に対して接続され、且つ、駆動延長部111の六角球体113は、他端にて、側面駆動ソケット131に対して接続される。これらの部材は、駆動案内ブッシュ114及びカバー/支持スリーブ115を介し、システムに対して同心的に支持して維持される。側面駆動ソケット131は、拘束リング135及び136により六角球体113に対して取付けられる。
【0008】
リアクションプレート122は、各SHCS129を介してリアクション管体121に対して結合されると共に、工具の等しい逆向きの反力を、外側の相対的に高寸である円周方向配列の締結具12の複数のスタッドに対して伝達する。リアクションプレート122の各挿通プロテクタ・スリーブ124は、各スタッドに対して痕跡を付けたり、又は破損することを阻止する。リアクション管体121に対して取付けられると共に、駆動案内ブッシュ114により所定位置に保持されたダート・シールド126は、システムの各構成要素をシールすることで、安全性を高めると共に、内部の駆動構成要素上に付着する異物を減少する。
【0009】
図7には、本発明の別実施例が示される。装置200は、同様の参照符号により明らかである如く、装置100と同一である多くの構成要素を含んでいる。但し、特に、装置200は、外側の相対的に高寸である円周方向配列の締結具12の4本のスタッドからではなく、それらの内の2本に作用する。更に、装置200はダート・シールドを含まない。
【0010】
図8には、本発明の別実施例が示される。装置300は、同様の参照符号により明らかである如く、装置100と同一である多くの構成要素を含んでいる。但し、特に、リアクションプレート322及びリアクション管体321は、スプライン接続手段327を介して結合される。好適には、スプライン接続手段327は、リアクションプレート322の垂直変位、及び、装置
300の更に大きい全体的な負荷支持を許容する。更に、装置300は、ダート・シールドを含まない。
【0011】
上述された要素の各々は、又は、2つ以上が協働して、上述された形式とは異なる形式の構成においても有効な用途を見出し得ることは理解される。上記説明もしくは以下の各請求項もしくは添付図面において開示され、自身の特定形態で、もしくは、開示された機能を実施する手段に関して表現された特徴、又は、適切であれば、開示された結果を達成する方法もしくはプロセスは、別体的に、又は、斯かる特徴の任意の組合せにて、それらの多様な形態にて発明を実現すべく利用され得る。本明細書において、付番された構成要素の説明には、僅かな違いが在り得ることを銘記されたい。
【0012】
本発明は、流体作動式の工具として具現されたとものして図示かつ記述されてきたが、示された詳細に限定されることは意図されない、と言うのも、本発明の精神から何ら逸脱せずに、種々の改変、構造的及び構成的な変更、サイズ及び材料の変更などが為され得るからである。
【0013】
更なる検討なしで、上述の内容は、他者が、現在の知見を適用することにより、それを、先行技術の観点から、本発明の包括的また特定的な見地の本質的な特性を明確に構成する特徴を除外せずに種々の用途に対して容易に適合化し得る様に、本発明の要旨を十分に明らかとしている。
【0014】
本出願及び各請求項において使用されたとき、「備える」、「含む」、「有する」、及び、それらの変化形は、特定の特徴、段階又は整数が包含されることを意味している。各語句は、他の特徴、段階又は構成要素の存在を除外すると解釈されるべきでない。
なお、本願発明の参考態様として以下に示すものがある。
[態様1]
ねじ切りアセンブリ締結具を、締め付けたり、緩めたりしたり、又は、締め付けと緩めることの両方を行う、電気的、油圧的、及び/又は、空気圧的に駆動されるトルク工具と共に使用される装置であって、
駆動延長部アセンブリと、
リアクションアセンブリと、
ソケット・アセンブリと、
を含む、装置。
[態様2]
前記駆動延長部アセンブリは、駆動コネクタと駆動延長部六角球体との間に形成された駆動延長部を有し、
前記リアクションアセンブリは、リアクション管体及びリアクションプレートを有し、
前記ソケット・アセンブリは、前記ねじ切りアセンブリ締結具及び前記駆動延長部六角球体を受け入れる駆動ソケットを有する、態様1記載の装置。
[態様3]
前記駆動延長部アセンブリは、前記駆動コネクタ及び前記駆動延長部を前記リアクション管体内に支持かつ維持する駆動案内ブッシュ及びカバー/支持スリーブを有し、
前記リアクションプレートは複数の隣接締結具に対する複数のリアクション係合部を有し、
前記ソケット・アセンブリは、締結具係合手段、球体撓曲手段、及び、球体係合手段を有する、態様2記載の装置。
[態様4]
前記リアクションアセンブリは、拘束リングと、前記複数の隣接締結具に対する複数の保護スリーブと、ダート・シールドとを有し、且つ、
前記ソケット・アセンブリは、複数の拘束リングを有する、態様3記載の装置。
[態様5]
2つの隣接締結具に対する2つのリアクション係合部を含む、態様3記載の装置。
[態様6]
4つの隣接締結具に対する4つのリアクション係合部を含む、態様3記載の装置。
[態様7]
前記リアクション管体及び前記リアクションプレートはスプライン接続手段を介して結合される、態様3記載の装置。
[態様8]
前記駆動延長部六角球体と球体係合手段との結合によれば、複数の角度における各締結具の係合が許容される、態様3記載の装置。
[態様9]
前記駆動延長部アセンブリは、実質的に前記リアクションアセンブリの内部に配設され、且つ、
前記駆動延長部アセンブリ及び前記リアクションアセンブリは、これらのアセンブリが動作している間に逆方向において協働的に且つ相対的に回転されることを許容する機構により相互に結合される、態様1記載の装置。
[態様10]
態様1~9の何れか一項に記載の装置を含む、ねじ切り締結具を、締め付けたり、緩めたりしたり、又は、締め付けと緩めることの両方を行う、電気的、油圧的、及び/又は、空気圧的に駆動されるトルク工具。
[態様11]
ねじ切り締結具と、
態様10記載の工具とを含む、
対象物を締結するシステム。
[態様12]
実質的に、添付図面に関して明細書において記述されると共に図面中に示された、装置、工具又はシステム。
[態様13]
添付図面に関して本明細書において記述されると共に図面中に示された、一切の新規な特徴、又は、各特徴の新規な組み合わせ。